特許第6761486号(P6761486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6761486回転型操作装置、回転型操作装置の制御方法、及び回転型操作装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761486
(24)【登録日】2020年9月8日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】回転型操作装置、回転型操作装置の制御方法、及び回転型操作装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20200910BHJP
   H01H 19/20 20060101ALI20200910BHJP
   H01H 19/02 20060101ALI20200910BHJP
   H01H 9/16 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   G06F3/01 560
   H01H19/20 C
   H01H19/02 A
   H01H9/16 G
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-563292(P2018-563292)
(86)(22)【出願日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】JP2018000476
(87)【国際公開番号】WO2018135371
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2019年3月8日
(31)【優先権主張番号】特願2017-8778(P2017-8778)
(32)【優先日】2017年1月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】夏 イ
(72)【発明者】
【氏名】涌田 宏
(72)【発明者】
【氏名】阿部 拓哉
【審査官】 木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−165281(JP,A)
【文献】 特開2012−155674(JP,A)
【文献】 特開2004−114201(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/208455(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
H01H 9/16
H01H 19/02
H01H 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者による操作を受けて回転可能な操作部材と、
前記操作部材の回転角を検出する回転角センサと、
前記操作部材に対して前記操作部材の回転方向に沿った付与トルクを付与するトルク付与部と、
前記操作部材に摩擦力を付与する摩擦力付与部と、
前記付与トルクと前記摩擦力とを前記回転角に応じて変化させる摩擦トルク制御部と、
複数のパターンデータを記憶した記憶装置と、
を備え
前記摩擦トルク制御部は、前記複数のパターンデータが含む1つのパターンデータのトルクデータに基づいて、前記回転角の1つ以上の角度範囲における前記付与トルクを変化させ、
前記角度範囲が、連続する第1区間と第2区間とを含み、
前記第1区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクが第1の大きさからゼロまで減少する第1サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向とは逆方向の前記付与トルクがゼロから第2の大きさまで上昇する第2サブ区間とを有し、
前記第2区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記逆方向の前記付与トルクが前記第2の大きさからゼロまで減少する第3サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクがゼロから前記第1の大きさまで上昇する第4サブ区間とを有し、
シャープな操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第2区間に対する前記第1区間の比率が、ソフトな操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第2区間に対する前記第1区間の比率より小さい、
回転型操作装置。
【請求項2】
操作者による操作を受けて回転可能な操作部材と、
前記操作部材の回転角を検出する回転角センサと、
前記操作部材に対して前記操作部材の回転方向に沿った付与トルクを付与するトルク付与部と、
前記操作部材に摩擦力を付与する摩擦力付与部と、
前記付与トルクと前記摩擦力とを前記回転角に応じて変化させる摩擦トルク制御部と、
複数のパターンデータを記憶した記憶装置と、
を備え、
前記摩擦トルク制御部は、前記複数のパターンデータが含む1つのパターンデータのトルクデータに基づいて、前記回転角の1つ以上の角度範囲における前記付与トルクを変化させ、
前記角度範囲が、連続する第1区間と第2区間とを含み、
前記第1区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクが第1の大きさからゼロまで減少する第1サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向とは逆方向の前記付与トルクがゼロから第2の大きさまで上昇する第2サブ区間とを有し、
前記第2区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記逆方向の前記付与トルクが前記第2の大きさからゼロまで減少する第3サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクがゼロから前記第1の大きさまで上昇する第4サブ区間とを有し、
判りやすい操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第1の大きさと前記第2の大きさとの和が、判り難い操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第1の大きさと前記第2の大きさとの和より大きい、
回転型操作装置。
【請求項3】
前記付与トルクと前記回転角との関係と、前記摩擦力と前記回転角との関係との少なくとも一方を変更可能とする変更部をさらに備える
請求項1または2に記載の回転型操作装置。
【請求項4】
前記1つのパターンデータの摩擦力データは、前記角度範囲の全体にわたって前記第1の大きさより小さな略一定の定常摩擦力が付与されることを表し、前記角度範囲内の前記第1サブ区間のうち前記付与トルクと前記定常摩擦力との和がゼロになる前記回転角において、前記定常摩擦力を上回る摩擦力が付与されることをさらに表す、
請求項に記載の回転型操作装置。
【請求項5】
前記変更部が、前記第1区間と前記第2区間との比率を変更可能とする、
請求項3または4に記載の回転型操作装置。
【請求項6】
前記変更部が、前記第1の大きさと前記第2の大きさとの和を変更可能とする、
請求項3から5のいずれか一項に記載の回転型操作装置。
【請求項7】
前記変更部が、前記定常摩擦力の大きさを変更可能とする、
請求項に記載の回転型操作装置。
【請求項8】
操作者から操作品質の嗜好に関する入力を受け付ける品質入力部をさらに備え、
前記記憶装置が、前記操作品質の嗜好の各々に対応した複数の前記パターンデータを記憶し、
前記変更部が、前記品質入力部から入力された前記操作品質の嗜好に対応する前記パターンデータを前記記憶装置から選択する、
請求項3から7のいずれか一項に記載の回転型操作装置。
【請求項9】
操作者から操作品質の嗜好に関する入力を受け付ける品質入力部をさらに備え、
前記記憶装置が、前記操作品質の嗜好の各々に対応した複数の前記パターンデータを記憶し、
前記変更部が、前記品質入力部から入力された前記操作品質の嗜好に対応する前記パターンデータを前記記憶装置から選択し、
前記操作品質の嗜好が、シャープな操作感触とソフトな操作感触とを含み、
前記シャープな操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第2区間に対する前記第1区間の比率が、前記ソフトな操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第2区間に対する前記第1区間の比率より小さい、
請求項3から8のいずれか一項に記載の回転型操作装置。
【請求項10】
操作者から操作品質の嗜好に関する入力を受け付ける品質入力部をさらに備え、
前記記憶装置が、前記操作品質の嗜好の各々に対応した複数の前記パターンデータを記憶し、
前記変更部が、前記品質入力部から入力された前記操作品質の嗜好に対応する前記パターンデータを前記記憶装置から選択し、
前記操作品質の嗜好が、判りやすい操作感触と判り難い操作感触とを含み、
前記判りやすい操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第1の大きさと前記第2の大きさとの和が、前記判り難い操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第1の大きさと前記第2の大きさとの和より大きい、
請求項3から9のいずれか一項に記載の回転型操作装置。
【請求項11】
前記トルク付与部が、前記摩擦トルク制御部からの指示に応じて前記操作部材を回転させる電動モータを含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載の回転型操作装置。
【請求項12】
前記摩擦力付与部が、前記操作部材に接触した磁気粘性流体と、前記摩擦トルク制御部からの指示に応じて前記磁気粘性流体の粘性を変化させる磁界制御部とを含む、
請求項1から11のいずれか一項に記載の回転型操作装置。
【請求項13】
操作者による操作を受けて回転可能な操作部材と、
前記操作部材の回転角を検出する回転角センサと、
前記操作部材に対して前記操作部材の回転方向に沿った付与トルクを付与するトルク付与部と、
前記操作部材に摩擦力を付与する摩擦力付与部と、
前記付与トルクと前記摩擦力とを前記回転角に応じて変化させる摩擦トルク制御部と、
前記付与トルクと前記回転角との関係と、前記摩擦力と前記回転角との関係との少なくとも一方を変更可能とする変更部と、
複数のパターンデータを記憶した記憶装置と、
を備え、
前記パターンデータが、トルクデータと摩擦力データとの組み合わせを含み、
前記トルクデータが、前記付与トルクと前記回転角との関係を表し、
前記摩擦力データが、前記摩擦力と前記回転角との関係を表し、
前記変更部が、前記記憶装置から前記パターンデータを選択し、
前記摩擦トルク制御部が、前記選択されたパターンデータに含まれる前記トルクデータに基づいて、前記付与トルクを変化させ、
前記摩擦トルク制御部が、前記選択されたパターンデータに含まれる前記摩擦力データに基づいて、前記摩擦力を変化させ、
前記複数のパターンデータが、1つのパターンデータを含み、
前記1つのパターンデータの前記トルクデータが、前記回転角の1つ以上の角度範囲における前記付与トルクの変化を表し、
前記角度範囲が、連続する第1区間と第2区間とを含み、
前記第1区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクが第1の大きさからゼロまで減少する第1サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向とは逆方向の前記付与トルクがゼロから第2の大きさまで上昇する第2サブ区間とを有し、
前記第2区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記逆方向の前記付与トルクが前記第2の大きさからゼロまで減少する第3サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクがゼロから前記第1の大きさまで上昇する第4サブ区間とを有し、
前記1つのパターンデータの前記摩擦力データが、前記角度範囲における前記摩擦力の変化を表し、
前記摩擦力データは、前記角度範囲の全体にわたって前記第1の大きさより小さな略一定の定常摩擦力が付与されることを表す、
回転型操作装置。
【請求項14】
操作者による操作を受けて回転可能な操作部材と、前記操作部材の回転角を検出する回転角センサと、前記操作部材に対して前記操作部材の回転方向に沿った付与トルクを付与するトルク付与部と、前記操作部材に摩擦力を付与する摩擦力付与部と、前記付与トルクと前記摩擦力とを前記回転角に応じて変化させる摩擦トルク制御部と、複数のパターンデータを記憶した記憶装置と、を備える回転型操作装置の制御方法であって、
前記摩擦トルク制御部により、前記複数のパターンデータが含む1つのパターンデータのトルクデータに基づいて、前記回転角の1つ以上の角度範囲における前記付与トルクを変化させる工程を含み、
前記角度範囲が、連続する第1区間と第2区間とを含み、
前記第1区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクが第1の大きさからゼロまで減少する第1サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向とは逆方向の前記付与トルクがゼロから第2の大きさまで上昇する第2サブ区間とを有し、
前記第2区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記逆方向の前記付与トルクが前記第2の大きさからゼロまで減少する第3サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクがゼロから前記第1の大きさまで上昇する第4サブ区間とを有し、
シャープな操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第2区間に対する前記第1区間の比率が、ソフトな操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第2区間に対する前記第1区間の比率より小さい、
回転型操作装置の制御方法。
【請求項15】
操作者による操作を受けて回転可能な操作部材と、前記操作部材の回転角を検出する回転角センサと、前記操作部材に対して前記操作部材の回転方向に沿った付与トルクを付与するトルク付与部と、前記操作部材に摩擦力を付与する摩擦力付与部と、前記付与トルクと前記摩擦力とを前記回転角に応じて変化させる摩擦トルク制御部と、複数のパターンデータを記憶した記憶装置と、を備える回転型操作装置の制御方法であって、
前記摩擦トルク制御部により、前記複数のパターンデータが含む1つのパターンデータのトルクデータに基づいて、前記回転角の1つ以上の角度範囲における前記付与トルクを変化させる工程を含み、
前記角度範囲が、連続する第1区間と第2区間とを含み、
前記第1区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクが第1の大きさからゼロまで減少する第1サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向とは逆方向の前記付与トルクがゼロから第2の大きさまで上昇する第2サブ区間とを有し、
前記第2区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記逆方向の前記付与トルクが前記第2の大きさからゼロまで減少する第3サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクがゼロから前記第1の大きさまで上昇する第4サブ区間とを有し、
判りやすい操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第1の大きさと前記第2の大きさとの和が、判り難い操作感触に対応する前記パターンデータにおける前記第1の大きさと前記第2の大きさとの和より大きい、
回転型操作装置の制御方法。
【請求項16】
操作者による操作を受けて回転可能な操作部材と、前記操作部材の回転角を検出する回転角センサと、前記操作部材に対して前記操作部材の回転方向に沿った付与トルクを付与するトルク付与部と、前記操作部材に摩擦力を付与する摩擦力付与部と、前記付与トルクと前記摩擦力とを前記回転角に応じて変化させる摩擦トルク制御部と、前記付与トルクと前記回転角との関係と、前記摩擦力と前記回転角との関係との少なくとも一方を変更可能とする変更部と、複数のパターンデータを記憶した記憶装置と、を備える回転型操作装置の制御方法であって、
前記パターンデータが、トルクデータと摩擦力データとの組み合わせを含み、
前記トルクデータが、前記付与トルクと前記回転角との関係を表し、
前記摩擦力データが、前記摩擦力と前記回転角との関係を表し、
前記変更部が、前記記憶装置から前記パターンデータを選択する工程と、
前記摩擦トルク制御部が、前記選択されたパターンデータに含まれる前記トルクデータに基づいて、前記付与トルクを変化させる工程と、
前記摩擦トルク制御部が、前記選択されたパターンデータに含まれる前記摩擦力データに基づいて、前記摩擦力を変化させる工程と
を含み、
前記複数のパターンデータが、1つのパターンデータを含み、
前記1つのパターンデータの前記トルクデータが、前記回転角の1つ以上の角度範囲における前記付与トルクの変化を表し、
前記角度範囲が、連続する第1区間と第2区間とを含み、
前記第1区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクが第1の大きさからゼロまで減少する第1サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向とは逆方向の前記付与トルクがゼロから第2の大きさまで上昇する第2サブ区間とを有し、
前記第2区間が、一方向における前記回転角の変化に伴って前記逆方向の前記付与トルクが前記第2の大きさからゼロまで減少する第3サブ区間と、一方向における前記回転角の変化に伴って前記一方向の前記付与トルクがゼロから前記第1の大きさまで上昇する第4サブ区間とを有し、
前記1つのパターンデータの前記摩擦力データが、前記角度範囲における前記摩擦力の変化を表し、
前記摩擦力データは、前記角度範囲の全体にわたって前記第1の大きさより小さな略一定の定常摩擦力が付与されることを表す、
回転型操作装置の制御方法。
【請求項17】
コンピュータに請求項14から16のいずれか一項に記載の回転型操作装置の制御方法を実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転型操作装置、回転型操作装置の制御方法、及び回転型操作装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
操作者が回転可能な操作部材を回転させることにより、車両のトランスミッションの変更や、オーディオのボリュームの変更などの入力を受け付ける回転型操作装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の力覚付与入力装置は、操作者の操作により回転可能な操作部材と、操作部材にトルクを与えるアクチュエータと、操作部材の回転角を検出する回転角度検知手段と、操作部材の角速度を検出する回転速度検知手段と、回転角と角速度とに応じて電動アクチュエータを制御する制御手段とを備える回転型操作装置である。特許文献1に記載の力覚付与入力装置は、操作者が操作部材を回転させたときに、電動アクチュエータから操作部材に与えるトルクを所定の角度周期で変えることにより、操作部材がどれだけ回転したかという操作感触を抵抗力の変化として生み出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−114201号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の力覚付与入力装置では、トルクの変化のみで操作感触を変化させるので、操作感触が単調になるという不利益がある。また、安定点における振動が発生しやすく、緩急のはっきりとした操作感触を生成することが困難であるという不利益がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、多様な操作感触を生み出すことができる回転型操作装置、回転型操作装置の制御方法、及び回転型操作装置の制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの形態によれば、操作者による操作を受けて回転可能な操作部材と、操作部材の回転角を検出する回転角センサと、操作部材に対して操作部材の回転方向に沿った付与トルクを付与するトルク付与部と、操作部材に摩擦力を付与する摩擦力付与部と、付与トルクと摩擦力とを回転角に応じて変化させる摩擦トルク制御部と、を備える回転型操作装置が提供される。
【0007】
この構成によれば、摩擦トルク制御部が、トルク付与部から操作部材に付与される付与トルクと摩擦力付与部から操作部材に付与される摩擦力とを操作部材の回転角に応じて変化させるので、従来に比べて、多様な操作感触を操作者に与えることができる。
【0008】
好適には本形態の回転型操作装置において、付与トルクと回転角との関係と、摩擦力と回転角との関係との少なくとも一方を変更する変更部をさらに備える。
【0009】
この構成によれば、付与トルクと回転角との関係と摩擦力と回転角との関係との少なくとも一方を変更する変更部をさらに備えるので、多様な操作感触から操作者の欲求に応じた適切な操作感触を操作者に与えることができる。
【0010】
好適には本形態の回転型操作装置において、複数のパターンデータを記憶した記憶装置、をさらに備え、パターンデータが、トルクデータと摩擦力データとの組み合わせを含み、トルクデータが、付与トルクと回転角との関係を表し、摩擦力データが、摩擦力と回転角との関係を表し、変更部が、記憶装置からパターンデータを選択し、摩擦トルク制御部が、選択されたパターンデータに含まれるトルクデータに基づいて、付与トルクを変化させ、摩擦トルク制御部が、選択されたパターンデータに含まれる摩擦力データに基づいて、摩擦力を変化させる。
【0011】
この構成によれば、摩擦トルク制御部が、選択されたパターンデータに含まれるトルクデータに基づいて、付与トルクを変化させることに加え、摩擦トルク制御部が、選択されたパターンデータに含まれる摩擦力データに基づいて、摩擦力を変化させるので、単一のトルクデータと単一の摩擦力データとに固定される場合に比べて多様な操作感触を操作者に与えることができる。
【0012】
好適には本形態の回転型操作装置において、複数のパターンデータが、1つのパターンデータを含み、1つのパターンデータのトルクデータが、回転角の1つ以上の角度範囲における付与トルクの変化を表し、角度範囲が、連続する第1区間と第2区間とを含み、第1区間が、一方向における回転角の変化に伴って一方向の付与トルクが第1の大きさからゼロまで減少する第1サブ区間と、一方向における回転角の変化に伴って一方向とは逆方向の付与トルクがゼロから第2の大きさまで上昇する第2サブ区間とを有し、第2区間が、一方向における回転角の変化に伴って逆方向の付与トルクが第2の大きさからゼロまで減少する第3サブ区間と、一方向における回転角の変化に伴って一方向の付与トルクがゼロから第1の大きさまで上昇する第4サブ区間とを有し、1つのパターンデータの摩擦力データが、角度範囲における摩擦力の変化を表し、摩擦力データは、角度範囲の全体にわたって第1の大きさより小さな略一定の定常摩擦力が付与される。
【0013】
この構成によれば、トルクデータに基づいて、第2の大きさをとる回転角を越えるときに明確な抵抗力を発生させることができるとともに、摩擦力データの定常摩擦力により定常的な重みを発生させることができ、トルクデータと摩擦力データとの組み合わせにより操作者に多様な操作感触を与えることができる。
【0014】
好適には本形態の回転型操作装置において、1つのパターンデータの摩擦力データは、角度範囲内の第1サブ区間のうち付与トルクと定常摩擦力との和がゼロになる回転角において、定常摩擦力を上回る摩擦力が付与される。
【0015】
この構成によれば、角度範囲内の第1サブ区間のうち付与トルクと定常摩擦力との和がゼロになる回転角において、定常摩擦力を上回る摩擦力が付与されるので、付与トルクと定常摩擦力との和がゼロになる安定点における操作部材の振動を防いで、操作者に違和感のない操作感触を与えることができる。
【0016】
好適には本形態の回転型操作装置において、変更部が、第1区間と第2区間との比率を変更可能とする。
【0017】
この構成によれば、変更部が、第1区間と第2区間との比率を変更するので、操作者に多様な操作感触を与えることができる。特に、第2区間に比べて第1区間が短いほど、急激な抵抗の変化が生まれるので、シャープな操作感触を操作者に与えることができる。第2区間に比べて第1区間が長いほど、抵抗力の変化が滑らかになるので、操作者がシャープな操作感触を感じにくくなる。
【0018】
好適には本形態の回転型操作装置において、変更部が、第1の大きさと第2の大きさとの和を変更可能とする。
【0019】
この構成によれば、変更部が、第1の大きさと第2の大きさとの和を変更するので、操作者に多様な操作感触を与えることができる。特に、第1の大きさと第2の大きさとの和が大きい程、操作者が大きな力を加えなければ第1区間を越えられないため、判りやすいクリック操作感触が生まれる。第1の大きさと第2の大きさとの和が小さい程、操作者が小さな力で第1区間を越えられるため、判り難いクリック操作感触が生まれる。
【0020】
好適には本形態の回転型操作装置において、変更部が、定常摩擦力を変更可能とする。
【0021】
この構成によれば、変更部が、定常摩擦力を変更可能であるので、操作者に多様な操作感触を与えることができる。特に、定常摩擦力が大きい程、操作部材が定常的に回しにくくなるので、重い操作感触が生まれる。定常摩擦力が小さい程、操作部材が定常的に回し易くなるので、軽い操作感触が生まれる。
【0022】
好適には本形態の回転型操作装置において、操作者から操作品質の嗜好に関する入力を受け付ける品質入力部をさらに備え、記憶装置が、操作品質の嗜好の各々に対応した複数のパターンデータを記憶し、変更部が、品質入力部から入力された操作品質の嗜好に対応するパターンデータを記憶装置から選択する。
【0023】
この構成によれば、変更部は、品質入力部から入力された操作品質の嗜好に対応するパターンデータを記憶装置から選択するので、操作者の望む操作品質の嗜好に対応した操作感触を生み出すことができる。
【0024】
好適には本形態の回転型操作装置において、操作品質の嗜好が、シャープな操作感触とソフトな操作感触とを含み、シャープな操作感触に対応するパターンデータにおける第2区間に対する第1区間の比率が、ソフトな操作感触に対応するパターンデータにおける第2区間に対する第1区間の比率より小さい。
【0025】
この構成によれば、シャープな操作感触に対応するパターンデータにおける第2区間に対する第1区間の比率が、ソフトな操作感触に対応するパターンデータにおける第2区間に対する第1区間の比率より小さいので、シャープな操作感触を与える目的においては、シャープな操作感触を選択するほど、操作者にシャープな操作感触を感じさせることができる。
【0026】
好適には本形態の回転型操作装置において、操作品質の嗜好が、判りやすい操作感触と判り難い操作感触とを含み、判りやすい操作感触に対応するパターンデータにおける第1の大きさと第2の大きさとの和が、判り難い操作感触に対応するパターンデータにおける第1の大きさと第2の大きさとの和より大きい。
【0027】
この構成によれば、判りやすいクリック操作感触に寄与するパターンデータにおける第1の大きさと第2の大きさとの和が、判り難いクリック操作感触に寄与するパターンデータにおける第1の大きさと第2の大きさとの和より大きいので、判りやすいクリック操作触感を選択するほど、操作者に判りやすい操作感触を感じさせることができる。
【0028】
好適には本形態の回転型操作装置において、トルク付与部が、摩擦トルク制御部からの指示に応じて操作部材を回転させる電動モータを含む。
【0029】
この構成によれば、トルク付与部が、摩擦トルク制御部からの指示に応じて操作部材を回転させる電動モータを含むので、付与トルクを電気的に制御できる。
【0030】
好適には本形態の回転型操作装置において、摩擦力付与部が、操作部材に接触した磁気粘性流体と、摩擦トルク制御部からの指示に応じて磁気粘性流体の粘性を変化させる磁界制御部とを含む。
【0031】
この構成によれば、磁気粘性流体の粘性を変化させることにより、操作部材に付与される抵抗力が変化するので、固体を操作部材に接離して摩擦力を与える場合に比べて、精密で多様な操作感触を付与することができる。
【0032】
また、一つの形態によれば、操作者による操作を受けて回転可能な操作部材と、操作部材の回転角を検出する回転角センサと、操作者による操作を受けて回転可能な操作部材と、操作部材の回転角を検出する回転角センサと、操作部材を回転させる付与トルクを付与するトルク付与部と、操作部材に摩擦力を付与する摩擦力付与部と、付与トルクと摩擦力とを回転角に応じて変化させる摩擦トルク制御部と、付与トルクと回転角との関係と、摩擦力と回転角との関係との少なくとも一方を変更する変更部と、複数のパターンデータを記憶した記憶装置と、を備える回転型操作装置の制御方法であって、パターンデータが、トルクデータと摩擦力データとの組み合わせを含み、トルクデータが、付与トルクと回転角との関係を表し、摩擦力データが、摩擦力と回転角との関係を表し、当該制御方法が、変更部により、記憶装置からパターンデータを選択することと、摩擦トルク制御部により、選択されたパターンデータに含まれるトルクデータに基づいて、付与トルクを変化させることと、摩擦トルク制御部により、選択されたパターンデータに含まれる摩擦力データに基づいて、摩擦力を変化させることと、を含む、回転型操作装置の制御方法が提供される。
【0033】
また、一つの形態によれば、コンピュータに上記の回転型操作装置の制御方法を実行させる制御プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0034】
本開示によれば、多様な操作感触を生み出すことができる回転型操作装置、回転型操作装置の制御方法、及び回転型操作装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施形態に係る回転型操作装置の斜視図である。
図2図1に示す2−2線を通る断面における回転型操作装置の部分切断面図である。
図3図1に示す回転型操作装置の制御系統のブロック図である。
図4】一例におけるトルクデータと付与トルクと摩擦力データと合計トルクとを示すグラフである。
図5】一例における操作品質の嗜好ごとのトルクデータと付与トルクとを示すグラフである。
図6】他の例における操作品質の嗜好ごとのトルクデータと付与トルクとを示すグラフである。
図7図1に示す回転型操作装置の制御方法を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(全体構成)
以下、本実施形態に係る回転型操作装置について説明する。
【0037】
図1は、本実施形態の回転型操作装置100の斜視図である。回転型操作装置100は、筐体101と、筐体101に回転可能に支持された操作部材102と、筐体101に取り付けられた表示入力装置103とを含む。操作部材102は、操作者による操作を受けて回転可能である。回転型操作装置100は、操作部材102の回転角、回転位置、回転速度等の回転に伴うパラメータに応じた出力を生成する。例えば、図示しないオーディオは、操作部材102の回転位置に応じてボリュームを変える。例えば、図示しない車両の制御装置が、操作部材102の回転位置に応じて車両のトランスミッションを切り替える。
【0038】
表示入力装置103は、操作者に対して種々の情報を表示して、操作者からの入力を受けるタッチパネルディスプレイである。他の例において、表示入力装置103は、ダイヤル、スライダー、スイッチなど機械的な部材を動作させることにより、情報の提示と入力の受付とを行うものであってもよい。表示入力装置103は、音声など他の原理で情報の提示と入力の受付とを行うものであってもよい。なお、図1では回転型操作装置100が表示入力装置103を含む態様として示されているが、表示入力装置103を備えていない態様であってもよい。
【0039】
図2は、図1に示す2−2線を通る断面における回転型操作装置100の部分切断面図である。図2の切断面は、操作部材102の回転軸104を通る。図2に示すように、操作部材102は、図1の筐体101外に露出したノブ111と、筐体101内に収容されたシャフト112とを含む。ノブ111の外形は、回転軸104に沿って延びた中心軸をもつ略円柱である。シャフト112は、回転軸104に沿ってノブ111から延びている。シャフト112の外形は、回転軸104に沿って延びた中心軸をもつ略円柱である。ノブ111とシャフト112とは、回転軸104の周りで一体的に回転可能である。
【0040】
操作部材102は、さらに、シャフト112の周りから半径方向に円盤状に広がる検出盤113と、シャフト112の周りから半径方向に円盤状に広がる抵抗盤114とを含む。検出盤113と抵抗盤114とは、シャフト112に固定されており、回転軸104の周りでシャフト112と一体的に回転可能である。
【0041】
図2に示すように、回転型操作装置100(図1)は、筐体101(図1)内に、さらに、操作部材102の回転角を検出する回転角センサ105と、操作部材102に対して操作部材102の回転方向に沿ったトルク(以下、付与トルクと呼ぶ場合がある)を付与するトルク付与部106と、操作部材102に摩擦力を付与する摩擦力付与部107とを含む。
(回転角センサ)
回転角センサ105は、検出盤113の外周縁付近に近接して配置されたロータリーエンコーダである。検出盤113には、外周縁付近に複数の穴が形成されている。回転角センサ105は、検出盤113に設けられた穴を光学的に検知することにより、回転軸104の周りにおける操作部材102の回転角を検出する。他の例において、回転角センサ105は、他の原理で回転角を検出してもよい。例えば、回転角センサ105は、シャフト112に固定された永久磁石の動きを、磁気的に検知してもよい。
(トルク付与部)
図2に示すように、トルク付与部106は、シャフト112に固定されてシャフト112と一体的に回転する複数の回転子121と、回転子121に対向して配置された複数の固定子122とを含むステッピングモータである。回転子121は、永久磁石である。固定子122は、コイルである。固定子122にパルス電流を流すと、回転子121と共にシャフト112が回転する。
【0042】
本実施形態では、固定子122に流すパルス電流の大きさに応じて、シャフト112に加わる付与トルクが変化する。付与トルクの大きさは、パルス電流の大きさに比例する。複数の固定子122に流すパルス電流の位相に応じて、付与トルクの方向が決まる。他の例において、トルク付与部106は、ステッピングモータ以外の他の電動モータ、例えば直流モータにより操作部材102に付与トルクを付与してもよい。トルク付与部106は、他の原理により操作部材102に付与トルクを付与してもよい。
(摩擦力付与部)
図2に示すように、摩擦力付与部107は、操作部材102のシャフト112の周りに配置されたドーナツ状のコイルケース131と、コイルケース131内でシャフト112の周りにドーナツ状に巻かれた巻線により構成される磁界制御部132とを含む。コイルケース131は、回転軸104に略直交した平面に沿って広がる対向面133をもつ。対向面133は、抵抗盤114の一方の面に近接配置されている。摩擦力付与部107は、対向面133と抵抗盤114の一方の面との間に配置された磁気粘性流体134をさらに含む。磁気粘性流体134は、コイルケース131と抵抗盤114との両方に接触している。磁気粘性流体134は、図示しないシール部材によって、流出するのが規制されている。
【0043】
磁界制御部132に流れる電流に応じて、磁気粘性流体134を通る磁界が変化し、その結果、磁気粘性流体134を構成する粒子の結合力が変化する。結合力の変化に応じて、磁気粘性流体134と抵抗盤114との間の摩擦力が変化する。本実施形態では、操作部材102に加わる摩擦力は、磁界制御部132に流れる電流の増加に応じて増大する。他の例において、摩擦力付与部107は、他の原理により操作部材102に摩擦力を付与してもよい。例えば、機械的に部材を操作部材102に接触させるブレーキであってもよく、電磁的なブレーキであってもよい。
(制御系統)
図3は、図1に示す回転型操作装置100の制御系統のブロック図である。回転型操作装置100は、記憶装置108と演算処理装置109とをさらに含む。
(記憶装置)
記憶装置108は、制御プログラム141と複数のパターンデータ142とを記憶する。制御プログラム141は、演算処理装置109によって読み出されて、演算処理装置109に動作方法の一部を行うための機能、及び他の機能を実装させる。演算処理装置109が種々の機能を実行するとき、記憶装置108は、演算処理装置109に制御されて、適宜必要な情報を記憶する。記憶装置108は、非一時的な有形の記憶媒体である。記憶装置108は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)を含む。記憶装置108は、揮発性または不揮発性の記憶媒体である。記憶装置108は、取り外し可能であってもよく、取り外し不能であってもよい。
【0044】
パターンデータ142の各々は、トルクデータ143と摩擦力データ144との組み合わせを含む。トルクデータ143は、操作部材102の回転角とトルク付与部106に対する制御信号との関係を表す。後述のように、付与トルクの大きさは、制御信号の大きさに比例し、付与トルクの方向は、制御信号の正負によって決まる。従って、トルクデータ143は、操作部材102の回転角と付与トルクとの対応関係を間接的に表す。摩擦力データ144は、操作部材102の回転角と操作部材102に与える摩擦力との対応関係を表す。摩擦力付与部107の磁界制御部132に流す電流の増加が、操作部材102に加わる摩擦力を増大させるので、摩擦力データ144は、磁界制御部132に流す電流の大きさ(すなわち、電流値)により間接的に摩擦力を表す。
(演算処理装置)
演算処理装置109は、記憶装置108に記憶された制御プログラム141を読み出して実行することにより、品質入力部151と変更部152と摩擦トルク制御部153として機能する。本実施形態の演算処理装置109は、汎用コンピュータであるが、特定用途向け集積回路(ASIC;application specific integrated circuits)であってもよく、本実施形態で説明される各機能を実装可能な他の回路であってもよい。
【0045】
品質入力部151は、表示入力装置103に、操作品質の嗜好を選択する画面を表示して、操作者から操作品質の嗜好に関する入力を受け付ける。品質入力部151は、画面に操作品質の嗜好を選択するボタンを表示して、押されたボタンに応じて操作品質の嗜好を決定する。他の例において、ダイヤル、スライダー、数値などを表示して、操作品質の嗜好に関する入力を受け付けてもよい。記憶装置108には、予め、操作品質の嗜好に対応した複数のパターンデータ142が記憶されている。パターンデータ142の詳細については後述する。
【0046】
変更部152は、品質入力部151から入力された操作品質の嗜好に対応するパターンデータ142を記憶装置108から選択する。変更部152は、パターンデータ142の選択を通じて、結果的に、回転角に応じて摩擦力付与部107により付与される摩擦力と、回転角に応じてトルク付与部106により付与される付与トルクとを変更可能である。
【0047】
摩擦トルク制御部153は、選択されたパターンデータ142に含まれるトルクデータ143に基づいて、回転角に応じてトルク付与部106により付与される付与トルクを変化させる。摩擦トルク制御部153は、選択されたパターンデータ142に含まれる摩擦力データ144に基づいて、回転角に応じて摩擦力付与部107により付与される摩擦力を変化可能である。摩擦トルク制御部153からの指示に応じて、トルク付与部106のステッピングモータが操作部材102を回転させる。摩擦トルク制御部153からの指示に応じて、摩擦力付与部107が磁界制御部132に流れる電流を変化させることにより、磁気粘性流体134(図2)の粘性を変化させる。
(パターンデータと付与トルク)
図4は、一例におけるある1つのパターンデータ142(図3)に含まれるトルクデータ143と、摩擦力データ144とを示すグラフである。また、図4には、トルクデータ143に基づいて操作部材102に付与される付与トルク161と、摩擦力データ144に基づいて操作部材102に付与される摩擦力と付与トルク161とを合計した合計トルク162とも示す。本実施形態のパターンデータ142(図3)は、操作部材102(図2)の回転方向を正方向として適用される。逆回転する場合には、新たな回転方向を正方向として、パターンデータ142(図3)が適用される。
【0048】
図4に示すトルクデータ143は、360度の回転角とトルク付与部106に送る制御信号との関係を表す。ただし、図4では、360度の回転角のうちの一部を拡大して描いている。
【0049】
トルクデータ143の制御信号の大きさは、固定子122(図2)に流すパルス電流の大きさを表す。制御信号が正の場合、付与トルク161が正となり、操作部材102(図2)に負方向(すなわち、回転方向の逆方向)の付与トルクが加わる結果、操作者が抵抗力を感じる。制御信号が負の場合、付与トルク161が負となり、操作部材102(図2)に正方向(すなわち、回転方向)の付与トルクが加わり、操作者が推進力を感じる。
【0050】
360度の回転角は、連続的な12個の角度範囲R0(R0−1〜R0−12)に等分される。図4では、12個の角度範囲R0に含まれる第1角度範囲R0−1と第2角度範囲R0−2とを拡大して描いている。1つの角度範囲R0は、30度の回転角に対応する。角度範囲R0の各々は、連続する第1区間R1と第2区間R2とを含む。第1区間R1の後に第2区間R2が続く。第1区間R1は、第1サブ区間S1と第2サブ区間S2とを有する。第2区間R2は、第3サブ区間S3と第4サブ区間S4とを有する。角度範囲R0は、第1サブ区間S1から始まり、第2サブ区間S2と第3サブ区間S3と第4サブ区間S4とが正方向において順に続く。
【0051】
回転角A1から回転角A2までの第1サブ区間S1では、制御信号の符号が負であり、正方向における回転角の変化に伴って、制御信号の大きさ(すなわち、絶対値)がC1からゼロまで略直線的に減少する。これに対応して、第1サブ区間S1では、付与トルク161の符号が負(すなわち、付与トルク161が回転方向を向く)であり、付与トルク161の絶対値が、第1の大きさT1からゼロまで徐々に減少する。
【0052】
回転角A2から回転角A3までの第2サブ区間S2では、制御信号の符号が正であり、正方向における回転角の変化に伴って、制御信号の大きさがゼロからC2まで略直線的に増加する。第2サブ区間S2における制御信号の傾きは、第1サブ区間S1における制御信号の傾きと略同一である。これに対応して、第2サブ区間S2では、付与トルク161の符号が正(すなわち、付与トルク161が回転方向とは逆方向を向く)であり、付与トルク161の絶対値が、ゼロから第2の大きさT2まで徐々に上昇する。
【0053】
回転角A3から回転角A4までの第3サブ区間S3では、制御信号の符号が正であり、正方向における回転角の変化に伴って、制御信号の大きさがC2からゼロまで略直線的に減少する。これに対応して、第3サブ区間S3では、付与トルク161の符号が正(すなわち、付与トルク161が回転方向とは逆方向を向く)であり、付与トルク161の絶対値が、第2の大きさT2からゼロまで徐々に減少する。
【0054】
回転角A4から次の角度範囲R0の最初の回転角A1までの第4サブ区間S4では、制御信号の符号が負であり、正方向における回転角の変化に伴って、制御信号の大きさ(すなわち、絶対値)がゼロからC1まで略直線的に増加する。第4サブ区間S4における制御信号の傾きは、第3サブ区間S3における制御信号の傾きと略同一である。これに対応して、第4サブ区間S4では、付与トルク161の符号が負(すなわち、付与トルク161が回転方向を向く)であり、付与トルク161の絶対値が、ゼロから第1の大きさT1まで徐々に上昇する。
【0055】
付与トルク161は、回転角A1付近と回転角A3付近とにおいて、正弦波のようになだらかに変化する。
【0056】
図4に示す摩擦力データ144は、360度の回転角に対する、摩擦力付与部107に流す電流の大きさ(すなわち、電流値)の変化を表す。ただし、図4では、360度のうちの一部のみを拡大して描いている。摩擦力データ144に示すように、各角度範囲R0の全体にわたって、略一定の電流値C3の電流が印加される。その結果、合計トルク162は、付与トルク161を定常摩擦力T3ぶん増加したものとなる。定常摩擦力T3は、第1の大きさT1より小さい。すなわち、合計トルク162は、いずれかの回転角で必ずゼロを取る。
【0057】
摩擦力データ144に示すように、第1サブ区間S1のうち、合計トルク162がゼロになる回転角A5を含む一定期間にわたって、電流値C3を上回る電流値C4のパルス状の電流がさらに印加される。その結果、回転角A5付近において、定常摩擦力T3を上回る摩擦力が付与される。ただし、図4に示す合計トルク162には、定常摩擦力T3を上回る摩擦力は省略しており、反映していない。
【0058】
全体として、概ね、安定点である回転角A5に向かう合計トルク162が操作部材102に付与される。回転角A5から操作部材102を正方向に回転させると、回転角A3まで、操作部材102に付与される負方向の合計トルク162の大きさが徐々に大きくなる。その結果、操作者は徐々に大きくなる抵抗力を感じる。回転角A3を通り抜けると、操作部材102に付与される負方向の合計トルク162の大きさが徐々に小さくなるので、操作者は抵抗力をあまり感じずに、回転角A3を乗り越えるときの勢いで操作部材102を正方向に進めることができる。回転角A4を越えてしばらくすると合計トルク162がゼロに達する。その後、操作部材102に正方向の合計トルク162が付与され、操作者は次の角度範囲R0の回転角A5に引かれる感触を受ける。回転角A5付近において、定常摩擦力T3を上回る摩擦力が付与されるので、操作者は、操作部材102を大きく振動させずに回転角A5で止めることができる。
(トルクデータの違い)
図5は、一例における操作品質の嗜好ごとの、図4に示すトルクデータ143と付与トルク161とを示すグラフである。第1トルクデータ143aは、判り難い操作感触に対応するパターンデータ142(図3)に含まれるトルクデータ143の1つである。第2トルクデータ143bは、判りやすい操作感触に対応するパターンデータ142(図3)に含まれるトルクデータ143の1つである。第1付与トルク161aは、第1トルクデータ143aに基づいて操作部材102に付与されるトルクを表す。第2付与トルク161bは、第2トルクデータ143bに基づいて操作部材102に付与されるトルクを表す。
【0059】
図5に示す第1トルクデータ143aの制御信号の波形と、第2トルクデータ143bの制御信号の波形とは、いずれも、図4に示すトルクデータ143を縦軸方向に伸縮した形状をもつ。第1トルクデータ143aの制御信号と、第2トルクデータ143bの制御信号とは、いずれも、回転角A2と回転角A4とにおいてゼロとなる。第1トルクデータ143aの制御信号は、回転角A1において−C1aをとり、回転角A3においてC2aをとる。第2トルクデータ143bの制御信号は、回転角A1において−C1bをとり、回転角A3においてC2bをとる。
【0060】
第1トルクデータ143aにおける第1の大きさC1aは、第2トルクデータ143bの制御信号における第1の大きさC1bよりも小さい。第1トルクデータ143aにおける第2の大きさC2aは、第2トルクデータ143bの制御信号における第2の大きさC2bよりも小さい。
【0061】
図5に示す第1付与トルク161aの波形と、第2付与トルク161bの波形とは、いずれも、図4に示す付与トルク161を縦軸方向に伸縮した形状をもつ。第1付与トルク161aと、第2付与トルク161bとは、いずれも、回転角A2と回転角A4とにおいてゼロとなる。第1付与トルク161aは、回転角A1において−T1aをとり、回転角A3においてT2aをとる。第2付与トルク161bは、回転角A1において−T1bをとり、回転角A3においてT2bをとる。
【0062】
第1付与トルク161aの第1の大きさT1aは、第2付与トルク161bの第1の大きさT1bよりも小さい。第1付与トルク161aの第2の大きさT2aは、第2付与トルク161bの第2の大きさT2bよりも小さい。すなわち、判り難いクリック操作感触に対応するパターンデータ142における第1の大きさT1aと第2の大きさT2aとの和は、判りやすいクリック操作感触に対応するパターンデータ142における第1の大きさT1bと第2の大きさT2bとの和より小さい。これは、第1の大きさT1(図4)と第2の大きさT2(図4)との和が大きいほど操作者が判りやすいと感じることが、実験的に確認されたことに基づく。また、定常摩擦力T3(図4)を大きくするとクリック操作感触を感じ難くなることが実験的に確認され、クリック操作感触を変えず重い操作感触に変えたいときには、定常摩擦力T3を大きくすると同時に第1の大きさT1と第2の大きさT2との和を大きくするのがよい。
(他の例におけるトルクデータの違い)
図6は、他の例における操作品質の嗜好ごとの、図4に示すトルクデータ143と付与トルク161とを示すグラフである。第3トルクデータ143cは、ソフトな操作感触に対応するパターンデータ142(図3)に含まれるトルクデータ143の1つである。第4トルクデータ143dは、シャープな操作感触に対応するパターンデータ142(図3)に含まれるトルクデータ143の1つである。第3付与トルク161cは、第3トルクデータ143cに基づいて操作部材102に付与されるトルクを表す。第4付与トルク161dは、第4トルクデータ143dに基づいて操作部材102に付与されるトルクを表す。
【0063】
図6に示す第3トルクデータ143cの制御信号の波形と、第4トルクデータ143dの制御信号の波形とは、いずれも、図4に示すトルクデータ143の制御信号の波形である。図6に示す第3付与トルク161cと第4付与トルク161dとは、いずれも、図4に示す付与トルク161である。図6に関する説明と図4に関する説明とにおいて、同じ名称で異なる符号を付しているものは、互いに対応している。符号の末尾がcの情報は、第3トルクデータ143cと第3付与トルク161cとに関連する情報を表す。符号の末尾がdのものは、第4トルクデータ143dと第4付与トルク161dとに関連する情報を表す。
【0064】
図6に示すように、第3トルクデータ143cの制御信号と第4トルクデータ143dの制御信号とは、いずれも、回転角A2と回転角A4とにおいてゼロとなる。すなわち、安定点は一定である。第4トルクデータ143dの第1サブ区間S1dは、第3トルクデータ143cの第1サブ区間S1cに比べて短い。第4トルクデータ143dの第2サブ区間S2dは、第3トルクデータ143cの第2サブ区間S2cに比べて短い。第4トルクデータ143dの第3サブ区間S3dは、第3トルクデータ143cの第3サブ区間S3cに比べて長い。第4トルクデータ143dの第4サブ区間S4dは、第3トルクデータ143cの第4サブ区間S4cに比べて長い。
【0065】
第4トルクデータ143dの制御信号の第1区間R1dにおける傾きは、第3トルクデータ143cの制御信号の第1区間R1cにおける傾きより大きい。第4トルクデータ143dの制御信号の第2区間R2dにおける傾きは、第3トルクデータ143cの制御信号の第2区間R2cにおける傾きより小さい。これに伴って、第4付与トルク161dの第1区間R1dにおける変化は、第3付与トルク161cの第1区間R1cにおける変化より急激である。第4付与トルク161dの第2区間R2dにおける変化は、第3付与トルク161cの第2区間R2cにおける変化より緩やかである。
【0066】
すなわち、シャープな操作感触に対応するパターンデータ142(図3)の第4トルクデータ143dにおける第2区間R2dに対する第1区間R1dの比率は、ソフトな操作感触に対応するパターンデータ142(図3)の第3トルクデータ143cにおける第2区間R2cに対する第1区間R1cの比率より小さい。これは、第2区間R2(図4)に対する第1区間R1(図4)の比率が小さいほど操作者がシャープと感じることが、実験的に確認されたことに基づく。また、軽い操作感触(定常摩擦力T3(図4)が小さい)かつシャープな操作感触とすることにより、操作者が軽快に感じることが、実験的に確認されている。また、重い操作感触(定常摩擦力T3(図4)が大きいとき)は、操作者が重厚に感じる一方、クリック操作感触を感じ難くなることが実験的に確認され、この場合にシャープな操作感触を得るためには、第2区間R2に対する第1区間R1の比率を維持したまま、第1の大きさT1と第2の大きさT2との和を大きくするのがよい。
(制御方法)
図7は、図1に示す回転型操作装置100の制御方法を説明するためのフロー図である。以下、回転型操作装置100の制御方法について説明する。
【0067】
まず、ステップ171において、品質入力部151が、表示入力装置103に、操作品質の嗜好を選択する画面を表示して、操作者から操作品質の嗜好に関する入力を受け付ける。品質入力部151は、画面に操作品質の嗜好を選択するボタンを表示して、押されたボタンに応じて操作品質の嗜好を決定する。
【0068】
ステップ171の後、ステップ172において、変更部152は、品質入力部151から入力された操作品質の嗜好に対応するパターンデータ142を記憶装置108から選択する。
【0069】
ステップ172の後、ステップ173において、摩擦トルク制御部153は、選択されたパターンデータ142に含まれるトルクデータ143に基づいて、トルク付与部106から操作部材102に付与される付与トルクを、回転角センサ105で検出された回転角に応じて変化させる。摩擦トルク制御部153は、例えば図4に示すトルクデータ143の制御信号を生成することにより、トルク付与部106を制御する。トルク付与部106は、制御信号が正のときは、操作部材102の回転方向と逆方向の付与トルクを印加し、制御信号が負のときは、操作部材102の回転方向と同じ方向の付与トルクを印加する。トルク付与部106は、制御信号の大きさに比例した大きさの付与トルクを印加する。
【0070】
さらに、ステップ173において、摩擦トルク制御部153は、選択されたパターンデータ142に含まれる摩擦力データ144に基づいて、摩擦力付与部107から操作部材102に付与される摩擦力を、回転角センサ105で検出された回転角に応じて変化させる。摩擦トルク制御部153は、例えば図4に示す摩擦力データ144から得られる電流値を摩擦力付与部107に通知する。摩擦力付与部107は、摩擦トルク制御部153から通知された電流値の電流を磁界制御部132に流すことにより、磁気粘性流体134(図2)の粘性を変化させる。操作部材102に付与される摩擦力は、磁界制御部132に流す電流値により変化する。ステップ173は、適宜繰り返し実行される。
【0071】
図4に示す本実施形態のトルクデータ143は、すべての角度範囲R0における付与トルクの変化を表すが、他の例において、トルクデータ143は、360度全体に及ばない1つ以上の角度範囲R0に対する付与トルクの変化を表してもよい。本実施形態の摩擦力データ144は、すべての角度範囲R0における摩擦力の変化を表すが、摩擦力データ144は、360度全体に及ばない1つ以上の角度範囲R0に対する摩擦力の変化を表してもよい。
【0072】
一例において、変更部152(図3)は、図4に示す第1区間R1と第2区間R2との比率を変更する。一例において、変更部152(図3)は、図4に示す第1の大きさT1と第2の大きさT2との和を変更する。一例において、変更部152(図3)は、定常摩擦力T3を変更する。一例において、変更部152(図3)は、360度内の角度範囲R0の数を変更する。一例において、変更部152(図3)は、角度範囲R0の長さを変更する。すなわち、角度範囲R0は30度ではなく、30度より広い範囲としてもよく、また狭い範囲としてもよい。
【0073】
他の例において、図3に示す変更部152は、品質入力部151の入力以外の情報に基づいてパターンデータ142を変更してもよい。例えば、変更部152は、パターンデータ142を直接選択する画面を表示入力装置103に表示させて、選択を受け付けてもよい。変更部152は、時間的にパターンデータ142を変更してもよい。変更部152は、ユーザーからの入力に基づいてパターンデータ142の一部または全体を変更してもよい。
【0074】
一例において、変更部152(図3)は、付与トルクと摩擦力との少なくとも一方を、パターンデータ142を介さずに直接変更する。一例において、変更部152(図3)は、数式に基づいて付与トルクと摩擦力との少なくとも一方を変更する。
(まとめ)
本実施形態によれば、摩擦トルク制御部153が、トルク付与部106から操作部材102に付与される付与トルク161と摩擦力付与部107から操作部材102に付与される摩擦力とを操作部材102の回転角に応じて変化させるので、従来に比べて、多様な操作感触を操作者に与えることができる。
【0075】
本実施形態によれば、付与トルク161と回転角との関係と摩擦力と回転角との関係との少なくとも一方を変更する変更部152をさらに備えるので、多様な操作感触から操作者の欲求に応じた適切な操作感触を操作者に与えることができる。
【0076】
本実施形態によれば、摩擦トルク制御部153が、選択されたパターンデータ142に含まれるトルクデータ143に基づいて、付与トルク161を変化させることに加え、摩擦トルク制御部153が、選択されたパターンデータ142に含まれる摩擦力データ144に基づいて、摩擦力を変化させるので、単一のトルクデータ143と単一の摩擦力データ144とに固定される場合に比べて多様な操作感触を操作者に与えることができる。
【0077】
本実施形態によれば、トルクデータ143に基づいて、第2の大きさT2をとる回転角を越えるときに明確な抵抗力を発生させることができるとともに、摩擦力データ144の定常摩擦力により定常的な重みを発生させることができ、トルクデータ143と摩擦力データ144との組み合わせにより操作者に多様な操作感触を与えることができる。
【0078】
本実施形態によれば、角度範囲R0内の第1サブ区間S1のうち付与トルク161と定常摩擦力T3との和がゼロになる回転角において、定常摩擦力T3を上回る摩擦力が付与されるので、付与トルク161と定常摩擦力T3との和がゼロになる安定点における操作部材102の振動を防いで、操作者に違和感のない操作感触を与えることができる。
【0079】
本実施形態によれば、変更部152が、第1区間R1と第2区間R2との比率を変更可能であるので、操作者に多様な操作感触を与えることができる。特に、第2区間R2に比べて第1区間R1が短いほど、急激な抵抗の変化が生まれるので、シャープな操作感触を操作者に与えることができる。第2区間R2に比べて第1区間R1が長いほど、抵抗力の変化が滑らかになるので、操作者がシャープな操作感触を感じにくくなる。
【0080】
本実施形態によれば、変更部152が、第1の大きさT1と第2の大きさT2との和を変更するので、操作者に多様な操作感触を与えることができる。特に、第1の大きさT1と第2の大きさT2との和が大きい程、操作者が大きな力を加えなければ第1区間R1を越えられないため、判りやすいクリック操作感触が生まれる。第1の大きさT1と第2の大きさT2との和が小さい程、操作者が小さな力で第1区間R1を越えられるため、判り難いクリック操作感触が生まれる。
【0081】
本実施形態によれば、変更部152が、定常摩擦力T3を変更可能であるので、操作者に多様な操作感触を与えることができる。特に、定常摩擦力T3が大きい程、操作部材102が定常的に回しにくくなるので、重い操作感触が生まれる。定常摩擦力T3が小さい程、操作部材102が定常的に回し易くなるので、軽い操作感触が生まれる。
【0082】
本実施形態によれば、変更部152は、品質入力部151から入力された操作品質の嗜好に対応するパターンデータ142を記憶装置108から選択するので、操作者の嗜好に対応した操作感触を生み出すことができる。
【0083】
本実施形態によれば、シャープな操作感触に対応するパターンデータ142における第2区間R2に対する第1区間R1の比率が、ソフトな操作感触に対応するパターンデータ142における第2区間R2に対する第1区間R1の比率より小さいので、シャープな操作感触を与える目的においては、シャープな操作感触を選択するほど、操作者にシャープな操作感触を感じさせることができる。
【0084】
本実施形態によれば、判りやすいクリック操作感触に対応するパターンデータ142における第1の大きさT1と第2の大きさT2との和が、判り難いクリック操作感触に対応するパターンデータ142における第1の大きさT1と第2の大きさT2との和より大きいので、判りやすいクリック操作感触を選択するほど、操作者に判りやすい操作感触を感じさせることができる。
【0085】
本実施形態によれば、トルク付与部106が、摩擦トルク制御部153からの指示に応じて操作部材102を回転させる電動モータであるステッピングモータを含むので、付与トルク161を電気的に制御できる。
【0086】
本実施形態によれば、磁気粘性流体134の粘性を変化させることにより、操作部材102に付与される抵抗力が変化するので、固体を操作部材102に接離して摩擦ブレーキ力を与える場合に比べて、精密で多様な操作感触を付与することができる。
【0087】
本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、
コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、操作部材の回転に応じた出力を生成する種々の回転型操作装置に適用可能である。例えば、回転型操作装置は、車両のトランスミッション、オーディオのボリュームを切り替える。
【0089】
本国際出願は2017年1月20日に出願された日本国特許出願2017−008778号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容をここに援用する。
【符号の説明】
【0090】
100…回転型操作装置、102…操作部材、105…回転角センサ、106…トルク付与部、107…摩擦力付与部、108…記憶装置、109…演算処理装置、132…磁界制御部、134…磁気粘性流体、141…制御プログラム、142…パターンデータ、143…トルクデータ、144…摩擦力データ、151…品質入力部、152…変更部、153…摩擦トルク制御部、161…付与トルク、R0…角度範囲、R1…第1区間、R2…第2区間、S1…第1サブ区間、S2…第2サブ区間、S3…第3サブ区間、S4…第4サブ区間、T1…第1の大きさ、T2…第2の大きさ、T3…定常摩擦力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7