(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761719
(24)【登録日】2020年9月9日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】カラー表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20200917BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20200917BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20200917BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 641A
G09G3/20 641R
G02F1/133 505
G02F1/133 510
G02F1/133 535
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-194944(P2016-194944)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-59958(P2018-59958A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】重藤 泰大
【審査官】
武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−25927(JP,A)
【文献】
特開2008−145591(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0066620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FSC方式のカラー表示装置であって、
液晶セルと、
R色の光を出射するR色光源と、
G色の光を出射するG色光源と、
B色の光を出射するB色光源と、
前記R色、G色及びB色光源を順次点灯又は消灯させる光源制御部と、
前記R色、G色及びB色光源の各点灯期間中に、前記液晶セルに、前記R色、G色及びB色光源からの光を透過させる透過モード又は遮断させる遮断モードを選択的に設定する第1処理を実行するとともに、前記R色、G色及びB色光源の消灯期間中に、前記R色、G色及びB色毎に、前記液晶セルに、前記各点灯期間中に前記透過モードを設定する時間と同じ時間だけ前記遮断モードを設定し且つ前記各点灯期間中に前記遮断モードを設定する時間と同じ時間だけ前記透過モードを設定する第2処理を実行する液晶セル制御部と、を有し、
1フレーム内に、前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマ、及び、前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマが設定され、
前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマの数は、それぞれ前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマの数より少なくなるように設定され、
前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマにおいて前記透過モードと前記遮断モードとを選択的に設定する回数の合計は、それぞれ前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマにおいて前記透過モードと前記遮断モードとを選択的に設定する回数の合計より少なくなるように設定される、
ことを特徴とするカラー表示装置。
【請求項2】
前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行はそれぞれ3つのコマに割り当てられ、前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行はそれぞれ前記3つのコマの総時間幅と同じ時間幅を有する1つのコマに割り当てられる、ことを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項3】
前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行はそれぞれ3つのコマに割り当てられ、前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行はそれぞれ前記3つのコマの総時間幅の1/2の時間幅を有する2つのコマに割り当てられる、ことを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項4】
前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行はそれぞれ3つのコマに割り当てられ、前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行はそれぞれ前記3つのコマの総時間幅の2/3の時間幅を有する第1のコマと前記3つのコマの総時間幅の1/3の時間幅を有する第2のコマの2つのコマに割り当てられる、ことを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項5】
前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行はそれぞれ2つのコマに割り当てられ、前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行はそれぞれ前記2つのコマの総時間幅と同じ時間幅を有する1つのコマに割り当てられる、請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項6】
前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマのうちの少なくとも1つのコマの時間幅は、前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマのうちの対応する色のコマの時間幅よりも長くなるように設定される、ことを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項7】
前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行は連続する複数のコマのグループに割り当てられ、1フレーム内に存在する複数の前記グループのそれぞれに含まれる各コマには、各グループ間で順序が異なるように、前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられる、ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のカラー表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー表示装置に関し、特に発光波長特性の異なる複数の光源を切換えてカラー表示を行うフィールド・シーケンシャル方式(以下「FSC方式」と言う場合がある)のカラー表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FSC方式のカラー表示装置では、赤色(以下「R色」と言う場合がある)、緑色(以下「G色」と言う場合がある)及び青色(以下「B色」と言う場合がある)の異なる波長の3つの光源を順次選択して発光させるように制御して、カラー画像を表示する(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、FSC方式により、発光素子から液晶セルに光を供給し、液晶セルを光シャッターとして用いて画像を表示する方法が知られている(例えば、特許文献2)。FSC方式では、発光素子がR色、G色、B色の順に一定時間TSずつ各色の光を液晶セルに照射する。一方、液晶セルは、一定の電圧が印加(ON)された場合、照射された光を透過させ、その電圧の逆電圧(振幅が同じであり且つ極性が逆である電圧)が印加(OFF)された場合、照射された光を遮断する。この方式では、各画素に表示させる色に応じて、時間TS内で液晶セルに光を透過させる時間が調整され、各画素の階調が調整される。なお、時間TSを非常に短くすることにより、各色は人間の目に一色ずつ認識されず、混色として認識される。
【0004】
図6は、FSC方式により画像表示が行われる状態を示すタイミングチャートである。
図6に示す様に、この方式では、光源を点灯(ON)するアクティブ(Active)期間と、光源を消灯(OFF)するパッシブ(Passive)期間とが交互に設けられている。また、この方式では、アクティブ期間において、液晶セルに一定の電圧を印加(ON)して光を透過させる時間と、その逆電圧を印加(OFF)して光を遮断させる時間とを調整することにより、液晶セルを透過する光の量(透過光量)が変化し、各画素の階調が調整される。
【0005】
例えば、
図6(a)に示す状態では、アクティブ期間において液晶セルがONである割合は0であり、階調は0(黒表示)となる。
図6(b)に示す状態では、アクティブ期間において液晶セルがONである割合は1/4であり、階調は63となる。
図6(c)に示す状態では、アクティブ期間において液晶セルがONである割合は1/2であり、階調は127(グレー表示)となる。
図6(d)に示す状態では、アクティブ期間において液晶セルがONである割合は1であり、階調は255(白表示)となる。
【0006】
一方、液晶セルに一定の電圧が印加され続けると、液晶の位置が固定し、画像の焼き付きが発生するおそれがある。画像の焼き付きを防ぐために、
図6に示す様に、パッシブ期間では、液晶セルは、アクティブ期間中にONにされていた時間と同じ時間だけOFFにされ、アクティブ期間中にOFFにされていた時間と同じ時間だけONにされる。
【0007】
図7は、FSC方式によりカラー画像表示が行われている状態を示す従来技術におけるタイミングチャートである。
【0008】
図7(a)に示す例では、1フレームが3つのブロックに分割されており、各ブロックにおいて、アクティブ期間Aとパッシブ期間Pが交互に切り替わるように設定されている。各ブロックには、R色の光源の点灯期間R、消灯期間r、G色の光源の点灯期間G、消灯期間g、B色の光源の点灯期間B、消灯期間bの順に各期間が設定され、各期間に同期して液晶セルのONとOFFが制御される。
【0009】
しかし、各色の光源の点灯期間(アクティブ期間)と消灯期間(パッシブ期間)を交互に切り替える方式では、各色の光源の点灯期間の連続性が失われることによって、いわゆる色割れ(カラーブレイクアップ)が発生する。色割れとは、人間の目の追従運動などの視線移動により、例えば白色表示のエッジの注視点が移動し、その部分のR色、G色及びB色が重ならずに、所望の色とは異なる色に見えてしまう事を言う。または、色割れとは、R色、G色及びB色によって白色物体が画面上を移動しているシーンを表示した場合に、RGBの像が時間差によってわずかにずれるために、白色物体のエッジが所望の色とは異なる色に見えてしまうことを言う。色割れの発生は、表示フィールド周波数を高くし、各色の表示間隔を短くすることにより抑制されるが、表示フィールド周波数を高くすると、消費電力が増大する。
【0010】
図7(b)に示す例では、各ブロックにおいて、アクティブ期間Aとパッシブ期間Pが連続するように設定されている。各ブロックには、R色の光源の点灯期間R、G色の光源の点灯期間G、B色の光源の点灯期間B、消灯期間r、消灯期間g、消灯期間bの順に各期間が設定され、各期間に同期して液晶セルのONとOFFが制御される。この方式では、R色、G色、B色の各光源の点灯期間が連続するため、表示フィールド周波数を高くすることなく、色割れの発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−333890号公報
【特許文献2】特開2015−25927号公報(第6図、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図7に示す方式では、パッシブ期間において液晶セルは、アクティブ期間中にONにされていた時間と同じ時間だけOFFにされ、アクティブ期間中にOFFに設定されていた時間と同じ時間だけONにされるため、画像の焼き付きが防止される。しかしながら、液晶セルのON及びOFFを頻繁に切り換えるためには、液晶セルのON及びOFFを制御する制御回路が複雑になって処理負荷が増大する。
【0013】
そこで、本発明は、画像の焼き付きを抑制しつつ、処理負荷の増大を抑制することを可能とするFSC方式のカラー表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るカラー表示装置は、FSC方式のカラー表示装置であって、液晶セルと、R色の光を出射するR色光源と、G色の光を出射するG色光源と、B色の光を出射するB色光源と、前記R色、G色及びB色光源を順次点灯又は消灯させる光源制御部と、前記R色、G色及びB色光源の各点灯期間中に、前記液晶セルに、前記R色、G色及びB色光源からの光を透過させる透過モード又は遮断させる遮断モードを選択的に設定する第1処理を実行するとともに、前記R色、G色及びB色光源の消灯期間中に、前記R色、G色及びB色毎に、前記液晶セルに、前記各点灯期間中に前記透過モードを設定する時間と同じ時間だけ前記遮断モードを設定し且つ前記各点灯期間中に前記遮断モードを設定する時間と同じ時間だけ前記透過モードを設定する第2処理を実行する液晶セル制御部と、を有し、1フレーム内に、前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマ、及び、前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマが設定され、前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマの数は、それぞれ前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマの数より少なくなるように設定され
、前記R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマにおいて前記透過モードと前記遮断モードとを選択的に設定する回数の合計は、それぞれ前記R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマにおいて前記透過モードと前記遮断モードとを選択的に設定する回数の合計より少なくなるように設定される、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るカラー表示装置では、R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマのうちの少なくとも1つのコマの時間幅は、R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマのうちの対応する色のコマの時間幅よりも長くなるように設定されることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るカラー表示装置では、R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行はそれぞれ3つのコマに割り当てられ、R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行はそれぞれ3つのコマの総時間幅と同じ時間幅を有する1つのコマに割り当てられることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係るカラー表示装置では、R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行はそれぞれ3つのコマに割り当てられ、R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行はそれぞれ3つのコマの総時間幅の1/2の時間幅を有する2つのコマに割り当てられることが好ましい。
【0018】
また、本発明に係るカラー表示装置では、R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行はそれぞれ3つのコマに割り当てられ、R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行はそれぞれ3つのコマの総時間幅の2/3の時間幅を有する第1のコマと3つのコマの総時間幅の1/3の時間幅を有する第2のコマの2つのコマに割り当てられることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係るカラー表示装置では、R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行はそれぞれ2つのコマに割り当てられ、R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行はそれぞれ2つのコマの総時間幅と同じ時間幅を有する1つのコマに割り当てられることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係るカラー表示装置では、R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行は連続する複数のコマのグループに割り当てられ、1フレーム内に存在する複数のグループのそれぞれに含まれる各コマには、各グループ間で順序が異なるように、R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、1フレーム内において、光源の消灯期間中に液晶セルを制御するためのコマの数を、光源の点灯期間中に液晶セルを制御するためのコマの数より少なくなるようにした。これにより、画像の焼き付きを抑制しつつ、液晶セルの設定を切り換える回数を低減することが可能となり、処理負荷の増大を抑制することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係るカラー表示装置1の概略構成図である。
【
図3】カラー表示装置1のタイミングチャートの一例を示した図である。
【
図4】(a)はカラー表示装置1のタイミングチャートの他の例を示した図であり、(b)はカラー表示装置1のタイミングチャートのさらに他の例を示した図である。
【
図5】(a)は従来のカラー表示装置のタイミングチャートの一例を示した図であり、(b)はこのカラー表示装置に本発明を適用した場合のタイミングチャートの一例を示した図である。
【
図6】(a)〜(d)はFSC方式により画像表示が行われる状態を示すタイミングチャートである。
【
図7】(a)、(b)は従来技術におけるタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るカラー表示装置について詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るカラー表示装置1の概略構成図である。
【0025】
カラー表示装置1は、デジタルカメラや携帯電話等の電子機器(図示せず)から入力される画像データに従って、カラー画像を表示する。そのために、
図1に示す様に、カラー表示装置1は、例えば、液晶セル制御回路10、ソースドライバ11、ゲートドライバ12、アクティブ駆動されるTFTタイプの液晶セル(液晶パネル)20、光源制御回路30、光源であるR色LED31、光源であるG色LED32、及び光源であるB色LED33を含む光源部35、並びに導光板40等を有する。
【0026】
R色LED31、G色LED32及びB色LED33は導光板40の側面に配置されており、各色LEDから出射された各色光は導光板40によって液晶セル20に導かれる。各色LEDから出射された各色光は、導光板40によって拡散し、光路を曲げられて、ほぼ均一な平行光に変換されて液晶セル20全体を照明する。なお、R色LED31、G色LED32及びB色LED33は、複数個ずつ配置されていてもよく、各色LEDの個数は同数でなくとも良い。
【0027】
液晶セル制御回路10は、カラー表示装置1が接続される電子機器の本体(図示せず)の全体制御CPU等から入力される画像データに従って、ソースドライバ11及びゲートドライバ12を制御して、液晶セル20の各画素(例えば、2.4インチ QVGAサイズ 320×240画素)の透過光量の制御を行う。また、液晶セル制御回路10は、光源との同期を取るためのタイミング信号を光源制御回路30へ送信する。
【0028】
液晶セル20は、2枚の透明基板間に液晶を挟持する。液晶としては、透過する光を90度旋光するツイストネマティック液晶(TN液晶)等が用いられる。また、1枚の透明基板側に、TFT素子が画素毎に配置され、それぞれのソース線がソースドライバ11と接続され、それぞれのゲート線がゲートドライバ12と接続されている。なお、本発明に係るカラー表示装置では、TN液晶の代わりに、STN液晶、強誘電性液晶及び反強誘電性液晶等を用いることも可能であり、その場合でも本実施例と同様の効果を期待することができる。
【0029】
液晶セル制御回路10は、R色LED31、G色LED32及びB色LED33の各点灯期間中に第1処理を実行し、消灯期間中に第2処理を実行する。液晶セル制御回路10は、第1処理として、液晶セル20に、R色LED31、G色LED32及びB色LED33からの光を透過させる透過モード、又は、R色LED31、G色LED32及びB色LED33からの光を遮断させる遮断モードを設定する。
【0030】
液晶セル制御回路10は、液晶セル20に第1電圧を印加することにより透過モードを設定し、液晶セル20に第2電圧を印加することにより遮断モードを設定する。第2電圧は、第1電圧の逆電圧(振幅が同じであり且つ極性が逆である電圧)である。
【0031】
一方、液晶セル制御回路10は、第2処理として、R色、G色及びB色毎に、液晶セル20に、R色LED31、G色LED32及びB色LED33の各点灯期間中に第1処理の透過モードを設定する時間と同じ時間だけ遮断モードを設定する。さらに、液晶セル制御回路10は、R色LED31、G色LED32及びB色LED33の各点灯期間中に第1処理の遮断モードを設定する時間と同じ時間だけ透過モードを設定する。
【0032】
光源制御回路30は、液晶セル制御回路10からのタイミング信号にしたがって、R色LED31、G色LED32及びB色LED33を、後述するタイミングで順次点灯又は消灯させて、各色光によって導光板40を介して液晶セル20を照明する。
【0033】
図2は、カラー表示装置1の概略断面図である。
【0034】
カラー表示装置1では、視認側(図の上部)から、第1の偏光板50、液晶セル20、第2の偏光板52、反射型偏光板54及び導光板40が配置されている。なお、第1の偏光板50及び第2の偏光板52は、ノーマリー白モードに設定した。また、L1及びL2は、光源部35から出射されて導光板40に入り、その後導光板40から出射される照明光を示している。
【0035】
導光板40から出射した光は、液晶セル20の画素が透過モードに設定されている場合には、液晶セル20を透過して視認可能となり(L1)、画素は光源に対応したカラー光として視認される。しかしながら、液晶セル20の画素が遮断モードに設定されている場合には、導光板40から出射した光は液晶セル20を透過せず(L2)、画素は黒い表示として視認される。このように、液晶セル20は光シャッターとして用いられる。
【0036】
FSC方式のカラー表示装置1では、サブフィールドが人間の目の認識限界を超えてすばやく切換わり、各色のLEDによる点灯と消灯が高速で繰り返される(例えば、60Hz以上)。したがって、人間の目には、R色、G色及びB色の画像が積分されて(即ち、R色、G色及びB色の3色の光が混合されて)、多色のカラー表示として視認される。カラー表示装置1では、R色LED31、G色LED32及びB色LED33が順次発光し、R色、G色及びB色の3色の光が混合されて認識され、多色のカラー表示として視認される。
【0037】
図3は、カラー表示装置1のタイミングチャートの一例を示した図である。
【0038】
図3のタイミングチャートにおいて、液晶セル20の各画素の制御は、液晶セル制御回路10により外部からの画像データに基づいて行われ、各光源の点灯制御は、光源制御回路30により液晶セル制御回路10からのタイミング信号等に基づいて行われる。
【0039】
図3に示す例では、1フレームは1/60秒であり、1フレーム内に12個のコマ(時間帯)が設定される。第1〜3、5〜7、9〜11コマには光源部35の点灯期間(アクティブ期間A)が割り当てられ、第4、8、12コマには光源部35の消灯期間(パッシブ期間P)が割り当てられる。
【0040】
特に、第1、5、9コマには、R色に対応する第1処理が実行されるR色LED31の点灯期間Rが割り当てられる。また、第2、6、10コマには、G色に対応する第1処理が実行されるG色LED32の点灯期間Gが割り当てられる。また、第3、7、11コマには、B色に対応する第1処理が実行されるB色LED33の点灯期間Bが割り当てられる。一方、第4コマは第1、5、9コマの総時間幅と同じ時間幅を有し、第4コマにはR色に対応する第2処理が実行される消灯期間rが割り当てられる。また、第8コマは第2、6、10コマの総時間幅と同じ時間幅を有し、第8コマにはG色に対応する第2処理が実行される消灯期間gが割り当てられる。また、第12コマは第3、7、11コマの総時間幅と同じ時間幅を有し、第12コマにはB色に対応する第2処理が実行される消灯期間bが割り当てられる。なお、消灯期間が割り当てられた第4、8、12コマにおいて、第2処理の遮断モードを設定する電圧信号の波形は、対応する色の点灯期間において、第1処理の透過モードを設定する電圧信号の波形の時間幅を3倍に引き伸ばし且つ極性を反転したものとされる。
【0041】
図3に示す様に、液晶セル制御回路10は、各点灯期間R、G、Bにおいて、液晶セル20に、各画素に表示させるR色、G色、B色の階調に応じた時間だけ透過モードを設定(ON)し、他の時間では遮断モードを設定(OFF)する。なお、
図3では、説明を容易にするために、液晶セル20に透過モードを設定する各時間は各点灯期間R、G、Bの1/4の時間としている。
【0042】
一方、液晶セル制御回路10は、各消灯期間r、g、bにおいて、液晶セル20に、各点灯期間R、G、B中に透過モードを設定した時間と同じ時間だけ遮断モードを設定し、各点灯期間R、G、B中に遮断モードを設定した時間と同じ時間だけ透過モードを設定する。
【0043】
なお、液晶セル制御回路10は、点灯期間R、G、Bでは、色割れの発生を抑制するために、R色、G色、B色毎に、それぞれ3回の点灯期間R、G、Bに分割して透過モードを設定している(色毎に透過モードと遮断モードの切換えを同じ内容で3回ずつ行っている)。一方、液晶セル制御回路10は、各消灯期間r、g、bでは、色割れの発生を考慮する必要がないため、R色、G色、B色毎に、それぞれ1回の消灯期間r、g、b内で連続的に透過モード及び遮断モードを設定している。
【0044】
この例では、1フレーム内で、光源部35の点灯期間A及び消灯期間Pが複数(3個)のブロックに分割されており、点灯期間A及び消灯期間Pが分割されていない場合と比較して各色の表示間隔(の最大値)は短くなる。そのため、カラー表示装置1は、色割れの発生を抑制することができる。なお、各ブロックでは、互いに同じ内容のカラー画像が表示される。つまり、1フレーム内では、ブロックの数と同じ数のカラー画像が連続的に表示され、それらのカラー画像が視覚的に重なることにより、1フレーム分の1つのカラー画像として視認される。
【0045】
また、この例では、光源部35の点灯期間Aと同じ時間だけ光源部35の消灯期間Pが設けられている。したがって、液晶セル制御回路10は、消灯期間Pにおいて、液晶セル20に、点灯期間A中に設定する各モードと異なるモードを、各モードを設定する時間と同じ時間だけ設定することができる。これにより、カラー表示装置1は、液晶の位置が固定して画像の焼き付きが発生することを防止することができる。
【0046】
さらに、この例では、R色、G色、B色毎に、各色LEDの点灯期間R、G、Bの総時間幅と同じ時間幅だけ、各色に対応する第2処理が実行される消灯期間r、g、bが設けられている。したがって、R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマの時間幅を十分に長くすることができる。これにより、カラー表示装置1は、画像の焼き付きが発生することを、より効果的に防止することができる。
【0047】
さらに、この例では、各ブロック内において、R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマの数(1個)は、それぞれR色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマの数(3個)より少なくなるように設定されている。つまり、1フレーム内において、R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマの総数(3個)は、それぞれR色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマの総数(9個)より少なくなるように設定されている。したがって、液晶セル制御回路10は、各モードを切り替える回数を低減することが可能となり、カラー表示装置1は、液晶セル制御回路10の処理負荷の増大を抑制することが可能となる。
【0048】
なお、この例では、R色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行は、連続する複数のコマのグループ(第1〜3コマのグループ、第5〜7コマのグループ、第9〜11コマのグループ)に割り当てられている。カラー表示装置1は、1フレーム内に存在する各グループに含まれる各コマに、各グループ間で順序が異なるように、各第1処理の実行を割り当てても良い。例えば、カラー表示装置1は、第1、2、3コマにそれぞれR色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行を割り当て、第5、6、7コマにはそれぞれG色、B色及びR色に対応する各第1処理の実行を割り当て、第9、10、11コマにはそれぞれB色、R色及びG色に対応する各第1処理の実行を割り当てる。
【0049】
液晶セル20を遮断モードから透過モードに変更する場合、液晶が完全に切り替わるまでに時間がかかり、本来の色を再現できなくなる可能性がある。これに対し、グループ毎に各色に対する処理の順番を入れ替えることにより、カラー表示装置1は、液晶の切り替えにより各色に発生する影響の大きさを均一化することができ、特定の色のみが異常になることを抑制することができる。
【0050】
図4(a)は、カラー表示装置1のタイミングチャートの他の例を示した図である。以下では、
図4(a)に示したタイミングチャートについて、
図3に示したタイミングチャートと異なる点についてのみ説明する。
【0051】
図4(a)に示す例では、1フレーム内に15個のコマが設定される。第1〜3、6〜8、11〜13コマには光源部35の点灯期間Aが割り当てられ、第4、5、9、10、14、15コマには光源部35の消灯期間Pが割り当てられる。
【0052】
特に、第1、6、11コマには、R色に対応する第1処理が実行されるR色LED31の点灯期間Rが割り当てられる。また、第2、7、12コマには、G色に対応する第1処理が実行されるG色LED32の点灯期間Gが割り当てられる。また、第3、8、13コマには、B色に対応する第1処理が実行されるB色LED33の点灯期間Bが割り当てられる。
【0053】
一方、第4、15コマはそれぞれ第1、6、11コマの総時間幅の1/2の時間幅を有し、第4、15コマにはR色に対応する第2処理が実行される消灯期間rが割り当てられる。また、第5、9コマはそれぞれ第2、7、12コマの総時間幅の1/2の時間幅を有し、第5、9コマにはG色に対応する第2処理が実行される消灯期間gが割り当てられる。また、第10、14コマはそれぞれ第3、8、13コマの総時間幅の1/2の時間幅を有し、第10、14コマにはB色に対応する第2処理が実行される消灯期間bが割り当てられる。なお、消灯期間が割り当てられた第4、5、9、10、14、15コマにおいて、第2処理の遮断モードを設定する電圧信号の波形は、対応する色の点灯期間において、第1処理の透過モードを設定する電圧信号の波形の時間幅を1.5倍に引き伸ばし且つ極性を反転したものとされる。
【0054】
この例でも、
図3に示したタイミングチャートの場合と同様の効果が得られる。特に、この例では、各ブロック内において、R色、G色及びB色に対応する各第2処理のコマの数(2個)は、それぞれR色、G色及びB色に対応する各第1処理のコマの数(3個)より少なくなるように設定されている。つまり、1フレーム内において、R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられるコマの総数(6個)は、それぞれR色、G色及びB色に対応する各第1処理の実行が割り当てられるコマの総数(9個)より少なくなるように設定されている。したがって、この場合も、液晶セル制御回路10は、各モードを切り替える回数を低減することが可能となり、カラー表示装置1は、液晶セル制御回路10の処理負荷の増大を抑制することが可能となる。
【0055】
図4(b)は、カラー表示装置1のタイミングチャートのさらに他の例を示した図である。以下では、
図4(b)に示したタイミングチャートについて、
図4(a)に示したタイミングチャートと異なる点についてのみ説明する。
【0056】
図4(b)に示す例では、第4コマは第1、6、11コマの総時間幅の2/3の時間幅を有し、第15コマは第1、6、11コマの総時間幅の1/3の時間幅を有する。また、第9コマは第2、7、12コマの総時間幅の2/3の時間幅を有し、第5コマは第2、7、12コマの総時間幅の1/3の時間幅を有する。また、第14コマは第3、8、13コマの総時間幅の2/3の時間幅を有し、第10コマは第3、8、13コマの総時間幅の1/3の時間幅を有する。なお、消灯期間が割り当てられた第4、9、14コマにおいて、第2処理の遮断モードを設定する電圧信号の波形は、対応する色の点灯期間において、第1処理の透過モードを設定する電圧信号の波形の時間幅を2倍に引き伸ばし且つ極性を反転したものとされる。
【0057】
この例でも、
図4(a)に示したタイミングチャートの場合と同様の効果が得られる。
【0058】
図5(a)は、従来のカラー表示装置のタイミングチャートの一例を示した図であり、
図5(b)は、このカラー表示装置に本発明を適用した場合のタイミングチャートの一例を示した図である。
【0059】
図5(a)に示す例では、1フレーム内に12個のコマが設定される。1フレームは1/60秒であり、3つのブロックに分割され、各ブロックにおいて、アクティブ期間Aとパッシブ期間Pが2個ずつ連続するように設定されている。第1ブロックには、R色の光源の点灯期間R、G色の光源の点灯期間G、消灯期間r、消灯期間gの順に各期間が設定される。第2ブロックには、G色の光源の点灯期間G、B色の光源の点灯期間B、消灯期間g、消灯期間bの順に各期間が設定される。第3ブロックには、B色の光源の点灯期間B、R色の光源の点灯期間R、消灯期間b、消灯期間rの順に各期間が設定される。また、各ブロックでは、各期間に同期して液晶セルのONとOFFが制御される。
【0060】
即ち、この例では、1フレーム内で、各色LEDの点灯期間R、G、Bはそれぞれ2個ずつに分割されており、各色LEDの点灯期間R、G、Bがそれぞれ3個ずつに分割されている場合と比較して各色の表示間隔(の最大値)は長くなっている。そのため、このカラー表示装置では、色割れが発生し易いが、制御回路の処理負荷は小さくなっている。
【0061】
一方、
図5(b)に示す例では、1フレーム内に9個のコマが設定される。第1、2、4、5、7、8コマには光源部35の点灯期間Aが割り当てられ、第3、6、9コマには光源部35の消灯期間Pが割り当てられる。
【0062】
特に、第1、8コマには、R色に対応する第1処理が実行されるR色LED31の点灯期間Rが割り当てられる。また、第2、4コマには、G色に対応する第1処理が実行されるG色LED32の点灯期間Gが割り当てられる。また、第5、7コマには、B色に対応する第1処理が実行されるB色LED33の点灯期間Bが割り当てられる。一方、第3コマは第1、8コマの総時間幅と同じ時間幅を有し、第3コマにはR色に対応する第2処理が実行される消灯期間rが割り当てられる。また、第6コマは第2、4コマの総時間幅と同じ時間幅を有し、第6コマにはG色に対応する第2処理が実行される消灯期間gが割り当てられる。また、第9コマは第5、7コマの総時間幅と同じ時間幅を有し、第9コマにはB色に対応する第2処理が実行される消灯期間bが割り当てられる。なお、消灯期間が割り当てられた第3、6、9コマにおいて、第2処理の遮断モードを設定する電圧信号の波形は、対応する色の点灯期間において、第1処理の透過モードを設定する電圧信号の波形の時間幅を2倍に引き伸ばし且つ極性を反転したものとされる。
【0063】
この例では、
図5(a)に示したタイミングチャートに係る従来のカラー表示装置と比較して、R色、G色及びB色に対応する各第2処理の実行が割り当てられたコマの時間幅が長くなる。したがって、この場合も、カラー表示装置1は、液晶セル制御回路10の処理負荷の増大を抑制することが可能となる。
【0064】
以上説明してきたように、カラー表示装置1では、1フレーム内において、光源の消灯期間中に液晶セルを制御するためのコマの数を、光源の点灯期間中に液晶セルを制御するためのコマの数より少なくなるようにした。これにより、カラー表示装置1は、液晶セルの設定を切り換える回数を低減することが可能となり、処理負荷の増大を抑制することが可能となった。
【0065】
なお、以上説明したカラー表示装置1は、透過型の液晶セルとバックライトユニットを用いた透過型のカラー表示装置であるが、カラー表示装置は、反射型の液晶セルとフロントライトユニットを用いた反射型のカラー表示装置などであっても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
1 カラー表示装置
10 液晶セル制御回路
20 液晶セル
30 光源制御回路
31 R色LED
32 G色LED
33 B色LED
35 光源部
40 導光板