(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761421
(24)【登録日】2020年9月8日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】同時多重アンテナ機能を可能にする複合アンテナアパーチャ
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/30 20060101AFI20200910BHJP
H01Q 3/24 20060101ALI20200910BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
H01Q21/30
H01Q3/24
H01Q21/24
【請求項の数】46
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-542142(P2017-542142)
(86)(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公表番号】特表2018-505625(P2018-505625A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】US2016016390
(87)【国際公開番号】WO2016130383
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2019年2月4日
(31)【優先権主張番号】62/115,070
(32)【優先日】2015年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/954,415
(32)【優先日】2015年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ビリー アダム
(72)【発明者】
【氏名】サゼガー モフセン
(72)【発明者】
【氏名】クンツ ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンソン ライアン
【審査官】
佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−539949(JP,A)
【文献】
特開2001−119229(JP,A)
【文献】
特開平04−213203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/00− 3/46
H01Q 13/00− 13/28
H01Q 21/00− 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって、
単一の給電波を入力するように構成された給電装置、
前記給電装置に結合され、前記単一の給電波を伝播するように構成された導波路、及び 前記導波路に結合され、アンテナ素子の少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイを有する単一物理的アンテナアパーチャ、
を含み、
各アンテナサブアレイが、特定の周波数で独立かつ同時に作動可能であり、
前記特定の周波数は前記少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイの各々に対して異なっており、前記アンテナサブアレイは、前記単一の給電波からのエネルギを結合することによって独立かつ同時にビームを形成するようになっており、
前記少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイの各々は表面散乱アンテナ素子の同調可能スロット式アレイを含みかつ前記少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイの前記表面散乱アンテナ素子は前記単一物理的アンテナアパーチャに結合され、及び各スロット式アレイは複数のスロットを含み、さらに、各スロットは所定の周波数で所望の散乱を提供するように同調されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイの指向角度が異なっており、そのために該少なくとも2つのアンテナアレイの第1のアンテナサブアレイが、1つの方向にビームを形成するように作動可能であり、該少なくとも2つのアンテナアレイの第2のアンテナサブアレイが、該第1の方向とは異なる第2の方向にビームを形成するように作動可能であり、かつ該2つのビーム間の角度が10°よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイは、受信及び送信を同時に実行するように作動可能なアンテナ素子の複合送信及び受信アンテナアレイを含むことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項4】
送信及び受信が、それぞれKu送信及び受信帯域にあることを特徴とする請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記少なくとも2つのアンテナアレイは、複合交互配置式二重受信アンテナアレイを含み、これは、2つの異なる受信帯域内の受信を実行するように作動可能であり、同時に2つの異なる方向にかつ切換可能/直交偏波状態を用いて2つの異なるソースを指向することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記2つの帯域は、Ka及びKu受信帯域を含むことを特徴とする請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイの各々が、ホログラフィックビーム形成に基づいて作動するためのものであることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイのうちの第1のものに対する前記同調可能スロット式アレイは、いくつかの素子と前記少なくとも2つのアンテナアレイのうちの第2のものとは異なる素子密度とを有することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイの前記同調可能スロットの各々内の大部分の素子が、交互配置され、かつ互いに対して離間していることを特徴とする請求項8に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記同調可能スロット式アレイの各々内の素子が、1又は2以上のリング状に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項11】
複数の周波数のうちの第1の周波数での作動のための前記1又は2以上のリングのうちの1つのリングが、該複数の周波数のうちの第2の周波数での作動のための該1又は2以上のリングのうちの1つのリングとは異なる数の素子を有し、該第1の周波数は、該第2の周波数とは異なっていることを特徴とする請求項10に記載のアンテナ。
【請求項12】
少なくとも1つのリングが、両方の同調可能スロット式アレイの素子を有することを特徴とする請求項10に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記複数のスロットの各スロットが、各該スロットの中心位置に入射する円筒形給電波に対して+45度又は−45度のいずれかに向けられ、そのために前記スロット式アレイは、円筒形給電波伝播方向に対して+45度回転したスロットの第1の組と、該円筒形給電波の該伝播方向に対して−45度回転したスロットの第2の組とを含むことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項14】
各スロット式アレイが、
複数のスロットと、
複数のパッチであって、該パッチの各々が、前記複数のスロット内のスロットの上で同じ場所に配置され、かつスロットから分離されてパッチ/スロット対を形成し、各パッチ/スロット対が、該対内の該パッチへの電圧の印加に基づいてオフ又はオンにされる前記複数のパッチと、
どのパッチ/スロット対がオン及びオフであるかを制御する制御パターンを適用し、それによってビームの発生を引き起こすコントローラと、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項15】
単一の給電波を伝播するように構成された導波路及び、
個別の周波数で独立かつ同時に作動可能でかつ前記導波路に結合された単一物理的アパーチャに組み合わされた少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイであって、少なくとも2つのアンテナサブアレイの各々が、表面散乱アンテナ素子の同調可能スロット式アレイを含む前記少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイと、及び
前記導波路を介して前記アパーチャに結合され、前記単一の給電波を入力する、単一の放射状に連続する給電装置と、
を含むことを特徴とするフラットパネルアンテナ。
【請求項16】
少なくとも2つのアンテナサブアパーチャの指向角度が異なっており、そのために前記少なくとも2つのアンテナアレイのうちの第1のアンテナサブアレイが、1つの方向にビームを形成するように作動可能であり、該少なくとも2つのアンテナアレイのうちの第2のアンテナアレイが、該第1の方向とは異なる第2の方向にビームを形成するように作動可能であり、かつ該2つのビーム間の角度が10°よりも大きいことを特徴とする請求項15に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記少なくとも2つのアンテナアレイは、受信及び送信を同時に実行するように作動可能なアンテナ素子の複合送信及び受信アンテナアレイを含むことを特徴とする請求項15に記載のアンテナ。
【請求項18】
送信及び受信が、それぞれKu送信及び受信帯域にあることを特徴とする請求項17に記載のアンテナ。
【請求項19】
前記少なくとも2つのアンテナアレイは、アンテナ素子の複合交互配置式二重受信アンテナアレイを含み、これは、2つの異なる受信帯域内で受信を実行するように作動可能であり、かつ同時に2つの異なる方向に2つの異なるソースを指向することを特徴とする請求項15に記載のアンテナ。
【請求項20】
前記2つの帯域は、Ka及びKu受信帯域を含むことを特徴とする請求項19に記載のアンテナ。
【請求項21】
前記少なくとも2つのアンテナアレイの各々が、ホログラフィックビーム形成に基づいて作動するためのものであることを特徴とする請求項15に記載のアンテナ。
【請求項22】
前記少なくとも2つのアンテナアレイのうちの第1のものに対する前記同調可能スロット式アレイは、いくつかの素子と該少なくとも2つのアンテナアレイのうちの第2のものとは異なる素子密度とを有することを特徴とする請求項15に記載のアンテナ。
【請求項23】
前記同調可能スロット式アレイの各々内の素子が、1又は2以上のリング状に位置決めされることを特徴とする請求項15に記載のアンテナ。
【請求項24】
前記複数の周波数のうちの第1の周波数での作動のための前記1又は2以上のリングのうちの1つのリングが、該複数の周波数のうちの第2の周波数での作動のための該1又は2以上のリングのうちの1つのリングとは異なる数の素子を有し、該第1の周波数は、該第2の周波数とは異なっていることを特徴とする請求項15に記載のアンテナ。
【請求項25】
少なくとも1つのリングが、両方の同調可能スロット式アレイの素子を有することを特徴とする請求項15に記載のアンテナ。
【請求項26】
無線周波数(RF)エネルギを用いて、フラットパネルアンテナの単一物理的アンテナアパーチャの、それぞれ第1及び第2のアンテナサブアレイ内の交互配置アンテナ素子の第1及び第2の独立に作動する組を励起する段階であって、
各アンテナサブアレイが、特定の周波数で独立かつ同時に作動可能であり、
前記特定の周波数は前記少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイの各々に対して異なっており、前記アンテナサブアレイは、前記単一の給電波からのエネルギを結合することによって独立かつ同時にビームを形成するようになっており、
前記少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイの各々は表面散乱アンテナ素子の同調可能スロット式アレイを含みかつ前記少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイの前記表面散乱アンテナ素子は前記単一物理的アンテナアパーチャに結合され、及び各スロット式アレイは複数のスロットを含み、さらに、各スロットは所定の周波数で所望の散乱を提供するように同調されている、前記励起する段階と、 同時に前記第1及び第2の組の素子を使用して2つの異なる周波数帯域にある2つのRF波を発生させる段階と、
を含むことを特徴とする送信する方法。
【請求項27】
結合インタフェースを用いて前記2つのRF波を重ね合わせる段階を更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記2つのRF波は、2つの異なる受信帯域にあることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記2つの受信帯域は、Ka及びKu受信帯域であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記2つの周波数帯域は、送信帯域及び受信帯域であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
送信及び受信帯域が、それぞれKu送信及び受信帯域であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
フラットパネルアンテナのそれぞれ前記第1及び第2のアンテナアレイ内の交互配置アンテナ素子の前記第1及び第2の独立に作動する組を使用して同時に受信及び送信を実行する段階を更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項33】
2つの異なる受信帯域内で受信を実行する段階と、同時に2つの異なる方向に2つの異なるソースを指向する段階とを更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項34】
単一の給電波を入力するように構成された給電装置と、
前記給電装置に結合され、前記単一の給電波を伝播するように構成された導波路と、
2つの異なる受信帯域内で受信を実行するように作動可能なアンテナ素子の少なくとも2つの空間的に交互配置された二重受信アンテナサブアレイを有する、前記導波路に結合された単一物理的アンテナアパーチャであって、
各アンテナサブアレイが、特定の周波数で独立かつ同時に作動可能であり、前記特定の周波数は前記少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイの各々に対して異なっており、前記アンテナサブアレイは、前記単一の給電波からのエネルギを結合することによって独立かつ同時にビームを形成するようになっている、前記単一物理的アンテナアパーチャと、
テレビジョンのための2又は3以上の受信ストリームを処理するためにアンテナに結合され、該2つの受信ストリームを処理するためのアナログ/デジタル変換器、復調器、及び復号器を含むセットトップボックスと、
前記アンテナアパーチャを制御するように結合されたコントローラと、
を含むことを特徴とするテレビジョン受信システム。
【請求項35】
前記コントローラは、前記アンテナアパーチャを制御して前記サブアレイのうちの1又は2以上の偏波を切り換えるように作動可能であることを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイの指向角度が異なっており、そのために該少なくとも2つのアンテナアレイの第1のアンテナサブアレイが、1つの方向にビームを形成するように作動可能であり、該少なくとも2つのアンテナアレイの第2のアンテナサブアレイが、該第1の方向とは異なる第2の方向にビームを形成するように作動可能であり、かつ該2つのビーム間の角度が10°よりも大きいことを特徴とする請求項34に記載のアンテナ。
【請求項37】
前記少なくとも2つのアンテナアレイは、同時に2つの異なる方向にかつ切換可能偏波状態を使用して2つの異なるソースを指向するように作動可能であることを特徴とする請求項34に記載のアンテナ。
【請求項38】
前記2つの帯域は、Ka及びKu受信帯域を含むことを特徴とする請求項34に記載のアンテナ。
【請求項39】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイの各々が、ホログラフィックビーム形成に基づいて作動するためのものであることを特徴とする請求項34に記載のアンテナ。
【請求項40】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイのうちの第1のものに対する前記同調可能スロット式アレイは、いくつかの素子と前記少なくとも2つのアンテナアレイのうちの第2のものとは異なる素子密度とを有することを特徴とする請求項34に記載のアンテナ。
【請求項41】
単一の給電波を入力するように構成された給電装置と、
前記給電装置に結合され、前記単一の給電波を伝播するように構成された導波路と、
アンテナ素子の少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイを有する、前記導波路に結合された単一物理的アンテナアパーチャであって、前記少なくとも2つのアンテナサブアレイが、異なる周波数で独立かつ同時に受信及び送信を実行するように作動可能なアンテナ素子の複合送信及び受信アンテナサブアレイを含み、前記アンテナサブアレイは前記単一の給電波からのエネルギと結合することによって独立かつ同時にビームを形成するようになっており、
前記少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイの各々は表面散乱アンテナ素子の同調可能スロット式アレイを含みかつ前記少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイの前記表面散乱アンテナ素子は前記単一物理的アンテナアパーチャに結合され、及び各スロット式アレイは複数のスロットを含み、さらに、各スロットは所定の周波数で所望の散乱を提供するように同調されている、前記単一物理的アンテナアパーチャと、
受信のためのデータを処理するために前記アンテナアパーチャに結合され、受信のための該データを処理するためのアナログ/デジタル変換器、復調器、及び復号器を含む受信経路と、
送信のためのデータを処理するために前記アンテナアパーチャに結合され、送信のための該データを処理するための符号器、変調器、及びデジタル/アナログ変換器を含む送信経路と、
前記アンテナアパーチャを制御するように結合されたコントローラと、
を含むことを特徴とする完全二重通信システム。
【請求項42】
前記コントローラは、前記アンテナアパーチャを制御して前記サブアレイのうちの1又は2以上の偏波を切り換えるように作動可能であることを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイの指向角度が異なっており、そのために前記少なくとも2つのアンテナアレイの第1のアンテナサブアレイが、1つの方向にビームを形成するように作動可能であり、該少なくとも2つのアンテナアレイの第2のアンテナサブアレイが、該第1の方向とは異なる第2の方向にビームを受信するように作動可能であり、かつ該2つのビーム間の角度が10°よりも大きいことを特徴とする請求項41に記載のアンテナ。
【請求項44】
送信及び受信が、それぞれKu送信及び受信帯域にあることを特徴とする請求項41に記載のアンテナ。
【請求項45】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイの各々が、ホログラフィックビーム形成に基づいて作動するためのものであることを特徴とする請求項41に記載のアンテナ。
【請求項46】
前記少なくとも2つのアンテナサブアレイのうちの第1のものに対する前記同調可能スロット式アレイは、いくつかの素子と前記少なくとも2つのアンテナアレイのうちの第2のものとは異なる素子密度とを有することを特徴とする請求項41に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔優先権〕
本特許出願は、2016年2月11日出願の「同時多重アンテナ機能を可能にする複合アンテナアパーチャ」という名称の対応する米国仮特許出願第62/115,070号に対する優先権を主張し、かつそれを引用によって組み込むものである。
【0002】
本発明の実施形態は、アンテナの分野に関し、より具体的は、本発明の実施形態は、交互配置されたアレイを使用して複数の周波数で同時に作動する複合アパーチャを有するアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
複数の偏波及び周波数を同時に受信することができるアンテナの数は限られている。例えば、DirecTV Slimline 3 Dish反射鏡アンテナは、複数の偏波及び周波数を同時に受信する。この製品では、同じ反射鏡から同時に作動する2つのKa帯域受信機と1つのKu帯域受信機が存在する。これは、複数の給電装置を反射鏡の焦点軸に沿って異なる位置に置くことによって達成される。この場合に、ディッシュの指向と3つの受信機の位置決めとに基づいて、3つの衛星(99°、101°、103°)からの同時受信が達成され、Ka帯域衛星は2つの円偏波信号を同時に提供する。DirecTV Slimline 5 Dish反射鏡アンテナは、99°、101°、103°、110°、119°の5つの衛星を同時に捉える(99°、103°はKa帯域である)。これらの製品の作動は、受信に限定される。
【0004】
このようなディッシュベースのアンテナの2つの制約は、ディッシュを衛星に向けて指向させる必要があること、及び1つの反射鏡内の2又は3以上の給電装置の捕捉角度間の角度差が約10度、例えば、Slimline 5(99°−119°)に制限されることである。これは、様々な仕様に対して設計することができるディッシュの形状に大きく依存している。しかし、全てのディッシュは、指向性を達成するために焦点調節挙動に依存しており、従って、リンクを閉じるのに必要とされる焦点調節が多いほど、一定面積を有する反射鏡ディッシュに対して達成可能な角度カバレージが小さくなる。
【0005】
二重周波数同時性能を達成するために一般的に使用される別の手法は、2つの作動帯域を有する放射素子から構成された二重帯域アレイである。これらは、多くの場合に、リング共振器のような共振パッチ又は類似形状を使用して実現される。1つの最近の例は、2014年1月10日に付与された「位相アレイのための広帯域リンク式リングアンテナ素子」という名称の米国特許第8,749,446号明細書に説明されている。この実施は、市販の場合に17.7−20.2GHz、軍用の場合に20.2−21.2である隣接する市販及び軍用Ka受信帯域を同時にカバーすることを可能にする。しかし、1よりも多いソースを同時に指向する機能はない。更に、同時送信及び受信作動をサポートするのに十分な隔離を与えるシステムレベル許容差は説明されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8,749,446号明細書
【特許文献2】米国特許出願第14/550,178号明細書
【特許文献3】米国特許出願第14/610,502号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
すなわち、典型的には、大きく異なる方向(推定される10度の差を超える)に同時に指向しなければならず、地球周回衛星(2つのジンバル式ディッシュを有するO3b装備)を追尾し、又は大きく異なる周波数帯域にわたって通信しなければならないディッシュを用いると、2つの全く別のアンテナ及びシステムが必要である。これは、サイズ、コスト、重量、及び電力を増大する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
アンテナ装置及びその使用方法を本明細書に開示する。一実施形態では、アンテナは、アンテナ素子の少なくとも2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを有する単一の物理的アンテナアパーチャを含み、アンテナアレイは、異なる周波数帯域で独立かつ同時に作動可能である。
【0009】
本発明は、以下に与える詳細説明から及び本発明の様々な実施形態の添付図面からより完全に理解されるであろうが、これらは、本発明を特定の実施形態に限定するように取ってはならず、むしろ単に解説及び理解のためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】Ku帯域受信アンテナ素子を示す二重受信アンテナの一実施形態を示す図である。
【
図2】Ka帯域受信素子をオン又はオフに示す
図1の二重受信アンテナを示す図である。
【
図3】30dBスケール上でモデル化されたKu帯域性能と共に示す全アンテナを示す図である。
【
図4】30dBスケール上でモデル化されたKa帯域性能と共に示す全アンテナを示す図である。
【
図5A】
図1及び2に示す二重Ku−Ka帯域受信アンテナの交互配置レイアウトの一実施形態を示す図である。
【
図5B】
図1及び2に示す二重Ku−Ka帯域受信アンテナの交互配置レイアウトの一実施形態を示す図である。
【
図6】送信及び受信アンテナ素子の両方を有する複合アパーチャの一実施形態を示す図である。
【
図7】
図6のアンテナのKu帯域受信素子の一実施形態を示す図である。
【
図8】
図6のアンテナのKu帯域送信素子の一実施形態を示す図である。
【
図9】40dBスケール上でKu帯域送信素子モデル化されたKu帯域性能の一実施形態を示す図である。
【
図10】40dBスケール上でモデル化されたKu帯域受信素子の一実施形態を示す図である。
【
図11A】接地平面と再構成可能共振器層とを含む1列のアンテナ素子の斜視図である。
【
図11B】同調可能共振器/スロットの一実施形態を示す図である。
【
図11C】アンテナ構造の一実施形態の断面図である。
【
図12A】スロット式アレイを作成するための異なる層の一実施形態を示す図である。
【
図12B】スロット式アレイを作成するための異なる層の一実施形態を示す図である。
【
図12C】スロット式アレイを作成するための異なる層の一実施形態を示す図である。
【
図12D】スロット式アレイを作成するための異なる層の一実施形態を示す図である。
【
図13】円筒給電式アンテナ構造の一実施形態の側面図である。
【
図14A】テレビジョンシステムに使用するための通信システムの一実施形態のブロック図である。
【
図14B】同時送信及び受信経路を有する通信システムの別の実施形態のブロック図である。
【
図15】同時多重アンテナ作動のための処理の一実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、本発明のより完全な解説を提供するために多くの詳細が明らかにされる。しかし、本発明がこれらの特定の詳細なしに実施可能であることは当業者には明らかであろう。別の事例では、本発明を不明瞭にしないように公知の構造及びデバイスは詳細ではなくブロック図の形態で示される。
【0012】
送信と受信の組合せ、二重帯域送信、又は二重帯域受信を同時にサポートする複合アパーチャを有するアンテナ装置を開示する。一実施形態では、アンテナは、単一物理的アパーチャに組み合わされたアンテナ素子の2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含み、そのアンテナアレイは複数の周波数で独立かつ同時に作動可能であり、単一放射状連続給電装置がアパーチャに結合される。2つのアンテナアレイは、単一フラットパネル物理的アパーチャに組み合わされる。本明細書に説明する技術は、2つのアレイを単一物理的アパーチャに組み合わせることに限定されず、3又は4以上のアレイを単一物理的アパーチャに組み合わせることに拡張することができる。
【0013】
一実施形態では、複数のアンテナアレイの指向角度は異なっているので、アンテナサブアレイの1つが一方向にビームを形成することができると同時に、別のアンテナサブアレイが別の異なる方向にビームを形成することができる。一実施形態では、アンテナは、これら2つのビームをビーム間の角度分離が10度を超えるように形成することができる。一実施形態では、走査角度は、±75又は±85度であり、これは、通信に対する遥かに多い自由度を与える。
【0014】
一実施形態では、アンテナは、1つの物理的アンテナアパーチャに組み合わされた2つのアンテナアレイを含む。一実施形態では、2つのアンテナアレイは、受信及び送信を同時に実行するように作動可能な交互配置された送信及び受信アンテナアレイである。一実施形態では、送信及び受信は、それぞれKu送信帯域及び受信帯域にある。Ku帯域は一例であり、本発明の教示は特定の帯域に限定されないことに注意されたい。
【0015】
別の実施形態では、2つのアンテナサブアレイは、2つの異なる受信帯域での受信と2つの異なる方向にある2つの異なるソースの指向とを同時に実行するように作動可能な交互配置された二重受信アンテナである。一実施形態では、2つの帯域は、Ka及びKu受信帯域を含む。
【0016】
更に別の実施形態では、2つのアンテナサブアレイは、2つの異なる送信帯域での送信と2つの異なる方向にある2つの異なるソースの指向とを同時に実行するように作動可能な交互配置された二重送信アンテナである。一実施形態では、2つの帯域は、Ka及びKuの送信帯域を含む。
【0017】
一実施形態では、アンテナアレイの各々は、アンテナ素子の同調可能スロット式アレイを有する。従って、2つのアパーチャを有する1つの複合物理的アンテナアパーチャに対して、アンテナ素子の2つのスロット式アレイが存在する。これら2つのスロット式アレイのアンテナ素子は、互いに交互配置される。
【0018】
一実施形態では、アンテナサブアレイの1つに対する同調可能スロット式アレイは、いくつかの素子と、第2のアンテナサブアレイのものとは異なる素子密度とを有する。一実施形態では、2又は3以上のアンテナアレイの同調可能スロット式アレイの各々内の素子は、全部ではないにしてもその大部分が互いに対してλ/4離間している。別の実施形態では、2又は3以上のアンテナアレイの同調可能スロット式アレイの各々内の素子は、全部ではないにしてもその大部分が互いに対してλ/5離間している。このような間隔を満足するのに必要とされる位置は、別のアンテナアレイのアンテナ素子によって占められているために、スロット式アレイのうちの1又は2以上の一部のアンテナ素子はこの間隔を持たない場合があることに注意されたい。
【0019】
一実施形態では、アレイの同調可能スロット式アレイの各々内の素子は、1又は2以上のリング状に位置決めされる。一実施形態では、1つの周波数で作動するアンテナ素子のリングのうちの1つは、第2の異なる周波数で作動する同じアパーチャ内にあるアンテナ素子の別のリングとは異なる数のアンテナ素子を有する。別の実施形態では、リングのうちの少なくとも1つは、複数(例えば、2つ、3つ)のスロット式アレイのアンテナ素子を有する。更に別の実施形態では、異なる周波数に対して異なるサイズのリングが存在する。例えば、1つのリングは、第1の周波数に対して第1のサイズのアンテナ素子を有するが、別のリングは、第1の周波数よりも低い第2の周波数に対して第1のサイズより大きい第2のサイズのアンテナ素子を有する。
【0020】
別の実施形態では、アンテナサブアレイは、切換可能な偏波を提供するように制御可能である。一実施形態では、サブアレイを制御することができる提供される異なる偏波は、直線偏波、左回り円偏波(LHCP)、又は右回り円偏波を含む。一実施形態では、偏波は、ビーム形成と主ビームの方向とを決定するホログラフィック変調の一部である。より具体的は、変調パターンを計算してサブアレイのどの素子がオン又はオフであるかを決定し、偏波を決定する。ホログラフィックビーム形成アンテナの一実施形態では、受信及び送信される信号の偏波は、ソフトウエア(例えば、アンテナコントローラ内のソフトウエア)によって動的に切り換えることができる。更に、一実施形態では、送信及び受信信号(又は2つの異なる周波数における2つのビームの信号)は、異なる偏波を有することができる。
【0021】
一実施形態では、各スロット式アレイは、複数のスロットを含み、各スロットは、与えられた周波数で望ましい散乱エネルギを提供するように同調される。一実施形態では、複数のスロットの各スロットは、各スロットの中心位置に入射する円筒形給電波に対して+45度又は−45度のいずれかに向けられ、そのためにスロット式アレイは、中心給電装置からの円筒形給電波伝播方向に対して+45度回転したスロットの第1の組と、中心給電装置からの円筒形給電波の伝播方向に対して−45度回転したスロットの第2の組とを含む。一実施形態では、同じ周波数帯域のための隣接素子は、別々のかつ反対の方向に向けられる。
【0022】
一実施形態では、各スロット式アレイは、複数のスロットと複数のパッチとを含み、パッチの各々は、複数スロット内のスロットの上で同じ場所に配置され、かつスロットから分離され、それによってパッチ/スロット対を形成し、各パッチ/スロット対は、対内のパッチへの電圧の印加に基づいてオフ又はオンにされる。コントローラは、スロット式アレイに結合され、どのパッチ/スロット対がオン及びオフであるかを制御する制御パターンを適用し、それによってホログラフィック干渉原理に従ってビームの発生を引き起こす。
【0023】
以下の議論は、1つが複合交互配置式二重受信アンテナ(例えば、Ka帯域Rx及びKu帯域Rx)であり、1つがKu帯域内で作動する複合交互配置式二重Tx/Rxアンテナである2つのタイプのアンテナに対して示される様々なタイプの交互配置スキームを説明する。
【0024】
図1は、受信アンテナ素子を示す二重受信アンテナの一実施形態を示している。この実施形態では、二重受信アンテナは、Ku受信−Ka受信アンテナである。
図1を参照すると、Kuアンテナ素子のスロット式アレイが示されている。いくつかのKuアンテナ素子が、オフ又はオンのいずれかで示されている。例えば、アパーチャは、Kuオン素子101とKuオフ素子102とを示している。また、アパーチャレイアウトには、中心給電装置103が示されている。更に、図示のように、一実施形態では、Kuアンテナ素子は、中心給電装置103の周りに円形リング状に位置決めされ又は位置付けられ、各々は、スロットの上で同じ場所に配置されたパッチを有するスロットを含む。一実施形態では、スロットの各々は、中心給電装置103から発せられて各スロットの中心位置に入射する円筒形給電波に対して+45度又は−45度のいずれかに向けられる。
【0025】
図2は、Ka受信素子をオン又はオフに示す
図1の二重受信アンテナを示している。
図2を参照すると、例えば、Ka素子201はオンとして示され、Ka素子202はオフとして示されている。Kaアンテナ素子と同様に、一実施形態では、Kaアンテナ素子は、中心給電装置103の周りに円形リング状に位置決めされ又は位置付けられ、各々は、スロットの上で同じ場所に配置されたパッチを有するスロットを含む。一実施形態では、スロットの各々は、中心給電装置103から発せられて各スロットの中心位置に入射する円筒形給電波に対して+45度又は−45度のいずれかに向けられる。
【0026】
一実施形態では、Ku素子の密度が互いに対してλ/4又はλ/5間隔を守る一方、Ka素子の密度は、Ka素子に対して僅かに大きいが、Ka素子は、間隔が不規則になるようにKu素子の周りに置かれる。
【0027】
一実施形態では、
図2のKa素子の数は、
図1に示すKu受信素子の数よりも多いが、Kuアンテナ素子のサイズは、Kaアンテナ素子よりも大きい。一実施形態では、Ku素子のほぼ3倍多いKa素子が存在する。Ka素子のこの高い密度と小さいサイズは、Ka帯域及びKu帯域に関連付けられた周波数の差に起因する。一般的に、高い周波数に対する素子は、低い周波数に対する素子よりも数が多くなる。Ka素子の理想的な数は、2つの帯域の周波数の比に基づいて、Ku素子の数の2.85倍(すなわち、(20/11.85)
∧2=2.85)になる。従って、理想的な充填比は、2.85:1である。
【0028】
図1及び2において、示されているアンテナ素子の数は一例に過ぎないことに注意されたい。アンテナ素子の実際の数は、一般的に遥かに多くなることになる。例えば、一実施形態では、直径70cmのアンテナアパーチャは、約28,500個のKa受信素子と約10,000個のKu受信素子とを有する。
【0029】
図3は、モデル化されたKu性能を30dBスケール上に示す全アンテナを示している。
図4は、モデル化されたKa性能を30dBスケール上に示す全アンテナを示している。
【0030】
図5A及び5Bは、
図1及び2に示す二重Ku−Ka受信アンテナの交互配置レイアウトの一実施形態を示している。
【0031】
図6は、送信及び受信アンテナ素子の両方を有する複合アパーチャの一実施形態を示している。この実施形態では、複合アパーチャは、二重送信及び受信Ku帯域アンテナのためのものである。
図7は、
図6のアンテナのKu受信素子の一実施形態を示している。
図8は、
図6のアンテナのKu送信素子の一実施形態を示している。
【0032】
図6を参照すると、Kuアンテナ素子の2つのスロット式アレイが示されており、いくつかのKuアンテナ素子がオフ又はオンとして示されている。また、アパーチャレイアウトには中心給電装置が示されている。更に、図示のように、一実施形態では、Kuアンテナ素子は、中心給電装置の周りに円形リング状に位置決めされ又は位置付けられ、各々は、スロットの上で同じ場所に配置されたパッチを有するスロットを含む。一実施形態では、スロットの各々は、中心給電装置から発せられて各スロットの中心位置に入射する円筒形給電波の伝播方向に対して+45度又は−45度のいずれかに向けられる。
【0033】
図7を参照すると、Ku受信素子はオン又はオフのいずれかとして示されている。一実施形態では、Ku受信アンテナ素子は、中心給電装置の周りに円形リング状に位置決めされ又は位置付けられ、各々は、スロットの上で同じ場所に配置されたパッチを有するスロットを含む。一実施形態では、スロットの各々は、中心給電装置から発せられて各スロットの中心位置に入射する円筒形給電波の伝播方向に対して+45度又は−45度のいずれかに向けられる。
【0034】
図8を参照すると、Ku送信素子はオン又はオフのいずれかとして示されている。一実施形態では、Ku送信アンテナ素子は、中心給電装置の周りに円形リング状に位置決めされ又は位置付けられ、各々は、スロットの上で同じ場所に配置されたパッチを有するスロットを含む。一実施形態では、スロットの各々は、中心給電装置から発せられて各スロットの中心位置に入射する円筒形給電波の伝播方向に対して+45度又は−45度のいずれかに向けられる。
【0035】
一実施形態では、Ku受信素子とKu送信素子の両方の密度は、互いに対してλ/4又はλ/5間隔を守る。他の間隔(例えば、λ/6.3)を使用することもできる。一実施形態では、
図7のKu受信素子の数は、
図8に示すKu送信素子の数よりも少ないが、一方、Ku受信アンテナ素子のサイズはKu送信アンテナ素子よりも大きい。Ku送信素子のこの高い密度と小さいサイズは、Ku送信帯域及び受信帯域に関連付けられた周波数(すなわち、それぞれ14GHzと12GHz)の差に起因する。一実施形態では、周波数が互いに近いために、2つの交互配置されたスロット式アレイは同じ数のアンテナ素子を有する。従って、充填比は1:1である。
【0036】
2つの素子を交互配置するのに必要とされる周波数分離の量は、素子設計(特にQ応答)、給電装置設計、例えば隔離を示すダイプレクサのフィルタリング応答のようなシステムレベル実装、及び最後に搬送波/ノイズ比(C/N)及び他の同様なリンク仕様に対する要件を設定する衛星ネットワークに基づいている。2つの周波数、すなわち、15%帯域幅分離である12GHz及び14GHzは、アンテナ設計の観点からは同時に作動する。
【0037】
図6−8において、示されているアンテナ素子の数は一例に過ぎないことに注意されたい。アンテナ素子の実際の数は、一般的に遥かに多くなることになる。例えば、一実施形態では、直径70cmのアンテナアパーチャは、約14,000個の受信素子と約14,000個の送信素子とを有する。また、アンテナ素子をリング状に配置することができるが、これは要件ではない。それらは、他の配置(例えば、格子状配置)に位置決めすることができる。
【0038】
図9は、40dBスケール上にKu送信素子のモデル化されたKu性能の一実施形態を示している。
図10は、40dBスケール上にモデル化されたKu受信素子の一実施形態を示している。
【0039】
特定の周波数が上述の例示的実施形態で識別されているが、送信及び受信、二重帯域送信、二重帯域受信のような様々な組合せは、全て選択可能な周波数で作動するように設計することができる。
【0040】
本明細書に説明する複合アパーチャ技術は、複合給電装置を有するディッシュと同じ基本的な方法での小角度差指向角度に限定されないことに注意されたい。これは、複合物理的アパーチャを作成するための交互配置に対する手法が、指向角度が完全に独立し、2つの独立するが空間的に交互配置された(又は組み合わされた)2つのアパーチャをもたらすからである。その指向限界は、ボアサイトから60度を超えて指向し、方位角で全360度をカバーして近似的に120度x360度の指向円錐を形成することが明らかにされているフラットパネルメタマテリアルアンテナの限界である。
【0041】
本明細書に説明する技術を用いて、交互配置されたアパーチャを通して二重、三重、又は更に多重のアパーチャ組合せも可能である。
【0042】
本発明の実施形態の利点は以下を含む。1つの利点は、与えられたアンテナエリアを通じたデータスループットを増大することである。同時双方向、多重帯域、又は多重衛星リンクを必要とする通信システムに対して、これはそれを可能にする技術である。この交互配置/組合せ手法の利点は、液晶ディスプレイ(LCD)技術を使用してアンテナパネルを製造する場合に最も明らかになる。なぜならば、駆動スイッチは、その場合に表面実装電界効果トランジスタ(FET)ドライバよりも小さいTFT(薄膜トランジスタ)とすることができ、より高密度の交互配置を可能にするからである。素子密度は、LCD製造業者によって達成されるピクセル密度よりも遥かに小さいことに注意されたい。
【0043】
図15は、同時多重アンテナ作動のための処理の一実施形態の流れ図である。この処理は、ハードウエア(回路、専用論理部など)、ソフトウエア(汎用コンピュータシステム又は専用機械上で実行されるものなど)、又はその両方の組合せを有することができる処理論理部によって実行される。
【0044】
図15を参照すると、この処理は、無線周波数(RF)エネルギを使用して、フラットパネルアンテナのそれぞれ第1及び第2のアンテナアレイ内の交互配置アンテナ素子の第1及び第2の独立に作動する組を励起することによって始まる(処理ブロック1501)。受信モードでは、アレイのうちの1つは、送信されたRF波によって励起される。
【0045】
次に、処理論理部は、第1及び第2の組の素子から同時に2つの遠距離場パターンを発生させ、ここで、2つの遠距離場パターンは、第1及び第2のアンテナアレイ内の交互配置アンテナ素子の第1及び第2の独立に作動する組を使用して、同時に2つの異なる受信帯域内で作動し、2つの異なる方向にある2つの異なるソースを指向する(処理ブロック1502)。
【0046】
別の実施形態では、素子の組のうちの1つは、送信されているRF波によって励起され、それによってこれらの素子を使用してビームを形成する一方、素子の別の組は、受信されているRF信号によって励起される。このようにして、アンテナは送信及び受信のために同時に使用される。
【0047】
アンテナ素子
一実施形態では、アンテナ素子は、1群のパッチアンテナを含む。このパッチアンテナの群は、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。一実施形態では、アンテナシステム内の各散乱素子は、下側導体、誘電体基板、及び上側導体から構成される単位セルの一部であり、その上側導体は、上側導体内にエッチングされた又はその上に堆積された相補的電気誘導−容量共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を埋め込んでいる。
【0048】
一実施形態では、液晶(LC)が散乱素子の周りの間隙に配置される。液晶は各単位セル内に封入され、スロットに関連付けられた下側導体をそのパッチに関連付けられた上側導体から分離する。液晶は、それを含む分子の配向の関数である誘電率を有し、液晶両端間のバイアス電圧を調節することにより、分子の配向(及び従って誘電率)が制御可能である。この特性を使用して、一実施形態では、液晶は案内波からCELCへのエネルギ伝達のためのオン/オフスイッチを統合する。スイッチを入れると、CELCは、電気的に小さいダイポールアンテナのような電磁波を放出する。本明細書での教示は、エネルギ伝達に関して2値様式で作動する液晶を有することに限定されないということに注意されたい。
【0049】
液晶の厚みを低減することにより、ビームのスイッチング速度が増加する。下側導体と上側導体の間隙(液晶チャネルの厚み)の50%減少は、速度の4倍の増加をもたらす。別の実施形態では、液晶の厚みにより、約14ミリ秒(14ms)というビームスイッチング速度がもたらされる。一実施形態では、液晶は当業技術で公知の方式でドープされて応答性を改善し、7ミリ秒(7ms)の要件を満たせるようにする。
【0050】
一実施形態では、このアンテナシステムの給電形状は、アンテナ素子を波動給電の波動ベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決めすることを可能にする。素子のこの位置は、素子によって受信されるか又は素子から発生される自由空間波の制御を可能にする。一実施形態では、アンテナ素子は、アンテナの作動周波数の自由空間波長未満の素子間隔で配置される。例えば、1波長につき4つの散乱素子が存在する場合に、30GHz送信アンテナ内の素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの自由空間波長10mmの4分の1)である。
【0051】
一実施形態では、2組の素子は互いに垂直であり、等しい振幅の励起を同時に有する。給電波の励起に対してそれらを±45度回転させることにより、両方の望ましい機能が同時に達成される。一方の組を0度回転させ、他方を90度回転させることによって垂直目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されない。0度と90度を使用して、上述のように2つの側部から単一構造のアンテナ素子アレイを給電する時に分離を達成することができることに注意されたい。
【0052】
これらの素子は、コントローラを使用してパッチに電圧を印加することによってオフ又はオンにされる。各パッチに対するトレースを使用して、パッチアンテナに電圧を供給する。電圧を使用して、キャパシタンス及び従って個々の素子の共振周波数を同調又は離調させ、ビーム形成を達成するようにする。必要とされる電圧は、使用される液晶混合物に依存する。液晶混合物の電圧同調特性は、液晶が電圧の影響を受け始める閾値電圧と、それを超える電圧の増加が液晶の主要な同調を生じない飽和電圧とによって主として説明される。これら2つの特性パラメータは、異なる液晶混合物に対して変化する場合がある。
【0053】
一実施形態では、マトリックス駆動を使用してパッチに電圧を印加し、各セルに対して別々の接続を有することなく、各セルを他の全てのセルから切り離して駆動するようにする(直接駆動)。素子が高密度のために、マトリックス駆動は、各セルを個別にアドレス指定する最も効率的な方法である。
【0054】
アンテナシステムの制御構造は2つの主要な構成要素を有し、すなわち、アンテナシステムのための駆動電子機器を含むコントローラは、波散乱構造の下にあり、一方、マトリックス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように放射RFアレイの全体を通して点在する。一実施形態では、アンテナシステムのための駆動電子機器は、散乱素子へのACバイアス信号の振幅を調節することによって各散乱素子に対するバイアス電圧を調節する市販のテレビジョン家電に使用される市販の既製LCD制御器を有する。
【0055】
一実施形態では、コントローラはまた、ソフトウエアを実行するマイクロプロセッサも含有する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び方位情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を組み込むことができる。位置及び方位情報は、地上局内の他のシステムによってプロセッサに提供することができ、及び/又はアンテナシステムの一部ではない場合がある。
【0056】
より具体的は、コントローラは、作動周波数でどの素子がオフにされてどの素子がオンにされるかを制御する。素子は、電圧印加によって周波数作動に対して選択的に離調される。
【0057】
送信に関して、コントローラは、RFパッチに電圧信号アレイを供給して変調パターン又は制御パターンを生成する。制御パターンは、素子をオン又はオフにする。一実施形態では、多状態制御が使用され、そこでは、矩形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)とは対照的に様々な素子が様々なレベルでオン及びオフにされ、更に正弦波制御パターンを近似する。放射する素子もあれば放射しない素子もあるのではなく、一部の素子は他の素子よりも強く放射する。可変的な放射は、特定の電圧レベルを印加することによって達成され、その電圧印加は液晶の誘電率を様々な量に調節し、それによって素子を可変的に離調させて一部の素子を他の素子よりも多く放射させる。
【0058】
素子のメタマテリアルアレイによる集束ビームの発生は、建設的干渉と相殺的干渉という現象によって説明することができる。個々の電磁波は、自由空間で遭遇する時に同じ位相を有する場合に加え合わされ(建設的干渉)、自由空間で遭遇する時に逆位相ならば互いに打ち消し合う(相殺的干渉)。各連続するスロットが案内波の励起点から異なる距離に配置されるようにスロットアンテナ内のスロットが位置決めされる場合に、その素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波とは異なる位相を有することになる。スロットが案内波長の4分の1離間する場合に、各スロットは、前のスロットから4分の1の位相遅延で波を散乱させることになる。
【0059】
このアレイを使用して、生成することができる建設的干渉及び相殺的干渉のパターンの数を増すことができるので、ホログラフィの原理を使用して、理論的にはアンテナアレイのボアサイトから±90度(90°)のあらゆる方向にビームを指向させることができる。従って、どのメタマテリアル単位セルがオン又はオフにされるのかを制御することにより(すなわち、どのセルがオンにされてどのセルがオフにされるかのパターンを変えることにより)、建設的干渉及び相殺的干渉の異なるパターンを作り出すことができ、アンテナは主ビームの方向を変えることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、1つの位置から別の位置にビームを切り換えることができる速度を定める。
【0060】
一実施形態では、両方の交互配置アンテナに対するビーム指向角度は、変調、又はどの要素がオン又はオフであるかを指向する制御パターンによって定められる。言い換えれば、必要に応じてビームを指向させるのに使用される制御パターンは、作動周波数に依存する。
【0061】
一実施形態では、アンテナシステムは、アップリンクアンテナのための1つのステアリング可能ビームと、ダウンリンクアンテナのための1つのステアリング可能ビームとを生成する。一実施形態では、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用してビームを受信し、衛星からの信号を復号し、及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。一実施形態では、アンテナシステムは、ビームを電気的に形成してステアリングするのにデジタル信号処理を使用するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。一実施形態では、アンテナシステムは、特に従来の衛星ディッシュベースの受信機と比較して、平面的で比較的薄型の「面」アンテナと見なされる。
【0062】
図11Aは、接地平面と再構成可能共振器層とを含む1列のアンテナ素子の斜視図を示している。再構成可能共振器層1130は、同調可能スロット1110のアレイを含む。同調可能スロット1110のアレイは、アンテナを望ましい方向に指向させるように構成することができる。同調可能スロットの各々は、液晶両端間の電圧を変化させることによって同調/調節することができる。
【0063】
制御モジュール1180を再構成可能共振器層1130に結合させて、
図11Aで液晶両端間の電圧を変化させることにより同調可能スロット1110のアレイを変調する。制御モジュール1180は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、又は他の処理論理部を含むことができる。一実施形態では、制御モジュール1180は、同調可能スロット1110のアレイを駆動するために論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。一実施形態では、制御モジュール1180は、同調可能スロット1110のアレイ上へ駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受信する。ホログラフィック回折パターンは、それがダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を実行する場合はアップリンクビーム)を通信のための適切な方向にステアリングするように、アンテナと衛星間の空間的関係に応じて発生させることができる。各図には描かれていないが、制御モジュール1180と類似の制御モジュールが、本発明の開示の図に説明される同調可能スロットの各アレイを駆動することができる。
【0064】
RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇する時に望ましいRFビームを発生させることができる類似の技術を使用して、無線周波数(「RF」)ホログラフィも可能である。衛星通信の場合に、基準ビームは、給電波1105(一部の実施形態では約20GHz)のような給電波の形態である。給電波を放射ビームに変換するために(送信目的又は受信目的で)、望ましいRFビーム(目的ビーム)と給電波(基準ビーム)との間で干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が望ましいRFビーム(望ましい形状及び方向を有する)に「ステアリングされる」ように、回折パターンとして同調可能スロット1110のアレイ上へ駆動される。言い換えれば、ホログラフィック回折パターンに遭遇する給電波は、目的ビームを「再構成」し、それは通信システムの設計要件に従って形成される。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を含有し、かつ導波路内の波動方程式としてw
inと外向き波に関する波動方程式としてw
outとを使用して、w
hologram=w
in*w
outによって計算される。
【0065】
図11Bは、本発明の開示の実施形態による同調可能共振器/スロット1110を示している。同調可能スロット1110は、アイリス/スロット1112と、放射パッチ1111と、アイリス1112とパッチ1111の間に配置された液晶1113とを含む。一実施形態では、放射パッチ1111は、アイリス1112と同じ場所に配置される。
【0066】
図11Cは、本発明の開示の実施形態による物理的アンテナアパーチャの断面図を示している。アンテナアパーチャは、接地平面1145と、再構成可能共振器層1130に含まれるアイリス層1133内の金属層1136とを含む。アイリス/スロット1112は、金属層1136内の開口部によって定められる。給電波1105は、衛星通信チャネルと適合性のあるマイクロ波周波数を有することができる。給電波1105は、接地平面1145と共振器層1130の間を伝播する。
【0067】
再構成可能共振器層1130はまた、ガスケット層1132及びパッチ層1131を含む。ガスケット層1132は、パッチ層1131とアイリス層1133の間に配置される。一実施形態では、スペーサがガスケット層1132に取って代わることができることに注意されたい。アイリス層1133は、金属層1136として銅層を含むプリント回路基板(PCB)とすることができる。銅層において開口部をエッチングして、スロット1112を形成することができる。一実施形態では、アイリス層1133は、導電性接着層1134によって
図11Cの別の構造(例えば、導波路)に導電的に結合される。
図8に示すような実施形態では、アイリス層は導電性接着層によって導電的に結合されず、代わりに非導電性接着層で結合されることに注意されたい。
【0068】
パッチ層1131はまた、放射パッチ1111として金属を含むPCBとすることができる。一実施形態では、ガスケット層1132は、金属層1136とパッチ1111の間の寸法を定める機械的スタンドオフを提供するスペーサ1139を含む。一実施形態では、スペーサは75ミクロンであるが、他のサイズ(例えば、3−200mm)を使用することができる。同調可能共振器/スロット1110は、パッチ1111、液晶1113、及びアイリス1112を含む。液晶1113のためのチャンバは、スペーサ1139、アイリス層1133、及び金属層1136によって定められる。チャンバに液晶が充填されると、スペーサ1139上にパッチ層1131を積層して共振器層1130内に液晶を密封することができる。
【0069】
パッチ層1131とアイリス層1133の間の電圧を調整して、パッチとスロット1110間の間隙内の液晶を同調させることができる。液晶1113の両端間電圧を調節することにより、スロット1110のキャパシタンスが変化する。従って、キャパシタンスを変化させることにより、スロット1110のリアクタンスを変化させることができる。スロット1110の共振周波数はまた、式:
に従って変化し、ここで、fはスロット1110の共振周波数であり、L及びCは、それぞれスロット1110のインダクタンス及びキャパシタンスである。スロット1110の共振周波数は、導波路を伝播する給電波1105から放射されるエネルギに影響を及ぼす。一例として、給電波1105が20GHzである場合に、スロット1110の共振周波数を17GHzに調節して(キャパシタンスを変化させることにより)、スロット1110が給電波1105からのエネルギを実質的に結合させないようにすることができる。これに代えて、スロット1110の共振周波数を20GHzに調節して、スロット1110が給電波1105からのエネルギを結合させ、そのエネルギを自由空間に放射するようにすることができる。与えた例は2値的(完全な放射又は全くの無放射)であるが、スロット1110のリアクタンス及び従って共振周波数の完全なグレイスケール制御は、多値範囲にわたる電圧変化を使用して可能である。従って、各スロット1110から放射されるエネルギは細かく制御可能なので、精緻なホログラフィック回折パターンを同調可能スロットのアレイによって形成することができる。
【0070】
一実施形態では、列内の同調可能スロットは、互いからλ/5だけ離間している。他の間隔を使用することもできる。一実施形態では、列内の各同調可能スロットは、隣接する列内の最も近い同調可能スロットからλ/2だけ離間し、従って、異なる列内の共通に方向付けられた同調可能スロットはλ/4だけ離間するが、他の間隔も可能である(例えば、λ/5、λ/6.3)。別の実施形態では、列内の各同調可能スロットは、隣接する列内の最も近い同調可能スロットからλ/3だけ離間する。
【0071】
本発明の実施形態は、市場の多重アパーチャの必要性に対して2014年11月21日出願の「ステアリング可能円筒給電式ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御」という名称の米国特許出願第14/550,178号明細書、及び2015年1月30日出願の「再構成可能アンテナのためのリッジ型導波路給電構造」という名称の米国特許出願第14/610,502号明細書に説明されているような再構成可能メタマテリアル技術を使用する。
【0072】
図12A−Dは、スロット式アレイを作成するための異なる層の一実施形態を示している。
図12Aは、位置がスロットに対応した第1のアイリス基板層を示している。
図12Aを参照すると、円は、アイリス基板/ガラスの底側におけるメタライゼーション内の開放エリア/スロットであり、素子の給電装置(給電波)への結合を制御するためのものである。この層は任意的な層であり、全ての設計に使用される訳ではない。
図12Bは、スロットを含有する第2のアイリス基板層を示している。
図12Cは、第2のアイリス基板層の上のパッチを示している。
図12Dは、スロット式アレイの上面図を示している。
【0073】
図13は、外向き波を有するアンテナシステムの別の実施形態を示している。
図13を参照すると、接地平面1302は、RFアレイ1316と実質的に平行であり、その間に誘電体層1312(例えば、プラスチック層など)がある。RF吸収体1319(例えば、抵抗器)は、接地平面1302とRFアレイ1316を互いに結合させる。同軸ピン1301(例えば、50Ω)が、アンテナを給電する。
【0074】
作動中に、給電波は、同軸ピン1315を通して給電され、同心的に外方に進み、かつRFアレイ1316の素子と相互作用する。
【0075】
作動中に、給電波は、同軸ピン1301を通して給電され、同心的に外方に進み、かつRFアレイ1316の素子と相互作用する。
【0076】
図13のアンテナ内の円筒形給電は、アンテナの走査角度を改善する。±45度の方位角(±45°Az)及び±25度の仰角(±25°El)の走査角度の代わりに、一実施形態では、アンテナシステムは、ボアサイトから全方向に75度の走査角度を有する。多くの個々の放射体から構成されるあらゆるビーム形成アンテナの場合と同様に、全体的なアンテナ利得は、それ自体が角度依存性である構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子を使用する場合に、ビームをボアサイトから更に遠くに指向させる時に、全体的なアンテナ利得は、一般的に減少する。ボアサイトから75度では、約6dBの著しい利得低下が予想される。
【0077】
例示的システム実施形態
一実施形態では、複合アンテナアパーチャは、セットトップボックスと共に作動するテレビジョンシステムに使用される。例えば、二重受信アンテナの場合に、アンテナによって受信された衛星信号は、テレビジョンシステムのセットトップボックス(例えば、DirectTV受信機)に提供される。より具体的は、複合アンテナ作動は、2つの異なる周波数及び/又は偏波でRF信号を同時に受信することができる。すなわち、素子の1つのサブアレイは、1つの周波数及び/又は偏波でRF信号を受信するように制御され、一方、別のサブアレイは、別の異なる周波数及び/又は偏波で信号を受信するように制御される。周波数又は偏波のこれらの相違は、異なるチャネルがテレビジョンシステムによって受信されていることを表している。同様に、2つのアンテナアレイは、2つの異なる位置(例えば、2つの異なる衛星)からチャネルを受信するための2つの異なるビーム位置に対して制御され、複数のチャネルを同時に受信することができる。
【0078】
図14Aは、テレビジョンシステムにおいて二重受信を同時に実行する通信システムの一実施形態のブロック図である。
図14Aを参照すると、アンテナ1401は、上述のように異なる周波数及び/又は偏波で二重受信を同時に実行するために独立して作動可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアパーチャを含む。僅か2つだけの空間的に交互配置されたアンテナ作動を説明しているが、TVシステムは2よりも多いアンテナアパーチャ(例えば、3つ、4つ、5つなどのようなアンテナアパーチャ)を有することができることに注意されたい。
【0079】
一実施形態では、2つの交互配置されたスロット式アレイを含むアンテナ1401は、ダイプレクサ1430に結合される。その結合は、ダイプレクサ1430に供給される2つの信号を生成するために、2つのスロット式アレイの素子から信号を受信する1又は2以上の給電ネットワークを含むことができる。一実施形態では、ダイプレクサ1430は、市販のダイプレクサ(例えば、A1 MicrowaveからのモデルPB1081WA Ku帯域シトコムダイプレクサ)である。
【0080】
ダイプレクサ1430は、1対の低ノイズ遮断ダウンコンバータ(LNB)1426及び1427に結合され、それらは、当業技術で公知の方式でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅を実行する。一実施形態では、LNB1426及び1427は、室外ユニット(ODU)内にある。別の実施形態では、LNB1426及び1427は、アンテナ装置に統合される。LNB1426及び1427は、テレビジョン1403に結合されたセットトップボックス1402に結合される。
【0081】
セットトップボックス1402は、ダイプレクサ1430から出力された2つの信号をデジタル形式に変換するためにLNB1426及び1427に結合された1対のアナログ/デジタル変換器(ADC)1421及び1422を含む。
【0082】
デジタル形式に変換された状態で、信号は復調器1423により復調され、かつ復号器1424により復号されて受信波上に符号化されたデータが得られる。復号されたデータは、次に、それをテレビジョン1403に送るコントローラ1425に送られる。
【0083】
コントローラ1450は、単一複合物理的アパーチャ上の両方のアンテナアパーチャの交互配置されたスロット式アレイ素子を含むアンテナ1401を制御する。
【0084】
完全二重通信システムの例
別の実施形態では、複合アンテナアパーチャは、完全二重通信システムに使用される。
図14Bは、同時送信及び受信経路を有する通信システムの別の実施形態のブロック図である。1つの送信経路と1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは、1よりも多い送信経路及び/又は1よりも多い受信経路を含むことができる。
【0085】
図14Bを参照すると、アンテナ1401は、上述のように異なる周波数で送信及び受信を同時に実行するために、独立して作動可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含む。一実施形態では、アンテナ1401はダイプレクサ1445に結合される。その結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。一実施形態では、放射状給電アンテナの場合に、ダイプレクサ1445は、2つの信号を組み合わせるものであり、アンテナ1401とダイプレクサ1445の間の接続は、両方の周波数を搬送することができる単一広帯域給電ネットワークである。
【0086】
ダイプレクサ1445は、低ノイズ遮断ダウンコンバータ(LNB)1427に結合され、それは、当業技術で公知の方式でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅を実行する。一実施形態では、LNB1427は、室外ユニット(ODU)内にある。別の実施形態では、LNB1427は、アンテナ装置に統合される。LNB1427は、コンピューティングシステム1440(例えば、コンピュータシステム、モデムなど)に結合されたモデム1460に結合される。
【0087】
モデム1460は、ダイプレクサ1445から受信された信号出力をデジタル形式に変換するためにLNB1427に結合されたアナログ/デジタル変換器(ADC)1422を含む。デジタル形式に変換された状態で、信号は、復調器1423により復調され、かつ復号器1424により復号されて受信波上に符号化されたデータが得られる。復号されたデータは、次に、それをコンピューティングシステム1440に送るコントローラ1425に送られる。
【0088】
モデム1460はまた、コンピューティングシステム1440から送信されたデータを符号化する符号器1430を含む。符号化されたデータは、変調器1431によって変調され、次に、デジタル/アナログ変換器(DAC)1432によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)1433によってフィルタリングされ、ダイプレクサ1433の1つのポートに供給される。一実施形態では、BUC1433は、室外ユニット(ODU)内にある。
【0089】
当業技術で公知の方式で作動するダイプレクサ1445は、送信のために送信信号をアンテナ1401に供給する。
【0090】
コントローラ1450は、単一複合物理的アパーチャ上のアンテナ素子の2つのアレイを含むアンテナ1401を制御する。
【0091】
図14Bに示す完全二重通信システムは、以下に限定されるものではないが、インターネット通信、車両通信(ソフトウエア更新を含む)などを含むいくつかの用途を有することに注意されたい。
【0092】
以上の詳細説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現の言葉で提示されている。これらのアルゴリズミックな説明及び表現は、データ処理技術分野の当業者により、自らの仕事の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるのに使用される手段である。アルゴリズムは、ここではかつ一般的に、望ましい結果に至る自己矛盾のない一連の段階であると考えられる。これらの段階は、物理量の物理的操作を必要とする段階である。典型的に、必ずしもそうではないが、これらの量は、格納、転送、結合、比較、及び他の操作が可能な電気信号又は磁気信号の形式を取る。これらの信号をビット、値、要素、記号、符号、用語、又は数字などとして言及することは、主として共通使用という理由で時に有利であることが判明している。
【0093】
しかし、これらの用語及び類似の用語は、全て適切な物理量に関連付けられるものとし、かつこれらの量に付与される有利なラベルに過ぎないことに注意されたい。以下の説明から明らかなように、特に明記しない限り、説明全体を通して、「処理する」又は「演算する」又は「計算する」又は「決定する」又は「表示する」などのような用語を利用する説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(電子的な)量として表されるデータをそのコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報ストレージ、送信又は表示デバイス内の物理量として同様に表される別のデータに操作及び変換するコンピュータシステム又は類似の電子コンピュータデバイスのアクション及び処理を指すことが認められる。
【0094】
本発明はまた、本明細書の作動を実行するための装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構成することができ、又はコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを有することができる。このようなコンピュータプログラムは、以下に限定されるものではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD−ROM、及び光磁気ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、又は電子命令の格納に適するあらゆるタイプの媒体のようなコンピュータ可読ストレージ媒体に格納することができ、各々がコンピュータシステムバスに結合される。
【0095】
本明細書に提示したアルゴリズム及び表示は、いずれの特定のコンピュータ又は他の装置とも本質的に関連付けられたものではない。様々な汎用システムを本明細書の教示によるプログラムと共に使用することができ、又は必要とされる方法段階を実行するより特殊化された装置を構成することが有利であることが判明する場合がある。様々なこれらのシステムに必要とされる構造は、以下の説明から明らかであろう。これに加えて、本発明は、いずれの特定のプログラミング言語に関連しても説明されていない。様々なプログラミング言語を使用して、本明細書に説明した本発明の教示を実施することができることが認められるであろう。
【0096】
機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読な形式で情報を格納するか又は伝えるあらゆる機構を含む。例えば、機械可読媒体は、読取専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスクストレージ媒体、光ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイスなどを含む。
【0097】
以上の説明を読んだ後に本発明の多くの代替及び修正が当業者には明らかになるであろうが、例示的に図示かつ説明したいずれの特定の実施形態も限定的であるように決して意図していないことは理解されるものとする。従って、様々な実施形態の詳細への言及は、本発明に必要不可欠であると見なされる特徴のみを本質的に列挙する特許請求の範囲を限定するように意図していない。
【符号の説明】
【0098】
Ka Ka帯域
Ku Ku帯域