(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0020】
<モータの全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係るモータ1(回転電機)の全体構成を示す斜視図である。このモータ1は、円筒状のステータ2と、該ステータ2の内方に該ステータ2の軸線Pと回転中心が一致するように配置された円筒状のロータ3とを備える。すなわち、モータ1は、全体として円筒状に形成されている。モータ1は、例えば、電動自転車のペダル踏力を補助するためのモータなどに用いられる。なお、
図1において、符号Pは、ステータ2の筒軸方向に延びる軸線を示す。
【0021】
ステータ2は、円筒状に形成されたステータコア11と、該ステータコア11に巻かれたステータコイル12とを備える。ステータコア11は、磁性材料の粒子を含む粉粒体からなる圧粉鉄心である。すなわち、ステータコア11は、成形型を用いて粉粒体を所定の圧力で固めることにより、一体成形されている。
【0022】
図2に、ステータコア11の具体的な構成を示す。この
図2は、ステータコア11をステータ2の軸線方向から見た正面図である。
図2に示すように、ステータコア11は、ヨーク21と、複数のティース22とを備える。本実施形態では、ステータコア11は、12個のティース22を有する。
【0023】
ヨーク21は、円筒状に形成されている。各ティース22は、ヨーク21の内周面から該ヨーク21の内方に向かって延びている。複数のティース22は、ヨーク21の内周面上に、ステータ2の軸線方向から見て、周方向に等間隔に並んで形成されている。
【0024】
ステータコア11は、
図1及び
図2に示すように、円筒状のヨーク21が周方向に複数に破断分割されている。すなわち、ステータコア11は、破断分割によって形成された複数のヨーク片21aを有する。ステータコア11は、各ヨーク片21aがティース22を1つずつ含むように破断分割されている。そのため、ステータコア11は、ティース22と同数のヨーク片21aに破断分割されている。本実施形態の場合、ステータコア11は、各ヨーク片21aがティース22を含むように周方向に12個に分割されている。ステータコア11の破断分割の詳細については後述する。
【0025】
ティース22は、ステータ2の軸線方向から見て略T字状に形成されている。すなわち、ティース22は、ヨーク21の内周面から該ヨーク21の内方に向かって延びるティース本体部22aと、該ティース本体部22aよりもティース22の先端側に位置するティース先端部22bとを有する。ティース22は、ロータ3に対向している。ティース先端部22bは、ティース本体部22aよりもロータ3に近い。
【0026】
ティース本体部22aは、ヨーク21の内周面から該ヨーク21の内方に向かって延びる四角柱状に形成されている。ティース本体部22aには、ティース22の延伸方向に延びる側面の角部分にR部22cが形成されている。R部22cは、ティース22における前記側面の全ての角部分に形成されていてもよいし、一部の角部分に形成されていてもよい。すなわち、
図3に示すように、ティース本体部22aは、ティース22の延伸方向に直交する断面において、少なくとも一部に、ティース本体部22aの外方に向かって凸状のR部22cを有する。なお、ティース22の延伸方向は、ステータコア11(ヨーク21)の径方向と同じである。
【0027】
図1に示すように、ティース本体部22aには、ステータコイル12が巻かれている。上述のようにティース本体部22aの側面にR部22cを設けることにより、該ティース本体部22aに巻かれたステータコイル12が損傷を受けるのを防止できる。なお、R部22cは、面取りであってもよい。
【0028】
ティース本体部22aは、
図3に示すように、ステータ2の軸線方向において、ティース本体部22aの端部が、ヨーク21の端部よりもモータ1の内方に位置するように形成されている。すなわち、ティース本体部22aは、前記軸線方向の長さがヨーク21における前記軸線方向の長さよりも短い。これにより、ティース本体部22aにステータコイル12が巻かれた状態で、ステータ2の軸線方向において、ステータコイル12がヨーク21よりもステータ2の外方に突出するのを防止できる。
【0029】
ティース先端部22bは、
図3に示すように、幅方向寸法(ステータ2を軸線方向から見たときの周方向の寸法)及び前記軸線方向の寸法が、ティース本体部22aの幅方向寸法及び前記軸線方向の寸法よりも大きい。すなわち、ティース先端部22bは、ティース本体部22aに対して前記幅方向及び前記軸線方向に突出している。
【0030】
このようなティース先端部22bの構成により、ティース本体部22aに巻かれたステータコイル12がティース22の先端から抜けるのを防止できる。したがって、ティース本体部22aに対してステータコイル12をより確実に巻線することができる。
【0031】
また、上述のようなティース先端部22bの構成により、ティース本体部22aに巻かれたステータコイル12によって磁界が生じた際に、ティース先端部22bの周辺に、広範囲に強い磁界を形成することができる。
【0032】
特に図示しないが、ステータコア11の破断分割によって得られた複数のヨーク片21aは、元のステータコア11を構成するように組み合わされた状態で、保持部材等によって保持される。この保持部材は、複数のヨーク片21aを保持するための専用の部材であってもよいし、モータ1を収納するケースによって構成されていてもよい。
【0033】
図1に示すように、ロータ3は、円筒状に形成されていて、ステータ2の内方に該ステータ2の軸線Pと回転中心が一致するように配置されている。特に図示しないが、ロータ3は、回転軸と一体で回転可能なように該回転軸が貫通した状態で該回転軸に固定されている。
【0034】
ロータ3は、ロータコア31と、界磁磁石32とを備える。ロータコア31は、磁性材料からなる円筒状の部材である。ロータコア31の外周面には、界磁磁石32を配置するための複数のスロット31aが形成されている。各スロット31aは、スロット31a内に界磁磁石32が配置された状態で、該界磁磁石32の一部が露出するような深さを有する凹部である。
【0035】
本実施形態では、
図1に示すように、ロータコア31の外周面にスロット31aが14箇所、形成されている。また、各スロット31aは、ロータコア31の外周面に、ロータコア31の軸線方向において、ロータコア31の一方の端部から他方の端部に亘って形成されている。
【0036】
界磁磁石32は、永久磁石であり、直方体状に形成されている。界磁磁石32は、ロータコア31の外周面に形成されたスロット31a内に、厚み方向の一部が露出した状態で固定されている。
【0037】
(ステータコアの破断分割)
ステータコア11のヨーク21の破断分割について、
図2から
図4を用いて詳細に説明する。
図3は、ステータコア11のヨーク21を破断分割して得られるヨーク片21aの概略構成を示す斜視図である。
図4は、ステータコイル12に通電して磁界を発生させた際に、ヨーク21に生じる磁束の方向を模式的に示す図である。
【0038】
ステータコア11のヨーク21は、周方向に複数に破断分割されている。このようにヨーク21を周方向に複数に破断分割することにより、複数のヨーク片21aが形成される。ヨーク片21aは、ヨーク21を分割することにより得られる分割部21cと、ティース22とを有する。ヨーク21は、各ヨーク片21aがティース22を1つずつ含むように破断分割されている。
【0039】
このようにステータコア11を分割することにより、ティース22に対してステータコイル12を巻く際に、隣りのティース22の影響を受けることがない。よって、ヨーク片21aのティース22にステータコイル12を容易に巻くことができるとともに、ティース22に巻かれるステータコイル12のターン数を多くすることができる。
【0040】
ヨーク片21aの分割部21cは、円筒状のヨーク21を周方向に破断分割することにより得られる。そのため、分割部21cは、ステータ2の軸線方向から見て、円弧状に形成されている。分割部21cは、前記軸線方向から見て周方向の両端に、破断面21bを有する。すなわち、ヨーク片21aは、ヨーク21の周方向に破断面21bを有する。
【0041】
破断面21bは、ヨーク21を前記軸線方向から見て、該ヨーク21の径方向に延びるように該ヨーク21を破断分割することにより形成される。ティース22に巻かれたステータコイル12に通電することにより、ヨーク21には、ティース22からヨーク21の周方向に磁束が形成される(
図4参照)。よって、破断面21bは、
図4に示すように、ヨーク21を前記軸線方向から見て、ステータコイル12に通電して磁界を生じさせた場合にヨーク21に生じる磁束の方向(
図4中の破線矢印)に対して直交する方向に延びている。
【0042】
上述の構成のような破断面21bを形成することにより、ヨーク21を前記軸線方向から見て、破断面21bがヨーク21に生じる磁束の方向に対して斜めに交差する方向に延びる場合に比べて、破断面21bの面積が小さい。これにより、破断面が磁束の方向に対して斜めに交差する方向に延びている場合に比べて、破断面21bから微細な欠片が脱落する可能性が低くなる。よって、本実施形態の構成により、破断面21bと破断面21bとの間に欠片の脱落によって隙間が形成される可能性を低減できる。したがって、ヨーク21の磁気抵抗の増大をより確実に抑制することができる。
【0043】
また、破断面がヨークに生じる磁束の方向に対して斜めに交差する方向に延びている場合には、ヨーク片の破断部分において、ヨーク片の径方向の肉厚が、ヨークの周方向で異なる。これに対し、本実施形態の構成のように、破断面21bをヨーク21に生じる磁束の方向に対して直交する方向に延びるように形成することで、ヨーク片21aの周方向における前記肉厚を均等にすることができる。よって、ヨーク片21aの強度低下を抑制することができる。
【0044】
本実施形態では、ヨーク21を前記軸線方向から見て、破断面21bが磁束の方向に対して直交する方向に延びるとは、破断面21bが磁束の方向に対して直角に交わる場合に限らず、直角を含む所定の角度の範囲(例えば80度から100度の範囲)で交わる場合も含む。
【0045】
上述のとおり、ステータコア11は磁性材料の粒子を含む粉粒体からなる圧粉鉄心であるため、該ステータコア11を破断分割した場合、該ステータコア11は粒子と粒子との境界に沿って破断する。よって、ヨーク片21aの破断面21bは、多数の凹凸を有する。したがって、ヨーク21を破断分割してヨーク片21aを形成した後、元の形のヨーク21に戻すようにヨーク片21aの破断面21b同士を組み合わせた場合、破断面21bに形成された凹凸同士を噛み合わせることができる。これにより、ヨーク片21aの破断面21b同士の間に空間が形成されにくくなる。
【0046】
ここで、破断分割とは、ヨーク21に力を加えることにより、該ヨーク21を脆性破壊することを意味する。すなわち、破断分割とは、圧粉鉄心であるステータコア11のヨーク21を、圧粉鉄心を構成する粒子と粒子との境界に沿って破断するように脆性破壊することを意味する。そのため、ヨーク21を破断分割した際に形成される破断面21bには、多数の凹凸が形成される。これにより、破断面21bは、梨地状の表面を有する。なお、破断面21bとは、圧粉鉄心であるステータコア11のヨーク21において、粒子が凝集力を失って破壊される際に形成された面を意味する。
【0047】
従来の構成のように、ヨーク片を機械加工等によって形成する場合、ヨーク片同士は平面で接触するため、接触部分に隙間が生じやすい。そのため、ヨークが分割されている場合の該ヨークの磁気抵抗は、一体のヨークに比べて大きくなる。これに対し、本実施形態のように、圧粉鉄心であるステータコア11のヨーク21を破断分割して複数のヨーク片21aを得ることにより、それらのヨーク片21a同士を組み合わせた際に破断面21b同士の間に空間が形成されにくい。すなわち、隣り合うヨーク片21aにおいて、破断面21b同士を接触させることにより、ヨーク片21aにおける破断面21bの凹凸が隣りのヨーク片21aにおける破断面21bの凹凸に接触する。これにより、ヨーク21を分割した構成であっても、ヨーク21の磁気抵抗が増大するのを抑制できる。なお、破断面21b同士の接触は、一方の破断面21bに形成された凹凸が他方の破断面21bの凹凸に対して、凹凸の全部が接触する場合だけでなく、凹凸の一部が接触する場合も含む。
【0048】
しかも、ステータコア11は、上述のとおり、磁性材料の粒子を含む粉粒体からなる圧粉鉄心である。そのため、ヨーク21を破断分割した際に、該ヨーク21の一部が欠けた場合でも、欠片は粒子と粒子との境界に沿って割れる。よって、欠片の凹凸を、ヨーク片21aの欠けた位置の凹凸に噛み合わせることができるとともに、接着剤等を用いて欠片をヨーク片21aに容易に固定することができる。したがって、ヨーク片21aを容易に修復することができる。
【0049】
ステータコアが一体の場合、隣り合うティースのティース先端部同士の間隔が狭い。そのため、ティースに対してステータコイルを巻線する場合、ティース先端部同士の間には、巻線を行う装置のノズル等を配置するためのスペースがあまりない。よって、ステータコアが一体の場合には、ティースに対して巻線可能なステータコイルのターン数に制約がある。
【0050】
これに対し、本実施形態のステータコア11は、ヨーク片21aがティース22を1つずつ含むように破断分割されている。これにより、巻線装置を用いて各ティース22に対してステータコイル12を巻くことが可能になる。したがって、ティース22に対してステータコイル12を容易に巻くことができるとともに、ティース22に対して巻線可能なステータコイル12のターン数を増やすことができる。
【0051】
<実施形態の作用効果>
本実施形態では、モータ1は、ステータ2を備えている。ステータ2は、軸線方向に延びる円筒状のヨーク21と、該ヨーク21の内周面から該ヨーク21の径方向内方に向かって延びる複数のティース22とを含むステータコア11と、ティース22に巻かれたステータコイル12とを有する。ステータコア11は、磁性材料の粒子を含む粉粒体を用いた圧粉鉄心であり、ヨーク21を周方向に複数に分割することによって形成された破断面21bを有する複数のヨーク片21aを備える。複数のヨーク片21aは、それぞれ、ティース22を含む。
【0052】
本実施形態では、上述のように、ステータコア11のヨーク21は、各ヨーク片21aがティース22を含むように、周方向に複数に破断分割されている。これにより、ヨーク片21a毎に、ティース22に対してステータコイル12を巻くことが可能になる。よって、ステータコア11が一体の構成に比べて、ティース22に巻かれるステータコイル12のターン数を増やすことが可能になる。これにより、モータ1の出力トルクを向上することができる。
【0053】
また、本実施形態では、ステータコア11は、磁性材料の粒子を含む粉粒体を用いた圧粉鉄心である。ステータコア11のヨーク21は、周方向に複数に破断分割されているため、破断面21bに凹凸が形成される。これにより、本実施形態の構成のように、ヨーク片21aの破断面21b同士を組み合わせることによってステータコア11を構成する場合には、隣り合うヨーク片21aの破断面21bにおける接触点の数が、複数の部品の平面同士を組み合わせることによってステータコアを構成する場合に比べて多い。よって、本実施形態の構成により、ヨーク21の磁気抵抗の増大を抑制することができる。
【0054】
したがって、本実施形態の構成により、ステータコイル12のターン数の増加と、ステータコア11の磁気抵抗の増大の抑制との両立を図れる。
【0055】
本実施形態では、破断面21bは、ヨーク21を前記軸線方向から見て、ステータコイル12に電流が流れた際にヨーク21に生じる磁束の方向に対して直交する方向に延びている。
【0056】
ヨーク21を複数のヨーク片21aに破断分割した場合、破断面21bから微細な欠片が脱落する可能性がある。欠片が脱落した部分は、ヨーク片21aを破断面21b同士で組み合わせた際に隙間を生じるため、その部分で磁気抵抗が大きくなる。
【0057】
これに対し、上述の構成のような破断面21bを形成することにより、ステータ2の軸線方向から見て、破断面がヨークに生じる磁束の方向に対して斜めに交差する方向に延びている場合に比べて、破断面21bの面積が小さい。これにより、破断面が磁束の方向に対して斜めに交差する方向に延びている場合に比べて、破断面21bから微細な欠片が脱落する可能性が低くなる。よって、本実施形態の構成により、破断面21bと破断面21bとの間に隙間が形成される可能性を低減できる。したがって、ヨーク21の磁気抵抗の増大をより確実に抑制することができる。
【0058】
また、破断面がヨークに生じる磁束の方向に対して斜めに交差する方向に延びている場合には、ヨーク片の破断部分において、ヨーク片の径方向の肉厚が、ヨークの周方向で異なる。このようなヨーク片の肉厚の差は、該ヨーク片の強度に影響する。これに対し、本実施形態の構成のように、破断面21bをヨーク21に生じる磁束の方向に対して直交する方向に延びるように形成することで、ヨーク片21aの周方向における前記肉厚を均等にすることができる。よって、ヨーク片21aの強度低下を抑制することができる。
【0059】
本実施形態では、ティース22は、ステータコイル12が巻かれるティース本体部22aと、該ティース本体部22aよりもティース22の先端側に位置するティース先端部22bとを有する。ティース本体部22aは、ステータ2の軸線方向において、ティース本体部22aの端部が、ヨーク21の端部よりもステータコア11の内方に位置する。
【0060】
ステータ2の軸線方向において、ティース22のティース本体部22aの端部は、ヨーク21の端部よりもステータコア11の内方に位置する。そのため、ステータコイル12をティース本体部22aに巻いた場合、ステータコイル12をティース22に対してコンパクトに巻線することができる。したがって、モータ1を大型化することなく、ステータコイル12のターン数を増加させることができる。
【0061】
本実施形態では、ティース22は、ステータコイル12が巻かれるティース本体部22aと、ティース本体部22aよりもティース22の先端側に位置するティース先端部22bとを有する。ティース本体部22aは、ヨーク21の径方向に直交する断面において、少なくとも一部に、ティース本体部22aの外方に向かって凸状のR部22cを有する。
【0062】
ティース22のティース本体部22aにR部22cを設けることにより、該ティース本体部22aにステータコイル12を巻いた場合に、該ステータコイル12がティース本体部22aによって損傷を受けるのを防止できる。R部22cは、ティース本体部22aをヨーク2の径方向に直交する断面で見て、ティース本体部22aのすべての角部分に設けることがより好ましい。これにより、ティース本体部22aにステータコイル12を巻いた場合に、該ステータコイル12がティース本体部22aによって損傷を受けるのをより確実に防止できる。
【0063】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0064】
前記実施形態では、ステータコア11のヨーク21は、周方向に複数に破断分割されている。しかしながら、ステータコア11をステータ2の軸線方向に複数に分割してもよい。
【0065】
例えば
図5に示すように、モータ100のステータコア101を、ステータの軸線方向に2つに分割してもよい。具体的には、ステータコア101は、前記軸線方向に同心状に積層される2つの円環状部品102,103(筒部)を有する。これらの円環状部品102,103は、例えば、ステータコア101のヨーク111及びティース112がそれぞれ前記軸線方向に2つに分割された部分を含む。すなわち、2つの円環状部品102,103を前記軸線方向に積層することにより、ステータコア101が構成される。なお、特に図示しないが、2つの円環状部品102,103の間には、樹脂材料からなる絶縁部材が配置される。
【0066】
これらの円環状部品102,103を、それぞれ、前記実施形態のように、周方向に複数のヨーク片102a,103aに破断分割する。この場合も、前記実施形態と同様、ティース112を構成する部分を含むように、円環状部品102,103をそれぞれ破断分割する。
【0067】
以上のように、ヨーク111をステータの軸線方向に同心状に積層された複数の円環状部品102,103によって構成することにより、一体で構成されたヨークにおける前記軸線方向の長さに比べて、円環状部品102,103においてヨーク111を構成する部分の前記軸線方向の長さは短い。よって、円環状部品102,103を周方向に容易に破断分割することができる。
【0068】
しかも、上述の構成では、ヨーク111が前記軸線方向に積層された複数の円環状部品102,103によって構成されている。よって、前記軸線方向において、2つの円環状部品102,103のそれぞれに渦電流が生じる。そのため、上述の構成は、ステータコアが前記軸線方向に一体の構成に比べて、ステータコア101の前記軸線方向に生じる渦電流を低減できる。これにより、ステータコア101の温度上昇を抑えることができる。したがって、モータ100の出力トルクを高めることができる。
【0069】
なお、上述の構成では、ステータコア101は、2つの円環状部品102,103を前記軸線方向に積層することによって構成されている。しかしながら、ステータコアは、3つ以上の円環状部品を前記軸線方向に積層することによって、構成されてもよい。
【0070】
前記実施形態では、ヨーク21を前記軸線方向から見て、ステータコイル12に通電して磁界を生じさせた場合にヨーク21に生じる磁束の方向に対して直交する方向に延びるように、ヨーク片21aに破断面21bが形成されている。しかしながら、磁束の方向に対して斜めに交差する方向に延びるように、ヨーク片に破断面21bが形成されていてもよい。
【0071】
前記実施形態では、モータ1は、円筒状のステータ2の内方に該ステータ2の軸線Pと回転中心が一致するように円筒状のロータ3が配置されたインナーロータ型のモータである。しかしながら、モータ1は、円筒状または円柱状のステータの外方に、該ステータの軸線と回転中心が一致するように円筒状のロータが配置されたアウターロータ型のモータであってもよい。なお、アウターロータ型のモータの場合、ステータコアのティースは、円筒状または円柱状のヨークの外周面から該ヨークの径方向外方に向かって延びている。
【0072】
前記実施形態では、モータ1は、ロータコア31の外周面上に界磁磁石32が配置されたSPM(Surface Permanent Magnet)のインナーロータタイプのモータである。しかしながら、モータ1は、ロータコア内に界磁磁石が配置されたIPM(Interior Permanent Magnet)のモータであってもよいし、アウターロータタイプのモータであってもよい。また、界磁磁石32及びティース22の数は、本実施形態の構成とは異なってもよい。
【0073】
前記実施形態では、ヨーク片21aは、ヨーク21を分割することにより得られる分割部21cと、ティース22とを有する。すなわち、ヨーク21は、各ヨーク片21aがティース22を1つずつ含むように破断分割されている。しかしながら、各ティース22が異なるヨーク片21aに含まれていれば、ヨーク21を周方向にどのように分割してもよい。例えば、ヨーク21の一部を、ティース22を含まないヨーク片21aに分割してもよい。すなわち、ティース22は、複数のヨーク片21aのうち少なくとも一部のヨーク片21aに、一つずつ設けられている。
【0074】
具体的には、ティース22を有するヨーク片21aと、ティース22を有しないヨーク片21aとが交互に位置するように、ヨーク21を破断分割してもよい。また、ティース22を有するヨーク片21aとティース22を有する別のヨーク片21aとの間に、ティース22を有しないヨーク片21aが複数、位置するように、ヨーク21を破断分割してもよい。
【0075】
また、上述の
図5に示すように、ステータコア101をステータの軸線方向に複数に分割する構成において、円環状部品102,103の少なくとも一方を、ティース112を有しないヨーク片が含まれるように破断分割してもよい。この場合、ティース112の少なくとも一部を含むヨーク片とティース112の少なくとも一部を含むヨーク片との間に、ティース112を有しないヨーク片が1つ以上、位置するように、円環状部品102,103を破断分割してもよい。
【0076】
なお、前記実施形態において、破断面21bは、圧粉鉄心であるステータコア11のヨーク21において、粒子が凝集力を失って破壊される際に各ヨーク片21aに形成された面を意味している。すなわち、破断面21は、ヨーク21が破断分割された後に、ヨーク片21aがヨーク21の周方向に有する面である。破断面21bは、ヨーク21を構成する複数のヨーク片21aのうち隣り合うヨーク片21aにおいて、対向する破断面21bの凹凸と接触する凹凸を有する面である。なお、凹凸の接触とは、面に形成された凹凸が全体で接触する場合だけでなく、凹凸の一部が接触している場合も含む。