(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明においては、コネクタと相手側コネクタとが嵌合する際に、相手側コネクタがアーマー部910と突き当たり、アーマー部910が押圧されて変形する場合がある。この場合、バネ部920及び突出部930が移動し、電源端子98と突出部930とが設計した通りに接触しないおそれがある。即ち、コネクタと相手側コネクタとの接続信頼性が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、突出部における相手側コネクタとの接続信頼性を向上可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のコネクタとして、
上下方向において対象物の上に搭載可能であり、且つ、相手側コネクタと前記上下方向に沿って嵌合可能なコネクタであって、
前記コネクタは、ハウジングと、複数の端子と、付加部材とを備えており、
前記端子及び前記付加部材は、前記ハウジングに保持されており、
前記ハウジングは、受容部を有しており、
前記受容部は、前記コネクタが前記相手側コネクタと嵌合した嵌合状態において前記相手側コネクタを部分的に受容する部位であり、
前記付加部材は、被固定部と、基部と、アーマー部と、バネ部と、突出部とを有しており、
前記被固定部は、前記コネクタの使用時に前記対象物に固定される部位であり、
前記基部は、前記被固定部から上方に向かって延びており、且つ、前記上下方向と直交する横方向において前記受容部の外側に位置しており、
前記アーマー部は、前記基部から前記横方向の内側に向かって延びており、
前記バネ部は、前記基部から延びており、
前記突出部は、前記バネ部に支持されており、且つ、前記横方向の内側に向かって突出しており、
前記付加部材を前記上下方向に沿って上方から見た場合に、前記バネ部は、前記アーマー部によって少なくとも部分的に覆われており、前記突出部の少なくとも一部は、前記受容部の内部に視認可能に位置しており、
前記バネ部が前記基部から延びる起点部は、前記アーマー部のうち前記横方向における最も内側に位置する部位に比べて、前記被固定部に近い
コネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記バネ部は、前記上下方向と直交する面内においてU字形状又はJ字形状を有している
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記基部は、平板形状の平板部を有しており、
前記バネ部は、前記平板部から延びている
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第1から第3までのいずれかのコネクタであって、
前記突出部は、前記嵌合状態において、前記相手側コネクタに対して押圧されて前記相手側コネクタと接触する
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第1から第4までのいずれかのコネクタであって、
前記上下方向及び前記横方向の双方と直交する前後方向における前記アーマー部の位置は、前記前後方向における前記被固定部の位置と重なっている
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第6のコネクタとして、第1から第5までのいずれかのコネクタであって、
前記付加部材は、前記被固定部、前記基部、前記アーマー部、前記バネ部および前記突出部からなる主部を2つ有しており、
2つの前記主部は、前記横方向において前記受容部を挟んで位置している
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第7のコネクタとして、第6のコネクタであって、
前記付加部材は、連結部を有しており、
前記連結部は、2つの前記主部の前記基部又は前記アーマー部を互いに連結している
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、突出部は、バネ部に支持されており、且つ、突出部の少なくとも一部は、付加部材を上下方向に沿って上方から見た場合に、相手側コネクタを部分的に受容する受容部の内部に視認可能に位置している。このように形成された突出部は、例えば、相手側コネクタと接触して電気的に接続する接触部や、相手側コネクタと係合する係合部として使用できる。即ち、本発明によるコネクタは、バネ部に支持された突出部において相手側コネクタと接続する。
【0015】
本発明によれば、バネ部が基部から延びる起点部は、バネ部を少なくとも部分的に覆うアーマー部のうち横方向における最も内側に位置する部位(最内側部)に比べて、対象物に固定される被固定部に近い。この配置により、アーマー部が相手側コネクタに押圧されて変形した場合にも、被固定部の近くに位置する起点部は、殆ど移動しない。従って、起点部から延びるバネ部及びバネ部に支持された突出部も殆ど移動しない。即ち、本発明のコネクタによれば、突出部における相手側コネクタとの接続信頼性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ10は、上下方向(Z方向)において対象物(回路基板)80の上に搭載可能である。即ち、コネクタ10は、使用時に
回路基板80に搭載される基板コネクタである。また、コネクタ10は、相手側コネクタ70とZ方向(嵌合方向)に沿って嵌合可能である。コネクタ10は、相手側コネクタ70と嵌合した嵌合状態において、相手側コネクタ70と電気的に接続され、これにより相手側コネクタ70は、回路基板80と電気的に接続される。
【0018】
図3を参照すると、本実施の形態によるコネクタ10は、レセプタクルであり、嵌合状態において、プラグである相手側コネクタ70を部分的に受容する。但し、本発明は、これに限られず、プラグにも適用可能である。換言すれば、コネクタ10は、プラグであってもよい。
【0019】
図1から
図4までを参照すると、コネクタ10は、樹脂等の絶縁体からなるハウジング20と、金属等の導電体からなる複数の端子30と、金属等の曲げ加工可能な材料からなる2つの付加部材40とを備えている。
【0020】
図3から
図5までに示されるように、ハウジング20は、外壁24と、底壁26と、突出部28とを有している。外壁24は、XY平面において矩形フレーム形状を有している。詳しくは、外壁24は、2つの側壁242と、2つの連結壁244とを有している。側壁242の夫々は、前後方向(X方向)に沿って延びている。連結壁244の夫々は、横方向(Y方向)に沿って延びており、2つの側壁242のX方向における端をY方向に連結している。底壁26は、ハウジング20の下端(−Z側の端)に位置している。突出部28は、XY平面におけるハウジング20の中間部に位置しており、底壁26から上方(+Z方向)に突出している。
【0021】
図5を参照すると、側壁242の夫々は、端子30を保持するための保持部248を有している。保持部248は、X方向における側壁242の中間部に形成されている。
【0022】
図3に示されるように、ハウジング20は、受容部22を有している。受容部22は、外壁24と突出部28との間に形成された空間である。受容部22は、嵌合状態において相手側コネクタ70を部分的に受容する。
【0023】
図1を参照すると、上述のように形成されたハウジング20は、上面20Uと、下面20Lとを有している。上面20Uは、コネクタ10の上端(+Z側の端)に位置しており、下面20Lは、コネクタ10の下端に位置している。本実施の形態において、上面20Uは、外壁24の上面であり、下面20Lは、外壁24の下面である。
【0024】
図3から
図5までを参照すると、本実施の形態における端子30の数は6である。端子30の夫々は、信号端子であり、接触部32と、被保持部34と、被固定部38とを有している。端子30の夫々は、ハウジング20に保持されている。詳しくは、
図5を参照すると、3つの端子30の被保持部34は、+Y側の側壁242の保持部248によって保持されており、他の3つの端子30の被保持部34は、−Y側の側壁242の保持部248によって保持されている。
【0025】
図3及び
図5を参照すると、端子30の夫々において、接触部32は、被保持部34から突出部28の内部まで延びた後、上方に延びつつ受容部22の内部に部分的に突出している。接触部32の夫々は、嵌合状態において相手側コネクタ70の対応する相手側信号端子(図示せず)と接触し、これにより、コネクタ10と相手側コネクタ70とは、電気的に接続される。
【0026】
図4を参照すると、端子30の夫々において、被固定部38は、被保持部34(
図5参照)からY方向外側に延びている。
図1を参照すると、被固定部38の夫々は、コネクタ10の使用時に、半田付け等によって回路基板80に固定され電気的に接続される。
【0027】
図3を参照すると、端子30の構造や配置は、本実施の形態に限られず、様々に変形可能である。例えば、端子30の数は、6に限られない。端子30を保持する部位は、外壁24の保持部248に限られない。端子30の夫々は、信号端子でなくてもよい。また、ハウジング20は、受容部22を有している限り、どのような構造を有していてもよい。
【0028】
図7を参照すると、本実施の形態において、付加部材40の夫々は、折り曲げられた1枚の金属板である。
図1から
図5までを参照すると、2つの付加部材40は、互いに同じ形状及びサイズを有している。2つの付加部材40は、ハウジング20に保持されている。詳しくは、2つの付加部材40は、X方向において互いに離れて位置しており、YZ平面について互いに鏡対称となるように配置されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、付加部材40の数は、1であってもよい。また、付加部材40は互いに多少異なる形状を有していてもよいし、付加部材40の夫々は、複数の部材を接合して形成されていてもよい。但し、複数の付加部材40を備える場合、製造コストを削減するという観点から、付加部材40は、互いに同じ形状及びサイズを有していることが好ましく、且つ、1枚の金属板を折り曲げて形成することが好ましい。
【0029】
以下、2つの付加部材40のうちの前側(+X側)の付加部材40を中心に、構造、コネクタ10における配置及び機能を詳しく説明する。上述したように2つの付加部材40は同一部品である。従って、以下の前側の付加部材40についての説明は、X方向における向きが反対であることを除き、後側(−X側)の付加部材40についてもそのまま当てはまる。
【0030】
図7から
図12までを参照すると、付加部材40は、XZ平面について鏡対称な形状を有している。詳しくは、付加部材40は、2つの主部42と、連結部44と、2つの挟持部46,48とを有している。2つの主部42は、Y方向において互いに離れて位置しており、XZ平面について互いに鏡対称な形状を有している。連結部44は、全体としてY方向に沿って延びている。Y方向における連結部44の両端部は、後方(−X方向)に延びており、2つの主部42に夫々繋がっている。
【0031】
挟持部46,48の夫々は、Y方向における連結部44の中間部に位置している。挟持部46は、連結部44から湾曲しつつ後方及び下方(−Z方向)に延びた後、下方に延びている。挟持部48は、連結部44から湾曲しつつ前方及び下方に延びた後、下方に延びている。
【0032】
図5を参照すると、付加部材40は、ハウジング20にインサート成型されている。この結果、付加部材40の連結部44は、外壁24の連結壁244の上端部に埋め込まれており、付加部材40の2つの挟持部46,48は、連結壁244をX方向に挟むようにして連結壁244に埋め込まれている。2つの主部42は、部分的に2つの側壁242に夫々埋め込まれている。これにより、2つの主部42は、Y方向において受容部22を挟んで位置している。
【0033】
上述のように、本実施の形態の付加部材40は、インサート成型によってハウジング20に取り付けられている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、付加部材40は、ハウジング20に圧入されていてもよい。この場合、付加部材40は、上方から側壁242及び連結壁244に取り付けられていてもよい。また、付加部材40は、主部42を一つのみ有していてもよい。この場合、コネクタ10は、主部42のみからなる付加部材40を、必要な数だけ備えていればよい。
【0034】
図7から
図12までに示されるように、主部42の夫々は、基部50と、被固定部52と、アーマー部54と、バネ部56と、突出部58とを有している。即ち、付加部材40は、2つの基部50と、2つの被固定部52と、2つのアーマー部54と、2つのバネ部56と、2つの突出部58とを有している。
【0035】
図7から
図9までに示されるように、2つの主部42は、連結部44によって互いに連結されている。本実施の形態の連結部44は、2つの主部42の基部50を互いに連結している。但し、本発明はこれに限られず、連結部44は、2つの主部42のアーマー部54を互いに連結していてもよい。
【0036】
図7、
図10及び
図11を参照すると、本実施の形態の被固定部52は、主部42の下面であり、X方向に沿って延びている。
図1を参照すると、被固定部52は、Z方向において、ハウジング20の下面20L(即ち、コネクタ10の下端)と同じ位置にある。被固定部52は、コネクタ10の使用時に、半田付け等によって回路基板80に固定され電気的に接続される。
【0037】
図7、
図10及び
図11を参照すると、基部50は、被固定部52から全体として上方に向かって延びている。即ち、本実施の形態において、基部50と被固定部52との間の境界部502は、被固定部52そのものである。本実施の形態による基部50は、平板部504と、湾曲部506と、上板部508とを有している。平板部504は、XZ平面と平行な平板形状を有しており、被固定部52から上方に真直ぐ延びている。平板部504の上部(+Z側の部位)は、後方に張り出している。湾曲部506は、平板部504の上端から、湾曲しつつ上方及びY方向内側に延びている。上板部508は、XY平面と平行な平板形状を有しており、湾曲部506からY方向内側に延びている。
【0038】
図7、
図8及び
図11を参照すると、アーマー部54は、基部50の上板部508のY方向内側の端から、Y方向の内側に向かって延びている。詳しくは、
図11に示されるように、アーマー部54は、湾曲しつつ下方及びY方向内側に延びている。即ち、アーマー部54は、受容部22に向かって延びている。このように延びるアーマー部54は、最内側部542を有している。最内側部542は、アーマー部54のうちY方向における最も内側に位置する部位である。
【0039】
本実施の形態において、アーマー部54の最内側部542は、アーマー部54の先端である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、アーマー部54の先端部分は、基部50の平板部504に向かって折り曲げられていてもよい。この場合、アーマー部54の最内側部542は、アーマー部54の先端よりもY方向内側に位置する。
【0040】
図7から
図10までを参照すると、バネ部56は、基部50から延びており、基部50によって弾性変形可能に支持されている。換言すれば、バネ部56は、バネ部56と基部50との間の境界部(起点部)562を支点として弾性変形可能である。
【0041】
本実施の形態によるバネ部56は、起点部562に加えて、第1バネ部564と、第2バネ部566と、第3バネ部568とを有している。第1バネ部564は、起点部562からX方向に沿って後方に延びている。第2バネ部566は、第1バネ部564の後端(−X側の端)から、湾曲しつつ後方及びY方向内側に延び、次にY方向内側に延びた後、湾曲しつつ前方及びY方向内側に延びている。第3バネ部568は、第2バネ部566のうちのY方向内側の部位の前端(+X側の端)から、アーマー部54の下方を通り、X方向に沿って前方に延びている。
【0042】
本実施の形態によるバネ部56は、上述の構造を有しているため、XY平面内においてJ字形状を有しており、高いバネ性を有している。特に、第3バネ部568は、X方向に沿って長く延びており、第3バネ部568のバネ性は高い。但し、本発明は、これに限られず、バネ部56の構造は様々に変形可能である。例えば、X方向における起点部562の位置を前方にずらして、第1バネ部564の長さを、第3バネ部568の長さと略同一にしてもよい。この場合、バネ部56は、XY平面内においてU字形状を有する。
【0043】
図7、
図9及び
図11を参照すると、突出部58は、バネ部56に支持されている。詳しくは、突出部58は、バネ部56の第3バネ部568の前端近傍に形成されており、Y方向の内側に向かって突出している。
【0044】
図8を参照すると、付加部材40をZ方向に沿って上方から見た場合に、バネ部56の第3バネ部568は、アーマー部54によって部分的に覆われている。特に、本実施の形態による第3バネ部568のうちX方向においてアーマー部54と同じ位置にある部位は、アーマー部54によって完全に覆われている。但し、本発明は、これに限られず、バネ部56は、アーマー部54によって少なくとも部分的に覆われていればよい。例えば、アーマー部54を後方に延ばして、バネ部56のうち第3バネ部568全体を覆ってもよい。また、バネ部56を、基部50のX方向における中間部分からY方向内側に延ばして、バネ部56全体をアーマー部54によって覆ってもよい。
【0045】
図6を参照すると、基部50は、上板部508の一部及び下端近傍の部位を除いてハウジング20の側壁242に埋め込まれており、これによりハウジング20に固定されている。加えて、バネ部56の第1バネ部564及び第2バネ部566は、側壁242に埋め込まれており、これによりハウジング20に固定されている。一方、バネ部56の第3バネ部568は、側壁242に形成された空間内に位置しており、ハウジング20に対して相対的に移動可能である。即ち、第3バネ部568に支持された突出部58は、Y方向に移動可能である。
【0046】
上述したように、本実施の形態の第1バネ部564及び第2バネ部566は、ハウジング20に埋め込まれており、ハウジング20に対して相対的に移動できない。但し、本発明は、これに限られず、第1バネ部564及び第2バネ部566の一方又は両方は、ハウジング20に埋め込まれておらず、ハウジング20に対して相対的に移動可能であってもよい。
【0047】
図3及び
図5を参照すると、基部50は、Y方向において受容部22の外側に位置している。また、付加部材40をZ方向に沿って上方から見た場合に、コネクタ10が相手側コネクタ70と嵌合していない未嵌合状態において、突出部58は、受容部22の内部に視認可能に位置している。このように配置された突出部58は、嵌合状態において、相手側コネクタ70に対して押圧されて相手側コネクタ70と接触する。
【0048】
図11を参照すると、本実施の形態の突出部58は、嵌合状態において、相手側コネクタ70の相手側接触部72と接触する。相手側接触部72は、例えば、相手側電源端子である。この場合、突出部58は、コネクタ10の電源端子の接触部であり、嵌合状態において、相手側接触部72と電気的に接続される。但し、本発明は、これに限定されない。例えば、相手側コネクタ70は、相手側接触部72に代えて、相手側係合部(図示せず)を有していてもよい。この場合、突出部58は、コネクタ10の係合部であり、嵌合状態において、相手側係合部と係合して嵌合状態をロックする。上述のように、コネクタ10は、バネ部56によって支持された突出部58において相手側コネクタ70と接続する。
【0049】
本実施の形態によれば、突出部58全体が受容部22の内部に視認可能に位置している。但し、本発明は、これに限定されず、突出部58の少なくとも一部が受容部22の内部に視認可能に位置していればよい。
【0050】
図3を参照すると、本実施の形態によれば、付加部材40の主部42の夫々に対して、下方に湾曲したアーマー部54が設けられている。前述したように、アーマー部54は、ハウジング20に対して相対的に移動可能な第3バネ部568(
図7参照)を上方から覆っている。このため、コネクタ10と相手側コネクタ70との嵌合過程において、相手側コネクタ70は、突出部58との接触前に第3バネ部568を変形させることなく、アーマー部54によって下方に向かってスムーズにガイドされる。
【0051】
図6を参照すると、付加部材40の主部42の夫々において、アーマー部54及び第3バネ部568を除く部位は、ハウジング20に対して固定されており、アーマー部54及び第3バネ部568のみが、ハウジング20に対して相対的に移動可能である。加えて、アーマー部54と第3バネ部568とは、直接的に接続されていない。従って、コネクタ10と相手側コネクタ70との嵌合過程において、相手側コネクタ70がアーマー部54に突き当たって、アーマー部54を弾性変形させる程度の比較的小さな押圧力をアーマー部54に加えたとしても、第3バネ部568は、この押圧力の影響を受けない。即ち、第3バネ部568に支持された突出部58は、押圧力によっては移動せず、相手側接触部72(
図11参照)と設計通りに接触する。
【0052】
図3を
図11と併せて参照すると、付加部材40のアーマー部54に加えられた相手側コネクタ70の押圧力は、基部50及び被固定部52を経由して回路基板80によって受け止められる。従って、押圧力がアーマー部54を塑性変形させるほど大きい場合でも、付加部材40のうち被固定部52に近い部位は、押圧力の影響を殆ど受けない。
【0053】
図13を参照すると、バネ部56は、上述した押圧力の影響を殆ど受けない部位から延びている。より具体的には、バネ部56が基部50から延びる起点部562は、アーマー部54の最内側部542に比べて、被固定部52に近い。この配置により、アーマー部54が相手側コネクタ70に押圧されて変形(弾性変形又は塑性変形)した場合にも、被固定部52の近くに位置する起点部562は、殆ど移動しない。従って、起点部562から延びるバネ部56及びバネ部56に支持された突出部58も殆ど移動しない。即ち、本実施の形態のコネクタ10(
図3参照)によれば、突出部58における相手側コネクタ70(
図3参照)との接続信頼性を向上できる。
【0054】
特に、本実施の形態の付加部材40において、バネ部56の起点部562のY方向における位置は、被固定部52のY方向における位置と同じである。即ち、起点部562と被固定部52との間のY方向における距離D0(
図15参照)はゼロである。一方、Y方向において、アーマー部54の最内側部542は、起点部562から距離D1だけ離れている。即ち、Y方向において、起点部562と被固定部52との間の距離D0(
図15参照)は、起点部562と最内側部542との間の距離D1に比べて小さい。換言すれば、Y方向において、起点部562は、最内側部542に比べて、被固定部52に近い。本実施の形態によれば、この配置によって、バネ部56に対する上述した押圧力の影響を軽減できる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、起点部562、最内側部542及び被固定部52をX方向に沿って見た場合、被固定部52と最内側部542との間を起点部562を経由して延びる仮想的な経路P1が定義できる。経路P1上において、起点部562と被固定部52との間の経路長(沿面距離)は、起点部562と最内側部542との間の経路長(沿面距離)に比べて短い。換言すれば、起点部562、最内側部542及び被固定部52をX方向に沿って見た場合、基部50及びアーマー部54が延びる方向(即ち、経路P1に沿った方向)において、起点部562は、最内側部542に比べて、被固定部52に近い。本実施の形態によれば、この配置によっても、バネ部56に対する上述した押圧力の影響を軽減できる。
【0056】
図11を参照すると、本実施の形態の付加部材40において、基部50の平板部504は、被固定部52の真上に位置しているため、下方に向かう上述した押圧力に確実に対抗できる。バネ部56は、平板部504から延びているため、上述した押圧力の影響を殆ど受けない。即ち、本実施の形態によれば、突出部58におけるコネクタ10と相手側コネクタ70との接続信頼性を更に確実に向上できる。但し、バネ部56は、基部50から延びている限り、平板部504以外の部位から延びていてもよい。例えば、バネ部56は、湾曲部506から延びていてもよい。
【0057】
図14を参照すると、本実施の形態の付加部材40において、X方向におけるアーマー部54の位置は、X方向における被固定部52の位置と重なっている。この配置により、上述した押圧力を、より確実に被固定部52に分散できる。これにより、突出部58(
図13参照)におけるコネクタ10と相手側コネクタ70との接続信頼性を更に確実に向上できる。上述した押圧力を、確実に被固定部52に分散するという観点から、X方向におけるアーマー部54の位置は、X方向における被固定部52の位置に含まれていることが更に好ましい。
【0058】
本実施の形態は、既に説明した変形例に加えて、以下に説明するように更に様々に変形可能である。
【0059】
図6を参照すると、本実施の形態の付加部材40において、バネ部56の第3バネ部568と、基部50の平板部504及び第1バネ部564からなるY方向外側の部位(外側部位)とは、ハウジング20の側壁242の一部(所定部位)を間に挟んで、Y方向の反対側に位置している。但し、この所定部位(側壁242の一部)は、設けなくてもよい。即ち、第3バネ部568は、Y方向において外側部位と対向していてもよい。更に、主部42は、ハウジング20に埋め込まれていなくてもよい。
【0060】
図7を参照すると、付加部材40において、バネ部56の第1バネ部564及び第2バネ部566を下方に延ばし、第1バネ部564及び第2バネ部566の下端を、被固定部52と同じ位置に位置させてもよい。更に、このように延ばした第1バネ部564及び第2バネ部566の下端を、回路基板80(
図1参照)に半田付け等によって固定してもよい。この構造によれば、コネクタ10の使用時において第1バネ部564及び第2バネ部566はバネ性を失う一方、バネ部56(第3バネ部568)の下方への移動を更に確実に防止できる。即ち、突出部58におけるコネクタ10と相手側コネクタ70との接続信頼性を更に確実に向上できる。
【0061】
図15を
図13と併せて参照すると、変形例による付加部材40Aは、付加部材40の主部42と異なる主部42Aを有している。主部42Aは、基部50及び被固定部52と夫々異なる基部50A及び被固定部52Aを有していることを除き、主部42と同じ構造を有している。基部50Aは、下端近傍でY方向外側に曲げられている。被固定部52Aは、基部50AのY方向外側の端部である境界部502からY方向外側に延びている。
【0062】
本変形例においても、バネ部56が基部50Aから延びる起点部562は、アーマー部54の最内側部542に比べて、被固定部52Aに近い。詳しくは、Y方向において、起点部562と被固定部52A(境界部502)との間の距離D0は、起点部562と最内側部542との間の距離D1に比べて小さい。また、起点部562、最内側部542及び被固定部52AをX方向に沿って見た場合、起点部562と被固定部52Aとの間の沿面距離(経路P1に沿った距離)は、起点部562と最内側部542との間の沿面距離に比べて小さい。
図3を参照すると、本変形によっても、突出部58におけるコネクタ10と相手側コネクタ70との接続信頼性を向上できる。