(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マイクの故障の有無の診断および前記複数のスピーカの動作確認は、前記スピーカから出力するテスト信号を受音できるか否かを判定することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の通話制御装置。
前記マイクセレクタは、前記マイクが受音した前記テスト信号と、前記スピーカが受音した前記テスト信号とを、前記テスト信号の出力期間内に切り換えて、時分割多重で前記アナログ/デジタルコンバータを介して前記オーディオコーデック/プロセッサに供給し、
前記オーディオコーデック/プロセッサが前記テスト信号を認識するか否かを判定することで、前記スピーカから出力するテスト信号を受音できるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の通話制御装置。
前記テスト信号を受音できない場合は、前記テスト信号を出力する前記スピーカを別のスピーカに替えて、前記マイクの故障の有無の診断および前記複数のスピーカの動作確認を行うことを特徴とする請求項3に記載の通話制御装置。
前記マイクの故障の有無の診断および前記複数のスピーカの動作確認は、前記スピーカから出力するテスト信号を受音できるか否かを判定することにより行われることを特徴と
する請求項15に記載の通話システム。
前記マイクセレクタは、前記マイクが受音した前記テスト信号と、前記スピーカが受音した前記テスト信号とを、前記テスト信号の出力期間内に切り換えて、時分割多重で前記アナログ/デジタルコンバータを介して前記オーディオコーデック/プロセッサに供給し、
前記オーディオコーデック/プロセッサが前記テスト信号を認識するか否かを判定することで、前記スピーカから出力するテスト信号を受音できるか否かを判定することを特徴とする請求項17に記載の通話システム。
前記テスト信号を受音できない場合は、前記テスト信号を出力する前記スピーカを別のスピーカに替えて、前記マイクの故障の有無の診断および前記複数のスピーカの動作確認を行うことを特徴とする請求項17に記載の通話システム。
前記通話制御装置は、前記マイクと前記通話制御装置との間の電気的接続が正常であるか否かを検出する接続検出回路をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の通話システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0015】
又、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
[実施の形態]
(通話システムの概略例)
実施の形態に係る通話システム(例えば、ハンズフリーフォンシステムなど)に適用可能な、乗用車などの室内に配置されたマイク50およびスピーカ61,62,63,64の例は、
図1に示すように模式的に表される。マイク50およびスピーカ63,64,65,66は、送受話器を手に持たずに通話を可能にするために、通話制御装置200本体から離れた、
図1に示すような位置に設置される。マイク50およびスピーカ61,62,63,64は、通話制御装置200本体と、多重通信システム等により、有線(例えばケーブル)若しくは無線にて電気的に接続される。
【0017】
(通話制御装置の典型例)
典型例に係る通話制御装置200Aのブロック構成例は、
図2に示すように模式的に表される。通話制御装置200Aの本体には、
図2に示すように、マイクアンプ/プロセッサ部100A(半導体装置として構成可能)が実装されており、自動車などの車室内(例えば、
図1の通話制御装置200の位置など)に設置される。尚、
図2に例示する通話制御装置200Aには、1つのマイク(MIC)50と2つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62とが接続されており、2つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62は、例えば、
図1の前部のスピーカ64,63の位置若しくは後部のスピーカ66,65の位置などに配置され得る。
【0018】
マイクアンプ/プロセッサ部100Aは、マイク(MIC)50に接続されたマイクアンプ(MIC−AMP)110と、マイクアンプ(MIC−AMP)110の出力に接続されたアナログ/デジタルコンバータ(ADC)150と、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)150の出力に接続されたオーディオコーデック/プロセッサ160と、オーディオコーデック/プロセッサ160にそれぞれ接続された2つのスピーカアンプ(SP−AMP−R,SP−AMP−L)121,122とを集積化して備える。スピーカアンプ(SP−AMP−R,SP−AMP−L)121,122の出力は、それぞれ、左右2つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62に供給される。
【0019】
車室内の者(例えば、運転者、助手席や後部席の同乗者など)が発声した音声は、マイク(MIC)50で電気信号に変換され、マイクアンプ(MIC−AMP)110で増幅され、さらに、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)150でデジタル信号に変換された後、オーディオコーデック/プロセッサ160に入力され、送話用の信号として外部の接続先(図示せず)に送信される。
【0020】
また、外部の接続先(図示せず)から受信した受話用の信号は、オーディオコーデック/プロセッサ160から、2つのスピーカアンプ(SP−AMP−R,SP−AMP−L)121,122に出力されて増幅され、最終的に、左右2つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62で音声に変換されて発音される。
【0021】
ここで、マイク(MIC)50やスピーカ(SP−R,SP−L)61,62の少なくとも一部が電気的に故障したり、事故や災害などで車両が物理的に損傷して(例えば、ドアの故障)、マイク(MIC)50やスピーカ(SP−R,SP−L)61,62がマイクアンプ/プロセッサ部100Aや通話制御装置200Aの本体から切断されたり、破損してしまうことがある(例えば、通話システムを構成する電子回路の開放(オープン)や短絡(ショート)など)。このような状態下では、当然ハンズフリーフォンシステムとしての通話システムの機能が停止することはもちろんのこと、通話自体もできなくなる場合がある。
【0022】
(実施の形態に係る通話制御装置(基本構成例))
実施の形態に係る通話システムに適用できる通話制御装置200、および該通話制御装置200に適用できるマイクアンプ/プロセッサ部100(半導体装置として構成可能)の基本的なブロック構成例は、
図4に示すように模式的に表される。尚、
図3に例示する実施の形態に係る通話システムの診断方法の詳細な説明は、後述する。
【0023】
図4に示す通話システムでは、最小構成として、マイク1つ、スピーカ2つを備える構成について説明する。
【0024】
実施の形態においては、
図4に示すように、送受話器を手に持たずに通話をするためにマイク(MIC)50およびスピーカ(SP−R,SP−L)61,62が通話制御装置200の本体から離れた位置に設置されている通話システムにおいて、送話のために使用するマイク(MIC)50の故障の有無を診断し、故障と判定された場合は通話制御装置200の本体に複数接続されているスピーカ(
図4の例では、左右2つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62)をマイク(MIC)50の代用マイクとして使用するための動作確認を順次行い、マイクとして使用できることが確認できた少なくとも1つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62を、故障したマイク(MIC)50の代用とすることにより、マイク(MIC)50が故障した場合でもハンズフリーフォンシステムとしての通話システムの機能を継続して使用することを可能にする。
【0025】
実施の形態に係る通話制御装置200の本体には、
図4に示すように、マイクアンプ/プロセッサ部100が実装されており、自動車などの車室内(例えば、
図1の通話制御装置200の位置など)に設置される。
図4に例示する通話制御装置200には、1つのマイク(MIC)50と2つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62とが接続されており、2つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62は、例えば、
図1のスピーカ64,63の位置若しくはスピーカ66,65の位置などに配置され得る。
【0026】
図4に示すように、実施の形態に係るマイクアンプ/プロセッサ部100には、マイクアンプ(MIC−AMP−R,MIC−AMP−L)131,132と、マイクセレクタ(MIC−SELECT)140とが備えられる点で、
図2に示した典型例に係るマイクアンプ/プロセッサ部100Aと相違する。
【0027】
より具体的には、マイクアンプ/プロセッサ部100は、マイク(MIC)50に接続されたマイクアンプ(MIC−AMP)110と、複数(左右2つ)のスピーカ(SP−R,SP−L)61,62にそれぞれ接続されるとともにスピーカ(SP−R,SP−L)61,62が受けた音声信号を増幅する複数のマイクアンプ(MIC−AMP−R,MIC−AMP−L)131,132と、マイクアンプ(MIC−AMP)110の出力およびマイクアンプ(MIC−AMP−R,MIC−AMP−L)131,132のそれぞれの出力に接続されるとともにマイクアンプ(MIC−AMP)110およびマイクアンプ(MIC−AMP−R,MIC−AMP−L)131,132のそれぞれから出力される音声信号を選択的に切り替えるマイクセレクタ(MIC−SELECT)140と、マイクセレクタ(MIC−SELECT)140の出力に接続されるとともにマイクセレクタ(MIC−SELECT)140が選択した音声信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)150と、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)150の出力に接続されるとともにアナログ/デジタルコンバータ(ADC)150から出力される前記音声信号を送話用の信号として外部に送信するオーディオコーデック/プロセッサ160と、オーディオコーデック/プロセッサ160にそれぞれ接続されるとともにオーディオコーデック/プロセッサ160から出力される受話音声信号を増幅する2つのスピーカアンプ(SP−AMP−R,SP−AMP−L)121,122とを集積化して備える。スピーカアンプ(SP−AMP−R,SP−AMP−L)121,122の出力は、それぞれ、左右2つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62に供給される。
【0028】
マイクアンプ(MIC−AMP−R)131は、スピーカ(SP−R)61に接続されるとともに、スピーカ(SP−R)61がマイクとして動作する際にスピーカ(SP−R)61が受けた音声信号を増幅する。マイクアンプ(MIC−AMP−L)132は、スピーカ(SP−L)62に接続されるとともに、スピーカ(SP−L)62がマイクとして動作する際にスピーカ(SP−L)62が受けた音声信号を増幅する。
【0029】
マイクセレクタ(MIC−SELECT)140は、マイクアンプ(MIC−AMP)110の出力およびマイクアンプ(MIC−AMP−R,MIC−AMP−L)131,132のそれぞれの出力に接続されるとともに、正常動作時にはマイク(MIC)50が受音してマイクアンプ(MIC−AMP)110が増幅した音声信号を選択し、スピーカ(SP−R)61がマイクロフォンとして機能する際にはスピーカ(SP−R)61が受音してマイクアンプ(MIC−AMP−R)131が増幅した音声信号を選択し、スピーカ(SP−L)62がマイクロフォンとして機能する際にはスピーカ(SP−L)62が受音してマイクアンプ(MIC−AMP−L)132が増幅した音声信号を選択して、選択した音声信号をアナログ/デジタルコンバータ(ADC)150に供給する。
【0030】
また、マイクセレクタ(MIC−SELECT)140は、後述するマイク(MIC)50の機能確認時において、マイク(MIC)50が受音したテスト信号と、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62が受音したテスト信号とを、テスト信号の出力期間内に高速で切り換えて、時分割多重でアナログ/デジタルコンバータ(ADC)150→オーディオコーデック/プロセッサ160に供給する。マイク(MIC)50が受音したテスト信号がオーディオコーデック/プロセッサ160で認識されれば、マイク(MIC)50は正常に動作していると判定される。スピーカ(SP−R,SP−L)61,62が受音したテスト信号がオーディオコーデック/プロセッサ160で認識されれば、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62はマイクとして機能することができると判定される。
【0031】
実施の形態に係る通話システムでは、通話システムの機能が正常に動作しているか否か(異常があるとしたら、どこで異常が生じているのか)を自己診断するが、マイク機能の確認用のテスト信号は、通常動作にてスピーカとして使用するスピーカ(SP−R,SP−L)61,62から出力できるとともに、マイク(MIC)50あるいはスピーカ(SP−R,SP−L)61,62によって受音できる音声信号であれば良い。但し、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62からテスト信号を出力するにあたり、テスト信号が通話の妨げになったり、使用者に不快感を与えたりするのを最小限にすることが望ましいので、本実施の形態においては、例えば、プッシュ式電話回線で電話をかける際に電話番号の送出などに使用するDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号(トーン信号)を、テスト信号として使用しても良い。
【0032】
マイク機能の確認の際には、テスト信号を出力しているスピーカ以外のスピーカ(SP−R,SP−L)61,62と、マイク(MIC)50とを、テスト信号が出力されている期間内に順次切替え受音の可否を確認する。
【0033】
テスト信号を出力しているスピーカ以外のスピーカ以外のスピーカ(SP−R,SP−L)61,62でもマイク(MIC)50でも受音を確認できない場合は、テスト信号を出力するスピーカ(SP−R,SP−L)61,62を変更して同様の動作を行う。
【0034】
テスト信号に用いるトーン信号は、規格により697Hz〜1633Hzの周波数であるため、受音確認はこの周波数帯域を選択して行い、受音のタイミングは、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62からトーン信号を発音するタイミングに合わせる。これにより、受音確認が容易にできる。
【0035】
自己診断の動作例は、下記の(1)〜(5)のように整理される。
(1)通話制御装置200に接続されているスピーカ(SP−R,SP−L)61,62のうちの1つから所定のテスト信号を出力し、そのテスト信号をマイク(MIC)50が正常に受けることができるか否かを判定することで、マイク(MIC)50に故障があるか否かを自己診断する。
(2)上記(1)の結果、マイク(MIC)50が正常に動作している場合は、車室内の者(例えば、運転者、助手席や後部席の同乗者など)が発声した音声は、マイク(MIC)50で電気信号に変換され、マイクアンプ(MIC−AMP)110で増幅され、マイクセレクタ(MIC−SELECT)140により選択されたマイクアンプ(MIC−AMP)110の出力がアナログ/デジタルコンバータ(ADC)150に供給される。供給された音声信号は、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)150でデジタル信号に変換された後、オーディオコーデック/プロセッサ160に入力され、送話用の信号として外部の接続先(図示せず)に送信される。また、外部の接続先(図示せず)から受信した受話用の信号は、オーディオコーデック/プロセッサ160から、2つのスピーカアンプ(SP−AMP−R,SP−AMP−L)121,122に出力されて増幅され、最終的に、左右2つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62で音声に変換されて発音される。
(3)上記(1)の結果、マイク(MIC)50に故障があると判断された場合、複数あるスピーカ(SP−R,SP−L)61,62のうちの1つ(例えば、スピーカ61)をマイクモードとして(すなわち、マイクロフォンとして用いて)、スピーカ61がテスト信号を正常に受けることができるか否か(すなわち、マイクロフォンとして用いることができるか否か)を判定する。
(4)上記(3)の結果、マイクロフォンとして用いることができるスピーカが見つかるまで、スピーカとマイクの組み合わせを変えながら上記(3)の動作を繰り返す。
(5)上記(3)の結果、例えばスピーカ61がマイクロフォンとして用いることができると判定した場合、マイク(MIC)50の代わりにマイクロフォンとして用い、残りのスピーカ62をスピーカとして使用する。すなわち、マイクセレクタ(MIC−SELECT)140は、マイクロフォンからの音声信号として、マイク(MIC)50からの音声信号を選択する代わりに、スピーカ61→マイクアンプ(MIC−AMP−R)131からの音声信号を選択して、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)150に供給する。供給された音声信号は、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)150でデジタル信号に変換された後、オーディオコーデック/プロセッサ160に入力され、送話用の信号として外部の接続先(図示せず)に送信される。また、外部の接続先(図示せず)から受信した受話用の信号は、オーディオコーデック/プロセッサ160から、スピーカとして使用するスピーカ(この場合、スピーカ62)に対応するスピーカアンプ(この場合、スピーカアンプ122)に出力されて増幅され、スピーカ(SP−R)62で音声に変換されて発音される。
尚、
図4に例示した通話システムの構成例は、実施の形態における最小構成例である、接続されるスピーカ(SP−R,SP−L)61,62の数が2つの場合であるが、通話システムの構成によっては接続されるスピーカの数が3以上の場合もあり、その例については後述する。
【0036】
(実施の形態に係る通話システムの診断方法)
実施の形態に係る通話システムの診断方法の一例を示す概略フローは、
図3に示すように表される。
【0037】
ステップS100において、実施の形態に係る通話システムの診断方法(マイク(MIC)50の機能確認)が開始される。
【0038】
ステップS101において、通話制御装置200に接続されているスピーカ(SP−R,SP−L)61,62のうちの1つ(この場合、スピーカ(SP−R)61)から所定のテスト信号(例えば、トーン信号)を出力する。より具体的には、オーディオコーデック/プロセッサ160からテスト信号をスピーカアンプ(SP−AMP−R)121に供給し、スピーカアンプ(SP−AMP−R)121にて増幅されたテスト信号は、スピーカ(SP−R)61により音声に変換されて発音される。
【0039】
次に、ステップS102において、スピーカ(SP−R)61から出力されたテスト信号を、マイク(MIC)50が受音できるか否かを判定する。より具体的には、スピーカ(SP−R)61から出力されたテスト信号は、マイク(MIC)50およびスピーカ(SP−L)62が受音することになり、マイク(MIC)50→マイクアンプ(MIC−AMP)110のテスト信号と、スピーカ(SP−L)62→マイクアンプ(MIC−AMP−L)132のテスト信号とを、マイクセレクタ(MIC−SELECT)140が高速で切り換えて、時分割多重で、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)150→オーディオコーデック/プロセッサ160に供給する。マイク(MIC)50が受音したテスト信号がオーディオコーデック/プロセッサ160で認識されれば、マイク(MIC)50は正常に動作していると判定される。
【0040】
ステップS102における判定の結果、マイク(MIC)50がテスト信号を受音できた場合(マイク(MIC)50が受音したテスト信号がオーディオコーデック/プロセッサ160で認識できた場合)、ステップS103において、上記(2)に記載したような正常動作を行う。
【0041】
その一方で、ステップS102における判定の結果、マイク(MIC)50がテスト信号を受音できなかった場合(オーディオコーデック/プロセッサ160で認識できなかった場合)、テスト信号を受音できないか、テスト信号を出力できないかのいずれか一方若しくは両方の可能性があるため、次に、ステップS104において、スピーカ(SP−R)61から出力されたテスト信号を、スピーカ(SP−L)62が受音できるか否かを判定する。尚、テスト信号を受音できないのは、マイク(MIC)50あるいはマイクアンプ(MIC−AMP)110の故障、若しくはマイク(MIC)50系統(接続ケーブル等)の故障などの可能性がある。また、テスト信号を出力できないのは、スピーカ(SP−R)61あるいはスピーカアンプ(SP−AMP−R)121の故障、若しくはスピーカ(SP−R)61系統(接続ケーブル等)の故障などの可能性がある。
【0042】
ステップS104における判定の結果、スピーカ(SP−R)61から出力されたテスト信号をスピーカ(SP−L)62が受音できた場合、スピーカ(SP−R)61(およびスピーカアンプ(SP−AMP−R)121)がスピーカとして正常に動作しており、且つスピーカ(SP−L)62(およびマイクアンプ(MIC−AMP−L)132)がマイクとして正常に動作していると判断して、ステップS105において、スピーカ(SP−R)61をスピーカとして動作させ、マイク(MIC)50の代わりにスピーカ(SP−L)62をマイクとして動作させる。
【0043】
ステップS104における判定の結果、スピーカ(SP−R)61から出力されたテスト信号をスピーカ(SP−L)62が受音できなかった場合、ステップS106において、スピーカとマイクの組み合わせを変えて、スピーカ(SP−R)61からテスト信号を出力するのを止めて、スピーカ(SP−L)62からテスト信号を出力し、ステップS107において、スピーカ(SP−L)62から出力されたテスト信号をマイク(MIC)50が受音できるか否かを判定する。
【0044】
ステップS107における判定の結果、マイク(MIC)50がスピーカ(SP−L)62からのテスト信号を受音できた場合、マイク(MIC)50およびスピーカ(SP−L)62は、それぞれ、マイクおよびスピーカとして正常に動作している(すなわち、故障がない)ものの、スピーカ(SP−R)61あるいはおよびスピーカアンプ(SP−AMP−R)121に故障があると判断し、ステップS108において、スピーカ(SP−L)62をスピーカとして動作させ、MIC50を通常通りマイクとして動作させる。
【0045】
その一方で、ステップS107における判定の結果、マイク(MIC)50がスピーカ(SP−L)62からのテスト信号を受音できなかった場合、次に、ステップS109において、スピーカ(SP−L)62から出力されたテスト信号を、スピーカ(SP−R)61が受音できるか否かを判定する。
【0046】
ステップS109における判定の結果、スピーカ(SP−L)62から出力されたテスト信号をスピーカ(SP−R)61が受音できた場合、ステップS110において、スピーカ(SP−L)62をスピーカとして動作させ、マイク(MIC)50の代わりにスピーカ(SP−R)61をマイクとして動作させる。
【0047】
その一方で、ステップS109における判定の結果、スピーカ(SP−L)62から出力されたテスト信号をスピーカ(SP−R)61が受音できなかった場合、ステップS111において、マイク、スピーカとして機能する組み合わせが存在しない(代替動作不可能)ものとして、処理を終了する。
【0048】
以上説明したように、実施の形態によれば、送話のために使用するマイク(MIC)50の故障の有無を診断し、故障と判定された場合は通話制御装置200の本体に複数接続されているスピーカ(例えば、左右2つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62)をマイク(MIC)50の代用マイクとして使用するための動作確認を順次行い、マイクとして使用できることが確認できた少なくとも1つのスピーカ(SP−R,SP−L)61,62を、故障したマイク(MIC)50の代用とすることにより、マイク(MIC)50が故障した場合でもハンズフリーフォンシステムとしての通話システムの機能を継続して使用することを可能にすることができる。
【0049】
つまり、事故や故障などでマイク(MIC)50やスピーカ(SP−R,SP−L)61,62の一部が故障して使用不能になった場合でも、複数接続されているスピーカ(SP−R,SP−L)61,62が少なくとも2つ動作していればハンズフリーフォンシステムとしての通話システムの機能を維持することができる。
【0050】
(実施の形態に係る通話制御装置の変形例1)
実施の形態に係る通話システムおよび該通話システムに適用できる通話制御装置200(変形例1)の模式的ブロック構成例は、
図5に示すように表される。
【0051】
変形例1においては、
図5に示すように、スピーカアンプ(SP−AMP−R,SP−AMP−L)121,122がマイクアンプ/プロセッサ部100の外部の通話制御装置200の内に配置される。それ以外の各部の構成は、
図4に例示した基本構成例と同様である。
【0052】
(実施の形態に係る通話制御装置の変形例2)
実施の形態に係る通話システムおよび該通話システムに適用できる通話制御装置200(変形例2)の模式的ブロック構成例は、
図6に示すように表される。
【0053】
変形例2においては、通話制御装置200は、
図6に示すように、自動車等の安全性の確保に有効な各種センサ(例えば、音、照度、角度、加速度、磁気、ジャイロ、温度、湿度、圧力、振動、衝撃、赤外線、運動、ガス、臭いなどのセンサ)としても機能するマイコン190と、マイコン190によって検知されたセンサ情報(劣化や故障等の異常の兆候)等を記憶して利用するためのレジスタ165と記憶部(STORE)180とを備える。マイコン190およびレジスタ165は、マイクアンプ/プロセッサ部100内に配置され、記憶部(STORE)180は、マイクアンプ/プロセッサ部100の外部の通話制御装置200の内に配置される。
【0054】
上記以外の各部の構成は、
図4に例示した基本構成例と同様である。
【0055】
(実施の形態に係る通話制御装置の変形例3)
実施の形態に係る通話システムおよび該通話システムに適用できる通話制御装置200(変形例3)の模式的ブロック構成例は、
図7に示すように表される。
【0056】
変形例3においては、
図7に示すように、マイコン190が、通話制御装置200の外部に配置される点で変形例2と相違する。マイコン190と通話制御装置200とは、I2C(Inter-Integrated Circuit:集積回路間通信)バス、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)、DisplayPort(ディスプレイポート)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)、CAN(Controller Area Network)、SIO(Serial Input/Output)、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)などの車両内ネットワーク等により接続可能である。
【0057】
上記以外の各部の構成は、
図6に例示した変形例2と同様である。
【0058】
(実施の形態に係る通話制御装置の変形例4)
実施の形態に係る通話システムおよび該通話システムに適用できる通話制御装置200(変形例4)の模式的ブロック構成例は、
図8に示すように表される。
【0059】
変形例4においては、
図8に示すように、スピーカアンプ(SP−AMP−R,SP−AMP−L)121,122がマイクアンプ/プロセッサ部100の外部の通話制御装置200の内に配置される。それ以外の各部の構成は、
図6に例示した変形例2と同様である。
【0060】
(実施の形態に係る通話制御装置の変形例5)
実施の形態に係る通話システムおよび該通話システムに適用できる通話制御装置200(変形例5)の模式的ブロック構成例は、
図9に示すように表される。
【0061】
変形例5においては、
図9に示すように、マイコン190が、通話制御装置200の外部に配置される点で変形例4と相違する。マイコン190と通話制御装置200とは、I2Cバス、LVDS、DisplayPort、HDMI、CAN、SIO、UARTなどの車両内ネットワーク等により接続可能である。
【0062】
上記以外の各部の構成は、
図8に例示した変形例4と同様である。
【0063】
(4台のスピーカの適用例)
以上説明した実施の形態に係る通話システムでは、接続されるスピーカ(SP−R,SP−L)61,62の数が2台の場合(最小構成例)を示したが、実施の形態に係る通話システムには、3台以上のスピーカを接続することが可能である。
【0064】
実施の形態に係る通話システムにおいて、1台のマイク(MIC)50と、4台のスピーカ(SP−FR,SP−FL,SP−RR,SP−RL)63,64,65,66とを適用した模式的ブロック構成例は、
図10に示すように表される。尚、4台のスピーカ(SP−FR,SP−FL,SP−RR,SP−RL)63,64,65,66は、
図1のスピーカ63,64,65,66(前後にそれぞれ左右2つ)の位置などに配置され得る。
【0065】
図10に例示するように、4台のスピーカ(SP−FR,SP−FL,SP−RR,SPR−L)63,64,65,66毎に、それぞれ、スピーカアンプ(SP−AMP−FR,SP−AMP−FL,SP−AMP−RR,SP−AMP−RL)123,124,125,126とマイクアンプ(MIC−AMP−FR,MIC−AMP−FL,MIC−AMP−RR,MIC−AMP−RL)133,134,135,136とが接続されて配置される。
【0066】
マイクセレクタ(MIC−SELECT)140は、5入力タイプのセレクタであり、正常動作時にはマイク(MIC)50が受音してマイクアンプ(MIC−AMP)110が増幅した音声信号を選択し、スピーカ(SP−FR)63がマイクロフォンとして機能する際にはスピーカ(SP−FR)63が受音してマイクアンプ(MIC−AMP−FR)133が増幅した音声信号を選択し、スピーカ(SP−FL)64がマイクロフォンとして機能する際にはスピーカ(SP−FL)64が受音してマイクアンプ(MIC−AMP−FL)134が増幅した音声信号を選択し、スピーカ(SP−RR)65がマイクロフォンとして機能する際にはスピーカ(SP−RR)65が受音してマイクアンプ(MIC−AMP−RR)135が増幅した音声信号を選択し、スピーカ(SP−RL)66がマイクロフォンとして機能する際にはスピーカ(SP−RL)66が受音してマイクアンプ(MIC−AMP−RL)136が増幅した音声信号を選択して、選択した音声信号をアナログ/デジタルコンバータ(ADC)150に供給する。
【0067】
尚、
図10では、通話制御装置200およびマイクアンプ/プロセッサ部100の記載を省略しているが、
図4に例示した基本構成例あるいは
図5〜9に例示した変形例1〜5のいずれかの通話制御装置200およびマイクアンプ/プロセッサ部100と同様に構成することができる。
【0068】
図10に例示した1台のマイク(MIC)50と、4台のスピーカ(SP−FR,SP−FL,SP−RR,SP−RL)63,64,65,66とを適用した通話システムの診断方法の一例を示す概略フローチャートは、
図11に示すように表される。
【0069】
ステップS200において、通話システムの診断方法(マイク(MIC)50の機能確認)が開始される。
【0070】
ステップS201において、通話制御装置200に接続されている4台のスピーカ(SP−FR,SP−FL,SP−RR,SP−RL)63,64,65,66のうちの1つ(この場合、スピーカ(SP−FR)63)から所定のテスト信号(例えば、トーン信号)を出力する。
【0071】
次に、ステップS202において、スピーカ(SP−FR)63から出力されたテスト信号を、マイク(MIC)50が受音できるか否かを判定する。
【0072】
ステップS202における判定の結果、マイク(MIC)50がテスト信号を受音できた場合、ステップS203において、上記(2)に記載したような正常動作を行う。
【0073】
その一方で、ステップS202における判定の結果、マイク(MIC)50がテスト信号を受音できなかった場合、ステップS204において、スピーカ(SP−FR)63から出力されたテスト信号を、スピーカ(SP−FR)63以外のスピーカ(SP−FL,SP−RR,SP−RL)64,65,66が受音できるか否かを判定する。
【0074】
ステップS204における判定の結果、スピーカ(SP−FR)63から出力されたテスト信号をスピーカ(SP−FL,SP−RR,SP−RL)64,65,66のいずれかが受音できた場合、ステップS205において、受音できたスピーカ(SP−FL,SP−RR,SP−RL)64,65,66のいずれかをマイク(MIC)50の代わりに動作させる。
【0075】
ステップS204における判定の結果、スピーカ(SP−FR)63から出力されたテスト信号を、スピーカ(SP−FL,SP−RR,SP−RL)64,65,66のいずれも受音できなかった場合、ステップS206において、スピーカ(SP−FR)63は故障であると判断し、ステップS207において、スピーカとマイクの組み合わせを変えて、スピーカ(SP−FL)64からテスト信号を出力する。そして、ステップS208において、スピーカ(SP−FL)64から出力されたテスト信号をマイク(MIC)50が受音できるか否かを判定する。
【0076】
ステップS208における判定の結果、マイク(MIC)50がスピーカ(SP−FL)64からのテスト信号を受音できた場合、ステップS209において、スピーカ(SP−FL)64をスピーカとして動作させ、MIC50を通常通りマイクとして動作させる。
【0077】
その一方で、ステップS208における判定の結果、マイク(MIC)50がスピーカ(SP−FL)64からのテスト信号を受音できなかった場合、次に、ステップS210において、スピーカ(SP−RR,SP−RL)65,66がテスト信号を受音できるか否かを順次判定する。
【0078】
ステップS210における判定の結果、テスト信号をスピーカ(SP−RR,SP−RL)65,66のいずれかが受音できた場合、ステップS211において、受音できたスピーカ(SP−RR,SP−RL)65,66のいずれかをスピーカとして動作させる。
【0079】
その一方で、ステップS210における判定の結果、テスト信号をスピーカ(SP−RR,SP−RL)65,66のいずれも受音できなかった場合、ステップS212において、スピーカ(SP−FL)64は故障であると判断し、ステップS213において、スピーカとマイクの組み合わせを変えて、スピーカ(SP−RR)65からテスト信号を出力し、ステップS210に戻って、残りのスピーカがテスト信号を受音できるか否かを順次判定する。
【0080】
スピーカとマイクのいずれの組み合わせでもテスト信号を受音できない場合、マイク、スピーカとして機能する組み合わせが存在しない(代替動作不可能)ものとして、処理を終了する。
【0081】
以上説明したように、実施の形態によれば、送話のために使用するマイク(MIC)50の故障の有無を診断し、故障と判定された場合は通話制御装置200の本体に複数接続されているスピーカ(例えば、前後左右のスピーカ(SP−FR,SP−FL,SP−RR,SP−RL)63,64,65,66をマイク(MIC)50の代用マイクとして使用するための動作確認を順次行い、マイクとして使用できることが確認できた少なくとも1つのスピーカ(SP−FR,SP−FL,SP−RR,SP−RL)63,64,65,66を、故障したマイク(MIC)50の代用とすることにより、マイク(MIC)50が故障した場合でもハンズフリーフォンシステムとしての通話システムの機能を継続して使用することを可能にすることができる。
【0082】
尚、スピーカ60の数は、2台や4台に限らず、車両等の規模などに応じて、6台、8台…など適宜選択できる。
【0083】
(接続検出回路例)
実施の形態に係る通話システムにおいて接続検出回路300を付加した模式的ブロック構成例は、
図12に示すように表される。
【0084】
接続検出回路300は、マイク(MIC)50およびスピーカ(SP−R,SP−L)61,62と、通話制御装置200との間の電気的接続が正常であるか否かを検出する機能を備える。
【0085】
マイク(MIC)50およびスピーカ(SP−R,SP−L)61,62と通話制御装置200との間の電気的接続が異常であるケースとしては、事故や災害などで車両が物理的に損傷して、例えば、通話システムを構成する電子回路の開放(オープン)や短絡(ショート)などが生じた場合などが想定される。具体的には、電流が正規のルートを通らずに近道をしてしまう場合や、接続ケーブルが途中で切れてしまった場合、接続ケーブルとスイッチなどの素子との結線が外れた場合などが上げられる。
【0086】
実施の形態に係る接続判別回路300は、トーン信号等のテスト信号を使用せずに、マイク(MIC)50およびスピーカ(SP−R,SP−L)61,62のそれぞれの接続ケーブルが電気的に正常に接続されているか否かを常時検出可能とした回路である。実施の形態に係る接続判別回路300を併用することで、物理的に問題のある接続が常に判るので、トーン信号を使用した動作検証の処理手順(処理ステップ数)を削減することができ、トータルの動作検証時間を短縮することが可能になる。
【0087】
尚、上記以外の各部の構成は、
図4に例示した基本構成例と同様である。
【0088】
図12に例示した通話システムの診断方法の一例を示す概略フローチャートは、
図13に示すように表される。
【0089】
ステップS300において、実施の形態に係る接続検出回路300を付加した通話システムの診断方法(マイク(MIC)50の機能確認)が開始される。
【0090】
ステップS301において、接続検出回路300は、マイク(MIC)50と通話制御装置200との間の接続状態を検出する。
【0091】
ステップS301における判定の結果、マイク(MIC)50と通話制御装置200との間の接続が正常でない場合、次に、ステップS302において、接続検出回路300は、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62と通話制御装置200との間の接続状態を検出する。
【0092】
ステップS302における判定の結果、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62と通話制御装置200との間の接続も正常でない場合、ステップS303において、マイク、スピーカとして機能する組み合わせが存在しない(代替動作不可能)ものとして、処理を終了する。
【0093】
その一方で、ステップS302における判定の結果、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62と通話制御装置200との間の接続が正常である場合、ステップS304において、通話制御装置200に接続されているスピーカ(SP−R,SP−L)61,62のうちの1つ(この場合、スピーカ(SP−R)61)から所定のテスト信号(例えば、トーン信号)を出力する。そして、ステップS305において、スピーカ(SP−R)61から出力されたテスト信号を、スピーカ(SP−L)62が受音できるか否かを判定する。
【0094】
ステップS305における判定の結果、スピーカ(SP−R)61から出力されたテスト信号をスピーカ(SP−L)62が受音できた場合、ステップS306において、スピーカ(SP−R)61をスピーカとして動作させ、マイク(MIC)50の代わりにスピーカ(SP−L)62をマイクとして動作させる。
【0095】
ステップS305における判定の結果、スピーカ(SP−R)61から出力されたテスト信号をスピーカ(SP−L)62が受音できなかった場合、ステップS307において、マイク、スピーカとして機能する組み合わせが存在しない(代替動作不可能)ものとして、処理を終了する。
【0096】
その一方で、ステップS301における判定の結果、マイク(MIC)50と通話制御装置200との間の接続が正常である場合、次に、ステップS308において、接続検出回路300は、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62と通話制御装置200との間の接続状態を検出する。
【0097】
ステップS308における判定の結果、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62と通話制御装置200との間の接続も正常でない場合、ステップS309において、マイク、スピーカとして機能する組み合わせが存在しない(代替動作不可能)ものとして、処理を終了する。
【0098】
ステップS308における判定の結果、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62と通話制御装置200との間の接続も正常である場合、ステップS310において、通話制御装置200に接続されているスピーカ(SP−R,SP−L)61,62のうちの1つ(この場合、スピーカ(SP−R)61)から所定のテスト信号(例えば、トーン信号)を出力する。そして、ステップS311において、スピーカ(SP−R)61から出力されたテスト信号を、マイク(MIC)50が受音できるか否かを判定する。
【0099】
ステップS311における判定の結果、マイク(MIC)50がテスト信号を受音できた場合、ステップS312において、上記(2)に記載したような正常動作を行う。
【0100】
その一方で、ステップS311における判定の結果、マイク(MIC)50がテスト信号を受音できなかった場合、次に、ステップS313において、スピーカ(SP−L)62からテスト信号を出力し、ステップS314において、スピーカ(SP−L)62から出力されたテスト信号を、スピーカ(SP−R)61が受音できるか否かを判定する。
【0101】
ステップS314における判定の結果、スピーカ(SP−L)62から出力されたテスト信号をスピーカ(SP−R)61が受音できた場合、ステップS315において、スピーカ(SP−L)62をスピーカとして動作させ、マイク(MIC)50の代わりにスピーカ(SP−R)61をマイクとして動作させる。
【0102】
その一方で、ステップS314における判定の結果、スピーカ(SP−L)62から出力されたテスト信号をスピーカ(SP−R)61が受音できなかった場合、ステップS111において、マイク、スピーカとして機能する組み合わせが存在しない(代替動作不可能)ものとして、処理を終了する。
【0103】
図14は、
図12に例示した接続検出回路300の詳細なブロック構成例を模式的示す。
【0104】
マイク50およびスピーカ60のそれぞれ接続ケーブルの直流電位を、コンパレータ(COMP)でそれぞれ常時監視しており、直流電位が正常値の範囲から外れると、それに対応する接続ケーブルが開放(オープン)や短絡(ショート)していると検知することができる構成である。低域通過フィルタ(LPF1,LPF2,LPF3)は、マイク50やスピーカ60のケーブルに重畳されている音声信号を除去して、直流電圧のみを取り出すための回路である。
【0105】
マイク50およびスピーカ60のそれぞれのコンパレータ(COMP)での直流電位値と正常電位値との比較結果は、接続検出出力として、Highレベル:異常(開放(オープン)や短絡(ショート))、Lowレベル:正常として、それぞれ出力される。
【0106】
尚、
図15は、実施の形態に係る通話システムの構成例を模式的に示しており、
図15に例示したマイク50およびスピーカ60は、例えば
図14に示したマイク50およびスピーカ60に対応する。ステアリングにはスイッチ70が配置されており、スイッチを操作することで、マイク50およびスピーカ60を利用したハンズフリーフォンシステムとしての実施の形態に係る通話システムの機能を実行することができる。また、携帯電話90やカーナビゲーションシステム80と連動した通話システムを実現することも可能である。
【0107】
図16は、
図10に例示した接続検出回路300に適用可能なスピーカ(SP)60の接続検出部の構成を模式的に例示しており、
図16(a)は、スピーカ(SP)60と通話制御装置200との間の電気的接続状態を検出する構成例であり、
図16(b)は、スピーカ(SP)60およびスピーカアンプ(SP−AMP)120と通話制御装置200との間の電気的接続状態を検出する構成例である。電圧計81,82で測定した直流電位値が正常値の範囲から外れると、それに対応する接続ケーブルが開放(オープン)や短絡(ショート)していると検知することができる。
【0108】
図17は、
図10に例示した接続検出回路300に適用可能なマイク(MIC)50の接続状態(OPEN/SHORT)検出部310の構成を模式的に例示する。
図17に例示するように、スピーカ(SP−R,SP−L)61,62については、テスト信号を用いた診断を行い、マイク(MIC)50と通話制御装置200との間の接続状態のみを検出する接続状態(OPEN/SHORT)検出部310を付加するだけでも、トーン信号を使用した動作検証の処理手順を部分的に削減することができ、トータルの動作検証時間を短縮することが可能になる。
【0109】
(外部システムとの接続例)
図18は、実施の形態に係る通話システム500と外部通話システム400との接続例を示す模式図であって、
図18(a)は、全二重通信方式での接続例、
図18(b)は、半二重通信方式での接続例である。
【0110】
実施の形態に係る通話システム500と外部通話システム400との接続は、
図18(a)に示すような全二重通信方式で接続されることが、利便性からも望ましい。しかしながら、事故や災害などで車両が物理的に損傷した場合など、全二重通信方式で接続するのが困難な場合には、
図18(b)に示すような半二重通信方式で接続しても、必要な通話などを行うことができる。
【0111】
図18(b)に示すような半二重通信方式での接続の場合、実施の形態に係る通話システム500および外部通話システム400は、それぞれ切り換え用のスイッチを備えており、実線で示す方向にスイッチされているときは、実施の形態に係る通話システム500から外部通話システム400に対して送話信号が送られ、破線で示す方向にスイッチされているときは、逆に、外部通話システム400から実施の形態に係る通話システム500に対して送話信号が送られる。
【0112】
図19は、実施の形態に係る通話システムにおいて、マイク(MIC)50とスピーカ(SP−FR,SP−FL,SP−RR,SPR−L)63,64,65,66の配置例を模式的に例示する。
図19に例示するように、マイク(MIC)50とスピーカ(SP−FR,SP−FL,SP−RR,SPR−L)63,64,65,66の配置関係が車両毎に決まっている場合は、精度よく自己診断を行うために、最適な配置位置や距離などを予め調整(チューニング)することもできる。
【0113】
尚、
図20は、実施の形態に係る通話システム500と、外部通話システム400として例えば医療機関との接続例を模式的に示している。本実施の形態によれば、マイク(MIC)50が故障した場合でも、マイクとして使用できることが確認できた少なくとも1つのスピーカ63,64,65,66を、故障したマイク(MIC)50の代用とすることにより、ハンズフリーフォンシステムとしての通話システムの機能を継続して使用することを可能にすることができるので、事故や災害などで車両が物理的に損傷した場合などでも医療機関との通話が可能である。
【0114】
また、
図21は、実施の形態に係る通話システムにおいて実施可能なサービスの一例を模式的に示す。実施の形態に係る通話システムにおいて実施可能なサービスとしては、例えば、ハンズフリー通話、オーディオ再生、メール受信、データ通信、電話帳転送なハンズフリー通話などがあり、Bluetoothなどの通信手段によって連携される。
【0115】
ハンズフリー通話としては、発信、着信、二者通話、三者通話などがあり、事故や災害などの場合でも、ハンズフリー通話可能である。
【0116】
オーディオ再生としては、ラジオ/テレビの音声受信、ストリーミング再生などがあり、事故や災害などの場合にニュースなどによる情報収集が可能である。
【0117】
メール受信としては、メール受信通知、受信メール転送などがあり、ハンズフリー通話だけでなく、電子メールを用いた連絡も可能である。また電話帳転送機能と併用すれば、電子メールの多くの送受信先への通知が可能になる。
【0118】
データ通信としては、オペレータ(センタ)接続、緊急通報接続などがあり、事故や災害などの場合に、医療機関、警察、消防、保険会社、ロードサービスなどのコールセンタなどに接続可能である。
【0119】
以上説明したように、本実施の形態によれば、送受話器を手に持たずに通話をするためにマイク50やスピーカ60が通話制御装置200の本体から離れた位置に設置されている通話システムにおいて、送話のために使用するマイク(MIC)50の故障の有無を診断し、故障と判定された場合は通話制御装置200の本体に複数接続されているスピーカ60のいずれかをマイク50の代用としての動作確認を順次行う。そして、マイク50の代用として可能であると確認できた少なくとも1つのスピーカ60を、故障したマイク50の代用とすることにより、マイク50が故障した場合でもハンズフリーフォンシステムとしての通話システムの機能を継続して使用することを可能にする通話システムおよびその診断方法、該通話システムに適用できる通話制御装置、および該通話制御装置に適用できる半導体装置を提供することができる。
【0120】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態について記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0121】
例えば、実施の形態に係る通話システムおよびその診断方法、該通話システムに適用できる通話制御装置、および該通話制御装置に適用できる半導体装置は、車載用に限らず、自宅や施設などの様々な用途に適用することができる。
【0122】
このように、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。