(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
操作部を操作することにより、被検出部が変位する操作部品と、前記被検出部の変位に応じて検出量を出力する検出部と、記憶器と、制御器と、を備える、入力装置の製造方法において、
前記操作部品を前記入力装置に装着する前に、測定用検出部を有する測定装置により、前記操作部を操作したときに所定の操作感が発生する操作量である第1操作量と、前記第1操作量における、前記被検出部の変位に応じて、前記測定用検出部から出力される検出量である第1検出量と、を測定する(A)と、
前記第1操作量と前記第1検出量に関連するデータを作成する(B)と、
前記(B)で作成した前記データが記載されている表示部を前記操作部品に取り付ける(C)と、
前記表示部に記載されている前記データから前記操作部品の少なくとも前記第1検出量を取得する(D)と、
前記(D)で取得した前記操作部品の少なくとも前記第1検出量を前記記憶器に記憶させる(E)と、を備える、入力装置の製造方法。
前記検出部は、磁気センサ、光センサ、静電センサ、可変抵抗器を有する変位センサ、及び圧力センサからなる群から選ばれる1以上のセンサで構成されている、請求項1に記載の入力装置の製造方法。
前記検出部は、磁気センサ、光センサ、静電センサ、可変抵抗器を有する変位センサ、及び圧力センサからなる群から選ばれる1以上のセンサで構成されている、請求項4に記載の入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載されているように、従来では、全製品に使用されるすべての抵抗体の抵抗値の公差(ばらつき)を求めている。そして、電子製品を製造するときに、すべての抵抗体における抵抗値の公差と個々のポテンションメータを構成する部品に発生する移動量の公差を基に、個別に調整されている。
【0006】
この電子製品を製造するときの個別調整は、ポテンションメータに限らず、各種スイッチにおいても、同様に行われている。具体的には、個々のスイッチの操作感が発生する操作量(タイミング)と、当該スイッチが出力する電気信号の出力値と、の間で、当該スイッチ固有のずれが生じ、電子製品を製造するときに、個別にずれの発生を抑制するように調整している。
【0007】
本発明は、入力装置の製造において製造工程の簡略化が可能な、入力装置の製造方法、操作部品、及び入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る入力装置の製造方法は、操作部を操作することにより、被検出部が変位する操作部品と、前記被検出部の変位に応じて検出量を出力する検出部と、記憶器と、制御器と、を備える、入力装置の製造方法において、前記操作部品を前記入力装置に装着する前に、測定用検出部を有する測定装置により、前記操作部を操作したときに所定の操作感が発生する操作量である第1操作量と、前記第1操作量における、前記被検出部の変位に応じて、前記測定用検出部から出力される検出量である第1検出量と、を測定する(A)と、前記第1操作量と前記第1検出量に関連するデータを作成する(B)と、前記(B)で作成した前記データが記載されている表示部を前記操作部品に取り付ける(C)と、前記表示部に記載されている前記データから前記操作部品の少なくとも前記第1検出量を取得する(D)と、前記(D)で取得した前記操作部品の少なくとも前記第1検出量を前記記憶器に記憶させる(E)と、を備える。
【0009】
これにより、個々の操作部品における、所定の操作感が発生する第1操作量において検出部から出力される検出量である第1検出量が予め得られる。ここで、個々の操作部品において、第1操作量は、第1検出量に比して、そのばらつきが小さいため、第1操作量は個々の操作部品で一定とみなすことができる。このため、入力装置を製造するときに、少なくとも、第1検出量を取得すれば、使用する操作部品ごとの個別の調整が不要となり、入力装置の製造工程を簡略化することができる。
【0010】
また、表示部から少なくとも第1検出量に関連するデータを取得するだけで、使用する操作部品固有のずれを修正することができるため、入力装置の機種が変更される場合であっても、入力装置の設計変更に対して、早期に対応することができる。
【0011】
また、本発明に係る操作部品は、被検出部の変位に応じて検出量を出力する検出部と、記憶器と、制御器と、を備える入力装置に装着される操作部品であって、操作部と、前記操作部が操作されることにより、変位する被検出部と、前記操作部を操作したときに所定の操作感を発生させる操作感発生部と、を備え、測定用検出部を有する測定装置により測定された、前記操作部を操作したときに前記所定の操作感が発生する第1操作量と、前記第1操作量における、前記被検出部の変位に応じて、前記測定用検出部から出力される第1検出量と、に関連するデータが記載されている表示部をさらに備える。
【0012】
これにより、個々の操作部品における、所定の操作感が発生する第1操作量において検出部から出力される検出量である第1検出量が予め得られる。ここで、個々の操作部品において、第1操作量は、第1検出量に比して、そのばらつきが小さいため、第1操作量は個々の操作部品で一定とみなすことができる。このため、入力装置を製造するときに、少なくとも、第1検出量を取得すれば、使用する操作部品ごとの個別の調整が不要となり、入力装置の製造工程を簡略化することができる。
【0013】
また、表示部から少なくとも第1検出量に関連するデータを取得するだけで、使用する操作部品固有のずれを修正することができるため、入力装置の機種が変更される場合であっても、入力装置の設計変更に対して、早期に対応することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る入力装置は、前記操作部品と、前記表示部に記載されている前記データから前記操作部品の少なくとも前記第1検出量を取得し、当該取得した前記操作部品の少なくとも前記第1検出量が記憶されている記憶器と、前記被検出部の変位に応じて検出量を出力する検出部と、前記検出部から前記第1検出量が入力されると、予め設定されている所定の機器を制御する制御器と、を備える。
【0015】
これにより、個々の操作部品における、所定の操作感が発生する第1操作量において検出部から出力される検出量である第1検出量が予め得られる。ここで、個々の操作部品において、第1操作量は、第1検出量に比して、そのばらつきが小さいため、第1操作量は個々の操作部品で一定とみなすことができる。このため、入力装置を製造するときに、少なくとも、第1検出量を取得すれば、使用する操作部品ごとの個別の調整が不要となり、入力装置の製造工程を簡略化することができる。
【0016】
また、表示部から少なくとも第1検出量に関連するデータを取得するだけで、使用する操作部品固有のずれを修正することができるため、入力装置の機種が変更される場合であっても、入力装置の設計変更に対して、早期に対応することができる。
【0017】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施形態の詳細な説明から明らかにされる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る入力装置の製造方法、操作部品、及び入力装置によれば、表示部から少なくとも第1検出量に関連するデータを取得するだけで、使用する操作部品固有のずれを修正することができ、入力装置の製造において製造工程の簡略化が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、全ての図面において、本発明を説明するための構成要素を抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略する場合がある。さらに、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る操作部品は、被検出部の変位に応じて検出量を出力する検出部と、記憶器と、制御器と、を備える入力装置に装着される操作部品であって、操作部と、操作部が操作されることにより、変位する被検出部と、操作部を操作したときに所定の操作感を発生させる操作感発生部と、を備え、測定用検出部を有する測定装置により測定された、操作部を操作したときに所定の操作感が発生する第1操作量と、第1操作量における、被検出部の変位に応じて、測定用検出部から出力される第1検出量と、に関連するデータが記載されている表示部をさらに備える。
【0022】
本実施の形態1に係る入力装置は、上記本実施の形態1に係る操作部品と、表示部に記載されているデータから操作部品の少なくとも第1検出量を取得し、当該取得した操作部品の少なくとも第1検出量が記憶されている記憶器と、被検出部の変位に応じて検出量を出力する検出部と、検出部から第1検出量が入力されると、予め設定されている所定の機器を制御する制御器と、を備える。
【0023】
また、本実施の形態1に係る入力装置では、検出部が、磁気センサ、光センサ、静電センサ、可変抵抗器を有する変位センサ、及び圧力センサからなる群から選ばれる1以上のセンサで構成されていてもよい。
【0024】
以下、本実施の形態1に係る操作部品及びそれを備える入力装置の一例について、
図1〜
図7を参照しながら説明する。
【0025】
[操作部品及び入力装置の構成]
図1は、本実施の形態1に係る操作部品を備える入力装置の概略構成を模式的に示す分解斜視図である。
図2は、
図1に示す入力装置の横断面図である。
図3は、本実施の形態1に係る操作部品を備える入力装置の概略構成を示すブロック図である。なお、
図1及び
図2においては、入力装置における上下方向及び左右方向を図における上下方向及び左右方向として表している。
【0026】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態1に係る入力装置200は、本実施の形態1に係る操作部品100と、基板50と、検出部70と、基板50等を収納する筐体80と、を備えている。また、
図3に示すように、本実施の形態1に係る入力装置200は、制御器101及び記憶器102をさらに備えている。
【0027】
操作部品100は、操作体(操作部)10、磁石20(被検出部)、ケーシング30、表示部40、及び操作感発生部60を備えていて、操作者が、操作体10を押圧(操作)することにより、磁石20が下方へ変位するように構成されている。
【0028】
操作体10は、板状の基部11、係合部12、押圧部13、及び収容部14を有している。基部11は、操作部品100の上方から見て、略矩形に形成されている。基部11の下面の左側には、リブ状の係合部12が下方に延びるように形成されている。係合部12は、後述するケーシング30のガイド部31に対して摺動するように構成されている。また、係合部12の下端部には、操作感発生部60を押圧する押圧部13が設けられている。
【0029】
また、基部11の下面の右側には、柱状の収容部14が設けられている。収容部14の下端部には、凹部が形成されていて、当該凹部には、磁石20が収容されている。磁石20は、操作体10の動作に伴って、上下動(変位)することにより、検出部70との距離が変動する。
【0030】
ケーシング30は、筒状に形成されていて、その内周壁の適所には、溝状のガイド部31が設けられている。また、ケーシング30の外周壁の適所には、表示部40が貼り付けられている。
【0031】
表示部40は、例えば、ラベル、シール、タグ等により構成されている。また、表示部40には、操作体10を操作したときに所定の操作感が発生する操作量である第1操作量と、第1操作量における、測定用検出部(図示せず)から出力される検出量である第1検出量と、に関連するデータ41が印刷されている。
【0032】
ここで、測定検出部は、検出部70と同等の検出能又は検出部70よりも高性能な検出能を有する。そして、測定検出部は、操作部品100の第1操作量と第1検出量を測定するための測定装置に組み込まれている。測定装置は、操作部品100を入力装置200に組み込む前に、操作体10を操作したときに所定の操作感が発生する操作量である第1操作量を測定し、測定検出部により、当該所定の操作感が発生したときに、磁石20の変位に応じた検出量、すなわち、第1検出量を出力する。
【0033】
なお、第1操作量としては、プッシュ操作部品又はスライド操作部品においては、直線的な移動量を適用してもよく、回転操作部品においては、回転角度を適用してもよい。また、操作感発生部による所定の操作感が複数発生する場合には、第1操作量として、複数の第1操作量の発生順序を表す数字又は記号を適用してもよい。
【0034】
データ41としては、第1操作量と第1検出量を表、又はグラフ等で示したデータそのものであってもよく、当該第1操作量と第1検出量を取得するための暗号(例えば、文字、数字、バーコード、QRコード(登録商標)等)、又は操作部品100の製造番号等であってもよい。なお、本実施の形態1においては、データ41として、第1操作量と第1検出量が記されているバーコードを採用している。
【0035】
ケーシング30の下端には、基板50を収納している筐体80が配置されている。基板50の上面の適所には、操作感発生部60と検出部70が配置されている。操作感発生部60は、操作者が操作体10を操作(押圧)したときに、所定の操作感(クリック感)を与える(発生させる)ように構成されている。本実施の形態1においては、操作感発生部60として、ゴムを用いている。なお、操作感発生部60として、ばねを用いてもよい。
【0036】
ここで、
図4A及び
図4Bを参照しながら、操作感発生部60の構成について、説明する。
【0037】
図4Aは、
図1及び
図2に示す操作部品の操作感発生部の概略構成を示す上面図である。
図4Bは、
図4Aに示すA−A線断面図である。
【0038】
図4A及び
図4Bに示すように、操作感発生部60は、全体として、略円錐台状に形成されている。また、操作感発生部60は、円板状の上端部61、弾性部62、及び円環状の下端部63を有していて、弾性部62が、上端部61と下端部63を接続している。弾性部62は、円錐台状に形成されていて、弾性部62が弾性変形し、座屈することにより、操作者に操作感を発生させている。
【0039】
検出部70は、操作者が、操作体10を押圧(操作)したことを検知し、検知した情報を電気信号として、入力装置200の制御器101(
図3参照)に出力するように構成されている。
【0040】
検出部70としては、ここでは、磁気センサを用いている。検出部70は、操作体10の操作により、操作体10に配置されている磁石20と検出部70と間の距離の変動により、変動する磁場(磁界)の大きさ(強さ)を電圧値に変換して、制御器に出力している。
【0041】
なお、本実施の形態1においては、検出部70として、磁気センサを用いる形態を採用したが、これに限定されず、光センサ、静電センサ、可変抵抗器を有する変位センサ、及び圧力センサからなる群から選ばれる1以上のセンサを用いる形態を採用してもよい。
【0042】
検出部70として、光センサを用いる場合には、操作体10に設けた反射面を被検出部として、反射面の反射面積の変位(変化)に応じて、投光器から投光された光を反射面で反射させて、受光器で受光した光量を電圧値に変換して、当該電圧値を検出量として、制御器101に出力してもよい。このとき、検出部70は、投光器から投光された光を反射面全体で反射して受光器で受光した光量に対して、反射面積の変位に応じて、受光器で受光した光量の割合を検出量として、制御器101に出力してもよい。
【0043】
また、検出部70として、静電センサを用いる場合には、誘電体を被検出部として、静電センサが検知した電荷量を電圧値に変換して、当該電圧値を検出量として制御器101に出力してもよい。このとき、検出部70は、静電センサが検知する最大の電荷量に対して、検知した電荷量の割合を検出量として、制御器101に出力してもよい。
【0044】
さらに、検出部70として、圧力センサを用いる場合には、被検出部を押圧部として、圧力センサが検知した圧力値を電圧値に変換して、当該電圧値を検出量として制御器101に出力してもよい。このとき、検出部70は、圧力センサが検知する最大圧力値に対して、検知した圧力値の割合を検出量として、制御器101に出力してもよい。
【0045】
制御器101は、マイクロプロセッサ、CPU等に例示される演算処理部を有している。記憶器102は、ROM、RAM等のメモリで構成されている。また、記憶器102には、操作部品100の操作体10を操作したときに操作感が発生したときの操作量である第1操作量と、操作感が発生したときに検出部70から出力される検出量である第1検出量と、制御器101が、当該第1操作量と第1検出量とに基づいて、所定の信号を出力するためのプログラムと、が記憶されている。ここで、所定の信号とは、入力装置200により制御される機器の動作を制御するための信号をいう。
【0046】
なお、このように所定の操作感が一箇所発生する操作感発生部60において、所定の操作感が発生する一つの第1操作量に対して一つの第1検出量が対応する場合には、記憶器102に、一つの第1検出量のみを記憶させてもよい。また、所定の操作感が複数発生する操作感発生部において、複数の第1操作量と各第1操作量に対応する第1検出量が複数存在する場合は、記憶器102に、各第1操作量とこれに対応する各第1検出量を記憶させることが望ましい。
【0047】
制御器101は、記憶器102に記憶されている所定のプログラムを読み出して実行することにより、入力装置200及び当該入力装置200により制御される機器の動作を制御する。
【0048】
なお、制御器101は、集中制御する単独の制御器によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御器によって構成されていてもよい。また、制御器101は、マイクロコントローラで構成されていてもよく、MPU、PLC(programmable logic controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。
【0049】
[操作部品及びそれを備える入力装置の動作]
次に、本実施の形態1に係る操作部品100及びそれを備える入力装置200の動作について、
図1〜
図5を参照しながら説明する。
【0050】
図5は、本実施の形態1に係る操作部品を操作したときの要部の動作を示す模式図(上段)、並びに操作体の操作量と、操作体にかかる荷重(曲線)及び操作検知部が出力する電気信号(直線;電圧値)と、の関係を示すグラフ(下段)を示している。なお、
図5の下段に示すグラフ上の白丸(○)は、操作体10の下端部の現在位置を示している。
【0051】
図5上段の模式図に示すように、操作体10の下端部が操作感発生部60の上端部61と当接した状態で、操作者が、操作体10を押圧(操作)すると、操作体10の下降に伴い、磁石20(
図2参照)も下降し、磁石20と検出部70との距離が小さくなる(
図5の(1)参照)。これに伴い、検出部70が検知する磁場の強さも大きくなるため、
図5下段のグラフに示すように、検出部70から出力される検出量(電圧値)も大きくなる。
【0052】
操作者が、さらに操作体10を押圧することにより、(
図5の(2)参照)、操作感発生部60を下方に押し下げる(
図5の(3)参照)。このとき、操作感発生部60は、弾性部62が弾性変形することにより、操作体10にかかる荷重が減少する。
【0053】
そして、操作感発生部60が座屈するまで押圧されると、操作感発生部60の弾性部62の反力に伴い、操作体10への荷重が増加する。このとき、操作者は、所定の操作感(クリック感)を感知する。すなわち、操作感発生部60で所定の操作感が発生する。
【0054】
なお、所定の操作感が発生する操作量(第1操作量)は、操作感発生部60の構成、操作者の感性等により適宜変更することができる。具体的には、第1操作量は、操作体10にかかる荷重が最大値(
図5の(2)の下段参照)から減少して、操作体10への荷重が増加するまでの間で、適宜設定することができる。
【0055】
ところで、操作部品100を操作したときに所定の操作感が発生する操作量(第1操作量;タイミング)と、当該所定の操作感が発生したときに検出部70から出力される検出量(第1検出量;電圧値)は、操作部品100を構成する各部品の精度誤差等により、個々の操作部品100によって異なる(
図5の下段示すグラフの実線と破線参照)。
【0056】
そこで、本実施の形態1に係る操作部品100では、操作部品100を組立て後、操作部品100を入力装置200に装着する前(例えば、操作部品100を出荷する前)に、第1操作量と第1検出量に関連するデータ41が記載されている表示部40を操作部品100に取り付けている。
【0057】
[操作部品及びそれを備える入力装置の製造方法]
次に、本実施の形態1に係る操作部品100及びそれを備える入力装置200の製造方法について、
図1〜
図7を参照しながら説明する。
【0058】
まず、操作部品のメーカーが、
図6に示すフローに従って、本実施の形態1に係る操作部品100を製造する。
【0059】
図6は、本実施の形態1に係る操作部品の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0060】
図6に示すように、作業者等が、操作体10、磁石20、ケーシング30、操作感発生部60等から操作部品100を組み立てる(ステップS101)。
【0061】
次に、作業者等は、測定用検出部を備える測定装置に操作部品100を装着する(ステップS102)。ここで、測定装置は、操作部品100が最終装着される入力装置200と同様に装着されるように構成されている。また、測定装置は、入力装置200の検出部70と同等の性能、又は検出部70よりも高性能の性能を有する装置である。
【0062】
次に、作業者等が、操作体10を操作して、測定装置が、所定の操作感が発生する操作量である第1操作量と、当該所定の操作感が発生したときに磁石(被検出部)20の変位に応じて、測定用検出部から出力される検出量である第1検出量と、を測定する(ステップS103)。
【0063】
次に、作業者等は、ステップS103で測定した第1操作量と第1検出量に関連するデータ41を作成し(ステップS104)、作成したデータ41を表示部40に記載して、当該表示部40を操作部品100の適所(本実施の形態1においては、ケーシング30の側面)に取り付ける(ステップS105)。
【0064】
このようにして、操作部品のメーカーにおいて、個々の操作部品100に対して、第1操作量と第1検出量を測定して、その操作部品100固有のデータ41を表示部40に記載して、当該表示部40をその操作部品100に取り付ける。
【0065】
これにより、操作部品100の購入者は、データ41から容易に当該操作部品100固有の第1操作量と第1検出量を取得することができる。
【0066】
なお、本実施の形態1においては、操作部品100の購入者が、データ41から当該操作部品100固有の第1操作量と第1検出量を取得する形態を採用したが、これに限定されない。操作部品100の購入者は、データ41から当該操作部品100の少なくとも第1検出量を取得すればよく、データ41から当該操作部品100の第1検出量のみを取得する形態を採用してもよい。
【0067】
次に、入力装置のメーカーが、
図7に示すフローに従って、本実施の形態1に係る操作部品100を備える入力装置200を製造する。
【0068】
図7は、本実施の形態1に係る操作部品を備える入力装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0069】
図7に示すように、作業者が、操作部品100の表示部40に記載されているデータ41から第1操作量と第1検出量を取得する(ステップS201)。
【0070】
なお、表示部40から第1操作量と第1検出量を取得する他の方法としては、例えば、予め入力装置200のメーカーが操作部品100のメーカーから、第1操作量と第1検出量、及びそれらに関連するデータ41が記憶されている記憶媒体を取得しておき、記憶媒体からデータ41を基に、当該操作部品100の第1操作量と第1検出量を取得してもよい。
【0071】
また、例えば、操作部品100のメーカーのコンピュータに予め第1操作量と第1検出量、及びそれらに関連するデータ41が記憶されていて、入力装置200のメーカーが、インターネット等を介して、操作部品100のメーカーのコンピュータにアクセスすることにより、データ41を基に、当該操作部品100の第1操作量と第1検出量を取得してもよい。
【0072】
次に、作業者等は、ステップS201で取得した第1操作量と第1検出量を記憶器102に記憶させる(ステップS202)。このとき、作業者等は、ステップS201で取得した第1操作量等に基づいて、制御器101により、制御される機器の制御プログラムを記憶器102に記憶させてもよい。
【0073】
また、作業者等は、ステップS201で取得した第1操作量及び当該第1操作量の公差である第1公差と、ステップS201で取得した第1検出量及び当該第1検出量の公差である第2公差と、を記憶器102に記憶させてもよい。
【0074】
ここで、第1公差は、ステップS201で取得した第1操作量に、予め設定されている所定の変数を積算、除算等したものであってもよく、ステップS201で取得した第1操作量に当該第1操作量の±10〜20%の値を和算したものであってもよい。同様に、第2公差は、ステップS201で取得した第1検出量に、予め設定されている所定の変数を積算、除算等したものであってもよく、ステップS201で取得した第1検出量に当該第1検出量の±10〜20%の値を和算したものであってもよい。
【0075】
次に、操作部品100、制御器101、及びステップS202で第1操作量と第1検出量を記憶させた記憶器102等を用いて、入力装置200を組み立てる(ステップS203)。
【0076】
これにより、入力装置200を製造する前に、使用する操作部品100固有の第1操作量と第1検出量を得ることができる。また、入力装置200を製造するときに、使用する操作部品100の個別の調整が不要となり、入力装置200の製造工程を簡略化することができる。
【0077】
また、表示部40から第1操作量と第1検出量に関連するデータ41を取得するだけで、使用する操作部品100固有のずれを修正することができるため、入力装置200の機種が変更される場合であっても、入力装置200の設計変更に対して、早期に対応することができる。
【0078】
なお、本実施の形態1においては、操作部品100として、プッシュスイッチを例示したが、これに限定されず、ダイヤル式操作部品又はスライド式操作部品であってもよい。
【0079】
また、本実施の形態1においては、操作感が発生したときの第1操作量と、操作感が発生したときの測定用検出部により出力される電圧値を第1検出量として、データ41を作成する形態を採用したが、これに限定されない。
【0080】
他の方法として、被検出部の変位において、測定用検出部が出力する最大電圧値と、操作感が発生したときに測定用検出部が出力する電圧値との比率を第1検出量として、データ41を作成してもよい。このようなデータを用いることによって、測定装置の測定用検出部と、操作部品100が実際に装着される入力装置200の検出部70と、の間で、多少の性能差があったとしても、入力装置200における操作上のずれは調整不要なものとなる。
【0081】
さらに、本実施の形態1においては、所定の操作感が発生する一つの第1操作量に対して一つの第1検出量が対応する場合について説明したが、所定の操作感が複数発生する操作感発生部を有する操作部品において、複数の第1操作量と、各第1操作量に対応する第1検出量が存在する場合に適用しても本願発明の実施は可能である。
【0082】
[変形例1]
本実施の形態1においては、操作部品100の操作感発生部60として、略円錐台状に形成されている弾性部材(ゴム)を用いる形態を採用したが、これに限定されず、ノックカム構造を用いる形態を採用してもよく、また、以下のような構成を採用してもよい。
【0083】
図8は、本実施の形態1における変形例1の操作部品の操作感発生部の一例を示す模式図である。
【0084】
図8に示すように、本変形例1における操作部品100の操作感発生部60は、弾性部材64と、球状の第1部材65と、凹部66aを有する第2部材66と、から構成されている。弾性部材64は、ここでは、バネで構成されているが、ゴムで構成されていてもよい。
【0085】
そして、本変形例1における操作部品100では、操作者が、操作体10を左右方向にスライドさせることにより、操作体10の移動に伴って、第1部材65が第2部材66の上面を移動する。このとき、弾性部材64は、第1部材65が第2部材66の凹部66aに沿って移動するときに、下方に延び、その後、上方に縮む。そして、第1部材65が凹部66aから這い上がるときに、弾性部材64の反作用により、操作体10が上方に付勢され、操作感が発生する。
【0086】
このように構成された、本変形例1の操作部品100及びそれを備える入力装置200であっても、実施の形態1に係る操作部品100及びそれを備える入力装置200と同様の作用効果を奏する。
【0087】
[変形例2]
図9は、本実施の形態1における変形例2の操作部品の操作感発生部の一例を示す模式図である。
【0088】
図9に示すように、本変形例2における操作部品100の操作感発生部60は、変形例1における操作部品100の操作感発生部60と基本的構成は同じであるが、第1部材65がピン状に形成されている点と、凹部66aに代えて、凸部66bが第2部材66に形成されている点と、が異なる。
【0089】
そして、本変形例2における操作部品100では、操作者が、操作体10を左右方向にスライドさせることにより、操作体10の移動に伴って、第1部材65が第2部材66の上面を移動する。このとき、弾性部材64は、第1部材65が第2部材66の凸部66bに沿って移動するときに、上方に縮む。そして、第1部材65が凸部66bの頂点を過ぎると、弾性部材64が下方に付勢され、その弾性反力が操作体10に伝達され、操作感が発生する。
【0090】
このように構成された、本変形例2の操作部品100及びそれを備える入力装置200であっても、実施の形態1に係る操作部品100及びそれを備える入力装置200と同様の作用効果を奏する。
【0091】
[変形例3]
図10は、本実施の形態1における変形例3の操作部品の操作感発生部の一例を示す模式図である。
【0092】
図10に示すように、本変形例3における操作部品100の操作感発生部60は、変形例2における操作部品100の操作感発生部60と基本的構成は同じであるが、弾性部材64が、板バネで構成され、その基端部(上端部)が、係止部材67により、操作体10の下端部に固定されている点が異なる。また、弾性部材64の先端部(下端部)には、湾曲部64aが形成されている。
【0093】
そして、本変形例3における操作部品100では、操作者が、操作体10を下方に押圧することにより、操作体10の移動に伴って、弾性部材64の湾曲部64aが第2部材66の壁面に沿って移動する。このとき、弾性部材64は、第2部材66の凸部66bに沿って移動するときに、基端部側の板状部分が湾曲する。そして、湾曲部64aが凸部66bの頂点を過ぎると、板状部分の弾性反力が操作体10に伝達され、操作感が発生する。
【0094】
このように構成された、本変形例3の操作部品100及びそれを備える入力装置200であっても、実施の形態1に係る操作部品100及びそれを備える入力装置200と同様の作用効果を奏する。
【0095】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良及び他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の要旨を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。