特許第6761811号(P6761811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761811
(24)【登録日】2020年9月9日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】スポーツバーチャルリアリティシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/235 20110101AFI20200917BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20200917BHJP
【FI】
   H04N21/235
   G06T19/00 300B
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-552096(P2017-552096)
(86)(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公表番号】特表2018-518081(P2018-518081A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】AU2016000111
(87)【国際公開番号】WO2016154663
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年1月16日
(31)【優先権主張番号】2015901197
(32)【優先日】2015年4月2日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】517341892
【氏名又は名称】カタプルト グループ インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ユン,マイケル
【審査官】 松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−117042(JP,A)
【文献】 特表2011−505202(JP,A)
【文献】 特開2003−175278(JP,A)
【文献】 特表2012−503513(JP,A)
【文献】 特開2001−265562(JP,A)
【文献】 特開2011−224089(JP,A)
【文献】 特開2014−215828(JP,A)
【文献】 米国特許第08128469(US,B2)
【文献】 国際公開第2013/024364(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0083173(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0015586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B69/00−69/40
A63F9/24
13/00−13/98
G06F3/01
3/048−3/0489
G06T1/00
11/60−13/80
17/05
19/00−19/20
H04N7/10
7/14−7/173
7/20−7/56
13/00−17/06
21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球技スポーツイベント用のスポーツブロードキャスティングシステムであって、前記スポーツブロードキャスティングシステムは、
前記イベントのための位置マッピングシステムと、
前記スポーツイベントにおける参加者によって装着されるデータロガーであって、前記データロガーは、x、yおよびz座標によってイベントエリア上の選手の身分および位置を突き止める手段を提供するデータロガーと、
前記イベントエリアのレイアウト、および、視点を含む前記イベントに関連するデータを提供される複数のバーチャルリアリティビューアと、
前記データロガーから前記バーチャルリアリティビューアへのデータの無線伝送を提供する無線ネットワークと、
を含み、
各バーチャルリアリティビューアは、前記選手および試合の少なくとも1人の審判が動き回っているときに、前記データロガーから送信されたデータを使用して、前記イベントのそれぞれの観客に前記選手および前記審判のアイコンのビューを提供し、
前記観客は、前記バーチャルリアリティビューア内で、ある選手の有利な視点からの試合の一部のリプレイを示され、
ボールの位置は、前記試合の最中に前記x、yおよびz座標において追跡され、前記バーチャルリアリティビューア内に示され、
前記バーチャルリアリティビューアはヘッドセットを含み、
前記スポーツブロードキャスティングシステムは、前記観客が自分の頭部/ヘッドセットを回転させるとき、前記ある選手が見るであろう前記イベントエリアの相当する部分の全域を通るバーチャルリアリティビューを前記観客に提供し、
前記ヘッドセットは完全な360度のビューを可能にする、スポーツブロードキャスティングシステム。
【請求項2】
前記バーチャルリアリティビューアは、インターネットを介して前記データにアクセスするように構成されている、請求項1に記載のスポーツブロードキャスティングシステム。
【請求項3】
前記観客は前記球技スポーツイベントにいる、請求項1に記載のスポーツブロードキャスティングシステム。
【請求項4】
前記スポーツブロードキャスティングシステムはトレーニング目的のために用いられる、請求項1に記載のスポーツブロードキャスティングシステム。
【請求項5】
前記ある選手の有利な視点からの試合の一部のリプレイは、ボールを運ぶ選手の有利な視点からのものであり、前記完全な360度のビューは、前記ボールを運ぶ選手の有利な視点からのものである、請求項1、2、3または4に記載のスポーツブロードキャスティングシステム。
【請求項6】
前記球技スポーツイベントはチームインベージョンゲームである、請求項1、2、3、4または5に記載のスポーツブロードキャスティングシステム。
【請求項7】
前記球技スポーツイベントは、ラグビー、サッカーまたはアメリカンフットボールのコードである、請求項1、2、3、4、5または6に記載のスポーツブロードキャスティングシステム。
【請求項8】
前記スポーツイベントは、ラグビー、サッカーまたはアメリカンフットボールのコードであり、
前記スポーツブロードキャスティングシステムは、前記バーチャルリアリティビューア内で、前記参加者のいずれかの有利な視点からの試合の一部のリプレイを見る能力を前記観客に提供し、
前記参加者は前記選手およびアンパイアを含み、
前記データロガーは加速度計およびジャイロスコープを含む、
請求項1に記載のスポーツブロードキャスティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、ライブイベントにおいて観客の体験を深めるためにスポーツイベントのバーチャルリアリティ表示の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
ライブイベントにおける観客は、ライブイベントでのアクションの忠実な体験をすることがない。自動車レースでは、イベントにおいて観客は、競技者が見えない所に居るときに、競技者を見ることは簡単ではない。生放送は、ある意味でイベント時に模倣することが困難である視聴体験を高めることができる。しかし、たとえ、そうであっても、起こっていることの本質に関わる体験は得られない。
【0003】
フットボールコードのうちのいずれかのような観戦スポーツにおいて、観客は、地面に単一の視点しか持たない。ライブTV放送およびリプレイは、体験を高めることができるが、この場合も、観客は、試合の本質に関わる体験を得られない。より良い放送カバレッジは、人々に現地に出向くよりTVまたはインターネット上でイベントを視聴したいと思わせるので、ほとんどのスポーツは、生の体験を改善するよう試みることに非常に重点を置いている。
【0004】
景色または環境の本質に関わる体験を提供することができるバーチャルリアリティヘッドウェアは、公知である。バーチャルリアリティは、携帯電話機画面を見るために、携帯電話機を保持し、かつ、一対のレンズを含むヘッドセットを使用して、携帯電話機上でシミュレーションすることも可能である。Googleは、携帯電話機用のアプリケーションソフトウェアと一緒に使い捨てのボール紙製装置であるバーチャルリアリティヘッドセットを販促している。
【発明の概要】
【0005】
スポーツイベント用のスポーツブロードキャスティングシステムは、
イベントのための位置マッピングシステムと、
参加者によって装着され、少なくともxおよびy座標によってイベントエリア上の競技者または審判の身分および位置を突き止める手段を提供するデータロガーと、
イベントエリアのレイアウトがプログラムされ、視点を含むイベントに関連するデータを投入することができる複数のバーチャルリアリティビューアと、
データロガーからバーチャルリアリティビューアへのデータの無線伝送を容易にする無線ネットワークと、
を含む。
【0006】
バーチャルリアリティビューアは、選手および審判が動き回っているときに、データロガーから送信されたデータを使用して、観客が選手および審判のアイコンを見ることができるようにするためにプログラムされている。
【0007】
アイコンは、試合の審判、アンパイアに加えて、選手およびコーチなどの参加者の写真、画像、アニメーション、または何らかの適当な表現でもよい。
【0008】
本発明は、バーチャルリアリティ試合フォーマットを提供するために競技者および審判の生の位置データを使用する。本発明は、(アメリカンフットボール、AFL、ラグビー、サッカーなどのあらゆるフットボールコードのような)観戦スポーツにおけるアスリートに関して、たとえば、無線三角測量または三辺測量などのGPS技術またはLPS技術に基づくことがある位置追跡システムを使用する。球技では、ボールは、LPSまたは米国特許第835791号に開示された技術のようなボール追跡技術を使用して同様に追跡されることがある。任意選択的なボール追跡技術は、X、Yおよび任意選択的にZ座標におけるボールの位置を突き止める。
【0009】
競技場での観客は、バーチャルリアリティヘッドセットまたは携帯電話機および使い捨てのヘッドセットを使用することができ、イベント公共Wi−Fiを使用して、観客にストリーミング配信されたバーチャルリアリティ環境を整えることができる。このことは、観客が選手の視点、アンパイアの視点、ボールの視点、または競技場の他の地点から試合を見ることができるようにする。インターネット接続を使用して、自宅のように離れた場所に居る観客もテレビジョン放送の代わりに同じバーチャルリアリティ環境を体験することがある。
【0010】
選手の位置データは、好ましくは、米国特許第7715982号および第8036826号に記載された選手データロガーを使用して収集される。各データロガーは、選手または審判を識別し、競技場の大きさおよび方向に基づくX、Y座標を使用して一連の位置データの流れを提供する。バーチャルリアリティ装置は、競技場をシミュレーションし、競技場に各選手もしくはアンパイアまたはボールを表現するアイコンまたはアニメーションが投入できるようにさせるアプリケーションソフトウェアが設けられている。データロガーからのデータは、全参加者の位置の変化を表示するためにデータを提供する。各アイコンは、選手の背番号と、各アイコンが表現するチームを示す色とによって識別されることがあり、選手の写真を含むこともある。データロガーは、通常、3次元加速度計およびジャイロスコープを含んでいるので、選手の垂直運動もバーチャル空間において体験することができる。たとえば、AFLフットボールでは、ある選手が飛び上がると、別の選手らにマークが戻る。
【0011】
バーチャルリアリティソフトウェアは、視聴者が特定の有利な視点からシミュレーションされた競技場上の参加者を見ることができるようにする。観客が自分の頭部を回転させるとき、視界は、競技場の相当する部分の全域を通る。有利な視点がアンパイアである場合、観客は、アンパイアが自分の頭部を回転させることにより見ることができる全てのものを見ることができる。完全な360度の視界だけでなく、選択された有利な視点が競技場より上にある場合、頭上の視界および地面の視界も同様に得られる。
【0012】
システムは、観客のスマートフォン、スタジアムWi−Fi、アスリート追跡技術、および、処理および表示のためスマートフォンを使用する超低コストバーチャルリアリティヘッドセットを使用することができるので、本発明は、観客の体験および関与を大幅に改善する低コストの方法を表している。
【0013】
バーチャルリアリティモードでは、スマートフォン内部の運動センサは、ユーザ頭部の運動を模倣する。これは、バーチャル空間に描くことができる。
【0014】
チームスポーツおよびレーシングスポーツの両方の最も印象的かつ魅力的な特徴のうちの1つは、往来の中を何とか切り抜け、敵をかわす敏捷なアスリートおよび機動力のある車であり、この技術は、1位の人の視点からこの圧倒的な状況を体験する方法を提供する。
【0015】
発明の好ましい実施形態が図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】選手の視点からのAFLフットボール試合の視界のスクリーンショットを示す図である。
図2】まさにゴールを決めようとしている選手のバーチャルビューを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
AFLの実施例−ゴールキッカーの視点
選手は、往来の中からボールを拾い上げ、タックルを振り切り、ゴールを決めたところである。スタジアムWi−Fiは、このとき、VRリプレイをストリーミング配信する。観客は、自分のヘッドセットを装着し、選手が見たものを見る。ヘッドセットは、観客がVR環境内で実際に見ているものに基づいて表示を変化させるので、観客が自分の頭部を動かすとき、観客は、典型的に選手のアニメーション、ゴール、およびスタジアムから構成されているVR環境内で実際に見回すことができる。このようにして、観客は敵の選手らの位置取り(図1)およびボールが蹴られる方向にあるゴールポスト(図2)を見るであろう。
【0018】
別の実施例として、AFLにおけるキックの間に(図2)、観客は、キッカーの視点からキッカーの周りの全ての選手を見ること、および、選択肢が何であるかを見ることができる。最良の選択肢は、ゴール側にいて、敵の選手によってマークされていないチームメートであるかもしれない。
【0019】
本実施例を使用すると、本発明がトレーニング中に、そして、特に、選択肢が利用可能であることを前提として意思決定の質を見直すときに、コーチおよび選手と審判とにとって非常に役立つことも分かる。たとえば、実施例のキックにおいて、より良い選択肢が利用可能であるときに、選手がマークされている選手に向けてボールを蹴った場合、本発明は、選手による機会の展望および評価を後押しするおよび表面化させるために使用されることがあり得る。
【0020】
別の実施例では、成長中の選手は、スター選手の視点から、および、チームスポーツにおいてパスする、キャリーする、またはタックルするためにスター選手が選ぶ選択肢から試合を見ながら、スター選手の試合をリプレイすることができる。その上、VRリプレイは、成長中の選手にどの選択肢を選ぶつもりであるかを質問するために、重要な決定時に一時停止させることができ、この選択肢は、その後、スター選手が選んだ選択肢と比較することができる。このことは、選手が肉体的に休息している間に優れた意思決定を選手に教え込むことができるので、特に有益である。エリートスポーツ選手は、過剰トレーニングおよび負傷のリスクを冒す前に自分のスポーツに実際に出場するのに費やすことができる時間が限られているので、身体運動を必要としないトレーニング方法は、成長中の選手の学習を大幅に加速することができる。
【0021】
このシステムは、サッカー、ラグビーコード、およびアメリカンフットボール(NFL)などのあらゆるフットボールコードに同様に当てはまる。
【0022】
類似した実施例が他の主要なチームスポーツまたは自動車レース(たとえば、フォーミュラ1)、自動車レース(たとえば、フォーミュラ1)、サイクリング、ランニングもしくは競馬のようなレーススポーツのために存在する。特に、自動車レースまたはサイクリングの場合、観客は、競技者が観客の傍を通り過ぎるときにレースのわずか一部しか見ることができないので、ドライバー、サイクリストまたは走者がレース中に他の地点で見るものに合わせることができることは、ファンの関与および満足感を高めるであろう。この場合も、イベントのためのソフトウェアアプリケーションは、イベントアリーナのバーチャルマップを含むことになり、各参加者は、車両または自分自身のいずれかにデータロガーが取り付けられることになる。この場合も、参加者に対して、イベントをリプレイすることは、参加者が目前の選択肢を見ているときに参加者が各参加者による意思決定を見直せるようにすることがある。たとえば、自動車レースまたは競馬において、視聴者の前にいる競技者間に利用されたかもしれない隔たりがあるかどうかである。このような視界は、通常、利用できない。
【0023】
バーチャルリアリティ画像を提供する適当なVRヘッドセット、または携帯電話機アプリケーションは、どれでも使用されることがある。適当なVRヘッドセットは、リフレッシュレート90Hzおよび110度の視野を使ってValveバーチャルリアリティソフトウェアを使用するHTC−viveである。
【0024】
競技アリーナのバーチャルリアリティ表示と参加者毎の連続的な位置データの提供との組み合わせは、イベント中およびイベント後に、観客、コーチ、アンパイア、および参加者に多くの機会および選択肢を提供する。
【0025】
イベントのライブ映像は、主フィードとして提供されることがあり、位置データおよび運動の追跡は、理解を深めるためにオーバーレイとして提供されることがあり得る。たとえば、距離情報を提供することは、より優れたアクションの意識をもたらすことができる。たとえば、前述のAFLの実施例では、ゴールポストまでの距離は、グラフで与えられるかもしれない。
【0026】
データは、360度カメラを使用して生成された360度の映像フィードにオーバーレイされることもある。360度カメラは、全ての方向から画像を受け取り、次に、全ての異なるカメラ視野を1つの画像に繋ぎ合わせるカメラのグループである(平坦化されて地図帳になった地球儀を想像されたい)。これらの映像は、スクリーン上で完全に360度見回すためにマウスを使用して表示されることがあり、または、これらの映像/画像は、VRヘッドセット内に表示されることがある。(マウスではなく)頭部を使用することで、何を見ることができるかが選べる。
【0027】
以上から分かるように、本発明は、観客によるイベントの認識を深める比類の無い手段を提供する。当業者は、本発明が本発明の核心的な教示から逸脱することなく記載された実施形態以外の実施形態において実装されることがあることに気付くであろう。
図1
図2