(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板と、前記基板上に配列された励起光を出射する複数のLEDチップと、前記複数のLEDチップを覆うように設けられた少なくとも3種類の蛍光体を含む蛍光体層と、を有する白色LED光源と、
白色LED光源からの光が集光する面に開口絞りを有する照明光学系と、を備え、
前記複数のLEDチップは、前記開口絞りの開口内に投影されるように配列され、
φLEDを前記蛍光体層に内接する円の直径、MGを前記開口絞りが位置する第1面に投影される前記白色LED光源の像の倍率とし、φASを最も開放した状態における前記開口絞りの開口径とし、Rを前記複数のLEDチップを含む最小の円の直径とし、φ2を最も絞った状態における前記開口絞りの開口径とし、Pを前記複数のLEDチップの中心間の最小間隔とするとき、以下の条件式
0.7 ≦ φLED×MG/φAS ≦ 1.5 (1)
0.3 ≦ R/φLED (2)
0.25≦ φ2/(P×MG) ≦ 2 (3)
を満たし、
前記複数のLEDチップのうちの少なくとも1つのLEDチップの中心は、最も絞った状態における前記開口絞りの開口内に投影される
ことを特徴とする顕微鏡用照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、顕微鏡1の構成を例示した図である。
図2は、白色LED光源10の断面を模式的に示した図である。
図3は、白色LED光源10内におけるLEDチップ12の配列を例示した図である。
【0012】
図1に示す顕微鏡1は、正立顕微鏡であり、白色LED光源10を有する顕微鏡用照明装置2を備える。顕微鏡1の利用者は、ステージ90に配置された標本Sを、接眼レンズ130を介して目視で観察すること、又は、撮像素子140で撮像することができる。
【0013】
顕微鏡用照明装置2は、ケーラー照明で標本Sを照明する照明装置である。顕微鏡用照明装置2は、白色LED光源10と、白色LED光源10からの光を標本Sに照射する照明光学系を備える。
【0014】
白色LED光源10は、いわゆるCOB(Chips on Board)タイプの白色LED光源であり、
図2に示すように、基板11と、基板11上に配列された励起光を出射する複数のLEDチップ12と、複数のLEDチップ12を覆うように設けられた蛍光体層13を有する。蛍光体層13は、3種類の蛍光体(蛍光体13a、蛍光体13b、蛍光体13c)を含んでいる。以降では、蛍光体層13が3種類の蛍光体を含む例で説明するが、蛍光体層13に含まれる蛍光体は3種類に限らない。蛍光体層13は、少なくとも3種類の蛍光体を含んでいれば良い。
【0015】
複数のLEDチップ12は、照明光学系が有する開口絞り70が開放状態にあるときに、開口絞り70の開口内に投影されるように配列されている。具体的には、例えば、
図3に示すように、基板11上に、6行6列に配列されている。なお、開放状態とは、開口絞り70が最も大きく開かれた状態であり、開口絞り70が有する開口の径(以降、開口径)が最大となっている状態である。
【0016】
複数のLEDチップ12の各々は、近紫外域の励起光を出射するLEDチップである。蛍光体層13に含まれる3種類の蛍光体の各々は、可視域の蛍光を発生する蛍光体であり、LEDチップ12から出射した近紫外域の励起光により、又は、近紫外域の励起光により励起された他の蛍光体で発生した可視光により、励起される。3種類の蛍光体は、互いに異なる可視域の波長の蛍光を発する。特に、RGBに対応する波長の蛍光を発することが望ましい。
【0017】
白色LED光源10は、3種類の蛍光と励起光が混ざった白色光を出射する。白色LED光源10が出射する白色光は、
図4に示すように、混色により、ハロゲン光源からの光に昼光色(白色)フィルタを組合せたときの分光スペクトル分布と類似した分光スペクトル分布を有する。
【0018】
図4は、白色LED光源10が出射する光の分光スペクトル特性L1とハロゲン光源が出射する光に昼光色(白色)フィルタを組合せたときの分光スペクトル特性L2とを示した図である。分光スペクトル特性L1には、励起光の波長、B(青)に対応する蛍光の波長、G(緑)に対応する蛍光の波長、R(赤)に対応する蛍光の波長を示す、4つのピーク波長(400nm付近、460nm付近、530nm付近、630nm付近)が含まれている。
図4に示すように、白色LED光源10が出射する光の分光スペクトル特性L1は、ハロゲン光源からの光に昼光色(白色)フィルタを組合せたときの分光スペクトル特性L2に類似している。
【0019】
図5は、既存の白色LED光源が出射する光の分光スペクトル特性L3とハロゲン光源からの光に昼光色(白色)フィルタを組合せたときの分光スペクトル特性L2とを示した図である。分光スペクトル特性L3は、YAG蛍光体を含む蛍光体層と青色LEDチップとを有する白色LED光源が出射する光の分光スペクトル特性である。既存の白色LED光源が出射する光は、
図5に示すように、ハロゲン光源が出射する光に比べて青色が強く赤色が弱いという特徴があるため、演色性が大きく異なっている。
【0020】
図4と
図5を比較することで、白色LED光源10が出射する光の分光スペクトル特性L1とハロゲン光源と昼光色(白色)フィルタの組合せが出射する光の分光スペクトル特性L2の高い類似性を確認することができる。なお、以降では、“光源(又は光源とフィルタの組み合わせ)が出射する光の分光スペクトル特性”を単に“光源の分光スペクトル特性”と記す。
【0021】
顕微鏡用照明装置2の照明光学系は、コレクタレンズ20と、拡散板30と、視野絞り40と、ミラー50と、リレーレンズ60と、開口絞り70と、コンデンサレンズ80を備える。視野絞り40と開口絞り70はそれぞれ開口径が可変する可変絞りである。
【0022】
コレクタレンズ20は、白色LED光源10から出射した光を集光し、拡散板30に導く。拡散板30は、特に限定されないが、例えば、フロストタイプの拡散板である。拡散板30は、白色LED光源10の配光特性に起因する照明ムラを抑制できればよく、任意のタイプの拡散板が採用し得る。
【0023】
視野絞り40は、照明範囲(照野)を調整するための絞りであり、標本面(即ち、コンデンサレンズ80の後側焦点面)と光学的に共役な位置に配置される。視野絞り40の開口径を変更することで、照明範囲(照野)を変更することができる。なお、コンデンサレンズ80の後側焦点面とは、コンデンサレンズ80の焦点面のうち、コンデンサレンズ80よりも標本Sの近くに位置する焦点面のことである。
【0024】
視野絞り40を通過した光は、ミラー50で反射しリレーレンズ60に入射する。リレーレンズ60は、コレクタレンズ20によりコリメートされて視野絞り40を通過した光を開口絞り70が配置された面上に集光し、白色LED光源10の像(光源像)を形成する。コンデンサレンズ80は、光源像からの光を標本Sに照射する。
【0025】
開口絞り70は、標本Sに照射する照明光の開口数を調整するための絞りであり、白色LED光源10と光学的に共役な位置であるコンデンサレンズ80の前側焦点面(以降、開口絞りが位置する面を第1面と記す)上に配置される。開口絞り70の開口径を変更することで、標本Sに照射する照明光の開口数を変更することができる。なお、コンデンサレンズ80の前側焦点面とは、コンデンサレンズ80の焦点面のうち、コンデンサレンズ80よりも白色LED光源10の近くに位置する焦点面のことである。
【0026】
顕微鏡1は、顕微鏡用照明装置2に加えて、対物レンズ(対物レンズ100、対物レンズ101)と、結像レンズ110と、プリズム120と、接眼レンズ130と、撮像素子140を備える。
【0027】
対物レンズ100及び対物レンズ101は、図示しないレボルバーにより切り替えて使用される無限遠補正型の対物レンズであり、標本Sからの光を集光し、無限遠光束を出射する。結像レンズ110は、対物レンズから無限遠光束を集光し、標本Sの像を形成する。
【0028】
プリズム120は、結像レンズ110からの光を、接眼レンズ130に至る観察光路、又は、撮像素子140に至る検出光路の少なくとも一方に導く。プリズム120は、例えば、入射光を所定の光量比で分割するスプリッタであってもよい。また、プリズム120は、プリズム120の全部又は一部を対物レンズの光軸に対して挿脱することで入射光が進行する光路を切り替える光路切換え機構を構成していてもよい。
【0029】
接眼レンズ130は、結像レンズ110が形成した標本Sの像を、顕微鏡1の利用者の瞳に投影する。利用者は、接眼レンズ130を覗くことで、標本Sを目視観察することができる。
【0030】
撮像素子140は、結像レンズ110により標本Sの像が形成される像面に配置されている。撮像素子140は、例えば、撮像装置に含まれるCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどである。撮像素子140から出力される信号に基づいて、図示しない画像処理装置で標本Sの画像データが生成される。
【0031】
以上のように構成された顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1では、白色LED光源10から出射した白色光がハロゲン光源からの光に昼光色(白色)フィルタを組合せたときの分光スペクトル分布に類似した分光スペクトル分布を有する。このため、ハロゲン光源からの光に昼光色(白色)フィルタを組合せたときのスペクトルと同等の演色性を実現することができる。また、白色LED光源10は発光効率に優れたCOB方式のLED光源であり、白色LED光源10に含まれる複数のLEDチップ12は開口絞り70の開口内に投影される。このため、標本Sを明るく照明することができる。また、標本Sがケーラー照明で照明されるため、高い照明の均一性を実現することができる。さらに、拡散板30が設けられているため、白色LED光源10の配光特性に起因した照明ムラも抑制される。従って、顕微鏡用照明装置2、及び、顕微鏡1によれば、白色LED光源10を用いて高い照明性能とハロゲン光源と同等の演色性を実現することができる。
【0032】
次に、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1が満たすことが望ましい条件について説明する。顕微鏡用照明装置2は、下記の条件式(1)及び(2)を満たすことが望ましい。
0.7 ≦ φ
LED×MG/φ
AS ≦ 1.5 (1)
0.3 ≦ R/φ
LED (2)
【0033】
但し、φ
LEDは、白色LED光源10を照明光学系の光軸方向から見たときの蛍光体層13に内接する円C1(
図3参照)の直径である。MGは、開口絞り70が位置する第1面に投影される白色LED光源10の像I
10の倍率(以降、単に投影倍率ともいう)である。φ
ASは開放状態(つまり、最も開放した状態)における開口絞り70の開口径である。Rは、複数のLEDチップ12を含む最小の円C2(
図3参照)の直径である。ここで、“複数のLEDチップ12”とは、開口絞り70が開放状態にあるときに開口絞り70の開口内に投影される全てのLEDチップ12のことを意味し、“複数のLEDチップ12を含む”とは、開口内に投影される各LEDチップ12の中心位置を全て含むことを意味する。
【0034】
条件式(1)は、第1面に形成される白色LED光源10の像I
10と開口絞り70の開口71の最大径との関係を示している。
図6及び
図7は、それぞれ開放状態における開口絞り70上に投影された光源像I
10を例示した図である。
図6は、φ
LED×MG/φ
ASが1未満の例を示し、
図7は、φ
LED×MG/φ
ASが1を上回っている例を示している。なお、
図6及び
図7に示す像I
12は第1面に投影されたLEDチップ12の像を示している。
【0035】
φ
LED×MG/φ
ASが上限値を上回ると、白色LED光源10の像I
10が開口71に対して大きくなりすぎる。このため、照明効率が悪化し、標本Sを照明する光量が低下する。また、φ
LED×MG/φ
ASが下限値を下回ると、白色LED光源10の像I
10が開口71に対して小さくなりすぎる。このため、コンデンサレンズ80の性能が十分に発揮することが難しく、コンデンサレンズ80が実現可能な最大開口数より小さな開口数の照明に制限される。
【0036】
条件式(1)を満たすことで、白色LED光源10の発光面が開口絞り70の開口71に対して適切な比率で第1面に投影され、その結果、コンデンサレンズ80の性能が十分に発揮される。このため、コンデンサレンズ80から標本Sに向けて高い開口数を有する照明光を効率良く照射することが可能であり、標本Sを明るく照明することができる。
【0037】
条件式(2)は、白色LED光源10に占める複数のLEDチップ12が配置される領域の割合を示している。白色LED光源10では、蛍光体層13の表面全体から光が出射するが、LEDチップ12が存在する領域に対応する表面部分では、励起光のスペクトル成分が強く輝度も高くなる。反対に、LEDチップ12が存在しない領域に対応する表面部分では、励起光のスペクトル成分が弱く輝度も低くなる。このため、発光面(つまり、蛍光体層13の表面全体)における輝度及びスペクトル成分の均一性はLEDチップ12の配置に依存する。
【0038】
R/φ
LEDが下限値を下回ると、複数のLEDチップ12が、一部の領域、例えば、白色LED光源10の中心付近に集中しすぎてしまう。このため、発光面の中心付近の狭い範囲で輝度が高くその周辺で輝度が低い、不均一な輝度分布が形成されてしまう。このような輝度分布は、実質的な光源像の大きさを低下させることになる。このため、投影倍率を低下させた場合と同様に作用することになり、大きな白色LED光源10を用いた場合であっても、その白色LED光源10の発光面の大きさを十分に活用することができない。つまり、コンデンサレンズ80が実現可能な最大開口数より小さな開口数の照明に制限されてしまう。
【0039】
条件式(2)を満たすことで、発光面において、照明に適した均一性を有する輝度分布及びスペクトル成分分布を実現することができる。特に、条件式(1)と条件式(2)を同時に満たすことで、白色LED光源10の発光面における均一性の高い輝度分布を用いて、標本Sを明るく照明することができる。
【0040】
顕微鏡用照明装置2は、さらに、下記の条件式(3)を満たし、且つ、
図8に示すように、複数のLEDチップ12のうちの少なくとも1つのLEDチップ12の中心が最も絞った状態における開口絞り70の開口71内に投影されることが望ましい。なお、
図8は、開口絞り70を最も絞った状態における開口絞り70上に投影された光源像I
10を例示した図である。
0.25 ≦ φ
2/(P×MG) ≦ 2 (3)
【0041】
但し、φ
2は最も絞った状態における開口絞り70の開口径である。Pは複数のLEDチップ12の中心間の最小間隔である。
【0042】
条件式(3)は、第1面に形成される複数のLEDチップ12の像I
12の中心間の間隔と開口絞り70の開口71の最小径との関係を示している。条件式(3)を満たすことで、開口絞り70を最も絞った状態における照明光量の過度な低下を防止しつつ、顕微鏡用照明装置2の照明性能を確保することができる。
【0043】
φ
2/(P×MG)が上限値を上回ると、投影倍率が低くなりすぎるため、白色LED光源10の像I
10が小さくなりすぎる。このため、開口絞り70を開放状態にした場合であっても、コンデンサレンズ80が実現可能な最大開口数より小さな開口数の照明に制限されてしまう。投影倍率が低すぎないにも関わらずφ
2/(P×MG)が上限値を上回る場合には、複数のLEDチップ12の中心間の最小間隔が小さくなりすぎる。この場合、LEDチップ12の密集により白色LED光源10の放熱性に支障をきたす虞があるため、白色LED光源10の発光効率が低下し、ひいては、顕微鏡用照明装置2の照明効率が低下してしまう。
【0044】
また、φ
2/(P×MG)が下限値を下回ると、複数のLEDチップ12の中心間の最小間隔が大きくなりすぎる。その結果、LEDチップ12上の表面部分とLEDチップ12間の表面部分での輝度及び配光特性にムラができてしまう。このため、発光面における輝度及び配光特性の均一性が損なわれてしまうため、開放状態における照明の均一性が低下してしまう。さらに、複数のLEDチップ12の間の間隔が大きいと、開口絞り70を最も絞った状態では、開口71内に投影されるLEDチップ12の数が少なくなるため、照明光量が不足してしまう。
【0045】
上述した条件式(1)から(3)を満たすことで、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1は、開口絞り70の状態によらず、白色LED光源10を用いて高い照明性能とハロゲン光源と同等の演色性を実現することができる。
【0046】
顕微鏡用照明装置2は、さらに、下記の条件式(4)から(6)を満たすことが望ましい。
0.25 ≦ (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2) ≦ 1 (4)
0.1 ≦ S0/(π×(R/2)
2) (5)
0.03 ≦ (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2) ≦ 0.15 (6)
【0047】
但し、S1は複数のLEDチップ12のうちの1つのLEDチップの面積である。S0は、複数のLEDチップ12の面積の総和である。
【0048】
条件式(4)は、第1面に投影されたLEDチップ12の像I
12の面積と開口絞り70を最も絞った状態での開口面積の関係を示している。条件式(4)を満たすことで、開口絞り70を最も絞った状態で、照明効率が高く明るい照明を実現できる。
【0049】
(S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)が上限値を上回ると、像I
12の倍率(即ち、投影倍率)が高くなりすぎるため、開口絞り70の開口71の最小径に対して像I
12が大きくなりすぎてしまう。このため、開口絞り70を最も絞った状態における照明効率が低下してしまう。また、(S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)が下限値を下回ると、像I
12の倍率が低くなりすぎるため、開口絞り70の開口71の最小径に対して像I
12が小さくなりすぎてしまう。このため、開口絞り70の開口径内で大きな輝度ムラが生じてしまい、その結果、開口絞り70を絞った際の標本に照射される光の角度成分が光軸に対して等方的に分布しなくなる。このため、標本の見え方が変わってしまう。
【0050】
条件式(5)は、複数のLEDチップ12の面積の総和と複数のLEDチップ12を含む最小の円の面積の関係を示している。条件式(5)を満たすことで、発光面内の輝度分布の均一性が向上することで照明における開口数をより均質化することができる。このため、蛍光と励起光からなる白色光で標本Sを効率良く明るく照明することができる。
【0051】
S0/(π×(R/2)
2)が下限値を下回ると、複数のLEDチップ12を含む最小の円の面積に占めるLEDチップ12の像I
12の総面積が小さすぎる。このため、たとえ照明光が十分な開口数を有する場合であっても、発光面内の輝度分布が不均一となり照明における開口数を均質化することができなくなり、かつ、照明光量が不足してしまう。
【0052】
条件式(6)は、第1面に投影された複数のLEDチップ12の像I
12の総面積と開放状態での開口絞り70の開口面積の関係を示している。条件式(6)を満たすことで、開口絞り70の開放状態で、照明効率が高く明るい照明を実現できる。
【0053】
(S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)が上限値を上回ると、像I
12の倍率が高くなりすぎる。このため、開口71内に複数のLEDチップ12の像I
12全体を投影することが難しくなり、照明効率が低下してしまう。また、(S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)が下限値を下回ると、第1面における輝度分布の均一性が低下し、標本面での照明の均一性も低下する。また、像I
12の倍率が小さすぎることがないにも関わらず下限値を下回る場合には、複数のLEDチップ12の総面積が小さすぎるため、照明光量が不足してしまう。
【0054】
以上では、複数のLEDチップ12が基板11上に6行6列に配置された例を示したが、複数のLEDチップ12は、十分な光量を確保するため、M行N列(M、Nはそれぞれ4以上の整数)に配列されてもよい。また、複数のLEDチップ12は必ずしも矩形状に配列されていなくてもよい。さらに、複数のLEDチップ12は、照明光学系の光軸に対して対称に配置されていることが望ましい。従って、複数のLEDチップ12は、例えば、
図9に示すように、照明光学系の光軸に対して同心円状に配列されてもよい。
以降、実施例について具体的に説明する。
【0055】
[実施例1]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源160を備える点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0056】
図10は、白色LED光源160内におけるLEDチップ161の配列を例示した図である。白色LED光源160は、COB(Chips on Board)タイプの白色LED光源である。基板と複数のLEDチップ161と蛍光体層162を有する白色LED光源160の基本的な構成は、白色LED光源10の構成と同様である。また、複数のLEDチップ161が照明光学系の光軸を中心として基板上に6行6列で配列されている点も、白色LED光源10と同様である。白色LED光源160は、少なくとも3種類の蛍光体を含むことで、ハロゲン光源と同等の演色性を有している。
【0057】
白色LED光源160の各種データは以下のとおりである。ここで、WとHはLEDチップ161の縦横の長さである。QはLEDチップ161の数である。
P=1mm, φ
LED=9mm, R=7.07mm, H=0.5mm, W=0.5mm, S1=0.25mm
2, Q=36, S0=9 mm
2
【0058】
また、その他のデータは以下のとおりである。ここで、FLはコンデンサレンズ80の焦点距離、NAはコンデンサレンズ80の最大開口数、WDはコンデンサレンズ80の作動距離である。
MG=3.6, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0059】
本実施例では、下記のとおり条件式(1)から条件式(6)の全てを満たしている。ただし、開口絞りの最小径内にLEDチップ161の中心が投影されない。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=1.200
(2) R/φ
LED=0.786
(3) φ
2/(P×MG)=0.417
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)=0.509
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.229
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.057
【0060】
[実施例2]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源170を備える点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0061】
図11は、白色LED光源170内におけるLEDチップ161の配列を例示した図である。白色LED光源170は、LEDチップが照明光学系の光軸を中心として基板上に5行5列で配列されている点を除き、白色LED光源160と同様である。
【0062】
白色LED光源170の各種データは以下のとおりである。
P=1mm, φ
LED=9mm, R=5.66mm, H=0.5mm, W=0.5mm, S1=0.25mm
2, Q=25, S0=6.25 mm
2
【0063】
また、その他のデータは以下のとおりである。
MG=3.6, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0064】
本実施例では、下記のとおり条件式(1)から条件式(6)の全てを満たしている。この例では、
図11に示すように、開口絞りの最小径内にはLEDチップ161の中心が投影される。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=1.200
(2) R/φ
LED=0.628
(3) φ
2/(P×MG)=0.417
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)=0.509
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.249
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.039
【0065】
[実施例3]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源180を備える点、照明光学系の投影倍率が異なる点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0066】
図12は、白色LED光源180内におけるLEDチップ181の配列を例示した図である。白色LED光源180は、LEDチップが照明光学系の光軸を中心として基板上に4行4列で配列されている点、LEDチップ間の間隔が異なる点、LEDチップのサイズが異なる点、光源(蛍光体層182)のサイズが異なる点を除き、白色LED光源160と同様である。
【0067】
白色LED光源180の各種データは以下のとおりである。
P=0.5mm, φ
LED=7mm, R=2.12mm, H=0.4mm, W=0.3mm, S1=0.12mm
2, Q=16, S0=1.92 mm
2
【0068】
また、その他のデータは以下のとおりである。
MG=4, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0069】
本実施例では、下記のとおり、条件式(6)を除く、条件式(1)から条件式(5)を満たしている。ただし、開口絞りの最小径内にLEDチップ161の中心が投影されない。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=1.037
(2) R/φ
LED=0.303
(3) φ
2/(P×MG)=0.750
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)=0.272
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.543
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.013
【0070】
[実施例4]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源190を備える点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0071】
図13は、白色LED光源190内におけるLEDチップ161の配列を例示した図である。白色LED光源190は、LEDチップが照明光学系の光軸を中心として基板上に7行7列で配列されている点、LEDチップ間の間隔が異なる点、光源(蛍光体層192)のサイズが異なる点を除き、白色LED光源160と同様である。
【0072】
白色LED光源190の各種データは以下のとおりである。
P=0.7mm, φ
LED=10mm, R=5.94mm, H=0.5mm, W=0.5mm, S1=0.25mm
2, Q=49, S0=12.25 mm
2
【0073】
また、その他のデータは以下のとおりである。
MG=3.6, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0074】
本実施例では、下記のとおり条件式(1)から条件式(6)を全て満たしている。また、開口絞りの最小径内にはLEDチップ161の中心が投影される。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=1.333
(2) R/φ
LED=0.594
(3) φ
2/(P×MG)=0.595
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)=0.509
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.442
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.077
【0075】
[実施例5]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源200を備える点、照明光学系の投影倍率が異なる点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0076】
図14は、白色LED光源200内におけるLEDチップ161の配列を例示した図である。白色LED光源200は、LEDチップが照明光学系の光軸を中心として基板上に10行10列で配列されている点、LEDチップ間の間隔が異なる点、光源(蛍光体層202)のサイズが異なる点を除き、白色LED光源160と同様である。
【0077】
白色LED光源200の各種データは以下のとおりである。
P=0.7mm, φ
LED=11mm, R=8.91mm, H=0.5mm, W=0.5mm, S1=0.25mm
2, Q=100, S0=25mm
2
【0078】
また、その他のデータは以下のとおりである。
MG=3, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0079】
本実施例では、下記のとおり条件式(1)から条件式(6)を全て満たしている。ただし、開口絞りの最小径内にLEDチップ161の中心は投影されない。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=1.222
(2) R/φ
LED=0.810
(3) φ
2/(P×MG)=0.714
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)=0.424
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.401
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.131
【0080】
[実施例6]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源210を備える点、照明光学系の投影倍率が異なる点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0081】
図15は、白色LED光源210内におけるLEDチップ211の配列を例示した図である。白色LED光源210は、LEDチップが照明光学系の光軸を中心として基板上に14行14列で配列されている点、LEDチップ間の間隔が異なる点、LEDチップのサイズが異なる点、光源(蛍光体層212)のサイズが異なる点を除き、白色LED光源160と同様である。
【0082】
白色LED光源210の各種データは以下のとおりである。
P=0.3mm, φ
LED=8mm, R=5.51mm, H=0.2mm, W=0.2mm, S1=0.04mm
2, Q=196, S0=7.84mm
2
【0083】
また、その他のデータは以下のとおりである。
MG=3, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0084】
本実施例では、下記のとおり、条件式(4)を除く、条件式(1)から(3)と条件式(5)及び(6)を満たしている。また、開口絞りの最小径内にはLEDチップ211の中心が投影される。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=0.889
(2) R/φ
LED=0.689
(3) φ
2/(P×MG)=1.667
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)= 0.068
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.328
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.041
【0085】
[実施例7]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源220を備える点、照明光学系の投影倍率が異なる点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0086】
図16は、白色LED光源220内におけるLEDチップ221の配列を例示した図である。白色LED光源220は、LEDチップが照明光学系の光軸を中心として基板上に7行7列で配列されている点、LEDチップのサイズが異なる点、光源(蛍光体層222)のサイズが異なる点を除き、白色LED光源160と同様である。
【0087】
白色LED光源220の各種データは以下のとおりである。
P=1mm, φ
LED=12mm, R=8.48mm, H=0.75mm, W=0.75mm, S1=0.5625mm
2, Q=49, S0=27.5625mm
2
【0088】
また、その他のデータは以下のとおりである。
MG=3, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0089】
本実施例では、下記のとおり条件式(1)から条件式(6)を全て満たしている。また、開口絞りの最小径内にはLEDチップ211の中心が投影される。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=1.333
(2) R/φ
LED=0.707
(3) φ
2/(P×MG)=0.500
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)=0.955
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.488
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.144
【0090】
[実施例8]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源230を備える点、照明光学系の投影倍率が異なる点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0091】
図17は、白色LED光源230内におけるLEDチップ161の配列を例示した図である。白色LED光源230は、LEDチップが照明光学系の光軸を中心として基板上にランダムに配列されている点、光源(蛍光体層222)のサイズが異なる点を除き、白色LED光源160と同様である。
【0092】
白色LED光源230の各種データは以下のとおりである。
P=1mm, φ
LED=12mm, R=10mm, H=0.5mm, W=0.5mm, S1=0.25mm
2, Q=57, S0=14.25mm
2
【0093】
また、その他のデータは以下のとおりである。
MG=3, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0094】
本実施例では、下記のとおり条件式(1)から条件式(6)を全て満たしている。また、開口絞りの最小径内にはLEDチップ211の中心が投影される。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=1.333
(2) R/φ
LED=0.833
(3) φ
2/(P×MG)=0.500
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)=0.424
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.181
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.075
【0095】
[実施例9]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源240を備える点、照明光学系の投影倍率が異なる点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0096】
図18は、白色LED光源240内におけるLEDチップ161の配列を例示した図である。白色LED光源240は、LEDチップが照明光学系の光軸を中心として基板上にランダムに配列されている点、光源(蛍光体層222)のサイズが異なる点を除き、白色LED光源160と同様である。
【0097】
白色LED光源240の各種データは以下のとおりである。
P=1mm, φ
LED=12mm, R=9mm, H=0.5mm, W=0.5mm, S1=0.25mm
2, Q=40, S0=10mm
2
【0098】
また、その他のデータは以下のとおりである。
MG=3, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0099】
本実施例では、下記のとおり条件式(1)から条件式(6)を全て満たしている。ただし、開口絞りの最小径内にLEDチップ161の中心は投影されない。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=1.333
(2) R/φ
LED=0.750
(3) φ
2/(P×MG)=0.500
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)=0.424
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.157
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.052
【0100】
[実施例10]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源250を備える点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0101】
図19は、白色LED光源250内におけるLEDチップ161の配列を例示した図である。白色LED光源250は、LEDチップが照明光学系の光軸を中心として基板上に同心円状に配列されている点、LEDチップ間の間隔が異なる点、光源(蛍光体層192)のサイズが異なる点を除き、白色LED光源160と同様である。
【0102】
白色LED光源250の各種データは以下のとおりである。
P=1.57mm, φ
LED=10mm, R=8mm, H=0.5mm, W=0.5mm, S1=0.25mm
2, Q=25, S0=6.25mm
2
【0103】
また、その他のデータは以下のとおりである。
MG=3.6, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0104】
本実施例では、下記のとおり、条件式(1)から条件式(6)を満たしている。また、開口絞りの最小径内にはLEDチップ161の中心が投影される。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=1.333
(2) R/φ
LED=0.800
(3) φ
2/(P×MG)=0.265
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)=0.509
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.124
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.039
【0105】
[実施例11]
本実施例に係る顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、白色LED光源10の代わりに白色LED光源260を備える点を除き、顕微鏡用照明装置2及び顕微鏡1と同様である。
【0106】
図20は、白色LED光源260内におけるLEDチップ161の配列を例示した図である。白色LED光源260は、LEDチップが照明光学系の光軸を中心として基板上に同心円状に配列されている点、LEDチップ間の間隔が異なる点、光源(蛍光体層192)のサイズが異なる点を除き、白色LED光源160と同様である。
【0107】
白色LED光源260の各種データは以下のとおりである。
P=1.18mm, φ
LED=10mm, R=8mm, H=0.5mm, W=0.5mm, S1=0.25mm
2, Q=41, S0=10.25mm
2
【0108】
また、その他のデータは以下のとおりである。
MG=3.6, φ
AS=27mm, φ
2=1.5mm, FL=15mm, NA=0.9, WD=1mm
【0109】
本実施例では、下記のとおり、条件式(1)から条件式(6)を満たしている。また、開口絞りの最小径内にはLEDチップ161の中心が投影される。
(1) φ
LED×MG/φ
AS=1.333
(2) R/φ
LED=0.800
(3) φ
2/(P×MG)=0.353
(4) (S1×MG)/(π×(φ
2/2)
2)=0.509
(5) S0/(π×(R/2)
2)=0.204
(6) (S0×MG)/(π×(φ
AS/2)
2)=0.064
【0110】
上述した実施形態及び実施例は、発明の理解を容易にするための具体例を示したものであり、本発明の実施形態及び実施例はこれらに限定されるものではない。顕微鏡用照明装置及び顕微鏡は、特許請求の範囲に記載された発明を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。