特許第6761675号(P6761675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761675
(24)【登録日】2020年9月9日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷制御装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20200917BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   B41J11/70
   B41J29/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-108806(P2016-108806)
(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公開番号】特開2017-213763(P2017-213763A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2018年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100083840
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】白坂 光剛
【審査官】 五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−047193(JP,A)
【文献】 特開2010−023386(JP,A)
【文献】 特開2016−036935(JP,A)
【文献】 特開2009−234041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/70
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準マークを備えた記録媒体に画像を印刷することが可能な印刷装置であって、
前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記記録媒体を切断するカッタ部と、
前記記録媒体に前記画像を印刷する印刷部と、
前記記録媒体のページ開始位置を示すマークとしての基準マークを、搬送される前記記録媒体から読み取ることにより検出するマーク検出部と、
記録媒体の種別情報を受信する受信部と、
前記記録媒体の種別情報の内容に基づいて、前記カッタ部による切断位置を、前記ページ開始位置から所定の1ページ長、前記搬送方向の上流側の位置である第1の位置、又は、前記第1の位置から規定長、前記搬送方向にずらされた位置である第2の位置に切り替えさせる制御部と、
を備え、
前記受信部によって受信された前記別情報が、前記記録媒体は前記基準マーク及び前記ページ開始位置にハーフカット部を備えた全面ラベルであることを示す情報である場合に、前記制御部は、前記切断位置を前記第2の位置に設定する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ページ開始位置から前記第1の位置までの長さである第1のカット長は、前記1ページ長に等しく、
前記ページ開始位置から前記第2の位置までの長さである第2のカット長は、前記1ページ長より短い
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のカット長から前記規定長を減算することによって、又は、前記第1のカット長に予め決められた係数を乗算することによって、前記第2のカット長を取得することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1のカット長から前記第2のカット長を減算して得られた差分値は、3mm以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の印刷装置。
【請求項5】
基準マークを備えた記録媒体に画像を印刷することが可能な印刷装置であって、前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記記録媒体を切断するカッタ部と、前記記録媒体に前記画像を印刷する印刷部と、前記記録媒体のページ開始位置を示すマークとしての基準マークを、搬送される前記記録媒体から読み取ることにより検出するマーク検出部と、記録媒体の種別情報を受信する受信部と、前記記録媒体の種別情報の内容に基づいて、前記カッタ部による切断位置を、前記ページ開始位置から所定の1ページ長、前記搬送方向の上流側の位置である第1の位置、又は、前記第1の位置から規定長、前記搬送方向にずらされた位置である第2の位置に切り替えさせる制御部とを備え、前記受信部によって受信された前記別情報が、前記記録媒体は前記基準マーク及び前記ページ開始位置にハーフカット部を備えた全面ラベルであることを示す情報である場合に、前記制御部は、前記切断位置を前記第2の位置に設定する前記印刷装置、を制御する印刷制御装置であって、
前記記録媒体の種別情報が、前記記録媒体は前記基準マーク及び前記ページ開始位置にハーフカット部を備えた全面ラベルであることを示す情報であることを設定する入力部と、
前記入力部によって設定された前記記録媒体の種別情報を前記受信部に送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする印刷制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を印刷する印刷装置(プリンタ)及び印刷装置を制御する印刷制御装置(プリンタ制御装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体としてのロール紙に一定間隔ごとに設けられたマークを検出するセンサと、検出されたマークの位置から印刷を開始する印刷部と、次に検出されたマークの位置でロール紙を切断するカッタ機構(カッタ部)とを備えたプリンタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−228839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記プリンタが、記録媒体として、ハーフカット部を有するラベル紙を使用する場合に、カッタ機構による記録媒体の切断位置がハーフカット部に一致しないことがある。この場合には、実際の切断位置とハーフカット部との間の微細な切れ端(例えば、接着層を備えたラベルの切れ端)が発生し、微細な切れ端がカッタ機構又は媒体の搬送機構などに付着して(例えば、切れ端が巻き付いて又は切れ端が挟まって)、プリンタが正常に動作できないエラー状態になる又はプリンタの機構に損傷が生じる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、プリンタが正常に動作できないエラー状態の発生及び機構の損傷の発生を防ぐことができる印刷装置及び印刷装置を制御する印刷制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る印刷装置は、基準マークを備えた記録媒体に画像を印刷することが可能な印刷装置であって、前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記記録媒体を切断するカッタ部と、前記記録媒体に前記画像を印刷する印刷部と、前記記録媒体のページ開始位置を示すマークとしての基準マークを、搬送される前記記録媒体から読み取ることにより検出するマーク検出部と、記録媒体の種別情報を受信する受信部と、前記記録媒体の種別情報の内容に基づいて、前記カッタ部による切断位置を、前記ページ開始位置から所定の1ページ長、前記搬送方向の上流側の位置である第1の位置、又は、前記第1の位置から規定長、前記搬送方向にずらされた位置である第2の位置に切り替えさせる制御部と、を備え、前記受信部によって受信された前記別情報が、前記記録媒体は前記基準マーク及び前記ページ開始位置にハーフカット部を備えた全面ラベルであることを示す情報である場合に、前記制御部は、前記切断位置を前記第2の位置に設定することを特徴とする。
【0007】
本発明の他の態様に係る印刷制御装置は、
基準マークを備えた記録媒体に画像を印刷することが可能な印刷装置であって、前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記記録媒体を切断するカッタ部と、前記記録媒体に前記画像を印刷する印刷部と、前記記録媒体のページ開始位置を示すマークとしての基準マークを、搬送される前記記録媒体から読み取ることにより検出するマーク検出部と、記録媒体の種別情報を受信する受信部と、前記記録媒体の種別情報の内容に基づいて、前記カッタ部による切断位置を、前記ページ開始位置から所定の1ページ長、前記搬送方向の上流側の位置である第1の位置、又は、前記第1の位置から規定長、前記搬送方向にずらされた位置である第2の位置に切り替えさせる制御部とを備え、前記受信部によって受信された前記別情報が、前記記録媒体は前記基準マーク及び前記ページ開始位置にハーフカット部を備えた全面ラベルであることを示す情報である場合に、前記制御部は、前記切断位置を前記第2の位置に設定する前記印刷装置、を制御する印刷制御装置であって、前記記録媒体の種別情報が、前記記録媒体は前記基準マーク及び前記ページ開始位置にハーフカット部を備えた全面ラベルであることを示す情報であることを設定する入力部と、前記入力部によって設定された前記記録媒体の種別情報を前記受信部に送信する送信部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録媒体の種類に応じて切断位置を変更することで、印刷装置が正常に動作できないエラー状態の発生及び印刷装置の機構の損傷の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は、本発明の実施の形態1に係るプリンタの構造を示す概略図であり、(b)は、記録媒体としてのラベル紙(ハーフカット部無し)の裏面を概略的に示す平面図であり、(c)は、記録媒体としてのラベル紙(ハーフカット部有り)の裏面を概略的に示す平面図である。
図2】実施の形態1に係るプリンタシステムのハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
図3図2に示される印刷制御部の機能ブロックを示すブロック図である。
図4図2に示される表示部の表示画面の一例を示す図である。
図5】実施の形態1に係るプリンタシステムにおけるプリンタの動作(印刷データ受信時)を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1に係るプリンタシステムにおけるプリンタの動作(印刷時)を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態2に係るプリンタシステムのハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
図8図7に示される印刷制御部の機能ブロックを示すブロック図である。
図9図7に示される表示部の表示画面の一例を示す図である。
図10】実施の形態2に係るプリンタシステムにおける情報処理装置の動作(印刷データ生成時)を示すフローチャートである。
図11】実施の形態2に係るプリンタシステムにおけるプリンタの動作(印刷時)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。実施の形態において、プリンタシステムは、記録媒体上に印刷データに基づく画像を印刷するプリンタ(「印刷装置」又は「画像形成装置」とも言う)とプリンタの印刷条件を設定するためのユーザ入力が行われる印刷制御装置(「プリンタドライバ装置」又は「プリンタ制御装置」とも言う)とを含む。ただし、プリンタが、印刷条件を設定する機能及び印刷データを生成する機能(すなわち、印刷制御装置の機能)を備えている場合には、プリンタはプリンタシステムと同義である。
【0011】
《1》実施の形態1
《1−1》実施の形態1の構成
図1(a)は、本発明の実施の形態1に係るプリンタ1の構造を示す概略図であり、図1(b)は、記録媒体5としてのラベル紙51(ハーフカット部無し)の裏面を概略的に示す平面図であり、図1(c)は、記録媒体5としてのラベル紙52(ハーフカット部有り)の裏面を概略的に示す平面図である。一般に、ラベル紙51,52は、台紙と、台紙上に重ねられた接着面を有するラベルとから構成される。ただし、記録媒体5は、ラベル紙に限定されない。また、記録媒体5は、ロール状に巻かれていなくてもよい。さらに、記録媒体5の種類は、図1(b)及び(c)に示されるものに限定されない。
【0012】
図1(a)に示されるように、プリンタ1は、ロール状に巻かれた記録媒体5としてのロール状媒体(ロール紙)を支持する媒体支持部17と、媒体支持部17に支持されたロール状媒体から記録媒体5を引き出して搬送方向D1に搬送する搬送部12としての搬送ローラ12a,12bとを備えている。また、プリンタ1は、記録媒体5の裏面(例えば、ラベル紙52の台紙の裏面、すなわち、図1(a)における下面)に備えられた位置基準用の基準マーク55を検出する媒体位置検出部としてのマーク検出部13と、記録媒体5を切断する切断装置としてのカッタ部14と、記録媒体5の表(おもて)面(例えば、ラベル紙52のラベル、すなわち、図1(a)における上面)に入力画像データに基づく画像(例えば、印刷画像58)を形成する画像形成部としての印刷部15とを備えている。搬送部12は、ローラ(又はローラ対)12a,12bと、ローラ12a,12bを回転させるための駆動力を発生するモータなどの駆動力発生部(図示せず)と、駆動力をローラ12a,12bに伝達するギヤなどの駆動力伝達機構(図示せず)とを有している。また、搬送部12による記録媒体5の搬送方向D1の搬送速度は予め設定された速度である。このため、搬送部12による記録媒体5の引き出し長さ(すなわち、記録媒体5の移動距離)は、搬送速度と搬送時間とから算出可能である。ただし、プリンタ1は、記録媒体5の移動距離を計測する距離計測部を備えてもよい。
【0013】
図1(c)における記録媒体5としてのラベル紙52のハーフカット部57は、例えば、ラベル紙52のページ境界に設けられた溝部、すなわち、記録媒体5の厚さ方向の中間位置までの深さを持つ切り込み部である。基準マーク55は、「ブラックマーク」とも称される。基準マーク55は、記録媒体5の1ページ(印刷ページ)の開始位置(「ページ開始位置」又は「ページ境界位置」とも言う)を示す。基準マーク55は、例えば、記録媒体5の搬送方向D1に一定間隔で配置されている。一般には、基準マーク55の搬送方向D1の先端は、ページ開始位置に一致するが、ページ開始位置を検出可能にする基準マーク(例えば、ページ開始位置から一定距離ずれた位置に配置されたマーク)であれば、基準マーク55の搬送方向D1の先端がページ開始位置に一致しなくてもよい。また、図1(a)では、印刷部15がカッタ部14の搬送方向D1の下流側(反ロール紙側)に配置されているが、印刷部15はカッタ部14の搬送方向D1の上流側(ロール紙側)に配置されてもよい。また、プリンタ1の構造は、図1(a)の構造に限定されない。
【0014】
図2は、実施の形態1に係るプリンタシステムのハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。実施の形態1に係るプリンタシステムは、通信(信号の送受信)を行う通信部(第1の通信部)(受信部)16を備えたプリンタ1と、ネットワーク6などの伝送路を介して通信部16と通信(信号の送受信)を行う通信部(第2の通信部)(送信部)34を備えたプリンタを制御するソフトウェアであるプリンタドライバを格納し、プリンタに制御コマンドを含む印刷データを送信する印刷制御装置(プリンタ制御装置)である情報処理装置3とを有している。通信部16及び34は、ネットワークを介して情報の受信又は送信を行う。通信部16及び34は、有線通信部又は無線通信部のいずれであってもよい。また、通信部16及び34の通信方式は、特定の方式に限定されない。プリンタ1は、カラープリンタ、モノクロプリンタ、複写機、ファクシミリ、多機能周辺装置(MFP)である。また、情報処理装置3は、プリンタドライバを格納したパーソナルコンピュータに限らず、プリンタを制御するソフトウェアである印刷用アプリケーションを備えたタブレット端末やスマートフォンなどであってもよい。
【0015】
図2に示されるように、プリンタ1は、通信部16と、記録媒体5を搬送方向D1に搬送する搬送部12と、記録媒体5を切断するカッタ部14と、記録媒体5に画像を印刷する印刷部15と、記録媒体5の裏面(台紙の裏面)に備えられ、記録媒体5のページ開始位置を示す基準マーク(「ブラックマーク」とも言う)を検出するマーク検出部13と、印刷制御部(制御部)11とを有している。印刷部15が採用する印刷方式は、例えば、電子写真方式又はインクジェット方式である。ただし、印刷部15が採用する印刷方式は、これらに限定されない。印刷制御部11は、例えば、画像データを解析して印刷を制御するためのプログラムである印刷制御用ソフトが格納されている記憶部としてのROM(Read Only Memory)113と、画像データ及び各種データを一時的に保存するための記憶部としてのRAM(Random Access Memory)112と、印刷制御用ソフトを実行する情報処理部(プロセッサ)としてのCPU(Central Processing Unit)111とを有している。また、プリンタ1内の構成は、内部バスを介して相互に接続されている。
【0016】
情報処理装置3は、プリンタを制御するのに必要な媒体情報を設定する記録媒体の種別情報が入力される入力部32と、表示部33と、通信部34とを有している。記録媒体の種別情報は、記録媒体の種別を示す情報である。入力部32は、例えば、ユーザ操作により記録媒体の種別情報を入力するための操作部であってもよい。操作部は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルである。情報処理装置3は、さらに、基本ソフトウェアとしてのOS(Operating System)が格納された記憶部313と、プリンタ駆動用のプログラムであるプリンタドライバが格納された記憶部314と、データを一時的に記憶するためのRAM312と、プリンタドライバを実行する情報処理部(プロセッサ)としてのCPU311とを有している。また、情報処理装置3内の構成は、内部バスを介して相互に接続されている。
【0017】
印刷制御部11は、情報処理装置3から送られた記録媒体の種別情報の内容に基づいて、カッタ部14による切断位置を、ページ開始位置から所定の1ページ長(図1(b)におけるL0(第1のカット長))搬送方向D1の上流側の位置である第1の位置54、又は、第1の位置54から規定長R、搬送方向D1にずらされた位置である第2の位置56に切り替えさせる。図1(c)に示されるように、第2の位置56は、例えば、ページ開始位置から距離L1(=L0−R)(第2のカット長)の位置である。
【0018】
このように、記録媒体5がハーフカット部を有するハーフカット媒体である場合に、カッタ部14による記録媒体5の切断位置である第2の位置56を、ハーフカット部57から遠ざける(積極的に離す)処理を行うことにより、実際の切断位置である第2の位置56とハーフカット部57との間の切れ端は発生しない。このように、ハーフカット部57からある程度の距離(例えば、幅3mm以上)離れた位置を切断すれば、微細な切れ端(例えば、幅1mm以下)は発生しない。なお、第2の位置56は、ページ開始位置から距離L1(=L0+R)の位置とすることも可能であるが、この場合には次ページのページ開始位置が少し除去されるので(さらに次ページのページ開始位置までの範囲が無駄になるので)、距離L1(=L0−R)が望ましい。
【0019】
図3は、図2に示される印刷制御部11の機能ブロックを示すブロック図である。印刷制御部11は、マーク種別判定部114と、印刷指示部115と、カット長計算部116と、カット指示部117とを備える。マーク種別判定部114は、マーク検出部13により読み取られた(例えば、光学的に読み取られた)基準マークの種別を判定する。基準マークの種別は、例えば、基準マークのサイズ、位置、色、模様、基準マークの個数などによって判定することができる。実施の形態1においては、マーク種別判定部114は、記録媒体5の裏面に、所定の基準マーク(例えば、ブラックマーク)が有るか否かを判定する。なお、一般に、基準マークは、印刷開始位置を示すのに用いられ、記録媒体の裏面に予め黒い線で印刷された「ブラックマーク」と、ラベル紙間の台紙部分を示すマークとしての「ギャップ」(台紙のみの部分)、及び、マークが備えられていない「マーク無し」の3種類のマークがある。
【0020】
印刷指示部115は、情報処理装置3から印刷実行の指示信号及び画像データを受信すると、印刷部15に画像データに基づく印刷信号を送る。印刷部15は、入力される画像データに基づいて記録媒体5に画像を形成する。
【0021】
カット長計算部116は、情報処理装置3から1ページ長L0を受け取り、これを記憶部112のページ長保持部(記憶領域)112aに格納する。カット長計算部116は、1ページ長L0から規定長Rを減算することによって、又は、1ページ長L0に予め決められた係数を乗算することによって、第2のカット長L1を取得する。取得された第2のカット長L1は、記憶部112のページ長保持部(記憶領域)112aに格納される。カット指示部117は、ページ開始位置から第2のカット長L1上流側(ロール紙側)の位置で、記録媒体5を切断するように、指示信号をカッタ部14に与える。
【0022】
図4は、図2に示される表示部33の表示画面の一例を示す図である。図4は、印刷条件設定画面である。ユーザは、情報処理装置3の入力部32から記録媒体5としての用紙種別を、連続紙、ブラックマーク付きの連続紙、ダイカットラベル、ブラックマーク付きのダイカットラベル、全面ラベル、ブラックマーク付きの全面ラベルの中から選択することができる。図4は、ブラックマーク付き全面ラベルが選択されている場合を示している。図4において、ブラックマーク付き全面ラベルが選択された場合には、記録媒体にハーフカットが備えられている可能性が高い。また、図4において、用紙種別として、印刷開始位置を示すブラックマークが在る記録媒体が指定されていることは、記録媒体がページ単位に印刷されることを目的としたものであることを示している。さらに、図4における用紙種別の内、台紙にラベル紙が貼られているものは、ダイカットラベルと全面ラベルである。さらに、台紙上の全面にラベルが貼られている全面ラベルは、カットを実行した際には台紙上のラベル紙を切断することになり、ハーフカットが施されていた場合にハーフカット近傍でカットすると、切れ端が発生する。一方、ダイカットラベルの場合は、ラベルの周囲はラベルカスが無い状態、つまり、台紙のみの状態であるため、仮にページ間の位置を切断しても、その位置には、ラベルが存在せず、台紙のみ切断することとなり、切断してもラベルの切れ端が発生することはない。
【0023】
《1−2》実施の形態1の動作
図5は、実施の形態1に係るプリンタシステムにおけるプリンタ1の動作(印刷データ受信時)を示すフローチャートである。図5に示されるように、プリンタ1の印刷制御部11は、情報処理装置3から印刷データを受信すると、印刷データを解析して記録媒体5を切断することの指示(カット指示)の有無を判断する(ステップS11)。カット指示が無ければ(ステップS11においてNO)、処理は印刷処理へ進む(ステップS14)。カット指示が有れば(ステップS11においてYES)、処理はマーク種別判定処理に進む(ステップS12)。このとき、用紙種別に「全面ラベル(ブラックマーク)」が指定されていなければ(ステップS12においてNO)、処理は印刷処理へ進む(ステップS14)。
【0024】
用紙種別に「全面ラベル(ブラックマーク)」が指定されていれば(ステップS12においてYES)、印刷制御部11(カット長計算部116)は、カット長L1を計算する(ステップS13)。このとき、印刷制御部11(カット長計算部116)は、先ずページ長保持部141に保持されているページ長L0を読み出し、そのページ長L0から、予め決められた規定長R(例えば、3mm)を差し引いた値(L0−R)を、カット長L1としてカット長保持部112bに書き出す。その後、処理は印刷処理へ進む(ステップS14)。
【0025】
図6は、実施の形態1に係るプリンタシステムにおけるプリンタ1の動作(印刷時)を示すフローチャートである。図6に示されるように、印刷制御部11(印刷指示部115)は、印刷部15に対して1ページの印刷を指示する(ステップS141)。次に、印刷制御部11(カット指示部117)は、印刷するページの終端で記録媒体5が切断されるページ(カットページ)であるか否かを判断し(ステップS142)、カットページでなければ(ステップS142においてNO)、全ページの印刷が終了したか否かを判断する(ステップS144)。カットページであれば(ステップS142においてYES)、印刷制御部11(カット指示部117)は、カッタ部14に、記録媒体5をページ開始位置からカット長L1の位置(すなわち、カット長保持部112bから読み出したページ開始位置にカット長L1を加算した位置)で記録媒体5を切断させる(ステップS143)。
【0026】
最後に、印刷制御部11は、全ページの印刷処理が終了したかどうかを判定し(ステップS144)、終了していれば(ステップS144においてYES)、印刷処理を終了し、終了していなければ(ステップS144においてNO)、処理はステップS141へ戻る。
【0027】
《1−3》実施の形態1の効果
以上に説明したように、実施の形態1に係る印刷装置(プリンタ1)及び印刷制御装置(情報処理装置3)によれば、印刷に使用する記録媒体に備えられた基準マークの種別がブラックマークである場合には、プリンタ1におけるカット位置を、次の基準マーク位置から搬送方向にずらす。このため、記録媒体5がブラックマーク位置にハーフカット部を有する全面ラベル紙であっても、記録媒体(例えば、ラベル)の微細な切れ端が発生せず、プリンタ1の異常な動作の発生を防ぎ、プリンタ1の損傷を防ぐことができる。
また、実施の形態1における記録媒体の切断後に、次の印刷開始位置などの基準になるブラックマークを切断しないようにすることで、次ページを無駄にすることなく、次ページの印刷動作を直ぐに開始することができる。
【0028】
《2》実施の形態2
《2−1》実施の形態2の構成
実施の形態1においては、情報処理装置3の表示部33に表示される用紙種別の指示画面において「ハーフカット媒体」を設定するチェックボックスが設けられていなかったが、本発明の実施の形態2においては、情報処理装置4の表示部33に表示される用紙種別の指示画面において「ハーフカット媒体」を設定するチェックボックス33bが選択されているときに、切断位置の切り替えを行う。
【0029】
図7は、実施の形態2に係るプリンタシステムのハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。図7において、図2(実施の形態1)に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図2に示される符号と同じ符号が付される。実施の形態2に係るプリンタシステムは、情報処理装置4の記憶部314aに記憶されているプリンタドライバ及びプリンタドライバにより表示部33に表示される用紙種別の設定画面の点において、実施の形態1に係るプリンタシステムと相違する。また、実施の形態2に係るプリンタシステムは、プリンタ2のROM113aに記憶されている印刷制御用ソフトの点において、実施の形態1に係るプリンタシステムと相違する。
【0030】
図8は、図7に示される印刷制御部11aの機能ブロックを示すブロック図である。図8において、図3(実施の形態1)に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図3に示される符号と同じ符号が付される。実施の形態2に係るプリンタシステムの印刷制御部11aは、マーク種別判定部114(図3)に代えてハーフカット判定部114aを有する点において、実施の形態1に係るプリンタシステムと相違する。
【0031】
図9は、図7に示される表示部33の表示画面の一例を示す図である。図9に示される表示画面は、記録媒体5がハーフカット部を有するハーフカット媒体であることを示すチェックボックス33bが追加されている点において、図4(実施の形態1)に示される表示画面と相違する。以上の点を除き、実施の形態2は、実施の形態1と同じである。
【0032】
《2−2》実施の形態2の動作
図10は、実施の形態2に係るプリンタシステムにおける情報処理装置4の動作(印刷データ生成時)を示すフローチャートである。先ず、印刷制御装置の一例としての情報処理装置4は、印刷データが生成される際に、チェックボックス33bにチェックが有る場合(ステップS41においてYES)、情報処理装置4は、生成される印刷データに、記録媒体5がハーフカット媒体であることを示す情報(「ハーフカット媒体=ON」と記す)を付加する(ステップS42)。チェックボックス33bにチェックが無い場合(ステップS41においてNO)、情報処理装置4は、生成される印刷データに、記録媒体5がハーフカット媒体ではないことを示す情報(「ハーフカット媒体=OFF」と記す)を付加する(ステップS43)。
【0033】
図11は、実施の形態2に係るプリンタシステムにおけるプリンタ2の動作(印刷時)を示すフローチャートである。図11において、図5(実施の形態1)に示されるステップと同一又は対応するステップには、図5に示されるステップ番号と同じステップ番号が付される。図11に示されるように、プリンタ2の印刷制御部11aは、情報処理装置4から印刷データを受信すると、印刷データを解析して記録媒体5を切断することの指示(カット指示)の有無を判断する(ステップS11)。カット指示が無ければ(ステップS11においてNO)、処理は印刷処理へ進む(ステップS14)。カット指示が有れば(ステップS11においてYES)、処理はハーフカット媒体の判定処理に進む(ステップS22)。このとき、「ハーフカット媒体=ON」が指定されていなければ(ステップS22においてNO)、処理は印刷処理へ進む(ステップS14)。
【0034】
ハーフカット媒体の判定処理において「ハーフカット媒体=ON」が指定されていれば(ステップS12においてYES)、印刷制御部11a(カット長計算部116)は、カット長L1を計算する(ステップS13)。このとき、印刷制御部11(カット長計算部116)は、先ずページ長保持部141に保持されているページ長L0を読み出し、そのページ長L0から、予め決められた規定長R(例えば、3mm)を差し引いた値(L0−R)をカット長L1としてカット長保持部112bに書き出す。その後、処理は印刷処理へ進む(ステップS14)。
【0035】
《2−3》実施の形態2の効果
以上に説明したように、実施の形態2に係る印刷装置(プリンタ2)及び印刷制御装置(情報処理装置4)によれば、印刷に使用する記録媒体5に備えられた基準マークの種別がブラックマークである場合には、プリンタ2におけるカット位置を、次の基準マーク位置から搬送方向にずらす。このため、記録媒体5がブラックマーク位置にハーフカット部を有する全面ラベル紙であっても、記録媒体5の微細な切れ端が発生せず、プリンタ2が正常に動作しないエラー状態の発生及びプリンタ2の機構の損傷を防ぐことができる。
【0036】
上記実施の形態1及び2では、プリンタドライバにより表示される用紙種別の選択画面において、ハーフカット媒体であるか否かを選択する例を示したが、他の設定画面にハーフカット媒体であることを示すチェックボックスを設けてもよい。
【0037】
《3》変形例
実施の形態1では、ページ長L0から規定長Rである3mm引いた長さをカット長L1とする例を示したが、減算する長さは、この値に限定されない。また、実施の形態1及び2では印刷ページ内をカットする例を示したが、この例によると印刷領域内をカットしてしまう可能性がある。そこで、印刷領域内をカットしてしまうことを避けるために次のページ(印刷されていないページ)をカット長L1の位置でカットしてもよい。
【0038】
また、1ページ終端位置(次ページの1ページ開始位置)から次のマーク位置までの間にカットされる方法であれば、その値や算出方法は、問わない。
【符号の説明】
【0039】
1,2 プリンタ、 3,4 情報処理装置(印刷制御装置)、 5 記録媒体、 6 ネットワーク、 11,11a 印刷制御部、 12 搬送部、 12a,12b 搬送ローラ、 13 マーク検出部、 14 カッタ部、 15 印刷部、 16 通信部(第1の通信部)(受信部)、 17 媒体支持部、 32 入力部、 33 表示部、 34 通信部(第2の通信部)(送信部)、 51 ラベル紙(ハーフカット部無し)、 52 ラベル紙(ハーフカット部有り)、 54 第1の位置、 55 基準マーク、 56 第2の位置、 57 ハーフカット部、 111 CPU、 112 RAM、 112a ページ長保持部(記憶領域)、 112b カット長保持部(記憶領域)、 113 ROM、 115 印刷指示部、 116 カット長計算部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11