(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る自動火災報知設備100(以下、「自火報設備100」という。)及び支援システム200の構成の一例を示す図である。自火報設備100と支援システム200とは、信号線C1を介して接続される。
【0009】
<自火報設備100の構成>
自動警報設備である自火報設備100は、火災感知手段である火災感知器1と、ガス漏れ感知手段であるガス漏れ検知器2と、火災受信機3とを備える。自火報設備100は、P型システムであってもR型システムであってもよい。火災感知器1は、例えば、煙感知器、熱感知器、炎感知器等の感知器である。火災感知器1とガス漏れ検知器2とは、防火対象物である建物の各部屋に設置される。ここで、建物とは、例えば、ホテル、マンション等の集合住宅、オフィスビル、商業施設などである。火災感知器1とガス漏れ検知器2とは、信号線C2を介して、又は信号線C2と中継器4とを介して、火災受信機3と接続される。火災感知器1とガス漏れ検知器2とは、各々識別情報を有し、火災やガス漏れ等の異状を感知すると、自機の識別情報を含む異状感知信号を火災受信機3に送信する。火災受信機3は、火災感知器1又はガス漏れ検知器2から異状感知信号を受信すると、当該信号に基づいて異状内容を判定し、判定した異状内容を示す異状信号を支援システム200に送信する。この異状信号には、異状を感知した火災感知器1又はガス漏れ検知器2の識別情報が含まれる。
【0010】
また、自火報設備100は、建物内に配置される音声警報装置5を備える。音声警報装置5は、信号線C2と中継器6とを介して火災受信機3に接続される。音声警報装置5は、火災受信機3からの信号に応じて、異状感知放送を出力する。
【0011】
<支援システム200の構成>
支援システム200は、自衛消防隊の各隊員(又は、隊員候補者)が携帯する携帯端末7と、支援装置8とを備える。各携帯端末7と支援装置8とは、無線LAN等の通信回線C3を介して接続される。支援装置8は、信号線C1を介して火災受信機3と接続される。
【0012】
<携帯端末7の構成>
携帯端末7は、スマートフォン、タブレット端末や携帯電話機等の携帯型のコンピュータ装置である。携帯端末7は、CPU等の演算部と、フラッシュメモリ等の記憶部と、液晶ディスプレイ等の表示部と、タッチセンサ等の入力部と、データ通信カード等の通信部とを備える。また、携帯端末7は、無線LANのアクセスポイントから発信されるビーコン信号を受信して、その電波強度に基づいて測位を行う測位部を備える。
【0013】
<支援装置8の構成>
図2は、支援装置8の機能的構成の一例を示すブロック図である。支援装置8は、自衛消防隊の活動を支援するための装置である。支援装置8は、CPU等の演算部81と、HDD等の記憶部82と、データ通信カード等の通信部83とを備える。記憶部82は、隊員データベース(以下、「データベース」を「DB」と記述する。)821と、設置場所DB822と、隊員候補DB823と、基準位置DB824と、作業内容DB825と、決定隊員DB826とを記憶する。なお、記憶部82は、通信回線C3を介して接続される外部サーバに設置されてもよい。
【0014】
隊員DB821は、自衛消防隊員の候補者の識別情報に対応づけて当該候補者が携帯する携帯端末7の通信アドレスを格納する。隊員候補者の識別番号は、例えば、携帯端末7に付与される個体識別番号や製造番号である。通信アドレスは、例えば、電子メールアドレスや電話番号である。
【0015】
設置場所DB822は、火災感知器1やガス漏れ検知器2等の感知手段の識別情報と対応づけてその設置場所情報を格納する。
【0016】
隊員候補DB823は、自衛消防隊の各役割について複数の隊員候補者の識別情報を格納する。ここで、自衛消防隊の役割とは、例えば、初期消火班、避難誘導班、安全防護班、通報連絡班、応急救護班、非常持出班、指揮班等である。防火対象物である建物が複数のフロアにより構成される場合には、フロアごとに各役割について複数の隊員候補者の識別情報が格納される。隊員候補DB823は、本発明に係る「隊員候補記憶手段」の一例である。
【0017】
基準位置DB824は、自衛消防隊の各役割について建物内の基準位置情報を格納する。ここで、基準位置とは、自衛消防隊員により使用又は携行される物が存在する位置である。具体的には、初期消火班の場合は、消火器や屋内消火栓等の消火手段の位置であり、避難誘導班の場合は、担当する避難誘導エリアの位置であり、安全防護班の場合は、確認すべき防火戸の位置であり、非常持出班の場合は、持ち出す物の位置である。防火対象物である建物が複数のフロアにより構成される場合には、フロアごとに各役割について基準位置情報が格納される。基準位置DB824は、本発明に係る「基準位置記憶手段」の一例である。
【0018】
作業内容DB825は、自衛消防隊の各役割について作業内容情報を格納する。防火対象物である建物が複数のフロアにより構成される場合には、フロアごとに各役割について作業内容情報が格納される。
【0019】
決定隊員DB826は、自衛消防隊の各役割について、決定された隊員の識別情報を格納する。防火対象物である建物が複数のフロアにより構成される場合には、フロアごとに各役割について隊員の識別情報が格納される。
【0020】
演算部81は、記憶部82に記憶されるプログラムを実行することにより、異状信号受信部811と、異状発生位置特定部812と、端末位置情報取得部813と、隊員候補選択部814と、役割指示送信部815と、応答受信部816と、隊員登録部817の各機能を実現する。
【0021】
異状信号受信部811は、自火報設備100を構成する火災受信機3から送信される異状信号を受信する。この異状信号には、異状を感知した感知手段の識別情報が含まれる。
【0022】
異状発生位置特定部812は、異状信号受信部811により受信された異状信号に基づいて、異状発生位置を特定する。具体的には、受信された異状信号に含まれる感知手段の識別情報と設置場所DB822において対応付けられている設置場所を特定する。
【0023】
端末位置情報取得部813は、隊員候補DB823に記憶される各役割に対応する複数の隊員候補者が携帯する各携帯端末7の位置情報を取得する。具体的には、隊員候補DB823に記憶される複数の隊員候補者の識別情報を読み出し、隊員DB821を参照して、各隊員候補者が携帯する携帯端末7の通信アドレスを特定する。そして、各携帯端末7に対して位置情報の要求信号を送信して、返信される位置情報を取得する。端末位置情報取得部813は、本発明に係る「端末位置情報取得手段」の一例である。
【0024】
隊員候補選択部814は、自衛消防隊の各役割について、隊員候補DB823に記憶される複数の隊員候補者の中から少なくとも1人の候補者を選択する。その際、隊員候補選択部814は、隊員候補者を選択する役割に対応する基準位置を、基準位置DB824を参照して特定し、特定した基準位置に最も近い隊員候補者を、端末位置情報取得部813により取得された位置情報に基づいて選択する。ここで、基準位置に最も近い隊員候補者とは、携帯する携帯端末7の位置から基準位置までの距離が、複数の隊員候補者の中で最小である隊員候補者である。ここで、距離とは、基準位置までの直線距離であってもよいし、障害物を避けて基準位置まで実際に辿り着くまでの移動距離(すなわち、道のり)であってもよい。なお、防火対象物である建物が複数のフロアにより構成される場合には、隊員候補選択部814は、フロアごとに各役割について、隊員候補DB823に記憶される複数の隊員候補者の中から少なくとも1人の候補者を選択する。
【0025】
隊員候補選択部814は、初期消火班について隊員候補者を選択する場合には、基準位置に代えて、異状発生位置特定部812により特定された異状発生位置に最も近い隊員候補者を選択する。ここで、異状発生位置に最も近い隊員候補者とは、携帯する携帯端末7の位置から異状発生位置までの距離が、複数の隊員候補者の中で最小である隊員候補者である。ここで、距離とは、異状発生位置までの直線距離であってもよいし、障害物を避けて異状発生位置まで実際に辿り着くまでの移動距離(すなわち、道のり)であってもよい。なお、防火対象物である建物が複数のフロアにより構成される場合には、隊員候補選択部814は、異状発生階であるフロアの初期消火班については、異状発生位置に最も近い隊員候補者を選択し、異状発生階でないフロアの初期消火班については、基準位置(すなわち、消火手段の位置)に最も近い隊員候補者を選択する。隊員候補選択部814は、本発明に係る「隊員候補選択手段」の一例である。
【0026】
役割指示送信部815は、隊員候補選択部814により選択された隊員候補者が携帯する携帯端末7に対して、自衛消防隊の役割指示を送信する。その際、役割指示送信部815は、隊員DB821を参照して、役割指示の送信先である携帯端末7の通信アドレスを特定する。また、役割指示送信部815は、指示する役割に対応する作業内容情報を作業内容DB825から読み出して、役割指示とともに携帯端末7に対して送信する。役割指示送信部815は、本発明に係る「役割指示送信手段」の一例である。
【0027】
応答受信部816は、役割指示送信部815により役割指示が送信された携帯端末7から、自衛消防隊の役割への参加が不可である場合の応答を受信する。この応答には、隊員候補者の識別情報が含まれる。応答受信部816により、自衛消防隊の役割への参加不可を示す応答が受信された場合には、隊員候補選択部814は、役割指示がなされた隊員候補者の代わりの隊員候補者を改めて選択する。具体的には、隊員候補選択部814は、参加不可の応答がなされた隊員候補者を除く複数の隊員候補者の中から、特定した基準位置に最も近い隊員候補者を、端末位置情報取得部813により取得された位置情報に基づいて選択する。役割指示送信部815は、改めて隊員候補選択部814により選択された代わりの隊員候補者が携帯する携帯端末7に対して、自衛消防隊の役割指示を送信する。応答受信部816は、本発明に係る「応答受信手段」の一例である。
【0028】
隊員登録部817は、役割指示送信部815により、自衛消防隊の役割指示が送信された場合に、隊員の識別情報を、当該隊員が担う役割に対応付けて決定隊員DB826に登録する。
【0029】
<支援装置8の動作>
次に、支援装置8により実行される自衛消防隊編成処理について説明する。
図3は、自衛消防隊編成処理の一例を示すフローチャートである。
【0030】
支援装置8の異状信号受信部811が、火災受信機3から異状信号を受信すると(Sa1)、異状発生位置特定部812は、ステップSa1で受信された異状信号に基づいて、異状発生位置を特定する(Sa2)。異状信号の受信を受けて、端末位置情報取得部813は、隊員候補DB823に記憶される各役割に対応する複数の隊員候補者が携帯する各携帯端末7の位置情報を取得する(Sa3)。各携帯端末7の位置情報が取得されると、隊員候補選択部814は、取得された位置情報に基づいて隊員候補選択処理を実行する(Sa4)。
図4は、この隊員候補選択処理の一例を示すフローチャートである。
【0031】
この隊員候補選択処理において、隊員候補選択部814は、まず、隊員候補DB823に記憶される初期消火班や避難誘導班等の役割を1つ選択する(Sb1)。次に、隊員候補選択部814は、ステップSb1で選択した役割が初期消火班であるか否かを判定する(Sb2)。この判定の結果、初期消火班でない場合には、隊員候補選択部814はステップSb12に進む。一方、この判定の結果、初期消火班である場合には、隊員候補選択部814は、ステップSb1で選択した役割に対応するフロアを隊員候補DB823において1つ選択する(Sb3)。フロアを選択すると、隊員候補選択部814は、選択したフロアが異状発生階であるか否かを、上記のステップSa2で特定された異状発生位置に基づいて判定する(Sb4)。この判定の結果、選択したフロアが異状発生階でない場合には、隊員候補選択部814はステップSb9に進む。一方、この判定の結果、異状発生階である場合には、隊員候補選択部814は、ステップSb1で選択した役割とステップSb3で選択したフロアとに隊員候補DB823において対応する複数の隊員候補者について、各自が携帯する携帯端末7の位置から異状発生位置までの距離を算出する(Sb5)。そして、隊員候補選択部814は、異状が発生したフロアの初期消火班の隊員候補者を異状発生位置に向かわせるために異状発生位置に近い順に隊員候補者をリスト化し、その中で最も異状発生位置に近い隊員候補者を選択する(Sb6)。作成したリストは、後述する隊員候補再選択処理のために、例えばRAMに格納しておく。隊員候補者を選択すると、隊員候補選択部814は、ステップSb1で選択した役割に対応するすべてのフロアについて隊員候補者を選択したか否かを判定する(Sb7)。この判定の結果、すべてのフロアについて隊員候補者を選択していない場合には、隊員候補選択部814はステップSb3に戻り、次のフロアについて隊員候補者を選択する。一方、この判定の結果、すべてのフロアについて隊員候補者を選択している場合には、隊員候補選択部814は、隊員候補DB823に記憶されるすべての役割について隊員候補者を選択したか否かを判定する(Sb8)。この判定の結果、すべての役割について隊員候補者を選択していない場合には、隊員候補選択部814はステップSb1に戻り、次の役割について隊員候補者を選択する。一方、この判定の結果、すべての役割について隊員候補者を選択している場合には、隊員候補選択部814は、隊員候補選択処理を終了する。
【0032】
上記のステップSb4において、選択したフロアが異状発生階でなかった場合には、隊員候補選択部814は、異状が発生していないフロアの初期消火班の隊員候補者を消火手段の位置に向かわせ、消火手段を用いて異常が発生したフロアの消火を援護させたり、火災が拡大したときの消火に備えさせたりするために、ステップSb1で選択した役割とステップSb3で選択したフロアとに対応する基準位置を基準位置DB824において特定する(Sb9)。基準位置を特定すると、隊員候補選択部814は、ステップSb1で選択した役割とステップSb3で選択したフロアとに隊員候補DB823において対応する複数の隊員候補者について、各自が携帯する携帯端末7の位置から、ステップSb9で特定した基準位置までの距離を算出する(Sb10)。そして、隊員候補選択部814は、基準位置に近い順に隊員候補者をリスト化し、その中で最も基準位置に近い隊員候補者を選択する(Sb11)。作成したリストは、後述する隊員候補再選択処理のために、例えばRAMに格納しておく。隊員候補者を選択すると、隊員候補選択部814は、上述したステップSb7に進む。
【0033】
上記のステップSb2において、選択した役割が初期消火班でない場合には、隊員候補選択部814は、ステップSb1で選択した役割に対応するフロアを隊員候補DB823において1つ選択する(Sb12)。フロアを選択すると、隊員候補選択部814は、ステップSb1で選択した役割とステップSb3で選択したフロアとに対応する基準位置を基準位置DB824において特定する(Sb13)。基準位置を特定すると、隊員候補選択部814は、初期消火班以外の役割の隊員候補者は、異状位置ではなく基準位置を起点に行動するため、ステップSb1で選択した役割とステップSb3で選択したフロアとに隊員候補DB823において対応する複数の隊員候補者について、各自が携帯する携帯端末7の位置から、ステップSb13で特定した基準位置までの距離を算出する(Sb14)。そして、隊員候補選択部814は、基準位置に近い順に隊員候補者をリスト化し、その中で最も基準位置に近い隊員候補者を選択する(Sb15)。作成したリストは、後述する隊員候補再選択処理のために、例えばRAMに格納しておく。隊員候補者を選択すると、隊員候補選択部814は、ステップSb1で選択した役割に対応するすべてのフロアについて隊員候補者を選択したか否かを判定する(Sb16)。この判定の結果、すべてのフロアについて隊員候補者を選択していない場合には、隊員候補選択部814はステップSb12に戻り、次のフロアについて隊員候補者を選択する。一方、この判定の結果、すべてのフロアについて隊員候補者を選択している場合には、隊員候補選択部814は、上述したステップSb8に進む。
以上が、隊員候補選択処理についての説明である。
【0034】
隊員候補選択処理が終了すると(Sa4)、役割指示送信部815は、ステップSa4で選択された隊員候補者が携帯する携帯端末7に対して、自衛消防隊の役割指示を送信する(Sa5)。その際、役割指示送信部815は、通知する役割に対応する作業内容情報を作業内容DB825から読み出して、役割指示とともに携帯端末7に対して送信する。そして、隊員登録部817は、携帯端末7を携帯する隊員の識別情報を、当該隊員が担う役割に対応付けて決定隊員DB826に登録する(Sa6)。
以上が、自衛消防隊編成処理についての説明である。
【0035】
次に、支援装置8により実行される隊員候補再選択処理について説明する。
図5は、隊員候補再選択処理の一例を示すフローチャートである。
【0036】
応答受信部816は、上記の自衛消防隊編成処理の結果、役割指示が送信された携帯端末7から、応答を受信すると(Sc1)、当該応答が役割への参加不可である旨を示すものであるか否かを判定する(Sc2)。この判定の結果、隊員候補者の何等かの理由に基づいて、参加不可である旨を示すものである場合には、隊員候補選択部814は、役割指示がなされた隊員候補者の代わりの隊員候補者を選択する(Sc3)。具体的には、役割指示がなされた隊員候補者が登録される、RAMに記憶されるリストを参照して、当該隊員候補者の次に基準位置(異状発生階の初期消火班の場合は、異状発生位置)に近い隊員候補者を選択する。隊員候補者が選択されると、役割指示送信部815は、ステップSc3で選択された代わりの隊員候補者が携帯する携帯端末7に対して、自衛消防隊の役割指示を送信する(Sc4)。そして、隊員登録部817は、携帯端末7を携帯する隊員の識別情報を、当該隊員が担う役割に対応付けて決定隊員DB826に登録する(Sc5)。
以上が、隊員候補再選択処理についての説明である。
【0037】
以上説明した支援システム200によれば、自衛消防隊員の各候補者の位置を考慮して自衛消防隊を編成することができる。特に、役割ごとに異なる基準位置との位置関係を考慮して自衛消防隊を編成することができる。また、役割指示した隊員候補者が参加不可の場合には、代わりの隊員候補者への役割指示を自動的に実行することができる。また、役割指示時に、担当する役割とその作業内容について併せて通知することができる。また、担当を依頼する役割が異状発生階の初期消火班である場合には、基準位置に代えて異状発生位置に近い隊員候補者に役割指示を行うことができる。
【0038】
次に、支援装置8により実行される、自衛消防活動中の応援要請に対する応援要員選択処理について説明する。
図6は、応援要員選択処理の一例を示すフローチャートである。
【0039】
支援装置8の応答受信部816が、携帯端末7からの応援要請を受信する機能も兼ね備えており、応答受信部816から応援要請を受信すると(Sd1)、異状発生位置特定部812は、その応援要請を送信してきた携帯端末7の役割から、異常発生位置に代わる応援位置を特定する(Sd2)。この応援位置の特定は、例えば、異状発生階の初期消火班であれば、異常発生位置であり、応急救護班であれば、救護活動位置としての携帯端末7の位置とすることができる。そして、端末位置情報取得部813は、決定隊員DB826に登録されている隊員を省いて、隊員候補DB823に記憶される各役割に対応する複数の隊員候補者が携帯する各携帯端末7の位置情報を取得する(Sd3)。各携帯端末7の位置情報が取得されると、隊員候補選択部814は、
図4の隊員候補選択処理(
図3のSa4)と同様に、取得された位置情報に基づいて応援要員の隊員候補選択処理を実行する(Sd4)。
【0040】
この隊員候補選択処理(Sd4)において、図示しないが、隊員候補選択部814は、まず、応援要請を送信してきた携帯端末7の役割およびフロアに従って、異常発生階の初期消火班である場合には、基準位置に代わる応援位置として異状発生位置を用い、
図4のステップSb5、Sb6と同様に、複数の隊員候補者について、各自が携帯する携帯端末7の位置から異状発生位置までの距離を算出し、異状発生位置に近い順に隊員候補者をリスト化し、その中で最も異状発生位置に近い隊員候補者を、応援要員として選択する。
【0041】
上記動作において、応援要請を送信してきた携帯端末7の役割が初期消火班以外の場合にも同様の処理で、例えば、応急救護班の場合には、応援要請を送信してきた携帯端末7の位置を救護活動位置として、基準位置に代わる応援位置とし、複数の隊員候補者の各自が携帯する携帯端末7の位置から応援位置までの距離を算出し、応援位置に近い順に隊員候補者をリスト化し、その中で最も応援位置に近い隊員候補者を、応援要員として選択する。他の役割についても、同様に活動している応援位置を特定し、応援要員を選択する。
【0042】
上記のように、隊員候補選択処理(Sd4)が終了すると、役割指示送信部815は、ステップSd4で選択された応援要員の候補者が携帯する携帯端末7に対して、応援要請を送信してきた携帯端末7を携帯する隊員の活動への応援指示を送信する(Sd5)。そして、隊員登録部817は、携帯端末7を携帯する隊員の識別情報を、当該隊員が応援する役割に対応付けて決定隊員DB826に登録する(Sd6)。
【0043】
次に、支援装置8により実行される応援要員再選択処理について説明する。
図7は、応援要員再選択処理の一例を示すフローチャートである。
【0044】
応答受信部816は、上記の応援指示が送信された携帯端末7から、応答を受信すると(Se1)、当該応答が応援不可である旨を示すものであるか否かを判定する(Se2)。この判定の結果、応援指示の候補者が何等かの理由に基づいて、参加不可である旨を示すものである場合には、隊員候補選択部814は、
図5のステップSc3と同様の処理を行って、応援指示がなされた隊員候補者の代わりの隊員候補者を選択する(Se3)。応援要員の候補者が選択されると、役割指示送信部815は、ステップSe3で選択された代わりの隊員候補者が携帯する携帯端末7に対して、応援要請を送信してきた携帯端末7を携帯する隊員の活動への応援指示を送信する(Se4)。そして、隊員登録部817は、携帯端末7を携帯する隊員の識別情報を、当該隊員が担う役割に対応付けて決定隊員DB826に登録する(Se5)。
【0045】
以上説明した支援システム200によれば、自衛消防隊員の各候補者の位置を考慮して自衛消防隊の活動における人員不足を応援することができる。特に、基準位置に代わる応援位置を用い、役割ごとに異なる応援位置との位置関係を考慮して応援要員を選定することができる。また、応援指示した隊員候補者が参加不可の場合には、代わりの隊員候補者への応援指示を自動的に実行することができる。また、応援要請が異状発生階の初期消火班である場合には、応援位置として異状発生位置に近い隊員候補者に応援指示を行うことができる。
【0046】
なお、上記のような自衛消防隊の応援要請に対する動作において、応援指示する隊員の候補者を、決定隊員DB826に登録されている隊員を省いて、隊員候補DB823に記憶される隊員候補者としているが、これに限らず、例えば、決定隊員DB826に登録されている隊員のうち、手の空いている隊員とすることも可能である。この場合、編成された自衛消防隊の各隊員のうち役割指示された活動を完了している隊員から手が空いているという情報を携帯する携帯端末7から情報収集可能としておき、その情報を決定隊員DB826に登録しておくことで、すでに役割指示を受けている各隊員の手の空き状況を把握することができる。こういった手の空き状況の情報は、実際に手が空いた隊員が携帯する携帯端末7を操作して情報を送信し、空き有を登録できるようにしておけば足り、さらに、各隊員の全員に手の空きがない場合もあり、そのときには、改めて隊員候補DB823に記憶される隊員候補者(決定隊員DB826に登録されている隊員を省く)を対象とすることができる。
【0047】
また、応援要請の情報に人数を含めることも可能であり、その場合、必要な人数まで隊員候補者の選定を行えばよい。
【0048】
さらに、支援装置8の応答受信部816が受信する応援要請は、自衛消防隊の各役割からでなく、火災発生階を含む各フロアの指揮班や自衛消防隊の本部(通常は防災センター(建物を管理する部屋など)に設置される)の携帯端末7からも受付けることとし(あるいは、受付けを指揮班や本部に限定することも可能)、その場合、応援要請する携帯端末7への入力内容として、場所(フロア)と役割とを情報として入力したうえで応援要請を送信することが好ましい。
【0049】
2.変形例
上記の実施形態は下記のように変形してもよい。また、下記の変形例は他の1以上の変形例と組み合わせてもよい。
【0050】
<変形例1>
上記の実施形態に係る隊員候補DB823、基準位置DB824、作業内容DB825及び決定隊員DB826では、フロア単位で情報が格納されることが想定されているが、フロア以外の区画(例えば、部屋、テナント)単位で情報が格納されてもよい。また、これのデータベースでは、初期消火班、避難誘導班、安全防護班、通報連絡班、応急救護班、非常持出班等の役割ごとに情報が格納されることが想定されているが、さらに細分化された役割ごとに情報が格納されてもよい。例えば、初期消火班を、水を出すために消火栓のバルブを開くバルブ担当、ホースがからまらないようにするホース担当、異状位置に向けて放水するノズル担当の3つの役割に細分化して、各役割について情報を格納するようにしてもよい。
【0051】
<変形例2>
上記の実施形態に係る携帯端末7では、無線LANのアクセスポイントから発信されるビーコン信号を利用して測位が行われているが、PDR(歩行者デッドレコニング)を併用してもよい。または、他の測位技術が用いられてもよい。例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を利用した測位方式や、IMES(Indoor Messaging System)を利用した測位方式や、音波信号を利用した測位方式を採用してもよい。
【0052】
<変形例3>
上記の実施形態に係る自衛消防隊編成処理では、火災受信機3から異状信号が受信されてから、支援装置8において、各携帯端末7の位置情報の取得が行われているが、位置情報の取得は支援装置8において定期的に行われていてもよい。
【0053】
<変形例4>
上記の実施形態に係る感知手段が感知する異状は火災やガス漏れであったが、他の異状を感知するようにしてもよい。例えば、漏電や水漏れや地震などを感知するようにしてもよい。
【0054】
<変形例5>
上記の実施形態に係る支援装置8が備える機能の全部又は一部は、火災受信機3により提供されてもよい。その場合、火災受信機3は、支援システム200を構成する。