(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761749
(24)【登録日】2020年9月9日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20200917BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
F24C3/12 L
F24C15/00 M
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-241019(P2016-241019)
(22)【出願日】2016年12月13日
(65)【公開番号】特開2018-96607(P2018-96607A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 慎
(72)【発明者】
【氏名】山田 勇雄
(72)【発明者】
【氏名】久保 慶和
【審査官】
根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−140398(JP,A)
【文献】
実開平03−017731(JP,U)
【文献】
特開2008−100081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 7/00−7/06
H05B 6/12
A47J 27/00−27/13
A47J 27/20−29/06
A47J 33/00−36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具を加熱する加熱部と、
調理器具の取っ手の温度を検知する取っ手温度検知器と、
所定の情報を表示する表示部と、
取っ手温度検知器で検知される取っ手の温度に基づき、表示部の表示を制御する制御部と、を備え、
制御部は、取っ手温度検知器で検知される取っ手の温度が所定の警告温度以上になると、表示部に警告情報を表示させる加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
制御部は、取っ手温度検知器で検知される取っ手の温度が警告温度以上を経験した後に警告温度未満になると、表示部に安全情報を表示させる加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
加熱部としてコンロバーナを備え、
取っ手温度検知器は、取っ手の下側の温度を検知する加熱調理器。
【請求項4】
請求項3に記載の加熱調理器は、さらに、
調理器具の大きさを検知するサイズ検知部と、
コンロバーナの火力と炎の大きさとの関係が記憶された記憶部とを備え、
制御部は、調理器具の大きさに対してコンロバーナの炎の大きさが大きい場合、取っ手温度検知器で検知される取っ手の下側の温度が警告温度未満であっても、表示部に予備警告情報を表示させる加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。特に、本発明は、調理器具の取っ手の温度を使用者に警告する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器の安全性を向上させるための種々の提案がされている。例えば、調理終了後、天板に安全に触れることができる時期を表示させるために、加熱調理器本体の外板の温度を検知する温度センサを設け、調理終了後の温度センサの検知温度を表示部に表示させることや、調理器具内の調理物の温度を検知する温度センサと音発生部とを有する取っ手を調理器具に接続し、調理物の温度が所定温度以上になると音発生部から警告音を発生させることが提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
しかしながら、使用者は天板よりも調理器具自体に触れて温度を確認する場合が多い。そのため、特許文献1のように、天板の温度が安全な温度まで低下していても、調理器具の温度は高温となっていることがある。また、加熱手段としてコンロバーナを有する加熱調理器では、コンロバーナに形成される炎に比べて調理器具が小さい場合、調理器具の底面から溢れた炎によって調理器具の側面に設けられた取っ手が直接、炙られるため、調理器具内の調理物よりも取っ手の温度が早期に上昇する場合がある。そのため、特許文献2のように、調理器具内の調理物の温度に基づくだけでは、使用者が最も触れやすい取っ手が高温となっていても、警告が報知されないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−7441号公報
【特許文献2】国際公開2004/95994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、使用者に調理器具の取っ手の温度に基づく警告情報を適切に報知し、使い勝手及び安全性に優れる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
調理器具を加熱する加熱部と、
調理器具の取っ手の温度を検知する取っ手温度検知器と、
所定の情報を表示する表示部と、
取っ手温度検知器で検知される取っ手の温度に基づき、表示部の表示を制御する制御部と、を備え、
制御部は、取っ手温度検知器で検知される取っ手の温度が所定の警告温度以上になると、表示部に警告情報を表示させる加熱調理器が提供される。
【0007】
上記加熱調理器によれば、調理器具の取っ手の温度を検知する取っ手温度検知器を設け、取っ手温度検知器で検知される取っ手の温度が所定の警告温度以上になると、表示部に警告情報を表示させるから、使用者が最も触れやすい取っ手の温度を直接、使用者に認識させることができる。
【0008】
好ましくは、上記加熱調理器において、
制御部は、取っ手温度検知器で検知される取っ手の温度が警告温度以上を経験した後に警告温度未満になると、表示部に安全情報を表示させる。
【0009】
上記加熱調理器によれば、取っ手の温度が警告温度以上になって警告情報を表示させた後、警告温度未満になると安全情報を表示させるから、使用者に取っ手に触れても安全であることを認識させることができる。
【0010】
好ましくは、上記加熱調理器において、
加熱部としてコンロバーナを備え、
取っ手温度検知器は、取っ手の下側の温度を検知する。
【0011】
加熱部として電磁誘導型加熱部や加熱ヒータを有する加熱調理器に比べて、コンロバーナを有する加熱調理器では、下方の炎によって取っ手の上側よりも下側がより高温となりやすい。従って、上記加熱調理器によれば、より高温側の温度に基づく警告情報を表示部に表示させることができる。
【0012】
好ましくは、上記加熱調理器は、さらに、
調理器具の大きさを検知するサイズ検知部と、
コンロバーナの火力と炎の大きさとの関係が記憶された記憶部とを備え、
制御部は、調理器具の大きさに対してコンロバーナの炎の大きさが大きい場合、取っ手温度検知器で検知される取っ手の下側の温度が警告温度未満であっても、表示部に予備警告情報を表示させる。
【0013】
加熱部として電磁誘導型加熱部や加熱ヒータを有する加熱調理器では、調理器具の底面の温度に比べて取っ手の温度は低温となるが、加熱部としてコンロバーナを有する加熱調理器では、調理器具の大きさに対してコンロバーナの炎の大きさが大きすぎると、調理器具の底面から溢れた炎によって取っ手が直接、炙られ、調理器具の底面や調理器具内の調理物よりも早期に取っ手の下側が高温になりやすい。しかしながら、上記加熱調理器によれば、調理器具の大きさに対してコンロバーナの炎の大きさが大きい場合、取っ手の下側の温度が警告温度未満であっても、表示部に予備警告情報を表示させるから、使用者に取っ手が高温となる可能性を早期に認識させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、使用者が触れやすい調理器具の取っ手の温度に基づく警告情報を表示部に表示させるから、使用者は視覚により取っ手に触れることができるかどうかを容易に判断できる。これにより、使い勝手及び安全性に優れる加熱調理器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の一例を示す部分概略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の制御回路の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の設定表示部の画面の一例を示す概略説明図であり、(a)は、トップメニュー画面を、(b)は、点火時画面を、(c)は、火力変更画面をそれぞれ示す。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の設定表示部の画面の一例を示す概略説明図であり、(d)は、予備警告情報表示画面を、(e)は、警告情報表示画面を、(f)は、安全情報表示画面をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本実施の形態に係る加熱調理器を具体的に説明する。
図1は、システムキッチンのカウンタトップに配設されるビルトインコンロタイプのガスコンロに適用した本実施の形態の加熱調理器の一例を示す概略斜視図である。
【0017】
この加熱調理器では、カウンタトップCT内に収容されている加熱調理器本体(図示せず)の上方開放部を覆うように矩形状のトッププレート2が配設され、トッププレート2の上面には、大火力用の左右のコンロバーナ11,12及び小火力用の中央部のコンロバーナ13と、各コンロバーナ11,12,13の周囲に調理器具を支持する五徳91,92,93とが配設されている。加熱部としては、電磁誘導型加熱部や加熱ヒータを用いてもよいし、異なる種類の加熱部を組み合わせてもよい。また、加熱部は2つ以下であってもよいし、3つ以上であってもよい。なお、本明細書では、使用者が位置するトッププレート2の手前側を前方、奥側を後方といい、前後方向に幅方向に直交する方向を左右方向といい、前後方向に高さ方向に直交する方向を上下方向という。
【0018】
各コンロバーナ11,12,13は、図示しないガス供給管と接続されており、ガス供給管から供給されるガスを空気と混合して燃焼させる。図示しないが、各コンロバーナ11,12,13の炎孔形成部の近傍には、炎の有無を検知する炎検知センサと、炎孔形成部の近傍で火花放電させる点火電極とが設けられている。また、各コンロバーナ11,12,13の中央部には、調理器具の底面に当接し、調理器具の温度を検知する鍋底温度センサ41,42,43が設けられている。炎検知センサ及び鍋底温度センサ41,42,43はそれぞれ、後述する制御装置と接続されており、検知信号を制御装置に出力する。また、点火電極は、後述するイグナイタを介して制御装置と接続されており、制御装置からの指示信号に応じてイグナイタが作動され、イグナイタからの印加電圧により火花放電する。
【0019】
トッププレート2は、化粧耐熱ガラスや化粧琺瑯板等の装飾性の高い板から構成されている。トッププレート2の上面の前方には、横幅略全体に渡ってタッチパネル式の設定表示部51,52,53が連設されており、各設定表示部51,52,53の前方に隣接して、各コンロバーナ11,12,13の点火及び消火を行うための物理スイッチである点消火操作スイッチ71,72,73が配設されている。図示しないが、トッププレート2の下方には、人感センサが設けられている。人感センサは、赤外線センサや超音波センサ等により構成され、加熱調理器の前面付近に存在する人体を検知し、検知信号を制御装置に出力する。
【0020】
トッププレート2の各コンロバーナ11,12,13が配設されるバーナ用開口(図示せず)の外方には、赤外線を透過させる透過窓81a,82a,83aが形成されており、各透過窓81a,82a,83aの下方の加熱調理器本体内には、後述する赤外線センサが配設されている。また、各透過窓81a,82a,83aは、取っ手を有する調理器具を各コンロバーナ11,12,13上に載置させると、その調理器具の取っ手の下方に位置するように配設されている。
【0021】
各設定表示部51,52,53は、各コンロバーナ11,12,13に対応しており、図示しないが、各設定表示部51,52,53は、カラー液晶パネル上にタッチパネルを重ねて構成されている。なお、液晶パネルの代わりに、有機ELなどの他の表示デバイスを用いてもよいし、カラー液晶の代わりに、モノクロ液晶を用いてもよい。
【0022】
カラー液晶パネルは、文字、数字、写真等をカラー表示できる表示デバイスであり、調理の種類、加熱時間及び温度、火力等を設定する設定キーや、自動調理が選択された場合に料理名や料理の写真の他、種々の警告情報等を表示する。タッチパネルは、各設定表示部51,52,53の表面を使用者が指や操作ペン等でタッチすると、表面電荷を変化させる透明素材からなる静電容量型のタッチパネルである。例えば、使用者が設定表示部51のカラー液晶パネルに表示されているタイマ設定キー上のタッチパネルをタッチすると、調理時間設定キーが表示されたり、自動調理設定キー上のタッチパネルをタッチすると、自動調理で選択可能な料理の料理名等が表示された調理設定キーが複数、表示されたりして、各設定キーに対して階層を深くして実行するように構成されている。なお、タッチパネルは、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線光学イメージング方式、電磁誘導方式等のタッチパネルを用いてもよい。
【0023】
図2は、コンロバーナ11近傍の部分概略断面図である。
図2に示すように、透過窓81aの下方の加熱調理器本体内には、赤外線センサ81が配設されており、赤外線センサ81は透過窓81aを介して入射する赤外線の赤外線量を検知し、検知信号を制御装置に出力する。赤外線センサ81の視野角は、調理器具Pの取っ手が透過窓81a上に位置するように、調理器具Pをコンロバーナ11上に載置したときに、加熱された調理器具Pの取っ手の下側から放射される赤外線が主として検知される範囲に設定されている。また、コンロバーナ11の上方には、光学カメラ101が配設されている。光学カメラ101は、調理器具Pを上方から撮像し、撮像した画像データを制御装置に出力する。図示しないが、コンロバーナ12,13にも同様に、対応する赤外線センサ及び光学センサが配設されている。
【0024】
図3は、加熱調理器のブロック図である。
図3に示すように、加熱調理器本体内には、メインガス供給管Lから供給されるガスを各コンロバーナ11,12,13に導くガス供給管L1,L2,L3が配設されている。メインガス供給管Lには、点消火操作スイッチ71,72,73で点火操作がなされれば開き、消火操作がなされれば閉じる元ガス弁Vaが介設されている。また、メインガス供給管Lから各コンロバーナ11,12,13に分岐する各ガス供給管L1,L2,L3には、点消火操作スイッチ71,72,73で点火操作がなされれば開き、炎検知センサ21,22,23で炎が検知されなければ閉じる電磁弁V1,V2,V3と、制御装置Cからの指示信号に応じて開度調整される流量調整弁S1,S2,S3とが介設されている。
【0025】
加熱調理器全体の動作を制御する制御装置Cには、点消火操作スイッチ71,72,73、炎検知センサ21,22,23、人感センサ40、鍋底温度センサ41,42,43、設定表示部51,52,53、イグナイタ80、赤外線センサ81,82,83、光学カメラ101,102,103、元ガス弁Va、電磁弁V1,V2,V3、流量調整弁S1,S2,S3等が有線接続されており、上記点消火操作スイッチ71,72,73等からの操作信号、光学カメラ101,102,103からの画像データ、各種センサ21,22,23,40,41,42,43,81,82,83等からの検知信号が入力される。
【0026】
制御装置Cは、マイクロコンピュータや記憶装置を備えて構成される電子ユニットであり、記憶装置のプログラム格納部には、各種の制御用プログラムや、画像データと調理器具の大きさとを関係づけたデータテーブル、各コンロバーナ11,12,13の火力と炎の大きさとを関係づけたデータテーブル等が格納されており、上記の入力信号に基づいて、制御用プログラムが実行される。また、図示しないが、制御装置Cは、コンロバーナ11,12,13の点火や消火を行う点消火制御部、コンロバーナ11,12,13の点火や消火を判定する点消火判定部、画像データに基づき調理器具の大きさを判定する調理器具サイズ判定部、調理器具の大きさと各コンロバーナ11,12,13の火力に基づく炎の大きさとを比較する比較部、赤外線センサ81,82,83で検知される取っ手の温度が所定の警告温度以上であるかどうかを判定する温度判定部、設定表示部51,52,53の表示を制御する表示制御部、コンロバーナ11,12,13の火力を制御する火力制御部等の回路構成を有している。
【0027】
次に、本実施の形態の加熱調理器における制御動作について、
図4〜
図6のフローチャート及び
図7〜
図8の設定表示部の表示画面を参照しながら具体的に説明する。本実施の形態の加熱調理器は、常時、電源供給されているが、不使用時には低電力モードまたはスリープ状態で設定表示部51,52,53は非表示となっており、人感センサ40で人体が検知されると、低電力モードまたはスリープ状態から運転待機状態となるように構成されている。なお、左右のコンロバーナ11,12用の設定表示部51,52と中央部のコンロバーナ13用の設定表示部53とでは表示される画像が若干異なるが、調理器具の取っ手の温度に基づき表示させる画面はいずれも同一であるため、以下では左のコンロバーナ11を使用して調理を行う場合について説明する。
【0028】
使用者が加熱調理器に近づき、人感センサ40で人体が検知されると、制御装置Cの主制御プログラムが起動し、設定表示部51のカラー液晶パネルに所定のトップメニュー画面を表示させて、運転待機状態とする(ステップST1〜ST2,
図7(a))。本実施の形態の加熱調理器におけるトップメニュー画面には、お湯を沸かす湯沸かし設定キー55、タイマ調理を実行するためのタイマ設定キー56、加熱温度を設定する温度設定キー57、自動調理を設定する自動調理設定キー58、及び携帯等の情報端末から調理レシピをダウンロードする転送設定キー59が表示される。
【0029】
次いで、所定の待機時間(例えば、30秒間)内に、使用者が、調理器具(例えば、径250mm程度の取っ手付きフライパン)を取っ手が透過窓81a上に位置するようにコンロバーナ11上に載置し、点消火操作スイッチ71を押す点火操作を行うと、元ガス弁Va及び電磁弁V1が開弁されるとともに、流量調整弁S1が所定の点火開度(例えば、弱火の開度)に調整され、イグナイタ80を作動させて点火電極31から火花放電を生じさせる点火処理が実行される(ステップST3〜ST5)。
【0030】
炎検知センサ21で炎が検知されると、火力設定キー61を含む点火検知時画面が表示され(
図7(b))、光学カメラ101から送られてくる画像データに基づき、調理器具の大きさが判定される(ステップST6〜ST7)。その後、赤外線センサ81で検知される取っ手の温度の取得が開始される(ステップST8)。
【0031】
調理中、コンロバーナ11の現在の火力に基づく炎の大きさが調理器具の大きさ(例えば、直径)よりも大きいかどうかが判定され、使用者が火力設定キー61を操作して、火力を増加させると(
図7(c))、記憶装置に記憶されているデータテーブルに基づきコンロバーナ11の火力と炎の大きさが導出される。そして、現在の炎の大きさが調理器具の大きさよりも大きければ、全ての設定キーを消去し、設定表示部51に、予備警告情報65(例えば、「火力が大きすぎます」や「取っ手が高温になる可能性があります」)を表示させる(ステップST9〜ST10,
図8(d))。コンロバーナ11に設定される火力に基づく炎の大きさが調理器具の大きさよりも大きい場合、調理器具の底面から溢れた炎によって取っ手が直接、炙られるため、調理初期において調理器具の底面の温度や調理物の温度が上昇していなくても、短時間で取っ手の温度が高温となる可能性がある。従って、赤外線センサ81で検知される取っ手の温度が警告温度未満であっても、コンロバーナ11に設定される火力に基づく炎の大きさが調理器具の大きさよりも大きい場合、設定表示部51に予備警告情報65を表示させることにより、使用者に取っ手が高温に加熱される可能性があることを予め認識させることができる。これにより、より高い安全性を確保できる。
【0032】
また、調理中、取っ手の温度が警告温度(例えば、70℃)以上になると、設定表示部51に警告情報66(例えば、「取っ手が高温です」)を表示させる(ステップST11〜ST12,
図8(e))。これにより、使用者に取っ手が高温であることを喚起して、使用者が直接、取っ手に触れることを防止できる。なお、図示しないが、予備警告情報65及び警告情報66は、使用者が設定表示部51に触れることにより、
図7(c)の火力設定キー61に変更されるように構成されている。
【0033】
ここで、使用者が火力設定キー61を操作して火力を減少させることにより、取っ手の温度が警告温度未満になると、設定表示部51に安全情報67(例えば、「安全な温度になりました」)を表示させる(ステップST13〜ST14,
図8(f))。これにより、使用者に安全に調理器具に触れられることを認識させることができる。
【0034】
使用者が点消火操作スイッチ71を押す消火操作を行うと、消火処理プログラムが起動され、元ガス弁Va及び電磁弁V1が閉弁されて、コンロバーナ11が消火されるが、取っ手の温度の監視は継続され、取っ手の温度が警告温度未満になるまで、設定表示部51に警告情報66が表示される(ステップST31〜ST32)。これにより、消火後、使用者が不用意に高温の調理器具に触れることを防止できる。なお、消火後、取っ手の温度が警告温度未満となると、設定表示部51に安全情報67が表示され(ステップST33)、待機時間が経過するまでに点消火操作スイッチ71で点火操作がされなければ、設定表示部51,52,53が非表示となる低電力モードまたはスリープ状態に戻る(ステップST20)。
【0035】
なお、上記実施の形態では、調理器具の大きさの検知は光学カメラの画像データにより行われているが、使用者が調理器具の大きさを指定してもよいし、調理器具の情報が登録されたICタグ等を加熱調理器が読み込むことで大きさを検知してもよい。
【符号の説明】
【0036】
11,12,13 コンロバーナ(加熱部)
51,52,53 設定表示部
81,82,83 赤外線センサ(取っ手温度検知器)
C 制御装置