特許第6761331号(P6761331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6761331-複合材の超音波探傷装置及び方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761331
(24)【登録日】2020年9月8日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】複合材の超音波探傷装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/04 20060101AFI20200910BHJP
   G01N 29/48 20060101ALI20200910BHJP
   G01N 29/38 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   G01N29/04
   G01N29/48
   G01N29/38
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-237419(P2016-237419)
(22)【出願日】2016年12月7日
(65)【公開番号】特開2018-91803(P2018-91803A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 武宏
(72)【発明者】
【氏名】神岡 光浩
(72)【発明者】
【氏名】西尾 護
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大介
(72)【発明者】
【氏名】津村 洋祐
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−021541(JP,A)
【文献】 特開昭54−025986(JP,A)
【文献】 特開2014−202525(JP,A)
【文献】 特開2010−169558(JP,A)
【文献】 特開平02−134511(JP,A)
【文献】 特開2000−283966(JP,A)
【文献】 特開平01−054349(JP,A)
【文献】 特開2012−122807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CFRPからなる第1素材とGFRPからなる第2素材とが積層された複合材に対して前記第1素材側から超音波を照射することで、前記第1素材と前記第2素材との間の界面に欠陥が存在する場合に界面反射波が正負両方にピークを発生させる超音波探傷装置であって、
前記複合材に照射された超音波の反射波のRF信号において、素材反射波が発生し得る第1区間と界面反射波が発生し得る第2区間とを特定する区間特定部と、
前記第1区間において前記RF信号の値が正の第1閾値を上回ったか否かを判定する素材欠陥判定部と、
前記第2区間において前記RF信号の値が負の第2閾値を下回ったか否かを判定する界面欠陥判定部と、を備える、複合材の超音波探傷装置。
【請求項2】
前記第2閾値の絶対値は、前記第1閾値よりも大きい、請求項1に記載の複合材の超音波探傷装置。
【請求項3】
CFRPからなる第1素材とGFRPからなる第2素材とが積層された構造を含む複合材に対して前記第1素材側から超音波を照射し、前記第1素材と前記第2素材との間の界面に欠陥が存在する場合に界面反射波が正負両方にピークを発生させる工程と、
前記複合材に照射された超音波の反射波のRF信号を受信する工程と、
前記RF信号のうち素材反射波が発生し得る第1区間において、前記RF信号の値が正の第1閾値を上回ったか否かを判定する工程と、
前記RF信号のうち界面反射波が発生し得る第2区間において、前記RF信号の値が負の第2閾値を下回ったか否かを判定する工程と、を備える、複合材の超音波探傷方法。
【請求項4】
前記複合材は、CFRPからなる第3素材を含み、前記第2素材が前記第1素材及び前記第3素材で挟まれてなる三層構造を有する鉄道車両用板バネである、請求項3に記載の複合材の超音波探傷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物性の異なる複数の素材で構成された複合材の超音波探傷装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道車両や航空機等を構成する部品として繊維強化樹脂(CFRP,GFRP等)の複合材を利用したものが開発されている。そして、複合材内部の欠陥の有無を検査する非破壊検査として代表的なものに超音波探傷検査がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−270824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複合材の欠陥として、素材の内部に発生する素材欠陥と、異なる素材同士の境界面に発生する界面欠陥とがあるが、検査効率の観点からは、素材欠陥と界面欠陥との両方を一度の超音波探傷で検査できることが望まれる。しかし、複合材を伝播する超音波は、健全な素材では殆ど反射しないが、界面ではそれが健全であっても反射が生じる。そのため、素材欠陥の判定に好適な閾値と界面欠陥の判定に好適な閾値とは、互いに異なる。仮に、一度の超音波探傷で素材欠陥と界面欠陥との両方を検査しようとして、界面欠陥判定用の閾値を素材欠陥判定用の閾値と共通化させると、素材欠陥の検出漏れが生じる問題や、疑似指示を界面欠陥として誤判定する問題が生じる。
【0005】
そこで本発明は、一度の超音波探傷で素材欠陥と界面欠陥との両方を高精度に検査可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、複数の素材が積層されてなる複合材の界面に欠陥が存在する場合、超音波探傷時の反射波を(全波整流信号ではなく)RF信号としたときに、界面反射波の負のピークの絶対値が大きくなる現象に着目した。
【0007】
本発明の一態様に係る複合材の超音波探傷装置は、物性の異なる複数の素材で構成された複合材の超音波探傷装置であって、前記複合材に照射された超音波の反射波のRF信号において、素材反射波が発生し得る第1区間と界面反射波が発生し得る第2区間とを特定する区間特定部と、前記第1区間において前記RF信号の値が正の第1閾値を上回ったか否かを判定する素材欠陥判定部と、前記第2区間において前記RF信号の値が負の第2閾値を下回ったか否かを判定する界面欠陥判定部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る複合材の超音波探傷方法は、物性の異なる複数の素材で構成された複合材の超音波探傷方法であって、前記複合材に照射された超音波の反射波のRF信号を受信する工程と、前記RF信号のうち素材反射波が発生し得る区間において、前記RF信号の値が正の第1閾値を上回ったか否かを判定する工程と、前記RF信号のうち界面反射波が発生し得る区間において、前記RF信号の値が負の第2閾値を下回ったか否かを判定する工程と、を備える。
【0009】
前記構成及び方法によれば、素材反射波が発生し得る第1区間では、正の第1閾値を用いて素材欠陥の有無が判定され、かつ、界面反射波が発生し得る第2区間では、負の第2閾値を用いて界面欠陥の有無が判定されるので、RF信号における界面欠陥の判定対象領域が、RF信号における素材欠陥の判定対象領域と区別される。そのため、一度の超音波探傷であっても、素材欠陥判定用の第1閾値と界面欠陥判定用の第2閾値とを個別に設定して、素材欠陥の検出精度と界面欠陥の検出精度との両方を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一度の超音波探傷で素材欠陥と界面欠陥との両方を高精度に検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る超音波探傷装置のブロック図である。
図2】超音波探傷時の反射波を説明する図である。
図3図1に示す超音波探傷装置による欠陥判定を説明する図である。
図4】超音波探傷の対象となる複合材を用いた板バネを含む鉄道車両用台車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0013】
[超音波探傷装置]
図1は、実施形態に係る超音波探傷装置1のブロック図である。図1に示すように、超音波探傷装置1は、水浸法に則って、検査対象となる複合材100と共に超音波探触子2を水中に浸漬した状態で超音波探傷を行うものである。なお、本実施形態では、水浸法を例示するが、他の方式(例えば、直接接触法)により超音波探傷を行ってもよい。超音波探傷装置1は、超音波探触子2と、超音波送受信器3と、A/D変換器4と、演算制御装置5と、入力装置6と、出力装置7と、探触子走査機8と、走査ドライバ9と、水槽10とを備える。
【0014】
超音波探触子2は、第1素材101及び第2素材102が積層されてなる複合材100と共に水槽10に貯留された水に浸漬された状態で、複合材100に対して第1素材101側から超音波を照射するとともに、当該超音波の複合材100からの反射波を受信する。超音波送受信器3は、超音波探触子2に接続されている。超音波送受信器3は、パルス発振部31と、受信部32と、増幅部33とを有する。パルス発振部31は、超音波探触子2にパルス信号を送信する。受信部32は、超音波探触子2が受けた超音波の反射波の検出信号(反射波信号)を受信する。増幅部33は、この反射波信号を増幅してA/D変換器4へ送信する。A/D変換器4は、超音波送受信器3から受けたアナログの反射波信号をデジタル変換し、そのデジタル信号を演算制御装置5へ出力する。
【0015】
探触子走査機8は、一例として、複合材100の界面103(接合界面)と略平行な平面内で変位するキャリア81と、キャリア81を当該平面内で案内するスライダ82,83と、キャリア81をスライダ82,83上で移動させるモータ84とを有する。そして、モータ84の駆動は走査ドライバ9によって制御される。キャリア81には、超音波探触子2が固定されており、キャリア81の移動に伴って超音波探触子2が当該平面内で変位する。モータ84は、走査ドライバ9によって制御される。
【0016】
演算制御装置5は、発振制御部51と、走査制御部52と、反射波信号処理部53とを有する。演算制御装置5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。入力装置6は、ユーザが演算制御装置5に情報を入力するためもので、例えば、キーボード等である。出力装置7は、演算制御装置5から処理結果等を出力するためのもので、ディスプレイやプリンタ等である。演算制御装置5は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びI/Oインターフェース等を有し、不揮発性メモリに超音波探傷プログラムが保存されている。即ち、プロセッサが、揮発性メモリを用いて前記超音波探傷プログラムを実行し、必要に応じてI/Oインターフェースを介して信号を入出力することで、発振制御部51と走査制御部52と反射波信号処理部53とが実現される。
【0017】
発振制御部51は、入力装置6から入力された条件に基づいて、超音波の周波数及び焦点位置等の情報を含むパルス生成指令を超音波送受信器3へ送信する。走査制御部52は、入力装置6から入力された条件に基づいて、走査ドライバ9にキャリア81の目標座標信号を出力する。反射波信号処理部53は、区間特定部53aと、素材欠陥判定部53bと、界面欠陥判定部53cとを有する。
【0018】
区間特定部53aは、A/D変換器4から受信したデジタルの反射波信号をRF信号として受信し、RF信号において素材反射波が発生し得る第1区間と界面反射波が発生し得る第2区間とを特定する。素材欠陥判定部53bは、第1区間における閾値判定によって素材欠陥が存在しているか否かを判定する。界面欠陥判定部53cは、第2区間における閾値判定によって界面欠陥が存在しているか否かを判定する。
【0019】
[反射波]
図2は、超音波探傷時の反射波を説明する図である。図2に示すように、複合材100は、例えば、CFRPからなる第1素材101とGFRPからなる第2素材102とを積層してなり、第1素材101と第2素材102との間に界面103(接合界面)が形成されている。超音波探触子2は、複合材100の所望の探傷点(探傷単位領域)において、第1素材101側から複合材100に超音波を照射する。
【0020】
そうすると先ず、第1素材101の表面で超音波の一部が反射する。このときの反射波を「表面反射波」と称する。次いで、第1素材101に入射した超音波の一部は、第1素材101と第2素材102との間の界面103で反射する。このときの反射波を「界面反射波」と称する。表面反射波及び界面反射波は、複合材100が健全であるときにも発生するものである。
【0021】
第1素材101において探傷単位領域に素材欠陥D1(例えば、ボイド)があった場合、第1素材101を伝播する超音波の一部が素材欠陥D1で反射する。このときの反射波を「素材反射波」と称する。界面103において探傷単位領域に界面欠陥D2(例えば、剥離)があった場合、界面が健全である場合に比べ、界面反射波の振幅が増加する。界面反射波が超音波探触子2に到達する時期と、素材反射波が超音波探触子2に到達する時期とは異なるため、一度の超音波探傷で得られる反射波において、素材反射波と界面反射波とは時間により区別可能となる。このような超音波探傷は、所定のピッチで設置された探傷単位領域ごとに行なわれる。
【0022】
[欠陥判定]
図3は、図1に示す超音波探傷装置1による欠陥判定を説明する図である。図3に示された各グラフは、演算制御装置5の反射波信号処理部53で受信され、時間軸波形で示された反射波のRF信号である。即ち、図3の各グラフにおいて、横軸は時間、縦軸は反射波高さ(エコー高さ)である。時間軸波形の反射波では、時間経過とともに、表面反射波、素材反射波(素材欠陥ありの場合)、及び界面反射波の順にそれぞれの波形が出現する。
【0023】
図1及び3に示すように、区間特定部53aは、一度の超音波探傷で得られた反射波のRF信号のうち素材反射波が発生し得る時間範囲を第1区間(素材区間)として特定し、かつ、当該RF信号のうち界面反射波が発生し得る時間範囲を第2区間(界面区間)として特定する。即ち、第1区間と第2区間とは、互いに時間的に重ならない異なる区間である。第1区間及び第2区間は、第1素材101の厚さや超音波の伝播速度等に基づいた計算により特定可能である。
【0024】
素材欠陥判定部53bは、第1区間において反射波のRF信号の値が正の第1閾値を上回ったか否かを判定する。界面欠陥判定部53cは、第2区間において反射波のRF信号の値が負の第2閾値を下回ったか否かを判定する。即ち、正の第1閾値は、第1区間に設定されるが第2区間には設定されない。一例として、第2閾値の絶対値は、第1閾値よりも大きい。素材欠陥判定部53bは、第1区間において反射波のRF信号の値が第1閾値(正値)を上回ったと判定されると、素材欠陥が存在していると判定する。界面欠陥判定部53cは、第2区間において反射波のRF信号の値が第2閾値を下回ったと判定されると、界面欠陥が存在していると判定する。
【0025】
図3のケース1の場合、第1区間において反射波のRF信号の値が第1閾値(正値)を上回っておらず、素材欠陥判定部53bは、素材欠陥が存在せず第1素材101は健全であると判定する。また、第2区間において反射波のRF信号の値が第2閾値(負値)を下回っていないため、界面欠陥判定部53cは、界面欠陥が存在せず界面103は健全であると判定する。即ち、第2区間において反射波のRF信号の値が第1閾値と同じ値を上回っているが、第2区間では第1閾値(正値)が設定されないため、健全な界面反射波の正のピークを界面欠陥と誤判定することがない。
【0026】
図3のケース2の場合、第1区間において反射波のRF信号の値が第1閾値(正値)を上回っているため(図3のA箇所)、素材欠陥判定部53bは、素材欠陥が存在していると判定する。なお、第1素材101に素材欠陥が存在する場合は、界面103まで超音波が十分に届かないため、界面反射波は評価対象外となる。
【0027】
図3のケース3の場合、第1区間において反射波のRF信号の値が第1閾値(正値)を上回っておらず、素材欠陥判定部53bは、素材欠陥が存在せず第1素材101は健全であると判定する。また、第2区間において反射波のRF信号では、界面103が健全であるにもかかわらず何等かの理由によりピーク値が大きくなる疑似指示が生じている。このとき、第2閾値の絶対値は、界面反射波のRF信号の正のピーク値よりも小さい値に設定されているが、界面反射波のRF信号は、負のピーク値の絶対値が正のピーク値よりも小さくなる特性を有する。よって、反射波のRF信号の値が第2閾値(負値)を下回らず、界面欠陥判定部53cは、界面欠陥が存在せず界面103は健全であると正しく判定する。
【0028】
図3のケース4の場合、第1区間において反射波のRF信号の値が第1閾値(正値)を上回っておらず、素材欠陥判定部53bは、素材欠陥が存在せず第1素材101は健全であると判定する。他方、第2区間において反射波のRF信号の値が第2閾値(負値)を下回っているため(図3のB箇所)、界面欠陥判定部53cは、界面欠陥が存在していると判定する。なお、界面反射波のRF信号の正のピーク値は、疑似指示のために画面表示範囲外に出てしまっているが、正の閾値による判定を行わないため問題とならない。
【0029】
[適用例]
図4は、超音波探傷の対象となる複合材を用いた板バネ210を含む鉄道車両用台車201の側面図である。図4に示すように、台車201は、空気バネ231を介して車体230を支持する横梁232(台車枠)と、車軸220を回転自在に支持する軸受(図示せず)を収容する軸箱221とを備える。横梁232と軸箱221との間には、車両長手方向に延びた板バネ210が架け渡され、板バネ210の中央部が横梁232を支持し、板バネ210の両端部が軸箱221に支持される。
【0030】
板バネ210は、上層211、中間層212及び下層213を含む三層構造を有する。例えば、上層211及び下層213はCFRPによって形成され、中間層212はGFRPによって形成される。図2で説明した例に対応させると、上層211及び下層213が第1素材であり、中間層212が第2素材である。板バネ210は、端部から中央部に向けて徐々に肉厚が大きくなるように形成されている。具体的には、中間層212の肉厚は、端部から中央部に向けて徐々に肉厚が大きくなるように形成され、上層211及び下層213の肉厚は一定である。
【0031】
このような板バネ210において、上層211(又は下層213)の素材欠陥と、上層211(又は下層213)と中間層212との間の界面欠陥とを検査するために、前述した超音波探傷が好適に実施される。その際、超音波探触子2からの超音波は、板バネ210に対して上層211側(又は下層213側)から入射される。
【0032】
以上に説明した構成によれば、素材反射波が発生し得る第1区間では、正の第1閾値を用いて素材欠陥の有無が判定され、かつ、界面反射波が発生し得る第2区間では、負の第2閾値を用いて界面欠陥の有無が判定されるので、RF信号における界面欠陥の判定対象領域が、RF信号における素材欠陥の判定対象領域と区別される。そのため、一度の超音波探傷であっても、素材欠陥判定用の第1閾値と界面欠陥判定用の第2閾値とを個別に設定して、素材欠陥の検出精度と界面欠陥の検出精度との両方を高めることができる。
【0033】
また、第2閾値の絶対値は、第1閾値よりも大きいため、素材欠陥の検出漏れの防止と、疑似指示による界面欠陥の誤判定の防止とを両立できる。但し、第2閾値の絶対値は、第1閾値より小さい値としてもよい。また、第1閾値は、健全な界面反射波の正のピーク値よりも小さい値に設定されるため、更に好適に素材欠陥の検出漏れを防止できる。但し、第1閾値は、健全な界面反射波の正のピークよりも大きい値としてもよい。また、健全な界面反射波の負のピーク値が表示限界に対して低い値に設定可能なため、表示限界までの感度余裕が発生する。それによって、高機能な装置を使用することなく、一度の超音波探傷で素材欠陥と界面欠陥とを高精度に検査可能とするだけではなく、感度余裕が発生する分、判定可能な欠陥寸法の範囲が広げられる。
【符号の説明】
【0034】
1 超音波探傷装置
53a 区間特定部
53b 素材欠陥判定部
53c 界面欠陥判定部
100 複合材
101 第1素材
102 第2素材
103 界面
210 板バネ
D1 素材欠陥
D2 界面欠陥
図1
図2
図3
図4