特許第6761960号(P6761960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6761960
(24)【登録日】2020年9月10日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】水素システム
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20060101AFI20200917BHJP
   C25B 15/02 20060101ALI20200917BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20200917BHJP
   H01M 8/04029 20160101ALI20200917BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20200917BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20200917BHJP
   H01M 8/0656 20160101ALI20200917BHJP
【FI】
   C25B9/00 A
   C25B15/02 302
   H01M8/04 N
   H01M8/04029
   H01M8/0438
   H01M8/04746
   H01M8/0656
【請求項の数】28
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2020-531171(P2020-531171)
(86)(22)【出願日】2020年2月20日
(86)【国際出願番号】JP2020006736
【審査請求日】2020年6月5日
(31)【優先権主張番号】特願2019-74299(P2019-74299)
(32)【優先日】2019年4月9日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2020-10890(P2020-10890)
(32)【優先日】2020年1月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大戸 貴司
(72)【発明者】
【氏名】喜多 洋三
【審査官】 祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−014644(JP,A)
【文献】 特開2004−099985(JP,A)
【文献】 特開2002−061797(JP,A)
【文献】 特開2015−166478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 9/00
C25B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水電解セルを含む水電解装置と、
前記水電解装置で生成された水素含有ガスを昇圧する電気化学式水素ポンプと、
前記水電解装置で生成された水素含有ガスを前記電気化学式水素ポンプに供給するガス流路と、
前記水電解セルの排熱を回収した液体の第1熱媒体が流れる第1流路と、を備え、
前記電気化学式水素ポンプは、前記水電解セルの排熱を回収した後の前記第1熱媒体と熱交換可能に構成されている、水素システム。
【請求項2】
前記第1流路は、前記第1熱媒体が前記水電解セル及び前記電気化学式水素ポンプそれぞれと熱交換するように配設され、前記第1熱媒体は、前記水電解セルの排熱を回収した後、前記電気化学式水素ポンプと熱交換する、請求項1に記載の水素システム。
【請求項3】
前記第1熱媒体は、前記水電解装置に供給される水電解用の液水である、請求項1または2に記載の水素システム。
【請求項4】
前記第1熱媒体は、前記水電解セルを冷却する冷却液であり、前記冷却液は、前記水電解装置に供給される水電解用の液水とは異なる、請求項1または2に記載の水素システム。
【請求項5】
前記ガス流路に設けられた、気液分離器を備え、前記第1熱媒体は、前記気液分離器で水素含有ガスから分離された液水であり、前記第1流路の一端は、前記気液分離器内の液水が溜まる貯留部に接続される、請求項1または2に記載の水素システム。
【請求項6】
前記水電解セルの排熱を回収した前記第1熱媒体を、前記電気化学式水素ポンプと熱交換するまでの間に冷却する第1冷却器を備える、請求項2−5のいずれか1項に記載の水素システム。
【請求項7】
前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記第1冷却器の冷却量を増加させる制御器を備える、請求項6に記載の水素システム。
【請求項8】
前記気液分離器よりも上流の前記ガス流路を流れる水素含有ガスまたは前記気液分離器内を流れる水素含有ガスを冷却する第2冷却器を備える、請求項5に記載の水素システム。
【請求項9】
前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記第2冷却器の冷却量を増加させる制御器を備える、請求項8に記載の水素システム。
【請求項10】
前記水電解セルの排熱を回収した前記第1熱媒体を、前記電気化学式水素ポンプと熱交換するまでの間に冷却する第1冷却器と、前記第1流路から分岐して前記第1冷却器を経由した後、前記第1流路に合流する第1分岐路と、前記第1分岐路へ流れる前記第1熱媒体の流量を制御する第1流量制御器と、を備える、請求項1−5のいずれか1項に記載の水素システム。
【請求項11】
前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記第1流量制御器を制御して、前記第1分岐路に流れる前記第1熱媒体の流量を増加させる制御器を備える、請求項10に記載の水素システム。
【請求項12】
前記気液分離器よりも上流の前記ガス流路から分岐して、前記分岐した箇所よりも下流かつ前記気液分離器よりも上流で前記ガス流路と合流するガス分岐路と、前記ガス分岐路を流れる水素含有ガスを冷却する第2冷却器と、前記ガス分岐路へ流れる水素含有ガスの流量を制御するガス流量制御器と、を備える、請求項5に記載の水素システム。
【請求項13】
前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記ガス流量制御器を制御して、前記ガス分岐路に流れる前記水素含有ガスの流量を増加させる制御器を備える、請求項12に記載の水素システム。
【請求項14】
前記第1流路より分岐して、前記水電解装置へ戻る還流路と、前記還流路への第1熱媒体の流量を制御する還流量制御器と、前記還流量制御器を制御する制御器と、を備える、請求項2−5のいずれか1項に記載の水素システム。
【請求項15】
前記水電解装置が水電解を実行中で、かつ前記電気化学式水素ポンプの起動前であるとき、前記制御器は、前記還流量制御器を制御して、前記還流路の分岐箇所よりも下流の前記第1流路を流れる第1熱媒体の流量よりも、前記還流路を流れる第1熱媒体の流量を大きくする、請求項14に記載の水素システム。
【請求項16】
前記水電解装置が水電解を実行中で、かつ前記電気化学式水素ポンプが起動されると、前記制御器は、前記還流量制御器を制御して、前記還流路の分岐箇所よりも下流の前記第1流路を流れる第1熱媒体の流量を、前記還流路を流れる第1熱媒体の流量よりも大きくする、請求項14または15記載の水素システム。
【請求項17】
前記制御器は、前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記還流量制御器を制御して、前記還流路を流れる第1熱媒体の流量を増加させる、請求項14または15に記載の水素システム。
【請求項18】
前記還流路を流れる第1熱媒体を冷却する第3冷却器を備える、請求項14−17のいずれか1項に記載の水素システム。
【請求項19】
前記水電解セルの排熱を回収した前記第1熱媒体を、前記電気化学式水素ポンプと熱交換するまでの間に冷却する第1冷却器を備え、前記還流路は、前記第1冷却器よりも下流の前記第1流路より分岐する、請求項14−17のいずれか1項に記載の水素システム。
【請求項20】
前記第1冷却器は、前記第1熱媒体から回収した熱を貯える第1蓄熱器である、請求項6に記載の水素システム。
【請求項21】
前記第1流路に前記第1熱媒体を送出する第1送出器を備え、前記電気化学式水素ポンプの起動時に、前記第1送出器の動作を開始させる、請求項1−5のいずれか1項に記載の水素システム。
【請求項22】
前記第1熱媒体と液体の第2熱媒体が熱交換する熱交換器と、前記熱交換器で熱交換後に前記電気化学式水素ポンプと熱交換する第2熱媒体が流れる第2流路とを備える、請求項1に記載の水素システム。
【請求項23】
前記熱交換器は、前記第2熱媒体を貯える第2蓄熱器である、請求項22に記載の水素システム。
【請求項24】
前記熱交換器は、第3熱媒体を貯える、第3蓄熱器であり、前記第1流路及び前記第2流路は、前記第3熱媒体と熱交換するよう構成されている、請求項22に記載の水素システム。
【請求項25】
前記第2流路に設けられ、前記第2熱媒体を送出する第2送出器と、前記電気化学式水素ポンプの起動時に、前記第2送出器の動作を開始させる制御器と、を備える、請求項22−24のいずれか1項に記載の水素システム。
【請求項26】
前記第1熱媒体が前記熱交換器をバイパスするバイパス流路と、
前記バイパス流路を流れる前記第1熱媒体の流量を制御する第2流量制御器と、
前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記第2流量制御器を制御して、前記バイパス流路を流れる前記第1熱媒体の流量を増加させる制御器と、を備える、請求項22−25のいずれか1項に記載の水素システム。
【請求項27】
前記ガス流路上に設けられ、前記水素含有ガスを貯えるタンクを備える、請求項1−26のいずれか1項に記載の水素システム。
【請求項28】
前記電気化学式水素ポンプの下流のガス流路に設けられた燃料電池を備える、請求項1−27のいずれか1項に記載の水素システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は水素システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石炭および石油などの化石燃料の枯渇、あるいは二酸化炭素による地球温暖化が問題視されている。そこで、化石燃料の依存を抑制するエネルギー社会を目指す取り組みが活発に行われている。このような取り組みの一つとして、以下の水素システムを導入した水素社会が提案されている。すなわち、水素システムでは、水を電気分解することにより水素を生成する。そして、生成した水素(気体)を圧縮することで水素タンクに貯蔵し、貯蔵した水素を燃料電池システムにより電気に変換して電力需要を賄う。この水素システムは、主に水を電気分解する水電解装置と、生成した水素を圧縮する電気化学式水素ポンプと、水素を電気に変換する燃料電池システム等のデバイスシステムとから構成される。
【0003】
上記した水素システムの一例として、再生可能エネルギーで得られた電力を用いて生成された水素を、燃料電池の燃料に活用する発電システムが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この発電システムは、既存の系統電力に依存せずに、住宅、ビルなどの消費電力の自給自足を可能とする。
【0004】
ところで、水電解スタックのアノードとカソードとの間に設けられた電解質における、プロトン伝導率の向上および電極触媒の活性の観点から、水電解装置は起動時においてはある程度高温とする必要がある。そこで、特許文献1では、水電解スタックでの電気分解に使用される水と燃料電池を冷却させる熱媒体との間で熱交換する水電解システムが提案されている。この水電解システムでは、燃料電池を停止させて水電解システムを起動させるときに、熱媒体と水とを熱交換させることで水の温度を上げて、水電解スタックの加熱を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−166478号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】東芝レビュー Vol.71 No.5 (2016)p.30−36
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来(特許文献1および非特許文献1)では、水素システムにおける、水電解装置と電気化学式水素ポンプとの間における熱利用については十分な検討がされていなかった。
【0008】
本開示は、一例として、従来よりもエネルギー効率の高い水素システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る水素システムの一態様は、上記した課題を解決するために、水電解セルを含む水電解装置と、前記水電解装置で生成された水素含有ガスを昇圧する電気化学式水素ポンプと、前記水電解装置で生成された水素含有ガスを前記電気化学式水素ポンプに供給するガス流路と、前記水電解セルの排熱を回収した液体の第1熱媒体が流れる第1流路と、を備え、前記電気化学式水素ポンプは、前記水電解セルの排熱を回収した後の前記第1熱媒体と熱交換可能に構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示は以上に説明したように構成され、従来よりもエネルギー効率を高くできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る水素システムの一例を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、本開示の第1実施形態の変形例に係る水素システムの一例を模式的に示すブロック図である。
図3図3は、本開示の第2実施形態に係る水素システムの一例を模式的に示すブロック図である。
図4図4は、本開示の第2実施形態に係る水素システムにおける第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図5図5は、本開示の第3実施形態に係る水素システムの一例を模式的に示すブロック図である。
図6図6は、本開示の第3実施形態に係る水素システムにおける第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図7図7は、本開示の第4実施形態に係る水素システムの一例を模式的に示すブロック図である。
図8図8は、本開示の第4実施形態に係る水素システムにおける第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図9図9は、本開示の第5実施形態に係る水素システムの一例を模式的に示すブロック図である。
図10図10は、本開示の第5実施形態に係る水素システムにおける第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図11図11は、本開示の第6実施形態に係る水素システムの一例を模式的に示すブロック図である。
図12図12は、本開示の第7実施形態に係る水素システムにおける第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図13図13は、本開示の第7実施形態の変形例に係る水素システムにおける第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図14図14は、本開示の第8実施形態に係る水素システムの一例を模式的に示すブロック図である。
図15図15は、本開示の第8実施形態に係る水素システムの一例を模式的に示すブロック図である。
図16図16は、本開示の第9実施形態に係る水素システムにおける熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図17図17は、本開示の第10実施形態に係る水素システムの一例を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の一形態を得るに至った経緯)
例えば、固体高分子電解質膜(以下、電解質膜)による電気化学式水素ポンプでは、アノード側の水素(H)をプロトン化して電解質膜を介してカソード側に移動させる。そして、プロトン(H)をカソードで水素(H)に戻すことで水素(H)が高圧化される。このとき、一般的に、電解質膜は、高温および高加湿の条件(例えば、約60℃)でプロトン伝導率があがり、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作の効率が向上する。
【0013】
そこで、複数の膜/電極接合体(MEA)を積層させてなる電気化学式水素ポンプスタックは、適宜、熱源により加熱される構成となっており、このため、この熱源に所望のエネルギーを付与する必要がある。特に電気化学式水素ポンプは、起動時において熱源で消費するエネルギー量が増加することを本開示者らは見出した。
【0014】
また、上記したように水電解装置は、プロトン伝導率の向上および電極触媒の活性の観点から、起動時においてある程度高温とする必要がある。そこで、特許文献1では、水電解装置の起動時において、水電解スタックでの電気分解に使用される水と燃料電池を冷却する熱媒体(冷媒)との間で熱交換し、水電解スタックを加熱する水電解システムが提案されている。
【0015】
しかしながら、水電解装置では、水電解時において過電圧に起因して熱が発生する。このため、水電解装置を構成する水電解スタックの水電解効率と耐久性との観点から、水電解装置が室温からある程度の温度(例えば、100℃)まで上昇すると、水電解装置から生じる熱をとり除く必要がある。
【0016】
そこで、本開示者らは、水電解時において生じた排熱を水電解装置から回収し、電気化学式水素ポンプに与えることで、従来よりもエネルギー効率の高い水素システムを実現できることを見出し、本開示に至った。つまり、水電解装置から回収した排熱を、電気化学式水素ポンプに与える構成とすることで、この排熱を、電気化学式水素ポンプスタックを加熱する熱源として利用できる。また、電気化学式水素ポンプスタックを加熱する熱源として、例えば電気ヒーターが設けられた構成の場合は、電気ヒーターにより電気化学式水素ポンプスタックに与える熱量を低減させることができる。このため、電気ヒーターで消費するエネルギー量を抑制することができる。
【0017】
なお、特許文献1に開示された水電解システムでは、このような水電解装置と電気化学式水素ポンプとの間における熱利用については考慮されてない。
【0018】
ここで、本開示の第1の態様に係る水素システムは、水電解セルを含む水電解装置と、前記水電解装置で生成された水素含有ガスを昇圧する電気化学式水素ポンプと、前記水電解装置で生成された水素含有ガスを前記電気化学式水素ポンプに供給するガス流路と、前記水電解セルの排熱を回収した液体の第1熱媒体が流れる第1流路と、を備え、前記電気化学式水素ポンプは、前記水電解セルの排熱を回収した後の前記第1熱媒体と熱交換可能に構成されている。
【0019】
上記構成によると、電気化学式水素ポンプが水電解セルの排熱を回収した後の第1熱媒体と熱交換可能に構成されているため、水電解セルの排熱を利用して電気化学式水素ポンプを加熱することができる。それゆえ、水素システムにおいて従来よりもエネルギー効率を高めることができる。
【0020】
また、本開示の第2の態様に係る水素システムは、上記した第1の態様において、前記第1流路は、前記第1熱媒体が前記水電解装置及び前記電気化学式水素ポンプそれぞれと熱交換するよう配設され、前記第1熱媒体は、前記水電解セルの排熱を回収した後、前記電気化学式水素ポンプと熱交換するように構成されていてもよい。
【0021】
上記構成によると、第1熱媒体が水電解装置及び電気化学式水素ポンプと熱交換するように、第1流路が配設されているため、第1熱媒体によって、水電解セルから排熱を回収し、この回収した排熱を利用して電気化学式水素ポンプを加熱することができる。
【0022】
また、本開示の第3の態様に係る水素システムは、上記した第1の態様または第2の態様において、第1熱媒体は、前記水電解装置に供給される水電解用の液水であってもよい。
【0023】
また、本開示の第4の態様に係る水素システムは、上記した第1の態様または第2の態様において、前記第1熱媒体は、前記水電解セルを冷却する冷却液であり、前記冷却液は、前記水電解装置に供給される水電解用の液水とは異なるものであってもよい。
【0024】
また、本開示の第5の態様に係る水素システムは、上記した第1の態様または第2の態様において、前記ガス流路に設けられた、気液分離器を備え、前記第1熱媒体は、前記気液分離器で水素含有ガスから分離された液水であり、前記第1流路の一端は、前記気液分離器内の液水が溜まる貯留部に接続されていてもよい。
【0025】
上記構成によると、水素システムには、ガス流路に気液分離器が設けられているので、気液分離器において、水電解装置で生成された水素含有ガスから分離した液水を第1熱媒体として有効に利用することができる。
【0026】
また、本開示の第6の態様に係る水素システムは、上記した第2の態様から第5の態様のいずれか一つにおいて、前記水電解セルの排熱を回収した前記第1熱媒体を、前記電気化学式水素ポンプと熱交換するまでの間に冷却する第1冷却器を備える構成であってもよい。
【0027】
上記構成によると、第1冷却器を備えるため、水電解セルで発生した排熱を回収した第1熱媒体を、第1冷却器によって最適な温度まで低下させることができる。そして、最適な温度まで低下させた第1熱媒体と電気化学式水素ポンプとの間で熱交換することができるため、電気化学式水素ポンプが過昇温となることを防ぎつつ、電気化学式水素ポンプを最適な温度となるように加熱することができる。
【0028】
また、本開示の第7の態様に係る水素システムは、上記した第6の態様において、前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記第1冷却器の冷却量を増加させる制御器を備える構成であってもよい。
【0029】
上記構成によると、上記の制御器(後述の第1制御器10)を備えるため、電気化学式水素ポンプから受信した温度の上昇に基づき、制御器により第1冷却器の冷却量を増加させることができる。換言すると、電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度上昇に応じて、第1熱媒体の温度を低減させることができる。
【0030】
したがって、電気化学式水素ポンプを高効率で運転するのに最適な温度となるように、第1熱媒体の温度を制御することができる。
【0031】
また、本開示の第8の態様に係る水素システムは、上記した第5の態様において、前記気液分離器よりも上流の前記ガス流路を流れる水素含有ガスまたは前記気液分離器内を流れる水素含有ガスを冷却する第2冷却器を備える構成であってもよい。
【0032】
上記構成によると、水素システムには、ガス流路に気液分離器が設けられているので、気液分離器において、水電解装置で生成された水素含有ガスから分離した液水を第1熱媒体として有効に利用することができる。
【0033】
また、水電解セルで発生した排熱を回収した水素含有ガスを、第2冷却器によって最適な温度まで低下させることができる。そして、最適な温度まで低下させた水素含有ガスと電気化学式水素ポンプとの間で熱交換することができるため、電気化学式水素ポンプが過昇温となることを防ぎつつ、電気化学式水素ポンプを最適な温度となるように加熱することができる。
【0034】
また、本開示の第9の態様に係る水素システムは、上記した第8の態様において、前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記第2冷却器の冷却量を増加させる制御器を備える構成であってもよい。
【0035】
上記構成によると、上記の制御器(後述の第2制御器12)を備えるため、電気化学式水素ポンプから受信した温度の上昇に基づき、制御器により第2冷却器の冷却量を増加させることができる。換言すると、電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度上昇に応じて、水素含有ガスの温度を所望の値に低減させることができる。
【0036】
したがって、電気化学式水素ポンプを高効率で運転するのに最適な温度となるように、水素含有ガスの温度を制御することができる。
【0037】
また、本開示の第10の態様に係る水素システムは、上記した第1の態様から第5の態様のいずれか一つにおいて、前記水電解セルの排熱を回収した第1熱媒体を、前記電気化学式水素ポンプと熱交換するまでの間に冷却する第1冷却器と、前記第1流路から分岐して前記第1冷却器を経由した後、前記第1流路に合流する第1分岐路と、前記第1分岐路へ流れる前記第1熱媒体の流量を制御する第1流量制御器と、を備えるように構成してもよい。
【0038】
上記構成によると、第1冷却器により冷却されることなく第1流路を流通する第1熱媒体と、第1流路から分岐して第1分岐路を流通して第1冷却器により冷却された第1熱媒体とが第1流路で合流する構成となっている。このため、電気化学式水素ポンプを高効率で運転するのに最適な温度となるように、第1熱媒体の温度を制御することができる。
【0039】
また、本開示の第11の態様に係る水素システムは、上記した第10の態様において、前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記第1流量制御器を制御して、前記第1分岐路に流れる第1熱媒体の流量を増加させる制御器を備える構成であってもよい。
【0040】
上記構成によると、上記の制御器(後述の第3制御器14)を備えるため、電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度の上昇に応じて、第1分岐路に流れる第1熱媒体の流量を第1流量制御器によって増加させることができる。このため、電気化学式水素ポンプにおける発熱量の増加に応じて、第1冷却器により第1熱媒体の温度を低下させることができる。したがって、電気化学式水素ポンプを高効率で運転するのに最適な温度となるように、第1熱媒体の温度を制御することができる。
【0041】
また、本開示の第12の態様に係る水素システムは、上記した第5の態様において、前記気液分離器よりも上流の前記ガス流路から分岐して、前記分岐した箇所よりも下流かつ前記気液分離器よりも上流で前記ガスと合流するガス分岐路と、前記ガス分岐路を流れる水素含有ガスを冷却する第2冷却器と、前記ガス分岐路へ流れる水素含有ガスの流量を制御するガス流量制御器と、を備える構成であってもよい。
【0042】
上記構成によると、第2冷却器により冷却されることなくガス流路を流通する水素含有ガスと、ガス流路から分岐してガス分岐路を流通して第2冷却器により冷却された水素含有ガスとがガス流路で合流する構成となっている。このため、電気化学式水素ポンプを高効率で運転するのに最適な温度となるように、水素含有ガスの温度を制御することができる。
【0043】
また、本開示の第13の態様に係る水素システムは、上記した第12の態様において、前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記ガス流量制御器を制御して、前記ガス分岐路に流れる前記水素含有ガスの流量を増加させる制御器を備える構成であってもよい。
【0044】
上記構成によると、制御器(後述の第4制御器17)を備えるため、電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度の上昇に応じて、ガス分岐路に流れる水素含有ガスの流量をガス流量制御器によって増加させることができる。このため、電気化学式水素ポンプにおける発熱量の増加に応じて、第2冷却器により水素含有ガスの温度を低下させることができる。したがって、電気化学式水素ポンプを高効率で運転するのに最適な温度となるように、水素含有ガスの温度を制御することができる。
【0045】
また、本開示の第14の態様に係る水素システムは、上記した第2の態様から第5の態様のいずれか一つにおいて、前記第1流路より分岐して、前記水電解装置へ戻る還流路と、前記還流路への第1熱媒体の流量を制御する還流量制御器と、前記還流量制御器を制御する制御器と、を備える構成であってもよい。
【0046】
上記構成によると、上記の制御器(後述の第5制御器20)を備えるため、電気化学式水素ポンプ及び水電解装置の使用状態に応じて、還流路に流れる第1熱媒体の流量を還流量制御器によって適切に増減させることができる。
【0047】
また、本開示の第15の態様に係る水素システムは、上記した第14の態様において、前記水電解装置が水電解を実行中で、かつ前記電気化学式水素ポンプの起動前であるとき、前記制御器は、前記還流量制御器を制御して、前記還流路の分岐箇所よりも下流の前記第1流路を流れる第1熱媒体の流量よりも、前記還流路を流れる第1熱媒体の流量を大きくしてもよい。
【0048】
上記構成によると、水電解装置が水電解を実行中であって電気化学式水素ポンプの起動前であるときは、還流量制御器によって、還流路に流れる第1熱媒体の流量を、還流路の分岐箇所よりも下流の第1流路を流れる第1熱媒体の流量に比べて大きくすることで、電気化学式水素ポンプへの無駄な熱供給が抑制される。
【0049】
また、本開示の第16の態様に係る水素システムは、上記した第14の態様または第15の態様において、前記水電解装置が水電解を実行中で、かつ前記電気化学式水素ポンプが起動されると、前記制御器は、前記還流量制御器を制御して、前記還流路の分岐箇所よりも下流の前記第1流路を流れる第1熱媒体の流量を、前記還流路を流れる第1熱媒体の流量よりも大きくしてもよい。
【0050】
上記構成によると、水電解装置が水電解を実行中であって電気化学式水素ポンプの起動したときは、還流量制御器によって、還流路の分岐箇所よりも下流の第1流路を流れる第1熱媒体の流量を、還流路に流れる第1熱媒体の流量に比べて大きくすることで、水電解セルの排熱を利用して電気化学式水素ポンプを加熱しやすくなる。
【0051】
また、本開示の第17の態様に係る水素システムは、上記した第14の態様または第15の態様において、前記制御器は、前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記還流量制御器を制御して、前記還流路を流れる第1熱媒体の流量を増加させてもよい。
【0052】
上記構成によると、電気化学式水素ポンプにおける発熱量の増加に応じて、還流路に流れる第1熱媒体の流量を増加させることで、還流路に分岐する箇所より下流の第1流路を流れる第1熱媒体による電気化学式水素ポンプの加熱量を低下させることができる。したがって、電気化学式水素ポンプを高効率で運転するのに最適な温度となるように、電気化学式水素ポンプに流入する第1熱媒体の流量を制御することができる。
【0053】
また、本開示の第18の態様に係る水素システムは、上記した第14の態様から第17の態様のいずれか一つにおいて、前記還流路を流れる第1熱媒体を冷却する第3冷却器を備える構成であってもよい。
【0054】
上記構成によると、第1熱媒体が還流路を流れるときに、第1熱媒体を第3冷却器によって適切に冷却することができるので、還流路を流れる第1熱媒体の温度制御により、水電解装置の温度を適温に維持することができる。
【0055】
また、本開示の第19の態様に係る水素システムは、上記した第14の態様から第17の態様のいずれか一つにおいて、前記水電解セルの排熱を回収した前記第1熱媒体を、前記電気化学式水素ポンプと熱交換するまでの間に冷却する第1冷却器を備え、前記還流路は、前記第1冷却器よりも下流の前記第1流路より分岐してもよい。
【0056】
上記構成によると、第1熱媒体が、還流路の分岐箇所よりも上流の第1流路を流れるときに、第1熱媒体を第1冷却器によって適切に冷却することができる。このため、電気化学式水素ポンプにおける発熱量の増加に応じて、第1冷却器の冷却量を増加させることで、第1熱媒体の温度を低下させることができる。したがって、電気化学式水素ポンプを高効率で運転するのに最適な温度となるように、第1熱媒体の温度を制御することができる。
【0057】
また、本開示の第20の態様に係る水素システムは、上記した第6の態様において、前記第1冷却器は、第1熱媒体から回収した熱を貯える第1蓄熱器であってもよい。
【0058】
上記構成によると、第1熱媒体により水電解装置から回収した排熱を第1蓄熱器に蓄えることができるので、第1蓄熱器からの熱を、必要に応じて適時に、水素システムで利用することができる。
【0059】
また、本開示の第21の態様に係る水素システムは、上記した第1の態様から第5の態様のいずれか一つにおいて、前記第1流路に前記第1熱媒体を送出する第1送出器を備え、前記電気化学式水素ポンプの起動時に、前記第1送出器の動作を開始させてもよい。
【0060】
上記構成によると、第1送出器を備えるため、電気化学式水素ポンプの起動にあわせて第1流路において第1熱媒体を流通させることができる。このため、電気化学式水素ポンプの起動時に、水電解セルの排熱を回収した第1熱媒体の熱を利用して、電気化学式水素ポンプを最適な温度となるように加熱することができる。
【0061】
また、本開示の第22の態様に係る水素システムは、上記した第1の態様において、前記第1熱媒体と液体の第2熱媒体が熱交換する熱交換器と、前記熱交換器で熱交換後に、前記電気化学式水素ポンプと熱交換する第2熱媒体が流れる第2流路を備える構成であってもよい。
【0062】
上記構成によると、第2流路を備えるため、第2熱媒体を介して第1熱媒体により水電解装置から回収した排熱の一部を電気化学式水素ポンプに与えることができる。このため、水電解セルの排熱を利用して電気化学式水素ポンプを加熱することができ、水素システムにおいて従来よりもエネルギー効率を高めることができる。
【0063】
また、本開示の第23の態様に係る水素システムは、上記した第22の態様において、前記熱交換器は、前記第2熱媒体を貯える第2蓄熱器であってもよい。
【0064】
上記構成によると、水電解セルの排熱を回収した第2熱媒体を第2蓄熱器に蓄えることができるので、第2熱媒体を循環させることで、第2蓄熱器内の第2熱媒体が有する熱を、必要に応じて適時に、電気化学式水素ポンプの加熱に利用することができる。
【0065】
また、本開示の第24の態様に係る水素システムは、上記した第22の態様において、前記熱交換器は、第3熱媒体を貯える、第3蓄熱器であり、前記第1流路及び前記第2流路は、前記第3熱媒体と熱交換するよう構成されていてもよい。
【0066】
上記構成によると、水電解セルの排熱を回収した第3熱媒体を第3蓄熱器に蓄えることができるので、第3熱媒体を循環させることで、第3蓄熱器内の第3熱媒体が有する熱を、必要に応じて適時に、電気化学式水素ポンプの加熱に利用することができる。
【0067】
また、本開示の第25の態様に係る水素システムは、上記した第22の態様から第24態様のいずれか一つにおいて、前記第2流路に設けられ、前記第2熱媒体を送出する第2送出器と、前記電気化学式水素ポンプの起動時に、前記第2送出器の動作を開始させる制御器と、を備える構成であってもよい。
【0068】
上記構成によると、第2送出器および制御器(後述の第6制御器25)を備えるため、電気化学式水素ポンプの起動にあわせて第2流路において第2熱媒体を流通させることができる。このため、電気化学式水素ポンプの起動時に、第2熱媒体は、第1熱媒体との熱交換により得た熱を利用して電気化学式水素ポンプを最適な温度となるように加熱することができる。このため、電気化学式水素ポンプの昇圧動作時において高効率な運転が可能となる温度まで、電気化学式水素ポンプの温度を上昇させることができる。
【0069】
また、本開示の第26の態様に係る水素システムは、上記した第22の態様から第25態様のいずれか一つにおいて、前記第1熱媒体が前記熱交換器をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路を流れる前記第1熱媒体の流量を制御する第2流量制御器と、前記電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、前記第2流量制御器を制御して、前記バイパス流路を流れる第1熱媒体の流量を増加させる制御器と、を備える構成としてもよい。
【0070】
上記構成によると、バイパス流路と第2流量制御器とを備えるため、バイパス流路を流れる第1熱媒体の流量を調整することで第1熱媒体の有する熱量を調整することができる。また、制御器(後述の第6制御器25)を備えるため、電気化学式水素ポンプに含まれる電気化学セルの温度の上昇に応じて、第2流量制御器によってバイパス流路を流れる第1熱媒体の流量を増加させることができる。つまり、換言すると電気化学式水素ポンプの温度上昇に応じて、第2熱媒体が熱交換器を介して第1熱媒体から得られる熱量を低減させることができる。
【0071】
したがって、電気化学式水素ポンプの高効率な運転が可能となる温度となるように電気化学式水素ポンプを加熱することができる。
【0072】
また、本開示の第27の態様に係る水素システムは、上記した第1の態様から第26態様のいずれか一つにおいて、ガス流路上に設けられ、水素含有ガスを貯えるタンクを備える構成であってもよい。
【0073】
上記構成によると、水電解装置で生成された水素含有ガスをタンクに貯えることで、水素含有ガスを、必要に応じて適時に電気化学式水素ポンプに供給することができる。
【0074】
また、本開示の第28の態様に係る水素システムは、上記した第1の態様から第27態様のいずれか一つにおいて、前記電気化学式水素ポンプの下流のガス流路に設けられた燃料電池を備える構成であってもよい。
【0075】
上記構成によると、電気化学式水素ポンプからの水素含有ガスを用いて、必要に応じて適時に燃料電池で発電することができる。
【0076】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一または対応する構成部材には同一の参照符号を付してその説明については省略する場合がある。
【0077】
[第1実施形態]
まず、図1を参照して、本開示の第1実施形態に係る水素システム100を説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係る水素システム100の一例を模式的に示すブロック図である。図1では、水素システム100を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。
【0078】
水素システム100は、図1に示すように、水電解セルを含む水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3と、水電解セルの排熱を回収した液体の第1熱媒体が流れる第1流路5と、水電解装置1で生成された水素含有ガスを電気化学式水素ポンプ3に供給するガス流路6と、を備える。
【0079】
水電解装置1は、複数枚の水電解セルを積層して構成された水電解スタック2を備える。水電解スタック2は、電圧印加器(不図示)から所定の電圧以上の電圧を印加することにより、系外から供給された水を電気分解し、カソードより水素含有ガス、アノードより酸素含有ガスを発生させるデバイスである。なお、水電解装置1において実施される水電解技術は特に限定されるものではなく、例えば、アルカリ水電解、固体高分子水電解、または高温水電解などが例示できる。水電解スタック2は、カソードで発生させた水素含有ガスを、ガス流路6を通じて電気化学式水素ポンプ3に供給する。
【0080】
電気化学式水素ポンプ3は、水電解装置1で生成された水素含有ガスを昇圧するデバイスである。電気化学式水素ポンプ3は、複数枚の電気化学セルを積層して構成された電気化学式水素ポンプスタック4を備える。例えば、電気化学式水素ポンプ3は、電解質膜による電気化学式の昇圧器であってもよい。この場合、電気化学式水素ポンプスタック4は、電圧印加器(不図示)から電圧印加することにより、水電解スタック2から供給された水素含有ガスの水素(H)をプロトン化してアノードから電解質を通じてカソードへ移動させ、プロトン(H)をカソードで水素(H)化することで水素含有ガスを圧縮して高圧化する。
【0081】
なお、電圧印加器は、バッテリ、太陽電池、燃料電池などの直流電源と接続されているときはDC/DCコンバータを備え、商用電源などの交流電源と接続されているときはAC/DCコンバータを備える。また、電圧印加器は、例えば、電気化学式水素ポンプ3に供給する電力が所定の設定値となるように、アノードおよびカソード間に印加する電圧、アノードおよびカソード間を流れる電流を調整可能とする電力型電源であってもよい。
【0082】
第1流路5は、水電解装置1における水電解セルの排熱を回収する第1熱媒体が流れる流路である。本開示の第1実施形態に係る水素システム100では、第1流路5は、第1熱媒体が水電解装置1における水電解スタック2及び電気化学式水素ポンプ3における電気化学式水素ポンプスタック4それぞれと熱交換するよう配設されている。そして、第1流路5を流通する第1熱媒体が、水電解装置1における水電解セルの排熱を回収した後、電気化学式水素ポンプ3における電気化学式水素ポンプスタック4と熱交換し、電気化学式水素ポンプスタック4を加熱する。
【0083】
なお、第1熱媒体と電気化学式水素ポンプスタック4との熱交換は、例えば、第1熱媒体が電気化学式水素ポンプスタック4のセル間を流れ、第1熱媒体と電気化学式水素ポンプスタック4との間で直接的に行ってもよい。また、第1熱媒体とは別の熱媒体を介して、第1熱媒体と電気化学式水素ポンプスタック4とが間接的に熱交換される構成であってもよい。
【0084】
第1熱媒体は、第1送出器7によって送出され、第1流路5内を流通する。第1送出器7は、例えば、マスフローコントローラ、昇圧器等の流体の流量を制御するデバイスであってもよいし、第1熱媒体に元圧が与えられている構成の場合は、流量調整弁であってもよい。第1熱媒体は、水電解装置1に供給される水電解用の液水であってもよいし、この水電解される水とは別の液体であってもよい。例えば、第1熱媒体は、水電解セルを冷却する冷却液であり、冷却液は、水電解装置1に供給される水電解用の液水とは異なる液体であってもよい。このような冷却液として、例えば、水を挙げることができる。
【0085】
なお、水電解セルの排熱を回収するために第1熱媒体を水電解スタック2に送出させるタイミングは、水電解スタック2において水電解が実施され水電解スタック2が所定の温度まで上昇したタイミングとすることができる。また、排熱を回収した第1熱媒体と電気化学式水素ポンプスタック4とが熱交換するタイミングは、例えば、電気化学式水素ポンプ3の起動時とすることができる。この場合、電気化学式水素ポンプ3の起動時に、第1送出器7の動作を開始させる。これにより、電気化学式水素ポンプ3の起動にあわせて第1流路5において第1熱媒体を流通させることができる。このため、電気化学式水素ポンプ3の起動時に、水電解セルの排熱を回収した第1熱媒体の熱を利用して、電気化学式水素ポンプ3を最適な温度となるように加熱することができる。
【0086】
なお、排熱を回収した第1熱媒体と電気化学式水素ポンプスタック4とが熱交換するタイミングは、必ずしも電気化学式水素ポンプ3の起動時に限定されるものではない。例えば、電気化学式水素ポンプ3の起動前から排熱を回収した第1熱媒体と電気化学式水素ポンプスタック4とが熱交換しており、起動前から電気化学式水素ポンプスタック4を加熱する構成であってもよい。
【0087】
以上のように、水電解スタック2と熱交換をして排熱を回収した後の第1熱媒体と電気化学式水素ポンプスタック4とが熱交換可能構成となっているため、水電解セルの排熱を利用して電気化学式水素ポンプスタック4を加熱することができる。それゆえ、水素システム100において従来よりもエネルギー効率を高めることができる。
【0088】
[第1実施形態の変形例]
次に、図2を参照して本開示の第1実施形態の変形例について説明する。図2は、本開示の第1実施形態の変形例に係る水素システム100Aの一例を模式的に示すブロック図である。
【0089】
本変形例に係る水素システム100Aは、第1実施形態に係る水素システム100の構成において、気液分離器8をさらに備えた構成となっている。具体的には、気液分離器8は、ガス流路6に設けられている。
【0090】
第1熱媒体は、気液分離器8で水素含有ガスから分離された液水であり、第1流路5の一端は、気液分離器8内の液水が溜まる貯留部8Aに接続されている。つまり、第1熱媒体は水電解セルと熱交換をして、水電解セルで発生した排熱を回収した、水素含有ガス中の液水及び水蒸気である。その後、排熱を回収した第1熱媒体は、気液分離器8と電気化学式水素ポンプ3とを接続する第1流路5を流通する。
【0091】
以上により、水素システム100Aには、ガス流路6に気液分離器8が設けられているので、気液分離器8において、水電解装置1で生成された水素含有ガスから分離した液水を第1熱媒体として有効に利用することができる。
【0092】
本変形例に係る水素システム100Aは、上記の特徴以外は、第1実施形態に係る水素システムと同様であってもよい。
【0093】
[第2実施形態]
次に、図3を参照して本開示の第2実施形態について説明する。図3は、本開示の第2実施形態に係る水素システム101の一例を模式的に示すブロック図である。図3では、水素システム101を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。
【0094】
第2実施形態に係る水素システム101は、第1実施形態に係る水素システム100の構成において、冷却器9をさらに備えた構成となっている。具体的には、水素システム101では、水電解セルの排熱を回収した第1熱媒体を、電気化学式水素ポンプ3と熱交換するまでの間に冷却する冷却器9が第1流路5上に備えらえている。冷却器9としては、例えばラジエータ(放熱器)またはチラーが例示できるが、これらに限定されない。例えば、冷却器9は、第1熱媒体から回収した熱を貯える蓄熱器であってもよい。すると、第1熱媒体により水電解装置から回収した排熱を蓄熱器に蓄えることができるので、蓄熱器からの熱を、必要に応じて適時に、水素システム101で利用することができる。このような蓄熱器として、例えば、第1流路5を構成する配管を備える貯湯タンクなどを挙げることができる。つまり、この配管を流通する第1熱媒体の熱を貯湯タンク内の水に与えることで、第1熱媒体が冷却される。
【0095】
第1熱媒体は水電解スタック2と熱交換をして、水電解セルで発生した排熱を回収する。その後、排熱を回収した第1熱媒体は、水電解装置1と電気化学式水素ポンプ3とを接続する第1流路5を流通し、第1流路5に設けられた冷却器9を通過する際に冷却される。
【0096】
ところで、電気化学式水素ポンプ3は、水素を圧縮する圧力が上昇するにつれ、電気化学式水素ポンプスタック4を構成する電気化学セルにおいて生じる過電圧も大きくなっていく。このため、水素を圧縮する圧力が上昇するにつれ、電気化学式水素ポンプスタック4の温度が上昇していく。ここで、電気化学式水素ポンプ3が過昇温となると、電気化学式水素ポンプスタック4のカソード側がドライとなりプロトンの移動が阻害されてしまうという問題が生じる。
【0097】
このように電気化学式水素ポンプ3では、水素を圧縮する圧力の上昇に伴って温度が上昇していくのに対して、水電解装置1で生じる排熱の熱量は一定である。このため、第1熱媒体の有する熱量を必要に応じて低減させて、この第1熱媒体との熱交換により電気化学式水素ポンプ3を加熱するための熱量を抑制する必要がある。
【0098】
第2実施形態に係る水素システム101では、冷却器9を備えるため、水電解セルで発生した排熱を回収した第1熱媒体を、冷却器9によって最適な温度まで低下させることができる。そして、最適な温度まで低下させた第1熱媒体と電気化学式水素ポンプ3との間で熱交換することができるため、電気化学式水素ポンプ3が過昇温となることを防ぎつつ、電気化学式水素ポンプ3を最適な温度となるように加熱することができる。
【0099】
次に、図4を参照して第1熱媒体の温度制御について説明する。図4は、本開示の第2実施形態に係る水素システム101における第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。図4に示すように、水素システム101は、図3に示す構成において、冷却器9による冷却量を制御する第1制御器10(制御器)をさらに備えた構成となっている。なお、図4においても、図3と同様に、水素システム101を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示し、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。また、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度を示す信号および冷却器9へ送信する制御信号の流れについては細い破線の矢印で示している。なお、本例では、温度を検知する検知器の一例として、温度検知器60を用いているが、これに限定されない。電気化学セルの温度を検知する検知器は、上記温度検知器60のように電気化学セルの温度を直接検知する検知器であってもよいし、電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器であってもよい。電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器としては、例えば、電気化学式水素ポンプ3の昇圧値を検知する検知器であってもよい。
【0100】
第1制御器10は、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、冷却器9の冷却量を増加させるように冷却器9を制御する。第1制御器10は演算処理部と、制御プログラムを記憶する記憶部とを備える。演算処理部としては、例えば、MPU、CPUなどを例示できる。記憶部としては、例えば、メモリなどを例示できる。第1制御器10は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもいいし、互いに共働して分散制御を行う、複数の制御器から構成されていてもいい。
【0101】
なお、電気化学セルの温度は、例えば、温度検知器60で計測される場合、第1制御器10は、この温度を温度検知器60から送信される信号(例えば、電圧)として受信することができる。そして、第1制御器10は、温度が上昇したと判定すると、冷却器9へ制御信号を送信して冷却器9の冷却量を制御する。
【0102】
また、電気化学セルの温度に相関する上記の昇圧値は、電気化学式水素ポンプ3により昇圧された水素の圧力値の情報であり、第1制御器10は、この昇圧値を、例えば、昇圧された水素の圧力値を計測している検知器から送信される信号(例えば、電圧)として得ることができる。そして、第1制御器10は、昇圧値が上昇したと判定すると、冷却器9へ制御信号を送信して冷却器9の冷却量を制御する。
【0103】
このように、第2実施形態に係る水素システム101では、電気化学式水素ポンプ3から受信した温度の上昇に基づき、第1制御器10により冷却器9の冷却量を増加させることができる。換言すると、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度上昇に応じて、第1熱媒体の温度を低減させることができる。
【0104】
したがって、電気化学式水素ポンプ3を高効率で運転するのに最適な温度となるように、第1熱媒体の温度を制御することができる。
【0105】
本実施形態に係る水素システム101は、上記の特徴以外は、第1実施形態または第1実施形態の変形例に係る水素システムと同様であってもよい。
【0106】
[第3実施形態]
次に、図5を参照して本開示の第3実施形態について説明する。図5は、本開示の第3実施形態に係る水素システム102の一例を模式的に示すブロック図である。図5では、水素システム102を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。
【0107】
第3実施形態に係る水素システム102は、第1実施形態の変形例に係る水素システム100Aの構成において、冷却器11をさらに備えた構成となっている。具体的には、冷却器11は、気液分離器8よりも上流のガス流路6を流れる水素含有ガスまたは気液分離器8内を流れる水素含有ガスを冷却する装置である。なお、図5図6も同じ)では、冷却器11を、気液分離器8内を流れる水素含有ガスを冷却するように図示しているが、冷却器11は、気液分離器8よりも上流のガス流路6上に設けられていてもよい。冷却器11としては、例えばラジエータ(放熱器)またはチラーが例示できる。
【0108】
第1熱媒体は、冷却器11が水素含有ガスを冷却することにより、気液分離器8で水素含有ガスから分離された液水であり、第1流路5の一端は、気液分離器8内の液水が溜まる貯留部8Aに接続されている。つまり、第1熱媒体は水電解セルと熱交換をして、水電解セルで発生した排熱を回収した、水素含有ガス中の液水及び水蒸気である。その後、排熱を回収した第1熱媒体は、気液分離器8と電気化学式水素ポンプ3とを接続する第1流路5を流通する。
【0109】
ところで、電気化学式水素ポンプ3は、水素を圧縮する圧力が上昇するにつれ、電気化学式水素ポンプスタック4を構成する電気化学セルにおいて生じる過電圧も大きくなっていく。このため、水素を圧縮する圧力が上昇するにつれ、電気化学式水素ポンプスタック4の温度が上昇していく。ここで、電気化学式水素ポンプ3が過昇温となると、電気化学式水素ポンプスタック4のカソード側がドライとなりプロトンの移動が阻害されてしまうという問題が生じる。
【0110】
このように電気化学式水素ポンプ3では、水素を圧縮する圧力の上昇に伴って温度が上昇していくのに対して、水電解装置1で生じる排熱の熱量は一定である。このため、水素含有ガスの有する熱量を必要に応じて低減させて、この水素含有ガスとの熱交換により電気化学式水素ポンプ3を加熱するための熱量を抑制する必要がある。
【0111】
そこで、水素システム102では、冷却器11を備えるため、貯留部8Aに貯えられる液水の温度を、冷却器11によって最適な温度まで低下させることができる。そして、最適な温度まで低下させた貯留部8Aに貯えられる液水と電気化学式水素ポンプ3との間で熱交換することができるため、電気化学式水素ポンプ3が過昇温となることを防ぎつつ、電気化学式水素ポンプ3を最適な温度となるように加熱することができる。
【0112】
次に、図6を参照して水素含有ガスの温度制御について説明する。図6は、本開示の第3実施形態に係る水素システム102における第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。図6に示すように、水素システム102は、図5に示す構成において、冷却器11による冷却量を制御する第2制御器12(制御器)をさらに備えた構成となっている。図6においても、図5と同様に、水素システム102を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示し、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。また、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度を示す信号および冷却器11へ送信する制御信号の流れについては細い破線の矢印で示している。なお、本例では、温度を検知する検知器の一例として、温度検知器60を用いているが、これに限定されない。電気化学セルの温度を検知する検知器は、上記温度検知器60のように電気化学セルの温度を直接検知する検知器であってもよいし、電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器であってもよい。電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器としては、例えば、電気化学式水素ポンプ3の昇圧値を検知する検知器であってもよい。
【0113】
第2制御器12は、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、冷却器11の冷却量を増加させるように冷却器11を制御する。第2制御器12は演算処理部と、制御プログラムを記憶する記憶部とを備える。演算処理部としては、例えば、MPU、CPUなどを例示できる。記憶部としては、例えば、メモリなどを例示できる。第2制御器12は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもいいし、互いに共働して分散制御を行う、複数の制御器から構成されていてもいい。
【0114】
なお、電気化学セルの温度は、例えば、温度検知器60で計測される場合、第2制御器12は、この温度を温度検知器60から送信される信号(例えば、電圧)として受信することができる。そして、第2制御器12は、温度が上昇したと判定すると、冷却器11へ制御信号を送信して冷却器11の冷却量を制御する。
【0115】
また、電気化学セルの温度に相関する上記の昇圧値は、電気化学式水素ポンプ3により昇圧された水素の圧力値の情報であり、第2制御器12は、この昇圧値を、例えば、昇圧された水素の圧力値を計測している検知器から送信される信号(例えば、電圧)として得ることができる。そして、第2制御器12は、昇圧値が上昇したと判定すると、冷却器11へ制御信号を送信して冷却器11の冷却量を制御する。
【0116】
このように、第3実施形態に係る水素システム102では、電気化学式水素ポンプ3から受信した温度の上昇に基づき、第2制御器12により冷却器11の冷却量を増加させることができる。換言すると、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度上昇に応じて、水素含有ガスの温度を低減させることができる。
【0117】
したがって、電気化学式水素ポンプ3を高効率で運転するのに最適な温度となるように、水素含有ガスの温度を制御することができる。
【0118】
本実施形態に係る水素システム102は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例および第2実施形態のいずれかに係る水素システムと同様であってもよい。
【0119】
[第4実施形態]
次に、図7を参照して本開示の第4実施形態について説明する。図7は、本開示の第4実施形態に係る水素システム103の一例を模式的に示すブロック図である。図7では、水素システム103を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。
【0120】
第4実施形態に係る水素システム103は、第2実施形態に係る水素システム101の構成において、第1流量制御器13と、第1熱媒体が流れる第1流路5と、第1流路5から分岐して冷却器9を経由した後、再び第1流路5に合流する第1分岐路16と、をさらに備えた構成となっている。
【0121】
第1流量制御器13は、第1分岐路16へ流れる第1熱媒体の流量を制御する。第1流量制御器13は、第1分岐路16へ流れる第1熱媒体の流量を制御することができれば、どのような構成であってもよい。第1流量制御器13としては、三方弁、二方弁の組合せ、ニードル弁、マスフローコントローラまたは昇圧器等を備えた流量制御デバイスが例示できる。
【0122】
例えば、第1流量制御器13は、第1流路5と第1分岐路16とが分岐する分岐部上に設けられた、第1熱媒体の分流比が制御可能な流量制御デバイスであってもよい。
【0123】
また、例えば、第1流量制御器13は、第1分岐路16上、および、上記分岐部より下流であって第1分岐路16と第1流路5とが合流する合流部よりも上流の第1流路5上のうちのいずれか一方、または、両方に設けられた、第1熱媒体の流量が制御可能な流量制御デバイスであってもよい。
【0124】
なお、冷却器9は、第2実施形態に係る水素システム101と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0125】
第1熱媒体は水電解スタック2と熱交換をして、水電解セルで発生した排熱を回収する。その後、排熱を回収した第1熱媒体は、水電解装置1と電気化学式水素ポンプ3とを接続する第1流路5を流通し、第1流路5に設けられた第1流量制御器13で、第1熱媒体の流量の一部若しくは全量を第1流路5から第1分岐路16に分流させ、第1分岐路16に設けられた冷却器9に流入させる。一方、第1分岐路16に分流されなかった第1熱媒体は、そのまま第1流路5を流通して電気化学式水素ポンプ3に向かう。
【0126】
冷却器9へ流入した第1熱媒体の一部若しくは全量は冷却器9により冷却され、第1流路5へ再び合流する。これによって、第1流路5では、例えば、第1熱媒体の一部が、冷却器9へ流入する場合は、冷却器9により冷却された第1熱媒体と、冷却されていない第1熱媒体とが混合し、所望の温度となった第1熱媒体が電気化学式水素ポンプ3に供給される。
【0127】
このように、冷却器9により冷却されることなく第1流路5を流通する第1熱媒体と、第1流路5から分岐して第1分岐路16を流通して冷却器9により冷却された第1熱媒体とが第1流路5で合流する構成となっている。このため、電気化学式水素ポンプ3を高効率で運転するのに最適な温度となるように、第1熱媒体の温度を制御することができる。
【0128】
以上のように温度制御された第1熱媒体が第1流路5を流通して電気化学式水素ポンプ3に向かう。このため、最適な温度となるように制御された第1熱媒体と電気化学式水素ポンプ3との間で熱交換することができる。
【0129】
次に、図8を参照して第1熱媒体の温度制御について説明する。図8は、本開示の第4実施形態に係る水素システム103における第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。水素システム103は、上記した図7に示す構成において、第1分岐路16に流れる第1熱媒体の流量を調整するように第1流量制御器13を制御する第3制御器14(制御器)をさらに備えた構成となっている。図8においても、図7と同様に、水素システム103を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示し、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。また、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度を示す信号および冷却器9へ送信する制御信号の流れについては細い破線の矢印で示している。なお、本例では、温度を検知する検知器の一例として、温度検知器60を用いているが、これに限定されない。電気化学セルの温度を検知する検知器は、上記温度検知器60のように電気化学セルの温度を直接検知する検知器であってもよいし、電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器であってもよい。電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器としては、例えば、電気化学式水素ポンプ3の昇圧値を検知する検知器であってもよい。
【0130】
第3制御器14は、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、第1分岐路16に流れる第1熱媒体の流量を増加させるように第1流量制御器13を制御する。第3制御器14は演算処理部と、制御プログラムを記憶する記憶部とを備える。演算処理部としては、例えば、MPU、CPUなどを例示できる。記憶部としては、例えば、メモリなどを例示できる。第3制御器14は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもいいし、互いに共働して分散制御を行う、複数の制御器から構成されていてもいい。
【0131】
なお、電気化学セルの温度は、例えば、温度検知器60で計測される場合、第3制御器14は、この温度を温度検知器60から送信される信号(例えば、電圧)として受信することができる。そして、第3制御器14は、温度が上昇したと判定すると、第1流量制御器13へ制御信号を送信して第1分岐路16へ流れる第1熱媒体の流量を増加させるように第1流量制御器13を制御する。
【0132】
また、電気化学セルの温度に相関する上記の昇圧値は、電気化学式水素ポンプ3により昇圧された水素の圧力値の情報であり、第3制御器14は、この昇圧値を、例えば、昇圧された水素の圧力値を計測している検知器から送信される信号(例えば、電圧)として受信することができる。そして、第3制御器14は、昇圧値が上昇したと判定すると、第1流量制御器13へ制御信号を送信して第1分岐路16へ流れる第1熱媒体の流量を増加させるように第1流量制御器13を制御する。
【0133】
このように、第4実施形態に係る水素システム103では、電気化学式水素ポンプ3から受信した温度に基づき、第3制御器14が、第1流量制御器13によって第1分岐路16に流れる第1熱媒体の流量を制御する。このため、電気化学式水素ポンプ3における発熱量の増加に応じて、冷却器9により第1熱媒体の温度を低下させることができる。したがって、電気化学式水素ポンプ3を高効率で運転するのに最適な温度となるように、第1熱媒体の温度を制御することができる。
【0134】
ところで、第1流量制御器13を備えず、第1分岐路16を流通する第1熱媒体の流量を一定とする構成とすることもできる。この構成の場合、電気化学式水素ポンプ3における温度の上昇に伴い、発熱量が増加すると、この電気化学式水素ポンプ3の温度を所定の最適な温度に維持するためには冷却器9による冷却量を増加させる必要がある。このため、このような構成では、冷却器9の冷却量を調整可能な構成とする必要があり、冷却器9の構成が複雑となる。
【0135】
一方、第4実施形態に係る水素システム103では、第3制御器14が第1流量制御器13を制御して第1分岐路16に流れる第1熱媒体の流量を増加させることができる。このため、冷却器9による冷却量を変更させることなく、電気化学式水素ポンプ3を高効率で運転する最適な温度となるように第1熱媒体の温度を制御することが可能となる。
【0136】
本実施形態に係る水素システム103は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態および第3実施形態のいずれかに係る水素システムと同様であってもよい。例えば、図7及び図8では、気液分離器が、ガス流路6に設けられていないが、第4実施形態に係る水素システム103の構成においてさらに気液分離器を備えた構成であってもよい。
【0137】
[第5実施形態]
次に、図9を参照して本開示の第5実施形態について説明する。図9は、本開示の第5実施形態に係る水素システム104の一例を模式的に示すブロック図である。図9では、水素システム104を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。
【0138】
第5実施形態に係る水素システム104は、第1実施形態の変形例に係る水素システム101Aの構成において、ガス流量制御器32、ガス分岐路30および冷却器31をさらに備えた構成となっている。具体的には、ガス分岐路30は、気液分離器8よりも上流のガス流路6から分岐して、分岐した箇所よりも下流かつ気液分離器8よりも上流でガス流路6と合流する経路である。冷却器31は、ガス分岐路30を流れる水素含有ガスを冷却する装置である。冷却器31としては、例えばラジエータ(放熱器)またはチラーが例示できる。
【0139】
ガス流量制御器32は、ガス分岐路30へ流れる水素含有ガスの流量を制御する装置である。ガス流量制御器32は、ガス分岐路30へ流れる水素含有ガスの流量を制御することができれば、どのような構成であってもよい。ガス流量制御器32としては、三方弁、二方弁の組合せ、ニードル弁、マスフローコントローラまたは昇圧器等を備えた流量制御デバイスが例示できる。
【0140】
なお、ガス流量制御器32の詳細な例示は、第4実施形態の第1流量制御器13と同様であるので説明を省略する。
【0141】
第1熱媒体は、冷却器31が水素含有ガスを冷却することにより、気液分離器8で水素含有ガスから分離された液水であり、第1流路5の一端は、気液分離器8内の液水が溜まる貯留部8Aに接続されている。つまり、第1熱媒体は水電解セルと熱交換をして、水電解セルで発生した排熱を回収した、水素含有ガス中の液水及び水蒸気である。その後、排熱を回収した第1熱媒体は、気液分離器8と電気化学式水素ポンプ3とを接続する第1流路5を流通する。
【0142】
ところで、電気化学式水素ポンプ3は、水素を圧縮する圧力が上昇するにつれ、電気化学式水素ポンプスタック4を構成する電気化学セルにおいて生じる過電圧も大きくなっていく。このため、水素を圧縮する圧力が上昇するにつれ、電気化学式水素ポンプスタック4の温度が上昇していく。ここで、電気化学式水素ポンプ3が過昇温となると、電気化学式水素ポンプスタック4のカソード側がドライとなりプロトンの移動が阻害されてしまうという問題が生じる。
【0143】
このように電気化学式水素ポンプ3では、水素を圧縮する圧力の上昇に伴って温度が上昇していくのに対して、水電解装置1で生じる排熱の熱量は一定である。このため、水素含有ガスの有する熱量を必要に応じて低減させて、この水素含有ガスとの熱交換により電気化学式水素ポンプ3を加熱するための熱量を抑制する必要がある。
【0144】
そこで、水素システム104では、冷却器31を備えるため、貯留部8Aに貯えられる液水の温度を、冷却器31によって最適な温度まで低下させることができる。そして、最適な温度まで低下させた液水と電気化学式水素ポンプ3との間で熱交換することができるため、電気化学式水素ポンプ3が過昇温となることを防ぎつつ、電気化学式水素ポンプ3を最適な温度となるように加熱することができる。
【0145】
次に、図10を参照して水素含有ガスの温度制御について説明する。図10は、本開示の第5実施形態に係る水素システム104における第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。図10に示すように、水素システム104は、図9に示す構成において、ガス流量制御器32を制御する第4制御器17(制御器)をさらに備えた構成となっている。図10においても、図9と同様に、水素システム104を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示し、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。また、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度を示す信号および冷却器31へ送信する制御信号の流れについては細い破線の矢印で示している。なお、本例では、温度を検知する検知器の一例として、温度検知器60を用いているが、これに限定されない。電気化学セルの温度を検知する検知器は、上記温度検知器60のように電気化学セルの温度を直接検知する検知器であってもよいし、電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器であってもよい。電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器としては、例えば、電気化学式水素ポンプ3の昇圧値を検知する検知器であってもよい。
【0146】
第4制御器17は、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、ガス分岐路30に流れる水素含有ガスの流量を増加させるようにガス流量制御器32を制御する。第4制御器17は演算処理部と、制御プログラムを記憶する記憶部とを備える。演算処理部としては、例えば、MPU、CPUなどを例示できる。記憶部としては、例えば、メモリなどを例示できる。第4制御器17は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもいいし、互いに共働して分散制御を行う、複数の制御器から構成されていてもいい。
【0147】
なお、電気化学セルの温度は、例えば、温度検知器60で計測される場合、第4制御器17は、この温度を温度検知器60から送信される信号(例えば、電圧)として受信することができる。そして、第4制御器17は、温度が上昇したと判定すると、ガス流量制御器32へ制御信号を送信して、ガス分岐路30に流れる水素含有ガスの流量を増加させるようにガス流量制御器32を制御する。
【0148】
また、電気化学セルの温度に相関する上記の昇圧値は、電気化学式水素ポンプ3により昇圧された水素の圧力値の情報であり、第4制御器17は、この昇圧値を、例えば、昇圧された水素の圧力値を計測している検知器から送信される信号(例えば、電圧)として得ることができる。そして、第4制御器17は、昇圧値が上昇したと判定すると、ガス流量制御器32へ制御信号を送信して、ガス分岐路30に流れる水素含有ガスの流量を増加させるようにガス流量制御器32を制御する。
【0149】
このように、第5実施形態に係る水素システム104では、電気化学式水素ポンプ3から受信した温度の上昇に基づき、第4制御器17が、ガス流量制御器32によってガス分岐路30に流れる水素含有ガスの流量を制御する。このため、電気化学式水素ポンプ3における発熱量の増加に応じて、冷却器31により水素含有ガスの温度を低下させることができる。したがって、電気化学式水素ポンプ3を高効率で運転するのに最適な温度となるように、水素含有ガスの温度を制御することができる。
【0150】
ところで、ガス流量制御器32を備えず、ガス分岐路30を流通する水素含有ガスの流量を一定とする構成とすることもできる。この構成の場合、電気化学式水素ポンプ3における温度の上昇に伴い、発熱量が増加すると、この電気化学式水素ポンプ3の温度を所定の最適な温度に維持するためには冷却器31による冷却量を増加させる必要がある。このため、このような構成では、冷却器31の冷却量を調整可能な構成とする必要があり、冷却器31の構成が複雑となる。
【0151】
一方、第5実施形態に係る水素システム104では、第4制御器17がガス流量制御器32を制御してガス分岐路30に流れる水素含有ガスの流量を増加させることができる。このため、冷却器31による冷却量を変更させることなく、電気化学式水素ポンプ3を高効率で運転する最適な温度となるように水素含有ガスの温度を制御することが可能となる。
【0152】
本実施形態に係る水素システム104は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態のいずれかに係る水素システムと同様であってもよい。
【0153】
[第6実施形態]
次に、図11を参照して本開示の第6実施形態について説明する。図11は、本開示の第6実施形態に係る水素システム105の一例を模式的に示すブロック図である。図11では、水素システム105を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。
【0154】
第6実施形態に係る水素システム105は、第1実施形態に係る水素システム100の構成において、還流路18と、還流量制御器19と、第5制御器20(制御器)と、をさらに備えた構成となっている。還流路18は、第1流路5より分岐して、水電解装置1へ戻る流路である。還流量制御器19は、還流路18への第1熱媒体の流量を制御する装置である。還流量制御器19は、還流路18への第1熱媒体の流量を制御することができれば、どのような構成であってもよい。還流量制御器19としては、三方弁、二方弁の組合せ、ニードル弁、マスフローコントローラまたは昇圧器等を備えた流量制御デバイスが例示できる。
【0155】
なお、還流量制御器19の詳細な例示は、第4実施形態の第1流量制御器13と同様であるので説明を省略する。
【0156】
第1熱媒体は水電解スタック2と熱交換をして、水電解セルで発生した排熱を回収する。その後、排熱を回収した第1熱媒体は、水電解装置1と電気化学式水素ポンプ3とを接続する第1流路5を流通し、第1流路5に設けられた還流量制御器19で、第1熱媒体の流量の一部若しくは全量を第1流路5から還流路18に分流させ、水電解装置1へ戻す。一方、還流路18に分流されなかった第1熱媒体は、そのまま第1流路5を流通して電気化学式水素ポンプ3に向かう。
【0157】
第5制御器20は、還流量制御器19を制御する。例えば、水電解装置1が水電解を実行中で、かつ電気化学式水素ポンプ3の起動前であるとき、第5制御器20は、還流路18の分岐箇所よりも下流の第1流路5を流れる第1熱媒体の流量よりも、還流路18を流れる第1熱媒体の流量を大きくするように還流量制御器19を制御する。また、例えば、水電解装置1が水電解を実行中で、かつ電気化学式水素ポンプ3が起動されると、第5制御器20は、還流路18の分岐箇所よりも下流の第1流路5を流れる第1熱媒体の流量を、還流路18を流れる第1熱媒体の流量よりも大きくするように還流量制御器19を制御する。さらに、例えば、第5制御器20は、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、還流路18に流れる第1熱媒体の流量を増加させるように還流量制御器19を制御する。
【0158】
第5制御器20は演算処理部と、制御プログラムを記憶する記憶部とを備える。演算処理部としては、例えば、MPU、CPUなどを例示できる。記憶部としては、例えば、メモリなどを例示できる。第5制御器20は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもいいし、互いに共働して分散制御を行う、複数の制御器から構成されていてもいい。
【0159】
このように、第6実施形態に係る水素システム105では、第5制御器20を備えるため、電気化学式水素ポンプ3及び水電解装置1の使用状態に応じて、還流路18に流れる第1熱媒体の流量を還流量制御器19によって適切に増減させることができる。例えば、水電解装置1が水電解を実行中であって電気化学式水素ポンプ3の起動前であるときは、還流量制御器19によって、還流路18に流れる第1熱媒体の流量を、還流路18の分岐箇所よりも下流の第1流路5を流れる第1熱媒体の流量に比べて大きくすることで、電気化学式水素ポンプ3への無駄な熱供給が抑制される。
【0160】
また、例えば、水電解装置1が水電解を実行中であって電気化学式水素ポンプ3の起動したときは、還流量制御器19によって、還流路18の分岐箇所よりも下流の第1流路5を流れる第1熱媒体の流量を、還流路18に流れる第1熱媒体の流量に比べて大きくすることで、水電解セルの排熱を利用して電気化学式水素ポンプ3を加熱しやすくなる。
【0161】
さらに、電気化学式水素ポンプ3における発熱量の増加に応じて、還流路18に流れる第1熱媒体の流量を増加させることで、還流路18に分岐する箇所より下流の第1流路5を流れる第1熱媒体による電気化学式水素ポンプ3の加熱量を低下させることができる。したがって、電気化学式水素ポンプ3を高効率で運転するのに最適な温度となるように、電気化学式水素ポンプ3に流入する第1熱媒体の流量を制御することができる。
【0162】
本実施形態に係る水素システム105は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態及び第5実施形態のいずれかに係る水素システムと同様であってもよい。例えば、図11では、気液分離器が、ガス流路6に設けられていないが、第6実施形態に係る水素システム105の構成においてさらに気液分離器を備えた構成であってもよい。
【0163】
[第7実施形態]
次に、図12を参照して本開示の第7実施形態について説明する。図12は、本開示の第7実施形態に係る水素システム106における第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。図12では、水素システム106を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。また、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度を示す信号および還流量制御器19へ送信する制御信号の流れについては細い破線の矢印で示している。なお、本例では、温度を検知する検知器の一例として、温度検知器60を用いているが、これに限定されない。電気化学セルの温度を検知する検知器は、上記温度検知器60のように電気化学セルの温度を直接検知する検知器であってもよいし、電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器であってもよい。電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器としては、例えば、電気化学式水素ポンプ3の昇圧値を検知する検知器であってもよい。
【0164】
第7実施形態に係る水素システム106は、第6実施形態に係る水素システム105の構成において、冷却器41をさらに備えた構成となっている。具体的には、冷却器41は、還流路18を流れる第1熱媒体を冷却する装置である。冷却器41としては、例えばラジエータ(放熱器)またはチラーが例示できる。
【0165】
第1熱媒体は水電解スタック2と熱交換をして、水電解セルで発生した排熱を回収する。その後、排熱を回収した第1熱媒体は、水電解装置1と電気化学式水素ポンプ3とを接続する第1流路5を流通し、第1流路5に設けられた還流量制御器19で、第1熱媒体の流量の一部を第1流路5から還流路18に分流させ、還流路18に設けられた冷却器41に流入させる。一方、還流路18に分流されなかった第1熱媒体は、そのまま第1流路5を流通して電気化学式水素ポンプ3に向かう。なお、還流路18に分流した第1熱媒体は冷却器41により冷却され、水電解装置1に戻った後、再び第1流路5を流通する。
【0166】
このように、本実施形態の水素システム106では、第1熱媒体が還流路18を流れるときに、第1熱媒体を冷却器41によって適切に冷却することができるので、還流路18を流れる第1熱媒体の温度制御により、水電解装置1の温度を適温に維持することができる。また、還流路18と第1流路5とが分岐する分岐部よりも下流の第1流路5を流れる第1熱媒体と電気化学式水素ポンプ3とが熱交換するので、この第1熱媒体の流量により電気化学式水素ポンプ3の温度を適切に制御することができる。
【0167】
次に、図12を参照しながら、第1熱媒体の温度制御について説明する。
【0168】
第5制御器20は、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、還流路18に流れる第1熱媒体の流量を増加させるように還流量制御器19を制御する。
【0169】
第5制御器20は演算処理部と、制御プログラムを記憶する記憶部とを備える。演算処理部としては、例えば、MPU、CPUなどを例示できる。記憶部としては、例えば、メモリなどを例示できる。第5制御器20は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもいいし、互いに共働して分散制御を行う、複数の制御器から構成されていてもいい。
【0170】
なお、電気化学セルの温度は、例えば、温度検知器60で計測される場合、第5制御器20は、この温度を温度検知器60から送信される信号(例えば、電圧)として受信することができる。そして、第5制御器20は、温度が上昇したと判定すると、還流量制御器19へ制御信号を送信して還流路18へ流れる第1熱媒体の流量を増加させるように還流量制御器19を制御する。
【0171】
また、電気化学セルの温度に相関する上記の昇圧値は、電気化学式水素ポンプ3により昇圧された水素の圧力値の情報であり、第5制御器20は、この昇圧値を、例えば、昇圧された水素の圧力値を計測している検知器から送信される信号(例えば、電圧)として受信することができる。そして、第5制御器20は、昇圧値が上昇したと判定すると、還流量制御器19へ制御信号を送信して還流路18へ流れる第1熱媒体の流量を増加させるように還流量制御器19を制御する。
【0172】
このように、第7実施形態に係る水素システム106では、電気化学式水素ポンプ3における発熱量の増加に応じて、還流路18に流れる第1熱媒体の流量を増加させることで、還流路18に分岐する箇所より下流の第1流路5を流れる第1熱媒体による電気化学式水素ポンプ3の加熱量を低下させることができる。したがって、電気化学式水素ポンプ3を高効率で運転するのに最適な温度となるように、電気化学式水素ポンプ3に流入する第1熱媒体の流量を制御することができる。
【0173】
本実施形態に係る水素システム106は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態及び第6実施形態のいずれかに係る水素システムと同様であってもよい。例えば、図12では、気液分離器が、ガス流路6に設けられていないが、第7実施形態に係る水素システム106の構成においてさらに気液分離器を備えた構成であってもよい。
【0174】
[第7実施形態の変形例]
次に、図13を参照して本開示の第7実施形態の変形例について説明する。図13は、本開示の第7実施形態の変形例に係る水素システム106Aにおける第1熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【0175】
第7実施形態の変形例に係る水素システム106Aは、第6実施形態に係る水素システム105の構成において、冷却器9をさらに備えた構成となっている。具体的には、還流路18は、冷却器9よりも下流の第1流路5より分岐している。なお、冷却器9は、第2実施形態に係る水素システム101と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0176】
第1熱媒体は水電解スタック2と熱交換をして、水電解セルで発生した排熱を回収する。その後、排熱を回収した第1熱媒体は、水電解装置1と電気化学式水素ポンプ3とを接続する第1流路5を流通し、第1流路5に設けられた冷却器9を通過する際に冷却される。
【0177】
また、第1流路5に設けられた還流量制御器19で、第1熱媒体の流量の一部を第1流路5から還流路18に分流させる。一方、還流路18に分流されなかった第1熱媒体は、そのまま第1流路5を流通して電気化学式水素ポンプ3に向かう。
【0178】
本変形例の水素システム106Aでは、冷却器9が、第7実施形態で説明した水電解装置1の温度を適温に維持するための冷却器41の機能を兼ねることができる。
【0179】
また、本変形例の水素システム106Aでは、第7実施形態で説明した、上記分岐部よりも下流の第1流路5を流れる第1熱媒体の流量による電気化学式水素ポンプ3の温度制御に加えて、電気化学式水素ポンプにおける発熱量の増加に応じて、冷却器9の冷却量を調整することで電気化学式水素ポンプ3の温度をさらに適切に制御することができる。
【0180】
次に、図13を参照しながら、第1熱媒体の温度制御について説明する。
【0181】
第5制御器20は、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、還流路18に流れる第1熱媒体の流量を増加させるように還流量制御器19を制御する。または、第5制御器20は、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、冷却器9の冷却量を増加させる。なお、第5制御器20の構成及び制御内容の詳細は、第7実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0182】
このように、第7実施形態の変形例に係る水素システム106Aでは、電気化学式水素ポンプ3から受信した温度に基づき、第5制御器20が、還流量制御器19によって還流路18に流れる第1熱媒体の流量を制御する。具体的には、電気化学式水素ポンプ3における発熱量の増加に応じて、第1熱媒体が、還流路18に流れる流量を増加させることで、還流路18に分岐する箇所より下流の第1流路5を流れる第1熱媒体による電気化学式水素ポンプ3の加熱量を低下させる。また、本変形例における電気化学式水素ポンプ3では、還流路18の分岐箇所よりも上流の第1流路5を流れるときに、第1熱媒体を冷却器9によって適切に冷却することができる。すると、電気化学式水素ポンプ3における発熱量の増加に応じて、冷却器9の冷却量を増加させることで、第1熱媒体の温度を低下させることができる。したがって、電気化学式水素ポンプ3を高効率で運転するのに最適な温度となるように、第1熱媒体の温度を制御することができる。
【0183】
本変形例に係る水素システム106Aは、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態及び第7実施形態のいずれかに係る水素システムと同様であってもよい。例えば、図13では、気液分離器が、ガス流路6に設けられていないが、第7実施形態の変形例に係る水素システム106Aの構成においてさらに気液分離器を備えた構成であってもよい。
【0184】
[第8実施形態]
次に、図14を参照して、本開示の第8実施形態について説明する。図14は、本開示の第8実施形態に係る水素システム107の一例を模式的に示すブロック図である。図14では、水素システム107を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体および第2熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。
【0185】
第8実施形態に係る水素システム107は、水電解装置1と熱交換する第1熱媒体が循環するように、第1流路5が配置されていること、第1熱媒体と熱交換した後、電気化学式水素ポンプ3と熱交換する第2熱媒体が循環するように、第2流路23をさらに配置されること、および、液体の第1熱媒体と液体の第2熱媒体が熱交換する熱交換器22が設けられていることが、第1実施形態に係る水素システム100と相違する。
【0186】
すなわち、第8実施形態に係る水素システム107は、水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3と、水電解セルの排熱を回収する第1熱媒体が流れる第1流路5と、熱交換器22で第1熱媒体と熱交換した後、電気化学式水素ポンプ3と熱交換する第2熱媒体が流れる第2流路23と、を備える。第1流路5と第2流路23とは、熱交換器22において第1熱媒体と第2熱媒体とが熱交換可能となるように配置されている。
【0187】
熱交換器22は、第1熱媒体と第2熱媒体とが熱交換することができれば、どのような構成であってもよい。
【0188】
例えば、第1流路5を構成する配管と第2流路23を構成する配管とがそれぞれ一部で接するように配置されており、両者が接する配管の部分を熱伝導率が高い材質により構成してもよい。この場合、両配管の接触部分が熱交換器22を構成する。
【0189】
また、熱交換器22は、第2熱媒体を貯える蓄熱器であってもよい。これにより、水電解セルの排熱を回収した第2熱媒体を蓄熱器に蓄えることができるので、第2熱媒体を循環させることで、蓄熱器内の第2熱媒体が有する熱を、必要に応じて適時に、電気化学式水素ポンプ3の加熱に利用することができる。このような蓄熱器として、例えば、第1流路5を構成する配管を備える貯湯タンクなどを挙げることができる。つまり、この配管を流通する第1熱媒体と貯湯タンク内の水(第2熱媒体)とが、貯湯タンクにおいて熱交換する。
【0190】
また、熱交換器22は、第3熱媒体を貯える蓄熱器であり、第1流路5および第2流路23は、第3熱媒体と熱交換するよう構成されていてもよい。これにより、水電解セルの排熱を回収した第3熱媒体を蓄熱器に蓄えることができるので、第2熱媒体を循環させることで、蓄熱器内の第3熱媒体が有する熱を、必要に応じて適時に、電気化学式水素ポンプ3の加熱に利用することができる。このような蓄熱器として、例えば、第1流路5を構成する配管と第2流路23を構成する配管とを備える貯湯タンクなどを挙げることができる。つまり、前者の配管を流れる第1熱媒体と貯湯タンク内の水(第3熱媒体)とが、貯湯タンクにおいて熱交換する。また、後者の配管を流れる第2熱媒体と貯湯タンク内の水(第3熱媒体)とが、貯湯タンクにおいて熱交換する。
【0191】
第1熱媒体は、水電解装置1と熱交換した後、第1流路5を流通し、熱交換器22で第2熱媒体と熱交換する。この第2熱媒体との熱交換により熱が奪われると、第1熱媒体は、再び、水電解装置1に戻る。一方、第2熱媒体は、第1熱媒体との熱交換により第1熱媒体が有する熱を奪い、電気化学式水素ポンプ3と熱交換するように、第2流路23を流れる。このように、第1熱媒体と熱交換を行った第2熱媒体は、第2流路23を通じて電気化学式水素ポンプ3に流れ、電気化学式水素ポンプ3と熱交換する。この熱交換により、第2熱媒体は、所定温度まで上昇するように電気化学式水素ポンプ3を加熱するとともに、保有する熱が奪われた状態で、第2流路23を流れ、その後、第1熱媒体と熱交換を行うように循環する。
【0192】
このように、第8実施形態に係る水素システム107では、第2流路23を流通する第2熱媒体を介して、第1熱媒体により水電解装置1から回収した排熱の一部を電気化学式水素ポンプ3に与えることができる。
【0193】
さらに、図15に示すように、第8実施形態に係る水素システム108は、図14に示す構成において、第2送出器24および第6制御器25(制御器)をさらに備えた構成としてもよい。図15は、本開示の第8実施形態に係る水素システム108の一例を模式的に示すブロック図である。なお、図15においても、図14と同様に、水素システム108を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体および第2熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。
【0194】
第2送出器24は、第2流路23に設けられ、第2熱媒体を送出するデバイスである。第2送出器24は、例えば、マスフローコントローラ、昇圧器等の流体の流量を制御するデバイスであってもよいし、第2熱媒体に元圧が与えられている構成の場合は、流量調整弁であってもよい。第2流路23を流通する第2熱媒体としては、例えば水が例示できる。
【0195】
第6制御器25は、電気化学式水素ポンプ3の起動時に、第2送出器24の動作を開始させるように制御する。第6制御器25は演算処理部と、制御プログラムを記憶する記憶部とを備える。演算処理部としては、例えば、MPU、CPUなどを例示できる。記憶部としては、例えば、メモリなどを例示できる。第6制御器25は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもいいし、互いに共働して分散制御を行う、複数の制御器から構成されていてもいい。
【0196】
第8実施形態に係る水素システム108では、第1送出器7によって送出された第1熱媒体が、水電解セルから排熱を回収して第1流路5を流通する。一方、電気化学式水素ポンプ3の起動時に、第6制御器25は、第2送出器24の動作を開始させる。これにより、第2送出器24によって送出された第2熱媒体が、第2流路23を流通し、第1熱媒体との熱交換を促進させる。そして、第1熱媒体と熱交換した後の第2熱媒体は第2流路23を流通し、電気化学式水素ポンプスタック4と熱交換する。このようにして、電気化学式水素ポンプ3の起動時に、電気化学式水素ポンプ3を最適な温度となるように、第2熱媒体によって加熱することができる。
【0197】
したがって、第8実施形態に係る水素システム108では、電気化学式水素ポンプ3の起動時において、高効率な運転が可能となる温度まで、電気化学式水素ポンプスタック4の温度を短時間に上昇させることができる。また、この電気化学式水素ポンプスタック4を加熱する熱源として水電解装置1における水電解セルの排熱を利用することができる。よって、第8実施形態に係る水素システム108では従来よりもエネルギー効率を高めるとともに、電気化学式水素ポンプ3の起動時において高効率な運転が可能となる。
【0198】
本実施形態に係る水素システム107および水素システム108は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態及び第7実施形態の変形例のいずれかに係る水素システムと同様であってもよい。例えば、図14および図15では、気液分離器が、ガス流路6に設けられていないが、第8実施形態に係る水素システム107および水素システム108の構成においてさらに気液分離器を備えた構成であってもよい。
【0199】
[第9実施形態]
次に図16を参照して本開示の第9実施形態について説明する。図16は、本開示の第9実施形態に係る水素システム109における熱媒体の温度制御に関する構成の一例を模式的に示すブロック図である。図16では、水素システム109を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体および第2熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。また、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度を示す信号および第2流量制御器26へ送信する制御信号の流れについては細い破線の矢印で示している。なお、本例では、温度を検知する検知器の一例として、温度検知器60を用いているが、これに限定されない。電気化学セルの温度を検知する検知器は、上記温度検知器60のように電気化学セルの温度を直接検知する検知器であってもよいし、電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器であってもよい。電気化学セルの温度と相関するパラメータを検知する検知器としては、例えば、電気化学式水素ポンプ3の昇圧値を検知する検知器であってもよい。
【0200】
第9実施形態に係る水素システム109は、図14に示す第8実施形態に係る水素システム107の構成において、バイパス流路27と、第2流量制御器26と、をさらに備えた構成となっている。
【0201】
バイパス流路27は、第1熱媒体が熱交換器22をバイパス(迂回)するための流路である。図16に示すようにバイパス流路27の一方の端部は、第2流量制御器26に接続され、他方の端部は、熱交換器22で第2熱媒体と熱交換した後の第1熱媒体が流通する第1流路5の部分に接続されている。
【0202】
第2流量制御器26は、バイパス流路27を流れる第1熱媒体の流量を制御するデバイスである。第2流量制御器26は、バイパス流路27を流れる第1熱媒体の流量を制御することができれば、どのような構成であってもよい。第2流量制御器26としては、三方弁、二方弁の組合せ、ニードル弁、マスフローコントローラまたは昇圧器等を備えた流量制御デバイスが例示できる。
【0203】
なお、第2流量制御器26の詳細な例示は、第4実施形態の第1流量制御器13と同様であるので説明を省略する。
【0204】
第6制御器25は、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度が上昇すると、第2流量制御器26を制御して、バイパス流路27を流れる第1熱媒体の流量を増加させる。
【0205】
第1熱媒体は、水電解スタック2と熱交換をして、水電解セルで発生した排熱を回収する。その後、排熱を回収した第1熱媒体は、第1流路5に設けられた第2流量制御器26によって、第1熱媒体の流量の一部若しくは全量が第1流路5上に設けられた熱交換器22を流通するように制御される。
【0206】
また、熱交換器22を流通する第1熱媒体以外の残余の第1熱媒体は、第2流量制御器26によってバイパス流路27を流れるように制御され、再び、第1流路5を流通する第1熱媒体と合流する。このようにして、熱交換器22で第2熱媒体と熱交換した後の第1熱媒体と、熱交換を行なわなかった第1熱媒体とが混合される。
【0207】
熱交換器22では、第1流路5を流れる第1熱媒体と、電気化学式水素ポンプ3と熱交換する第2流路23を流れる第2熱媒体との間で熱交換する。このように熱交換器22において、第1熱媒体と熱交換し、第1熱媒体が有する熱の一部を得た後、第2熱媒体は、電気化学式水素ポンプ3と熱交換する。これによって、第2熱媒体が第1熱媒体から得た熱を利用して電気化学式水素ポンプ3を加熱することができる。
【0208】
また、第6制御器25は、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度を受信しており、温度が上昇したと判定すると、第2流量制御器26を制御して、バイパス流路27を流れる第1熱媒体の流量を増加させる。これにより、第1流路5を流通して熱交換器22に向かう第1熱媒体の流量が低減されるため、第1熱媒体との熱交換により第2熱媒体が得られる熱量を低下させることができる。
【0209】
以上のように、第9実施形態に係る水素システム109では、電気化学式水素ポンプ3に含まれる電気化学セルの温度の上昇に応じて、第2流量制御器26によってバイパス流路27を流れる第1熱媒体の流量を増加させることができる。つまり、換言すると電気化学式水素ポンプ3の温度上昇に応じて、第2熱媒体が熱交換器22を介して第1熱媒体から得られる熱量を低減させることができる。
【0210】
したがって、高効率な運転が可能となる温度となるように電気化学式水素ポンプ3を加熱することができる。
【0211】
本実施形態に係る水素システム109は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態、第7実施形態の変形例及び第8実施形態のいずれかに係る水素システムと同様であってもよい。例えば、図16では、気液分離器が、ガス流路6に設けられていないが、第9実施形態に係る水素システム109の構成においてさらに気液分離器を備えた構成であってもよい。
【0212】
[第10実施形態]
次に図17を参照して本開示の第10実施形態について説明する。図17は、本開示の第10実施形態に係る水素システム110の一例を模式的に示すブロック図である。図17では、水素システム110を構成する水電解装置1と、電気化学式水素ポンプ3との間における熱媒体(第1熱媒体)の流れを実線矢印で示しており、水電解装置1により水の電気分解で発生した水素含有ガスの流れを破線矢印で示している。なお、水電解装置1により電気分解される水の流れについては省略している。
【0213】
第10実施形態に係る水素システム110は、第1実施形態に係る水素システム100の構成において、タンク50と、燃料電池51と、をさらに備えた構成となっている。
【0214】
タンク50は、ガス流路6上に設けられ、水電解装置1で生成された水素含有ガスを貯える装置である。また、燃料電池51は、電気化学式水素ポンプ3の下流のガス流路に設けられている。
【0215】
以上により、水電解装置1で生成された水素含有ガスをタンク50に貯えることで、水素含有ガスを、必要に応じて適時に電気化学式水素ポンプ3に供給することができる。そして、電気化学式水素ポンプ3からの水素含有ガスを用いて、必要に応じて適時に燃料電池51で発電することができる。
【0216】
例えば、日中などに、太陽光発電システムで得られた電力のうち、住宅の電力に使用しない余剰電力を用いて水電解装置1で生成された水素含有ガスをタンク50に貯えるとともに、夜間には、この水素含有ガスを用いて燃料電池51で発電することで、既存の系統電力に依存しないシステムを構築し得る。
【0217】
本実施形態に係る水素システム109は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態、第7実施形態の変形例、第8実施形態及び第9実施形態のいずれかに係る水素システムと同様であってもよい。
【0218】
なお、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態、第7実施形態の変形例、第8実施形態、第9実施形態及び第10実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。
【0219】
また、本開示は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうる。例えば、図14図15及び図16では、第1流路5または第2流路23において、図中で示されている第1熱媒体または第2熱媒体の流れの向きを逆向きとなるように構成しても良い。つまり、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良及び他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0220】
本開示の水素システムは、水を電気分解する水電解装置と、生成した水素を圧縮する電気化学式水素ポンプと、水素を電気に変換する燃料電池システムとから構成されたシステムにおいて利用することができる。
【符号の説明】
【0221】
1 :水電解装置
2 :水電解スタック
3 :電気化学式水素ポンプ
4 :電気化学式水素ポンプスタック
5 :第1流路
6 :ガス流路
7 :第1送出器
8 :気液分離器
8A :貯留部
9 :冷却器
10 :第1制御器
11 :冷却器
12 :第2制御器
13 :第1流量制御器
14 :第3制御器
16 :第1分岐路
17 :第4制御器
18 :還流路
19 :還流量制御器
20 :第5制御器
22 :熱交換器
23 :第2流路
24 :第2送出器
25 :第6制御器
26 :第2流量制御器
27 :バイパス流路
30 :ガス分岐路
31 :冷却器
32 :ガス流量制御器
41 :冷却器
50 :タンク
51 :燃料電池
60 :温度検知器
100 :水素システム
100A :水素システム
101 :水素システム
101A :水素システム
102 :水素システム
103 :水素システム
104 :水素システム
105 :水素システム
106 :水素システム
106A :水素システム
107 :水素システム
108 :水素システム
109 :水素システム
110 :水素システム
【要約】
水素システムは、水電解セルを含む水電解装置と、水電解装置で生成された水素含有ガスを昇圧する電気化学式水素ポンプと、水電解装置で生成された水素含有ガスを電気化学式水素ポンプに供給するガス流路と、水電解セルの排熱を回収した液体の第1熱媒体が流れる第1流路と、を備える。電気化学式水素ポンプは、水電解セルの排熱を回収した後の第1熱媒体と熱交換可能に構成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17