特許第6761617号(P6761617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6761617
(24)【登録日】2020年9月9日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】和服およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/00 20180101AFI20200917BHJP
【FI】
   A41D1/00 101A
   A41D1/00 101J
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-122152(P2019-122152)
(22)【出願日】2019年6月28日
【審査請求日】2020年3月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519237904
【氏名又は名称】神力 瑛二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179165
【弁理士】
【氏名又は名称】宇都宮 将之
(72)【発明者】
【氏名】神力 瑛二郎
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−004509(JP,U)
【文献】 実開昭55−106605(JP,U)
【文献】 特開2007−077553(JP,A)
【文献】 特開2002−173807(JP,A)
【文献】 実開昭61−137609(JP,U)
【文献】 特開2018−087390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左前身頃部と左後身頃部と右後身頃部と右前身頃部とを有する和服であって、当該左後身頃部および当該右後身頃部に和服を着た際の略腰部におはしょり形成部を設け、
前記左前身頃部と前記左後身頃部と前記右後身頃部と前記右前身頃部の略腰部に裾のラインと略平行となるようにおはしょり位置決め部を設け、
前記左前身頃部と前記右前身頃部は縫着を行わずに当該おはしょり位置決め部を設けただけで、和服の生地は開放されている状態であること、
を特徴とする和服。
【請求項2】
前記おはしょり位置決め部が糸でステッチを形成する方法により設けたことを特徴とする請求項に記載の和服。
【請求項3】
前記左前身頃部と左後身頃部と右後身頃部のおはしょり位置決め部、または、前記左後身頃部と右後身頃部と右前身頃部のおはしょり位置決め部、に沿ってベルト状部材を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の和服。
【請求項4】
少なくとも2以上の結合部材を前記おはしょり形成部の長手方向のいずれかの箇所に設けることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の和服。
【請求項5】
前記ベルト状部材の前記右前身頃の衿側の端部に第1の結合第1部材と当該ベルト状部材の他方端部に第1の結合第2部材を設け、前記おはしょり形成部の前記左前身頃衿側の端部に第2の結合第1部材を設け、前記ベルト状部材の前記右前身頃と前記右後身頃との略境部に第2の結合第2部材を設けること、を特徴とする請求項に記載の和服。
【請求項6】
前記結合部材が、フック部とフック保持部からなることを特徴とする請求項に記載の和服。
【請求項7】
前記おはしょり形成部は、前記左後身頃部および前記右後身頃部の和服の略中央部を外側にたたんだ箇所が現れるように折りたたみ、当該左後身頃部および当該右後身頃部の内側を当該状態のまま縫着することによって形成することを特徴とする請求項1からに記載のいずれか1項に記載の和服。
【請求項8】
和服の左前身頃部と左後身頃部と右後身頃部と右前身頃部の略腰部に裾のラインと略平行となるようにおはしょり位置決め部を設ける工程と、
当該左後身頃部および右後身頃部に和服を着た際の略中央部を外側にたたんだ箇所が現れるように折りたたみ当該左後身頃部および当該右後身頃部の内側を当該状態のまま縫着することによって形成することによりおはしょり形成部を設ける工程と
前記左前身頃部と前記左後身頃部と前記右後身頃部と前記右前身頃部の略腰部に裾のラインと略平行となるようにおはしょり位置決め部を設ける工程と、
前記左前身頃部と前記右前身頃部は縫着を行わずに当該おはしょり位置決め部を設けただけで、着物の生地は開放されている状態とする工程と、
を備える、和服の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術の開示は、和服およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
和服として一般的な着物は、訪問着や振袖などの着物が挙げられ、また浴衣も代表的な着物の一つとして挙げられる。これらの着物は日本の伝統的な民族衣装であり、その美しい着姿から格式的な場所に限定することなく、日常的に着物を着たいという要望も多く存在する。また、日本のみならず海外でも着物に興味を持つ人が多く、実際に着物を着用するために日本へ訪問する外国人もめずらしくはない。しかしながら、着物を美しく着るためには、おはしょりの処理や襟抜きなど、着用時の各段階において高度な知識と技術が必要となり、着物を着用したくても着付けが課題となり、その敷居の高さから断念せざるを得ない状況に陥ってしまう。その結果として、日本の伝統的な着物から疎遠となってしまい、日本の文化を衰退させてしまう要因のひとつとなっている。
【0003】
このような背景から、簡単に着ることができる着物が開発されており、その代表的なものとして二部式着物(上半身と下半身のセパレートタイプ)がある。しかし、このような着物は、簡単に着ることができるといった良い点はあるものの、その多くはおはしょりを設けず、場合によっては、帯まで省略する場合もあり得る。この様な着物は簡単に着ることができるものの、本格的な美しい着物本来の着姿を実現に難いだけではなく、着物生地を切断して作成するものであるため高価な呉服生地を切断することに抵抗感もあった。
【0004】
また、おはしょりを事前に形成して簡単に着ることができる着物として、いくつかの技術も開示されている。例えば、特許文献1には、おはしょりが湾曲縫製され、着用したときに水平になるように身巾に沿って湾曲し前側が下がるように形成されている別体のおはしょりを有する旨が開示されている。また、特許文献2には、別途形成したおはしょりを後ろ身頃へは座高に合わせて決定した位置に水平に、脇から前身頃へは肩の形状に合わせた下り傾斜角度で取り付ける旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−57906
【特許文献2】特開2007−77553
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では簡単に着物等を着ることができるものの、一般的な簡易着物と同様に美しく着こなすことが難しく、全体的に本格的な着物と同様の着姿を実現し難いという場合もある。その解決策の一つとしておはしょりを綺麗に形成することが挙げられ、そのための様々な手法がこれまで提案されてきたが、簡単に着られてかつ美しい着姿を実現でき、1枚の着物から製造できる和服は実現が困難なものであった。
【0007】
以上のような課題を解決するべく、本発明は誰でも簡単に容易な作業で、一人でも本格的な着物と同様に、おはしょりも設けて美しく着ることができる簡単着物を提供することを目的とする。さらには、着物生地を裁断することなく簡単着物を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、(1)〜(9)である。
(1)左前身頃部と左後身頃部と右後身頃部と右前身頃部とを有する和服であって、当該左後身頃部および右後身頃部に和服を着た際の略腰部におはしょり形成部を設け、前記左前身頃部と右前身頃部にはおはしょり形成部を設けないこと、を特徴とする和服。
(2)左前身頃部と左後身頃部と右後身頃部と右前身頃部の略腰部に裾のラインと略平行となるようにおはしょり位置決め部を設けることを特徴とする前記(1)に記載の和服。
(3)前記おはしょり位置決め部が糸でステッチを形成する方法により設けたことを特徴とする前記(2)に記載の和服。
(4)前記左前身頃部と左後身頃部と右後身頃部のおはしょり位置決め部、または、左後身頃部と右後身頃部と右前身頃部のおはしょり位置決め部、に沿ってベルト状部材を形成することを特徴とする前記(1)〜(3)に記載の和服。
(5)少なくとも2以上の結合部材を前記おはしょり形成部の長手方向のいずれかの箇所に設けることを特徴とする前記(1)〜(4)に記載の和服。
(6)前記ベルト状部材の前記右前身頃の衿側の端部に第1の結合第1部材と当該ベルト状部材の他方端部に第1の結合第2部材を設け、前記おはしょり形成部の前記左前身頃の例側の端部に第2の結合第1部材を設け、
前記ベルト状部材の前記右前身頃と前記右後身頃との略境部に第2の結合第2部材を設けること、を特徴とする前記(5)に記載の和服。
(7)前記結合部材が、フック部とフック保持部からなることを特徴とする前記(5)または(6)に記載の和服。
(8)前記おはしょり形成部は、左後身頃部および右後身頃部の和服の略中央部を外側にたたんだ箇所が現れるように折りたたみ、当該左後身頃部および右後身頃部の内側を当該状態のまま縫着することによって形成することを特徴とする前記(1)〜(8)に記載の和服。
(9)和服の左前身頃部と左後身頃部と右後身頃部と右前身頃部の略腰部に裾のラインと略平行となるようにおはしょり位置決め部を設ける工程と、当該左後身頃部および右後身頃部に和服を着た際の略中央部を外側にたたんだ箇所が現れるように折りたたみ当該左後身頃部および右後身頃部の内側を当該状態のまま縫着することによって形成することによりおはしょり形成部を設ける工程とを備える、和服の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、従来の簡易着物と比べてより簡単に着物や浴衣などの和服を着ることが可能となり、着物本来の美しい着姿まで実現することが可能となる。また、体形等の影響を受け難く、より美しいおはしょりの見栄えを実現することが可能となる。さらには、本発明の和服は着物生地を裁断することがないため、家族代々引き継がれている思い入れのある着物等にも再加工して簡単着物として利用することが可能となるばかりではなく、古着のリユースとしても有用なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の着物の全体を外側から見た図である。
図2】本実施形態の着物のおはしょりを形成する個所を内側から見た図である。
図3】本実施形態のベルト状部材の取付状態を示す図である。
図4】本実施形態の着物の着付け方を説明した図である。
図5】本実施形態の着物を着付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の着物の全体を外側からみた形態を図1(a)に示す。着物1には、おはしょり形成部2を設ける。また、当該着物1にはベルト状部材3を備える。さらに、その他共衿や袖等の一般的な着物を構成するものも備える。また、図1(b)は予め着物の略中央部に端から端までおはしょり位置決め部4を設けた状態を示す図である。
【0012】
図2は本実施形態の着物のおはしょりを形成する個所を内側から見た形態を示すものである。当該おはしょり形成部2は、着物1の生地を後述する特殊な加工により形成する。
【0013】
本実施形態のおはしょり形成部2の形状について以下に説明する。まず初めに、図1(b)に示すように着物を着た際の略腰部に、裾のラインと略平行となるように横方向におはしょり位置決め部4を設ける。なお、当該おはしょり位置決め部4の方法は本実施形態では糸でステッチ(コバステッチ)を形成する方法で行ったが、この方法に限定されるものではなく、接着剤で固定する方法や超音波等により熱溶着させるような素材で固定する方法など、コバステッチと同等位置決めの効果を得られるものであれば使用できる。当該おはしょり位置決め部4を着物に予め設けておくことにより、おはしょり形成部2をより容易に作成することができ、着物を着る際におはしょりを綺麗に形成することが可能となる。さらに、オーダーメイドで本実施形態の着物を製造する際には、流行や年齢等に併せておはしょり位置決め部4の位置を上下に調整することも可能である。
【0014】
次に、図1(a)に示すように、本実施形態の和服は、大きくは左前身頃部2a、左後身頃部2b、右後身頃部2c、右前身頃部2dの4つの部位で構成される。本実施形態において、おはしょり形成部2を着物1に設ける際には、そのうちの左後身頃部2b、右後身頃部2cの2つの部位を使用して、着物を着た際におはしょり5を形成することになるおはしょり形成部2を事前に設ける。具体的には、左後身頃部2b、右後身頃部2cの略中央部を着物の外側にたたんだ箇所が現れるように(山折り)折りたたみ、各身頃部の内側を当該状態のまま縫着することによっておはしょり形成部2を形成する(図2)。おはしょり形成部2の大きさ(縦方向の長さ)としては、特に限定するものではなく、着物の着丈に併せて、名古屋帯や半幅帯にも合うように適宜妥当な長さとする。なお、本実施形態においては、左前身頃部2aと右前身頃部2dについては、縫着を行わずに前述のおはしょり位置決め部4を設けただけで、着物の生地は開放されている状態となる。
【0015】
図3は本実施形態のベルト状部材3を着物1に取り付けた状態を示したものである。本実施形態においてベルト状部材3は伸縮性を有する素材で構成する。当該ベルト状部材3は右前身頃部2dから左後身頃部2bにかけて、前述の着物に設けたおはしょり位置決め部4に沿って縫着させる。なお、右前身頃部2dに形成された衿先部6までベルト状部材3を縫着させる。この際に、右前身頃部2dについては着物の表面にベルト状部材3が現れており、右後身頃部2cと左後身頃部2bについては前述のおはしょり形成部2の下側にベルト状部材3が隠れた状態で形成される。これは、おはしょり形成部2を形成するまえに、右前身頃部2dから左後身頃部2bにかけて前述のおはしょり位置決め部4に沿ってベルト状部材3を着物1に縫着し、その後におはしょり形成部2を設けるため、この様な形状となる。なお、本実施形態ではベルト状部材3の長手方向の上端部が前記おはしょり位置決め部4に沿う状態で縫着させる。
【0016】
本願発明の着物には、少なくとも2以上の結合部材を設ける。当該結合部は1つにつき2つの部材からなり、それらを結合することにより固定するものである。当該各結合部は結合第1部材と結合第2部材を有し、これら2つの部材はお互いを結合できるものであれば特に限定はないが、一方がフック部材や面ファスナーのフック状に起毛された側やホックの凸部を有する側等を用い、他方がフック部材をひっかけられる部材や面ファスナーのループ状に密集して起毛された側やホックの凹部を有する側を用いる等により結合する。なお、面ファスナーのフック面とループ面との区別のないタイプ等も存在するため、これら2つの部材が同一形状であるものを使用することができる。当該結合部材の2つの部材をそれぞれ着物少なくとも2箇所以上にとりつけ、これらの部材を結合させることによって着物を簡単に着付けることを可能とする。本実施形態の結合部としては、結合第1部材としてフック部、結合第2部材としてフック保持部の2つの部材を用いて、この結合部を着物1の略腰部(前述のおはしょり取付部)の長手方法のライン上付近2カ所に設けた。図3に示すように、着物1の前記ベルト状部材3の右前身頃部2d側の端部には第1のフック部3aを設ける。併せて、当該ベルト状部材3の他方端部には第1のフック部3aを保持するための第1のフック保持部3bを設ける(3aと3bを併せて第1の結合部)。当該第1のフック保持部3bはベルト状部材3の端部を着物1の内側に引き出し、その端部を折り返して輪っか状として着物1に縫い付けることにより形成する(図2に図示する)。また、左前身頃部2a側にも同様に第2のフック部3cを設ける。当該3cはベルト状部材3と同じ素材を用いた伸縮部材3eと結合することにより作成する。伸縮部材3eの長さは特に限定するものではないが、着物を美しく着るといった観点から1〜3cmであることが好ましい。伸縮部材3eの上端部が前述のおはしょり位置決め部4に沿う状態で左前身頃部2aに設けた衿先部6に縫着し、伸縮部材3eの幅方向の長さだけ衿先部6を折り返して当該衿先部6と伸縮部材3eを併せて縫着する(図3に示す)。また、第2のフック保持部3dもベルト状部材3と同じ伸縮性のある素材を用いており、これを折り返して幅が約1cm程度の輪っか状とし、当該第2のフック保持部3dの上端部が前述のおはしょり位置決め部4に沿う状態で、着物1の表側の右後身頃部2cと右前身頃2dの境界付近に縫着させることにより形成する(3cと3d併せて第2の結合部)。
【0017】
本実施形態においては、3aおよび3cは耐用年数や取付た際の強度の観点から金属製のものを用いたが、それに限定されるものではなく樹脂製のものを用いても良い。また、ベルト状部材3やの素材は綿や布等でも適用できるため特に伸縮性素材の限定はないが、少なくとも一部がゴム等の弾性体の伸縮性素材を用いることにより、着付けの際に様々な体形にも適応し易く、しっかりとしたと着付けができるといった観点から好適である。さらに、本実施形態のようにベルト状部材3にすべて伸縮性の素材を用いることにより、着物を着た際にフィット感が得られる点でより好ましい。
【0018】
本実施形態においては2つの結合部として、3a〜3dのフック部とフック部保持部を用いたが、結合方法としては、面ファスナーやカギホックのような金具等で連結してもよい。この際に、面ファスナーやカギホックなどを直接着物1に縫着しても良いし、本実施形態と同様にベルト状部材3と同じ伸縮性の素材を用いた部材を介して着物に縫着しても良い。また、結合部材を取り付ける場所としては特に限定されるものではないが、本実施形態で取り付けた場所が、着物を簡単に美しく着るといった観点で好ましい。
【0019】
おはしょり形成部2を着物1に形成する際には、当該おはしょり形成部2の裾側の端のラインが着物を着た際の裾のラインと略平行となる状態で形成することにより、着物を着付ける際に、おはしょりを綺麗に処理することができ美しい着姿を実現できることが可能となる。
【0020】
図4は本実施形態の着物の着付け方を説明するものである。まず、着物を着付ける前に、必要に応じて長襦袢や半襦袢、市販されている人形衿・伊達衿等を装着する。その後、両袖に腕を通して着物を羽織り、右前身頃部2dに設けられた衿先部6に形成した第1のフック部3aを右手で持ち右前身頃部2dが体にフィットするように体の左側に引き寄せ、第1のフック保持部3bに第1のフック部を結合する(図4(a))。このとき、おはしょり位置決め部4が、体の略腰部に着物を着た際に地面と略平行になるように着付ける。なお、右前身頃部2dにはおはしょり形成部2を設けておらず開放されているため、本来おはしょりとして形成されるべき着物生地が余った状態となっている。従って、この余った生地を右前身頃部2dの内側に手を入れ、おはしょり位置決め部4に手を這わせるようにしておはしょり位置決め部4の上から被せるように生地を整える。この整えた余った生地がおはしょりの一部となるため、本実施形態の構成により自然と右前身頃部2dのおはしょり部分を綺麗に実現することが可能となる。また、衿元を長襦袢の襟等と一緒に、右前身頃部2dの裾が地面と略平行になるように整えることにより、美しい着姿を実現することが可能となる。
【0021】
次に左前身頃部2aに設けられた衿先部6に形成した第2のフック部3cを左手で持ち、左前身頃部2aが体にフィットするように体の右側に引き寄せ、このとき体の右側面にある第2のフック保持部3dに第2のフック部3cを結合する(図4(b))。このときも同様に、ステッチ4が、体の略腰部に着物を着た際に地面と略平行になるように着付ける。
【0022】
2つの結合部材(フック部とフック保持部)を結合したあと、着物1のおはしょり形成部2が背中側に形成されているため、帯を付けた際におはしょりとして綺麗に見た目を整える(図4(c))。次に、左右前身頃のおはしょりに該当する箇所の懐に手を入れておはしょり形成部2と同様に見た目を整える(図4(d))。この整えた余った生地がおはしょりの一部となるため、自然と左前身頃部2aのおはしょり部分を綺麗に実現することが可能となる。さらに、衿元を長襦袢の襟等と一緒に、左前身頃部2aの裾が地面と略平行になるように整えることにより、美しい着姿を実現することが可能となる(図4(e))。
【0023】
この様に、本実施形態によれば2つの結合部を繋げる2つのステップを実行し、一定の手順で着物を整えるだけで、基本的な状態で着物を簡単に綺麗に身に着けることが可能となる。この後は、本実施形態のように着物を着込んだ後に帯を締めて、細かい身だしなみを整えることによって着物を着上げる。図5は、本実施形態の着物を着た状態を示すものである。ベルト状部材3の縫着跡等は帯の下に隠すことができ、衿先部6やおはしょり形成部2により形成されたおはしょりの下部分が帯の下側に出ているので、衿元が乱れた場合や着崩れを起こした場合でも、この衿先部6やおはしょりの下部分を引っ張ることにより容易に修正することも可能となる。 なお、本実施形態の着物の着付け方は一つの例であって、本発明の和服の着付け方を何ら限定するものではない。
【0024】
本実施形態の着物の着姿は、おはしょり2が帯の下に綺麗に形成され、また、長襦袢等の衿と着物の衿がしっかり締め付けられ衿周りの美しさを実現できる。また、本実施形態のおはしょり構造により体形に合わせてしっかりとした着付けをすることができ、簡単に着崩れしない着付けができる。このように、本実施形態の着物は本格的な着物と同様に美しい着姿を実現できる。さらに、着崩れしやすい襟元を美しく襟抜を実現することも可能となる。
【0025】
本発明は、上記実施の形態の開示範囲に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。例えば、本発明の和服は着物に限定されず、浴衣等のおはしょりが設けられる和服であれば広く適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 着物
2 おはしょり形成部
2a 着物の左前身頃部
2b 着物の左後身頃部
2c 着物の右後身頃部
2d 着物の右前身頃部
3 ベルト状部材
3a 第1のフック部
3b 第1のフック保持部
3c 第2のフック部
3d 第2のフック保持部
3e 伸縮部材
4 おはしょり位置決め部
5 おはしょり
6 衿先部
7 共衿
8 長襦袢の襟
9 身八つ口
10 帯



【要約】      (修正有)
【課題】本発明は誰でも簡単に容易な作業で、一人でも本格的な着物と同様に、おはしょりも設けて美しく着ることができる簡単着物を提供する。
【解決手段】左前身頃部と左後身頃部と右後身頃部と右前身頃部とを有する和服であって、当該左後身頃部および右後身頃部に和服を着た際の略腰部におはしょり形成部を設け、前記左前身頃部と右前身頃部にはおはしょり形成部を設けないこと、を特徴とする和服。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5