(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
架空ケーブルの配線作業等で、作業車を道路上に停車させて工事を行う場合、作業の安全性を確保するために、作業車の周囲に保安柵を設置することが義務つけられている。保安柵には、例えば、三角コーン(セーフティコーン、パイロン、カラーコーン(登録商標)ともいう)とコーンバーを用いる。三角コーンは、台座を備えた円錐形状である。コーンバーは、黄色と黒のトラ縞模様(白色と赤色の縞模様及び蛍光黄色と黒の縞模様)の棒であり、コーンバーを三角コーンの先端部に取り付けるためのリングを両端に備える。保安柵の設置の際には、作業車の周囲に三角コーンをコーンバーの長さの間隔で配置し、三角コーンの先端部にコーンバーを取り付ける。作業車の周囲を囲う保安柵を設置するためには、4〜6本程度のコーンバーが必要である。コーンバーの代用品として三角コーンの先端部に取り付けるコーンバーテープも知られている(例えば非特許文献1)。
【0003】
ここで、一般的な、三角コーンとコーンバーを用いた保安柵の設置について説明する。作業車を工事場所に停車後、三角コーンを取り出す。三角コーンは重ねられて作業車に載せられている。三角コーンを取り出した後、三角コーンを作業車の周囲に配置する。作業車を路肩に停車した場合は、作業車の前後および作業車の車道側の側面に三角コーンを配置する。作業車の側面は、1本のコーンバーではカバーできないので複数個の三角コーンを配置する。三角コーンを配置後に、コーンバーを作業車から取り出し、三角コーンに取り付ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保安柵の設置は、作業車自身や第三者の安全のためにも、少しでも迅速に行う必要がある。しかしながら、コーンバーを三角コーンに取り付けるとき、作業車からコーンバーを1本ずつ取り出していると手間と時間がかかってしまうという問題があった。コーンバーは長尺であり、作業車から取り出しにくいという問題があった。
【0006】
また、道路上で複数本のコーンバーを抱えて作業すると、抱えたコーンバーを落としてしまうという問題があった。交通量の多い車道にコーンバーを落としてしまうと非常に危険である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、より簡単に保安柵を設置できる三角コーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る三角コーンは、
上部に開口部を有した中空の本体と、前記本体の側面に形成され
、前記開口部にまで達して前記開口部を分断する取出口と、
前記開口部の径よりも小さく、別の三角コーンを前記本体の底部から挿入したときに、別の三角コーンの開口部を通過可能に固定されている設置部と、を有し、前記設置部にコーンバーテープを取り付け、前記コーンバーテープの先端を前記取出口から取り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より簡単に保安柵を設置できる三角コーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の三角コーンの構成を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の三角コーンに市販の三角コーンを重ねる様子を示す図である。
【
図3】本実施形態の三角コーンの使用例を説明するための図である。
【
図4】本実施形態の三角コーンの変形例の構成を示す斜視図である。
【
図5】三角コーンの内部に収納するコーンバーテープの一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の三角コーンの別の変形例の構成を示す側面図である。
【
図8】本実施形態の三角コーンのさらに別の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は以下で説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において変更を加えても構わない。
【0015】
図1は、本実施形態の三角コーン1の構成を示す斜視図である。
【0016】
図1に示す三角コーン1は、円錐形状で中空の本体10と、本体10の側面の上方部に設けられた取出口11と、本体10の底部の周囲に設けられた土台12を備える。図示していないが、本体10内部には、コーンバーテープ20を取り付けるための設置部を備える。本体10と土台12は、ポリエチレンなどの合成樹脂で成形される。三角コーン1の高さは700mm、土台12は385mm角とする。三角コーン1のサイズは、これに限るものではなく、使用用途に適したサイズであればよい。
【0017】
取出口11は、鉛直方向に細長く開口された、本体10の側面を貫通する孔である。取出口11の上端は、三角コーン1にコーンバーの先端のリングをはめたときに、リングが取出口11に干渉しない位置とする。取出口11を複数個備えてもよい。
【0018】
本体10の中空部には、コーンバーテープ20が内蔵される。コーンバーテープ20を取り付ける設置部として、中空部に台を設けて市販のコーンバーテープ20を載置してもよいし、中空部に軸を設けてコーンバーテープ20を巻き付けてもよい。コーンバーテープ20は、取出口11から取り出し可能である。コーンバーテープ20の固定方法の一例を説明する。設置部となる円形の台にコーンバーテープ20を固定し、コーンバーテープ20の先端を土台12の開口部から入れて取出口11から取り出す。コーンバーテープ20を固定した台を土台12の開口部から入れて本体10に固定する。台の底面と本体10の内壁とをL字型金具で固定してもよい。台の大きさは、取出口11の下方の本体10の内周の大きさ程度とする。本体10内部にゼンマイを備えて、コーンバーテープ20を少し引っ張った後に離すと、コーンバーテープ20が巻き取られるようにしてもよい。
【0019】
コーンバーテープ20の長さは、一般的な作業車の全長程度の約5mとする。コーンバーテープ20の幅は、約5cmとする。コーンバーテープ20の長さおよび幅は、これに限るものではなく、使用用途に適したサイズであればよい。コーンバーテープ20は、黄色と黒のトラ模様(白色と赤色の縞模様または蛍光黄色と黒の縞模様でもよい)とする。コーンバーテープ20に文字を記載してもよい。コーンバーテープ20は、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂を用いることができる。
【0020】
コーンバーテープ20の先端部には、先端部を別の三角コーンに固定するための紐21が取り付けられている。紐21の輪の大きさは、市販のコーンバーの先端のリングの大きさ程度とする。紐21をはめる先の三角コーンは、市販の三角コーンでもよいし、本実施形態の三角コーン1でもよい。コーンバーテープ20を本体10内部に収納したときは、紐21が露出した状態となる。紐21を引っ張ることで、コーンバーテープ20を本体10内部から引き出すことができる。
【0021】
紐21を柔軟で自在に変形可能な素材とすることで、
図2に示すように、三角コーン1に従来の三角コーン50を重ねることができる。また、三角コーン1にコーンベッド(重し)を取り付けるときにも邪魔になることがない。
【0022】
次に、本実施形態の三角コーン1の使用例について説明する。
【0023】
図3は、本実施形態の三角コーン1の使用例を説明するための図である。
図3に示す使用例では、本実施形態の三角コーン1を1つ、従来の三角コーン50A〜50Cを3つ、コーンバー60A,60Bを2本、および看板70A,70Bを2枚使用している。
【0024】
図3では、道路の路肩に寄せて停車させた作業車100の前方の車道側に本実施形態の三角コーン1を配置し、作業車100の前方の歩道側に従来の三角コーン50Aを配置している。また、作業車100の後方の車道側と歩道側のそれぞれに従来の三角コーン50B,50Cを配置している。
【0025】
車道側にコーンバーテープ20を設置するときは、三角コーン1からコーンバーテープ20を引き出し、作業車100後方の車道側に配置した三角コーン50Bに取り付ける。コーンバーテープ20の長さは作業車100の全長よりも長いので、車道側に設置する三角コーンの数を減らすことができる。コーンバーテープ20が三角コーン1に内蔵されているので、三角コーン1を設置後、コーンバーテープ20を取り出して三角コーン50Bに取り付けるだけでよい。
【0026】
作業車100前方の歩道側に配置した三角コーン50Aと三角コーン1との間にコーンバー60Aを取り付ける。作業車100後方の車道側と歩道側に配置した三角コーン50B,50Cの間にコーンバー60Bを取り付ける。コーンバー60A,60Bには、看板70A,70Bを取り付ける。
【0027】
このように、本実施形態の三角コーン1を使用することで、使用するコーンバーの本数を減らすことができ、通行量の多い道路において、多数のコーンバーを持って歩く必要がなくなる。
【0028】
三角コーン1には、従来の三角コーン50A〜50Cを重ねることができるので、三角コーン1,50A〜50Cを作業車100に載せるときに場所をとらない。
【0029】
続いて、本実施形態の三角コーン1の変形例について説明する。
【0030】
図4は、本実施形態の三角コーン1の変形例の構成を示す斜視図である。
【0031】
図4に示す三角コーン1は、本体10の頭頂部を取り除き、本体10の上部に開口部13を備える点で
図1の三角コーン1と異なる。本体10の上部の径の大きさは、コーンバー60のリングが取り付けられる大きさとする。
【0032】
図5に、本体10内部に収納するコーンバーテープ20の一例を示す。コーンバーテープ20は、ケース80内に収納されている。コーンバーテープ20を引っ張るとコーンバーテープ20がケース80から引き出される。ケース80の中央に配置された巻取りボタン81を押下すると、引き出されたコーンバーテープ20がケース80内に巻き取られる。コーンバーテープ20を本体10の内部に収納した状態では、開口部13から巻取りボタン81を操作できる。コーンバーテープ20の引き出しすぎた際、巻取りボタン81を操作することで、コーンバーテープ20を適切な長さに調節できる。なお、
図1に示した本体10の上部に開口部を備えていない三角コーン1の場合は、巻取りボタンを備えていないコーンバーテープ20を収納する。
【0033】
開口部13は、本体10内部に収納したコーンバーテープ20の巻取りボタン81が操作できる大きさであればよい。開口部13が小さいほど三角コーン1の高さを確保でき、保安柵としての機能の欠損を最小限にできる。
【0034】
なお、本体10の上部に開口部13を備える構成は一例であり、コーンバーテープ20の巻取りボタン81を操作可能な窓を本体10の側面に備えてもよい。本体10の上部に開口部13を備える構成は、三角コーン1のどの方向からも巻取りボタン81を操作できるので好適である。また、開口部13に円錐形状の頭頂部を取り付けられるようにしてもよい。
【0035】
続いて、本実施形態の三角コーン1の別の変形例について説明する。
【0036】
図6は、本実施形態の三角コーン1の別の変形例の構成を示す側面図である。
図7は、A−A線における断面図である。
【0037】
図6に示す三角コーン1は、取出口11が本体10上部の開口部13にまで達している。本体10は、
図6の裏側面にも、同様の取出口11を備える。本体10の上部は、2つの本体上部10A,10Bに分割されている。
【0038】
本体10内部の取出口11の下側には、コーンバーテープ20を載置するための台14が取り付けられる。台14は、取出口11の下側でネジ15により本体10内部の側面に固定される。
図7に示すように、台14は、開口部13よりも径の小さい円形である。台14に載置されるコーンバーテープ20は台14に収まるものを用いる。台14は、取出口11よりも狭い幅の固定部14A,14Bを備え、固定部14A,14Bを取出口11に対応する位置で本体10に固定している。固定部14A,14Bの代わりにL字型金具を用いて台14を本体10に固定してもよい。台14と本体10内部の側面との間には、隙間16A,16Bが存在する。別の三角コーン1を土台12の開口部から挿入したときに、別の三角コーン1の本体上部10A,10Bをこの隙間16A,16Bに差し込むことができるので、三角コーン1を重ねることができる。三角コーン1を重ねるときは、コーンバーテープ20を収納したままで重ねてもよいし、コーンバーテープ20を取り出してから重ねてもよい。回転対称となるように固定部14A,14Bを備えることで、三角コーン1を重ねるときに一方向に向きを合わせる必要がなくなる。
【0039】
図8は、さらに別の変形例の三角コーン1の台14の位置における断面図である。さらに別の変形例の三角コーン1は、取出口11を1つだけ備え、台14を取出口11の下の一箇所で固定したものである。より具体的には、台14の一方だけに固定部14Aを備え、台14の一方だけを本体10の取出口11の下に固定する。固定部14Aの代わりにL字型金具を用いてもよい。
図8に示したように台14を固定し、取出口11を1つ備えた場合も、別の三角コーン1の取出口11が固定部14Aに対応するように、別の三角コーン1の上部を台14と本体10との隙間16に差し込むことで、三角コーン1を重ねることができる。取出口11を1つとすることで、三角コーン1の上部の強度の低下を抑制できる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態によれば、三角コーン1が、中空の本体10、本体10の側面に形成された取出口11、本体10の内部に配置された設置部を有し、本体10の内部にコーンバーテープ20を内蔵し、紐21を取り付けた先端が取出口から取り出されることにより、停車した作業車100の車道側に保安柵を設置するとき、三角コーン1を配置し、コーンバーテープ20を引き出して別の三角コーン50Bに取り付けるだけでよいので、より簡単に保安柵を設置可能となる。