特許第6761909号(P6761909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761909
(24)【登録日】2020年9月9日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 5/06 20060101AFI20200917BHJP
   G05G 5/04 20060101ALI20200917BHJP
   B60K 20/02 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   G05G5/06 C
   G05G5/04 B
   B60K20/02 E
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-540759(P2019-540759)
(86)(22)【出願日】2018年4月24日
(86)【国際出願番号】JP2018016640
(87)【国際公開番号】WO2019049419
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2020年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2017-173469(P2017-173469)
(32)【優先日】2017年9月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】武田 裕
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/090293(WO,A1)
【文献】 実開平5−43213(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 5/00
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより傾動操作される操作レバーと、
前記操作レバーを保持する保持部材と、
前記操作レバーの傾動を規制するロック部材と、
駆動源と、
前記駆動源により駆動され、前記保持部材を、前記操作レバーを前記傾動操作された位置に保持する保持ポジションと、前記操作レバーを前記傾動操作された位置から所定の位置へ復帰する復帰ポジションと、の間で移動させる保持駆動機構と、
前記駆動源により駆動され、前記ロック部材を、前記操作レバーの前記傾動を規制するロックポジションと、前記操作レバーの前記傾動の規制を解除する解除ポジションと、の間で移動させるロック駆動機構と、
を備え、
前記保持駆動機構と前記ロック駆動機構とが、前記駆動源によりそれぞれ異なるタイミングで駆動される
操作装置。
【請求項2】
前記駆動源に駆動され、第1区間及び第2区間を直線的に移動するラックを備え、
前記ラックが前記第1区間を移動する間、前記ラックを介して前記駆動源が前記保持駆動機構を駆動し、
前記ラックが前記第2区間を移動する間は、前記駆動源が前記ロック駆動機構を駆動し、前記ラックは前記駆動源からの駆動力を前記保持駆動機構に伝達しない
請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記保持駆動機構は、前記ラックが前記第2区間を移動する間、前記保持部材を前記保持ポジションで保持する
請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記ロック駆動機構は、前記ラックが前記第1区間を移動する間、前記ロック部材を前記解除ポジションで保持する
請求項2又は請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記ラック及び前記保持駆動機構の一方は、前記ラック及び前記保持駆動機構の移動方向に対して垂直な方向に突出した凸部を有し、
前記ラック及び前記保持駆動機構の他方は、前記凸部が挿通される前記第2区間に対応した開口部を有し、
前記ラックの前記第1区間での移動に応じて前記凸部が前記開口部の内壁を押圧して移動することにより、前記保持部材を上下方向に移動させる昇降部を有する摺動部と、
を備える請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記ロック駆動機構は、
前記駆動源により駆動され、一方の面に回転軸に垂直な方向に延びる平坦部を含むカム面を有するギアと、
前記カム面に沿って上下方向に移動する接触子と、
前記接触子と前記ロック部材とを連結し、前記ロック部材を前記接触子と反対方向に移動させる連結部と、
を備える請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項7】
前記ロック駆動機構は、
前記ラックが前記第1区間を移動する間、前記カム面の前記平坦部と前記接触子とが接触した状態で前記ロック部材を前記解除ポジションで保持する
請求項6に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のポジションで保持可能な操作レバーを備えた操作装置(シフト装置など)が利用されている。このような操作装置として、所定のタイミングで、操作レバーを所定のポジションに自動で復帰させる機構と、操作レバーが所定のポジションに移動しないように規制する機構と、を備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−132957号公報
【特許文献2】特表2009−500238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の操作装置は、2つの機構を駆動するために、2つの駆動源が必要であった。2つの駆動源を搭載すると、操作装置の製造コストや重量が増大するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、1つの駆動源により操作レバーの自動復帰及び規制が可能な操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る操作装置は、ユーザにより傾動操作される操作レバーと、前記操作レバーを保持する保持部材と、前記操作レバーの傾動を規制するロック部材と、駆動源と、前記駆動源により駆動され、前記保持部材を、前記操作レバーを前記傾動操作された位置に保持する保持ポジションと、前記操作レバーを前記傾動操作された位置から所定の位置へ復帰する復帰ポジションと、の間で移動させる保持駆動機構と、前記駆動源により駆動され、前記ロック部材を、前記操作レバーの前記傾動を規制するロックポジションと、前記操作レバーの前記傾動の規制を解除する解除ポジションと、の間で移動させるロック駆動機構と、を備え、前記保持駆動機構と前記ロック駆動機構とが、前記駆動源によりそれぞれ異なるタイミングで駆動される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の各実施形態によれば、1つの駆動源により操作レバーの自動復帰及び規制が可能な操作装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】操作装置の一例を示す外観斜視図。
図2図1の操作レバーを示す斜視図。
図3図1の操作装置の内部構成を示す斜視図。
図4図3の上ケースを示す平面図。
図5】保持ポジションに位置する保持部材の部分拡大図。
図6】復帰ポジションに位置する保持部材の部分拡大図。
図7】解除ポジションに位置するロック部材の部分拡大図。
図8】第1ロックポジションに位置するロック部材の部分拡大図。
図9】第2ロックポジションに位置するロック部材の部分拡大図。
図10】駆動機構を示す底面図。
図11】駆動機構を示す正面図。
図12】駆動機構を示す背面図。
図13】ギアのカム面を示す斜視図。
図14A】操作装置の状態遷移を示す図
図14B】操作装置の状態遷移を示す図
図15A】操作装置の状態遷移を示す図
図15B】操作装置の状態遷移を示す図
図16A】操作装置の状態遷移を示す図
図16B】操作装置の状態遷移を示す図
図17A】操作装置の状態遷移を示す図
図17B】操作装置の状態遷移を示す図
図18】eポジションで復帰部に接触した接触部を示す部分拡大図
図19】Hポジションで復帰部に接触した接触部を示す部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重畳した説明を省略する。また説明の便宜上、上下を用いて方向を規定している場合があるが、これは各実施形態の設置状態や使用状態を規定するものではなく、相対的な位置関係が保たれていればどのような方向に設置されても良いものである。
【0010】
一実施形態に係る操作装置100について、図1図19を参照して説明する。本実施形態に係る操作装置100は、複数のポジションで保持される傾動可能な操作レバー1を備えた装置である。操作装置100は、車載のシフト装置やストークスイッチ(方向指示器)などに適用できる。以下、操作装置100がシフト装置である場合を例に説明する。
【0011】
まず、操作装置100の構成について説明する。図1は、操作装置100の一例を示す外観斜視図である。図1の操作装置100は、操作レバー1と、ソケット2と、筐体3と、を備える。
【0012】
操作レバー1は、車両のギアを切り替えるためにユーザにより傾動操作される部分であり、いわゆる、シフトレバーやセレクトレバーに相当する。操作レバー1は、傾動可能であり、それぞれ異なるギアに対応する複数のポジションの中から、ユーザの操作に応じたポジションで保持される。ユーザは、操作レバー1を所望のギアに対応するポジションに移動させることにより、車両のギアを所望のギアに切り替えることができる。
【0013】
図2は、図1の操作レバー1を示す斜視図である。図2の操作レバー1は、シャフト11と、球体部12と、接続部13と、アクチュエータ14と、を備える。
【0014】
シャフト11は、ユーザにより傾動される金属製の棒状部材である。シャフト11は、球体部12より上側の部分(以下単に「上部」という。)が、ソケット2の上面から筐体3の外側に露出する。シャフト11の上端には、ユーザが握りやすくするためのノブが設けられてもよい。
【0015】
球体部12は、シャフト11に固定された樹脂製の球状部材である。球体部12は、例えば、その中心をシャフト11の上部の軸方向(図2の略上下方向)が通るように配置される。球体部12は、ソケット2と共にボールジョイントを構成する。シャフト11は、このボールジョイントにより、傾動可能に保持される。すなわち、球体部12は、操作レバー1(シャフト11)の傾動中心に相当する。
【0016】
接続部13は、球体部12及びアクチュエータ14を接続する樹脂製部材であり、シャフト11に固定される。球体部12、接続部13、及び後述するアクチュエータ14の基部141は、一体に形成される。接続部13は、シャフト11に固定された第1部分131と、第1部分から側方に延びる第2部分132と、を有する。
【0017】
アクチュエータ14は、接続部13の第2部分132の先端に設けられ、シャフト11と一体に傾動する樹脂製部材である。アクチュエータ14は、第2部分132の先端に設けられた中空の基部141と、基部141に嵌合した中空の接触部142と、を備える。
【0018】
接触部142は、アクチュエータ14の軸方向(図2の略上下方向)に摺動可能な部材であり、基部141及び接触部142の内側に設けられた圧縮コイルばねにより、アクチュエータ14の軸方向の外側(基部141から離れる向き)に向かって付勢(bias)される。アクチュエータ14は、例えば、その軸方向が球体部12の中心を通るように配置される。ユーザが操作レバー1を傾動操作すると、接触部142は、保持ポジションに位置する保持部材5に接触しながら、シャフト11と一体に傾動する。
【0019】
ソケット2は、球体部12を保持する部材であり、筐体3の上面に設けられる。ソケット2は、上述の通り、球体部12と共にボールジョイントを構成する。ソケット2は、操作レバー1のシャフト11が挿通可能な貫通孔を有する。
【0020】
筐体3は、略直方体であり、上面にソケット2を設けられる。筐体3は、例えば、車両の2つの前部座席の間に固定される。
【0021】
次に、操作装置100の内部構成について説明する。図3は、図1の操作装置100の内部構成を示す斜視図である。図3は、図1から筐体3を除いた図に相当する。操作装置100は、筐体3の内部に、ケース4と、保持部材5と、復帰部6と、モータ7と、駆動機構8と、ロック部材9と、を備える。
【0022】
ケース4は、筐体3の内部構成を保持する樹脂製部材である。ケース4は、略直方体であり、筐体3に固定される。ケース4は、上側を構成する上ケース4Uと、下側を構成する下ケース4Dと、を備える。上ケース4U及び下ケース4Dは、スナップ結合により結合される。下ケース4Dの上面(ケース4の内部)及び下ケース4Dの下面には、保持部材5及びロック部材9を上下に移動させる駆動機構8が設けられる。駆動機構8については、後述する。
【0023】
図4は、図3の上ケース4Uの平面図である。図4に示すように、上ケース4Uは、復帰部6と、開口部41と、ガイド部42と、開口部43と、を有する。復帰部6については後述する。
【0024】
開口部41は、上ケース4Uの上面に形成された貫通孔であり、保持部材5を上ケース4Uの上面に露出させる。開口部41は、保持部材5の平面視形状と略同一の平面視形状を有する。
【0025】
ガイド部42は、上ケース4Uの上面に形成された貫通孔であり、操作レバー1のシャフト11の下端が挿通され、シャフト11の傾動をガイドする。すなわち、シャフト11は、ガイド部42の形状に沿って傾動する。ガイド部42は、それぞれ異なるギアに対応する複数のポジションを有する。図4の例では、ガイド部42の左列上端は「a」、左列中央は「b」、左列下端は「c」、中列上端は「d」、中列下端は「H」(Home)、右列上端は「e」、右列下端は「f」に対応する。a〜fは「D」(Drive)や「N」(Neutral)、「R」(Reverse)などのギアポジションに適宜割り当てられる。以下、ギアXに対応するポジションを、Xポジションと称する。
【0026】
ユーザが操作レバー1を傾動操作すると、車両のギアは、シャフト11の下端が位置するポジションに対応するギアに切り替えられる。例えば、シャフト11の下端がガイド部42のポジション(中列上端)に位置する場合、車両のギアは「d」に切り替えられる。なお、ガイド部42の形状及び各ギアに対応するポジションの配置は、図4の例に限られない。
【0027】
開口部43は、上ケース4Uの上面に形成された貫通孔であり、下ケース4Dに固定されたモータ7を挿通される。モータ7がケース4の内部に収納可能な場合、開口部43は形成されなくてもよい。
【0028】
保持部材5は、アクチュエータ14の接触部142と接触することにより、当該接触部142を保持する樹脂製部材である。保持部材5が接触部142を保持することにより、操作レバー1が保持される。保持部材5は、その上面に、ガイド部42と対応する形状を有し、接触部142が接触しながら摺動する摺動路51を有する。摺動路51は、それぞれ異なるギアに対応する複数のポジションを有する。図4の例では、摺動路51の左列上端は「a」、左列中央は「b」、左列下端は「c」、中列上端は「d」、中列下端は「H」、右列上端は「e」、右列下端は「f」に対応する。
【0029】
保持部材5の各ポジションには、そこに接触した接触部142の先端部142Aを保持する凹部がそれぞれ形成される。言い換えると、保持部材5の各ポジションの間には、それぞれ凸部が形成される。ユーザが操作レバー1をあるポジションから他のポジションへ傾動操作すると、接触部142は、先端部142Aが2つのポジションの間に形成された凸部を乗り越え、操作感(クリック感)が発生する。この操作感により、ユーザは、操作レバー1のポジションが移動し、ギアが切り替わったことを容易に把握できる。
【0030】
保持部材5は、摺動路51に接触部142の先端部142Aが接触可能なようにケース4の内部に設けられる。具体的には、保持部材5は、摺動路51が上ケース4Uの上面に露出するように、ケース4の内部に設けられる。また、保持部材5は、シャフト11の下端が位置するポジションに対応するギアと、接触部142が位置するポジションに対応するギアと、が一致するように、摺動路51を形成され、ケース4の内部に配置される。すなわち、シャフト11の下端がガイド部42のXポジションに位置する場合、接触部142の先端部142Aも摺動路51のXポジションに位置する。
【0031】
また、保持部材5は、保持ポジションと、復帰ポジションと、の間を移動する。ここで、図5は、保持ポジションに位置する保持部材5の部分拡大図であり、図6は、復帰ポジションに位置する保持部材5の部分拡大図である。
【0032】
図5及び図6に示すように、保持ポジションは、復帰ポジションより上方のポジションであり、保持部材5が接触部142と接触するポジションである。保持部材5は、保持ポジションに位置する場合、摺動路51が接触部142の先端部142Aと接触し、当該接触部142を保持した状態で、操作レバー1を傾動操作された位置に保持する。
【0033】
一方、復帰ポジションは、保持ポジションより下方のポジションであり、接触部142と離間する(接触しない)ポジションである。保持部材5は、復帰ポジションに位置する場合、接触部142と離間し、操作レバー1を所定の位置に復帰させる。
【0034】
復帰部6は、保持部材5の外周を囲むように設けられ、保持部材5が保持ポジションから復帰ポジションに移動した際に、接触部142の斜面部142Bと接触し、当該接触部142を所定のポジションに誘導し、当該所定のポジションで保持する樹脂製部材である。すなわち、復帰部6は、保持部材5が復帰ポジションに移動した際に、操作レバー1を所定のポジションに自動的に復帰させる。図4の例では、所定のポジションは、Hポジションであるが、これに限られない。
【0035】
復帰部6は、上ケース4Uの上面に、上ケース4Uと一体に形成される。復帰部6は、斜面61A〜61Eを有する。以下、61A〜61Eを区別しない場合、斜面61と称する。斜面61は、開口部41の周縁部に設けられ、そこに接触した接触部142の斜面部142Bが、圧縮コイルばねの付勢力に対する斜面61からの反力により所定のポジションに移動するように形成される。
【0036】
具体的には、斜面61Aは、fポジションに位置する接触部142をeポジションに移動させる。斜面61Bは、dポジション及びeポジションに位置する接触部142をHポジションに移動させるとともに、接触部142をHポジションで保持する。斜面61Cは、bポジションに位置する接触部142をdポジションに移動させる。斜面61dは、aポジションに位置する接触部142をbポジションに移動させる。斜面61Eは、cポジションに位置する接触部142をbポジションに移動させる。
【0037】
保持部材5が保持ポジションに位置する場合、操作レバー1は、接触部142が保持部材5により保持された状態で、いずれかの位置(ポジション)で保持される。保持部材5が保持ポジションから復帰ポジションに移動すると、操作レバー1は、先端部142Aが保持部材5から離間し、斜面部142Bが保持部材5の外周に隣接して設けられた斜面61に接触し、圧縮コイルばねによる付勢力に対する反力により、つぎつぎと隣のポジションへ移動し、最終的に所定の位置(図4の例ではHポジション)まで移動する。操作レバー1は、所定の位置まで復帰すると、当該所定の位置に対応した斜面61に斜面部142Bが接触した状態で保持される。
【0038】
モータ7は、駆動機構8を駆動する駆動源である。モータ7は、下ケース4Dに固定される。モータ7は、外部の制御回路(ECU(Electronic Control Unit)など)からの制御信号に従って回転し、駆動機構8を駆動する。制御回路は、操作装置100に含まれてもよい。
【0039】
ロック部材9は、操作レバー1が対象ポジションに移動しないように、その傾動を規制する部材であり、ガイド部42の下方に配置される。ロック部材9は、底部91と、規制部92と、を有する。規制部92は、操作レバー1が傾動して対象ポジションへ移動しないように、シャフト11の先端の移動を規制する部分である。規制部92は、底部91から上方に突出するように形成される。本実施形態において、対象ポジションは、eポジション、fポジション、及びdポジションであり、ロック部材9は、eポジション及びfポジションへの移動を規制する規制部92Aと、dポジションへの移動を規制する、規制部92Aより低い規制部92Bと、を有する。
【0040】
また、ロック部材9は、解除ポジションと、第1ロックポジションと、第2ロックポジションと、の間を移動する。第1ロックポジション及び第2ロックポジションを区別しない場合、単にロックポジションと称する。ここで、図7は、解除ポジションに位置するロック部材9の部分拡大図であり、図8は、第1ロックポジションに位置するロック部材9の部分拡大図であり、図9は、第2ロックポジションに位置するロック部材9の部分拡大図である。
【0041】
図7図9に示すように、解除ポジションは、第1ロックポジション及び第2ロックポジションより下方のポジションである。より詳細には、図7に示すように、解除ポジションは、規制部92A,92Bが、シャフト11の先端より下方に位置するポジションである。ロック部材9が解除ポジションに位置する場合、シャフト11の先端の移動がロック部材9に規制されないため、操作レバー1は自由に傾動できる。すなわち、ロック部材9が解除ポジションに位置する場合、操作レバー1の規制が解除される。
【0042】
図7図9に示すように、第1ロックポジションは、解除ポジションより上方、かつ、第2ロックポジションより下方のポジションである。より詳細には、図8に示すように、第1ロックポジションは、規制部92Aがシャフト11の先端より上方に位置し、規制部92Bがシャフト11の先端より下方に位置するポジションである。ロック部材9が第1ロックポジションに位置する場合、シャフト11の先端の移動が規制部92Aにより規制されるため、操作レバー1はeポジション及びfポジションに傾動することができない。すなわち、ロック部材9が第1ロックポジションに位置する場合、操作レバー1のeポジション及びfポジションへの傾動が規制される。
【0043】
図7図9に示すように、第2ロックポジションは、解除ポジション及び第1ロックポジションより上方のポジションである。より詳細には、図9に示すように、第1ロックポジションは、規制部92A,92Bがシャフト11の先端より上方に位置するポジションである。ロック部材9が第2ロックポジションに位置する場合、シャフト11の先端の移動が規制部92A,92Bにより規制されるため、操作レバー1はeポジション、fポジション、及びdポジションに傾動することができない。すなわち、ロック部材9が第2ロックポジションに位置する場合、操作レバー1のeポジション、fポジション、及びdポジションへの傾動が規制され、Hポジションにロックされる。
【0044】
次に、駆動機構8について説明する。図10は駆動機構8を示す底面図、図11は駆動機構8を示す正面図、図12は駆動機構8を示す背面図である。以下、図11における左右方向を、操作装置100の左右方向として説明する。
【0045】
駆動機構8は、保持部材5を保持ポジションと復帰ポジションとの間で移動させ、ロック部材9をロックポジションと解除ポジションとの間で移動させる機構である。図10図12の例では、保持部材5は保持ポジションに位置し、ロック部材9は第2ロックポジションに位置する。図10図12に示すように、駆動機構8は、ギア81A〜81Cと、ラック82と、摺動部83と、付勢部84と、接触子85と、連結部86と、付勢部87と、を備える。
【0046】
摺動部83、及び付勢部84は、保持部材5を保持ポジションと復帰ポジションとの間で移動させる保持駆動機構を構成する。また、ギア81C、接触子85、連結部86、及び付勢部87は、ロック部材9をロックポジションと解除ポジションとの間で移動させるロック駆動機構を構成する。
【0047】
ギア81A〜81Cは、図10に示すように、互いに噛み合った状態で下ケース4Dの下面に回転可能に設けられ、駆動源であるモータ7の回転を減速して駆動力を増幅した状態でラック82に伝達する。具体的には、ギア81A〜81Cは、モータ7側からギア81A、ギア81B、ギア81Cの順で噛み合った状態で配置される。以下、ギア81A〜81Cを区別しない場合、ギア81と称する。ギア81の数は、3つに限られない。
【0048】
ラック82は、ギア81C(ピニオンギア)と噛み合った状態で、下ケース4Dの下面に、左右方向に直線的に移動可能に設けられる。モータ7が回転すると、ラック82は、当該回転の方向に応じた方向に、直線的に移動する。すなわち、ラック82は、いわゆるラックアンドピニオン機構の原理でモータ7により駆動される。図11に示すように、ラック82は、ラック82の移動方向に垂直な方向(図11では図面の視線方向)に突出した凸部821を有する。
【0049】
摺動部83は、ラック82の移動に応じて左右方向に移動することにより、保持部材5を保持ポジションと復帰ポジションとの間で移動させる部材である。摺動部83は、図11に示すように、下ケース4Dの上面と自身の下面とが左右方向に摺動可能に設けられた昇降部831と、昇降部831の下面から下方に突出するように設けられた連結部832と、を備える。
【0050】
昇降部831は、上面及び下面が水平で右端にスロープ部が形成された略台形状をしており、保持部材5の下面を上面に支持しながら摺動可能なように配置される。保持部材5が下方の復帰ポジションにある状態で昇降部831が右方に摺動すると、保持部材5は、スロープ部に沿って上方に向かって摺動しながら移動した後、図11の例のように、昇降部831の上面の所定の位置まで移動して、自身の下面を昇降部831の上面に支持される。昇降部831の上面で支持された保持部材5の位置は、保持部材5の保持ポジションに相当する。一方、昇降部831が左方に摺動すると、保持部材5はスロープ部に沿って昇降部831から下降し、下ケース4Dの上面の所定の位置まで移動して、自身の下面を下ケース4Dの上面に支持される。下ケース4Dの上面で支持された保持部材5の位置は、復帰ポジションに相当する。すなわち、保持部材5は、昇降部831の左右方向の摺動に応じて、昇降部831の上面と下ケース4Dの上面との間を昇降(上下方向に移動)し、保持ポジションと復帰ポジションとの間を移動する。
【0051】
連結部832は、図11に示すように、ラック82に対向する面に、ラック82の凸部821が挿通される開口部833を有する。開口部833は、左右方向に延びた貫通孔であり、その内側で凸部821が左右方向に移動する。
【0052】
モータ7が回転し、ラック82が左右方向に移動すると、凸部821が開口部822内を移動した後に開口部822の内壁を押圧し、連結部832を左右方向に移動させる。これにより、連結部832と一体に形成された昇降部831が左右方向に摺動する。なお、本実施形態では、ラック82側に凸部821を設け、連結部832側に開口部833を設けたが、ラック82側に開口部833を設け、連結部側に凸部821を設けてもよい。
【0053】
付勢部84は、左端を下ケース4Dの側面に固定され、右端を昇降部831の左端に固定された圧縮コイルばねであり、昇降部831を右方に向かって付勢する。
【0054】
接触子85は、ギア81Cのカム面88に接触するように、ギア81Cの上部に配置される。接触子85は、上ケース4Uにより、上下方向に移動可能なように支持される。ギア81Cが回転すると、接触子85は、カム面88に沿って上下方向に移動する。
【0055】
ここで、図13は、ギア81Cのカム面88を示す斜視図である。図13に示すように、カム面88は、ギア81Cの上面から上方に突出し、ギア81Cの回転軸を中心とする円環状部分の上面であり、ギア81Cの上面から延びるスロープ部881と、スロープ部881の上端から回転軸に対して垂直な方向に延びる平坦部882と、を有する。スロープ部881の下端部883は、第2ロックポジションに対応し、スロープ部881の中腹部884は、第1ロックポジションに対応し、スロープ部881の上端部885及び平坦部882は、解除ポジションに対応する。すなわち、接触子85が下端部883に接触する場合、ロック部材9は第2ロックポジションに位置し、接触子85が中腹部884に接触する場合、ロック部材9は第1ロックポジションに位置し、接触子85が上端部885又は平坦部882に接触する場合、ロック部材9は解除ポジションに位置する。なお、下端部883、中腹部884、及び上端部885は、図13に示すように、凹部であるのが好ましい。これにより、接触子85が接触した際にギア81Cの回転方向の位置が凹部によって維持されるため、モータ7に加わる負荷を抑制することができる。
【0056】
連結部86は、接触子85と、ロック部材9と、を連結し、ロック部材9を接触子85と反対方向に移動させる棒状部材であり、一端が接触子85の上端に接触し、他端がロック部材9の底部91の上面に接触するように配置される。連結部86は、上下方向に回転可能なように、中央部に軸部を有し、当該軸部を上ケース4Uにより支持される。
【0057】
付勢部87は、下端を下ケース4Dの上面に固定され、上端をロック部材9の底部91の下面に固定された圧縮コイルばねであり、ロック部材9を上方に向かって付勢する。
【0058】
次に、ラック82の移動範囲について説明する。ラック82の移動範囲には、第1区間及び第2区間が含まれる。
【0059】
第1区間は、ラック82を介して駆動源(モータ7)が保持駆動機構を駆動し、保持部材5を保持ポジションと復帰ポジションとの間で移動させる区間である。具体的には、図11の開口部833の左側内壁と凸部821とが接触する位置より左側の区間、すなわち、ラック82の凸部821が開口部833の左側内壁を左方に押圧する区間である。ラック82が第1区間を移動すると、摺動部83は、ラック82の移動に応じて移動する。これにより、保持部材5が上下方向に移動する。
【0060】
カム面88の平坦部882は、ラック82が第1区間を移動する間、接触子85と接触するように形成される。これにより、ラック82が第1区間を移動する間、接触子85は、平坦部882に接触し、ロック部材9が解除ポジションで保持される。つまり、カム面88の平坦部882は、ラック82が第1区間を移動する間、ロック駆動機構を駆動させない(ロック部材9を移動させない)ための駆動力伝達経路における遊びに相当する。
【0061】
第2区間は、ラック82がロック駆動機構を駆動し、ロック部材9を解除ポジションとロックポジションとの間で移動させる区間である。具体的には、図11の開口部833の左側内壁と凸部821とが接触する位置より右側の区間、すなわち、ラック82の凸部821が開口部833の左側内壁を左方に押圧しない区間である。第2区間は、第1区間より右側の移動範囲に相当する。ラック82が第2区間を移動すると、摺動部83は、移動範囲の右端から移動せず、図11に示すように、保持部材5は保持ポジションで保持される。開口部833により、ラック82が第2区間を移動する間、ラック82は駆動源(モータ7)からの駆動力を保持駆動機構に伝達しない。つまり、開口部833は、ラック82が第2区間を移動する間、保持駆動機構を駆動させない(保持部材5を移動させない)ための駆動力伝達経路における遊びに相当する。
【0062】
カム面88のスロープ部881は、ラック82が第2区間を移動する間に接触子85が下端部883から上端部885まで移動するように形成される。これにより、ラック82が第2区間を移動する間に、ロック部材9が第2ロックポジションから解除ポジションまで移動する。
【0063】
次に、操作装置100の動作について説明する。本実施形態において、車両の原動機(エンジン又はモータ)の動作中、保持部材5は、保持ポジションに位置し、ロック部材9は、第1ロックポジション、第2ロックポジション、及び解除ポジションのいずれかに位置する。一方、原動機の停止動作中は、まず、ロック部材9が、解除ポジションに移動して操作レバー1をフリーな状態にし、次に、保持部材5が、復帰ポジションに移動して操作レバー1を所定の位置に復帰させる。操作レバー1の復帰後に原動機を停止する際は、保持部材5が保持ポジションに戻り、ロック部材9が第2ロックポジションに戻ってから原動機を停止しても良い。
【0064】
図14A図17Bは、操作装置100の状態遷移を示す図である。図14A図17Bは、操作装置100の内部構成(ケース4を除く)を示しており、図14A,15A,16A,17Aは正面図、図14B,15B,16B,17Bは背面図である。また、図14A図16Bは、原動機の動作中の操作装置100を示し、図17A,17Bは、原動機が停止動作中の操作装置100を示している。なお、ラック82等の部品の位置は、図示してない検出手段(メカスイッチ、光センサ、磁気センサ等)により直接検出してもよいし、各部品の基準位置と移動方向に回転したモータ7の回転総数から算出してもよい。また、モータ7は、図示していない制御部によって回転の開始や停止のタイミング、また回転の方向や速度等を制御することができる。
【0065】
図14A,14Bは、ラック82が第2区間の右端に位置する場合の操作装置100を示す図である。ラック82が第2区間の右端(第2ロックポジションに対応する位置)に位置する場合、摺動部83は、自身の移動可能範囲の右端に位置し、保持部材5は、昇降部831の上部、すなわち、保持ポジションに位置する。したがって、接触部142は、保持部材5のいずれかのポジションに接触し、操作レバー1は、当該ポジションで保持される。また、接触子85は、スロープ部881の下端部883に接触し、ロック部材9が最も高いポジションである第2ロックポジションに位置する。
【0066】
図15A,15Bは、ラック82が第2区間の中央部に位置する場合の操作装置100を示す図である。モータ7が回転し、ラック82が第2区間の右端(図14A,14B参照)から左方に移動すると同時に、ギア81Cが駆動され、ギア81Cが回転し、接触子85が下端部883からスロープ部881に沿って上昇する。接触子85が上昇すると、連結部86の一端が接触子85に押し上げられて上昇し、連結部86の他端が下降する。連結部86の他端が下降すると、ロック部材9は連結部86の他端に押し下げられ、最も高いポジションである第2ロックポジションから下降する。ラック82が第2区間の中央部(第1ロックポジションに対応する位置)まで移動すると、接触子85は、スロープ部881の中腹部884に接触し、ロック部材9が中間の高さのポジションである第1ロックポジションに移動する。なお、ラック82が第2区間の右端から第2区間の中央部までの区間を移動する間、ラック82の凸部821は、開口部833内の空間を移動しており、ラック82の凸部821が開口部833の内壁を押圧しないため、摺動部83は左右方向に移動しない。したがって、保持部材5は、保持ポジションに保持されたままである。
【0067】
図16A,16Bは、ラック82が第2区間の左端に位置する場合の操作装置100を示す図である。モータ7が回転し、ラック82が第2区間の中央部(図15A,15B参照)から第2区間の左方に移動すると同時に、ギア81Cが駆動され、ギア81Cが回転し、接触子85が中腹部884からスロープ部881に沿って上昇する。接触子85が上昇すると、連結部86の一端が接触子85に押し上げられて上昇し、連結部86の他端が下降する。連結部86の他端が下降すると、ロック部材9は連結部86の他端に押し下げられ、中間の高さのポジションである第1ロックポジションからさらに下降する。ラック82が第2区間の左端(解除ポジションに対応する位置)まで移動すると、接触子85は、スロープ部881の上端部885に接触し、ロック部材9が最も低いポジションである解除ロックポジションに移動する。なお、ラック82が第2区間の中央部から第2区間の左端までの区間を移動する間、ラック82の凸部821は、開口部833内の空間を移動しており、ラック82の凸部821が開口部833の内壁を押圧しないため、摺動部83は左右方向に移動しない。したがって、保持部材5は、保持ポジションに保持されたままである。
【0068】
図17A,17Bは、ラック82が第1区間の左端に位置する場合の操作装置100を示す図である。原動機が停止動作を開始すると、モータ7が回転し、ラック82が第2区間の左端(図16A,16B参照)から左方に移動する、すなわち、第1区間を左方に移動すると同時に、ギア81Cが駆動され、ギア81Cが回転する。ギア81Cが回転すると、接触子85が接触するカム面88は、上端部885から平坦部882に移行するため、接触子85は上下方向に移動しない。したがって、ロック部材9は、最も低いポジションである解除ポジションに保持されたままである。
【0069】
一方、ラック82が第1区間を左方に移動すると、ラック82の凸部821により開口部833の左側内壁が左方に押圧され、摺動部83が左方に移動する。摺動部83が左方に移動すると、保持部材5が、昇降部831の右端に設けられたスロープ部に沿って下降する。ラック82が第1区間の左端(復帰ポジションに対応する位置)まで移動すると、摺動部83が自身の移動可能範囲の左端に位置し、保持部材5が昇降部831の上面から下ケース4Dの上面、すなわち、復帰ポジションまで下降する。保持部材5が復帰ポジションまで下降すると、保持部材5は、操作レバー1の接触部142から離間し、接触部142は、復帰部6の斜面61によりHポジションに誘導される。これにより、操作レバー1は、自動的にHポジションに復帰する。この際、ロック部材9は、解除ポジションに位置しているため、操作レバー1は、いずれのポジションからでもHポジションまで傾動することができる。
【0070】
なお、図17A,17Bの状態から再び図16A,16Bの状態へと状態を変移する場合には、モータ7を逆回転させてラック82を第1区間の右方に移動させると、摺動部83が付勢部84によりラック82と一体となって右方に移動する。その工程で、上記した摺動部83の左方への移動時とは逆方向の動作が行なわれ、摺動部83が自身の移動可能範囲の右端まで移動(図16A,16B参照)すると、保持部材5が昇降部831の上面の保持ポジションまで上昇する。この際、ギア81Cも同時に逆回転するが、接触子85が接触するカム面88は平坦部882であるため、接触子85は上下方向に移動しない。したがって、ロック部材9は、最も低いポジションである解除ポジションに保持されたままである。
【0071】
ここで、操作レバー1の自動復帰方法について、eポジションからHポジションに復帰する場合を例に説明する。図18は、eポジションで復帰部6に接触した接触部142を示す部分拡大図である。図18に示すように、保持部材5が下降すると、接触部142の先端部142A(図示せず)は、保持部材5には接触せず、内在する圧縮コイルばねの付勢力により軸方向に延びて、接触部142の斜面部142Bが復帰部6に接触する。図18の例では、接触部142の斜面部142Bは、斜面61A,61Bに接触している。
【0072】
接触部142は、斜面部142Bが復帰部6に接触すると、圧縮コイルばねの付勢力に対する反力により、復帰部6の斜面61に沿ってHポジションに移動する。すなわち、接触部142は、斜面部142Bが復帰部6の斜面61によりHポジションに誘導される。操作レバー1は、接触部142がHポジションまで移動すると、斜面部142Bが斜面61に接触した状態で、復帰部6によりHポジションで保持される。
【0073】
図19は、Hポジションで復帰部6に保持された接触部142を示す部分拡大図である。図19に示すように、接触部142は、軸方向に延びきった状態で、復帰部6によりHポジションで保持される。図19の例では、操作レバー1は、接触部142の斜面部142Bが斜面61Bに接触した状態で保持されている。
【0074】
以上説明した通り、本実施形態によれば、駆動源からロック駆動機構及び保持駆動機構までの駆動力伝達経路には、それぞれ遊び(平坦部882及び開口部833)を有し、駆動源(モータ7)によりそれぞれ異なるタイミングで駆動される。このような構成により、ラック82が第1区間を移動する間、保持部材5は、保持駆動機構により駆動され、保持ポジションと復帰ポジションとの間を移動し、ロック部材9は、解除ポジションに保持される。また、ラック82が第2区間を移動する間、保持部材5は、保持ポジションに保持され、ロック部材9は、ロックポジションと解除ポジションとの間を移動する。
【0075】
このように、本実施形態によれば、ラック82やギア81を同時に駆動するだけで、保持部材5及びロック部材9をそれぞれ異なるタイミングで移動させることができる。この結果、1つの駆動源(モータ7)により、
操作レバー1の自動復帰及び規制を実現できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、車両の原動機が停止動作中に、保持部材5が保持ポジションから復帰ポジションに移動することにより、接触部142が復帰部6に誘導されて自動的にHポジションに移動する。すなわち、操作レバー1が自動的にHポジションに復帰する。
【0077】
このように、保持部材5を上下方向に移動させるだけでシャフト11をHポジションに復帰させることができるため、シャフト11を直接的に移動させる従来の操作装置に比べて、操作レバー1の復帰に要するモータ7の動力を低減することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、操作レバー1を復帰させる際に、接触部142と復帰部6との摺動音が発生する。この摺動音は、シャフトに、当該シャフトを移動させるための部材を衝突させて移動する従来の操作装置で発生する音に比べて小さい。したがって、本実施形態によれば、操作レバー1の復帰時に発生する音を小さくすることができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、保持部材5と復帰部6とは別部材である。これにより、保持部材5及び復帰部6をそれぞれ設計できるため、保持部材5及び復帰部6の形状や材料をそれぞれ最適に設計できる。結果として、操作装置100の操作感や、摺動路51及び斜面61の設計精度を向上させることができる。
【0080】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。また、本国際出願は、2017年9月8日に出願した日本国特許出願第2017−173469号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0081】
1:操作レバー
2:ソケット
3:筐体
4:ケース
4U:上ケース
4D:下ケース
5:保持部材
6:復帰部
7:駆動源(モータ)
8:駆動機構
11:シャフト
12:球体部
13:接続部
14:アクチュエータ
41,43:開口部
42:ガイド部
44:溝部
51:摺動路
81:ギア
82:ラック
83:摺動部
84:付勢部
85:接触子
86:連結部
87:付勢部
88:カム面
100:操作装置
131:第1部分
132:第2部分
141:基部
142:接触部
821:凸部
822:開口部
831:昇降部
832:連結部
833:開口部
881:スロープ部
882:平坦部
883:下端部
884:中腹部
885:上端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19