(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記音響波形をターゲットに送信する際、前記アレイのトランスデューサ素子を制御して、前記ターゲットに対する2つ以上の複合波形の向きを変更し、前記ターゲットが、イメージング期間に亘って、異なる波形の向きで前記2つ以上の複合波形から前記音響波形を受信するようにする請求項1記載の方法。
前記トランスデューサ素子の制御は、前記ターゲットに対して、前記複数の空間位置に沿って前記アレイを平行移動することによって、前記ターゲットに対する前記2つ以上の複合波形の第2の複合波形の向きを変更することを含む請求項2記載の方法。
前記トランスデューサ素子の制御は、前記アレイの1つ以上のトランスデューサ素子における前記送信される音響波形のビーム位相中心位置を変更することによって、前記ターゲットに対する前記2つ以上の複合波形の第2の複合波形の向きを変更することを含む請求項2記載の方法。
前記複合波形の前記個別の直交符号化波形を生成することは、周波数帯を選択することと、各直交符号化波形の1つ以上の振幅、時間−帯域幅積パラメータ及び位相パラメータを判定することとを含む請求項1記載の方法。
前記受信した応答音響波形を、前記1つ以上の複合波形に対応する1つ以上の受信複合波形として、アナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換することを更に含み、各受信複合波形は、前記ターゲットの情報を含み、
前記情報は、前記受信複合波形の対応する周波数帯に関連する振幅及び位相を含む請求項1記載の方法。
前記受信複合波形の対応する周波数帯の少なくとも1つの周波数帯について、前記振幅及び位相の少なくとも1つは、それぞれ個別に、振幅重み付け又は位相重み付けされる請求項12記載の方法。
波形発生器に接続された1つ以上の波形シンセサイザを有する波形生成ユニットであって、前記波形発生器が提供する波形情報に応じて前記1つ以上の波形シンセサイザによって生成される異なる周波数帯に対応する複数の個別の直交符号化波形からなる複合波形を生成し、前記個別の直交符号化波形は、それぞれ互いに直交し及び異なる周波数帯に対応し、前記各個別の直交符号化波形は、対応する位相を含む固有の周波数を有する波形生成ユニットと、
送信モードと受信モードの間で切り換えられる送信/受信スイッチングユニットと、
前記送信/受信スイッチングユニットと通信して、ターゲットに対する1つ以上の既知の送信位置から複数の音響波形からなる複合音響波形であって、複合音響ビームを構成する複合音響波形を送信し、前記複合音響波形の送信される音響波形は、前記複合波形における、前記生成された個別の直交符号化波形に基づいており、及び前記ターゲットに対する1つ以上の受信位置において、前記ターゲットの少なくとも一部から戻る前記複数の送信された音響波形に対応する応答音響波形を受信し、前記送信される音響波形及び応答音響波形は、合成アパーチャ音響波形イメージングシステムの合成アパーチャ音響ビームを生成し、前記送信位置及び前記受信位置は、それぞれ、空間位置と、ビーム位相中心位置との一方又は両方を含むトランスデューサ素子のアレイと、
前記トランスデューサ素子のアレイと通信して、前記複数の個別の直交符号化波形を前記複数の対応する音響波形にトランスデュースする前記アレイの1つ以上のトランスデューサ素子を選択し、及び前記応答音響波形を受信する前記アレイの複数のトランスデューサ素子を選択する多重化ユニットと、
前記ターゲットの情報を提供する、前記トランスデューサ素子のアレイによって受信された前記応答音響波形を、アナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換するアナログ/デジタル(A/D)変換器のアレイと、
前記波形生成ユニット及びA/D変換器のアレイと通信し、データを保存するメモリユニットと、前記メモリユニットに接続されて、前記情報をデータとして処理する処理ユニットとを備えるコントローラユニットと、
前記コントローラユニットと通信するユーザインタフェースユニットとを備え、
前記複合音響波形を送信するための、前記アレイの前記選択された1つ以上のトランスデューサ素子と、前記応答音響波形を受信するための、前記アレイの前記選択された1つ以上のトランスデューサ要素は、合成アパーチャ音響波形イメージングシステムの合成アパーチャ音響ビームであって、前記トランスデューサ素子によって形成可能な個別の実際のアパーチャよりも大きい合成アパーチャ音響ビームを生成し、前記送信位置と前記受信位置はそれぞれ空間位置およびビーム位相中心位置の一方または両方が複数回変更されることを含み、
前記トランスデューサ素子のアレイは、少なくとも1つの位置から前記複数の音響波形を順次的に送信すること、または、少なくとも2つの位置から前記複数の音響波形を同時に送信し、1以上の既知の送信位置から送信される前記複合音響ビームを生成し、
前記処理ユニットは、前記1つ以上の複合波形及び前記対応する1つ以上の受信複合波形をデータブロックのメモリマップ内に保存し、
各データブロックは、各受信位置についての前記複合波形の受信した応答音響波形、前記対応する個別の直交符号化波形、及び前記受信位置についての前記1つ以上のトランスデューサ素子の対応する位置データを保存し、
前記処理ユニットは、前記受信した応答音響波形の処理において、前記保存された受信複合波形の軸範囲圧縮を実行し、周波数領域処理技術又は時間領域処理技術の1つ以上を用いて、前記合成アパーチャ音響ビームを含む軸範囲圧縮データの各保存されたブロックを処理することによって合成アパーチャ画像を形成する、合成アパーチャ音響波形イメージングシステム。
前記保存されるデータは、前記受信した応答音響波形の前記デジタルフォーマット、前記対応する生成された複合波形、及び前記1つ以上の既知の送信位置及び受信位置における前記トランスデューサ素子のアレイの対応する位置データを含む請求項14記載のシステム。
前記波形生成ユニットは、前記送信/受信スイッチングユニットと前記1つ以上の波形シンセサイザとの間に配設され、前記複合波形を変更する1つ以上の増幅器を更に備える請求項14記載のシステム。
前記送信/受信スイッチングユニットと前記A/Dコンバータのアレイとの間に配設され、前記受信した応答音響波形を変更する1つ以上の前置増幅器のアレイを更に備える請求項14記載のシステム。
前記ユーザインタフェースユニットは、前記画像を表示するディスプレイと、前記システムの動作のための動作モードを含むユーザ入力データを受信するユーザ入力端子とを備える請求項14記載のシステム。
前記動作モードは、前記応答音響波形から取得される少なくとも1つの測定された特性の少なくとも1つの特徴に基づいて、画像色分けを可能にする生物組織のイメージングのための少なくとも1つの人工組織染色(Artificial Tissue Staining:ATS)モードを含む請求項21記載のシステム。
前記動作モードは、前記応答音響波形から取得される1つ以上の測定された特性の少なくとも1つの特徴に基づいて、1つ以上のアルゴリズム分類器を用いて生物組織タイプを分類して生物組織をイメージングする少なくとも1つのコンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnostic-Mode:CAD)モードを含む請求項21記載のシステム。
前記音響波形をターゲットに送信する際、前記コントローラユニットは、前記トランスデューサ素子のアレイを制御して、前記ターゲットに対する前記複合波形の向きを変更し、前記ターゲットが、イメージング期間に亘って、異なる波形向きで前記複合音響波形を受信するようにする請求項14記載のシステム。
前記トランスデューサ素子のアレイは、前記送信位置に沿って1次元、2次元又は3次元で移動して、前記複数の音響波形を送信し、及び受信位置に沿って1次元、2次元又は3次元で移動して、前記応答音響波形を受信するように動作する請求項14記載のシステム。
前記アレイのトランスデューサ素子の少なくとも1つは、前記送信アレイの他のトランスデューサ素子から独立して、1次元、2次元又は3次元で移動することができる請求項14記載のシステム。
波形発生器に接続された1つ以上の波形シンセサイザを有する波形生成ユニットであって、前記波形発生器が提供する波形情報に応じて前記1つ以上の波形シンセサイザによって生成される異なる周波数帯に対応する複数の個別の直交符号化波形からなる複合波形を生成し、前記複数の個別の直交符号化波形は、それぞれ互いに直交し及び異なる周波数帯に対応し、前記各個別の直交符号化波形は、対応する位相を含む固有の周波数を有する波形生成ユニットと、
前記波形生成ユニットと通信して、ターゲットに対する1つ以上の既知の送信位置から複数の音響波形からなる複合音響波形であって、複合音響ビームを構成する複合音響波形を送信するトランスデューサ素子の送信アレイであって、前記複合音響波形に含まれる前記送信される音響波形は、前記複合波形に含まれる前記生成された複数の個別の直交符号化波形に基づいており、前記送信位置は、前記送信アレイの空間位置及び前記送信アレイのトランスデューサ素子のビーム位相中心位置の一方又は両方を含む送信アレイと、
前記波形生成ユニットと通信して、前記ターゲットに対する1つ以上の受信位置において、前記ターゲットの少なくとも一部から戻る前記送信された音響波形に対応する応答音響波形を受信するトランスデューサ素子の受信アレイと、
それぞれ、前記送信アレイ及び受信アレイと通信して、前記複数の個別の直交符号化波形を複数の対応する音響波形にトランスデュースする前記送信アレイのトランスデューサ素子の1つを選択し、及び前記応答音響波形を受信する前記受信アレイの複数のトランスデューサ素子を選択する第1の多重化ユニット及び第2の多重化ユニットと、
前記ターゲットの情報を提供する、前記トランスデューサ素子の受信アレイによって受信された前記応答音響波形を、アナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換するアナログ/デジタル(A/D)変換器のアレイと、
前記波形生成ユニット及びA/D変換器のアレイと通信し、データを保存するメモリユニットと、前記メモリユニットに接続されて、前記情報をデータとして処理する処理ユニットとを備えるコントローラユニットと、
前記コントローラユニットと通信するユーザインタフェースユニットと、を備え、
前記複合音響波形を送信するための、前記アレイにおける前記選択された1つ以上のトランスデューサ素子と、前記応答音響波形を受信するための、前記アレイにおける前記選択された1つ以上のトランスデューサ素子は、合成アパーチャ音響波形イメージングシステムにおける合成アパーチャ音響ビームであって、前記トランスデューサ素子によって形成可能な個別の実際のアパーチャよりも大きい合成アパーチャ音響ビームを生成し、前記送信位置および受信位置は、それぞれ、空間位置およびビーム位相中心位置の一方又は両方が複数回変更されることを含み、
前記処理ユニットは、前記1つ以上の複合波形及び前記対応する1つ以上の受信複合波形をデータブロックのメモリマップ内に保存し、
各データブロックは、各受信位置についての前記複合波形の受信した応答音響波形、前記対応する個別の直交符号化波形、及び前記受信位置についての前記1つ以上のトランスデューサ素子の対応する位置データを保存し、
前記処理ユニットは、前記受信した応答音響波形の処理において、前記保存された受信複合波形の軸範囲圧縮を実行し、周波数領域処理技術又は時間領域処理技術の1つ以上を用いて、前記合成アパーチャ音響ビームを含む軸範囲圧縮データの各保存されたブロックを処理することによって合成アパーチャ画像を形成する、合成アパーチャ音響波形イメージングシステム。
前記保存されるデータは、前記受信した応答音響波形の前記デジタルフォーマット、前記対応する生成された複合波形、及び前記1つ以上の既知の送信位置及び受信位置のそれぞれにおける前記送信アレイ及び受信アレイの対応位置データを含む請求項28記載のシステム。
前記波形生成ユニットは、前記送信/受信スイッチングユニットと前記1つ以上の波形シンセサイザとの間に配設され、前記複合波形を変更する1つ以上の増幅器を更に備える請求項28記載のシステム。
前記受信アレイと、前記A/Dコンバータのアレイとの間に配設され、前記受信した応答音響波形を変更する1つ以上の前置増幅器のアレイを更に備える請求項28記載のシステム。
前記ユーザインタフェースユニットは、画像を表示するディスプレイと、前記システムの動作のための動作モードを含むユーザ入力データを受信するユーザ入力端子とを備える請求項28記載のシステム。
前記動作モードは、前記応答音響波形から取得される少なくとも1つの測定された特性の少なくとも1つの特徴に基づいて、画像色分けを可能にする生物組織のイメージングのための少なくとも1つの人工組織染色(Artificial Tissue Staining:ATS)モードを含む請求項35記載のシステム。
前記動作モードは、前記応答音響波形から取得される1つ以上の測定された特性の少なくとも1つの特徴に基づいて、1つ以上の分類器を用いて生物組織タイプを分類して生物組織をイメージングする少なくとも1つのコンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnostic-Mode:CAD)モードを含む請求項35記載のシステム。
前記音響波形をターゲットに送信する際、前記コントローラユニットは、前記送信アレイを制御して、前記ターゲットに対する前記複合波形の向きを変更し、前記ターゲットが、イメージング期間に亘って、異なる波形向きで前記複合音響波形を受信するようにする請求項30記載のシステム。
前記トランスデューサ素子の送信アレイは、前記複数の位置に沿って1次元、2次元又は3次元で移動して、前記複数の音響波形を送信するように動作する請求項28記載のシステム。
前記送信アレイの1つ以上のトランスデューサ素子は、前記送信アレイの他のトランスデューサ素子から独立して、1次元、2次元又は3次元で移動することができる請求項28記載のシステム。
前記トランスデューサ素子の受信アレイは、前記複数の位置に沿って1次元、2次元又は3次元で移動して、前記応答音響波形を受信するように動作する請求項28記載のシステム。
前記受信アレイの1つ以上のトランスデューサ素子は、前記送信アレイの他のトランスデューサ素子から独立して、1次元、2次元又は3次元で移動することができる請求項28記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0006】
超音波イメージングは、2つの媒体(例えば、生物組織構造)の間の境界において一部が反射し、一部が透過する物理的弾性媒体内に音響波形(パルス)を出射することによって実行できる。反射は、2つの媒体の間の(例えば、2つの異なる生物組織タイプ間の界面における)音響インピーダンスの差に依存する。例えば、送信された音響波形の音響エネルギの一部は、界面において散乱してトランスデューサに戻り、受信及び処理されて情報が抽出され、残りのエネルギは、次の媒体に伝播する。幾つかの例では、散乱中心として機能する反射性媒体に含まれる2つ以上のインピーダンスの結果として反射の散乱が生じることがある。更に、例えば、音響エネルギは、媒体の特性及び/又は音響波の性質に基づいて屈折し、回折し、遅延し及び/又は減衰することがある。
【0007】
幾つかの既存の超音波イメージングシステムでは、典型的なトランスデューサは、圧電素子のアレイを使用して、ターゲット領域(例えば、生体組織)に向けて超音波パルスを送信し、内部の散乱構造から戻る反射された超音波信号(エコー)を受信する。このトランスデューサアレイは、イメージングシステムのアパーチャとして機能する。超音波パルスは、シーケンスパルスとして、平面又は立体において電子的に操縦及びフォーカシングでき、ターゲットの画像を形成するために用いられる応答エコーの1D、2D及び/又は3Dマップを生成するために使用することができる。超音波パルスを操縦及びフォーカシングするプロセスは、ビーム整形とも呼ばれる。幾つかの具体例では、トランスデューサアレイにおいて送信及び受信される超音波パルス及び応答エコーは、フェーズドアレイとして動作するアレイの各トランスデューサにおいて、個別に時間的に遅延させることができる。
【0008】
従来の実際のアパーチャ超音波イメージングシステムでは、画像の品質は、超音波システムのトランスデューサで発生する音場に直接的に依存する。
図1Aは、例えば、単一の電気音響トランスデューサ素子又は複数の電気音響トランスデューサ素子のアレイとして構成することができる幅w
Rのトランスデューサアレイ110によって生成され、関心ボリューム(volume of interest:VOI)115に向けられる超音波ビーム111を形成するための実際のアパーチャを形成する実際のアパーチャ超音波ビーム111を表す図である。例えば、画像は、通常、1軸の画像線毎に順次的に取得され(すなわち、スライス毎のターゲット領域範囲の走査)、イメージングの間、フレームレートに制約が生じ、これは、例えば、動くターゲットのイメージングを含む様々なリアルタイム超音波画像化アプリケーションにおいて、問題となることがある。
【0009】
従来の実際のアパーチャ超音波イメージングにおける制約の問題を解決するために、合成アパーチャ超音波イメージング(synthetic aperture ultrasound imaging)を用いて、超音波画像の品質を改善することができる。「合成アパーチャ」とは、1つ以上のより小さい実際のアパーチャ(サブアパーチャ)を連続的に使用してVOIを調べ、その位相中心が、特定及び/又は任意の形状の既知の1次元(1D)、2次元(2D)及び/又は、3次元(3D)経路に沿って動かされ、より大きな実効(仮想)アパーチャを実現して画像を取得する概念である。合成アパーチャは、電気音響トランスデューサ(例えば、トランスデューサアレイ)の空間位置を、連続的なビーム送信及び/又は受信位置に機械的に変更することによって、又は電気音響トランスデューサアレイ上の連続するビーム送信及び/又は受信位置の位相中心を電子的に変更することによって、或いはこれらの組合せによって形成することができる。合成アパーチャベースのイメージングは、当初、航空機によって上空から地上の関心領域を走査して、地上の広い領域をイメージングするレーダシステムで使用されたものである。超音波イメージングにおける合成アパーチャのフォーカシングは、超音波送信要素からVOIの位置への及びこの位置から超音波受信素子に戻るまでの幾何学的な距離に基づく。超音波イメージングでは、合成アパーチャを使用することによって、全方向から、複数の送受信位置のそれぞれで記録された応答エコー(例えば、モノスタティック(mono-static)及びバイスタティック(bi-static)エコー)の受信された振幅及び位相データを解析することによって、ターゲット領域内の点へのフォーカシングが可能になり、これによって、全領域に関する情報を提供することができる。応答エコーの方向は、1つの受信チャンネルのみからでは判定することができないので、多くの受信チャンネルを用いて、応答エコーに含まれる情報を判定し、この情報をチャンネルの一部又は全部に亘って処理し、ターゲット領域の画像を生成するために使用される情報を最終的にレンダリングする。
【0010】
合成アパーチャアレイは、1つ以上の実際のビームアパーチャサブアレイを含んでいてもよく、その位相中心は、
図1Bに示すように、サンプリング位置間を移動する。例えば、トランスデューサアレイは、複数の実際のアパーチャサブアレイを含んでいてもよく、これらは、組み合わされて全体のアレイを構成し、サブアレイの1つ以上の位相中心は、(例えば、電子的及び/又は機械的に)サンプリング位置間を移動する。
【0011】
合成アパーチャ超音波技術の1つの例では、単一又は複数のトランスデューサ素子を用いて、VOIを含む領域に亘る複数の位置において発散波面を送信し、画像領域全体をカバーする実効アパーチャを形成することができる。
図1Bは、位相中心が連続的な位置を移動し、超音波イメージングにおける合成アパーチャビームを形成するトランスデューサアレイによって生成される超音波ビームを表している。この図に示すように、任意であるが既知の、開いた又は閉じた1D、2D又は3D経路Wに沿って、N個の連続的な位置(位置a、b、c…N)に位相中心が機械的及び/又は電子的に位置決めされる1つ以上のトランスデューサアレイ110によって複数の超音波121a、121b…121Nが生成され、この経路は、例えば、直線、弧、円、螺旋又は定義された如何なる曲線経路等であってもよく、これにより、VOI125の超音波イメージングのための合成アパーチャが形成される。実効アパーチャ内のトランスデューサ110のトランスデューサ素子の全部又は一部について受信されたモノスタティック及びバイスタティックエコー信号は、送信毎にサンプリングされる。例えば、個別の受信超音波信号データを用いて、個別のフォーカシングされていない送信に基づいて、低解像度画像を生成することができ、続いてこれを処理して、個別の受信超音波モノスタティック及びバイスタティックエコー信号から、2次元(2D)及び/又は3次元(3D)のフォーカシングされた画像を生成することができる。例えば、合成アパーチャ超音波イメージングを用いることによって、例えば、同等な性能の実際のビームシステムに比べて、超音波イメージングにおけるシステムの複雑性とコストを低減することができる。
【0012】
音響パルスを生成するために用いられる波形のタイプも、超音波イメージングにおいて生成される画像の品質に影響を及ぼすことがある。従来の幾つかの超音波映像技術は、反射された信号から振幅情報のみを使用する。例えば、1つのパルスを出射し、反射信号を連続的にサンプリングしてもよい。生物組織では、音響速度は、略一定(例えば、骨を除いて、10%未満の範囲内)であると考えられ、ここで、波形の出射から反射信号の受信までの時間は、波形が組織構造を伝播する距離(例えば、反射構造の深さ)に依存する。したがって、反射信号を複数の時間間隔でサンプリングし、複数の深さから反射する反射信号を受信することができる。また、異なる深さの異なる組織は、異なる量のエネルギで入射波形を部分的に反射することがあり、したがって、異なる媒体からの反射信号は、異なる振幅を有することがある。対応する超音波画像は、深さに基づいて生成することができる。したがって、新しい波形を出射するまでの時間は、画像に望まれる最大の深さに依存することができる。パルス式モノクロマチック及び/又は狭瞬時帯域幅波形を使用する超音波映像技術では、画像処理及び生成の解像度が低いという問題が生じることがある。一方、(例えば、周波数及び/又は位相によって)符号化されたスペクトル拡散、広瞬時帯域幅特徴を有する波形は、超音波イメージングのリアルタイム制御を可能にし、より高い品質の画像を生成することができる。
【0013】
ここでは、合成アパーチャ超音波(synthetic aperture ultrasound:SAU)イメージングにおいて使用されるコヒーレントなスペクトル拡散広瞬時帯域幅符号化波形(spread-spectrum, instantaneous-wideband, coded waveforms)を生成し、送信し、受信し及び処理する技術、システム及びデバイスを開示する。
【0014】
ここに開示するSAUイメージング技術は、既存の超音波映像技術に対して改善された画質、コントラスト及び解像度を提供することができ、及び組織の弁別及び分類を可能にすることができる。更に、ここに開示する技術において採用される例示的なスペクトル拡散広瞬時帯域幅符号化波形は、既存の医療超音波デバイスに存在するようなハードウェア設計上の制約を受けない。
【0015】
ここに開示するSAU技術の機能のコヒーレント波形を使用することによって、エコー応答の一部又は全部を、選択された基準信号、例えば、送信波形に複素相関させることができる。このようなコヒーレントな複素相関によって、画像及び信号のアーチファクトを低減することができ、及び低い信号対雑音比及び干渉の存在下でデータを抽出することができる。
【0016】
ここに開示するSAU技術の実現例におけるスペクトル拡散信号の使用によって、意図的で明確な振幅及び位相周波数コンテンツを有する音響波形の決定的な設計が可能になる。例えば、スペクトル拡散複合音響波形の各周波数成分の振幅及び/又は位相を明確に定義することによって、信号及び情報処理技術を用いて、例えば、数学的な限界に近い最大限の量の情報をエコー応答から抽出することができる。
【0017】
ここに開示するSAU技術の実現例における瞬間的な、コヒーレントな、広帯域のスペクトル拡散符号化波形の使用によって、各送信−受信間隔の間に、利用可能な全ての情報を捕捉でき、これによって、例えば、生体の生物学的試料の不均質で動的な性質による、及び収集プロセスの動作によって誘導されるアーチファクトによる反射信号の劣化を最小化することができる。更に、ここに開示する技術に基づく信号及び情報処理方法を用いて、例えば、基本的な物理的パラメータ(例えば、バルク率、密度、減衰、音響インピーダンス、振幅反射、グループ遅延等)を抽出し、VOIの組織を弁別及び分化することができる。例えば、ここに開示するSAU技術の幾つかの信号及び情報処理方法は、VOIの組織を弁別及び/又は分類するための、受信した周波数及び角度依存広帯域、スペクトル拡散、合成アパーチャ受信信号エコーに対する数学的逆算法、並びに専門的システム技術、例えば、決定論的な、サポートベクトルネットワーク及びニューラルネットワーク技術を含む。
【0018】
ここに開示するSAU技術の実現例における波形の各周波数成分の明確な振幅及び/又は位相符号化は、複数の利益を提供することができる。例えば、振幅符号化により、トランスデューサアレイ及び音響伝播チャンネルの周波数分散特性の明確な補償が可能になる。各周波数成分の振幅及び/又は位相符号化によって、広瞬時帯域幅波形の決定的なビーム整形及び操縦が可能になる。例示的な送信信号の各周波数成分の明確な振幅及び位相符号化によって、ピーク−平均パワー比(peak-to-average power ratio:PAPR)を最小化でき及び音響パワーを広帯域に広げることができ、例えば、有害な生物学的影響を最小にすることができる。例えば、スペクトル拡散信号の各周波数成分の振幅及び/又は位相を明確に定義することによって、同時に送信でき、互いの干渉が最小化された複数の波形を構築することができ、これによって、信号及び情報処理技術を用いて、個別の送信波形に関連する受信信号を復元することができる。更に、ここに開示するSAU技術の符号化されたスペクトル拡散音響波形によって、これらの波形の特定の曖昧性(ambiguity properties)のために、動き補償を行うことができる。
【0019】
一側面として、音響イメージングデバイスにおいて音響波形を生成する方法を開示する。この方法は、1つ以上の波形シンセサイザにおいて、音響イメージングデバイスのトランスデューサアレイの1つ以上の空間位置及び/又はトランスデューサアレイの1つ以上のビーム位相中心位置からターゲットに向けて送信される複数の個別の符号化波形から形成される1つ以上の複合波形を合成することを含む。複合波形の個別の符号化波形は、互い直交し、異なる周波数帯にあり、個別の相互に直交する符号化波形のそれぞれは、対応する位相による固有の周波数を有する。この方法は、ターゲットに対する1つ以上の送信位置から、複数の音響波形からなる1つ以上の複合音響波形を送信することを含み、送信は、アレイの1つ以上のトランスデューサ素子を選択し、1つ以上の複合音響波形のそれぞれの複数の個別の直交符号化波形を、1つ以上の複合音響波形のそれぞれの複数の対応する音響波形にトランスデュースすることを含む。更に、この方法は、ターゲットに対する1つ以上の受信位置において、送信される音響波形に対応するターゲットの少なくとも一部から戻る応答音響波形を受信することを含み、受信は、アレイのトランスデューサ素子の少なくとも幾つかを選択して、応答音響波形を受信することを含む。受信位置は、ターゲットに対するトランスデューサ素子のアレイの空間位置と、応答音響波形を受信するアレイのビーム位相中心位置との一方又は両方を含む。送信される音響波形及び応答音響波形は、音響イメージングデバイスの拡大された実効アパーチャを生成する。
【0020】
幾つかの具体例では、方法は、例えば、音響波形をターゲットに送信する際、アレイのトランスデューサ素子を制御して、ターゲットに対する複合波形の向きを変更し、ターゲットが、イメージング期間に亘って、異なる波形の向きで音響波形を受信するようにする。例えば、ターゲットに対する複合波形の向きの変更は、同じ又は異なる空間位置から異なる複合波形を送信すること、異なる空間位置から同じ又は異なる複合波形を送信すること、及びトランスデューサ素子のアレイ上の異なるビーム位相中心位置から同じ又は異なる複合波形を送信することを含む。
【0021】
幾つかの具体例においては、方法は、例えば、受信した応答音響波形を、1つ以上の複合波形に対応する1つ以上の受信複合波形として、アナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換することを更に含み、各受信複合波形は、ターゲットの情報を含み、情報は、受信複合波形の対応する周波数帯に関連する振幅及び位相を含む。また、幾つかの具体例においては、方法は、例えば、受信した(1つ以上の受信複合波形の)応答音響波形を処理して、ターゲットの少なくとも一部の画像(例えば、2D及び/又は3D画像)を生成することを更に含む。
【0022】
一側面として、合成アパーチャ超音波画像処理システムを開示する。システムは、波形発生器に接続された1つ以上の波形シンセサイザを有する波形生成ユニットを含む。波形生成ユニットは、波形発生器が提供する波形情報に応じて1つ以上の波形シンセサイザによって生成される異なる周波数帯に対応する複数の個別の直交符号化波形からなる複合波形を合成し、個別の直交符号化波形は、それぞれ互いに直交し及び異なる周波数帯に対応し、各個別の直交符号化波形は、対応する位相による固有の周波数を有する。システムは、送信モードと受信モードの間で切り換えられる送信/受信スイッチングユニットを含む。また、システムは、送信/受信スイッチングユニットと通信するトランスデューサ素子のアレイを含む。トランスデューサ素子のアレイは、ターゲットに対する1つ以上の送信位置から複数の音響波形からなる複合音響波形を送信するように構成されており、複合音響波形の送信される音響波形は、複合波形の合成された個別の直交符号化波形に基づいている。更に、トランスデューサ素子のアレイは、例えば、ターゲットに対する1つ以上の受信位置において、ターゲットの少なくとも一部から戻る複数の送信された音響波形に対応する応答音響波形を受信するように構成されている。送信される音響波形及び応答音響波形は、合成アパーチャ音響波形イメージングシステムの拡大された実効アパーチャを生成する。それぞれの波形を送信及び受信するための送信位置及び受信位置は、それぞれ、ターゲットに対するトランスデューサ素子のアレイの空間位置及び音響波形を送信及び/又は受信するためのアレイの上のビーム位相中心位置の一方又は両方を含む。システムは、更に、トランスデューサ素子のアレイと通信して、複数の個別の直交符号化波形を複数の対応する音響波形にトランスデュースするアレイの1つ以上のトランスデューサ素子を選択し、及び応答音響波形を受信するアレイの1つ以上のトランスデューサ素子を選択する多重化ユニットを含む。幾つかの実現例では、システムは、例えば、ターゲットの情報を提供する、トランスデューサ素子のアレイによって受信された応答音響波形を、アナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換するアナログ/デジタル(A/D)変換器のアレイを含む。また、システムは、波形生成ユニット及びトランスデューサ素子のアレイ(例えば、A/Dコンバータのアレイを介してもよい。)と通信するコントローラユニットを含み、コントローラユニットは、データを保存するメモリユニットと、メモリユニットに接続されて、情報をデータとして処理する処理ユニットとを含む。システムは、コントローラユニットと通信するユーザインタフェースユニットを含むことができる。システムの幾つかの具体例では、例えば、コントローラユニットは、処理されたデータから、ターゲットの少なくとも一部の画像を生成するように構成される。
【0023】
図1C及び
図1Dは、複数の送信位置から合成アパーチャビームを形成するトランスデューサアレイによって生成される例示的な複合超音波ビームを示している。図に示すように、トランスデューサアレイ130は、複数の実際のアパーチャサブアレイSub1、Sub2…SubNを含み、各サブアレイは、個別のトランスデューサ素子(例えば、1〜16個、32個、64個等の素子)を含む。トランスデューサ素子の一部又は全部は、超音波イメージングのための合成アパーチャを形成する1以上の個別の相互に直交する符号化された音響波形131a、131b…131nの複合音響波形を(例えば、順次的に、同時に又はランダムに)送信でき、この複合音響波形は、複数のサブアレイ位相中心位置からターゲット関心ボリューム(volume of interest:VOI)135に送信され、アレイ130を形成する。また、アレイ130を形成するトランスデューサ素子の一部又は全部は、(個別の相互に直交する符号化された音響波形131a、131b…131nに基づいて形成される)送信される音響波形に対応する応答音響波形を受信し、ここで、受信される音響波形は、VOI135の少なくとも一部から(例えば、反射、屈折、回折、遅延及び/又は減衰されて)後方散乱して戻る。これによって、受信される個別の音響波形は、送信された複合音響波形に対応する1つ以上の受信複合波形を形成する。複合音響波形は、個別の音響波形を生成するために用いられる複数のスペクトル拡散広瞬時帯域幅符号化波形から形成される複合的な合成波形に基づいて生成される。個別の複合音響波形131a、131b…131nは、トランスデューサアレイ130のサブアレイの1つ以上によってトランスデュースすることができる。トランスデューサアレイ130は、既知の経路に沿った複数の物理的位置(例えば、
図1Cに示す位置1から位置2)及び/又は複数のビーム操縦位置(例えば、
図1Dに示す位置1から位置2)に配置することができ、位相中心は、例えば、合成アパーチャを形成する連続的な位置に機械的に、電子的に、又は機械的且つ電子的に位置決めされる。
【0024】
幾つかの実現例では、例えば、1つ以上のサブアレイに亘るトランスデューサ素子の様々な組合せから構成される様々なアレイセグメントを用いて、直交符号化音響波形131a、131b…131nを生成することができる。
図1Eは、ここに開示する技術の複合超音波ビームを生成するための例示的なトランスデューサアレイを示している。
図1Eの例では、トランスデューサアレイ130は、4つのトランスデューサセグメント(例えば、トランスデューサセグメント1、2、3、4)に構成された64個の個別のトランスデューサ素子を含む。この例では、(例えば、4つのトランスデューサセグメントの1つ以上に亘るトランスデューサ素子を含む)64個の個別のトランスデューサ素子の何れかを含む1つ以上のサブアレイは、個別の直交する符号化された音響波形131a、131b …131nを(例えば、順次的に、同時に又はランダムに)送信することができる。サブアレイは、1つのトランスデューサセグメント内の又は複数のトランスデューサセグメントに亘る個別のトランスデューサ素子の組合せを含むことができる。例えば、サブアレイ1は、トランスデューサセグメント1のトランスデューサ素子2、3、6、7、10、11、14、15及びトランスデューサセグメント3のトランスデューサ素子2、3を含み、サブアレイ2は、トランスデューサセグメント2のトランスデューサ素子1、2、3、5、6、7、9、10、11を含み、サブアレイ3は、トランスデューサセグメント3のトランスデューサ素子9、10、11、12、13、14、15、16及びトランスデューサセグメント4のトランスデューサ素子9、13を含み、サブアレイ4は、トランスデューサセグメント4のトランスデューサ素子5、6、7、9、10、11、13、14、15を含む。
図2A及び
図2Bを用いて後述するように、サブアレイの構成は、波形発生器とトランスデューサアレイの間に接続されたスイッチング素子(例えば、マルチプレクサユニット)を用いて生成することができる。
【0025】
図2Aは、拡張された実効(合成)アパーチャに亘って強化された波形特性を有する音響波形を生成できる例示的な合成アパーチャ超音波(Synthetic Aperture Ultrasound:SAU)システム200のブロック図である。SAUシステム200によって生成される複合音響波形の強化された波形特性は、スペクトル拡散、広瞬時帯域幅、コヒーレント、擬似ランダム雑音特性及び符号化を含む。SAUシステム200は、多くのシステム設計の1つによって構成できる。ある例では、SAUシステム200は、時間的同期のためのマスタクロック201を含むことができる。マスタクロック201は、互いに同期されて動作するシステムコントローラ202並びにSAUシステム200の他のモジュールにインタフェースすることができる。システムコントローラ202は、処理ユニット、例えば、RISCベース又は他のタイプのCPUアーキテクチャの中央演算処理装置(central processing unit:CPU)を含むことができる。システムコントローラ202は、少なくとも1つの入出力(I/O)ユニット及び/又はメモリユニットを含んでいてもよく、これらは、処理ユニットと通信して、システムコントローラ202の様々な機能をサポートする。例えば、処理ユニットは、システム制御バス、例えば、データ及び制御バス203に接続することができる。システムコントローラ202は、例えば、パーソナルコンピュータ(personal computer:PC)、ラップトップコンピュータ、タブレット及びモバイル通信デバイスアーキテクチャ等の様々なデータ処理アーキテクチャの1つとして実現できる。
【0026】
メモリユニットは、命令、ソフトウェア、値、画像、及び処理ユニットによって処理又は参照される他のデータ等の他の情報及びデータを保存できる。メモリユニットのストレージ機能を実現するために、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)デバイス、読取専用メモリ(Read Only Memory:ROM)デバイス、フラッシュメモリデバイス及び他の適切な様々なタイプのストレージ媒体を用いることできる。メモリユニットは、事前記憶波形(pre-stored waveforms)、係数データ及び情報を保存でき、これらを用いて、例えば、スペクトル拡散、広瞬時帯域幅、コヒーレント、擬似ランダム雑音、周波数符号化波形及び/又は位相符号化波形等の波形を生成することができる。メモリユニットは、受信及び処理された波形から得られたデータ及び情報を保存でき、これを用いて、新たな波形を生成及び送信することができる。メモリユニットは、システム制御バス、例えば、データ及び制御バス203に接続してもよい。
【0027】
入出力ユニットは、外部インタフェース、データストレージのソース及び/又はディスプレイデバイスに接続してもよい。入出力ユニットは、システム制御バス、例えば、データ及び制御バス203に接続してもよい。以下に限定されるわけではないが、汎用シリアルバス(Universal Serial Bus:USB)、IEEE1394(ファイアワイヤ:FireWire)、IEEE802.111(ブルートゥース:Bluetooth(登録商標))、無線ローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network:WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(Wireless Personal Area Network:WPAN)、無線ワイドエリアネットワーク(Wireless Wide Area Network:WWAN)、IEEE802.16(Worldwide Interoperability for Microwave Access:WiMAX)及びパラレルインタフェース等の一般的なデータ通信規格に互換性がある様々なタイプの有線又は無線インタフェースを用いて入出力ユニットを実現することができる。入出力ユニットは、外部インタフェース、データストレージのソース又はディスプレイデバイスに接続し、データ及び情報を受信又は出力してもよく、これらのデータ及び情報は、プロセッサユニットで処理し、メモリユニットに保存し、又は出力ユニットにおいて表示してもよい。
【0028】
システムコントローラ202は、例えば、データ及び制御バス203への接続を介して、SAUシステム200の全てのモジュールを制御できる。例えば、データ及び制御バス203は、システムコントローラ202を1つ以上の付属デジタルシグナルプロセッサ、例えば、デジタルシグナルプロセッサ204に接続し、その機能を制御して、波形を処理してもよい。デジタルシグナルプロセッサ204は、1つ以上のプロセッサ、例えば、以下に限定されるものではないが、特定用途向けIC(application-specific integrated circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array:FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processors:DSP)、AsAP(asynchronous array of simple processors)及び他のタイプのデータ処理アーキテクチャを含んでいてもよい。また、データ及び制御バス203は、システムコントローラ202及びデジタルシグナルプロセッサ204をユーザインタフェースのためのモジュールを有する1つ以上のディスプレイユニット、例えば、モジュールユーザインタフェース206を有するディスプレイ205に接続し、ユーザ又はオペレータに情報を提供し、及びユーザ又はオペレータから入力/命令を受け取ってもよい。ディスプレイ205は、視覚的ディスプレイとして、多くの適切なディスプレイユニット、例えば、以下に限定されるものではないが、陰極線管(cathode ray tube:CRT)、発光ダイオード(light emitting diode:LED)、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)モニタ及び/又はスクリーンを含むことができる。また、ディスプレイ205は、様々なタイプのディスプレイ、スピーカ又はプリントインタフェースを含むことができる。他の具体例では、ディスプレイ205は、他のアウトプット装置、例えば、トナー、液体インクジェット、固体インク、昇華式又はインクレス(感熱式又は紫外線式)プリンタ、及び様々なタイプのオーディオ信号再生装置を含んでいてもよい。ユーザインタフェース206は、適切な多くのインタフェース、例えば、様々なタイプのキーボード、マウス、音声コマンド、タッチパッド、ブレインマシンインタフェース(brain-machine interface)装置を含むことができる。
【0029】
SAUシステム200は、システムコントローラ202によって制御されて、1つ以上のデジタル波形を生成する波形発生器207を備えていてもよい。波形シンセサイザ及びビームコントローラのアレイの少なくとも1つの素子、例えば、この具体例では、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208として示されている素子によって、1つ以上のデジタル波形をアナログ電気信号(例えば、アナログ波形)として生成することができる。波形発生器207は、関数発生器及び任意波形発生器(arbitrary waveform generator:AWG)の少なくとも1つであってもよい。例えば、波形発生器207をAWGとして構成し、任意のデジタル波形を生成し、これを波形シンセサイザ及びビームコントローラ208によって、個々のアナログ波形及び/又は複合アナログ波形として合成してもよい。また、波形発生器207は、デジタル波形の生成に使用される事前記憶波形、係数データ及び情報を保存する少なくとも1つのメモリユニットを含むことができる。
【0030】
図2Aに示すSAUシステム200は、I個のアレイ素子を含む波形シンセサイザ及びビームコントローラ208を備える。一具体例では、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208は、I個のアレイ式波形シンセサイザの各ラインに少なくとも1つの波形シンセサイザ要素を含むように構成できる。他の具体例では、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208は、I個のアレイ式ビームコントローラの各ラインに少なくとも1つのビームコントローラ要素を含むことができる。他の具体例では、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208は、I個のアレイ式波形シンセサイザ及びビームコントローラの各ラインに少なくとも1つの波形シンセサイザ要素及びビームコントローラ要素を含むことができる。波形シンセサイザ及びビームコントローラ208は、電気信号、例えば、無線周波数(radio frequency:RF)波形を生成するための位相ロックループシステムを含んでいてもよい。例示的なRF波形は、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208のアレイ素子によって生成された個々の波形から、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208によって合成され、例えば、個々のRF波形は、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208の他のアレイ素子によって生成される他の全ての個々の波形と実質的に同時に1つのアレイ素子によって生成してもよい。個々のRF波形のそれぞれは、周波数成分又は「チップ」とも呼ばれる特定の周波数帯毎に定義され、個々の波形のそれぞれの波形特性は、波形発生器207によって決定され、チップに対応する少なくとも1つの振幅値及び少なくとも1つの位相値を含んでいてもよい。波形発生器207は、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208に命令を発し、個々の波形のそれぞれの特性に関する情報を含む波形データを波形シンセサイザ及びビームコントローラ208に供給し、個々の直交するRF波形を生成し、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208は、これらを合成して、複合RF波形を生成することができる。
【0031】
波形シンセサイザ及びビームコントローラ208によって生成される個々のRF波形及び/又は複合RF波形は、I個の増幅器のアレイを含む出力増幅器209によって、例えば、波形を増幅し及び/又は波形の位相をシフトさせることによって変更される。幾つかの具体例では、出力増幅器209は、線形アンプとして構成される。出力増幅器209は、トランスデューサドライバとして用いることができる。個々のRF波形及び/又は複合RF波形は、例えば、N極双投送信/受信スイッチ(N-pole double-throw transmit/receive switch)である送信/受信(Transmit/Receive:T/R)スイッチ210に供給される。T/Rスイッチ210は、SAUシステム200のトランスデューサモジュールに接続してもよい。T/Rスイッチ210は、例えば、N極多重化スイッチを含むことによって、多重化ユニットとして動作できる。生成されたRF波形、例えば、ターゲット媒体に送信される複合RF波形及び/又は少なくとも1つの個々のRF波形は、トランスデューサモジュールによって、例えば、音響波にトランスデュースできる。
図2Aに示す例では、トランスデューサモジュールは、トランスデューサ素子のアレイ、例えば、X個のトランスデューサ素子からなるトランスデューサアレイ211として構成される。例えば、トランスデュースされた音響波は、音響波形バーストの形式で出射することができる。例えば、トランスデューサアレイ211の選択されたアレイ素子は、波形発生器207によって決定され、空間的に組み合われて複合音響波形を形成する個別の直交波形に対応する2つ以上の個別の直交音響波形を生成(例えば、トランスデュース(変換))してもよい。更なる例として、トランスデューサアレイ211の選択されたアレイ素子は、波形発生器207によって決定された複合波形に対応する1つ以上の複合音響波形を生成(例えば、トランスデュース(変換))してもよい。
【0032】
例えば、T/Rスイッチ210が送信モードに構成されている場合、例示的な、トランスデュースされ、送信された複合音響波形は、ターゲット、例えば、生物組織に対するトランスデューサアレイ211の複数の位置からターゲット領域に向けて送信することができ、このトランスデュースされ、送信された音響波形は、空間的に結合された音響波形を形成する。送信された複合音響波形は、ターゲット媒体内に伝播し、ターゲット媒体は、例えば、送信された音響波形の一部を透過し、一部を反射する1つ以上の不均質な媒体を有することができる。例えば、音響波形が送信された後、T/Rスイッチ210は、受信モードに構成することができる。ターゲットによって(少なくとも部分的に)反射された例示的な複合音響波形は、トランスデューサアレイ211によって受信することができ、これは、応答音響波形と呼ばれる。幾つかの具体例では、トランスデューサアレイ211のX個のアレイ素子の選択されたアレイ素子は、個別の直交波形(例えば、周波数チップ)に対応する応答音響波形を受信し、これをアナログRF波形に変換するように構成することができる。他の例では、トランスデューサアレイ211の選択されたトランスデューサ素子は、例えば、例示的なトランスデューサアレイ211の制御ロジックと通信するシステムコントローラ202によって判定される選択制御信号に基づいて、送信された複合波形に対応する応答音響波形を受信し、これを複合アナログRF波形に変換するように構成してもよい。
【0033】
幾つかの実現例では、例えば、トランスデューサアレイ211は、SAUシステム200を用いた超音波画像化を行っている間、トランスデューサアレイ211を空間的に移動させ、合成アパーチャを生成することによって、データサンプリング/超音波スキャン位置の1次元、2次元及び/又は3次元に沿って、ビーム位相中心を機械的に平行移動させることができる。更なる例では、トランスデューサアレイ211は、静止していてもよく、SAUシステム200を用いた超音波画像化を行っている間に、システムコントローラ202によって、データサンプリング/超音波スキャン位置として、X個のトランスデューサ素子の部分を順次的に又はランダムにアドレス指定し、合成アパーチャを生成することによって、静止したトランスデューサアレイ211に沿って、ビーム位相中心を1次元、2次元及び/又は3次元に電子的に平行移動させてもよい。更なる例として、超音波画像化を行っている間に、SAUシステム200は、位相中心を、データサンプリング/超音波スキャン位置の1次元、2次元及び/又は3次元に機械的及び電子的に平行移動させて合成アパーチャを生成してもよい。
【0034】
幾つかの実現例では、例えば、個別のRF波形及び/又は複合RF波形を、例えば、時間的に個別に又は同時に、別々の送信トランスデューサアレイに直接的に渡し、別々の受信トランスデューサアレイを用いて、関心ボリュームから散乱した音響波形を受信することができる。
図2Bは、SAUシステム200aを表すブロック図として、ここに開示する技術の合成アパーチャ超音波システムの他の例示的な実施形態を示している。SAUシステム200aは、SAUシステム200と同様に動作して、拡張された実効(合成)アパーチャに亘って、改良された波形特性を有する音響波形を生成するものであり、(1)(例えば、波形発生器207によって決定される個別の直交符号化波形に対応する)I個の個別の波形をトランスデュースし、例えば、順次的に、又は同時に、又は時間的にランダムに1つ以上の音響波形を送信するX個のトランスデューサ素子からなる送信トランスデューサアレイ211aを含み、更に、(2)Y個のトランスデューサ素子からなる別の受信トランスデューサアレイ211bを含み、これは、応答音響波形を受信し、それぞれをアナログRF波形に変換するように構成することができる。幾つかの具体例では、Xは、Yに等しく、他の具体例では、Xは、Yに等しくない。幾つかの実現例では、SAUシステム200aは、出力増幅器209と送信トランスデューサアレイ211aの間に配設されたT/Rスイッチ210aを含むことができ、T/Rスイッチ210aは、例えば、N極多重化スイッチを含むことによって、多重化ユニットとして動作することができる。また、幾つかの実現例では、SAUシステム200aは、受信トランスデューサアレイ211bと前置増幅器モジュール212の間に配置されたT/Rスイッチ210bを含むことができ、T/Rスイッチ210bは、例えば、N極多重化スイッチを含むことによって、多重化ユニットとして動作することができる。例えば、送信トランスデューサアレイ211aは、I個の個別の直交符号化波形を、波形発生器207によって決定されるRF波形に対応する1つ以上の音響波形にトランスデュースすることができる。トランスデュースされた音響波形は、音響波形バーストの形式で出射してもよい。例えば、トランスデューサアレイ211aの選択されたアレイ素子は、波形発生器207によって決定される個別の直交波形に対応する2以上の個別の直交音響波形を生成(例えば、トランスデュース)してもよく、これらを空間的に結合して、例えば、順次的に、又は同時に、又は時間的にランダムに送信される1つ以上の音響波形である、1以上の複合音響波形を形成してもよい。更なる例として、トランスデューサアレイ211aの選択されたアレイ素子は、波形発生器207によって決定される複合波形に対応する1つ以上の複合音響波形を生成(例えば、トランスデュース)してもよく、これらは、順次的に、又は同時に、又は時間的にランダムに送信される。
【0035】
例示的なSAUシステム200aでは、送信トランスデューサアレイ211a及び受信トランスデューサアレイ211bは、SAUシステム200aを用いた超音波画像化を行っている間に、データサンプリング/超音波スキャン位置の1次元、2次元及び/又は3次元に、位相中心の一部又は全部を機械的、電子的に又は機械的且つ電子的に平行移動させて合成アパーチャを生成することができる。幾つかの実現例では、例えば、送信トランスデューサアレイ211aのX個のトランスデューサ素子は、位相中心の一部又は全部を1次元、2次元及び/又は3次元に機械的に、電子的に、又は機械的且つ電子的に一斉に平行移動させ、他の実現例では、例えば、送信トランスデューサアレイ211aのX個のトランスデューサ素子の位相中心の1つ以上は、アレイ211aの他の素子から独立して、1次元、2次元及び/又は3次元に機械的に、電子的に、又は機械的且つ電子的に平行移動させてもよい。幾つかの実現例では、例えば、トランスデューサアレイ211a、211bのX個又はY個のトランスデューサ素子は、それぞれ、放射音響ビーム及び受信ビームを、1つ又は2つの角度次元(例えば、方位角及び/又は高度角)で、(例えば、機械的に、電子的に、又は機械的且つ電子的に)走査することができる。同様に、例えば、幾つかの実現例では、受信トランスデューサアレイ211bのY個のトランスデューサ素子の位相中心は、(例えば、機械的に、電子的に、又は機械的且つ電子的に)1次元、2次元及び/又は3次元に一斉に平行移動させてもよく、他の実現例では、受信トランスデューサアレイ211bのY個のトランスデューサ素子の1つ以上は、アレイ211bの他の素子から独立して、1次元、2次元及び/又は3次元に平行移動させてもよい。例えば、一実施形態においては、トランスデューサアレイ211又は211aのX個のトランスデューサ素子のそれぞれは、I個の出力増幅器209の1つに対応し、例えば、X=Iである。これに代えて、例えば、構成要素の数を減らすために、全てのX個のトランスデューサ素子から送信トランスデューサ素子の幾つかグループを構成し、これらを互いに多重化し、N極多重化スイッチを介して、I個より少ない増幅器209と通信させてもよい。
【0036】
図2A及び
図2Bに示すように、個別の受信(アナログ)RF波形は、前置増幅器モジュール212によって修正してもよく、前置増幅器モジュール212は、J個以下の数の増幅器を含み、幾つかの例では、例えば、アレイ内の各増幅器は、それぞれ、トランスデューサアレイ211又は受信トランスデューサアレイ211bのX又はY個のトランスデューサ素子に対応していてもよい。これに代えて、例えば、構成要素の数を減らすために、全ての受信トランスデューサ素子から受信トランスデューサ素子の幾つかグループを構成し、これらを互いに多重化し、N極多重化スイッチを介して、前置増幅器と通信させてもよい。例えば、前置増幅器モジュール212の対応する増幅器のそれぞれ又は少なくとも幾つかの増幅器は、個別の受信(アナログ)RF波形を増幅し及び/又は位相をシフトさせることができる。幾つかの具体例では、前置増幅器モジュール212のJ個の増幅器のアレイは、線形増幅器として構成される。幾つかの具体例では、前置増幅器モジュール212は、受信波形に対して他の信号調整技術を実行するように実現してもよい。増幅及び/又は信号調整の後、例えば、J個のA/Dコンバータのアレイを含むデジタル−アナログ(A/D)変換器モジュール213によって、個別の受信波形をアナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換できる。A/D変換器モジュール213は、最下位ビット(least significant bit:LSB)ジッタ、スプリアスフリーダイナミックレンジ(spurious-free dynamic range:SFDR)及び波形依存性を有し、例示的な波形を適切にデコードすることができるA/Dコンバータを含むことができる。個別の受信波形の変換されたデジタル表現は、ターゲット媒体の代表的な画像を生成及び形成するように、プロセッサ、例えば、デジタルシグナルプロセッサ204によって処理することができる。
【0037】
SAUシステム200は、多くの動作モードの1つで動作することができる。ある例では、マスタクロック201は、例えば、波形発生器207、波形シンセサイザ208及びDSP204を含むSAUシステム200のモジュールを同期させるためのタイムベースを提供することができる。マスタクロック201は、例示的な波形の位相符号化を可能にするように、低位相雑音クロックとして構成することができる。オペレータは、ユーザインタフェース206によって、合成アパーチャモードの動作を選択することができる。SAUシステム200の幾つかの実現例では、合成アパーチャモードは、以下に限定されるわけではないが、合成アパーチャストリップ走査(synthetic aperture strip scan:SASS)モード及び例示的な合成アパーチャスポットライト(synthetic aperture spotlight:SASpl)モードを含むことができる。
【0038】
図2C及び
図2Dは、それぞれ、ここに開示する技術の例示的なSASSモード及び例示的なSASplモードを示している。
図2Cに示すように、例えば、SASSモードは、トランスデューサアレイ211の位相中心の電子的、機械的、又は電子的且つ機械的な1次元、2次元及び/又は3次元の平行移動によって、ターゲットの周囲の複数の位置から送信される複数の音響波形に基づいて、合成アパーチャを生成するように動作可能である。
図2Dに示すように、例えば、SASplモードは、送信及び/又は受信ビームを操作してVOIに中心合わせするように動作可能であり、したがって、例えば、SASSモードより大きな合成アパーチャを生成し、これによって、横方向の画像解像度を高めることができる。SASS及びSASplの例示的な動作モードは、2D平面スライス及び/又は3D立体断層撮影レンダリングを含み、オペレータは、例えば、SAUシステム200を使用して、これを操作し、矢状面、冠状面、横断面又は任意のあらゆる平面を提供することができる。オペレータは、実際のアパーチャの動作モードを選択することができる。
【0039】
例えば、ユーザに対して用意され、ユーザインタフェース206で選択できる幾つかの例示的な動作モードは、従来のA−モード(例えば、1D深さのみの画像)、従来のB−モード(例えば、2D平面画像−横断方向対深さ方向)、従来のC−モード(例えば、選択された深さにおける2D平面画像)、従来のD−モード(例えば、ドップラモード)、及び従来の又は新しい動作モードの何れか1つ以上と組み合わされた統合型外科的治療モードとしての高強度超音波(High Intensity Focused Ultrasound:HIFU)を含む。例示的なドップラモードは、カラードップラ(例えば、色分けされたドップラ及びB−モード画像の重ね合せ)、連続ドップラ(例えば、1Dドップラプロファイル対深さ)、パルス波ドップラ(例えば、選択されたボリュームのためのドップラ対時間)、及び2重/3重ドップラ(例えば、従来のB−モード、従来のC−モード又は色ドップラ及びパルス波ドップラの重ね合せ)を含む。例示的なSAUシステム200は、更に、スペクトル拡散、広瞬時帯域幅、周波数及び/又は位相符号化波形を生成できる新しい動作モードを実行することができる。例えば、ユーザは、従来のB−モードに類似するが、画質が大幅に向上した(例えば、解像度、コントラスト比等がより高い)高解像度2D画像モードを選択することができ、又はユーザは、CT及び磁気共鳴映像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)と同様の手法でユーザが選択可能な2D画像として表示することができる立体画像を生成する高解像度3Dイメージングモードを選択することができる。更に、例えば、ユーザは、微視的組織学的研究のための組織染色に類似する組織弁別を補助するための画像色分けが、B−モード、C−モード、D−モード又は他のモードと組み合わされた例示的なATSモード(人工組織染色(Artificial Tissue Staining)モード)及び組織タイプを弁別及び特定する例示的なCADモード(コンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnostic)モード)を選択することができる。ATSモードは、ターゲット領域からの応答エコー波形、例示的な送信されたスペクトル拡散、広瞬時帯域幅、符号化音響波形からの、例えば、応答エコーから取得される複数の測定された特性の1つ以上に基づいて、画像処理において画像色分けのための特徴を採用することができる。CADモードは、分類器(アルゴリズム)を用いて、例えば、ターゲット領域からの応答エコー、例えば、例示的なスペクトル拡散、広瞬時帯域幅、符号化、角度ダイバーシチ、モノスタティック及びバイスタティック、合成アパーチャ音響波形からの応答エコーの測定された特性の特徴に基づいて、組織タイプを分類することができる。特徴的特性は、異なるインピーダンス、(波長の関数としての)波形反射、グループ遅延等を含むことができる。CADモードで採用できる幾つかの例示的な分類器は、決定論的分類器、確率的分類器(例えば、ベイズ及びサポートベクトルネットワーク分類器)、及びニューラルネットワーク分類器等を含むことができる。
【0040】
図2Eは、合成アパーチャ超音波イメージングのためにSAUシステム200又は200aを動作させる例示的な動作方法250を表している。タイムエポック毎に、方法250は、プロセス251を実行して、ユーザ定義の動作モードをチェックすることによって開始できる。例えば、動作モードは、ユーザがユーザインタフェース206を用いて選択してもよく、他のエンティティによって選択してもよく、SAUシステム200又は200aの内部で選択してもよい。選択された動作モードに基づき、システムコントローラ202は、例えば、プロセス252において、波形発生器207が、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208の1つ以上の要素に対し、望ましい広帯域複合RF波形を構成する各周波数チップの周波数、振幅及び位相を定義するデジタルメッセージ(データ)を発行するよう命令する。プロセス251は、方法250の間のどこで行ってもよく、複数のインスタンスで実現してもよい。方法250は、波形シンセサイザ及びビーム整形器、例えば、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208に波形データ(例えば、例示的なデジタルメッセージ/データ)を発行するプロセス252を含む。発行される波形データは、直交周波数及び/又は位相符号化波形として合成される望ましい周波数チップの周波数、振幅及び位相情報を含むことができ、各符号化波形は、異なる周波数帯に対応する。方法250は、SAUシステム200又は200aの送信モードをイネーブルにするプロセス253を含む。例えば、SAUシステム200をインプリメントする場合、プロセス253は、システムコントローラ202を用いて、N極双投式T/Rスイッチ、例えば、T/Rスイッチ210を送信位置にすることによって、SAUシステム200を送信モードに切り換える。プロセス253は、方法250の間、複数のインスタンスで実行してもよく、例えば、後述するプロセス258において応答エコー信号を受信した後に実行してもよい。方法250は、定義済みの周波数チップに対応する個別のアナログRF波形を生成するプロセス254を含む。例えば、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208のアレイの各素子は、波形発生器207からのデジタルメッセージ/データを、コヒーレントなアナログ広帯域複合波形を構成することができる個別のアナログ波形に変換することができる。幾つかの実現例では、方法250は、コヒーレントなアナログ広帯域複合波形を構成することができる個別のアナログ波形を増幅するプロセス255を含むことができる。例えば、各アナログ波形及び/又は広帯域複合波形は、出力増幅器209のアレイ素子によって増幅してもよい。増幅されたアナログ広帯域複合波形は、T/Rスイッチ210を通過し、例えば、超音波プローブ内のトランスデューサアレイ211の各アレイ素子を励起する。方法250は、複合アナログ波形を、走査されるボリュームを介して伝播することができる音響波形にトランスデュースするプロセス256を含む。例えば、トランスデューサアレイ211の各素子は、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208で生成された、周波数チップに対応する個別のアナログ波形のそれぞれから、広帯域複合音響波形を構成する音響波形を提供することができる。トランスデューサアレイ211は、ターゲット媒体、例えば、調査対象の生物組織ボリューム内に伝播する音響ビームを生成することができる。プロセス256の終了後、方法250は、SAUシステム200又は200aの受信モードをイネーブルにするプロセス257を実行することができる。例えば、SAUシステム200をインプリメントする場合、プロセス257は、システムコントローラ202を用いて、N極双投式T/Rスイッチ210を受信位置にすることによって、SAUシステム200を受信モードに切り換える。方法250は、応答音響波形を受信するプロセス258を含み、応答音響波形は、1つ以上の応答音響波形の形式であってもよい。プロセス258は、応答音響波形エコーを、例えば、生成された個別の波形の周波数チップに対応する個別の受信アナログ波形にトランスデュースすることを含む。例えば、応答音響波形は、トランスデューサアレイ211に戻り、受信される。トランスデューサアレイ211の各素子は、受信した音響波形をアナログ信号(波形)に変換することができる。
【0041】
方法250の幾つかの具体例では、トランスデューサアレイ211は、ターゲットに対して他の位置に平行移動させることができる。プロセス253〜258は、ターゲットに関するトランスデューサアレイ211の複数の位置のそれぞれについて繰り返してもよく、これにより、
図2Cに例示する合成アパーチャを形成することができる。方法250の幾つかの具体例では、トランスデューサアレイ211を用いて、例えば、トランスデューサアレイ211の対応するトランスデューサ素子の1つ以上の位置であることができる複数の位置のうちの1つ以上の位置から送信される音響波形を操縦し、
図2Dに示すような合成アパーチャを形成することができる。例えば、送信された音響波形は、ターゲットに向かう直接的な経路内の複数の位置のうちの1つ以上の位置において、生成された合成アパーチャ画像に基づいて操縦してもよい。また、例えば、システムコントローラ202は、複数の符号化波形の各波形について、複数の振幅及び複数の位相を生成することができ、これらは、それぞれ個別に振幅重み付け及び個別に位相重み付けされ、これによって、ターゲットに向かう位置から音響波形の操縦を行うことができる。
【0042】
幾つかの実現例では、方法250は、個別の受信アナログ波形を増幅するプロセス259を含むことができる。例えば、各受信アナログ波形は、前置増幅器モジュール212内の低雑音前置増幅器要素によって増幅することができる。方法250は、個別のアナログ波形をデジタル波形データに変換するプロセス260を含む。例えば、各受信され(及び増幅された)アナログ波形信号は、A/D変換器モジュール213の各A/D要素によってデジタルワードに変換できる。デジタルフォーマットデータは、信号処理のためにデジタルシグナルプロセッサ204に送信してもよい。
【0043】
方法250は、デジタル波形データを、合成アパーチャ画像及びターゲット媒体を表す画像フレームに処理するプロセス261を含む。プロセス261については、
図6を用いて後に更に詳細に説明する。プロセス261は、また、デジタル波形データを、個別の複合受信アナログ波形を表す複合デジタル信号に複合することを含むことができる。例えば、デジタルシグナルプロセッサ204は、合成アパーチャについて、トランスデューサアレイ素子のそれぞれによって受信された広帯域複合音響波形を構成する周波数チップの各振幅及び位相を検出することができる。デジタルシグナルプロセッサ204は、受信ビームを形成し、ビームの各解像度要素の振幅及ドップラ成分を分離し、先にオペレータによって選択されているモードに関連する画像フレームを形成することができる。デジタルシグナルプロセッサ204によって形成される画像フレームは、ディスプレイ205によってユーザに表示することができる。
【0044】
SAUシステム200は、超音波イメージングのためのスペクトル拡散、広瞬時帯域幅(例えば、比帯域が最大100%以上)、コヒーレント、擬似ランダム雑音(PRN)、周波数及び/又は位相符号化波形を生成するように実現することができる。このような波形の実施形態は、無限にある。
図3は、複数の個別の波形(例えば、周波数チップ)からなる生成された複合波形300の例示的なプロットの一例を示している。幾つかの実現例では、複合波形300の個別の波形は、周波数チップ毎にパルスのシーケンスを含み、シーケンス又はコード期間(T)の後に繰り返されるPRN波形であってもよく、例えば、このシーケンスは、周波数チップのセット内の他のどのシーケンスに対しても、又は有意に異なる時間フレームにおける同じシーケンスに対しても、非常に低い相関性を有し、又は狭帯域干渉又は熱雑音を有する。例えば、SAUシステム200は、送信側及び受信側で、例示的なPRN波形の正確に同じシーケンスを生成することができ、したがって、(送信信号シーケンスに基づく)受信信号シーケンスは、ターゲットの音響画像を生成する信号処理において、高い相関性を示すことができる。
【0045】
図3に示すように、複合波形300の例示的な個別の波形又はチップ301は、例えば、
図2E内のプロセス256について説明したように、時間フレームt
0から開始される送信期間Tの間に送信された周波数チップf
N−2に対応する。
図3に示すように、送信期間Tには、受信時間間隔T
Rが続き、ここで、
図2E内のプロセス258について説明したように、応答音響波形エコーが受信される。送信期間T及び受信時間間隔T
Rは、フレーム期間T
fを構成し、これは、後続する時間フレーム(t
1、t
2、t
3…)において繰り返すことができる。
【0046】
例示的な複合波形300は、時間領域を複素数として表す以下の式(1)として表される波形Wのための式によって表すことができる。
【0048】
Wは、M個の個別の直交波形(例えば、直交周波数チップ)から構成され、j=−√−1である。式(1)において、nは、複合波形W内の周波数チップの数を表し、kは、時間(例えば、フレーム)内の変化の数を表し、Tは、チップ期間又は符号化されたシーケンスの期間を表し、そしてf
0は、基本チップ周波数を表し、f
0=1/NTであり、Nf
0は、最大周波数であり、(M−N+1)f
0は、最小周波数である。例えば、周波数チップの数nは、N−M+1からNまでの正整数のシーケンスを表す。波形繰り返し周波数は、1/T
fであり、T
fは、フレーム又はエポックの継続時間であり、0≦x≦t
fの場合、U(x)=1である。Φ
nkは、k番目のタイムエポックにおけるn番目のチップの周波数チップ位相項を表し、A
nはn番目のチップの振幅である。例えば、周波数チップ位相項Φ
nkは、擬似乱数位相項であってもよく、ここで、擬似ランダム的にスクランブルされた開始位相Φ
nkは、集合{I
nk2π/N}内の乱数であり、ここで、I
nkは、Nを大きな数として、数列I=0、1、2、3…Nから置き換えなしで選択されるランダムな正整数のシーケンスである。別の例では、周波数チップ位相項Φ
nkは、所望の程度で統計的に互いに直交する波形W
s(t)の集合を生成する多くの数学的手法の1つを用いて選択することができる。付加的な位相項であるC
nは、0から2πの間の数である。例えば、周波数チップ位相擬似乱数Φ
nkを、システムコントローラ202及び/又は波形発生器207のメモリユニット内の例示的なデータベースに予め保存してもよい。
【0049】
複合波形Wは、個別の、実質的に直交する符号化波形(例えば、周波数チップ)を合成することによって形成することができ、ここで、個別の符号化波形は、異なる周波数帯に対応し、符号化波形は、周波数符号化波形又は位相符号化波形の少なくとも1つ、例えば、波形シンセサイザ208において合成される符号化波形を含む。複合符号化波形は、周波数チップの搬送周波数を定義する2つ以上の周波数を選択し(例えば、最小周波数及び最大周波数を選択することを含む。)、及び周波数チップのA
n振幅値を決定することによって、周波数符号化波形として合成することができる。周波数符号化波形の合成は、符号化波形の各波形の時間−帯域幅積(Mf
0T)パラメータを決定することを含んでいてもよい。幾つかの実現例では、特定のタイムエポックの間に、特定の周波数チップのための振幅を、その周波数チップのための単一の値として決定し、その特定の周波数チップのための後続するタイムエポックにおいてその単一の値を繰り返してもよい。他の実現例では、特定のタイムエポックの間に、特定の周波数チップのための振幅を、その周波数チップのための単一の値として決定し、その特定の周波数チップのための後続するタイムエポックにおいては、異なる単一の値を割り当ててもよい。更に他の実現例では、特定のタイムエポックの間に、特定の周波数チップのための振幅が、その周波数チップのための複数の振幅値を含むように決定してもよく、ここで、特定の周波数のための後続するタイムエポックにおいて、A
nの複数の値を繰り返してもよく、変化させてもよい。最大周波数(Nf
0)から最小周波数((M−N1)f
0)までの周波数範囲並びに個別の波形振幅項の集合の選択では、多くの既知のコードシーケンス(例えば、プッシュシーケンス(pushing sequences)、バーカコード(Barker Codes)等)の1つを利用してもよく、例えば、擬似乱数コード上の数値検索を利用してもよく、又は最小曖昧サイドローブ(minimum ambiguity sidelobes)のための他の如何なるコードを利用してもよい。
【0050】
これに加えて又はこれに代えて、複合符号化波形は、個別の符号化された直交波形(例えば、周波数チップ)の各波形の個別の波形位相項(Φ
nk)を決定することによって位相符号化波形として合成してもよい。例えば、複合波形Wの変化を提供するために、位相Φ
nkは、送信期間T内の周波数チップのための1つ以上の位相値を含むことができる。幾つかの実現例では、特定のタイムエポックの間に、特定の周波数チップのための位相Φ
nkを、その周波数チップのための単一の値として決定し、その特定の周波数チップのための後続するタイムエポックにおいてその単一の値を繰り返してもよい。他の実現例では、特定のタイムエポックの間に、特定の周波数チップのための位相Φ
nkを、この周波数チップのための単一の値として決定し、その特定の周波数チップのための後続するタイムエポックにおいては、異なる単一の値を割り当ててもよい。更に他の実現例では、特定のタイムエポックの間に、特定の周波数チップのための位相Φ
nkが、その周波数チップのために複数の値を含むように決定してもよく、ここで、特定の周波数のための後続するタイムエポックにおいて、Φ
nkの複数の値を繰り返してもよく、変化させてもよい。例えば、第1のタイムエポック(t
0)の波形301は、例えば、送信期間Tの前半部分のためのその位相シフトとして、第1の位相Φ
Aを含むことができ、例えば、送信期間Tの後半部分のためのその位相シフトとして、第2の位相Φ
Bを含むことができる。次のタイムエポック(t
1)の波形301は、その前半及び後半の位相シフトとして、例示的な位相Φ
A及びΦ
Bを繰り返してもよく、或いは、他の位相シフトシーケンス(例えば、Φ
A、Φ
B、Φ
C、又は例えば、Φ
B及びΦ
A、又は他の構成)を含んでもよい。周波数符号化波形の合成は、符号化波形の各波形の時間−帯域幅積(Mf
0T)パラメータを決定することを含んでいてもよい。
【0051】
図3に示すように、例示的な送信複合波形Wは、周波数範囲f
N−M+1〜f
Nに亘って完全に広がり、互いに直交するM個の個別の波形から構成さる。パラメータNは、Wに広瞬時帯域幅を与えるために、大きな数を選択することができる。特定のケースでは、最低周波数がf
N−M+1=1/Tの場合、Wは、この周波数範囲に含むことができる如何なる広帯域の波形を表していてもよい。M個の個別の波形のうちのどの波形も、間隔Tの間に、1つ以上の位相(例えば、Φ
nk)を1つの波形に符号化してもよい。更に、M個の個別の波形のうちのどの波形も、1つの波形に符号化された複数の振幅を含むことができる。これは、振幅重み付けと位相重み付けによって実現してもよい。
【0052】
式(1)によって表される個別の相互に直交する波形チップのファミリは、コヒーレントな、擬似ランダム雑音、周波数符号化及び/又は位相符号化、スペクトル拡散複合波形を形成することができる。個別の波形は、パラメータの選択によって、所望の程度で統計的に互いに直交させることができる。例えば、式(2)に表す所与の波形の曖昧度関数の遅延及び周波数サイドローブレベルは、この波形の直交の程度を表している。波形の特定のパラメータを決定することによって、医療用超音波画像の解像度を大幅に向上させることができる。例えば、医療用超音波画像の解像度に影響するパラメータは、結合された軸の固有の範囲(例えば、ドップラ分解能)及び波形のスペックル低減能力を決定する時間−帯域幅積(Mf
0T)パラメータ、並びに統計的な直交の程度を決定し、これにより、例えば、波形が生物組織の不均質な媒体内で機能する程度を決定する個別の波形位相項(Φ
nk)を含む。例えば、サイドローブが小さいほど、直交性が高く、解像度が高く(雑音が少なく)なる。個別の波形位相項(Φ
nk)の集合の選択では、(例えば、バーカ(Barker)、フランク(Frank)、ゴレイ(Golay)等を含む)多くの既知のコードシーケンスの1つを利用してもよく、例えば、擬似乱数コード上の数値検索を利用してもよく、又は最小曖昧サイドローブ(minimum ambiguity sidelobes)のための他の如何なる符号を利用してもよい。
【0053】
幾つかの実現例では、式(1)によって表される複合波形300は、例えば、単一の広帯域、コヒーレント、周波数及び/又は位相符号化波形であってもよい。例えば、パラメータの選択によって、単一の波形が他の全ての信号波形又はターゲット媒体に存在する雑音信号に対して統計的に直交するようにしてもよい。
【0054】
n番目のチップの振幅であるパラメータA
n及び付加的な位相項C
nは、組合せて、トランスデューサアレイ211の個別の素子を励起して、Wの周波数範囲に亘って望ましい振幅及び位相特徴を有する送信音響波形を生成するアナログ信号のプリエンファシス(pre-emphasis)を提供することができる。送信波形のプリエンファシスは、周波数の関数としてのトランスデューサ素子の一定ではない振幅及び位相応答及び組織層の非一様な伝播特性の両方を補償することができる。例えば、プリエンファシス項は、一定の(例えば、フラットな)振幅を有するチップ及び既知の位相対周波数特性を有する音響波形を提供することができる。このような振幅対周波数が一定の音響波形は、「白色(white)」波形と呼ぶことができる。一方、プリエンファシスが提供されない場合、送信された音響波形は、トランスデューサの周波数応答を複製することができ、このような波形は、「色付き(colored)」波形と呼ばれる。受信波形のデエンファシス(de-emphasis)によって、ターゲット媒体のボリューム、例えば、生物組織ボリュームの反射特性を判定することができる。
【0055】
式(1)によって表される複合波形Wは、2つ以上の個別の相互に直交する符号化波形であり、これは、チップとも呼ばれる。複合波形の個別の相互に直交する符号化波形のそれぞれは、固有の周波数を有し、各固有の周波数には、対応する特定の位相が関連付けられている。幾つかの実現例では、個別の相互に直交する符号化波形は、振幅符号化及び位相符号化でき、固有の周波数波形のそれぞれは、固有の周波数のそれぞれに関連する対応する特定の位相及び振幅を含む。幾つかの実現例では、例えば、複合波形Wの個別の相互に直交する符号化波形は、ターゲットに向けて順次的に又は同時に送信することができ、他の幾つかの実現例では、ターゲットに向けてランダムに送信することができる。
【0056】
1つの実例では、複合波形W
1は、互いに直交する5つの個別の符号化波形、すなわち、対応する特定の位相φ
1を有する周波数f
1を有する第1の波形、対応する特定の位相φ
2を有する周波数f
2を有する第2の波形、対応する特定の位相φ
3を有する周波数f
3を有する第3の波形、対応する特定の位相φ
4を有する周波数f
4を有する第4の波形、及び対応する特定の位相φ
5を有する周波数f
5を有する第5の波形を含み、これは、以下のように表すことができる。
W
1=f
1,φ
1+f
2,φ
2+f
3,φ
3+f
4,φ
4+f
5,φ
5
同様に、例えば、複合波形W
2は、5つの個別の直交符号化波形、すなわち、対応する特定の位相φ
6を有する周波数f
1を有する第1の波形、対応する特定の位相φ
7を有する周波数f
2を有する第2の波形、対応する特定の位相φ
8を有する周波数f
3を有する第3の波形、対応する特定の位相φ
9を有する周波数f
4を有する第4の波形、及び対応する特定の位相φ
10を有する周波数f
5を有する第5の波形を含むことができ、これは、以下のように表すことができる。
W
2=f
1,φ
6+f
2,φ
7+f
3,φ
8+f
4,φ
9+f
5,φ
10
同様に、例えば、5つの個別の直交符号化波形を有する複合波形W
3は、対応する特定の位相φ
6を有する周波数f
6を有する第1の波形、対応する特定の位相φ
7を有する周波数f
7を有する第2の波形、対応する特定の位相φ
8を有する周波数f
8を有する第3の波形、対応する特定の位相φ
9を有する周波数f
9を有する第4の波形、及び対応する特定の位相φ
10を有する周波数f
10を有する第5の波を有する波形を含むことができ、これは、以下のように表すことができる。
W
3=f
6,φ
6+f
7,φ
7+f
8,φ
8+f
9,φ
9+f
10,φ
10
同様に、例えば、5つの個別の直交符号化波形を有する複合波形W
4は、対応する特定の位相φ
1を有する周波数f
1を有する第1の波形(例えば、W
1の第1の波形と同じ)、対応する特定の位相φ
2を有する周波数f
2を有する第2の波形(例えば、W
1の第2の波形と同じ)、対応する特定の位相φ
11を有する周波数f
8を有する第3の波形、対応する特定の位相φ
8を有する周波数f
3を有する第4の波形(例えば、W
2の第3の波形と同じ)及び対応する特定の位相φ
10を有する周波数f
10を有する第5の波形(例えば、W
3の第5の波形と同じ)を含むことができ、これは、以下のように表すことができる。
W
4=f
1,φ
1+f
2,φ
2+f
8,φ
11+f
3,φ
8+f
10,φ
10
同様に、例えば、5つの個別の直交符号化波形を有する複合波形W
5は、対応する特定の位相φ
12を有する周波数f
1を有する第1の波形、対応する特定の位相φ
12を有する周波数f
2を有する第2の波形、対応する特定の位相φ
12を有する周波数f
8を有する第3の波形、対応する特定の位相φ
12を有する周波数f
3を有する第4の波形、及び対応する特定の位相φ
10を有する周波数f
10を有する第5の波形(例えば、W
3の第5の波形と同じ)含むことができ、これは、以下のように表すことができる。
W
5=f
1,φ
12+f
2,φ
12+f
8,φ
12+f
3,φ
12+f
10,φ
10
これらの例示的な複合波形(W
1、W
2、W
3、W
4、W
5)の全ては、互いに直交させることができ、或いは、必要に応じて、低い相互相関性を有するように設計することができる。
【0057】
他の具体例では、複合波形W
6は、互いに直交する5つの個別の符号化波形、すなわち、対応する特定の位相φ
1及び振幅A
1を有する周波数f
1を有する第1の波形、対応する特定の位相φ
2及び振幅A
2を有する周波数f
2を有する第2の波形、対応する特定の位相φ
3及び振幅A
3を有する周波数f
3を有する第3の波形、対応する特定の位相φ
4及び振幅A
4を有する周波数f
4を有する第4の波形、及び対応する特定の位相φ
5及び振幅A
5を有する周波数f
5を有する第5の波形を含み、これは、以下のように表すことができる。
W
6=(f
1,φ
1,A
1)+(f
2,φ
2,A
2)+(f
3,φ
3,A
3)+(f
4,φ
4,A
4)+(f
5,φ
5,A
5)
同様に、例えば、5つの個別の直交符号化波形を有する複合波形W
7は、対応する特定の位相φ
6及び振幅A
6を有する周波数f
1を有する第1の波形、対応する特定の位相φ
7及び振幅A
7を有する周波数f
2を有する第2の波形、対応する特定の位相φ
8及び振幅A
8を有する周波数f
3を有する第3の波形、対応する特定の位相φ
9及び振幅A
9を有する周波数f
4を有する第4の波形、及び対応する特定の位相φ
10及び振幅A
10を有する周波数f
5を有する第5の波形、を含むことができ、これは、以下のように表すことができる。
W
7=(f
1,φ
6,A
6)+(f
2,φ
7,A
7)+(f
3,φ
8,A
8)+(f
4,φ
9,A
9)+(f
5,φ
10,A
10)
同様に、例えば、5つの個別の直交符号化波形を有する複合波形W
8は、対応する特定の位相φ
6及び振幅A
6を有する周波数f
6を有する第1の波形、対応する特定の位相φ
7及び振幅A
7を有する周波数f
7を有する第2の波形、特定の位相φ
8及び振幅A
8を有する周波数f
8を有する第3の波形、対応する特定の位相φ
9及び振幅A
9を有する周波数f
9を有する第4の波形、及び対応する特定の位相φ
10及び振幅A
10を有する周波数f
10を有する第5の波形を含むことができ、これは、以下のように表すことができる。
W
8=(f
6,φ
6,A
6)+(f
7,φ
7,A
7)+(f
8,φ
8,A
8)+(f
9,φ
9,A
9)+(f
10,φ
10,A
10).
同様に、例えば、5つの個別の直交符号化波形を有する複合波形W
9は、対応する特定の位相φ
1及び振幅A
1を有する周波数f
1を有する第1の波形(例えば、W
6の第1の波形と同じ)、対応する特定の位相φ
2及び振幅A
2を有する周波数f
2を有する第2の波形(例えば、W
6の第2の波形と同じ)、対応する特定の位相φ
11及び振幅A
11を有する周波数f
8を有する第3の波形、対応する特定の位相φ
8及び振幅A
8を有する周波数f
3を有する第4の波形(例えば、W
7の第3の波形と同じ)、及び対応する特定の位相φ
10及び振幅A
10を有する周波数f
10を有する第5の波形(例えば、W
8の第5の波形と同じ)を含むことができ、これは、以下のように表すことができる。
W
9=(f
1,φ
1,A
1)+(f
2,φ
2,A
2)+(f
8,φ
11,A
11)+(f
3,φ
8,A
8)+(f
10,φ
10,A
10)
これらの例示的な複合波形(W
6、W
7、W
8、W
9)の全ては、互いに直交させることができ、或いは、必要に応じて、低い相互相関性を有するように設計することができる。
【0058】
単一周波数モード(例えば、従来のA−モード、B−モード及びC−モード)は、これらのモノクロマチックな性質のために、プリエンファシスを必要としないことが検証された。このような単一周波数波形は、例えば、生物学的に安全な音響強度制約を確実にするために、振幅制御を必要とすることがある。
【0059】
各チップの位相がランダムである場合、送信波形Wは、ランダム雑音のような特徴を有することがある。各チップの位相(Φ
nk+C
n)が一意的に決定され、反復可能で、(
図2Aに示すように)マスタクロックに同期される場合、送信波形Wは、擬似ランダム雑音として分類することができる。このような擬似ランダム雑音波形は、コヒーレントであり、これにより、コヒーレントな受信機を実現することができる。
【0060】
広瞬時帯域幅擬似ランダム雑音波形の画像処理の利点は、適切な波形選択による、従来の医療用超音波画像に共通するスペックル、例えば、相互干渉波形によって生成される、ランダムな強度パターンであるスペックル/スペックルパターンの低減及び潜在的除去を含むことができる。この例示的なスペックルの低減は、スペックルが観察されない広帯域ガウス雑音状白色光によって照射されたシーンと、同じシーンで強いスペックルを示す狭帯域レーザ照射との比較に類似する。
【0061】
コヒーレントな擬似ランダム雑音周波数及び位相符号化波形の信号処理の利点は、タイムサイドローブ及びドップラサイドローブが非常に小さい波形を含む。例えば、曖昧度関数A(τ,ν)は、ドップラシフト(τ)又は伝播遅延(ν)の影響のために受信機内の整合フィルタによって処理される受信波形の歪みを示す2次元表現であってもよい。詳しくは、例示的な曖昧度関数A(τ,ν)は、式(2)によって、波形特性及び受信機の特徴によってのみ定義され、シナリオに依存しない。曖昧度関数A(τ,ν)は、以下のように定義される。
【0065】
であり、その他の場合、X
k(t)=0である。
【0066】
式(1)によって表されるタイプについては、以下の式が得られる。
【0068】
ここで、Δt=τ−t、Δf=ν−(f
n−f
m)及びΔΦ=Φ
n−Φ
mであり、これにより、式(4)に示す完全曖昧式(complete ambiguity equation)が得られる。
【0070】
ここで、n及びmは、N−M+1からNまでの正整数のシーケンスである。
【0071】
図4は、波形Wについての式(1)によって表される擬似ランダム雑音周波数符号化複合波形401の例示的な曖昧度関数の特徴を表している。例示的な周波数符号化複合波形401は、128のコード長を有する。
図4に示すように、この曖昧度関数のサイドローブ402は、チップ間の位相相互作用に起因し、遅延及び周波数の両方において、N
2の関数であるピークを下回るプラトーレベル(plateau level)を有する。
【0072】
選択される特定のコード(I
nk)に応じて、多くの複合波形Wが可能であることが検証された。しかしながら、定義される全ての波形毎にサイドローブ性能が保証できるわけではなく、したがって、可能なコードの集合の数値検索によって判定される遅延及び周波数の両方においてサイドローブが十分に小さくなるコードのみを使用する必要がある。
【0073】
例えば、医療用超音波アプリケーションでは、伝播媒体としての生体組織は、不均質である。伝播媒体の不均質性によって、差動時間遅延が生じることがあり、また、生体組織は、非意図的な動きによってドップラ効果を引き起こすことがある。超音波振動子アレイも、(例えば、物理的寸法の制約のために)超音波ビームの軸外部分に好ましくないサイドローブ及びグレーティングローブを有することがあり、これにより、メインローブの応答に望ましくない時間遅延及びドップラ応答が加わることがある。低曖昧度関数サイドローブを示す波形は、差動時間遅延、動きによって引き起こされるドップラ効果及びトランスデューササイドローブ効果からの干渉を低減することによって、SAUフォーカシング及びターゲットコントラストを著しく向上させることができる。
【0074】
コヒーレントな擬似ランダム雑音、周波数及び/又は位相符号化波形は、より高次のクロス範囲フォーカシング技術の採用を可能にし、これは、サイズが限られた超音波振動子アレイ、例えば、医学的な超音波振動子アレイの横方向の解像度を向上させる。
【0075】
例えば、各生物組織タイプ及び各病変組織タイプは、周波数、モノスタティック及びバイスタティック角度、並びに空間的形状の関数として、それら自身の固有の超音波エコー応答信号を示すことがある。従来のエラストグラフモード(Elastograph-Mode:Eモード)方式を用いた場合、例えば、測定誤差のために、例えば、重なっている不均質な媒体を介する超音波伝播を正確に特徴付けることができないために、このような特性を利用して組織を分類することが困難であることがある。例示的なSAUシステム200によって生成される例示的な波形、例えば、広瞬時帯域幅、コヒーレント、擬似ランダム雑音、周波数及び/又は位相符号化波形によれば、検査中のターゲットボリュームのエコー応答から物理的組織の特徴を判定することによって組織の弁別が可能である。受信エコーの測定された特徴から得られる特徴データに分類器、例えば、ベイズ推論分類器等を適用することによって、ターゲットボリューム内に観察される組織タイプを自動的に分類することができ、コンピュータ支援診断モード(Computer Aided Diagnostic-Mode:CADモード)が実現される。
【0076】
生来的に画質を実質的に低下させ、個々のオペレータの技能に依存する従来のEモードとは異なり、式(1)によって表される例示的な波形は、ATS及び/又はCADモードにおいて、生来的に画質を向上さることができるとともに、結果として生成される画像において、組織毎に色付けを行うことができる。この利点によって、ユーザの技能に関する要求が緩和され、病変の縁を識別でき、診断を向上させることができる。
【0077】
更に、(
図2Aに示すように)送信側に配置された波形シンセサイザ208及び受信側に配置されたデジタルシグナルプロセッサ204によって、ビーム制御機能(例えば、ビーム操縦、動的ビームフォーカシング及びビーム整形)を実現することができる。
図5A〜
図5Cは、フェーズドアレイの各素子間の差動時間遅延又はこれと等価な位相シフト、及び振幅重み付けを導入することによる、これらのデジタル電子機能の基本を示している。
図5Aに示すように、差動位相シフトは、各音線(r
1、r
2…r
i…)がi番目の素子から焦点(p)に至る距離(d)における差動変化を補償することができる。角度(φ)は、焦点(p)がトランスデューサアレイ211のターゲット媒体内のターゲットに向けての直接的な狙い/整列がz軸方向に沿っていないために形成される。更に、各要素に差動振幅重み付け適用することによって、ビーム形状を制御し、サイドローブ及びグレーティングローブを抑制することができる。また、波形発生器207は、例示的な波形内の1つ以上のチップについて、位相遅延をプリエンコードして、トランスデューサアレイ211の各トランスデューサ素子から送信される1つ以上のチップの位相を遅延させることができる。
図5B及び
図5Cは、この特徴の例示的な結果を示している。1つ以上のチップのための例示的な位相遅延値は、デジタルシグナルプロセッサ204及び/又はシステムコントローラ202に通信することができ、これによって、受信複合波形の信号処理に位相遅延値を組み込むことができる。
【0078】
狭瞬時帯域幅超音波デバイスの場合、この機能は、各素子を駆動する複合アナログ信号に位相シフト及び振幅減衰を導入することによって達成される。なお、SAUシステム200によって生成される例示的なスペクトル拡散、広瞬時帯域幅、周波数及び位相符号化波形では、式(5)に示すように、波形の個々のチップ(W
i)は、X個の素子の全てについて、アレイ素子(i)毎に、周波数(n)の関数として、個別に振幅重み付け(B
ni)及び位相重み付け(D
ni)される。
【0080】
必要な各チップの振幅及び位相重みは、送信時に、システムコントローラ202によって算出し、波形発生器207に指示として供給してもよい。そして、波形発生器207は、デジタルワード(実数成分及び虚数成分)を波形シンセサイザ及びビームコントローラ208に供給し、波形シンセサイザ及びビームコントローラ208は、アナログ駆動信号を生成し、このアナログ駆動信号は、増幅器209によって増幅され、トランスデューサアレイ211のアレイの各要素に供給される。
【0081】
合成アパーチャ超音波信号処理は、受信した合成アパーチャ超音波信号データを収集し、送信波形の複製を利用する一連のアルゴリズムを用いてこれらのデータを処理し、合成アパーチャ超音波画像を生成することを含む。例えば、ここに開示する技術の合成アパーチャ超音波信号処理は、
図4に示すように、例えば、「画鋲(thumb-tack)型」曖昧度関数を利用することによって、生体の不均質な組織の伝播効果を打ち消す。受信時には、A/D変換器モジュール213が受信アナログ信号をデジタルワードに変換することができる。A/D変換器モジュール213は、アレイ素子毎に実際のアレイ素子の各サンプル位置について、各チップの振幅及び位相情報を表すデジタルワードをデジタルシグナルプロセッサ204に供給することができ、このデータは、合成アパーチャ全体に亘って収集及び保存される。
【0082】
合成アパーチャ波形の軸方向分解能(∂
a)は、表現∂
a=c/Bによって与えられ、Bは、波形の帯域幅であり、cは、音速である。実際のアパーチャの横方向分解能(∂
l)は、表現∂
l=dλ
c/w
Rによって近似される。例えば、SAUシステム200によって形成される合成アパーチャのための横方向分解能は、∂
l=dλ
c/2Wによって近似され、ここで、λ
cは、送信波形の中心周波数の波長である。
【0083】
図6は、デジタル信号処理を用いて超音波画像を生成する例示的な合成アパーチャ超音波信号処理技術600のブロック図である。この技術は、例示的なコヒーレント、広帯域、瞬間的、スペクトル拡散、符号化、雑音状超音波波形を処理することによって実現してもよい。例示的な合成アパーチャ超音波信号処理技術は、SAUシステム200のデジタルシグナルプロセッサ204を用いて、それぞれ
図2C及び
図2Dに示す例示的なSASS及びSASplモードで実現してもよい。
図6に示すように、SAU信号処理技術600は、各サンプリング位置について、送信超音波パルス及び応答エコー信号の各周波数チップの振幅及び位相情報を表すデジタルワードをSAUシステム200のメモリユニットに保存するプロセス610を含む。幾つかの実現例では、例えば、SAU信号処理技術600は、合成アパーチャの形成の前に軸範囲圧縮(axial range compression)を実行するプロセス620を含むことができ、これは、例えば、メモリを節約できる利点を有する。SAU信号処理技術600は、合成アパーチャ全体を含む軸範囲圧縮されたエコーデータの保存されたブロックを処理することによって、合成アパーチャ画像を形成するプロセス630を含むことができる。SAU信号処理技術600は、SA画像データを処理して、表示のための超音波画像を形成するプロセス640を含むことができる。
【0084】
図7は、例示的な合成アパーチャによりサンプリングされた受信エコーデータ及びメモリへの保存を示している。この例示的なSAUデータ収集シナリオでは、単にプローブと呼ぶこともできるトランスデューササブアレイの位相中心は、より大きなアレイの一部として、任意であるが既知の開いた又は閉じた3D経路に沿って示されるSA座標系において機械的に又は電子的に平行移動され、通常のケースでは、各u,v,wデータ点において及び各θ、φビーム角について、生のエコー応答データをサンプリングする。サンプル点毎のデジタル化された受信エコーデータ及びその3D位置は、完全な走査毎にメモリブロックに保存される。
図6のプロセス610に示すように、受信され、デジタル化されたエコー応答は、収集され、メモリに保存される。
図7は、保存されたデータブロックの例示的な合成アパーチャ受信データメモリマップの概念を示している。収集され、デジタル化された受信エコーデータは、データのブロックとして、ブロック毎に処理することができる。
【0085】
例えば、SAUシステム200のデジタルシグナルプロセッサ204を用いて軸範囲圧縮を実行するプロセス620は、以下の例のように実現してもよい。
図8は、例示的な広帯域、スペクトル拡散、雑音状、コヒーレント合成アパーチャ画像形成のための波数アルゴリズム(wave-number algorithm)のブロック図である。この例では、データ収集サンプル点毎の受信信号Y
i(τ,ν)を、時間t
0によってシフトされた送信デジタル波形の複素共役複製W
i*(τ)に乗算してもよい。この乗算演算は、例えば、通常、平行してJ回繰り返すことができ、ここで、
図8に示すように、演算毎に波形複製を先の演算から整数増分(integral increment)j・t
0だけ時間的にシフトさせ、
図7に示すように、例示的なメモリマップ内のサンプリングされたデータ点に基づいて、メモリに保存する。このステップは、サンプリングされたデータ点毎に繰り返され、
図2C及び
図2Dに示す軸範囲スライスjについての圧縮された軸範囲データが生成される。
【0086】
例えば、SAUシステム200のデジタルシグナルプロセッサ204を用いて合成アパーチャ画像を形成するプロセス630は、幾つか異なるアルゴリズムのセットの何れを用いて実現してもよい。例えば、これらの合成アパーチャアルゴリズムのセットは、周波数領域アルゴリズム又は時間領域アルゴリズムとして分類することができる。例えば、周波数領域タイプのアルゴリズムは、波数(wave-number)アルゴリズム、チャープスケーリング(chirp-scaling)アルゴリズム、及びスケーリングされた逆フーリエ変換アルゴリズム等を含むことができる。また、例えば、時間領域タイプのアルゴリズムは、明示的整合フィルタ(explicit matched-filter)アルゴリズム、及び逆投影(back-projection)アルゴリズム等を含むことができる。これらの例示的なアルゴリズムの全ては、合成アパーチャ、コヒーレント、広瞬時帯域幅、スペクトル拡散、医療用超音波画像の形成に適用できるが、例えば、波数アルゴリズムが概念的に最も理解しやすいため、
図8の例では、周波数領域波数アルゴリズムを示している。
【0087】
プロセス630は、
図8に示すように、生成された圧縮軸範囲データの窓フィルタリングステップを含むことができる。例えば、有限期間信号レコードの端部における不連続性に起因するスペクトル漏洩を最小化するために、窓関数フィルタリングを適用して、画質を改善してもよい。この例では、軸範囲スライスj毎に、生成される積に窓関数、例えば、矩形(rectangular)、ハン(Hann)、ハミング(Hamming)、テューキー(Tukey)、カイザーベッセル(Kaiser Bessel)、ドルフ−チェビシェフ(Dolph-Chebyshev)、ブラックマン−ハリス(Blackman-Harris)等の窓関数を乗算する。これらの例示的な窓関数は、端部においてゼロとなるように傾斜されている。窓関数の選択では、スペクトル漏洩によって誘導される画像サイドローブの抑制と、画像解像度との間でトレードオフが生じる。例えば、窓をゼロに向けて滑らかに傾斜させると、望ましくない画像サイドローブが低減されるが、解像度が犠牲となる。逆に、例えば、端部におけるゼロに向けて関数をより「急峻」にすれば、解像度はより高くなるが、画像サイドローブも大きくなる。ある例では、矩形窓関数によって、解像度が最高になり及びサイドローブも最大になる。これに代えて、例えば、ブラックマン−ハリス窓関数では、例えば、矩形窓関数に比べて、サイドローブが小さくなり(例えば、−70dB以下)、解像度も低くなる。プロセス630では、適用される特定の1又は複数の窓関数の選択は、試行錯誤によって決定されるので、例えば、SAUシステム200のオペレータに任されている。
【0088】
プロセス630は、
図8に示すように窓関数フィルタ処理されたデータのフーリエ変換ステップを含むことができる。幾つかの具体例では、合成アパーチャ全体について先に収集され、メモリに保存されている、デジタル化され、範囲圧縮された受信エコーデータのブロックに2次元離散フーリエ変換(Discrete Fourier TransformDFT)を適用することができる。この処理で使用できる多くの代替の離散フーリエ変換アルゴリズムがある。如何なるDFTでも十分であるが、例示的なDFTクラスのうち、クーリ−テューキー(Cooley-Tukey)アルゴリズムを適用してもよい。プロセス630において、適用されるフーリエ変換アルゴリズムの選択は、SAUシステム200のオペレータに任せてもよい。
【0089】
プロセス630は、
図8に示すように、フーリエ変換ステップの後に、ストルト(Stolt)変換ステップを含むことができる。ストルト変換は、フーリエ変換されたデータの合成アパーチャの全体に亘って収集された横方向の圧縮のために使用することができる。例えば、波数アルゴリズムは、空間周波数領域の補間による座標変換(ストルトマッピング)によって、イメージングシステムデータを基本的に逆にする。フーリエ変換ステップにおいて波数領域に変換された圧縮エコーデータは、合成焦点範囲において、ターゲットに関して整合フィルタリングが適用され、これに続いて、1ステップの座標変換が行われる。ストルト変換は、
図1B及び
図2Dに示すように、合成アパーチャに沿って、各点Uにおいて収集された複数の極性データセットサンプルを単一の画像に変換し、
図9に示すように、原点においてフォーカシングされた新たなX−Y座標系にこれをマッピングする。
【0090】
図9は、極座標から合成アパーチャに亘って収集された複数のサンプル画像を、所望の焦点を原点とする新しい座標系において、1つの解像度がより高い画像に変換するストルト変換プロセスの例示的な具体例を示す図である。説明を目的として、この例の合成アパーチャは、U軸に沿って平行移動する1次元トランスデューサプローブを含むと仮定する。通常の変換に続いて、伝播の方向における時間的波数(temporal wavenumber)をK=2πf/cと定義する。空間的波数(spatial wavenumber)は、K
U=KsinΦと定義され、ここで角度Φは、以下の式によって与えられる。
【0092】
これはX−Y座標系の原点に中心合わせ(例えば、フォーカシング)されている。空間的波数K
X及びK
Yは、それぞれX軸及びY軸の方向におけるものである。
図9に示すこの特定の幾何学的構成例では、ストルトマッピングは、以下のように表される。
【0094】
図8に示すように、プロセス630は、ストルト変換ステップの後に、逆フーリエ変換ステップを含むことができる。先のストルト変換ステップの結果に2次元逆離散フーリエ変換を適用してもよい。例えば、逆DFTは、1/N係数及び指数の符号が逆である点を除いて、基本的にDFTと同じアルゴリズムであるため、DFTと同様に他の多くの逆DFTをこのステップに適用することができる。例えば、一般的に用いられるDFTは、クーリ−テューキー(Cooley-Tukey)アルゴリズムを含むが、如何なる逆DFTアルゴリズムでも十分であり、如何なるDFTアルゴリズムを適用してもよい。プロセス630では、適用される逆フーリエ変換アルゴリズムの選択は、SAUシステム200のオペレータに任せてもよい。
【0095】
例えば、プロセス630の幾つかの具体例では、オートフォーカスステップを実行してもよい。例えば、合成アパーチャ開ループ形成画像(synthetic aperture open-loop formed image)のフォーカシングは、結果の画像の点像分布関数(Point Spread Function:PSF)のサイドローブを低減する周知の幾つかの合成アパーチャレーダ(Synthetic Aperture Radar:SAR)及び合成アパーチャソナー(Synthetic Aperture Sonar:SAS)オートフォーカスアルゴリズムを用いて任意に向上させることができる。受信合成アパーチャデータは、ブロック処理されているため、画像における焦点から遠い部分は、任意の位相誤差のためにフォーカシングが不十分であることがある。1つ以上のオートフォーカス技術を適用して、少なくとも部分的な修正を行うことによって、画質を改善してもよい。
【0096】
合成アパーチャ画像形成においては、上述したような開ループ合成アパーチャデジタル処理アルゴリズムは、媒体の均質性、定常性及びシーンに対する正確な送受信トランスデューサ−サンプリング位置を仮定することができる。例えば、生きた哺乳類の被験者では、所望のレベルの均質性、定常性及びトランスデューサ位置は、完全には実現できないことがある。したがって、幾つかの例示的な実現例では、一組の開ループ合成アパーチャアルゴリズムを適用し、続いて、包括的又は一連の局所的なオートフォーカスアルゴリズムを適用し、合成アパーチャ画像を形成し、波形のコヒーレントな、スペクトル拡散特性を利用して、アパーチャサンプリング点間でコヒーレント性を有さないPSFのサイドローブを低減することによって、画質を改善することが望ましい場合がある。例えば、開ループ合成アパーチャアルゴリズムは、トランスデューササンプル位置及び組織パラメータについて利用できる最良の推定を使用し、続いて、オートフォーカスアルゴリズムが最適画質を検索して、画像形成パラメータを微調整し、例えば、トランスデューサ位置、不均質組織特性及び非コヒーレントPSFサイドローブにおける推定の不正確性を軽減する。オートフォーカス技術は、生データのコヒーレント性及び冗長性に依存するので、例えば、画質の大幅な改善が実現する場合、受信エコー信号を、ナイキスト制限を超えて時間的及び空間的にオーバーサンプリングすることが望ましいこともある。例えば、時間的サンプリング間隔は、1/(2Nf
0)未満であってもよく空間的サンプリング間隔は、中心周波数又はc/[(N+M)f
0]において、2分の1波長未満であってもよい。
【0097】
図10は、例示的なコヒーレント、反復的、閉ループ、合成アパーチャ画像オートフォーカスサブルーチンのブロック図である。例示的なコヒーレント、反復的、閉ループ、オートフォーカス画像補正プロセスを実行することによって、デジタル信号処理の負荷が大きくなることを代償にして、軸方向−横方向の合成アパーチャ位相履歴における好ましくない変化についての画質補償を向上させることができる。
【0098】
図10の例示的な反復的、閉ループ、合成アパーチャ画像オートフォーカスサブルーチンでは、まず、生の受信エコーデータに基づく位相誤差を推定し、続いて、推定された/非コヒーレントな位相誤差を除去する。例えば、再構築された画像における様々な位相誤差の影響を示す表1に示すように、位相誤差の性質及び大きさに応じて、位相誤差は、幾何学的性質、解像度、コントラスト及び低減された信号対雑音比(SNR)に関して、画質を大幅に低下させることがある。
【0100】
多くのオートフォーカスアルゴリズムが知られているが、これらは、一般的に、非パラメトリック、モデルベース又はこれらの2つのタイプの組合せにグループ化することができる。例えば、一般的に用いられる非パラメトリックアルゴリズムは、様々なシーンに亘って高次の位相誤差を取り除く能力を示す位相傾斜アルゴリズム(phase-gradient algorithm)を含む。更に、位相傾斜アルゴリズムを強化した幾つかのアルゴリズムも開発されている。例えば、多くの例のうちの2つとして、最尤推定器である固有ベクトルアルゴリズム(eigenvector algorithm)及び位相誤差の変動を最小化する重み付け最小二乗アルゴリズムがある。
【0101】
モデルベースの、オートフォーカスアルゴリズムは、あらゆる物理的測定システムに存在する、系統的で、位置に依存し、緩やかに変化する位相誤差のモデルを採用する。例えば、トランスデューサ走査アセンブリの機械的構成部品のためのデバイスに依存するサンプリング位置誤差モデルが開発されている。このようなモデルが与えられると、位相誤差が推定され、幾つかの所定の画質測定基準に基づいて、最良の画像が得られるまで、位相誤差補正が繰り返される。
【0102】
非パラメトリック及びモデルベースのハイブリッド型の手法の一例では、走査システムの誤差モデルを用いて、各下位画像に現れる位相誤差の位置が不変となるように、画像を下位画像に分割する。次に、非パラメトリックオートフォーカスアルゴリズム、例えば、位相傾斜アルゴリズムを各下位画像に個別に適用することができる。そして、例えば、個別の下位画像を再び組み合わせ、完全なオートフォーカス画像を形成する。
【0103】
式5のコヒーレントな、広帯域波形の利点の1つは、受信信号がサブバンドに分割され、位相誤差推定のために、最低周波数(例えば、最長波長)サブバンドを最初に選択できる点である。この波長が最も長いサブバンドは、例えば、周波数がより高い(波長がより短い)サブバンドと比較して、不均質な組織及びサンプリング位置の不確実性に起因する位相誤差の影響が最小であるという効果がある。例えば、選択されたオートフォーカスアルゴリズム、例えば、位相傾斜アルゴリズムによって予め定義された画質のレベルを達成する際には、存在する誤差の推定を更に高精度化するために、必要に応じて、選択された徐々に波長が短くなるサブバンドデータを使用してもよい。最後に、例えば、位相補正されたサブバンドデータを再構築して、完全なオートフォーカス画像を形成する。
【0104】
ここに開示する技術の幾つかの適用例及び用途は、上述したシステム、方法及びデバイスの特徴を利用して実現することができる。ここに開示する技術の臨床的用途について、幾つかの具体例を説明する。
【0105】
1つの例示的な適用例では、結果として生成される画質、並びに例示的なスペクトル拡散超音波デバイスのATS及びCADモードによって、プライマリケア担当医は、定期検診スクリーニングプロトコルにこの様式を組み込み、初期悪性腫瘍(例えば、ステージ0又は1)及び進行期癌を発見することができる。この適用例の結果として、このデバイスは、潜在的に、例えば、胃癌、膵臓癌、膀胱癌等の悪性腫瘍に罹患する、診断が困難な無症候性患者の生存率を高めることができる。
【0106】
他の例示的な適用例では、結果として生成される画質、並びに例示的なスペクトル拡散超音波デバイスのATS及びCADモードによって、認定放射線科医は、外科生検又は切除侵襲を行う前に、腫瘍が良性か悪性かを診断できる。この適用例の結果として、放射線科医が初期悪性腫瘍(例えば、ステージ0又は1)を特定及び診断できるため、患者の生存率を潜在的に向上させることができる。更に、不必要な生検及びこれに伴う治療が困難な又は致命的な合併症、例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSAブドウ状球菌)感染症に至る危険性を潜在的に回避できる。
【0107】
他の例示的な適用例では、例示的なスペクトル拡散超音波デバイスによって生成される2D又は3D画質、及びオプションとして、(例えば、3D画像の連続的な蓄積から導出することができる)4Dのイメージング能力を、細針生検及び他の医療処置に使用することができる。例えば、例示的なスペクトル拡散超音波デバイス(例えば、デバイスのトランスデューサプローブ)を例示的な細針生検器具に統合することによって、非常に小さな初期ステージ(例えば、ステージ0又は1)の腫瘍を細針生検して、非侵襲的診断を検証することができる。この適用例の結果として、外科医は、切開生検法を回避でき、治療が困難で致命的な合併症の危険性を回避でき、これは、患者にとって明らかに有益である。
【0108】
他の例示的な適用例では、このデバイスのスペクトル拡散トランスデューサプローブを最小侵襲外科的高解像度ビデオ測定器に統合することによって、光学画像と超音波画像とを融合することができる。このスペクトル拡散超音波デバイスの改善された2D又は3D画質及びオプションとしての4Dのイメージング能力、並びにATS及びCADモードを用いて、このような融合されたビデオ及び超音波画像により、外科医は、健康な組織を過度に切除することなく、疾患のある組織を特定し、外科的に切除することができる。
【0109】
他の例示的な適用例では、この装置のスペクトル拡散、2D又は3D高解像度イメージング動作モードと、このデバイスの最小侵襲HIFU動作モードの統合は、正確な最小侵襲外科的治療のオプションを提供する。このスペクトル拡散超音波デバイスの改善された2D又は3D画質オプションとしての4Dのイメージング能力、並びにATS及びCADモードを用いて、このような超音波画像により、外科医は、疾患のある組織を特定し、健康な組織を過度に破壊することなく、急速な温度上昇によって、疾患のある組織を外科的に破壊することができる。
【0110】
他の例示的な適用例では、このスペクトル拡散超音波デバイスの改善された2D又は3D画質オプションとしての4Dのイメージング能力、並びにATSを用いて、例示的なスペクトル拡散超音波デバイスは、カテーテル及び密封放射性線源の適切な位置への挿入を正確に案内することによって、悪性腫瘍の小線源治療の時間を短縮できる。このスペクトル拡散超音波デバイスの小線源治療への適用は、小さく、特定困難な腫瘍及びそのマージンの処置に特に有用である。
【0111】
他の例示的な適用例では、このスペクトル拡散超音波デバイスの改善された2D又は3D画質オプションとしての4Dのイメージング能力、並びにATSを用いて、例示的なスペクトル拡散超音波デバイスは、カテーテル及び医薬の適切な位置への挿入を正確に案内することによって、疾患の高用量の局所的な医薬投与治療を効果的に実現することができる。このスペクトル拡散超音波デバイスの医薬投薬治療への適用は、小さく、特定困難な腫瘍の処置に特に有用である。
【0112】
実施例
以下の実施例は、本技術の幾つか実施形態の実例である。本技術の他の例示的な実施形態は、以下に列挙する実施例の前に又は以下に列挙する実施例の後に、説明されたものであってもよい。
【0113】
本技術1つの例(実施例1)では、音響イメージングデバイスにおいて音響波形を生成する方法は、1つ以上の波形シンセサイザにおいて、ターゲットに向けて送信される1つ以上の複合波形を合成することであって、複合波形は、それぞれが互いに直交し及び異なる周波数帯に対応する個別の直交符号化波形から形成され、各個別の直交符号化波形は、対応する位相による固有の周波数を有することと、ターゲットに対する1つ以上の送信位置から、複数の音響波形からなる1つ以上の複合音響波形を送信することであって、送信は、アレイの1つ以上のトランスデューサ素子を選択し、1つ以上の複合音響波形のそれぞれの複数の個別の直交符号化波形を、1つ以上の複合音響波形のそれぞれの複数の対応する音響波形にトランスデュースすることを含むことと、ターゲットに対する1つ以上の受信位置において、送信される音響波形に対応するターゲットの少なくとも一部から戻る応答音響波形を受信することであって、受信は、アレイのトランスデューサ素子の少なくとも幾つかを選択して、応答音響波形を受信することを含むこととを含み、送信位置及び受信位置は、それぞれ、ターゲットに対するトランスデューサ素子のアレイの空間位置と、アレイのビーム位相中心位置との一方又は両方を含み、送信される音響波形及び応答音響波形は、音響イメージングデバイスの拡大された実効アパーチャを生成する。
【0114】
実施例2は、実施例1の方法を含み、音響波形をターゲットに送信する際、アレイのトランスデューサ素子を制御して、ターゲットに対する複合波形の向きを変更し、ターゲットが、イメージング期間に亘って、異なる波形の向きで音響波形を受信するようにする。
【0115】
実施例3は、実施例2の方法を含み、トランスデューサ素子の制御は、ターゲットに対して、複数の空間位置に沿ってアレイを平行移動することによって、ターゲットに対する複合波形の向きを変更することを含む。
【0116】
実施例4は、実施例2の方法を含み、トランスデューサ素子の制御は、アレイの1つ以上のトランスデューサ素子における送信される音響波形のビーム位相中心位置を変更することによって、ターゲットに対する複合波形の向きを変更することを含む。
【0117】
実施例5は、実施例1の方法を含み、複数の個別の直交符号化波形の各波形は、それぞれが個別に振幅重み付け及び位相重み付けされた複数の振幅及び複数の位相を含む。
【0118】
実施例6は、実施例1の方法を含み、複合波形の個別の直交符号化波形を合成することは、周波数帯を選択することと、各直交符号化波形の1つ以上の振幅、時間−帯域幅積パラメータ及び位相パラメータを判定することとを含む。
【0119】
実施例7は、実施例6の方法を含み、位相パラメータは、一組の擬似乱数又は一組の決定論的な数から決定される。
【0120】
実施例8は、実施例1の方法を含み、複数の音響波形の送信は、複数の位置の少なくとも1つの位置から音響波形を順次的に又は同時に送信することを含む。
【0121】
実施例9は、実施例1の方法を含み、個別の直交符号化波形は、コヒーレント波形を含む。
【0122】
実施例10は、実施例1の方法を含み、複合波形に基づいて無線周波数(RF)波形を形成することを更に含み、送信される音響波形は、アレイの1つ以上のトランスデューサ素子においてRFベースの複合波形をトランスデュースすることによって生成される。
【0123】
実施例11は、実施例10の方法を含み、RFベースの複合波形を増幅することを更に含む。
【0124】
実施例12は、実施例1の方法を含み、受信した応答音響波形を増幅することを更に含む。
【0125】
実施例13は、実施例1の方法を含み、受信した応答音響波形を、1つ以上の複合波形に対応する1つ以上の受信複合波形として、アナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換することを更に含み、各受信複合波形は、ターゲットの情報を含み、情報は、受信複合波形の対応する周波数帯に関連する振幅及び位相を含む。
【0126】
実施例14は、実施例13の方法を含み、受信複合波形の対応する周波数帯の少なくとも1つの周波数帯について、振幅及び位相の少なくとも1つは、それぞれ個別に、振幅重み付け又は位相重み付けされる。
【0127】
実施例15は、実施例1の方法を含み、受信した応答音響波形を処理して、ターゲットの少なくとも一部の画像を生成することを更に含む。
【0128】
実施例16は、実施例15の方法を含み、受信した応答音響波形を、1つ以上の複合波形に対応する1つ以上の受信複合波形として、アナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換することを更に含み、各受信複合波形は、ターゲットの情報を含み、1つ以上の複合波形及び対応する1つ以上の受信複合波形をデータブロックのメモリマップ内に保存することを更に含み、各データブロックは、各サンプル点についての複合波形の受信した応答音響波形、対応する個別の直交符号化波形、及びサンプル点についての1つ以上のトランスデューサ素子の対応する位置データを保存する。
【0129】
実施例17は、実施例15の方法を含み、処理は、保存された受信複合波形の軸範囲圧縮を実行することと、周波数領域処理技術又は時間領域処理技術の1つ以上を用いて、実効アパーチャを含む軸範囲圧縮データの各保存されたブロックを処理することによって合成アパーチャ画像を形成することとを含む。
【0130】
本技術1つの例(実施例18)では、合成アパーチャ音響波形イメージングシステムは、波形発生器に接続された1つ以上の波形シンセサイザを有する波形生成ユニットであって、波形発生器が提供する波形情報に応じて1つ以上の波形シンセサイザによって生成される異なる周波数帯に対応する複数の個別の直交符号化波形からなる複合波形を合成し、個別の直交符号化波形は、それぞれ互いに直交し及び異なる周波数帯に対応し、各個別の直交符号化波形は、対応する位相による固有の周波数を有する波形生成ユニットと、送信モードと受信モードの間で切り換えられる送信/受信スイッチングユニットと、送信/受信スイッチングユニットと通信して、ターゲットに対する1つ以上の送信位置から複数の音響波形からなる複合音響波形を送信し、複合音響波形の送信される音響波形は、複合波形の合成された個別の直交符号化波形に基づいており、及びターゲットに対する1つ以上の受信位置において、ターゲットの少なくとも一部から戻る複数の送信された音響波形に対応する応答音響波形を受信し、送信される音響波形及び応答音響波形は、合成アパーチャ音響波形イメージングシステムの拡大された実効アパーチャを生成し、送信位置及び受信位置は、それぞれ、空間位置と、ビーム位相中心位置との一方又は両方を含むトランスデューサ素子のアレイと、トランスデューサ素子のアレイと通信して、複数の個別の直交符号化波形を複数の対応する音響波形にトランスデュースするアレイの1つ以上のトランスデューサ素子を選択し、及び応答音響波形を受信するアレイの1つ以上のトランスデューサ素子を選択する多重化ユニットと、ターゲットの情報を提供する、トランスデューサ素子のアレイによって受信された応答音響波形を、アナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換するアナログ/デジタル(A/D)変換器のアレイと、波形生成ユニット及びA/D変換器のアレイと通信し、データを保存するメモリユニットと、メモリユニットに接続されて、情報をデータとして処理する処理ユニットとを含むコントローラユニットと、コントローラユニットと通信するユーザインタフェースユニットとを含む。
【0131】
実施例19は、実施例18のシステムを含み、保存されるデータは、受信した応答音響波形のデジタルフォーマット、対応する合成された複合波形、及び1つ以上の送信位置及び受信位置におけるトランスデューサ素子のアレイの対応する位置データを含む。
【0132】
実施例20は、実施例18のシステムを含み、波形生成ユニットは、送信/受信スイッチングユニットと1つ以上の波形シンセサイザとの間に配設され、複合波形を変更する1つ以上の増幅器を更に含む。
【0133】
実施例21は、実施例18のシステムを含み、送信/受信スイッチングユニットとA/Dコンバータのアレイとの間に配設され、受信した応答音響波形を変更する1つ以上の前置増幅器のアレイを更に含む。
【0134】
実施例22は、実施例18のシステムを含み、処理ユニットは、デジタル信号プロセッサを含む。
【0135】
実施例23は、実施例18のシステムを含み、コントローラユニットは、音響波形画像処理システムの要素の少なくとも1つと時間的に同期するマスタクロックを更に含む。
【0136】
実施例24は、実施例18のシステムを含み、コントローラユニットは、情報を処理して、ターゲットの少なくとも一部の画像を生成する。
【0137】
実施例25は、実施例18のシステムを含み、ユーザインタフェースユニットは、画像を表示するディスプレイと、システムの動作のための動作モードを含むユーザ入力データを受信するユーザ入力端子とを含む。
【0138】
実施例26は、実施例25のシステムを含み、動作モードは、応答音響波形から取得される少なくとも1つの測定された特性の少なくとも1つの特徴に基づいて、画像色分けを可能にする生物組織のイメージングのための少なくとも1つの人工組織染色(Artificial Tissue Staining:ATS)モードを含む。
【0139】
実施例27は、実施例25のシステムを含み、動作モードは、応答音響波形から取得される1つ以上の測定された特性の少なくとも1つの特徴に基づいて、1つ以上のアルゴリズム分類器を用いて生物組織タイプを分類して生物組織をイメージングする少なくとも1つのコンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnostic-Mode:CAD)モードを含む。
【0140】
実施例28は、実施例25のシステムを含み、ディスプレイは、分類された生物組織タイプに基づいて、生物組織の色分けされた画像を表示する。
【0141】
実施例29は、実施例18のシステムを含み、音響波形をターゲットに送信する際、コントローラユニットは、トランスデューサ素子のアレイを制御して、ターゲットに対する複合波形の向きを変更し、ターゲットが、イメージング期間に亘って、異なる波形向きで複合音響波形を受信するようにする。
【0142】
実施例30は、実施例18のシステムを含み、トランスデューサ素子のアレイは、送信位置に沿って1次元、2次元又は3次元で移動して、複数の音響波形を送信し、及び受信位置に沿って1次元、2次元又は3次元で移動して、応答音響波形を受信するように動作する。
【0143】
実施例31は、実施例18のシステムを含み、アレイのトランスデューサ素子の少なくとも1つは、送信アレイの他のトランスデューサ素子から独立して、1次元、2次元又は3次元で移動することができる。
【0144】
本技術の1つの例(実施例32)では、音響波形から画像を生成する方法は、異なる周波数帯に対応する複数の符号化波形を結合し、異なる周波数帯における個別の直交波信号を含む複合波形を生成することであって、符号化波形は、対応する位相及び振幅を有する固有の周波数を含むことと、複合波形を用いて、ターゲットに対する第1の空間位置からターゲットに向かって送信される音響波を生成することであって、音響波は、複合波形の符号化波形に対応する個別の音響波信号を含むことと、音響波をターゲットに送信することであって、個別の音響波信号は、互いに向きを変化させ、ターゲットが、イメージング期間に亘って、異なる波形向きで個別の音響波信号を受信するようにすることと、音響波がターゲットに送信された後に、ターゲットの少なくとも一部から応答音響信号を受信することと、ターゲットに対する少なくとも第2の位置から、結合するステップ、生成するステップ及び送信するステップを繰り返し、結合、生成及び送信のステップは、複数の位置について繰り返されて、合成アパーチャを形成することと、複数の位置からの受信した応答音響信号を、それぞれがターゲットの情報を含む対応するデジタル複合波形に変換することと、受信した複合波形を処理して、ターゲットの少なくとも一部の画像を生成することとを含む。
【0145】
実施例33は、実施例32の方法を含み、受信複合波形をリアルタイムで処理して、合成アパーチャ画像を生成することを更に含む。
【0146】
実施例34は、実施例33の方法を含み、生成された合成アパーチャ画像に基づいて、ターゲットに向かう直接的な経路内の複数の位置の1つ以上の位置において、送信された音響波の方向を操縦することを更に含む。
【0147】
本技術の1つの例(実施例35)では、音響波形から画像を生成する方法において、異なる周波数帯に対応する複数の符号化波形を結合し、異なる周波数帯における個別の直交波信号を含む複合波形を生成することであって、符号化波形は、対応する位相及び振幅を有する固有の周波数を含むことと、ターゲットに向けて送信される、複合波形の符号化波形に対応する個別の音響波信号から構成される音響波を生成することと、音響波をターゲットに送信することであって、個別の音響波信号は、ターゲットに対する1つ以上の空間位置におけるビーム位相中心位置の第1の組から送信され、及び個別の音響波信号は、互いに向きを変化させ、ターゲットがイメージング期間に亘って、異なる波形向きで個別の音響波信号を受信するようにすることと、音響波がターゲットに送信された後に、ターゲットの少なくとも一部から応答音響信号を受信することと、ターゲットに対する1つ以上の空間位置におけるターゲットに対するビーム位相中心位置の少なくとも第2の組から、結合するステップ、生成するステップ及び送信するステップを繰り返し、合成アパーチャを形成することと、受信した応答音響信号を、それぞれがターゲットの情報を含む対応するデジタル複合波形に変換することと、受信した複合波形を処理して、ターゲットの少なくとも一部の画像を生成することとを含む。
【0148】
実施例36は、実施例35の方法を含み、受信複合波形をリアルタイムで処理して、合成アパーチャ画像を生成することを更に含む。
【0149】
実施例37は、実施例36の方法を含み、生成された合成アパーチャ画像に基づいて、送信された音響波の方向を操縦することを更に含む。
【0150】
本技術の1つの例(実施例38)では、合成アパーチャ音響波形イメージングシステムは、波形発生器に接続された1つ以上の波形シンセサイザを有する波形生成ユニットであって、波形発生器が提供する波形情報に応じて1つ以上の波形シンセサイザによって生成される異なる周波数帯に対応する複数の個別の直交符号化波形からなる複合波形を合成し、個別の直交符号化波形は、それぞれ互いに直交し及び異なる周波数帯に対応し、各個別の直交符号化波形は、対応する位相による固有の周波数を有する波形生成ユニットと、波形生成ユニットと通信して、ターゲットに対する1つ以上の送信位置から複数の音響波形からなる複合音響波形を送信するトランスデューサ素子の送信アレイであって、複合音響波形の送信される音響波形は、複合波形の合成された個別の直交符号化波形に基づいており、送信位置は、送信アレイの空間位置及び送信アレイのトランスデューサ素子のビーム位相中心位置の一方又は両方を含む送信アレイと、波形生成ユニットと通信して、ターゲットに対する1つ以上の受信位置において、ターゲットの少なくとも一部から戻る送信された音響波形に対応する応答音響波形を受信するトランスデューサ素子の受信アレイであって、送信される音響波形及び受信される音響波形は、合成アパーチャ音響波形画像処理システムの拡大された実効アパーチャを生成し、送信位置及び受信位置は、それぞれ、空間位置と、ビーム位相中心位置との一方又は両方を含む受信アレイと、それぞれ、送信アレイ及び受信アレイと通信して、複数の個別の直交符号化波形を複数の対応する音響波形にトランスデュースする送信アレイのトランスデューサ素子の1つを選択し、及び応答音響波形を受信する受信アレイの1つ以上のトランスデューサ素子を選択する第1の多重化ユニット及び第2の多重化ユニットと、ターゲットの情報を提供する、トランスデューサ素子の受信アレイによって受信された応答音響波形を、アナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換するアナログ/デジタル(A/D)変換器のアレイと、波形生成ユニット及びA/D変換器のアレイと通信し、データを保存するメモリユニットと、メモリユニットに接続されて、情報をデータとして処理する処理ユニットとを含むコントローラユニットと、コントローラユニットと通信するユーザインタフェースユニットとを含む。
【0151】
実施例39は、実施例38のシステムを含み、保存されるデータは、受信した応答音響波形のデジタルフォーマット、対応する合成された複合波形、及び1つ以上の送信位置及び受信位置のそれぞれにおける送信アレイ及び受信アレイの対応する位置データを含む。
【0152】
実施例40は、実施例38のシステムを含み、波形生成ユニットは、送信/受信スイッチングユニットと1つ以上の波形シンセサイザとの間に配設され、複合波形を変更する1つ以上の増幅器を更に含む。
【0153】
実施例41は、実施例38のシステムを含み、受信アレイと、A/Dコンバータのアレイとの間に配設され、受信した応答音響波形を変更する1つ以上の前置増幅器のアレイを更に含む。
【0154】
実施例42は、実施例38のシステムを含み、処理ユニットは、デジタル信号プロセッサを含む。
【0155】
実施例43は、実施例38のシステムを含み、コントローラユニットは、音響波形画像処理システムの要素の少なくとも1つと時間的に同期するマスタクロックを更に含む。
【0156】
実施例44は、実施例38のシステムを含み、コントローラユニットは、情報を処理して、ターゲットの少なくとも一部の画像を生成する。
【0157】
実施例45は、実施例38のシステムを含み、ユーザインタフェースユニットは、画像を表示するディスプレイと、システムの動作のための動作モードを含むユーザ入力データを受信するユーザ入力端子とを含む。
【0158】
実施例46は、実施例45のシステムを含み、動作モードは、応答音響波形から取得される少なくとも1つの測定された特性の少なくとも1つの特徴に基づいて、画像色分けを可能にする生物組織のイメージングのための少なくとも1つの人工組織染色(Artificial Tissue Staining:ATS)モードを含む。
【0159】
実施例47は、実施例45のシステムを含み、動作モードは、応答音響波形から取得される1つ以上の測定された特性の少なくとも1つの特徴に基づいて、1つ以上の分類器を用いて生物組織タイプを分類して生物組織をイメージングする少なくとも1つのコンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnostic-Mode:CAD)モードを含む。
【0160】
実施例48は、実施例45のシステムを含み、ディスプレイは、分類された生物組織タイプに基づいて、生物組織の色分けされた画像を表示する。
【0161】
実施例49は、実施例38のシステムを含み、音響波形をターゲットに送信する際、コントローラユニットは、送信アレイを制御して、ターゲットに対する複合波形の向きを変更し、ターゲットが、イメージング期間に亘って、異なる波形向きで複合音響波形を受信するようにする。
【0162】
実施例50は、実施例38のシステムを含み、トランスデューサ素子の送信アレイは、複数の位置に沿って1次元、2次元又は3次元で移動して、複数の音響波形を送信するように動作する。
【0163】
実施例51は、実施例38のシステムを含み、送信アレイの1つ以上のトランスデューサ素子は、送信アレイの他のトランスデューサ素子から独立して、1次元、2次元又は3次元で移動することができる。
【0164】
実施例52は、実施例38のシステムを含み、トランスデューサ素子の受信アレイは、複数の位置に沿って1次元、2次元又は3次元で移動して、応答音響波形を受信するように動作する。
【0165】
実施例53は、実施例38のシステムを含み、受信アレイの1つ以上のトランスデューサ素子は、送信アレイの他のトランスデューサ素子から独立して、1次元、2次元又は3次元で移動することができる。
【0166】
実施例54は、実施例38のシステムを含み、送信アレイのトランスデューサ素子の数は、受信アレイのトランスデューサ素子の数より大きい。
【0167】
本明細書に開示した主題の具体例及び機能的動作、例えば様々なモジュールは、デジタル電子回路で実現してもよく、本明細書に開示した構造及びこれらの構造的な均等物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア又はハードウェアで実現してもよく、これらの1つ以上の組合せで実現してもよい。ここに開示した主題の具体例は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、例えば、実体がある不揮発性の媒体内に符号化され、データ処理装置によって実行され、又はデータ処理装置の動作を制御するコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実現することもできる。コンピュータが読取可能な媒体は、機械可読のストレージデバイス、機械可読のストレージ基板、メモリデバイス、機械可読の伝播信号に作用する組成物又はこれらの1つ以上の組合せであってもよい。用語「データ処理装置」は、データを処理するための全ての装置、デバイス及び機械を包含し、一例としてプログラミング可能なプロセッサ、コンピュータ、複数のプロセッサ又はコンピュータがこれに含まれる。装置は、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェアを構成するコード、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム又はこれらの1つ以上の組合せを含むことができる。
【0168】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト又はコードとも呼ばれる。)は、コンパイラ言語又はインタープリタ言語を含む如何なる形式のプログラミング言語で書いてもよく、例えば、スタンドアロンプログラムとして、若しくはモジュール、コンポーネント、サブルーチン又は演算環境での使用に適する他のユニットとして、如何なる形式で展開してもよい。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応していなくてもよい。プログラムは、他のプログラム又はデータを含むファイル(例えば、マークアップ言語文書内に保存された1つ以上のスクリプト)の一部に保存してもよく、当該プログラムに専用の単一のファイルに保存してもよく、連携する複数のファイル(例えば、モジュール、サブプログラム又はコードの一部を保存する1つ以上のファイル)に保存してもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように展開してもよく、1つの場所に設けられた又は複数の場所に亘って分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開してもよい。
【0169】
本明細書に開示したプロセス及びロジックフローは、入力データを処理し、出力を生成することによって機能を実現する1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラミング可能なプロセッサによって実現してもよい。プロセス及びロジックフローは、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA)又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)等の専用論理回路等として実現できる装置によって実行してもよい。
【0170】
コンピュータプログラムの実行に適するプロセッサには、一例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、例えば、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor:DSP)並びにあらゆる種類のデジタルコンピュータの1つ以上のプロセッサの何れかを含ませてもよい。プロセッサは、通常、読出専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ、又はこれらの両方から命令及びデータを受け取る。コンピュータの基本的な要素は、命令を実行するプロセッサと、命令及びデータを保存する1つ以上のメモリデバイスである。また、コンピュータは、通常、データを保存するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク又は光ディスクを含み、若しくは、大容量記憶装置からデータを受信し、大容量記憶装置にデータを送信し、又はこの両方の動作を行うように大容量記憶装置に動作的に接続されている。但し、コンピュータは、必ずしもこのような装置を有する必要はない。コンピュータプログラム命令及びデータの格納に適するコンピュータ可読媒体には、一例として挙げれば、半導体記憶デバイス、例えば、EPROM、EEPROM及びフラッシュメモリデバイスを含む全ての形式の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補ってもよく、専用論理回路に組み込んでもよい。
【0171】
本明細書は、多くの詳細事項を含んでいるが、これらの詳細事項は、特許請求している又は特許請求することができる本発明の範囲を限定するものとは解釈されず、本発明の特定の実施形態の特定の特徴の記述として解釈される。本明細書において、別個の実施形態の文脈で開示した幾つかの特徴を組み合わせて、単一の実施形態として実現してもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で開示した様々な特徴は、複数の実施形態に別個に具現化してもよく、適切な如何なる部分的組合せとして具現化してもよい。更に、以上では、幾つかの特徴を、ある組合せで機能するものと説明しているが、初期的には、そのように特許請求している場合であっても、特許請求された組合せからの1つ以上の特徴は、幾つかの場合、組合せから除外でき、特許請求された組合せは、部分的組合せ又は部分的な組合せの変形に変更してもよい。
【0172】
同様に、図面では、動作を特定の順序で示しているが、このような動作は、所望の結果を達成するために、図示した特定の順序又は順次的な順序で行う必要はなく、また、図示した全ての動作を行う必要もない。ある特定の状況では、多重タスキング及び並列処理が有利であることもある。更に、上述した実施形態における様々なシステムの構成要素の分離は、全ての実施形態においてこのような分離が必要であることを意図してはいない。
【0173】
幾つかの具体例及び実施例のみを開示したが、この特許文献に記述し例示した内容に基づいて、他の具体例、拡張例及び変形例を想到することができる