特許第6761583号(P6761583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761583
(24)【登録日】2020年9月9日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/48 20060101AFI20200917BHJP
   H04N 1/053 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   H04N1/48
   H04N1/053
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-177501(P2017-177501)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2018-56988(P2018-56988A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月28日
(31)【優先権主張番号】特願2016-186219(P2016-186219)
(32)【優先日】2016年9月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】坂根 広規
【審査官】 豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−051931(JP,A)
【文献】 特開2000−022895(JP,A)
【文献】 特開2011−077573(JP,A)
【文献】 特開2010−259007(JP,A)
【文献】 特開2002−262117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46−62
H04N 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RGBに対応する3つのラインセンサーを備えるイメージセンサーと、
基準解像度を得るための基準読取線速より高い読取線速で前記イメージセンサーの読取位置を副走査方向へ移動させつつ、原稿からの反射光に基づいて前記ラインセンサーで前記副走査方向においてそれぞれ異なる読取位置でのRGBの画素値を検出する読取制御部と、
前記原稿の画像である原稿画像内の各画素について、線画であるか否かを示す画素属性を特定する画素属性特定部と、
前記原稿画像内の注目画素に色付きが発生しているか否かを判定し、前記注目画素に色付きが発生している場合には、前記注目画素の色付きを除去する色付き除去処理を実行する色付き除去部とを備え、
前記色付き除去部は、前記色付き除去処理において、(a)前記注目画素が、線画の前記画素属性を有するカラー画素であり、かつ、(b)前記副走査方向において前記注目画素に対して前後に近接する2つの近接画素の一方が、線画の前記画素属性を有するカラー画素であり、(c)前記注目画素と、線画の前記画素属性を有するカラー画素である前記近接画素との間の色相差が所定の閾値以上である場合、前記注目画素に色付きが発生していると判定し、前記注目画素の色付きを除去すること、
を特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記色付き除去部は、前記色付き除去処理において、(a)前記注目画素が、線画の前記画素属性を有するカラー画素であり、かつ、(b)前記2つの近接画素の一方が、線画の前記画素属性を有するカラー画素であり、かつ前記2つの近接画素の他方が、非線画の前記画素属性を有するかグレー画素であり、かつ、(c)前記注目画素と、線画の前記画素属性を有するカラー画素である前記近接画素との間の色相差が所定の閾値以上である場合、前記注目画素に色付きが発生していると判定し、前記注目画素の色付きを除去することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記色付き除去部は、前記基準読取線速の場合には、前記色付き除去処理を実行せず、前記基準読取線速より高い読取線速の場合には、前記色付き除去処理を実行することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記色付き除去部は、前記注目画素のR画素値、G画素値、およびB画素値を、前記R画素値、前記G画素値、および前記B画素値の平均値に置き換えて、前記注目画素の色付きを除去することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記色付き除去部は、前記副走査方向の幅が2画素以下である線画部分における画素を前記注目画素とすることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項6】
RGBに対応する3つのラインセンサーを備えるイメージセンサーと、
基準解像度を得るための基準読取線速より高い読取線速で前記イメージセンサーの読取位置を副走査方向へ移動させつつ、原稿からの反射光に基づいて前記ラインセンサーで前記副走査方向においてそれぞれ異なる読取位置でのRGBの画素値を検出する読取制御部と、
前記原稿の画像である原稿画像内の各画素について、線画であるか否かを示す画素属性を特定する画素属性特定部と、
前記原稿画像内の注目画素に色付きが発生しているか否かを判定し、前記注目画素に色付きが発生している場合には、前記注目画素の色付きを除去する色付き除去処理を実行する色付き除去部とを備え、
前記色付き除去部は、前記色付き除去処理において、(a)前記注目画素が、線画の前記画素属性を有する画素であり、(b)前記副走査方向において前記注目画素に対して近接する近接画素が、線画の前記画素属性を有する画素であり、(c)前記注目画素のR値、G値、およびB値のうちの最大値と最小値との差が所定の閾値以上であり、かつ、前記近接画素のR値、G値、およびB値のうちの最大値と最小値との差が前記所定の閾値以上であり、かつ、(d)前記注目画素の前記最大値の色種別と前記近接画素の前記最小値の色種別とが同一であるか、前記注目画素の前記最小値の色種別と前記近接画素の前記最大値の色種別とが同一である場合、前記注目画素および前記近接画素に色付きが発生していると判定し、前記注目画素および前記近接画素の色付きを除去すること、
を特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の読取速度向上の要求に伴い、ある画像読取装置は、センサーの画素解像度を実現する基準スキャン線速より速くスキャン走査させることで、スキャン速度を高くしている。
【0003】
この場合、所定周期で画素値の読み取りが行われており、スキャン走査速度だけを高くしているので、実際に副走査方向において読み取られる画素数が少なくなり、RGBの各色について、原稿画像のうち、読み取られない部分(画素位置)が発生する。そのため、副走査方向に沿ってグレー画像の濃度が変化している箇所では、RGBのうちの一部の色が他の色とは異なった画素値変化を示し、色付きが発生してしまう。図7は、スキャン速度を高くした場合の色付きの発生について説明するタイミングチャートである。例えば図7に示すように、基準読取線速では、RGBのすべての色について、画素値が検出される画素位置が同一になっているため、副走査方向に沿ってグレー画像の濃度が変化している箇所でも、RGBのすべての色が同一の画素値変化を示すため、色付きが発生しない。しかし、読取線速を高くした場合、RおよびBとGとで異なる画素位置で画素値が検出されるため、副走査方向に沿ってグレー画像の濃度が変化している箇所では、RGBのうちの一部の色が他の色とは異なった画素値変化を示し、色付きが発生してしまう。
【0004】
このような、色付きを解消するために、ある画像読取装置は、カラー画素の前後がモノクロ画素である場合、そのカラー画素を異常とみなし、異常画素として検出している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−131861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、主走査方向に延びる細線(無彩色の細線)の場合、副走査方向の幅が狭いため、その細線の位置によっては細線すべてに色付きが発生してしまい、無彩色部分が発生しないときには、上述の技術では、その色付きが発生した画素が検出されない。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、線画の全域に色付きが発生していても、色付きを検出する画像読取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像読取装置は、RGBに対応する3つのラインセンサーを備えるイメージセンサーと、基準解像度を得るための基準読取線速より高い読取線速で前記イメージセンサーの読取位置を前記副走査方向へ移動させつつ、原稿からの反射光に基づいて前記ラインセンサーで副走査方向においてそれぞれ異なる読取位置でのRGBの画素値を検出する読取制御部と、前記原稿の画像である原稿画像内の各画素について、線画であるか否かを示す画素属性を特定する画素属性特定部と、前記原稿画像内の注目画素に色付きが発生しているか否かを判定し、前記注目画素に色付きが発生している場合には、前記注目画素の色付きを除去する色付き除去処理を実行する色付き除去部とを備える。そして、前記色付き除去部は、前記色付き除去処理において、(a)前記注目画素が、線画の前記画素属性を有するカラー画素であり、かつ、(b)前記副走査方向において前記注目画素に対して前後に近接する2つの近接画素の一方が、線画の前記画素属性を有するカラー画素であり、(c)前記注目画素と、線画の前記画素属性を有するカラー画素である前記近接画素との間の色相差が所定の閾値以上である場合、前記注目画素に色付きが発生していると判定し、前記注目画素の色付きを除去する。また、本発明に係る画像読取装置では、前記色付き除去部は、前記色付き除去処理において、(a)前記注目画素が、線画の前記画素属性を有する画素であり、(b)副走査方向において前記注目画素に対して近接する近接画素が、線画の前記画素属性を有する画素であり、(c)前記注目画素のR値、G値、およびB値のうちの最大値と最小値との差が所定の閾値以上であり、かつ、前記近接画素のR値、G値、およびB値のうちの最大値と最小値との差が前記所定の閾値以上であり、かつ、(d)前記注目画素の前記最大値の色種別と前記近接画素の前記最小値の色種別とが同一であるか、前記注目画素の前記最小値の色種別と前記近接画素の前記最大値の色種別とが同一である場合、前記注目画素および前記近接画素に色付きが発生していると判定し、前記注目画素および前記近接画素の色付きを除去するようにしてもよい。


【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、線画の全域に色付きが発生していても、色付きが検出される。
【0010】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の内部構成を示す側面図である。
図2図2は、図1に示す画像読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3図3は、副走査方向において注目画素に近接する近接画素を説明する図である。
図4図4は、実施の形態1における色付き除去部33の動作について説明するフローチャートである。
図5図5は、実施の形態2における近接画素を説明する図である。
図6図6は、実施の形態2における色付き除去部33の動作について説明するフローチャートである。
図7図7は、スキャン速度を高くした場合の色付きの発生について説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
実施の形態1.
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の内部構成を示す側面図である。図1に示す画像読取装置は、スキャナー、複写機、デジタル複合機などといった装置である。図1において、コンタクトガラス1は、当該画像読取装置本体の上面に設置され、画像読取時に原稿が載置される透明な載置台である。また、キャリッジ2は、図示せぬ駆動源によって副走査方向に移動可能に設置されている。キャリッジ2は、光源11とミラー12とを有する。光源11は、主走査方向に沿って配置され、例えば配列された複数の発光ダイオードで光を出射する。光源11から出射された光は、キャリッジ2の位置に応じて、コンタクトガラス1上に載置された原稿に入射する。原稿に入射した光は、原稿の表面で反射する。そして、ミラー12は、原稿からのその反射光をキャリッジ3に向けて反射する。
【0015】
また、キャリッジ3は、図示せぬ駆動源によってキャリッジ2とともに副走査方向に移動可能に設置されている。キャリッジ3は、ミラー13,14を有する。ミラー13,14は、キャリッジ2のミラー12からの光を2度反射して副走査方向に沿って出射する。
【0016】
結像レンズ4は、キャリッジ3のミラー14からの光をイメージセンサー5に結像させる。イメージセンサー5は、RGBに対応する3つのラインセンサー5R,5G,5Bを備え、キャリッジ3のミラー14からの光は、それらのラインセンサー5R,5G,5B上に結像される。各ラインセンサー5R,5G,5Bは、主走査方向に配列された所定の画素数の受光素子を有する1次元イメージセンサーであり、ラインごとに、その画素数の画素についての受光量に対応する電気信号を出力する。ラインセンサー5R,5G,5Bには、例えば、CCD(Charge Coupled Device)が使用される。
【0017】
キャリッジ2,3、結像レンズ4、イメージセンサー5、光源11、ミラー12、ミラー13,14、キャリッジ2,3を副走査方向において移動させる図示せぬ駆動部などにより、コンタクトガラス1に載置され原稿カバー6で抑えられた原稿の画像を読み取る画像読取部21が構成されている。
【0018】
図2は、図1に示す画像読取装置の電気的構成を示すブロック図である。図2において、画像処理装置22は、画像読取部21により読み取られた画像に対して画像処理を行う内部装置である。画像処理装置22は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、制御プログラムに従って動作するコンピューターなどで実現される。
【0019】
画像処理装置22は、読取制御部31、画素属性特定部32、および色付き除去部33を備える。
【0020】
読取制御部31は、画像読取部21を制御して、所定の基準解像度(例えば600dpi)を得るための基準読取線速より高い読取線速でイメージセンサー5の読取位置を副走査方向へ移動させつつ、原稿からの反射光に基づいてラインセンサー5R,5G,5Bで副走査方向においてそれぞれ異なる読取位置でのRGB3色の画素値を検出する。これにより、原稿画像についてのRGB各色の1頁分の画像データが得られ、図示せぬメモリーなどに格納される。
【0021】
画素属性特定部32は、原稿画像内の各画素について、線画であるか否かを示す画素属性を特定する。例えば、画素属性特定部32は、原稿画像内のオブジェクトを、階調画像(写真など)、文字、罫線などの線画などに分類する領域分割技術を使用して、画素属性を特定する。なお、例えば、画素属性特定部32は、原稿画像内の線画を検出する際に、原稿画像を無彩化してから原稿画像内のエッジを検出し、その検出したエッジに基づいて線画を検出する。
【0022】
色付き除去部33は、色付き除去処理を実行する。色付き除去処理は、原稿画像内の注目画素に色付きが発生しているか否かを判定し、注目画素に色付きが発生している場合には、注目画素の色付きを除去する処理である。
【0023】
図3は、副走査方向において注目画素に近接する近接画素を説明する図である。
【0024】
具体的には、色付き除去部33は、注目画素のRGB画素値に基づいて注目画素の彩度および色相を計算し、注目画素の彩度が所定の閾値TH_satを超えている場合には、注目画素がカラー画素(つまり、有彩色の画素)であると判定し、注目画素の彩度が所定の閾値TH_satを超えていない場合には、注目画素がグレー画素(つまり、無彩色の画素)であると判定する。同様に、図3に示すように、副走査方向において注目画素に対して前後に近接する2つの近接画素について、色付き除去部33は、各近接画素のRGB画素値に基づいて近接画素の彩度および色相を計算し、近接画素の彩度が所定の閾値TH_satを超えている場合には、その近接画素がカラー画素(つまり、有彩色の画素)であると判定し、近接画素の彩度が所定の閾値TH_satを超えていない場合には、その近接画素がグレー画素(つまり、無彩色の画素)であると判定する。
【0025】
そして、色付き除去部33は、色付き除去処理において、注目画素について、(a)注目画素が、線画の画素属性を有するカラー画素であり、かつ、(b)図3に示す2つの近接画素の一方が、線画の画素属性を有するカラー画素であり、(c)注目画素と、線画の画素属性を有するカラー画素である近接画素との間の色相差が所定の閾値TH_hue以上である場合、注目画素に色付きが発生していると判定し、注目画素の色付きを除去する。
【0026】
また、この実施の形態では、色付き除去部33は、色付き除去処理において、(a)注目画素が、線画の前記画素属性を有するカラー画素であり、かつ、(b)図3に示す2つの近接画素の一方が、線画の前記画素属性を有するカラー画素であり、かつ2つの近接画素の他方が、非線画の前記画素属性を有するかグレー画素であり、かつ、(c)注目画素と、線画の画素属性を有するカラー画素である近接画素との間の色相差が所定の閾値以上である場合、注目画素に色付きが発生していると判定し、注目画素の色付きを除去する。
【0027】
さらに、この実施の形態では、色付き除去部33は、注目画素のR画素値、G画素値、およびB画素値を、それらのR画素値、G画素値、およびB画素値の平均値に置き換えて、注目画素の色付きを除去する。
【0028】
次に、当該実施の形態に係る画像読取装置の動作について説明する。図4は、図2における色付き除去部33の動作について説明するフローチャートである。
【0029】
まず、読取制御部31は、ユーザー設定などに基づいて指定された読取線速で、1頁の原稿画像の画像データ(RGB画素値)を取得する。
【0030】
次に、画素属性特定部32は、取得した1頁分の画像データに基づいて、原稿画像における各画素の画素属性を特定する。
【0031】
そして、色付き除去部33は、色付き除去処理を実行する。色付き除去部33は、原稿画像内の画素から注目画素を例えば所定の走査順に選択していき、その注目画素に対して図4に示す処理を実行する。
【0032】
色付き除去部33は、まず、横1画素、縦3画素の参照領域内の画素(つまり、注目画素、第1近接画素および第2近接画素)について、カラー/グレー判定を行う(ステップS1)。
【0033】
このとき、色付き除去部33は、参照領域内の各画素の彩度および色相を計算し、その彩度に基づいて上述のように参照領域内の各画素がカラー画素であるかグレー画素であるかを判定する。
【0034】
例えば、第1近接画素のRGB値が(120,246,124)であり、注目画素のRGB値が(208,179,215)であり、第2近接画素のRGB値が(237,236,241)である場合、第1近接画素の彩度Sおよび色相Hは、(98,122)となり、注目画素の彩度Sおよび色相Hは、(24,288)となり、第2近接画素の彩度Sおよび色相Hは、(3,252)となる。したがって、この場合、第1近接画素および注目画素はカラー画素であると判定され、第2近接画素はグレー画素であると判定される。
【0035】
次に、色付き除去部33は、注目画素が線画属性(つまり、線画であることを示す画素属性)のカラー画素であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0036】
注目画素が線画属性のカラー画素である場合、色付き除去部33は、一方の近接画素が線画属性のカラー画素であり、かつ他方の近接画素がグレー画素または非線画属性の画素であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0037】
この注目画素に関し、一方の近接画素が線画属性のカラー画素であり、かつ他方の近接画素がグレー画素または非線画属性の画素である場合、色付き除去部33は、注目画素と線画属性のカラー画素である近接画素との間の色相差を計算し、その色相差が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0038】
色付きの場合、RGBの少なくとも1つの色の画素値が、本来の正しい値から大きく異なっているため、このように、線画内において副走査方向に互いに隣接する画素の色相差に基づいて、色付きが検出される。
【0039】
そして、その色相差が所定の閾値以上である場合、色付き除去部33は、注目画素に色付きが発生していると判定し、注目画素をグレー化して注目画素の色付きを除去する(ステップS5)。
【0040】
上述の例において、第1近接画素および注目画素が線画属性を有し、第2近接画素が非線画属性を有する場合、第1近接画素は線画属性のカラー画素であり、第2近接画素が非線画属性のグレー画素であり、注目画素と第1近接画素との色相差が166度であり、閾値TH_hue(例えば120度)以上であるので、注目画素に色付きが発生していると判定され、グレー化によって除去される。
【0041】
なお、注目画素が線画属性のカラー画素ではない場合(ステップS2)、一方の近接画素が線画属性のカラー画素ではないか、他方の近接画素がグレー画素および非線画属性の画素のいずれでもない場合(ステップS3)、および注目画素と線画属性のカラー画素である近接画素との間の色相差が所定の閾値以上ではない場合(ステップS4)においては、色付き除去部33は、注目画素に色付きが発生していないと判定し、色付き除去処理を行わない。
【0042】
その後、このようにして色付き除去処理された画像データが1つのデータファイルとして図示せぬ内蔵通信装置で出力されたり、色付き除去処理された画像データに基づく原稿画像が図示せぬ内蔵印刷装置で印刷されたりする。
【0043】
以上のように、上記実施の形態1によれば、読取制御部31は、基準解像度を得るための基準読取線速より高い読取線速でイメージセンサー5の読取位置を副走査方向へ移動させつつ、原稿からの反射光に基づいてラインセンサー5R,5G,5Bで副走査方向においてそれぞれ異なる読取位置でのRGBの画素値を検出する。画素属性特定部32は、原稿画像内の各画素について、線画であるか否かを示す画素属性を特定する。色付き除去部32は、原稿画像内の注目画素に色付きが発生しているか否かを判定し、注目画素に色付きが発生している場合には、注目画素の色付きを除去する。そして、色付き除去部33は、色付き除去処理において、(a)注目画素が、線画の画素属性を有するカラー画素であり、かつ、(b)副走査方向において注目画素に対して前後に近接する2つの近接画素の一方が、線画の画素属性を有するカラー画素であり、(c)注目画素と、線画の画素属性を有するカラー画素である近接画素との間の色相差が所定の閾値以上である場合、注目画素に色付きが発生していると判定し、注目画素の色付きを除去する。
【0044】
これにより、線画の全域に色付きが発生していても、色付きが検出される。
【0045】
実施の形態2.
【0046】
実施の形態2では、色付き除去部33は、実施の形態1とは異なる色付き除去処理を実行する。図5は、実施の形態2における近接画素を説明する図である。具体的には、実施の形態2では、色付き除去部33は、色付き除去処理において、(a)注目画素が、線画の画素属性を有する画素であり、(b)副走査方向において注目画素に対して近接する近接画素が、線画の画素属性を有する画素であり、(c)注目画素のR値、G値、およびB値のうちの最大値と最小値との差が所定の閾値以上であり、かつ、近接画素のR値、G値、およびB値のうちの最大値と最小値との差が所定の閾値以上であり、かつ、(d)注目画素の最大値の色種別と近接画素の最小値の色種別とが同一であるか、注目画素の最小値の色種別と近接画素の最大値の色種別とが同一である場合、注目画素および近接画素に色付きが発生していると判定し、注目画素および近接画素の色付きを除去する。
【0047】
次に、実施の形態2に係る画像読取装置の動作について説明する。図6は、実施の形態2における色付き除去部33の動作について説明するフローチャートである。
【0048】
まず、読取制御部31は、ユーザー設定などに基づいて指定された読取線速で、1頁の原稿画像の画像データ(RGB画素値)を取得する。
【0049】
次に、画素属性特定部32は、取得した1頁分の画像データに基づいて、原稿画像における各画素の画素属性を特定する。
【0050】
そして、色付き除去部33は、色付き除去処理を実行する。色付き除去部33は、原稿画像内の画素から注目画素を例えば所定の走査順に選択していき、その注目画素に対して図6に示す処理を実行する。
【0051】
色付き除去部33は、まず、注目画素および近接画素が、それぞれ、線画属性の画素であるか否かを判定する(ステップS21)。
【0052】
注目画素および近接画素が線画属性の画素である場合、色付き除去部33は、注目画素および近接画素のそれぞれについて、RGB値のうちのR値、G値、およびB値のうちの最大値および最小値、並びに、最大値の色種別および最小値の色種別を特定する(ステップS22)。例えば、注目画素のRGB値が(120,246,124)である場合、注目画素の最大値および最小値は、246および120であり、最大値の色種別は、Gであり、最小値の色種別は、Rである。また、例えば、近接画素のRGB値が(208,179,215)である場合、注目画素の最大値および最小値は、215および179であり、最大値の色種別は、Bであり、最小値の色種別は、Gである。
【0053】
次に、色付き除去部33は、注目画素についての上述の最大値と最小値との差が所定の閾値以上であり、かつ、近接画素についての上述の最大値と最小値との差が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0054】
上述の例の場合、注目画素についての上述の最大値と最小値との差は、126(=246−120)であり、近接画素についての上述の最大値と最小値との差は、36(=215−179)であり、いずれも、所定の閾値以上となる。
【0055】
注目画素についての上述の最大値と最小値との差が所定の閾値以上であり、かつ、近接画素についての上述の最大値と最小値との差が所定の閾値以上である場合、色付き除去部33は、注目画素についての上述の最大値の色種別と近接画素についての上述の最小値の色種別とが同一であるか、あるいは、注目画素についての上述の最小値の色種別と近接画素についての上述の最大値の色種別とが同一であるか否かを判定する(ステップS24,S25)。
【0056】
注目画素についての上述の最大値の色種別と近接画素についての上述の最小値の色種別とが同一であるか、あるいは、注目画素についての上述の最小値の色種別と近接画素についての上述の最大値の色種別とが同一である場合、色付き除去部33は、注目画素および近接画素に色付きが発生していると判定し、注目画素および近接画素をグレー化して注目画素の色付きを除去する(ステップS26)。
【0057】
上述の例の場合、注目画素についての上述の最大値の色種別(=G)と、近接画素についての上述の最小値の色種別(=G)が同一であると判定されるので、注目画素および近接画素がグレー化される。
【0058】
なお、注目画素が線画属性の画素ではない場合(ステップS21)、上述の最大値と最小値との差が所定の閾値以上ではない場合(ステップS23)、および、注目画素についての上述の最大値の色種別と近接画素についての上述の最小値の色種別とが同一でもなく、かつ、注目画素についての上述の最小値の色種別と近接画素についての上述の最大値の色種別とが同一でもない場合(ステップS24,S25)においては、色付き除去部33は、上述の色付き除去処理を行わない。
【0059】
その後、このようにして色付き除去処理された画像データが1つのデータファイルとして図示せぬ内蔵通信装置で出力されたり、色付き除去処理された画像データに基づく原稿画像が図示せぬ内蔵印刷装置で印刷されたりする。
【0060】
なお、実施の形態2に係る画像読取装置のその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0061】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0062】
例えば、上記実施の形態において、色付き除去部33は、画像読取時の設定により指定される読取線速が基準読取線速である場合には、上述の色付き除去処理を実行せず、指定される読取線速が基準読取線速より高い読取線速の場合には、上述の色付き除去処理を実行するようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態において、色付き除去部33は、画素属性特定部32により特定された画素属性に基づいて、副走査方向の幅が2画素以下である線画部分を特定し、その特定した線画部分に属する画素(つまり線画属性を有する画素)を特定し、特定した画素を上述の注目画素とし、その他の画素を注目画素としないようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態において、ステップS3の処理では、色付き除去部33は、一方の近接画素が線画属性のカラー画素であるか否かのみを判定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えば、スキャナー、複写機、複合機などに適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
5 イメージセンサー
5R,5G,5B ラインセンサー
31 読取制御部
32 画素属性特定部
33 色付き除去部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7