(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761812
(24)【登録日】2020年9月9日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】モータ駆動されるホイールを少なくとも1つ備えた移動式医療装置
(51)【国際特許分類】
B60B 3/14 20060101AFI20200917BHJP
B60B 19/00 20060101ALI20200917BHJP
B60K 7/00 20060101ALI20200917BHJP
A61G 13/00 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
B60B3/14
B60B19/00 H
B60K7/00
A61G13/00 B
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-554044(P2017-554044)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公表番号】特表2018-516796(P2018-516796A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】EP2016056515
(87)【国際公開番号】WO2016165925
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2019年1月15日
(31)【優先権主張番号】102015206909.5
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516308401
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ディラウフ、フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ディートリッヒ、フローリアン
【審査官】
宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0379130(US,A1)
【文献】
実公昭46−012813(JP,Y1)
【文献】
米国特許第08549705(US,B1)
【文献】
独国特許発明第19949408(DE,C1)
【文献】
特開2002−046670(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3009470(JP,U)
【文献】
実公昭44−026357(JP,Y1)
【文献】
特開2004−176874(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0054952(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 3/14
A61G 13/00
B60B 19/00
B60K 7/00
B60B 27/02
B60B 37/10
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ駆動されるホイール(2)を少なくとも1つ備えた移動式医療装置(1)であって、このモータ駆動されるホイール(2)により走行可能な移動式医療装置(2)において、
前記モータ駆動されるホイール(2)がそのモータ駆動されるホイール(2)に適合するハブ(9)上に配置されており、前記モータ駆動されるホイール(2)を補助手段無しに手で、可逆的に、前記ハブ(9)から取り外し、さらに、前記ハブ(9)に装着することができ、
前記モータ駆動されるホイール(2)を前記ハブ(9)と解放可能なように固定して結合するとともに、前記ハブ(9)から取りはずし可能に構成された、前記モータ駆動されるホイール(2)のロック機構(5)を有することを特徴とする移動式医療装置(1)。
【請求項2】
前記モータ駆動されるホイール(2)が全方向ホイール(15)であることを特徴とする、請求項1に記載の移動式医療装置(1)。
【請求項3】
前記ハブ(9)が回転可能に支持されて配置されているシャフト(14)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の移動式医療装置。
【請求項4】
前記ハブの周面上に形成された複数の溝(10)と、前記複数の溝(10)に係合するこれらに対応した前記ロック機構(5)の複数のガイド部品(11)とを有し、前記ロック機構(5)が捻回可能に形成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項5】
前記ロック機構(5)に複数の溝(10)を有し、前記ロック機構(5)が捻回可能に形成されており、前記ハブ(9)の周面部上に前記複数の溝(10)に係合しこれに対応する複数のガイド部品(11)が設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項6】
前記ロック機構(5)は折りたたんで格納可能な把持部(6)を有し、前記把持部が、前記移動式医療装置(1)とは反対側の、前記モータ駆動されるホイール(2)の端面に配置されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項7】
前記モータ駆動されるホイール(2)がロックされた位置においてのみ、前記把持部(6)が折りたたみ可能なように、前記ロック機構(5)及び前記ハブ(9)が形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の移動式医療装置。
【請求項8】
前記モータ駆動されるホイール(2)を覆うとともに開放可能なフェンダー状のカバー部(4)を有し、前記カバー部は前記モータ駆動されるホイール(2)がロックされた位置にある場合にのみ、前記モータ駆動されるホイール(2)を開放するように形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項9】
前記モータ駆動されるホイール(2)を床面から持ち上げるように構成された昇降機構(13)を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項10】
前記モータ駆動されるホイール(2)を駆動する電気モータ(3)が前記シャフト(14)内に配置されていることを特徴とする、請求項3、及び請求項3を直接的または間接的に引用する請求項4から9のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項11】
モータで駆動されない別のホイール(12)を少なくとも1つ備え、これによって、モータ駆動されるホイール(2)が持ち上げられた状態において、前記移動式医療装置(1)を移動することが可能であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項12】
メカナムホイールとして形成された全方向ホイール(15)を少なくとも4個備えたことを特徴とする、請求項2、及び請求項2を直接的または間接的に引用する請求項3から11のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項13】
前記ハブ(9)が円錐台状に形成されており、前記モータ駆動されるホイール(2)がこれに対応する円錐台状の孔(8)を有していることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【請求項14】
前記ハブ(9)の周面部に少なくとも1つの回り止め部(11)が配置されており、前記回り止め部が前記モータ駆動されるホイール(2)を前記ハブ(9)上で回り止めして保持していることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の移動式医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータで駆動される複数のホイールにより床面を走行可能な移動式医療装置に関する。ここでの医療装置は、例えば、患者寝台又はCアーム型レントゲン装置である。
【背景技術】
【0002】
移動式医療装置は、一般的に、手動で又は電気モータで駆動される複数のホイールを備えた車台を有し、医療分野で、特に手術室で使用される。その床面はそのような環境では、例えば、体液、洗浄液又は消耗品で汚れていることがある。
【0003】
特許文献1は移動式医療装置用の例えばメカナムホイールの使用を開示している。これは操縦性が良いので特に臨床部門での使用に適している。
【0004】
メカナムホイールは、機械的なステアリング機構を装備する必要なしに、これを備えた車両の全方向の走行操縦を可能とするホイールである。このホイールの周面部上には回転可能に支持された多数の樽形ローラーが、全体としてのホイール軸に対して大抵は45°の角度で取り付けられている。床面との接触はこれらのローラーによってのみ行われる。これらのローラー自身は直接的な駆動部を有しておらず、それらの斜めの支持軸を中心にして自由に回転することができる。このメカナムホイールは全体として、回転方向が可変で回転数が可変な1つの駆動モータにより駆動される。全方向の走行操縦を実現するために、各ホイールの回転数及び回転方向が個別に制御される。
【0005】
特許文献2に、全方向の複数のホイールを備えた移動式Cアーム型レントゲン装置が開示されており、各ホイールの個別の制御の動作原理が説明されている。
【0006】
例えばメカナムホイールのような、モータ駆動されるホイール及び全方向ホイールは、その構造又はその固定方法に起因して清掃しにくい。一般的には、手術室内の床及び装置は拭き取りで清掃し、特定の時間間隔で徹底的に清掃及び殺菌する。ホイールの徹底的な清掃は困難である。
【0007】
Cアーム型レントゲン装置や移動式患者寝台のような移動式医療装置を、特に外科手術の間に、容易に使用すべく、移動式医療装置の汚染リスクを低減する対策を講じる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第20140379130A1号明細書
【特許文献2】中国実用新案公報第203216834U号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、汚損された環境で使用可能な、モータ駆動されるホイールを複数備えた移動式医療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は本発明により、モータ駆動されるホイールを少なくとも1つ備えた移動式医療装置により解決され、これは主請求項に記載されている。好適な実施形態は従属請求項に挙げられている。
【0011】
本発明によれば、このモータ駆動されるホイールは、このホイールを手だけで、すなわち、工具のような補助手段なしに手で、移動式医療装置の回転可能なハブから取り外し、そして、再び嵌め込むことができるように構成されている。
【0012】
本発明が権利請求しているのは、移動式医療装置を走行可能としているモータ駆動されるホイールを少なくとも1つ備えた移動式医療装置である。このモータ駆動されるホイールは、モータ駆動されるホイールに適合するハブに取り付けられており、補助手段なしに手で、可逆的にハブから取り外し、さらに、可逆的にハブに嵌め込むことができる。
【0013】
本発明のメリットは、モータ駆動されるホイールを清掃するために、これをその医療装置から非常に簡単に取り外すことができ、例えば、適切な洗浄・殺菌装置内で清掃できることにある。
【0014】
本発明の1実施形態では、このモータ駆動されるホイールが全方向ホイールとして形成されている。
【0015】
他の実施形態では、前記ハブが移動式医療装置の1つのシャフトに回転可能に支持されている。
【0016】
本発明の他の実施形態では、このモータ駆動されるホイールがロック機構を有し、このロック機構により、モータ駆動されるホイールを、ハブと解放可能なように固定して結合することができ、かつ、ハブから解放することができる。
【0017】
さらに、ハブの周面部上に複数の溝を配置することができ、これらの溝にロック機構の、前記溝に対応する複数のガイド部品が係合し、この場合、このロック機構は捻回可能に構成されている。
【0018】
他の実施形態では、上述の捻回可能なロック機構が複数の溝を有し、ハブの周面部上に、これらの溝に係合可能な対応する複数のガイド部品が配置されている。
【0019】
さらに、このロック機構は折りたたんで格納可能な把持部を備えることができ、この把持部はモータ駆動されるホイールの、医療装置とは反対側の端面に配置されている。
【0020】
他の実施形態では、ロック機構及びハブを、モータ駆動されるホイールがロックされた位置にある場合にのみ、上述の把持部がたたみ込み可能であるように構成することができる。
【0021】
本発明の1実施形態では、医療装置がモータ駆動されるホイールを覆うとともに開放可能なフェンダー状のカバー部を有している。このカバー部はモータ駆動されるホイールがロックされた位置にある場合にのみ開放可能である。
【0022】
本発明の他の実施形態では、医療装置が昇降機構を有し、この昇降機構はモータ駆動されるホイールを床面から持ち上げることができる。
【0023】
本発明の他の実施形態では、モータ駆動されるホイールを駆動する電気モータがシャフトの内部に配置されている。
【0024】
この移動式医療装置はさらに、モータで駆動されない別のホイールを少なくとも1つ備え、これによって、モータ駆動されるホイールが持ち上げられた状態において、移動式医療装置を移動することが可能である。
【0025】
他の実施形態では、この移動式医療装置が少なくとも4個の全方向ホイールを備え、これらはメカナムホイールとして形成されている。
【0026】
本発明の他の実施形態では、ハブが円錐台状に形成されており、モータ駆動されるホイールがこれに対応する円錐台状の孔を有している。
【0027】
本発明の他の実施形態では、ハブの周面部上に少なくとも1つの回り止め部が配置されており、これはモータ駆動されるホイールをハブ上で回り止めして保持している。
【0028】
本発明のさらなる特殊性及びメリットは、模式図を基にした実施例についての以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】モータ駆動されるホイールを少なくとも1つ備えた移動式医療装置
【
図4】全方向ホイールとしてのモータ駆動されるホイールの内面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1はモータ駆動されるホイール2を少なくとも1つ備えた移動式医療装置1を示す。この実施例では、この移動式医療装置1は、それぞれが独自の1つの電気モータ3によりモータ駆動されるホイール2を4個備えている。
【0031】
これに加えて、この実施例では、開放可能なフェンダー状のカバー部4がモータ駆動されるホイール2を覆うように配置されており、これは図では解放された位置で示されている。覆われた位置では、すなわち、折りたたまれた位置では、このカバー部4は汚損を防止し、さらに、ケーブル噛み込み防止器としても機能する。
【0032】
図1はさらに、モータ駆動される複数のホイール2の昇降機構13、及び、モータで駆動されない4個の別のホイール12を備えた移動式医療装置1を示している。
【0033】
ホイール交換を素早く、追加の補助手段なしに実施できるようにするために、各モータ駆動されるホイール2は昇降機構13を有している。これを用いて、各モータ駆動されるホイール2を個別に床面から持ち上げることができる。この場合、1つのホイール交換時に、移動式医療装置1は持ち上げられなかった残りの複数のホイールで床に支持される。ここに図示されていない実施形態では、補助的なホイール12、又は、例えば支持部品は不要である。
【0034】
別の実施形態では、モータ駆動されるホイール2全てを同時に複数の昇降機構13によって床から持ち上げることができる。この場合、移動式医療装置1は、モータで駆動されない少なくとも2つのホイール12で構成された、もう1つの、第2のホイールセット、又は、複数の支持部品を有し、この第2ホイールセット、又は、これらの支持部品上で、移動式医療装置1を床面に支持することができる。従って、持ち上げられたモータ駆動されるホイール2は自由に取り外すことができる。
【0035】
昇降機構13の別の実施形態では、これは次のように構成されている。すなわち、交換すべき複数のモータ駆動されるホイール2が移動式医療装置1の車台に対して不変の高さに維持されるように構成されている。この技術分野の専門家であれば、車台とは、走行可能な装置の構成物を複数のホイール、この場合はモータ駆動されるホイール、を介して走行路に接地するための、走行可能な装置の全ての部品の総合体であるということを理解するであろう。この場合、車台全体をこれらの補助的なホイール12又は支持部品によって、床面から持ち上げることができる。
【0036】
この移動式医療装置1が第2のホイールセット、すなわち、モータで駆動されない別のホイール12を少なくとも3個有していると好適である。というのは、モータ駆動されるホイール2の電気モータ3によるモータ駆動がうまく作動しない場合でも、モータで駆動されない少なくとも3個のホイール12が、移動式医療装置1を動かすことができるように機能するからであり、したがって、これらは安全技術上重要である。
【0037】
図示されていない実施例では、移動式医療装置1が全方向ホイール15、例えばメカナムホイールの形のモータ駆動されるホイール2を4個有している。複数のメカナムホイールの場合には、個々のホイールの回転方向及び回転数が別々に制御される。これにより、手術室においてしばしばそうであるように、特に狭い部屋における最適な操縦性というメリットが得られる。
【0038】
図2は、モータ駆動されるホイール2、ハブ9、シャフト14及び電気モータ3を軸方向断面で示す。ここに示された実施例では、電気モータ3はシャフト14内にあり、したがって、このシャフトは中空シャフトとして作られており、又は、パイプとして作ることもできる。この場合、それぞれのモータ駆動されるホイール2は、このモータ駆動されるホイール2に適合するハブ9に装着されており、このハブ9はシャフト14上で回転可能に支持されている。これは例えばボールベアリングの形のホイールベアリングで実施することができる。こうして電気モータ3はギアと1つ又は多数の伝動部品とを介して、例えば、複数の伝動ピンもしくは伝動を行うための他の公知の手段により、ハブ3を駆動し、このハブがモータ駆動されるホイール2にトルクを伝達する。
【0039】
図3はモータ駆動されるホイール2を外観図で示している。このモータ駆動されるホイール2はその中に同心に組込まれたロック機構5を有し、このロック機構5はその端部に、折りたたんで格納可能な把持部5を有している。
【0040】
図4は全方向ホイール15として構成されたモータ駆動されるホイール2を内面図で、この場合、背面側から示している。ここで背面とは、モータ駆動されるホイール2の、移動式医療装置1側の端面を意味する。この全方向ホイール15は特にメカナムホイールとして構成されている。この実施形態では、モータ駆動されるホイール、すなわち、全方向ホイール15、の内部に、好適にはその内周に、円錐台状の孔8が形成されており、この円錐台状の孔8は、
図5から判るように、そして、以下で詳細に説明されるように、ハブ9の円錐台状の形状に対応してこれにピッタリと合うように形成されている。さらに、複数のガイド部品6を有するロック機構5が示されている。これらのガイド部品6は、例えば
図4に示されているように、ピンとして形成することができる。
【0041】
図5はモータ駆動されるホイール2に適合するハブ9を示し、このハブはその外套面で、モータ駆動されるホイール2を支え、この実施例では円錐台状に形成されている。ハブの周面部には複数の溝10及び回り止め部11が形成されており、これらは、モータ駆動されるホイール2が、運転中でもロック中でも、ハブ9に対して捻回されないようにするためのものである。
【0042】
図3、
図4及び
図5に関して以下に、モータ駆動されるホイール2のハブ9からの取り外し、及び、嵌め込みの動作原理を説明する。この場合、交換工程全体の間、回転可能に支持されたハブ9は車台のシャフト14上に維持されている。すなわち、ホイール交換においては、
図4における全方向ホイール15の例で見られるように、モータ駆動されるホイール2のみが取り外される。
【0043】
こうして、必要に応じて、例えば臨床部門でよく使われている洗浄機械又は清掃機械に入れて清掃することにより、モータ駆動されるホイール2の完全で欠陥のない清掃が可能となる。しかし、このモータ駆動されるホイール2を直ちに、既に清掃済のモータ駆動されるホイール2で置き換えることもできる。
【0044】
ロック機構5は、例えばモータ駆動されるホイール2を清掃する際に、そのモータ駆動されるホイール2の確実な取り外し及び固定に役立つ。
【0045】
ロック機構5の1実施形態において、これは捻回可能に構成されている。この場合、ハブ9の周面部に、又は、捻回可能なロック機構5の内部に、例えば螺旋状の複数の溝10が設けられ、同時に、対応する相手側に、すなわち、捻回可能なロック機構5に、又は、ハブ9の周面部に複数のガイド部品7が設けられている。これらのガイド部品7はロック機構5の捻回時に、モータ駆動されるホイール2の軸方向の変位を生じさせる。こうして、ロック機構5は、捻回時に、モータ駆動されるホイール2を変位させてハブ9に固定し、又は、反対方向に捻回した時にはこのホイールをハブ9から解放する。
【0046】
ロック機構5の図示されていない別の実施形態では、ロック及びロック解除が複数のロック要素、例えば、ハブ9の周面部上に設けられた複数の溝10の中に押し付けられる複数の玉により実現される。モータ駆動されるホイール2において、ないし、ハブ9内で、軸方向に変位可能な、又は、回転可能なスリーブにより、ガイド部品7が係止位置で固定される。
【0047】
ロック機構5の図示されていない別の実施形態では、中央に配置された開閉可能なフックによりロックされる。このフックは操作時に、モータ駆動されるホイール2を前段落で記載したスリーブに引き寄せ、そこで固定する。この中央に配置された開閉可能なフックは、逆の操作によってモータ駆動されるホイール2をロック解除し、その結果、ハブ9からスライドして外すように、構成することができる。この場合、この操作のために、把持部6を例えば把手として形成することができ、同時に、このホイールを運ぶために形成することができる。このことから、ロック解除及び運搬のためにはこの把持部6だけで十分である、というメリットが得られる。
【0048】
ロック機構5が捻回可能に作られている場合、これを操作する際に、モータ駆動されるホイール2がハブ9に対して相対的に捻回しないようにするために、ハブ9の周面部上に、
図5に示されているような、少なくとも1つの回り止め部11を設けることができる。この回り止め部11は1つの実施形態では、ハブ9の周面部から突き出ている、フライス加工された、又は、ねじ止めされた要素で形成されており、これは例えば8角形に形成することができる。
【0049】
これに対応して、モータ駆動されるホイール2の内側周面部に複数の溝が設けられており、これらの溝に複数の回り止め部11が作用する。ハブ9の周面部から回り止め部11と複数の溝10とが同時に形成されている場合には、これらをそれぞれハブ9の異なる端部に取り付けることができる。ハブ9が円錐台状に形成されている場合、例えば、ハブ9の外側の、小さい周面部に、すなわち、移動式医療装置1とは反対側に、複数の溝10が設けられ、これとは反対側に、すなわち、ハブ9が円錐台状に形成されている場合、外側の、大きい方の周面部に、すなわち、移動式医療装置1とは反対の側に、複数の回り止め部11が設けられている。
【0050】
ロック機構5の、折りたたんで格納可能な把持部6は、このロック機構5を操作するのに役立つ。この場合、この折りたたんで格納可能な把持部6は折りたたんで格納可能な把手として形成することができるので、ロック解除され、取り外されたモータ駆動されるホイール2を面倒な再度の握り直しをすることなくそのまま運ぶことができる。このことから重要なメリットが得られる。というのは、モータ駆動されるホイール2を手だけで、追加の補助手段、例えば工具、を全く必要とせずに、取り外すことができるからである。
【0051】
この折りたたんで格納可能な把持部6は次のように構成することができる。すなわち、ロック機構5がそのロックされた最終位置にある場合に、すなわち、モータ駆動されるホイール2が固定されて組立てられている状態で、モータ駆動されるホイール2が載置されている場合にのみ、この把持部をその初期位置にたたみ込むことができるように構成することができる。このことは、例えば、ロック機構5における偏心カム及びハブ9におけるこれに対応した複数の凹部により実現することができる。これにより、安全上重要な効果が付加的に得られる。というのは、これによって、モータ駆動されるホイール2のうっかりした不完全なロックを直ちに目視できるからである。
【0052】
モータ駆動されるホイール2のカバー部4は、例えばホイール交換時に、パタンと倒すことができる、すなわち、開放することができる。しかし、1つの実施形態では、このカバー部4の初期位置、すなわち、閉じられた位置、への閉め戻しは、モータ駆動されるホイール2がハブ9の軸上の正しい位置に完全に押し込まれており、かつ、ロック機構5の把持部7がたたみ込まれている時にのみ可能である。
【0053】
本発明を複数の実施例により詳細に図解し説明したが、本発明は開示された例に限定されるものではなく、これらから、本発明の保護範囲を逸脱することなく、当業者が他の代替案を導くことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 移動式医療装置
2 モータ駆動されるホイール
3 電気モータ
4 カバー部
5 ロック機構
6 把持部
7 ガイド部品
8 円錐台状の孔
9 ハブ
10 溝
11 回り止め部
12 別のホイール
13 昇降機構
14 シャフト
15 全方向ホイール