(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761822
(24)【登録日】2020年9月9日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】ロボット外科用システムトルク変換検知
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20200917BHJP
【FI】
A61B34/35
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-565238(P2017-565238)
(86)(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公表番号】特表2018-518292(P2018-518292A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】US2016037478
(87)【国際公開番号】WO2016205266
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年5月9日
(31)【優先権主張番号】62/180,124
(32)【優先日】2015年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】コップ, ブロック
(72)【発明者】
【氏名】イルカ, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マクロード, マーク
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−523174(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0272725(US,A1)
【文献】
米国特許第05327790(US,A)
【文献】
国際公開第2003/101322(WO,A1)
【文献】
特開2007−195993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30−34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具駆動ユニットのトルクトランスデューサのトルク測定値を検証するための制御回路を動作させる方法であって、前記制御回路は、コントローラを含み、前記方法は、
前記コントローラが、前記器具駆動ユニットのモータによって引き込まれた電流を示す検証信号を受信することと、
前記コントローラが、前記検証信号に基づいて許容可能なトルク範囲を特定することと、
前記コントローラが、前記トルク測定値と前記許容可能なトルク範囲とを比較することと、
前記トルク測定値が前記許容可能なトルク範囲の外側にある場合、前記コントローラが、前記モータを停止することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記制御回路は、前記モータから電気的に分離されている反応トルクトランスデューサをさらに含み、前記方法は、
前記反応トルクトランスデューサが、前記モータによって加えられた前記トルクを測定することと、
前記反応トルクトランスデューサが、前記比較を実行する前記コントローラにトルク信号を伝送することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トルク測定値が前記許容可能なトルク範囲の外側にあるときに、前記コントローラが、障害信号を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コントローラが、前記障害信号生成することは、前記コントローラが、フィードバックを臨床家に提供することを含み、前記フィードバックは、可聴的なフィードバック、視覚的なフィードバック、触覚的なフィードバック、または、これらの組み合わせである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記制御回路は、センサをさらに含み、前記方法は、
前記センサが、前記検証信号を生成することと、
前記センサが、前記検証信号を前記コントローラに伝送することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記センサが、前記モータによって引き込まれた電流を測定することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
器具駆動ユニットのモータのための制御回路であって、
前記モータによって引き込まれた電流を検出するように構成されたセンサと、
前記モータによって加えられたトルクを検出するように構成された反応トルクトランスデューサと、
前記センサおよび前記反応トルクトランスデューサと通信し、かつ、前記モータを制御するように構成されたコントローラであって、前記コントローラは、前記モータによって引き込まれた前記検出された電流と、前記モータによって加えられた前記検出されたトルクとを比較することにより、前記検出されたトルクが、前記モータによって引き込まれた前記検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成されている、コントローラと
を備える、制御回路。
【請求項8】
前記モータと電気通信するモータエネルギー源をさらに備え、前記モータエネルギー源は、前記反応トルクトランスデューサから電気的に分離されている、請求項7に記載の制御回路。
【請求項9】
前記センサは、前記モータエネルギー源から前記モータによって引き込まれた電流を検出するように構成されている、請求項8に記載の制御回路。
【請求項10】
前記反応トルクトランスデューサは、前記モータによって加えられたトルクによって誘発された機械的特性を検出するように構成されている、請求項7に記載の制御回路。
【請求項11】
前記機械的特性は、歪みである、請求項10に記載の制御回路。
【請求項12】
ロボット外科用システムの器具駆動ユニットであって、
固定プレートと、
第1の駆動シャフトを有する第1のモータと、
前記第1のモータを前記固定プレートに取り付けるために前記第1の駆動シャフトの周りに配置され、かつ、前記第1のモータによって送出されたトルクを検出するように構成された第1の反応トルクトランスデューサと、
前記第1のモータによって引き込まれた電流を検出するように構成された第1のセンサと、
前記第1のモータを制御するための第1のコントローラであって、前記第1のコントローラは、前記第1のセンサおよび前記第1の反応トルクトランスデューサと通信し、前記第1のコントローラは、前記第1のモータによって引き込まれた前記検出された電流と、前記第1のモータによって送出された前記検出されたトルクとを比較することにより、前記検出されたトルクが、前記第1のモータによって引き込まれた前記検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成されている、第1のコントローラと
を備える、器具駆動ユニット。
【請求項13】
第2の駆動シャフトを有する第2のモータと、
前記第2のモータを前記固定プレートに取り付けるために前記第2の駆動シャフトの周りに配置され、かつ、前記第2のモータによって送出されたトルクを検出するように構成された第2の反応トルクトランスデューサと、
前記第2のモータによって引き込まれた電流を検出するように構成された第2のセンサと
をさらに備え、
前記第1のコントローラは、前記第2のモータを制御するように構成されており、前記第1のコントローラは、前記第2のセンサおよび前記第2の反応トルクトランスデューサと通信し、前記第1のコントローラは、前記第2のモータによって引き込まれた前記検出された電流と、前記第2のモータによって送出された前記検出されたトルクとを比較することにより、前記検出されたトルクが、前記第2のモータによって引き込まれた前記検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成されている、請求項12に記載の器具駆動ユニット。
【請求項14】
第3の駆動シャフトを有する第3のモータと、
前記第3のモータを前記固定プレートに取り付けるために前記第3の駆動シャフトの周りに配置され、かつ、前記第3のモータによって送出されたトルクを検出するように構成された第3の反応トルクトランスデューサと、
前記第3のモータによって引き込まれた電流を検出するように構成された第3のセンサと、
前記第3のモータを制御するための第2のコントローラであって、前記第2のコントローラは、前記第3のセンサおよび前記第3の反応トルクトランスデューサと通信し、前記第2のコントローラは、前記第3のモータによって引き込まれた前記検出された電流と、前記第3のモータによって送出された前記検出されたトルクとを比較することにより、前記検出されたトルクが、前記第3のモータによって引き込まれた前記検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成されている、第2のコントローラと
をさらに備える、請求項12に記載の器具駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年6月16日に出願された米国仮特許出願第62/180,124号の利益及びそれに対する優先権を主張し、その開示全体が、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
ロボット外科用システムは、最小侵襲医療手技に使用されている。かかる医療手技の間、ロボット外科用システムは、ユーザインターフェースとインターフェースを取る外科医により制御される。ユーザインターフェースは、外科医が、患者に作用するエンドエフェクタを操作することを可能にする。ユーザインターフェースは、ロボット外科用システムを制御するために外科医によって移動可能な入力コントローラまたはハンドルを有する。
【0003】
ロボット外科用システムのエンドエフェクタは、ロボットアームに接続される外科用器具の端部に位置決めされる。各エンドエフェクタは、器具駆動ユニット(IDU)によって操作することができる。IDUは、エンドエフェクタと関連付けられた駆動モータを有してもよいし、それぞれの軸の周りでエンドエフェクタを移動するように、またはエンドエフェクタの特定の機能を作動する(例えば、エンドエフェクタのあご部を接近させる、旋回させる等)ように構成されてもよい。
【0004】
ロボット外科用システムにおける安全性システムは、駆動モータ電流を監視していた。測定されたモータ電流が予め設定された安全性閾値を超えた場合、障害が推定され、モータは、オフにされる。これらのシステムは、モータ出力における実際の力を考慮していなかったので、それらは、異なる種類の障害を検出する能力が限られていた。
【0005】
純粋な高電流引き込みと関連付けられたものを超える異なる種類の障害を特定することができるロバストな器具駆動ユニット障害検出の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様において、器具駆動ユニットのトルクトランスデューサのトルク測定値を検証することが、器具駆動ユニットのモータによって引き込まれた電流を示す検証信号を受信することを含んでもよい。検証信号に基づいて許容可能なトルク範囲が、特定されてもよい。トルク測定値は、許容可能なトルク範囲と比較されてもよい。トルク測定値が許容可能なトルク範囲の外側にある場合、モータは、停止されてもよい。
【0007】
態様において、方法は、モータから電気的に分離された反応トルクトランスデューサを用いて、モータによって加えられたトルクを測定することを含んでもよい。反応トルクトランスデューサは、トルク信号をコントローラに伝送してもよい。方法はまた、モータによって加えられたトルクがトルクの許容可能な範囲の外側にあるときに、障害信号を生成することを含んでもよい。障害信号を生成することは、臨床家への可聴的、視覚的、または触覚的フィードバックの形態で、フィードバックを臨床家に提供することを含んでもよい。
【0008】
一部の態様において、センサは、検証信号をコントローラに伝送してもよい。センサは、モータによって引き込まれた電流を測定して、検証信号を生成してもよい。
【0009】
本開示の別の態様では、器具駆動ユニットのモータのための制御回路は、センサ、反応トルクトランスデューサ、及びコントローラを含む。センサは、モータによって引き込まれた電流を検出するように構成され、反応トルクトランスデューサは、モータによって加えられたトルクを検出するように構成される。コントローラは、センサ及び反応トルクトランスデューサと通信して、モータを制御するように構成される。コントローラは、モータによって引き込まれた検出された電流を、モータによって加えられた検出されたトルクと比較して、検出されたトルクが、モータによって引き込まれた検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成される。
【0010】
態様において、制御回路は、モータと電気通信するモータエネルギー源を含む。モータエネルギー源は、反応トルクトランスデューサから電気的に分離されてもよい。センサは、モータエネルギー源からモータによって引き込まれた電流を検出するように構成されてもよい。
【0011】
一部の態様において、反応トルクトランスデューサは、モータによって加えられたトルクによって誘発された機械的特性を検出するように構成される。機械的特性は、歪みであってもよい。
【0012】
本開示の別の態様では、ロボット外科用システムの器具駆動ユニットは、固定プレート、第1のモータ、第1の反応トルクトランスデューサ、第1のセンサ、及び第1のコントローラを含む。第1のモータは、第1の駆動シャフトを有し、第1の反応トルクトランスデューサは、第1のモータを固定プレートに取り付けるために第1の駆動シャフトの周りに配置される。第1の反応トルクトランスデューサは、第1のモータによって送出されたトルクを検出するように構成される。第1のセンサは、第1のモータによって引き込まれた電流を検出するように構成される。第1のコントローラは、第1のモータを制御するように構成される。第1のコントローラは、第1のセンサ及び第1の反応トルクトランスデューサと通信する。第1のコントローラは、第1のモータによって引き込まれた検出された電流を、第1のモータによって送出された検出されたトルクと比較して、検出されたトルクが、第1のモータによって引き込まれた検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成される。
【0013】
態様において、器具駆動ユニットは、第2のモータ、第2の反応トルクトランスデューサ、及び第2のセンサを含む。第2のモータは、第2の駆動シャフトを有し、第2の反応トルクトランスデューサは、第2のモータを固定プレートに取り付けるために第2の駆動シャフトの周りに配置される。第2の反応トルクトランスデューサは、第2のモータによって送出されたトルクを検出するように構成される。第2のセンサは、第2のモータによって引き込まれた電流を検出するように構成される。第1のコントローラは、第2のモータを制御するように構成される。第1のコントローラは、第2のセンサ及び第2の反応トルクトランスデューサと通信する。第1のコントローラは、第2のモータによって引き込まれた検出された電流を、第2のモータによって送出された検出されたトルクと比較して、検出されたトルクが、第2のモータによって引き込まれた検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成される。
【0014】
一部の態様において、器具駆動ユニットは、第3のモータ、第3の反応トルクトランスデューサ、第3のセンサ、及び第2のコントローラを含む。第3のモータは、第3の駆動シャフトを有し、第3の反応トルクトランスデューサは、第3のモータを固定プレートに取り付けるために第3の駆動シャフトの周りに配置される。第3の反応トルクトランスデューサは、第3のモータによって送出されたトルクを検出するように構成される。第3のセンサは、第3のモータによって引き込まれた電流を検出するように構成される。第2のコントローラは、第3のモータを制御するように構成される。第2のコントローラは、第3のセンサ及び第3の反応トルクトランスデューサと通信する。第2のコントローラは、第3のモータによって引き込まれた検出された電流を、第3のモータによって送出された検出されたトルクと比較して、検出されたトルクが、第3のモータによって引き込まれた検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成される。
【0015】
本開示の例示的な実施形態の更なる詳細及び態様は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
器具駆動ユニットのトルクトランスデューサのトルク測定値を検証する方法であって、
前記器具駆動ユニットのモータによって引き込まれた電流を示す検証信号を受信することと、
前記検証信号に基づいて許容可能なトルク範囲を特定することと、
前記トルク測定値を前記許容可能なトルク範囲と比較することと、
前記トルク測定値が前記許容可能なトルク範囲の外側にある場合、前記モータを停止することと、を含む、方法。
(項目2)
前記モータから電気的に分離される反応トルクトランスデューサを用いて、前記モータによって加えられた前記トルクを測定することを更に含み、前記反応トルクトランスデューサが、トルク信号を、前記比較を実行するコントローラに伝送する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記トルク測定値が前記許容可能なトルク範囲の外側にあるときに、障害信号を生成することを更に含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記障害信号生成することが、フィードバックを臨床家に提供することを含み、前記フィードバックが、可聴的、視覚的、触覚的、またはそれらの組み合わせである、項目3に記載の方法。
(項目5)
センサを用いて前記検証信号を生成することを更に含み、前記センサが、前記検証信号をコントローラに伝送する、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記センサを用いて前記モータによって引き込まれた電流を測定することを更に含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
器具駆動ユニットのモータのための制御回路であって、
前記モータによって引き込まれた電流を検出するように構成されたセンサと、
前記モータによって加えられたトルクを検出するように構成された反応トルクトランスデューサと、
前記センサ及び前記反応トルクトランスデューサと通信し、かつ前記モータを制御するように構成されたコントローラであって、前記モータによって引き込まれた前記検出された電流を、前記モータによって加えられた前記検出されたトルクと比較して、前記検出されたトルクが、前記モータによって引き込まれた前記検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成された、コントローラと、を備える、制御回路。
(項目8)
前記モータと電気通信するモータエネルギー源を更に備え、前記モータエネルギー源が、前記反応トルクトランスデューサから電気的に分離される、項目7に記載の制御回路。
(項目9)
前記センサが、前記モータエネルギー源から前記モータによって引き込まれた電流を検出するように構成される、項目8に記載の制御回路。
(項目10)
前記反応トルクトランスデューサが、前記モータによって加えられたトルクによって誘発された機械的特性を検出するように構成される、項目7に記載の制御回路。
(項目11)
前記機械的特性が歪みである、項目10に記載の制御回路。
(項目12)
ロボット外科用システムの器具駆動ユニットであって、
固定プレートと、
第1の駆動シャフトを有する第1のモータと、
前記第1のモータを前記固定プレートに取り付けるために前記第1の駆動シャフトの周りに配置され、かつ前記第1のモータによって送出されたトルクを検出するように構成された第1の反応トルクトランスデューサと、
前記第1のモータによって引き込まれた電流を検出するように構成された第1のセンサと、
前記第1のモータを制御するための第1のコントローラであって、前記第1のコントローラが、前記第1のセンサ及び第1の反応トルクトランスデューサと通信し、前記第1のコントローラが、前記第1のモータによって引き込まれた前記検出された電流を、前記第1のモータによって送出された前記検出されたトルクと比較して、前記検出されたトルクが、前記第1のモータによって引き込まれた前記検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成された、前記第1のコントローラと、を備える、器具駆動ユニット。
(項目13)
第2の駆動シャフトを有する第2のモータと、
前記第2のモータを前記固定プレートに取り付けるために前記第2の駆動シャフトの周りに配置され、前記第2のモータによって送出されたトルクを検出するように構成された第2の反応トルクトランスデューサと、
前記第2のモータによって引き込まれた電流を検出するように構成された第2のセンサであって、前記第1のコントローラが、前記第2のモータを制御するように構成され、前記第1のコントローラが、前記第2のセンサ及び前記第2の反応トルクトランスデューサと通信し、前記第1のコントローラが、前記第2のモータによって引き込まれた前記検出された電流を、前記第2のモータによって送出された前記検出されたトルクと比較して、前記検出されたトルクが、前記第2のモータによって引き込まれた前記検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成された、第2のセンサと、を更に備える、項目12に記載の器具駆動ユニット。
(項目14)
第3の駆動シャフトを有する第3のモータと、
前記第3のモータを前記固定プレートに取り付けるために前記第3の駆動シャフトの周りに配置され、かつ前記第3のモータによって送出されたトルクを検出するように構成された第3の反応トルクトランスデューサと、
前記第3のモータによって引き込まれた電流を検出するように構成された第3のセンサと、
前記第3のモータを制御するための第2のコントローラであって、前記第2のコントローラが、前記第3のセンサ及び前記第3の反応トルクトランスデューサと通信し、前記第3のコントローラが、前記第3のモータによって引き込まれた前記検出された電流を、前記第3のモータによって送出された前記検出されたトルクと比較して、前記検出されたトルクが、前記第3のモータによって引き込まれた前記検出された電流のためのトルク値の許容可能な範囲内にあることを検証するように構成された、第2のコントローラと、を更に備える、項目12に記載の器具駆動ユニット。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の様々な態様は、図面を参照して下記に説明され、それらの図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。
【0017】
【
図1】ユーザインターフェース及びロボットシステムの概略図である。
【
図2】
図1のロボットシステムの器具駆動ユニットの側面断面図である。
【
図3】
図2の3−3断面線に沿って取られた断面図である。
【
図4】
図2の器具駆動ユニットの制御回路の概略図である。
【
図5】
図1の器具駆動ユニットを制御する方法を例解するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本開示の実施形態が、図面を参照して詳細に説明され、図面中、同じ参照番号は、いくつかの図のそれぞれにおける同一または対応する要素を示す。本明細書に使用される際、用語「臨床家」は、医師、看護師、または任意の他の看護提供者のことを言い、支援要員を含み得る。この説明全体を通して、用語「近位」は、臨床家に最も近いデバイスまたはそれの構成要素の部分のことを言い、用語「遠位」は、臨床家から最も遠いデバイスまたはそれの構成要素の部分のことを言う。
【0019】
本開示は、一般に、モータによって加えられたトルクを測定して、トルク信号を、モータを駆動するコントローラに提供するトルクトランスデューサ(例えば、1次センサ)を含むロボット外科用システムのための器具駆動ユニット(IDU)に関する。IDUはまた、モータへの入力を測定して、検証信号をコントローラに提供する2次センサを含む。コントローラは、トルク信号及び検証信号を比較して、トルクトランスデューサが適切に機能していることを確保する。トルク信号が、所与の検証信号のための値の許容可能な範囲の外側にある場合、コントローラは、障害信号を生成し、及び/またはロボット外科用システムを停止する。
【0020】
本明細書に詳述されるように、IDUは、1次センサとして反応トルクトランスデューサを含む。しかしながら、1次センサは、インライン式のトルクトランスデューサであってもよいことが考えられる。
【0021】
図1を参照すると、ロボット外科用システム1が示され、ロボットシステム10、処理装置30、及びユーザインターフェース40を含む。ロボットシステム10は、一般に、連動機構12及びロボットベース18を含む。連動機構12は、エンドエフェクタまたはツール20を有する外科用器具を移動可能に支持し、それは、組織に作用するように構成される。連動機構12は、複数の部材13をそれぞれ有するアームの形態であってもよい。複数の部材13のうちのある部材13aは、組織に作用するように構成されるエンドエフェクタまたはツール20を支持する端部14を有する。加えて、部材13aの端部14は、手術部位「S」を画像化するための画像化デバイス16を含んでもよい。連動機構12の複数の部材13のそれぞれは、接合部15の周りに互いに接続されてもよい。ユーザインターフェース40は、処理ユニット30を通してロボットベース18と通信する。
【0022】
ユーザインターフェース40は、3次元画像を表示するように構成された表示デバイス44を含む。表示デバイス44は、手術部位「S」の3次元画像を表示し、それは、部材13aの端部14上に位置決めされた画像化デバイス16によって捕捉されたデータを含み得る及び/または外科手術室の周りに位置決めされた画像化デバイス(例えば、手術部位「S」内に位置決めされた画像化デバイス、患者「P」に隣接して位置決めされた画像化デバイス、画像化アーム52のデータ遠位端において位置決めされた画像化デバイス56)によって捕捉されたデータを含み得る。画像化デバイス(例えば、画像化デバイス16、56)は、手術部位「S」の視覚画像、赤外画像、超音波画像、X線画像、熱画像、及び/または任意の他の既知の実時間画像を捕捉してもよい。画像化デバイスは、捕捉された画像化データを処理ユニット30に伝送し、その処理ユニットは、画像化データから実時間に手術部位「S」の3次元画像を生成し、3次元画像を表示のために表示デバイス44に伝送する。
【0023】
ユーザインターフェース40はまた、入力ハンドル42を含み、それは、臨床家が、ロボットシステム10を操作する(例えば、連動機構12、連動機構12の端部14、及び/またはツール20を移動させる)ことを可能にする。入力ハンドル42のそれぞれは、処理装置30と通信し、制御信号をそれに伝送し、それからフィードバック信号を受信する。入力ハンドル42のそれぞれは、入力デバイスを含んでもよく、それは、外科医が、部材13aの端部14において支持されたツール20を操作する(例えば、つかむ、把持する、焼く、開く、閉じる、回転する、突く、薄く切る等)ことを可能にする。
【0024】
ロボット外科用システム1の構築及び動作の詳細な記述のために、参照が、「医療ワークステーション」と題された米国特許公開第2012/0116416号になされ得る。
【0025】
また、
図2及び3を参照すると、器具駆動ユニット(IDU)60は、端部14に隣接する部材13a内に配置されるか、またはその部材13a上に支持される。IDU60は、端部14に連結されたツール20と動作的に関連付けられ、処理装置30から伝送されたツール信号に応答してツール20を操作する。IDU60は、モータ62を含み、それらは、それぞれのコンバータ64及びそれぞれの反応トルクトランスデューサ68にそれぞれ動作可能に連結される。各モータ62は、モータ62に供給されたエネルギーに応答して、1次センサまたは反応トルクトランスデューサ68を通って延在する駆動シャフト63を回転させる。コンバータ64は、モータ62の駆動シャフト63の回転を駆動ロッド及び/またはケーブル(図示しない)の直線運動に変換する。コンバータ64は、IDU60の固定プレート61に取り付けられてもよい。反応トルクトランスデューサ68は、モータ62によって加えられたまたはコンバータ64へと送出されたトルクを測定し、それゆえ、ツール20に加えられた力を測定する。反応トルクトランスデューサ68は、モータ62の駆動シャフト63の周りに位置決めされ、モータ62をIDU60の固定プレート61に取り付ける。
【0026】
反応トルクトランスデューサ68の構築及び動作の詳細な記述のために、参照が、2015年2月5日に出願され、「Input Device Assemblies for Robotic Surgical SysTems」と題された国際特許出願第PCT/US15/14542号になされ得、その内容全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0027】
図2及び3を参照すると、IDU60は、本開示に従って提供されるコントローラ126をそれぞれ含む1つ以上の回路基板80を含む。以下に詳述されるように、コントローラ126は、単一のコントローラ126の観点で詳述される。しかしながら、IDU60は、1つ以上のコントローラ126を有してもよいことを認識されたい。コントローラ126は、1つ以上の反応トルクトランスデューサ68と通信する。図示されるように、コントローラ126は、リード142によって反応トルクトランスデューサ68と、及びリード144によって別の反応トルクトランスデューサ68と通信する。各リード142、144は、トルクが、それぞれのトルクトランスデューサ68によって検知されるモータ62によって加えられていることを示すトルク信号をコントローラ126に運ぶ。
【0028】
モータ62によって加えられたトルクは、反応トルクトランスデューサ68によって精密に測定されてもよいが、モータ62によって加えられたトルクはまた、モータ62によって引き込まれた電流の量からも計算することができる。以下に詳述されるように、この計算されたトルクは、測定されたトルク(すなわち、反応トルクトランスデューサ68によって検出されたトルク)が、モータ62によって引き込まれた電流の検出された量のための値の許容可能な範囲内にあることを検証するために使用することができる。検出されたトルクが、引き込まれた電流の検出された量のための値の許容可能な範囲内にあることを検証することによって、障害が生成されてもよいし、及び/またはモータ62は、検出されたトルクが、引き込まれた電流の検出された量のための値の許容可能な範囲の外側にある場合、停止されてもよい。検出されたトルクが、引き込まれた電流の検出された量のための値の許容可能な範囲の外側にあるときに、反応トルクトランスデューサ68は、故障した可能性があることが理解される。
【0029】
図2及び3を引き続き参照すると、IDU60は、検証信号を回路基板80に提供するセンサ152、154を含む。センサ152、154は、それぞれのモータ62とそれぞれ関連付けられ、それぞれのモータ62によって引き込まれた電流の量を検出する。各センサ152、154は、次いで、それぞれのモータ62によって引き込まれた電流の量を示すそれぞれの検証信号をコントローラ126に送信する。コントローラ126は、検証信号をトルク信号と比較して、トルク信号が、検証信号に関する値の許容可能な範囲内にあることを検証する。
【0030】
センサ152、154は、トルクを検出して、検出された電流から電流を生成してもよいことが考えられる。かかる実施形態では、コントローラは、検証信号の電流をトルク信号と比較して、トルク信号が、検証信号に関する値の許容可能な範囲内にあることを検証する。
【0031】
図4に関して、制御回路120は、トルク信号を検証信号と比較して、検出されたトルクが、モータ62によって引き込まれた電流量のための値の許容可能な範囲内にあることを検証する。制御回路120は、モータ62の反応トルクを検出して、モータ62によって引き込まれた電流の量を検出し、検出されたトルクが、モータ62によって引き込まれた電流の量のための値の許容可能な範囲内にあることを検証する。
【0032】
制御回路120は、モータ62、反応トルクトランスデューサ68、電圧源121、フィルタ122、増幅器124、コントローラ126、及びセンサ152を含む。反応トルクトランスデューサ68は、リード132によってフィルタ122に運ばれるトルク信号を生成する。フィルタ122は、ローパスフィルタであり、トルク信号から雑音を除去する。フィルタ122は、フィルタされたトルク信号を増幅器124に伝送し、それは、増幅したフィルタされたトルク信号をコントローラ126に伝送する。コントローラ126は、トルク信号からモータ62の反応トルクを決定する。
【0033】
コントローラ126は、制御信号を送信して、モータ62(例えば、モータ62の回転速度)を制御する。コントローラ126は、信号をモータ62にまたはエネルギーをモータ62に供給するモータエネルギー源69に送信してもよい。モータ62がモータエネルギー源69からエネルギーを引き込む際、センサ152は、モータエネルギー源69からモータ62によって引き込まれた電流の量を検出する。センサ152は、モータ62によって引き込まれた電流の量を示す検証信号を生成し、検証信号をコントローラ126に送信する。
【0034】
コントローラ126は、反応トルクトランスデューサ68からのトルク信号をセンサ152からの検証信号と比較する。まず、コントローラ126は、検証信号からモータ62によって加えられたトルクのための値の許容可能な範囲を生成する。例えば、検証信号が、モータ62が0.80ampの電流を引き込んでいることを示すとき、モータ62によって加えられたトルクのための値の許容可能な範囲は、約0.20N−m〜約.030N−mである。モータ62によって引き込まれた電流の量が増大する際、モータによって加えられたトルクのための値の許容可能な範囲の上限及び下限が増大することを理解されたい。加えて、モータ62によって引き込まれた電流の量が増大する際、値の許容可能な範囲が増大し得る。トルク信号が、値の許容可能な範囲内にある場合、コントローラ126は、モータ62の継続的な回転を示す制御信号を送信し続ける。
【0035】
トルク信号が、値の許容可能な範囲の外側にあるとき、反応トルクトランスデューサ68は、誤動作し得、それゆえ、モータ62によって加えられたトルクの不正確な測定値をもたらすか、またはツール20は、障害物にぶつかった可能性がある。したがって、トルク信号が、値の許容可能な範囲の外側にある場合、コントローラ126は、障害信号を生成してもよいし、及び/または制御信号を送信して、モータ62の回転を停止してもよい。障害信号は、視覚的、可聴的、または触覚的フィードバックを、ユーザインターフェース40とインターフェースを取る臨床家に提供してもよい(
図1)。
【0036】
図5に関して、センサ152を用いる器具駆動ユニット60の1次センサまたは反応トルクトランスデューサ68のトルク測定値を検証する方法200が、本開示に従って開示される。最初に、コントローラ126は、命令信号を受信して、モータ62を回転させる。命令信号に応答して、コントローラ126は、制御信号をモータ62に送信して、駆動シャフト63を回転させる。
【0037】
モータ62が回転している間、モータ62は、モータエネルギー源69から電流を引き込む(
図4)。この電流は、センサ152によって測定される(ステップ210)。センサ152は、測定した電流を示す検証信号を生成し(ステップ212)、検証信号をコントローラ126に伝送する(ステップ214)。加えて、モータ62が回転している間、反応トルクトランスデューサ68は、モータによって加えられたトルク62を測定する(ステップ220)。反応トルクトランスデューサ68は、測定されたトルクを示すトルク信号を生成し(ステップ222)、トルク信号をコントローラ126に伝送する(ステップ224)。
【0038】
コントローラ126は、検証信号を受信し(ステップ230)、所与の検証信号のためにモータ62によって加えられ得るトルクの許容可能な範囲を生成する(ステップ240)。上述したように、トルクの許容可能な範囲は、モータ62によって引き込まれた電流に比例する。コントローラ126は、次いで、反応トルクトランスデューサ68からトルク信号を受信し、トルク信号をトルクの許容可能な範囲と比較する(ステップ250)。トルク信号が、トルクの許容可能な範囲内にある場合、コントローラ126は、制御信号をモータ62に送信し続けて、駆動シャフト63を回転させる(ステップ255)。対照的に、トルク信号がトルクの許容可能な範囲の外側にある場合、コントローラ126は、制御信号を送信することまたは制御信号の送信を止めることによって、モータ62の回転を停止する(ステップ260)。コントローラ126は、次いで、モータによって加えられたトルク62が、トルク値の許容可能な範囲の外側にあることを示す障害信号を生成する。障害信号は、臨床家に障害を警告するために、可聴的、視覚的、触覚的、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示は当分野が認めるような広さの範囲にあること及び明細書も同様に読み取られることが意図されるように、本開示がそれに限定されることを意図されない。上記実施形態の任意の組み合わせもまた想定され、添付の特許請求の範囲内にある。したがって、上記説明は、限定するものとして解釈されるべきではなくて、単に、特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲内の他の修正を想定するであろう。