特許第6761716号(P6761716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761716
(24)【登録日】2020年9月9日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】警告灯制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20200917BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20200917BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   B60R16/02 650D
   B60K35/00 Z
   G08B21/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-190657(P2016-190657)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-52300(P2018-52300A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古根 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岩切 翔太郎
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−088824(JP,A)
【文献】 特開平09−119889(JP,A)
【文献】 特開2006−256568(JP,A)
【文献】 特開2011−179415(JP,A)
【文献】 特開2011−174414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60K 35/00
G08B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機および蓄電体を備える電源系と、前記電源系からの電力によって始動されるエンジンと、前記電源系の異常を乗員に通知する警告灯と、を備える車両に適用される警告灯制御装置であって、
前記電源系の異常の有無を判定し、前記電源系が正常である場合には正常信号を送信する一方、前記電源系が異常である場合には異常信号を送信する電源系判定部と、
前記電源系判定部から前記正常信号を受信した場合には、前記警告灯に消灯信号を送信する一方、前記電源系判定部から前記異常信号を受信した場合には、前記警告灯に点灯信号を送信する警告灯制御部と、
始動条件が成立した場合に自動的に前記エンジンを始動する始動制御部と、
を有し、
前記警告灯制御部は、前記始動条件が成立していない状態のもとで、前記電源系判定部からの受信信号である前記正常信号または前記異常信号が消失した場合には、前記警告灯に前記点灯信号を送信する一方、
前記警告灯制御部は、前記始動条件が成立した状態のもとで、前記受信信号が消失した場合には、前記警告灯に直近の前記点灯信号または前記消灯信号を送信する、
警告灯制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の警告灯制御装置において、
前記警告灯制御部は、前記車両の制御系が起動されてから前記正常信号を受信するまで、前記警告灯に前記点灯信号を送信する、
警告灯制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の警告灯制御装置において、
前記警告灯制御部は、前記電源系に接続されるコントローラに設けられ、
電源電圧の低下によって前記コントローラが再起動された場合に、前記警告灯制御部は、バックアップメモリから前記始動条件の成立の有無と直近の前記点灯信号または前記消灯信号とを取得する、
警告灯制御装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の警告灯制御装置において、
前記電源系判定部は、前記電源系の異常として、前記発電機の発電異常を判定する、
警告灯制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警告灯を制御する警告灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを始動するスタータモータには、電源としてバッテリが接続されている。エンジン始動時にはバッテリからスタータモータに大きな電力が供給されるため、バッテリ電圧が一時的に低下する場合がある。このようなバッテリ電圧の低下は、制御システムの動作を不安定にする要因であった。そこで、バッテリ電圧の低下を伴うエンジン始動時に、制御上の電圧閾値を一時的に下げることにより、警告灯の誤点灯やコントローラの誤作動を防止する制御システムが提案されている(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−88921号公報
【特許文献2】特開2009−227094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両には乗員に異常を通知する警告灯として、発電機やバッテリからなる電源系の異常を通知するチャージランプが設けられている。このような警告灯においても、エンジン始動に伴うバッテリ電圧低下の影響を受けることなく、警告灯を適切に制御することが求められている。
【0005】
本発明の目的は、警告灯を適切に制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の警告灯制御装置は、発電機および蓄電体を備える電源系と、前記電源系からの電力によって始動されるエンジンと、前記電源系の異常を乗員に通知する警告灯と、を備える車両に適用される警告灯制御装置であって、前記電源系の異常の有無を判定し、前記電源系が正常である場合には正常信号を送信する一方、前記電源系が異常である場合には異常信号を送信する電源系判定部と、前記電源系判定部から前記正常信号を受信した場合には、前記警告灯に消灯信号を送信する一方、前記電源系判定部から前記異常信号を受信した場合には、前記警告灯に点灯信号を送信する警告灯制御部と、始動条件が成立した場合に自動的に前記エンジンを始動する始動制御部と、を有し、前記警告灯制御部は、前記始動条件が成立していない状態のもとで、前記電源系判定部からの受信信号である前記正常信号または前記異常信号が消失した場合には、前記警告灯に前記点灯信号を送信する一方、前記警告灯制御部は、前記始動条件が成立した状態のもとで、前記受信信号が消失した場合には、前記警告灯に直近の前記点灯信号または前記消灯信号を送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、警告灯制御部は、電源系判定部からの受信信号である正常信号または異常信号が消失した場合に、警告灯に点灯信号を送信する。これにより、警告灯を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態である警告灯制御装置が適用される車両の一例を示す概略図である。
図2】車両の制御系に組み込まれる警告灯制御装置の構成を示す概略図である。
図3】エンジンコントローラの動作状況と電源電圧との関係を示す説明図である。
図4】警告灯点灯制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図5】初期化対応処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図6】リセット対応処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図7】警告灯点灯制御におけるエンジンコントローラやチャージランプ等の作動状況の一例を示すタイミングチャートである。
図8】警告灯点灯制御におけるエンジンコントローラやチャージランプ等の作動状況の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である警告灯制御装置10が適用される車両11の一例を示す概略図である。図1に示すように、車両11のパワーユニット12には、動力源であるエンジン13が搭載されている。このエンジン13のクランク軸14には、ベルト機構15を介してオルタネータ16が連結されている。また、エンジン13のクランク軸14には、トルクコンバータ17のポンプシェル18を介してスタータモータ19が連結されている。さらに、トルクコンバータ17のタービン軸20には変速機構21が連結されており、変速機構21にはデファレンシャル機構22等を介して車輪23が連結されている。
【0010】
[電源系]
車両11には、オルタネータ(発電機)16およびバッテリ(蓄電体)30を備えた電源系31が設けられている。電源系31の正極ライン32には、オルタネータ16の正極端子16aが接続されるとともに、バッテリ30の正極端子30aが接続されている。また、正極ライン32には、後述するコントローラ41等の電気負荷33が接続されるとともに、スタータリレー34を介してスタータモータ19が接続されている。つまり、スタータモータ19を駆動してクランク軸14を始動回転させることにより、電源系31からの電力によってエンジン13が始動されることになる。なお、オルタネータ16には、ステータコイルやフィールドコイルの通電を制御するため、インバータ、レギュレータおよびマイクロコンピュータ等からなる発電コントローラ35が設けられている。
【0011】
[制御系]
図2は車両11の制御系40に組み込まれる警告灯制御装置10の構成を示す概略図である。図2に示すように、車両11の制御系40には、各種コントローラとして、エンジンコントローラ41、アイドリングストップコントローラ42(以下、ISSコントローラと記載する。)およびメータコントローラ43が設けられている。これらのコントローラ41〜43は、CAN等の車載ネットワーク44を介して互いに通信可能に接続されている。また、エンジンコントローラ41には、制御系40を起動する際やエンジン13を始動する際などに操作されるエンジンスイッチ45、車速を検出する車速センサ46、アクセルペダルの操作状況を検出するアクセルセンサ47、ブレーキペダルの操作状況を検出するブレーキセンサ48等が接続されている。さらに、エンジンコントローラ41にはオルタネータ16の発電コントローラ35が通信可能に接続されており、発電コントローラ35からエンジンコントローラ41に対してオルタネータ16の発電電圧や発電電流が送信される。なお、各種コントローラ35,41〜43は、CPU、ROM、RAMからなるマイクロコンピュータ等によって構成される。また、エンジンコントローラ41には、各種通信データが格納される第1記憶部51および第2記憶部52が設けられている。第1記憶部51は電力供給時に情報を保持する揮発性メモリであり、第2記憶部(バックアップメモリ)52は電力遮断時にも情報を保持する不揮発性メモリである。
【0012】
エンジンコントローラ41は、インジェクタ53、スロットルバルブ54、スタータモータ19等の補機55を制御する補機制御部56を有している。補機制御部56は、各種センサやコントローラから送信される信号に基づいて、インジェクタ53やスロットルバルブ54等を制御し、エンジントルクやエンジン回転数を制御する。また、補機制御部56は、停止中のエンジン13を始動して運転状態に制御する機能を有するとともに、運転中のエンジン13を停止状態に制御する機能を有している。例えば、エンジン停止中に、ブレーキペダルが踏み込まれ、かつエンジンスイッチ45が押された場合には、補機制御部56によってインジェクタ53やスタータモータ19等が制御され、エンジン13が始動されて運転状態に制御される。また、エンジン13が運転される停車中に、エンジンスイッチ45が押された場合には、補機制御部56によってインジェクタ53等が制御され、エンジン13が停止状態に制御される。
【0013】
[アイドリングストップ制御]
所謂アイドリングストップ制御を実行するため、制御系40には、ISSコントローラ42およびエンジンコントローラ41が設けられている。なお、アイドリングストップ制御とは、所定の停止条件が成立した場合にエンジン13を自動的に停止させ、所定の始動条件が成立した場合にエンジン13を自動的に始動する制御である。ISSコントローラ42は、エンジン運転中には停止条件が成立するか否かを判定し、エンジン停止中には始動条件が成立するか否かを判定する。ISSコントローラ42によって、エンジン運転中に停止条件が成立したと判定された場合には、ISSコントローラ42からエンジンコントローラ41にエンジン停止信号が送信される。エンジンコントローラ41がエンジン停止信号を受信すると、補機制御部56によってインジェクタ53等が制御され、運転中のエンジン13が自動的に停止状態に制御される。一方、ISSコントローラ42によって、エンジン停止中に始動条件が成立したと判定された場合には、ISSコントローラ42からエンジンコントローラ41にエンジン始動信号が送信される。エンジンコントローラ41がエンジン始動信号を受信すると、補機制御部56によってインジェクタ53やスタータモータ19等が制御され、停止中のエンジン13が自動的に始動される。
【0014】
このように、エンジンコントローラ41の補機制御部56は、所定の始動条件が成立した場合に自動的にエンジン13を始動する始動制御部として機能している。なお、エンジン13の停止条件としては、例えば、車速が所定値以下であり、かつブレーキペダルが踏み込まれることが挙げられる。また、エンジン13の始動条件としては、例えば、ブレーキペダルの踏み込みが解除されることや、アクセルペダルが踏み込まれることが挙げられる。また、エンジンコントローラ41がエンジン始動信号を受信した場合には、エンジンコントローラ41によって再始動フラグが設定され、この再始動フラグの設定情報(再始動フラグON)が記憶部51,52に格納される。さらに、アイドリングストップ制御によるエンジン始動が完了した場合には、エンジンコントローラ41によって再始動フラグの設定が解除され、再始動フラグの解除情報(再始動フラグOFF)が記憶部51,52に格納される。
【0015】
[警告灯]
図2に示すように、車両11には、各種情報を乗員に向けて表示するコンビネーションメータ60が設けられている。コンビネーションメータ60には、車速やエンジン回転数を表示するメータ61,62が設けられている。図2の拡大部分に示すように、コンビネーションメータ60には複数の警告灯63が設けられている。これらの警告灯63として、電源系31の異常時に点灯されるチャージウォーニングランプ64(以下、チャージランプと記載する。)、エンジン13の異常時に点灯されるエンジンウォーニングランプ65、および油圧低下時に点灯されるオイルウォーニングランプ66等がある。これら警告灯63の点灯状態は、メータコントローラ43およびエンジンコントローラ41等によって制御される。
【0016】
例えば、チャージランプ64の点灯状態は、発電コントローラ35、エンジンコントローラ41、およびメータコントローラ43によって制御される。発電コントローラ35は、電源系31の異常として、オルタネータ16の発電異常、つまり発電電圧や発電電流の過度な低下を検出する機能を有している。発電コントローラ35がオルタネータ16の発電異常を検出すると、発電コントローラ35からエンジンコントローラ41に異常信号が送信され、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に点灯信号が送信される。そして、メータコントローラ43は、受信した点灯信号に基づきチャージランプ64を点灯させる。一方、オルタネータ16が正常に発電している場合には、発電コントローラ35からエンジンコントローラ41に正常信号が送信され、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に消灯信号が送信される。そして、メータコントローラ43は、受信した消灯信号に基づきチャージランプ64を消灯させる。
【0017】
このようなチャージランプ64の点灯制御を実行するため、発電コントローラ35には電源系判定部70が設けられており、エンジンコントローラ41には警告灯制御部71が設けられている。発電コントローラ35の電源系判定部70は、オルタネータ16の発電異常の有無を判定し、オルタネータ16が正常である場合には、正常信号をエンジンコントローラ41に送信する一方、オルタネータ16が異常である場合には、異常信号をエンジンコントローラ41に送信する機能を有する。また、エンジンコントローラ41の警告灯制御部71は、発電コントローラ35から正常信号を受信した場合には、メータコントローラ43を介してチャージランプ64に消灯信号を送信する一方、発電コントローラ35から異常信号を受信した場合には、メータコントローラ43を介してチャージランプ64に点灯信号を送信する機能を有する。
【0018】
[エンジンコントローラの動作状況]
図3はエンジンコントローラ41の動作状況と電源電圧との関係を示す説明図である。図3には、矢印x1を用いてエンジンコントローラ41の正常動作領域が示されており、矢印y1,y2を用いてエンジンコントローラ41のデータ初期化領域が示されている。また、図3には、矢印z1を用いてエンジンコントローラ41の動作停止領域が示されている。図3に示すように、エンジンコントローラ41には、3つの基準電圧として、リセット電圧V1、初期化電圧V2および復帰電圧V3が設定されている。
【0019】
図3に矢印x1で示すように、エンジンコントローラ41の電源電圧が、復帰電圧V3を上回ってから初期化電圧V2を下回る迄は、エンジンコントローラ41が正常動作領域で制御される。この正常動作領域とは、エンジンコントローラ41と他のコントローラ35,42,43等との通信が正常に行われる領域である。また、図3に矢印z1で示すように、エンジンコントローラ41の電源電圧がリセット電圧V1を下回る領域とは、エンジンコントローラ41がその機能を停止させる動作停止領域である。
【0020】
図3に矢印y1で示すように、エンジンコントローラ41の電源電圧が、初期化電圧V2を下回ってからリセット電圧V1に到達する迄は、エンジンコントローラ41がデータ初期化領域で制御される。また、図3に矢印y2で示すように、エンジンコントローラ41の電源電圧が、リセット電圧V1を上回ってから復帰電圧V3に到達する迄も、エンジンコントローラ41がデータ初期化領域で制御される。このデータ初期化領域とは、エンジンコントローラ41と他のコントローラ35,42,43等との通信が保証されていない領域である。このため、エンジンコントローラ41がデータ初期化領域で動作する際には、他のコントローラ35,42,43等から送信される信号が初期化される。つまり、エンジンコントローラ41がデータ初期化領域で動作する際には、発電コントローラ35から受信した正常信号や異常信号が消去されるとともに、ISSコントローラ42から受信したエンジン始動信号やエンジン停止信号が消去される。
【0021】
[警告灯点灯制御(フローチャート)]
前述したように、チャージランプ64の点灯状態は、エンジンコントローラ41等によって制御される。すなわち、オルタネータ16に発電異常が発生すると、発電コントローラ35からエンジンコントローラ41に異常信号が送信され、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に点灯信号が送信される。一方、オルタネータ16が正常に発電している場合には、発電コントローラ35からエンジンコントローラ41に正常信号が送信され、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に消灯信号が送信される。そして、メータコントローラ43は、消灯信号を受信した場合にはチャージランプ64を消灯させ、点灯信号を受信した場合にはチャージランプ64を点灯させる。
【0022】
ところで、エンジン始動時にスタータモータ19が駆動されると、バッテリ30からスタータモータ19に大電流が供給されるため、エンジンコントローラ41の電源電圧つまりバッテリ30の電圧(以下、バッテリ電圧Vbと記載する)が瞬間的に低下する虞がある。このようなバッテリ電圧Vbの低下は、エンジンコントローラ41によるチャージランプ64の点灯制御を不安定にさせる要因である。例えば、エンジンスイッチ45が押されて制御系40を起動する際には、一時的に全ての警告灯63が点灯されるメータチェック制御が実行される。このメータチェック制御においては、対応デバイスから正常信号を受信することで個々の警告灯63が消灯される。例えば、チャージランプ64においては、エンジン13が始動されてオルタネータ16が発電を開始した後に、オルタネータ16の正常発電を受けてチャージランプ64が消灯される。
【0023】
ここで、エンジン始動時にバッテリ電圧Vbが瞬間的に低下し、エンジンコントローラ41がデータ初期化領域や動作停止領域に入ると、メータチェック制御が完了する前にチャージランプ64が消されてしまう虞がある。このように、メータチェック制御中にチャージランプ64が消されることは、チャージランプ64のちらつきを招いて乗員に違和感を与える要因であるため、チャージランプ64を適切に制御することが求められている。なお、メータチェック制御だけでなく、前述したアイドリングストップ制御においても、乗員に違和感を与えることの無いように、チャージランプ64を適切に制御することが求められている。
【0024】
以下、エンジンコントローラ41によるチャージランプ64の点灯制御(以下、警告灯点灯制御と記載する。)について説明する。図4は警告灯点灯制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。なお、図4に示した符号x1,y1,y2,z1は、図3に示した矢印x1,y1,y2,z1の各領域であることを意味している。
【0025】
図4に示すように、ステップS11では、バッテリ電圧Vbが初期化電圧V2以下であるか否かが判定される。ステップS11において、バッテリ電圧Vbが初期化電圧V2を上回る場合、つまり図3に符号x1で示すように、エンジンコントローラ41が正常動作領域で制御される場合には、ステップS12に進み、エンジンコントローラ41が発電コントローラ35から異常信号を受信しているか否かが判定される。
【0026】
ステップS12において、発電コントローラ35から異常信号を受信していると判定された場合には、ステップS13に進み、チャージランプ64が点灯されることから点灯フラグが設定され、この点灯フラグの設定情報(点灯フラグON)が記憶部51,52に格納される。続くステップS14では、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に点灯信号が送信され、コンビネーションメータ60のチャージランプ64が点灯される。一方、ステップS12において、発電コントローラ35から正常信号を受信していると判定された場合には、ステップS15に進み、チャージランプ64が消灯されることから点灯フラグの設定が解除され、点灯フラグの解除情報(点灯フラグOFF)が記憶部51,52に格納される。続くステップS16では、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に消灯信号が送信され、コンビネーションメータ60のチャージランプ64が消灯される。
【0027】
このように、エンジンコントローラ41が正常動作領域で制御される場合に、エンジンコントローラ41は、発電コントローラ35からの受信信号である正常信号または異常信号に基づき、メータコントローラ43に消灯信号または点灯信号を送信する。すなわち、エンジンコントローラ41が正常信号を受信した場合には、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に消灯信号が送信され、チャージランプ64を消灯することで電源系31の正常状態が乗員に通知される。一方、エンジンコントローラ41が異常信号を受信した場合には、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に点灯信号が送信され、チャージランプ64を点灯することで電源系31の異常状態が乗員に通知される。
【0028】
図4に示すように、ステップS11において、バッテリ電圧Vbが初期化電圧V2以下である場合には、ステップS17に進み、バッテリ電圧Vbがリセット電圧V1を下回るか否かが判定される。ステップS17において、バッテリ電圧Vbがリセット電圧V1以上であると判定された場合、つまり図3に符号y1で示すように、エンジンコントローラ41がデータ初期化領域で制御される場合には、ステップS18に進み、初期化対応処理が実行される。前述したように、電源電圧が低下するデータ初期化領域においては、エンジンコントローラ41と他のコントローラ35,42,43等との通信が保証されないことから、エンジンコントローラ41の受信信号が初期化されて消失した状態となる。このため、エンジンコントローラ41は、以下の手順に沿って初期化対応処理を実行する。
【0029】
図5は初期化対応処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、ステップS30では、再始動フラグが設定されているか否かが判定される。ステップS30において、再始動フラグの設定が解除されていると判定された場合、つまりアイドリングストップ制御によるエンジン始動が行われていないと判定された場合には、ステップS31に進み、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に点灯信号が送信され、チャージランプ64が点灯される。すなわち、エンジンコントローラ41がデータ初期化領域で制御される状況とは、受信信号である正常信号や異常信号が失われた状況である。このため、ステップS31においては、受信信号に基づくことなくエンジンコントローラ41から点灯信号を送信させている。つまり、ステップS31においては、データ初期化領域における送信信号の初期値としてエンジンコントローラ41から点灯信号が送信され、データ初期化領域が継続される間はエンジンコントローラ41から点灯信号が送信され続けることになる。なお、ステップS31に進む状況とは、エンジン始動が行われていないにも拘わらず、バッテリ電圧の低下が認められる状況である。このため、電源系31の異常が想定されることから、ステップS31において、チャージランプ64を点灯させることが可能となっている。
【0030】
一方、ステップS30において、再始動フラグが設定されていると判定された場合には、ステップS32に進み、点灯フラグが設定されているか否かが判定される。ステップS32において、点灯フラグが設定されていると判定された場合には、ステップS33に進み、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に点灯信号が送信され、チャージランプ64の点灯が継続される。一方、ステップS32において、点灯フラグの設定が解除されていると判定された場合には、ステップS34に進み、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に消灯信号が送信され、チャージランプ64の消灯が継続される。ここで、再始動フラグが設定される状況とは、アイドリングストップ制御によってエンジン始動が行われる状況であることから、受信信号に基づくことなくチャージランプ64の直近の点灯状況に合わせて、エンジンコントローラ41から点灯信号や消灯信号を送信させている。これにより、アイドリングストップ制御の影響を受けることなく、チャージランプ64を点灯状態や消灯状態を継続させることができる。
【0031】
続いて、図4に示すように、ステップS17において、バッテリ電圧Vbがリセット電圧V1を下回ると判定された場合、つまり図3に符号z1で示すように、エンジンコントローラ41が動作停止領域に入っている場合には、ステップS19に進み、バッテリ電圧Vbが更新されたか否かが判定される。ステップS19において、バッテリ電圧Vbが更新された場合には、ステップS20に進み、バッテリ電圧Vbがリセット電圧V1以上であるか否かが判定される。ステップS20において、バッテリ電圧Vbがリセット電圧V1以上に復帰したと判定された場合には、ステップS21に進み、バッテリ電圧Vbが復帰電圧V3以上であるか否かが判定される。
【0032】
ステップS21において、バッテリ電圧Vbが復帰電圧V3以上であると判定された場合には、図3に符号x1で示すように、エンジンコントローラ41が正常動作領域で制御される場合であるため、ステップS12に進む。前述したように、ステップS12以降の各ステップにおいて、エンジンコントローラ41は、発電コントローラ35からの受信信号である正常信号または異常信号に基づき、メータコントローラ43に消灯信号または点灯信号を送信する。
【0033】
一方、ステップS21において、バッテリ電圧Vbが復帰電圧V3を下回ると判定された場合、つまり図3に符号y2で示すように、エンジンコントローラ41が動作停止領域からデータ初期化領域に復帰した場合には、ステップS22に進む。エンジンコントローラ41が動作停止領域からデータ初期化領域に復帰する状況とは、エンジンコントローラ41が再起動される状況つまりエンジンコントローラ41の電源がリセットされる状況である。このため、エンジンコントローラ41の受信信号が消失するだけでなく、第1記憶部51に格納された再始動フラグおよび点灯フラグが消失するため、エンジンコントローラ41は、以下の手順に沿ってリセット対応処理を実行する。
【0034】
図6はリセット対応処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップS40では、バックアップメモリ52から再始動フラグの設定状況を取得し、続くステップS41では、バックアップメモリ52から点灯フラグの設定状況を取得する。続いて、ステップS42では、再始動フラグが設定されているか否かが判定される。ステップS42において、再始動フラグの設定が解除されていると判定された場合、つまりアイドリングストップ制御によるエンジン始動が行われていないと判定された場合には、ステップS43に進み、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に点灯信号が送信され、チャージランプ64が点灯される。すなわち、エンジンコントローラ41がデータ初期化領域で制御される状況とは、受信信号である正常信号や異常信号が失われた状況である。このため、ステップS43においては、受信信号に基づくことなくエンジンコントローラ41から点灯信号を送信させている。ステップS43においては、データ初期化領域における送信信号の初期値としてエンジンコントローラ41から点灯信号が送信され、データ初期化領域が継続される間はエンジンコントローラ41から点灯信号が送信され続けることになる。なお、ステップS43に進む状況とは、エンジン始動が行われていないにも拘わらず、バッテリ電圧の低下が認められる状況である。このため、電源系31の異常が想定されることから、ステップS43において、チャージランプ64を点灯させることが可能となっている。
【0035】
一方、ステップS42において、再始動フラグが設定されていると判定された場合には、ステップS44に進み、点灯フラグが設定されているか否かが判定される。ステップS44において、点灯フラグが設定されていると判定された場合には、ステップS45に進み、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に点灯信号が送信され、チャージランプ64の点灯が継続される。一方、ステップS44において、点灯フラグの設定が解除されていると判定された場合には、ステップS46に進み、エンジンコントローラ41からメータコントローラ43に消灯信号が送信され、チャージランプ64の消灯が継続される。ここで、再始動フラグが設定される状況とは、アイドリングストップ制御によってエンジン始動が行われる状況であることから、受信信号に基づくことなくチャージランプ64の直近の点灯状況に合わせて、エンジンコントローラ41から点灯信号や消灯信号を送信させている。これにより、アイドリングストップ制御の影響を受けることなく、チャージランプ64を点灯状態や消灯状態を継続させることができる。
【0036】
[警告灯点灯制御]
警告灯点灯制御をタイミングチャートに沿って説明する。図7および図8は警告灯点灯制御におけるエンジンコントローラ41やチャージランプ64等の作動状況の一例を示すタイミングチャートである。図7にはエンジンコントローラ41が一時的にデータ初期化領域に陥る状況が示されており、図8にはエンジンコントローラ41が一時的に動作停止領域に陥る状況が示されている。なお、後述するエンジンスイッチ45のON操作とは、車両11の制御系40を起動するためのスイッチ操作であり、例えばブレーキペダルを踏まずにエンジンスイッチ45を押す操作である。また、後述するエンジンスイッチ45のスタート操作とは、エンジン13を始動するためのスイッチ操作であり、例えばブレーキペダルを踏み込みながらエンジンスイッチ45を押す操作である。
【0037】
[警告灯点灯制御(エンジンコントローラのデータ初期化)]
図7に示すように、乗員によってエンジンスイッチ45がON操作されると(符号a1)、エンジンコントローラ41は、正常信号を受信するまでチャージランプ64を点灯させるメータチェック制御を開始する(符号b1)。続いて、乗員によってエンジンスイッチ45がスタート操作されると(符号a2)、エンジン13のクランキングが開始され(符号c1)、バッテリ電圧Vbが低下し始める(符号d1)。ここで、バッテリ電圧Vbが初期化電圧V2を下回った場合には(符号d2)、エンジンコントローラ41はデータ初期化領域で制御される(符号e1)。このように、エンジンコントローラ41がデータ初期化領域で制御される場合には、前述したように、図5に示した手順に沿って初期化対応処理が実行される。
【0038】
図5および図7に示すように、エンジンスイッチ45のスタート操作によるエンジン始動時には、再始動フラグの設定が解除されることから(符号f1)、エンジンコントローラ41は受信信号(正常信号または異常信号)に基づくことなく点灯信号を送信し、チャージランプ64の点灯を継続させる(符号b2)。このように、エンジンコントローラ41の警告灯制御部71は、受信信号が消失した場合に、チャージランプ64に点灯信号を送信する。これにより、エンジンコントローラ41内の受信信号が消失するデータ初期化領域においても、メータチェック制御中のチャージランプ64を点灯させ続けることができ、乗員に違和感を与えることなくチャージランプ64を制御することができる。
【0039】
その後、エンジン回転数の上昇つまりオルタネータ16の回転速度の上昇に伴って、バッテリ電圧Vbが復帰電圧V3を上回ると(符号d3)、エンジンコントローラ41が正常動作領域に復帰する(符号e2)。そして、エンジン回転数が所定の閾値を上回り(符号c2)、オルタネータ16の正常発電が判定されると、発電コントローラ35からエンジンコントローラ41に正常信号が送信される。エンジンコントローラ41は正常信号に基づいて消灯信号を送信し、チャージランプ64を消灯させる(符号b3)。このように、エンジンコントローラ41が正常信号を受信して消灯信号を送信することにより、チャージランプ64が消されてメータチェック制御は完了することになる。
【0040】
次いで、エンジン13の停止条件が成立すると(時刻t1)、アイドリングストップ制御によってエンジン13が停止する(符号c3)。そして、エンジン13の始動条件が成立すると(時刻t2)、エンジン13のクランキングが開始され(符号c4)、バッテリ電圧Vbが低下し始める(符号d4)。ここで、バッテリ電圧Vbが初期化電圧V2を下回った場合には(符号d5)、エンジンコントローラ41はデータ初期化領域で制御される(符号e3)。このように、エンジンコントローラ41がデータ初期化領域で制御される場合には、前述したように、図5に示した手順に沿って初期化対応処理が実行される。
【0041】
図5および図7に示すように、アイドリングストップ制御によるエンジン始動時には、再始動フラグが設定されることから(符号f2)、エンジンコントローラ41は点灯フラグの設定状況に基づいて点灯信号または消灯信号を送信する。図7に示す例では、オルタネータ16の発電状況が正常であり、点灯フラグの設定が解除されることから(符号g1)、エンジンコントローラ41から消灯信号が送信され、チャージランプ64の消灯が継続される(符号b4)。なお、オルタネータ16の発電状況に異常が認められ、点灯フラグが設定されていた場合には、エンジンコントローラ41から点灯信号が送信され、チャージランプ64の点灯が継続される。
【0042】
このように、エンジンコントローラ41の警告灯制御部71は、始動条件が成立していない状態のもとで、受信信号(正常信号または異常信号)が消失した場合には、チャージランプ64に点灯信号を送信する。一方、エンジンコントローラ41の警告灯制御部71は、始動条件が成立した状態のもとで、受信信号が消失した場合には、チャージランプ64に直近の点灯信号または消灯信号を送信する。これにより、エンジンコントローラ41内の受信信号が消失するデータ初期化領域においても、直近のチャージランプ64の消灯状態または点灯状態を継続させることができ、乗員に違和感を与えることなくチャージランプ64を制御することができる。
【0043】
[警告灯点灯制御(エンジンコントローラの再起動)]
図8に示すように、乗員によってエンジンスイッチ45がON操作されると(符号a1)、エンジンコントローラ41は、正常信号を受信するまでチャージランプ64を点灯させるメータチェック制御を開始する(符号b1)。続いて、乗員によってエンジンスイッチ45がスタート操作されると(符号a2)、エンジン13のクランキングが開始され(符号c1)、バッテリ電圧Vbが低下し始める(符号d1)。ここで、バッテリ電圧Vbが一時的にリセット電圧V1を下回った場合には(符号d2a)、エンジンコントローラ41は一時的に動作停止領域に陥って停止した後に(符号e1a)、エンジンコントローラ41はデータ初期化領域に復帰する(符号e1b)。このように、再起動されたエンジンコントローラ41がデータ初期化領域で制御される場合には、前述したように、図6に示した手順に沿ってリセット対応処理が実行される。
【0044】
すなわち、図6にステップS40,S41として示したように、エンジンコントローラ41が再起動された場合には、エンジンコントローラ41によってバックアップメモリ52から再始動フラグおよび点灯フラグが取得される。つまり、エンジンコントローラ41の警告灯制御部71は、バックアップメモリ52から始動条件の成立の有無と直近の点灯信号または消灯信号とを取得する。
【0045】
続いて、図6および図8に示すように、エンジンスイッチ45のスタート操作によるエンジン始動時には、再始動フラグの設定が解除されることから(符号f1)、エンジンコントローラ41は受信信号(正常信号または異常信号)に基づくことなく点灯信号を送信し、チャージランプ64の点灯を継続させる(符号b2)。このように、エンジンコントローラ41の警告灯制御部71は、受信信号が消失した場合に、チャージランプ64に点灯信号を送信する。これにより、エンジンコントローラ41内の受信信号が消失するデータ初期化領域においても、メータチェック制御中のチャージランプ64を点灯させ続けることができ、乗員に違和感を与えることなくチャージランプ64を制御することができる。
【0046】
その後、エンジン回転数の上昇つまりオルタネータ16の回転速度の上昇に伴って、バッテリ電圧Vbが復帰電圧V3を上回ると(符号d3)、エンジンコントローラ41が正常動作領域に復帰する(符号e2)。そして、エンジン回転数が所定の閾値を上回り(符号c2)、オルタネータ16の正常発電が判定されると、発電コントローラ35からエンジンコントローラ41に正常信号が送信される。エンジンコントローラ41は正常信号に基づいて消灯信号を送信し、チャージランプ64を消灯させる(符号b3)。このように、エンジンコントローラ41が正常信号を受信して消灯信号を送信することにより、チャージランプ64が消されてメータチェック制御は完了することになる。
【0047】
次いで、エンジン13の停止条件が成立すると(時刻t1)、アイドリングストップ制御によってエンジン13が停止する(符号c3)。そして、エンジン13の始動条件が成立すると(時刻t2)、エンジン13のクランキングが開始され(符号c4)、バッテリ電圧Vbが低下し始める(符号d4)。ここで、バッテリ電圧Vbが一時的にリセット電圧V1を下回った場合には(符号d5a)、エンジンコントローラ41は一時的に動作停止領域に陥って停止した後に(符号e3a)、エンジンコントローラ41はデータ初期化領域に復帰する(符号e3b)。このように、再起動されたエンジンコントローラ41がデータ初期化領域で制御される場合には、前述したように、図6に示した手順に沿ってリセット対応処理が実行される。
【0048】
すなわち、図6にステップS40,S41として示したように、エンジンコントローラ41が再起動された場合には、エンジンコントローラ41によってバックアップメモリ52から再始動フラグおよび点灯フラグが取得される。つまり、エンジンコントローラ41の警告灯制御部71は、バックアップメモリ52から始動条件の成立の有無と直近の点灯信号または消灯信号とを取得する。
【0049】
続いて、図6および図8に示すように、アイドリングストップ制御によるエンジン始動時には、再始動フラグが設定されることから(符号f2)、エンジンコントローラ41は点灯フラグの設定状況に基づいて点灯信号または消灯信号を送信する。図8に示す例では、オルタネータ16の発電状況が正常であり、点灯フラグの設定が解除されることから(符号g1)、エンジンコントローラ41から消灯信号が送信され、チャージランプ64の消灯が継続される(符号b4)。なお、オルタネータ16の発電状況に異常が認められ、点灯フラグが設定されていた場合には、エンジンコントローラ41から点灯信号が送信され、チャージランプ64の点灯が継続される。
【0050】
このように、エンジンコントローラ41の警告灯制御部71は、始動条件が成立していない状態のもとで、受信信号(正常信号または異常信号)が消失した場合には、チャージランプ64に点灯信号を送信する。一方、エンジンコントローラ41の警告灯制御部71は、始動条件が成立した状態のもとで、受信信号が消失した場合には、チャージランプ64に直近の点灯信号または消灯信号を送信する。これにより、エンジンコントローラ41内の受信信号が消失するデータ初期化領域においても、直近のチャージランプ64の消灯状態または点灯状態を継続させることができ、乗員に違和感を与えることなくチャージランプ64を制御することができる。
【0051】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、電源系31の異常として、オルタネータ16の発電異常を挙げているが、これに限られることはなく、例えば、電源系31の断線や短絡等の他の異常に基づいて、チャージランプ64を点灯させても良い。また、前述の説明では、発電機としてオルタネータ16を用いているが、これに限られることはなく、発電機としてスタータジェネレータつまりISG(integrated starter generator)を用いても良い。また、前述の説明では、エンジン始動時にスタータモータ19を用いてエンジン13をクランキングしているが、これに限られることはなく、電動機としても機能するスタータジェネレータによってエンジン13をクランキングしても良い。また、前述の説明では、蓄電体としてバッテリ30を用いているが、これに限られることはなく、蓄電体としてキャパシタを用いても良い。
【0052】
前述の説明では、エンジンコントローラ41およびISSコントローラ42を用いて、アイドリングストップ制御を実行しているが、これに限られることはない。例えば、ISSコントローラ42を備えていない場合には、エンジンコントローラ41およびミッションコントローラを用いてアイドリングストップ制御を実行しても良く、エンジンコントローラ41だけを用いてアイドリングストップ制御を実行しても良い。
【0053】
前述の説明では、エンジンコントローラ41に、第1記憶部51、第2記憶部(バックアップメモリ)52、補機制御部(始動制御部)56、および警告灯制御部71を設けているが、これに限られることはない。例えば、第1記憶部51、第2記憶部52、補機制御部56および警告灯制御部71の一部または全部を、他のコントローラに設けても良い。また、前述の説明では、発電コントローラ35に電源系判定部70を設けているが、これに限られることはなく、電源系判定部70を他のコントローラに設けても良い。なお、前述の説明では、車載ネットワーク44を介して各コントローラ41〜43を通信可能に接続しているが、車載ネットワーク44としては、有線ネットワークであっても良く、無線ネットワークであっても良い。
【符号の説明】
【0054】
10 警告灯制御装置
11 車両
13 エンジン
16 オルタネータ(発電機)
30 バッテリ(蓄電体)
31 電源系
40 制御系
41 エンジンコントローラ(コントローラ)
52 第2記憶部(バックアップメモリ)
56 補機制御部(始動制御部)
64 チャージランプ(警告灯)
70 電源系判定部
71 警告灯制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8