特許第6761962号(P6761962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761962
(24)【登録日】2020年9月10日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】移動体および無線電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 5/00 20060101AFI20200917BHJP
   H02J 50/60 20160101ALI20200917BHJP
   H02J 50/05 20160101ALI20200917BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20200917BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20200917BHJP
   B60L 53/00 20190101ALI20200917BHJP
【FI】
   B60L5/00 B
   H02J50/60
   H02J50/05
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301D
   H01M10/46
   B60L53/00
【請求項の数】12
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-206849(P2016-206849)
(22)【出願日】2016年10月21日
(65)【公開番号】特開2018-68077(P2018-68077A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】菅野 浩
【審査官】 佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−157231(JP,A)
【文献】 特開平09−312942(JP,A)
【文献】 特開2009−089520(JP,A)
【文献】 特開平07−039007(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0265684(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 5/00
B60L 53/00
H01M 10/46
H02J 7/00
H02J 50/05
H02J 50/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に沿った平面状の表面を有する第1送電電極、および前記第1送電電極から前記路面に沿った方向に離間して配置され前記路面に沿った平面状の表面を有する第2送電電極を有する送電装置から、交流電力を無線で受電する移動体であって、
前記移動体の経路上および前記移動体の下方の少なくとも一方に位置する障害物を検知するセンサと、
前記第1送電電極に対向したときに、前記第1送電電極と電界結合する少なくとも1つの第1受電電極と、
前記第2送電電極に対向したときに、前記第2送電電極と電界結合する少なくとも1つの第2受電電極と、
前記第1受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御回路であって、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する制御回路と、
を備え
前記センサは、前記移動体が前記路面に沿って移動しているときに前記移動体の経路上に位置する障害物を検知し、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に前記第1受電電極が障害物に接触すると判断したとき、前記アクチュエータを制御して前記第1受電電極の少なくとも一部と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する、移動体であって、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に、前記第1受電電極が障害物に接触し、前記第2受電電極が障害物に接触しないと判断したとき、前記第2受電電極の位置を維持したまま、前記アクチュエータを制御して前記第1受電電極の少なくとも一部と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する、
移動体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1受電電極は、複数の第1受電電極であり、
前記アクチュエータは、前記複数の第1受電電極の各々の全体または一部を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記複数の第1受電電極の各々が障害物に接触することを回避する、
請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記アクチュエータは、さらに、前記第2受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第2受電電極が、障害物に接触することを回避する、
請求項1または2に記載の移動体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2受電電極は、複数の第2受電電極であり、
前記アクチュエータは、前記複数の第2受電電極の各々の全体または一部を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記複数の第2受電電極の各々が障害物に接触することを回避する、
請求項3に記載の移動体。
【請求項5】
路面に沿った平面状の表面を有する第1送電電極、および前記第1送電電極から前記路面に沿った方向に離間して配置され前記路面に沿った平面状の表面を有する第2送電電極を有する送電装置から、交流電力を無線で受電する移動体であって、
前記移動体の経路上および前記移動体の下方の少なくとも一方に位置する障害物を検知するセンサと、
前記第1送電電極に対向したときに、前記第1送電電極と電界結合する少なくとも1つの第1受電電極と、
前記第2送電電極に対向したときに、前記第2送電電極と電界結合する少なくとも1つの第2受電電極と、
前記第1受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御回路であって、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する制御回路と、
を備え、
前記センサは、前記移動体が前記路面に沿って移動しているときに前記移動体の経路上に位置する障害物を検知し、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に前記第1受電電極が障害物に接触すると判断したとき、前記アクチュエータを制御して前記第1受電電極の少なくとも一部と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する、移動体であって、
前記少なくとも1つの第1受電電極は、前記移動体の移動方向に並ぶ2つの第1受電電極を含み、
前記アクチュエータは、前記2つの第受電電極の各々を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に、前方に位置する前記2つの第1受電電極の一方が障害物に接触すると判断したとき、前記2つの第1受電電極の他方の位置を維持したまま、前記アクチュエータを制御して前記2つの第1受電電極の前記一方と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記2つの第1受電電極の前記一方が障害物に接触することを回避する、
動体。
【請求項6】
路面に沿った平面状の表面を有する第1送電電極、および前記第1送電電極から前記路面に沿った方向に離間して配置され前記路面に沿った平面状の表面を有する第2送電電極を有する送電装置から、交流電力を無線で受電する移動体であって、
前記移動体の経路上および前記移動体の下方の少なくとも一方に位置する障害物を検知するセンサと、
前記第1送電電極に対向したときに、前記第1送電電極と電界結合する少なくとも1つの第1受電電極と、
前記第2送電電極に対向したときに、前記第2送電電極と電界結合する少なくとも1つの第2受電電極と、
前記第1受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御回路であって、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する制御回路と、
を備え、
前記センサは、前記移動体が前記路面に沿って移動しているときに前記移動体の経路上に位置する障害物を検知し、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に前記第1受電電極が障害物に接触すると判断したとき、前記アクチュエータを制御して前記第1受電電極の少なくとも一部と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する、移動体であって、
前記少なくとも1つの第2受電電極は、前記移動体の移動方向に並ぶ2つの第2受電電極を含み、
前記アクチュエータは、さらに、前記2つの第2受電電極の各々を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に、前方に位置する前記2つの第2受電電極の一方が障害物に接触すると判断したとき、前記2つの第2受電電極の他方の位置を維持したまま、前記アクチュエータを制御して前記2つの第2受電電極の前記一方と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記2つの第2受電電極の前記一方が障害物に接触することを回避する、
動体。
【請求項7】
路面に沿った平面状の表面を有する第1送電電極、および前記第1送電電極から前記路面に沿った方向に離間して配置され前記路面に沿った平面状の表面を有する第2送電電極を有する送電装置から、交流電力を無線で受電する移動体であって、
前記移動体の経路上および前記移動体の下方の少なくとも一方に位置する障害物を検知するセンサと、
前記第1送電電極に対向したときに、前記第1送電電極と電界結合する少なくとも1つの第1受電電極と、
前記第2送電電極に対向したときに、前記第2送電電極と電界結合する少なくとも1つの第2受電電極と、
前記第1受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御回路であって、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する制御回路と、
を備え、
前記センサは、前記移動体が前記路面に沿って移動しているときに前記移動体の経路上に位置する障害物を検知し、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に前記第1受電電極が障害物に接触すると判断したとき、前記アクチュエータを制御して前記第1受電電極の少なくとも一部と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する、移動体であって、
前記少なくとも1つの第1受電電極は、前記移動体の移動方向および重力方向の両方に垂直な方向に並ぶ2つの第1受電電極を含み、
前記アクチュエータは、前記2つの第受電電極の各々を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に、前記2つの第1受電電極の一方が障害物に接触し、前記2つの第1受電電極の他方が障害物に接触しないと判断したとき、前記2つの第1受電電極の前記他方の位置を維持したまま、前記アクチュエータを制御して前記2つの第1受電電極の前記一方と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記2つの第1受電電極の前記一方が障害物に接触することを回避する、
動体。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2受電電極は、前記移動体の移動方向および重力方向の両方に垂直な方向に並ぶ2つの第2受電電極を含み、
前記アクチュエータは、さらに、前記2つの第2受電電極の各々を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に、前記2つの第2受電電極の一方が障害物に接触し、前記2つの第2受電電極の他方が障害物に接触しないと判断したとき、前記2つの第2受電電極の前記他方の位置を維持したまま、前記アクチュエータを制御して前記2つの第2受電電極の前記一方と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記2つの第2受電電極の前記一方が障害物に接触することを回避する、
請求項に記載の移動体。
【請求項9】
前記センサは、前記移動体の下方に位置する障害物をさらに検知し、
前記制御回路は、
前記第1受電電極および前記第2受電電極を、前記第1送電電極および前記第2送電電極にそれぞれ対向させるために前記移動体を移動させるとき、前記第1受電電極および前記第2受電電極と前記路面との距離を、予め設定された電力伝送時の基準距離よりも大きくした状態で、前記第1受電電極および前記第2受電電極が、前記第1送電電極および前記第2送電電極にそれぞれ対向するまで前記移動体を移動させ、
前記センサが障害物を検知しなかったとき、前記アクチュエータを制御して、前記第1受電電極および前記第2受電電極と前記路面との距離を前記基準距離にし、
前記センサが前記第1送電電極と前記第1受電電極との間に位置する障害物を検知したとき、前記アクチュエータを制御して、前記第2受電電極と前記路面との距離を前記基準距離にし、前記第1受電電極と前記路面との距離を、前記基準距離および前記障害物の高さよりも大きい距離にして、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する、
請求項1からのいずれかに記載の移動体。
【請求項10】
前記制御回路は、前記第1受電電極と前記第1送電電極との距離g1を、0<g1<25mmの範囲で制御する、請求項1からのいずれかに記載の移動体。
【請求項11】
前記制御回路は、
前記第1受電電極と障害物とが接触しないと判断したとき、前記第1受電電極と前記第1送電電極との距離を、基準距離g0にし、
前記第1受電電極と障害物とが接触すると判断したとき、前記第1受電電極と前記第1送電電極との距離g1を、前記障害物の高さよりも高く、かつ1.45g0未満にする、
請求項1から10のいずれかに記載の移動体。
【請求項12】
前記送電装置と、
請求項1から11のいずれかに記載の移動体と、
を備える無線電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線で伝送された電力によって駆動される移動体、および無線電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機および電気自動車などの移動性を伴う機器に、無線(非接触)で電力を伝送する無線電力伝送技術の開発が進められている。無線電力伝送技術には、電磁誘導方式および電界結合方式などの方式がある。このうち、電界結合方式による無線電力伝送システムは、一対の送電電極と一対の受電電極とが対向した状態で、一対の送電電極から一対の受電電極に無線で交流電力が伝送される。このような電界結合方式による無線電力伝送システムは、例えば路面(または床面)に設けられた一対の送電電極から負荷(例えば可動ロボット等の移動体が有するモータまたはバッテリ)に電力を伝送する用途で用いられ得る。特許文献1および2は、そのような電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−193692号公報
【特許文献2】特開2012−175869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電界結合方式による無線電力伝送システムでは、送電電極の上に障害物が存在する場合に、当該障害物と受電電極とが接触する可能性がある。そのような接触は、移動体への給電および移動体の動作を妨げる。
【0005】
本開示は、送電電極の上に障害物が存在する場合においても、安全に電力伝送を行うことができる新規な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る移動体は、
路面に沿った平面状の表面を有する第1送電電極、および前記第1送電電極から前記路面に沿った方向に離間して配置され前記路面に沿った平面状の表面を有する第2送電電極を有する送電装置から、交流電力を無線で受電する移動体であって、
前記移動体の経路上および前記移動体の下方の少なくとも一方に位置する障害物を検知するセンサと、
前記第1送電電極に対向したときに、前記第1送電電極と電界結合する少なくとも1つの第1受電電極と、
前記第2送電電極に対向したときに、前記第2送電電極と電界結合する少なくとも1つの第2受電電極と、
前記第1受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御回路であって、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する制御回路と、
を備える。
【0007】
上記の包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または記録媒体で実現されてもよい。あるいは、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、送電電極の上に障害物が存在する場合、または、送電電極の周辺に障害物が存在する状況が発生し得る環境下においても、安全に電力伝送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を模式的に示す図である。
図2図1に示す無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。
図3】本開示の実施形態1における無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。
図4】正面側(前方)から見た搬送ロボット(移動体)10の構成例を模式的に示す図である。
図5】移動体10および障害物400を横から見た状況を模式的に示す図である。
図6A】移動体10が障害物400の手前において、充電しながら移動している状況を示している。
図6B】移動体10が障害物400を超えて進もうとしている状況を示している。
図6C】移動体10が障害物400を通過した後の状況を示している。
図7A】障害物400が一方の受電電極220aの経路上にのみ存在し、他方の受電電極220bの経路上には存在しない場合の例を示している。
図7B】障害物400が受電電極220a、220bの両方の経路上に存在している場合の例を示している。
図8】移動体10の制御回路250による制御方法の例を示すフローチャートである。
図9】本実施形態の無線電力伝送システムにおける電力伝送に関する構成を概略的に示すブロック図である。
図10】無線電力伝送システムのより詳細な構成例を示す回路図である。
図11A】送電回路110の構成例を模式的に示す図である。
図11B】受電回路210の構成例を模式的に示す図である。
図12】変形例における移動体10の概略構成を示すブロック図である。
図13A】2つの第1受電電極220aが、移動体10の移動方向(進行方向)に並び、2つの第2受電電極220aも、移動体10の移動方向に並んでいる例を示している。
図13B】2つの第1受電電極220aおよび2つの第2受電電極が、移動体10の横方向に並んでいる例を示している。
図13C】第1受電電極220aおよび第2受電電極220aのそれぞれの数が、4個である例を示している。
図14A】移動体10の進行方向に2つの受電電極220が並ぶ構成において、障害物を回避する動作の流れを示す第1の図である。
図14B】移動体10の進行方向に2つの受電電極220が並ぶ構成において、障害物を回避する動作の流れを示す第2の図である。
図14C】移動体10の進行方向に2つの受電電極220が並ぶ構成において、障害物を回避する動作の流れを示す第3の図である。
図14D】移動体10の進行方向に2つの受電電極220が並ぶ構成において、障害物を回避する動作の流れを示す第4の図である。
図15A】第1受電電極220a、220bのそれぞれが、移動体10の横方向に並ぶ2つの受電電極を含む構成における動作を示す第1の図である。
図15B】第1受電電極220a、220bのそれぞれが、移動体10の横方向に並ぶ2つの受電電極を含む構成における動作を示す第2の図である。
図15C】第1受電電極220a、220bのそれぞれが、移動体10の横方向に並ぶ2つの受電電極を含む構成における動作を示す第3の図である。
図16A】他の変形例における移動体10の動作を示す第1の図である。
図16B】他の変形例における移動体10の動作を示す第2の図である。
図16C】他の変形例における移動体10の動作を示す第3の図である。
図16D】他の変形例における移動体10の動作を示す第4の図である。
図17】計測に用いた送電電極120および受電電極220の構成を模式的に示す図である。
図18A】ギャップの大きさg1を、10mm以下の範囲で変化させたときの伝送効率の変化量(ΔEfficiency)を表すグラフである。
図18B】ギャップの大きさg1を、10mm以下の範囲で変化させたときの受電側の出力電圧の変化量(ΔVout)を表すグラフである。
図18C】ギャップの大きさg1を、10mmよりも大きい範囲で変化させたときの伝送効率の変化量(ΔEfficiency)を表すグラフである。
図18D】ギャップの大きさg1を、10mmよりも大きい範囲で変化させたときの受電側の出力電圧の変化量(ΔVout)を表すグラフである。
図19A】本開示の他の実施形態における移動体10の動作を示す第1の図である。
図19B】本開示の他の実施形態における移動体10の動作を示す第2の図である。
図19C】本開示の他の実施形態における移動体10の動作を示す第3の図である。
図20】本開示の他の実施形態における制御回路250の電力伝送時の動作を示すフローチャートである。
図21】本開示のさらに他の実施形態における送電電極120a、120bの配置を模式的に示す斜視図である。
図22】本開示のさらに他の実施形態における送電電極120a、120bの配置を模式的に示す斜視図である。
図23】本開示のさらに他の実施形態における送電電極120a、120bの配置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
【0011】
図1は、本発明者が開発を進めている電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を模式的に示す図である。図示されている無線電力伝送システムは、例えば工場内で物品の搬送に用いられる搬送ロボット10(無人搬送車:AGV)に無線で電力を伝送するシステムである。搬送ロボット10は、本開示における移動体の一例である。このシステムでは、路面(床面)30に平板状の一対の送電電極120a、120bが配置されている。搬送ロボット10は、一対の送電電極120a、120bに対向する一対の受電電極を備えている。搬送ロボット10は、送電電極120a、120bから伝送された交流電力を、一対の受電電極によって受け取る。受け取った電力は、搬送ロボット10が有するモータ、二次電池、または蓄電用のキャパシタなどの負荷に供給される。これにより、搬送ロボット10の駆動または充電が行われる。
【0012】
図1には、互いに直交するX、Y、Z方向を示すXYZ座標が示されている。以下の説明では、図示されているXYZ座標を用いる。送電電極120a、120bが延びる方向をY方向、送電電極120a、120bの表面に垂直な方向をZ方向、Y方向およびZ方向に垂直な方向をX方向とする。なお、本願の図面に示される構造物の向きは、説明のわかりやすさを考慮して設定されており、本開示の実施形態が現実に実施されるときの向きをなんら制限するものではない。また、図面に示されている構造物の全体または一部分の形状および大きさも、現実の形状および大きさを制限するものではない。
【0013】
図2は、図1に示す無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。この無線電力伝送システムは、送電装置100と、搬送ロボット10(移動体)とを備えている。送電装置100は、一対の送電電極120a、120bと、送電電極120a、120bに交流電力を供給する送電回路110とを備えている。送電回路110は、例えば、インバータ回路を含む交流出力回路である。送電回路110は、不図示の直流電源から供給された直流電力を、交流電力に変換して一対の送電電極120a、120bに出力する。
【0014】
搬送ロボット10は、受電装置200と、負荷330とを備えている。受電装置200は、一対の受電電極220a、220bと、受電電極220a、220bが受け取った交流電力を負荷330が要求する電力(例えば所定の電圧の直流電圧または所定の周波数の交流電力)に変換して負荷330に供給する受電回路210とを備えている。受電回路210は、例えば整流回路または周波数変換回路等の各種の回路を含み得る。負荷330は、例えばモータ、蓄電用のキャパシタ、または二次電池などの、電力を消費する機器である。一対の送電電極120a、120bと、一対の受電電極220a、220bとの間の電界結合(容量結合)により、両者が対向した状態で電力が無線で伝送される。
【0015】
このような無線電力伝送システムにより、搬送ロボット10は、送電電極120a、120bに沿って移動しながら、無線で電力を受け取ることができる。搬送ロボット10は、送電電極120a、120bと受電電極220a、220bとが近接して対向した状態を保ちながら、送電電極120a、120bが延びる方向(図1におけるY方向)に移動する。これにより、搬送ロボット10は、例えばキャパシタ等の蓄電器を充電しながら移動することができる。
【0016】
しかし、このような無線電力伝送システムにおいては、送電電極120a、120bの少なくとも一方の上に障害物が存在する場合に、搬送ロボット10の動作が妨げられる。例えば、送電電極と受電電極との間の距離よりも大きい高さの物体が、受電電極220a、220bの少なくとも一方の前方に存在する場合、その物体は、受電電極220a、220bの少なくとも一方に衝突する。このような衝突が生じると、搬送ロボット10はそれ以上動作を継続することが困難になる。
【0017】
衝突を避けるために、搬送ロボット10に障害物を検知するセンサを設け、障害物が検知された場合には搬送ロボット10を停止させる、といった対処法が考えられる。しかし、そのような対処法では、搬送ロボット10が停止してしまうため、やはり搬送ロボット10の動作を継続することができない。
【0018】
本発明者は、以上の考察に基づき、以下に説明する本開示の各態様を想到するに至った。
【0019】
本開示の一態様に係る移動体は、
路面に沿った平面状の表面を有する第1送電電極、および前記第1送電電極から前記路面に沿った方向に離間して配置され前記路面に沿った平面状の表面を有する第2送電電極を有する送電装置から、交流電力を無線で受電する移動体であって、
前記移動体の経路上および前記移動体の下方の少なくとも一方に位置する障害物を検知するセンサと、
前記第1送電電極に対向したときに、前記第1送電電極と電界結合する少なくとも1つの第1受電電極と、
前記第2送電電極に対向したときに、前記第2送電電極と電界結合する少なくとも1つの第2受電電極と、
前記第1受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御回路であって、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する制御回路と、
を備える。
【0020】
上記態様によれば、前記移動体は、
前記移動体の経路上および前記移動体の下方の少なくとも一方に位置する障害物を検知するセンサと、
前記第1受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御回路であって、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する制御回路と、を備える。
【0021】
これにより、前記第1受電電極が障害物に接触することを未然に回避できるため、電力伝送および移動体の動作が妨げられる可能性を低くすることができる。
【0022】
ある実施形態において、制御回路は、第1受電電極のみが障害物に接触するおそれがあり、第2受電電極は障害物に接触しないと判断した場合には、第1受電電極のみを、障害物に接触しない高度に調整する。この場合、第2受電電極は、第2送電電極に近接した状態(電力伝送時の通常の高度)に保たれる。これにより、可能な限り高い伝送効率を維持しながら、第1受電電極と障害物との衝突を回避できる。
【0023】
本開示の他の実施形態では、アクチュエータは、さらに、第2受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させる。そして、制御回路は、センサによる検知の結果に基づいてアクチュエータを制御し、第2受電電極が障害物に接触することを回避する。これにより、第1受電電極および第2受電電極の両方について、障害物との接触を未然に回避することができる。
【0024】
移動体は、複数の第1受電電極を備えていてもよい。複数の第1受電電極は、例えば、移動体の移動方向(進行方向および後退方向)に配列され得る。複数の第1受電電極は、移動体の移動方向および重力方向の両方に垂直な方向(横方向)に配列されていてもよい。同様に、移動体は、複数の第2受電電極を備えていてもよい。複数の第2受電電極も、例えば移動体の移動方向、または横方向に配列され得る。制御回路は、複数の第1受電電極のそれぞれ、および/または複数の第2受電電極のそれぞれについて、障害物との接触の可能性を判断し、前述の接触回避の動作を行ってもよい。
【0025】
アクチュエータは、各受電電極の全体を重力方向に移動させる機構を備えていてもよいし、各受電電極の一部のみを重力方向に移動させる機構を備えていてもよい。前者の動作は、例えば、受電電極そのものを重力方向に上下させる直動機構(リニアアクチュエータ)によって実現され得る。後者の動作は、例えば、受電電極の受電面を水平面に対して傾ける機構を用いて実現され得る。これらの機構を組み合わせて、各受電電極の動きを精密に制御できるようにしてもよい。
【0026】
本開示のある実施形態では、センサは、移動体が路面に沿って移動しているときに、移動体の経路上に位置する障害物を検知する。制御回路は、移動体の移動中に、いずれかの受電電極(第1受電電極または第2受電電極)が障害物に接触するか否かを判断する。この判断は、例えば、その障害物の位置および大きさ(特に高さ)と、各受電電極の位置および送電電極からの距離との比較に基づいて行われる。制御回路は、そのまま移動を継続すると、ある受電電極が障害物に衝突すると判断した場合には、アクチュエータを制御して、その受電電極と障害物との衝突を回避する。より具体的には、制御回路は、その受電電極の少なくとも一部と路面との距離を、障害物の高さよりも大きくすることにより、その受電電極が障害物に接触することを回避する。移動体が当該障害物を跨いで通過した後、制御回路は、アクチュエータに、当該受電電極を元の位置に戻すように指示する。このような動作により、障害物がいずれかの受電電極の経路上に位置する場合でも、電力伝送効率の低下を抑制しながら、移動を継続することができる。
【0027】
本開示の実施形態は、移動体が移動しながら受電する上記のような形態に限定されない。例えば、移動体が充電のために一対の送電電極が敷設された充電エリアまで移動し、静止してから電力の供給を受けるシステムにも、本開示の技術を適用できる。そのようなシステムにおいては、移動体は、例えば以下の動作を行う。
(1)各受電電極の位置を高く保った状態で、充電エリアまで移動体を移動させる。各受電電極の位置を高く保つのは、移動中に段差または障害物との接触を避けるためである。
(2)各受電電極を降下させ、各受電電極と路面との距離を、予め設定された距離(「基準距離」と称する。)にする。
(3)電力伝送(充電)を開始する。
(4)各受電電極の位置を再び高くし、移動を再開する。
【0028】
このような動作を行う移動体においても、送電電極の上に障害物が存在する場合、上記(2)のステップにおいて、いずれかの受電電極が障害物に衝突する可能性がある。そこで、本開示のある実施形態では、移動体は、移動体の下方に位置する障害物を検知するセンサ(例えば、移動体の底面に設けられる)を備える。制御回路は、第1受電電極および第2受電電極を、第1送電電極および第2送電電極にそれぞれ対向させるために移動体を移動させるとき、以下の動作を行う。
(a)各受電電極と路面との距離を、予め設定された電力伝送時の基準距離よりも大きくした状態にする。
(b)第1受電電極および第2受電電極が、第1送電電極および前記第2送電電極にそれぞれ対向するまで、移動体を移動させる。
(c)センサが障害物を検知しなかった場合、アクチュエータを制御して、各受電電極と路面との距離を、上記基準距離にする。
(d)センサがいずれかの受電電極と送電電極との間に位置する障害物を検知した場合、アクチュエータを制御して、障害物に衝突するおそれのない受電電極と路面との距離を上記基準距離にし、障害物に衝突するおそれのある受電電極と路面との距離を、上記基準距離および当該障害物の高さよりも大きい距離にする。
【0029】
以上の動作により、各受電電極が障害物に接触することを回避しながら、比較的高い伝送効率で電力伝送を行うことができる。
【0030】
本開示における「移動体」は、前述の搬送ロボットのような車両に限定されず、電力によって駆動される任意の可動物体を意味する。移動体には、例えば、電気モータおよび1以上の車輪を備える電動車両が含まれる。そのような車両は、例えば、前述の搬送ロボットなどの無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)、または電気自動車(EV)、電動カート、であり得る。本開示における「移動体」には、車輪を有しない可動物体も含まれる。例えば、二足歩行ロボット、マルチコプターなどの無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV、所謂ドローン)、および有人の電動航空機も、「移動体」に含まれる。
【0031】
以下、本開示のより具体的な実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似する機能を有する構成要素については、同じ参照符号を付している。
【0032】
(実施形態1)
図3は、本開示の実施形態1における無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。図3に示すシステムでは、図1および図2に示すシステムと同様、路面の下または上に敷設された一対の送電電極120a、120bを有する送電装置100から、一対の受電電極220a、220bを有する搬送ロボット10に無線で電力が伝送される。本実施形態の無線電力伝送システムが図2に示すシステムと異なる主な点は、搬送ロボット10における受電電極220a、220bが、アクチュエータ260によって駆動される点にある。
【0033】
図3に示すように、本実施形態における搬送ロボット10の受電装置200は、受電電極220a、220bおよび受電回路210に加えて、センサ270と、アクチュエータ260と、制御回路250とを有している。本実施形態におけるセンサ270は、搬送ロボット10の経路上に位置する障害物を検知する。アクチュエータ260は、受電電極220a、220bを上下に移動させる機構を備える。制御回路250は、センサ270による検知の結果に基づいてアクチュエータ260を制御する。これにより、受電電極220a、220bと障害物との衝突が回避される。
【0034】
以下の説明において、搬送ロボット10を「移動体10」と称することがある。また、送電電極120a、120bを特に区別せずに表現する際には、「送電電極120」の表記を用いる。同様に、受電電極220a、220bを特に区別せずに表現する際には、「受電電極220」の表記を用いる。
【0035】
図4は、正面側(前方)から見た搬送ロボット10の構成例を模式的に示す図である。センサ270は、搬送ロボット10の前部に配置されており、受電電極220a、220bの前方に位置する障害物を検知する。センサ270は、例えば、赤外線レーザ光源のアレイと受光素子のアレイとを有する。赤外線レーザ光源のアレイは、赤外線レーザ光を前方に出射する。受光素子のアレイは、障害物を含む前方の物体によって反射された赤外線レーザ光を受け、受光量に応じた電気信号を出力する。これにより、センサ270は、受電電極220a、220bのそれぞれの経路上に障害物が存在するかを検知する。検知をより正確に行うために、センサ270は、受電電極220a、220bにそれぞれ近接して配置された2つの検出器を有していてもよい。センサ270は、上記の構成に限らず、例えばイメージセンサなどの他の種類のセンサであってもよい。イメージセンサから出力される画像データに基づいて、障害物の位置および大きさ(高さおよび幅等)を特定することができる。
【0036】
本実施形態におけるアクチュエータ260は、受電電極220a、220bにそれぞれ接続された2つの直動機構(リニアアクチュエータ)を含む。各直動機構は、モータ、ラックおよびピニオンなどを含み、制御回路250からの指示に応じて受電電極220を重力方向(上方向および下方向)に移動させる。なお、アクチュエータ260の構造は多様であり、特定の構造に限定されない。例えば、アクチュエータ260は、受電電極220a、220bの各々を、その表面(受電面)に沿った1つ以上の軸の周りに回転させる機構を有していてもよい。
【0037】
制御回路250は、例えばプロセッサおよびメモリを有するマイクロコントローラユニット(MCU)などの集積回路であり得る。メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、後述する制御が実現される。制御回路250は、センサ270およびアクチュエータ260に接続され、センサ270から出力された信号に基づいて、アクチュエータ260を制御する。より具体的には、制御回路250は、センサ270から出力された信号を解析して、障害物の位置および大きさ(特に高さ)を特定し、各受電電極220a、220bが障害物に衝突するか否かを予測する。制御回路250は、例えば、受電電極220a、220bの位置および速度の情報または軌道の情報と、センサ270から得た障害物に関する情報とを組み合わせて、衝突の可能性を判断する。障害物に関する情報は、例えば、障害物の有無、位置、高さ、もしくは幅などを示す情報、または障害物を含む画像情報であり得る。この判断の一部は、センサ270内の回路によって行われてもよい。例えば、センサ270内の回路は、障害物を検知したとき、その障害物の位置および高さ(路面30または送電電極120の表面から障害物の上面までの距離)を特定し、その位置および高さを示す信号を制御回路250に出力してもよい。制御回路250は、受電電極220a、220bのいずれかが障害物に接触すると判断した場合には、アクチュエータ260に、その受電電極を上昇させる指示を出す。アクチュエータ260は、その指示に従い、接触のおそれのある受電電極を上昇させる。
【0038】
図5は、移動体10の制御回路250による制御の例を説明するための図である。図5は、移動体10および障害物400を横から見た状況を模式的に示している。図示されるように、路面30に敷設された送電電極120の上に高さhの障害物400が存在している場合を想定する。障害物400は、一方または両方の受電電極220の経路上に位置しており、左右の車輪の経路上には位置していないものとする。受電電極220の最も低い部分の路面30からの距離(この例では送電電極120と受電電極220との距離に相当)をgとする。センサ270が障害物400を検知すると、制御回路250は、障害物400の高さhが、受電電極220の最も低い部分の高さgを上回るか否かを判断する。制御回路250は、h≧gであると判断すると、その受電電極220を上昇させ、h<gの状態にする。一方、h<gの条件を満たしている場合には、制御回路250は、その受電電極220の高さを維持する。このような制御により、安全性を確保しながら、比較的高い効率での電力伝送を継続できる。
【0039】
なお、障害物400の高さhが、移動体10の筐体の底面の最も低い部分と路面30(または送電電極120の表面)との距離Lよりも大きい場合には、制御回路250は、移動体10を停止させてもよい。これにより、障害物400と移動体10の筐体との衝突のリスクを回避できる。また、障害物400が、移動体10のいずれかの車輪の経路上に位置する場合には、制御回路250は、移動体10を停止させたり、右折または左折して障害物400を回避したりしてもよい。障害物400が低い場合には、そのまま移動を継続しても問題がない場合もある。よって、制御回路250は、障害物400が、移動体10のいずれかの車輪の経路上に位置し、かつ、その高さが所定の値よりも高いと判断したときに限り、移動体10を停止させたり、経路を変更したりしてもよい。
【0040】
図6Aから6Cは、本実施形態における移動体10が障害物を回避する動作の流れを示している。図6Aは、移動体10が障害物400の手前において、充電しながら移動している状況を示している。図6Bは、移動体10が障害物400を超えて進もうとしている状況を示している。図6Cは、移動体10が障害物400を通過した後の状況を示している。これらの図に示されるように、センサ270が障害物400を検知すると、制御回路250は、衝突のおそれのある受電電極220を、障害物400の高さよりも高い位置まで上昇させる。受電電極220が障害物400を通過すると、制御回路250は、当該受電電極220を、元の高さ(電力伝送時の基準の高さ)に戻す。これにより、衝突を避けながら、比較的高い効率での充電を継続できる。
【0041】
次に、図7Aおよび図7Bを参照しながら、障害物400の位置および大きさに応じた回避動作の例を説明する。
【0042】
図7Aは、障害物400が一方の受電電極220aの経路上にのみ存在し、他方の受電電極220bの経路上には存在しない場合の例を示している。このような場合、制御回路250は、一方の受電電極220aについてのみ、前述の回避動作を行う。すなわち、制御回路250は、アクチュエータ260に、一方の受電電極220aのみを上昇させる指示を出す。この指示を受け、アクチュエータ260は、受電電極220aのみを、障害物400の最も高い部分よりも高い位置まで上昇させる。他方の受電電極220bは、送電電極120aと近接した位置(電力伝送時の基準の位置)に維持される。受電電極220aが障害物400を通過すると、制御回路250は、アクチュエータ260を制御して受電電極220aを元の高さに戻す。
【0043】
図7Bは、障害物400が受電電極220a、220bの両方の経路上に存在している場合の例を示している。このような場合には、制御回路250は、両方の受電電極220a、220bについて、前述の回避動作を行う。すなわち、制御回路250は、アクチュエータ260に、受電電極220a、220bの両方を上昇させる指示を出す。この指示を受け、アクチュエータ260は、受電電極220a、220bの両方を、障害物400の最も高い部分よりも高い位置まで上昇させる。受電電極220a、220bが障害物400を通過すると、制御回路250は、受電電極220a、220bを元の高さに戻す。
【0044】
このような動作を行うことにより、障害物400の大きさおよび位置に応じて適切に障害物400を回避し、可能な限り高い伝送効率の状態を維持できる。
【0045】
図8は、移動体10の制御回路250による制御方法の例を示すフローチャートである。電力伝送を行う際、制御回路250は、センサ270からの信号に基づき、障害物が検知されたかを判断する(ステップS101)。障害物が検知された場合、制御回路250は、センサ270からの信号と、各受電電極220の位置および速度などの情報とに基づき、障害物に衝突するおそれのある受電電極220が存在するかを判断する(ステップS102)。いずれかの受電電極220が障害物に衝突すると判断した場合、制御回路250は、障害物の最高点の高さhが、移動体10の筐体底面の最も低い部分の路面からの距離L以上であるかを判断する(ステップS103)。h≧Lである場合、制御回路250は、移動体10の駆動系(モータを駆動するインバータ等)に停止の指示を送り、衝突前に移動体10を停止させる。一方、h<Lである場合、制御回路250は、衝突するおそれのある受電電極220を、障害物の最高点よりも高い位置まで上昇させる(ステップS105)。次に、制御回路250は、上昇させた受電電極220が障害物を通過したかを判断する(ステップS106)。この判断は、例えば、移動体10の後部底面等に設けられた他のセンサ(不図示)を用いて行われ得る。受電電極220が障害物を通過すると、制御回路250は、上昇させた受電電極220を元の高さに戻す(ステップS107)。
【0046】
以上の動作により、移動体10は、障害物が送電電極120の上に存在する場合でも、安全に充電および移動を継続することができる。特に、本実施形態によれば、障害物を回避するために一方の受電電極220が上昇して送電電極120から離れている間も、他方の受電電極220が送電電極120に近接した状態を保つことができる。また、上昇した受電電極220が障害物を通過した後、速やかに下降し、送電電極120に近接した状態に戻る。このため、伝送効率の低下を最小限に抑えながら、充電および移動を継続することができる。
【0047】
次に、本実施形態の無線電力伝送システムにおける電力伝送に関する構成をより詳細に説明する。なお、以下に説明するシステムの構成は一例であり、要求される機能および性能に応じて、適宜変更してもよい。
【0048】
図9は、本実施形態の無線電力伝送システムにおける電力伝送に関する構成を概略的に示すブロック図である。図9においては、制御回路250、アクチュエータ260、およびセンサ270の図示は省略されている。送電装置100は、外部の直流電源310から供給される直流電力を交流電力に変換する送電回路110と、交流電力を送電する2つの送電電極120a、120bと、送電回路110と送電電極120a、120bとの間に接続された整合回路180とを備える。本実施形態では、送電回路110は、整合回路180を介して第1および第2の送電電極120a、120bに電気的に接続され、第1および第2の送電電極120a、120bに交流電力を出力する。搬送ロボット10は、受電装置200と、負荷330とを備える。
【0049】
受電装置200は、2つの送電電極120a、120bと容量結合して電力を受け取る2つの受電電極220a、220bと、2つの受電電極220a、220bに接続された整合回路280と、整合回路280に接続され、受け取った交流電力を直流電力に変換して出力する受電回路210とを有する。第1の受電電極220aは、第1の送電電極120aと対向したときに、第1の送電電極120aとの間に容量結合を形成する。第2の受電電極220bは、第2の送電電極120aと対向したときに、前記第2の送電電極との間に容量結合を形成する。これらの2つの容量結合を介して交流電力が送電装置100から受電装置200に非接触で伝送される。
【0050】
本実施形態における搬送ロボット10の筐体、送電電極120a、120b、および受電電極220a、220bのそれぞれのサイズは、特に限定されないが、例えば以下のサイズに設定され得る。送電電極120a、120bの長さ(Y方向のサイズ)は、例えば50cm〜20mの範囲内に設定され得る。送電電極120a、120bのそれぞれの幅(X方向のサイズ)は、例えば5cm〜2mの範囲内に設定され得る。搬送ロボット10の筐体の進行方向および横方向におけるそれぞれのサイズは、例えば、20cm〜5mの範囲内に設定され得る。受電電極220aの長さ(進行方向におけるサイズ)は、例えば5cm〜2mの範囲内に設定され得る。受電電極220aの幅(横方向におけるサイズ)は、例えば2cm〜2mの範囲内に設定され得る。但し、これらの数値範囲に限定されない。
【0051】
負荷330は、例えば駆動用の電気モータおよび蓄電用のキャパシタを含み、受電回路210から出力された直流電力によって駆動または充電される。
【0052】
電気モータは、直流モータ、永久磁石同期モータ、誘導モータ、ステッピングモータ、リラクタンスモータなどの、任意のモータであり得る。モータは、シャフトおよびギア等を介して搬送ロボット10の車輪を回転させ、搬送ロボット10を移動させる。モータの種類に応じて、受電回路210は、整流回路、インバータ回路、インバータ制御回路などの、各種の回路を含み得る。受電回路210は、交流モータを駆動するために、受電したエネルギ(電力)の周波数(伝送周波数)を、モータを駆動するための周波数に直接変換するコンバータ回路を含んでいてもよい。
【0053】
キャパシタは、例えば電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタなどの、高容量かつ低抵抗のキャパシタであり得る。このようなキャパシタを蓄電器として用いることにより、バッテリ(二次電池)を用いた場合よりも、急速な充電が可能である。なお、キャパシタに代えて、二次電池(例えば、リチウムイオン電池等)を用いてもよい。その場合、充電に要する時間は増加するが、より多くのエネルギを蓄えることができる。移動体10は、キャパシタまたは二次電池に蓄えられた電力によってモータを駆動して移動する。
【0054】
移動体10が移動すると、キャパシタまたは二次電池の蓄電量(充電量)が低下する。このため、移動を継続するためには、再充電が必要になる。そこで、搬送ロボット10は、移動中に充電量が所定の閾値を下回ると、送電装置100の近傍まで移動し、充電を行う。送電装置100は、工場内の複数の箇所に設置され得る。
【0055】
図10は、無線電力伝送システムのより詳細な構成例を示す回路図である。図示される例では、送電装置100における整合回路180は、送電回路110に接続された直列共振回路130sと、送電電極120a、120bに接続され、直列共振回路130sと誘導結合する並列共振回路140pとを有する。整合回路180は、送電回路110のインピーダンスと送電電極120a、120bのインピーダンスとを整合させる機能を有する。送電装置100における直列共振回路130sは、第1のコイルL1と第1のキャパシタC1とが直列に接続された構成を有する。送電装置100における並列共振回路140pは、第2のコイルL2と第2のキャパシタC2とが並列に接続された構成を有する。第1のコイルL1と第2のコイルL2とは、所定の結合係数で結合する変圧器を構成する。第1のコイルL1と第2のコイルL2との巻数比は、所望の変圧比(昇圧比または降圧比)を実現する値に設定される。
【0056】
受電装置200における整合回路280は、受電電極220a、220bに接続された並列共振回路230pと、受電回路210に接続され、並列共振回路230pと誘導結合する直列共振回路240sとを有する。整合回路280は、受電電極220a、220bのインピーダンスと、受電回路210のインピーダンスとを整合させる機能を有する。並列共振回路230pは、第3のコイルL3と第3のキャパシタC3とが並列に接続された構成を有する。受電装置200における直列共振回路240sは、第4のコイルL4と第4のキャパシタC4とが直列に接続された構成を有する。第3のコイルL3と第4のコイルL4とは、所定の結合係数で結合する変圧器を構成する。第3のコイルL3と第4のコイルL4との巻数比は、所望の変圧比を実現する値に設定される。
【0057】
なお、整合回路180、280の構成は、図10に示す構成に限定されない。例えば、直列共振回路130s、240sのそれぞれに代えて、並列共振回路を設けてもよい。また、並列共振回路140p、230pのそれぞれに代えて、直列共振回路を設けてもよい。さらには、整合回路180、280の一方または両方を省略してもよい。整合回路180を省略する場合、送電回路110と送電電極120a、120bとが直接接続される。整合回路280を省略する場合、受電回路210と受電電極220a、220bとが直接接続される。本明細書においては、整合回路180を設けた構成も、送電回路110と送電電極120a、120bとが電気的に接続された構成に該当する。同様に、整合回路280を設けた構成も、受電回路210と受電電極220a、220bとが電気的に接続された構成に該当する。
【0058】
図11Aは、送電回路110の構成例を模式的に示す図である。この例では、送電回路110は、4つのスイッチング素子(例えばIGBTまたはMOSFET等のトランジスタ)を含むフルブリッジ型のインバータ回路と、制御回路112とを有する。制御回路112は、各スイッチング素子のオン(導通)およびオフ(非導通)の状態を制御する制御信号を出力するゲートドライバと、ゲートドライバに制御信号を出力させるマイクロコントローラ(マイコン)等のプロセッサとを有する。図示されるフルブリッジ型のインバータ回路の代わりに、ハーフブリッジ型のインバータ回路、または、E級などの他の発振回路を用いてもよい。送電回路110は、通信用の変復調回路や電圧・電流などを測定する各種センサを有していてもよい。通信用の変復調回路を有する場合、交流電力に重畳してデータを受電装置200に送信することができる。
【0059】
なお、本開示は、電力伝送の目的ではなく、データを送信する目的で微弱な交流信号(例えばパルス信号)を受電装置200に送信する形態も含まれる。そのような形態でも、微弱な電力が伝送されるといえるため、微弱な交流信号(例えばパルス信号)を伝送することも、「送電」または「電力伝送」の概念に含まれる。また、そのような微弱な交流信号も、「交流電力」の概念に含まれる。
【0060】
図11Bは、受電回路210の構成例を模式的に示す図である。この例では、受電回路210は、ダイオードブリッジと平滑コンデンサとを含む全波整流回路である。受電回路210は、他の整流器の構成を有していてもよい。受電回路210は、整流回路の他にも、定電圧・定電流制御回路、通信用の変復調回路などの各種の回路を含んでいてもよい。受電回路210は、受け取った交流エネルギを負荷330が利用可能な直流エネルギに変換する。直列共振回路240sから出力される電圧および電流などを測定する各種のセンサが受電回路210に含まれていてもよい。
【0061】
共振回路130s、140p、230p、240sにおける各コイルは、例えば、回路基板上に形成された平面コイルもしくは積層コイル、または、銅線、リッツ線、もしくはツイスト線などを用いた巻き線コイルであり得る。共振回路130s、140p、230p、240sにおける各キャパシタには、例えばチップ形状またはリード形状を有するあらゆるタイプのキャパシタを利用できる。空気を介した2配線間の容量を各キャパシタとして機能させることも可能である。各コイルが有する自己共振特性をこれらのキャパシタの代わりに用いてもよい。
【0062】
直流電源310は、例えば、商用電源、一次電池、二次電池、太陽電池、燃料電池、USB(Universal Serial Bus)電源、高容量のキャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)、商用電源に接続された電圧変換器などの任意の電源であってよい。
【0063】
共振回路130s、140p、230p、240sの共振周波数f0は、典型的には、電力伝送時の伝送周波数fに一致するように設定される。共振回路130s、140p、230p、240sの各々の共振周波数f0は、伝送周波数fに厳密に一致していなくてもよい。各々の共振周波数f0は、例えば、伝送周波数fの50〜150%程度の範囲内の値に設定されていてもよい。電力伝送の周波数fは、例えば50Hz〜300GHz、より好ましくは20kHz〜10GHz、さらに好ましくは20kHz〜20MHz、さらに好ましくは20kHz〜7MHzに設定され得る。
【0064】
本実施形態では、送電電極120a、120bと受電電極220a、220bとの間は空隙であり、その距離は比較的長い(例えば、10mm程度)。そのため、電極間のキャパシタンスCm1、Cm2は非常に小さく、送電電極120a、120b、および受電電極220a、220bのインピーダンスは非常に高い(例えば、数kΩ程度)。これに対し、送電回路110および受電回路210のインピーダンスは、例えば数Ω程度と低い。本実施形態では、送電電極120a、120b、および受電電極220a、220bに近い側に並列共振回路140p、230pがそれぞれ配置され、送電回路110および受電回路210に近い側に直列共振回路130s、240sがそれぞれ配置される。このような構成により、インピーダンスの整合を容易に行うことができる。直列共振回路は、共振時にインピーダンスがゼロ(0)になるため、低いインピーダンスとの整合に適している。一方、並列共振回路は、共振時にインピーダンスが無限大になるため、高いインピーダンスとの整合に適している。よって、図10に示す構成のように、低いインピーダンスの電源側に直列共振回路を配置し、高いインピーダンスの電極側に並列共振回路を配置することにより、インピーダンス整合を容易に実現することができる。同様に、電極側に並列共振回路を配置し、負荷側に直列共振回路を配置することにより、受電装置200におけるインピーダンス整合を好適に実現することができる。
【0065】
なお、送電電極120a、120bと受電電極220a、220bとの間の距離を短くしたり、間に誘電体を配置したりした構成では、電極のインピーダンスが低くなるため、上記のような非対称な共振回路の構成にする必要はない。また、インピーダンス整合の問題がない場合は、整合回路180、280自体を省略してもよい。
【0066】
次に、本実施形態における移動体10の変形例を説明する。
【0067】
図12は、ある変形例における移動体10の概略構成を示すブロック図である。この移動体10は、第1受電電極220aおよび第2受電電極220bのそれぞれの数が、複数(図示される例では2個)である点で、上記の構成とは異なっている。電力伝送時において、複数の第1受電電極220aは、いずれも第1送電電極120aに対向し、複数の第2受電電極220bは、いずれも第2送電電極120bに対向する。この構成例においても、図9および図10に示すように、整合回路180、280が設けられていてもよい。
【0068】
図13Aから図13Cは、本変形例における移動体10における受電電極220a、220bの配置例を示す上面図である。これらの図においては、わかり易さのため、移動体10の筐体とおよび複数の受電電極220のみを、概略的に示している。なお、複数の受電電極220の配置は、図示される配置に限らず、様々な配置が考えられる。
【0069】
図13Aは、2つの第1受電電極220aが、移動体10の移動方向(進行方向)に並び、2つの第2受電電極220aも、移動体10の移動方向に並んでいる例を示している。前方(図の上方)に位置する第1受電電極220aおよび第2受電電極220bは、移動体10の横方向に並び、後方(図の下方)に位置する第1受電電極220aおよび第2受電電極220bも、横方向に並んでいる。このような構成では、制御回路250は、第1受電電極220aおよび第2受電電極220bのそれぞれについて、移動方向に並ぶ2つの受電電極の上昇および下降のタイミングを個別に制御する。
【0070】
図13Bは、2つの第1受電電極220aおよび2つの第2受電電極が、移動体10の横方向に並んでいる例を示している。このような構成では、制御回路2250は、第1受電電極220aおよび第2受電電極220bのそれぞれについて、横方向に並ぶ2つの受電電極の上昇および下降のタイミングを個別に制御する。
【0071】
図13Cは、第1受電電極220aおよび第2受電電極220aのそれぞれの数が、4個である例を示している。4個の第1受電電極220aおよび4個の第2受電電極220bは、行列状(2次元状)に並んでいる。この例でも、制御回路250は、各受電電極の上昇および下降のタイミングを、個別に制御する。
【0072】
図14Aから図14Dは、移動体10の進行方向に2つの受電電極220が並ぶ構成(図13Aまたは図13C)において、障害物を回避する動作の流れを示している。図14Aは、移動体10が障害物400の手前において、充電しながら移動している状況を示している。図14Bは、移動体10における前方の受電電極220が障害物400を超えて進もうとしている状況を示している。図14Cは、移動体10における後方の受電電極220が障害物400を超えて進もうとしている状況を示している。図14Dは、移動体10が障害物400を通過した後の状況を示している。
【0073】
これらの図に示されるように、センサ270が障害物400を検知すると、制御回路250は、まず、衝突のおそれのある受電電極220のうち、前方の受電電極220を、障害物400の高さよりも高い位置まで上昇させる(図14B)。その受電電極220が障害物400を通過すると、制御回路250は、後方の受電電極220を、障害物400の高さよりも高い位置まで上昇させながら、前方の受電電極220を、元の高さ(電力伝送時の基準の高さ)に戻す(図14C)。後方の受電電極220が障害物400を通過すると、制御回路250は、当該受電電極220を、元の高さに戻す(図14D)。このような動作により、衝突を避けながら、比較的高い効率での充電を継続できる。
【0074】
図15Aから図15Cは、第1受電電極220a、220bのそれぞれが、移動体10の横方向に並ぶ2つの受電電極を含む構成(図13Bまたは図13C)における動作を示している。なお、図15Aから図15Cでは、見易さのため、図4等には示されているセンサ270、制御回路250、およびアクチュエータ260の図示が省略されている。図15Aは、電力伝送時の通常の状態を示している。図15Bは、障害物400が2つの受電電極220aのうちの一方の経路上にのみ存在し、他の受電電極の経路上には存在しない場合の例を示している。このような場合、制御回路250は、障害物400との衝突のおそれのある1つの受電電極220aのみを上昇させ、残りの受電電極の高さは、そのまま維持する。図15Cは、障害物が、第1受電電極220aのうちの内側の一方および第2受電電極220bのうちの内側の一方の経路上にのみ存在し、他の受電電極の経路上には存在しない場合の例を示している。このような場合、制御回路250は、障害物400との衝突のおそれのある内側の2つの受電電極220a、220bのみを上昇させ、残りの受電電極の高さは、そのまま維持する。このように、制御回路250は、障害物400の位置および大きさに応じて、必要な受電電極のみを上昇させて衝突を回避する。これにより、上昇が不要な受電電極については、送電電極に近接した状態が保たれるため、伝送効率の低下をさらに抑えることができる。
【0075】
図16Aから図16Dは、他の変形例における移動体10の動作を示している。この変形例では、アクチュエータ260は、各受電電極220の全体を上下させるのではなく、各受電電極220を傾けることにより、各受電電極220を部分的に上下させる機構を有している。図16Aは、移動体10が障害物400の手前において、充電しながら移動している状況を示している。図16Bは、移動体10における受電電極220の前方の部分が障害物400を超えて進もうとしている状況を示している。図16Cは、移動体10における受電電極220の後方の部分が障害物400を超えて進もうとしている状況を示している。図16Dは、移動体10が障害物400を通過した後の状況を示している。
【0076】
これらの図に示されるように、センサ270が障害物400を検知すると、制御回路250は、まず、衝突のおそれのある受電電極220のうち、前方の部分を、障害物400の高さよりも高い位置まで上昇させる(図16B)。その部分が障害物400を通過しようとするタイミングで、制御回路250は、当該受電電極220の後方の部分を上昇させながら、前方の部分を下降させる(図16D)。後方の受電電極220が障害物400を通過すると、制御回路250は、当該受電電極220を、元の姿勢に戻す(図16D)。このような動作によっても、衝突を避けながら、比較的高い効率での充電を継続できる。
【0077】
次に、受電電極220を重力方向に移動させる際の好ましい移動範囲について説明する。
【0078】
本発明者は、送電電極120と受電電極220との距離g1を変化させながら、電力伝送の効率の変化、および受電側の出力電圧の変化を計測することにより、距離g1の好ましい範囲を見出した。
【0079】
図17は、計測に用いた送電電極120および受電電極220の構成を模式的に示している。この例における送電電極120および受電電極220は、その表面が電気絶縁性の樹脂122および222でそれぞれ覆われている。送電電極120と受電電極220との距離g1は、これらの樹脂122および222の間の間隙(ギャップ)の距離を表す。
【0080】
送電電極120および受電電極220のそれぞれのサイズは、150mm×320mmとした。送電側の樹脂122の厚さd1は2mm、屈折率ε1は3.4とした。受電側の樹脂222の厚さd2は1mm、屈折率ε2は3.4とした。ギャップ(空気)における比誘電率ε3は1とした。
【0081】
このような条件で、ギャップの大きさg1を電力伝送時の基準距離g0(=10mm)から変化させたときの、伝送効率および受電電極220からの出力電圧の変動を計測した。電力伝送に関する各種のパラメータは、距離g0のときの最適値に設定した。基準距離10mmにおける電極間の容量は、39.1pFである。
【0082】
図18Aは、ギャップの大きさg1を、10mm以下の範囲で変化させたときの伝送効率の変化量(ΔEfficiency)を表すグラフである。図18Aにおいて、伝送効率の変化量(ΔEfficiency)は、g1=10mmのときの値を基準とした変化率(%)で表されている。図示されるように、0.05mm<g1<10mmの範囲では、効率の低下が確認されず、むしろ効率が向上している。なお、g1=0mmの場合には、送電側の樹脂122と受電側の樹脂222との間で接触が生じるため、走行中の充電には適さない。
【0083】
したがって、本実施形態における送電回路250は、各受電電極220を下げる際には、ギャップの大きさg1を、0.05mm以上にすることが好ましい。また、0.05mmは、g0(=10mm)の1/200倍に相当する。設計条件を変更した場合も、図18Aと同様の特性になることがわかっている。よって、ギャップの大きさg1は、(1/200)g0以上にすることが好ましい。
【0084】
図18Bは、ギャップの大きさg1を、10mm以下の範囲で変化させたときの受電側の出力電圧の変化量(ΔVout)を表すグラフである。図18Bにおいて、出力電圧の変化量(ΔVout)は、g1=10mmのときの値を基準とした変化率(%)で表されている。図示されるように、5.25≦g1<10mmの範囲では、出力電圧の変動が20%以内に収まることが確認された。また、7.5mm≦g1<10mmの範囲では、出力電圧の変動が10%以内に収まることが確認された。これらの値5.25および7.5は、それぞれ、電力伝送の基準距離g0の52.5%および75%に相当する。
【0085】
したがって、出力電圧の変動を抑えるためには、各受電電極220を下げる際、ギャップの大きさg1を、5.25mm以上または0.525g0以上、より好ましくは、7.5mm以上または0.75g0以上にすることが好ましい。
【0086】
本実施形態における移動体10は、受電電極220の経路上に障害物が存在する場合に、受電電極220を上昇させることにより、障害物との衝突を回避できる。しかし、受電電極220を上昇させすぎると、危険である場合がある。例えば、移動体10の前方下部に受電電極220が設けられている場合、工場内の作業員の足の上に受電電極220が位置する可能性があり、危険である。一般に、作業員が履く安全靴の甲部の高さは、25mmよりも大きい。したがって、安全靴の甲部が移動体10の受電電極220の下に侵入するリスクを回避するために、制御回路250は、g1<25mmの範囲で、受電電極220を移動させることが好ましい。
【0087】
図18Cは、ギャップの大きさg1を、10mmよりも大きい範囲で変化させたときの伝送効率の変化量(ΔEfficiency)を表すグラフである。図18Cにおいても、伝送効率の変化量(ΔEfficiency)は、g1=10mmのときの値を基準とした変化率(%)で表されている。図示されるように、10mm<g1<13.5mmの範囲では、効率の低下が10%以内に収まっている。13.5mmは、g0(=10mm)の1.35倍である。
【0088】
したがって、制御回路250は、各受電電極220を上昇させる際、電極間のギャップの大きさg1を、13.5mm未満または1.35g0未満の範囲で調整してもよい。
【0089】
図18Dは、ギャップの大きさg1を、10mmよりも大きい範囲で変化させたときの受電側の出力電圧の変化量(ΔVout)を表すグラフである。図18Dにおいても、出力電圧の変化量(ΔVout)は、g1=10mmのときの値を基準とした変化率(%)で表されている。図示されるように、10mm<g1<14.5mmの範囲では、出力電圧の変動が、20%以内に収まっている。また、10mm<g1<12.5mmの範囲では、出力電圧の変動が、10%以内に収まっている。
【0090】
したがって、制御回路250は、各受電電極220を上昇させる際、電極間のギャップの大きさg1を、14.5mm未満もしくは1.45g0未満、または、12.5mm以下もしくは1.25g0未満の範囲で調整してもよい。
【0091】
以上のことから、制御回路250は、ある実施形態では、受電電極と送電電極との距離(各電極に樹脂などの絶縁層が含まれる場合は、絶縁層間の距離)g1を、0<g1<25mmの範囲で制御する。また、他の実施形態では、制御回路250は、受電電極と障害物とが接触すると判断したとき、受電電極と送電電極との距離g1を、障害物の高さよりも高く、かつ1.45g0未満(または1.35g0未満もしくは1.25g0未満)にする。制御回路250は、受電電極と障害物とが接触しないと判断したときは、受電電極と路面との距離を、基準距離g0にする。このような条件を満たすことにより、より高効率かつ安定した電力伝送が可能になる。
【0092】
次に、本開示の他の実施形態を説明する。
【0093】
図19Aから図19Cは、本開示の他の実施形態における移動体10の動作を示す図である。この移動体10は、移動中に充電するのではなく、送電電極120が敷設された充電エリアに移動してから、静止して充電を開始する点で、前述の実施形態とは異なっている。図19Aは、移動体10が充電エリアに向かって移動している状況を示している。図19Bは、移動体10が充電エリアに到達した状況を示している。図19Cは、移動体10が充電エリアにおいて、充電を行っている状況を示している。
【0094】
図19Aに示すように、充電エリアに入るまでは、段差または障害物と受電電極220とが接触することを回避するために、受電電極220は相対的に高い位置に維持される。図19Bに示すように、移動体10が充電エリア、すなわち送電電極120の上に到達すると、制御回路250は、図19Cに示すように、受電電極220を降下させる。この際、いずれかの受電電極220と送電電極120との間に障害物が存在すると、受電電極220と障害物とが衝突する危険性がある。
【0095】
そこで、本実施形態における移動体10は、筐体下部に設けられたセンサ270を用いて、下方に位置する障害物を検知する。制御回路250は、センサ270が障害物を検知したとき、アクチュエータ260を制御して、受電電極220と路面(または送電電極120の表面)との距離を、電力伝送時の基準距離および障害物の高さよりも大きい距離にする。これにより、当該受電電極220が障害物に接触することが回避される。
【0096】
図20は、本実施形態における制御回路250の電力伝送時の動作を示すフローチャートである。制御回路250は、まず、各受電電極220と路面(または送電電極120の表面)との距離を、所定の基準距離よりも大きくする(ステップS201)。次に、制御回路250は、各受電電極220が送電電極120に対向する位置まで、移動体10を移動させる。続いて、制御回路250は、センサ270によって障害物が検知されたかを判断する(ステップS203)。この判断がNoの場合、制御回路250は、各受電電極220を降下させ、電極間の距離を、電力伝送時の基準距離にする。一方、上記判断がYesの場合、障害物に衝突しない受電電極220があれば、その受電電極220のみを降下させる(ステップS204)。この状態で、制御回路250は、充電を開始する(ステップS206)。なお、ステップS204において、全ての受電電極220が障害物に接触し得ると判断される場合は、制御回路250は、充電を開始せずに警告を示す信号を出力してもよい。充電が完了すると、制御回路250は、各受電電極220と路面(または送電電極120)との距離を所定の基準距離よりも大きくして移動体10の移動を再開する(ステップS207)。
【0097】
以上のような動作により、駐車中に静止して充電を行うシステムにおいても、障害物と受電電極との接触を回避し、安全な充電が可能となる。
【0098】
なお、本システムにおける障害物の検知および衝突回避の技術は、AGVのような車両に限らず、例えばマルチコプターのような車輪を有しない移動体にも適用できる。
【0099】
図21および図22は、本開示のさらに他の実施形態における送電電極120a、120bの配置を模式的に示す斜視図である。図21の例では、送電電極120a、120bは、横にやや長い矩形形状を有している。図22の例では、送電電極120a、120bは、楕円の一部のような形状を有している。このように、送電電極120a、120bは、必ずしもストライプ状に延びた形状を有している必要はない。
【0100】
図23は、本開示のさらに他の実施形態における送電電極120a、120bの配置を模式的に示す断面図である。図23の例では、送電電極120a、120bの表面が同一平面上にない。このように、送電電極120a、120bの表面は同一平面上になくてもよい。図23のような構成も、第1の送電電極120aの表面に沿った方向に離間して第2の送電電極120bが配置された構成に該当する。
【0101】
なお、各送電電極および各受電電極の表面は、完全に平面的な形状を有している必要はなく、例えば湾曲した形状または凹凸を含む形状を有していてもよい。そのような表面も、概略的に平面的であれば、「平面状の表面」に該当する。また、各送電電極は、路面に対して傾斜していてもよい。
【0102】
本開示の実施形態における無線電力伝送システムは、前述のように、工場内における物品の搬送用のシステムとして利用され得る。搬送ロボット10は、物品を積載する荷台を有し、工場内を自律的に移動して物品を必要な場所に搬送する台車として機能する。しかし、本開示における無線電力伝送システムおよび移動体は、このような用途に限らず、他の様々な用途に利用され得る。例えば、移動体は、AGVに限らず、他の産業機械、サービスロボット、電気自動車、マルチコプター(ドローン)等であってもよい。無線電力伝送システムは、工場内に限らず、例えば、店舗、病院、家庭、道路、滑走路その他のあらゆる場所で利用され得る。
【0103】
以上のように、本開示は、以下の項目に記載の移動体および無線電力伝送システムを含む。
【0104】
[項目1]
路面に沿った平面状の表面を有する第1送電電極、および前記第1送電電極から前記路面に沿った方向に離間して配置され前記路面に沿った平面状の表面を有する第2送電電極を有する送電装置から、交流電力を無線で受電する移動体であって、
前記移動体の経路上および前記移動体の下方の少なくとも一方に位置する障害物を検知するセンサと、
前記第1送電電極に対向したときに、前記第1送電電極と電界結合する少なくとも1つの第1受電電極と、
前記第2送電電極に対向したときに、前記第2送電電極と電界結合する少なくとも1つの第2受電電極と、
前記第1受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御回路であって、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する制御回路と、
を備える移動体。
【0105】
[項目2]
前記少なくとも1つの第1受電電極は、複数の第1受電電極であり、
前記アクチュエータは、前記複数の第1受電電極の各々の全体または一部を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記複数の第1受電電極の各々が障害物に接触することを回避する、
項目1に記載の移動体。
【0106】
[項目3]
前記アクチュエータは、さらに、前記第2受電電極の全体または一部を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第2受電電極が、障害物に接触することを回避する、
項目1または2に記載の移動体。
【0107】
[項目4]
前記少なくとも1つの第2受電電極は、複数の第2受電電極であり、
前記アクチュエータは、前記複数の第2受電電極の各々の全体または一部を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記センサによる検知の結果に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記複数の第2受電電極の各々が障害物に接触することを回避する、
項目3に記載の移動体。
【0108】
[項目5]
前記センサは、前記移動体が前記路面に沿って移動しているときに前記移動体の経路上に位置する障害物を検知し、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に前記第1受電電極が障害物に接触すると判断したとき、前記アクチュエータを制御して前記第1受電電極の少なくとも一部と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する、
項目1から4のいずれかに記載の移動体。
【0109】
[項目6]
前記制御回路は、前記移動体の移動中に、前記第1受電電極が障害物に接触し、前記第2受電電極が障害物に接触しないと判断したとき、前記第2受電電極の位置を維持したまま、前記アクチュエータを制御して前記第1受電電極の少なくとも一部と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する、
項目5に記載の移動体。
【0110】
[項目7]
前記少なくとも1つの第1受電電極は、前記移動体の移動方向に並ぶ2つの第1受電電極を含み、
前記アクチュエータは、前記2つの第2受電電極の各々を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に、前方に位置する前記2つの第1受電電極の一方が障害物に接触すると判断したとき、前記2つの第1受電電極の他方の位置を維持したまま、前記アクチュエータを制御して前記2つの第1受電電極の前記一方と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記2つの第1受電電極の前記一方が障害物に接触することを回避する、
項目5または6に記載の移動体。
【0111】
[項目8]
前記少なくとも1つの第2受電電極は、前記移動体の移動方向に並ぶ2つの第2受電電極を含み、
前記アクチュエータは、さらに、前記2つの第2受電電極の各々を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に、前方に位置する前記2つの第2受電電極の一方が障害物に接触すると判断したとき、前記2つの第2受電電極の他方の位置を維持したまま、前記アクチュエータを制御して前記2つの第2受電電極の前記一方と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記2つの第2受電電極の前記一方が障害物に接触することを回避する、
項目5から7のいずれかに記載の移動体。
【0112】
[項目9]
前記少なくとも1つの第1受電電極は、前記移動体の移動方向および重力方向の両方に垂直な方向に並ぶ2つの第1受電電極を含み、
前記アクチュエータは、前記2つの第2受電電極の各々を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に、前記2つの第1受電電極の一方が障害物に接触し、前記2つの第1受電電極の他方が障害物に接触しないと判断したとき、前記2つの第1受電電極の前記他方の位置を維持したまま、前記アクチュエータを制御して前記2つの第1受電電極の前記一方と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記2つの第1受電電極の前記一方が障害物に接触することを回避する、
項目5または6に記載の移動体。
【0113】
[項目10]
前記少なくとも1つの第2受電電極は、前記移動体の移動方向および重力方向の両方に垂直な方向に並ぶ2つの第2受電電極を含み、
前記アクチュエータは、さらに、前記2つの第2受電電極の各々を、重力方向に移動させ、
前記制御回路は、前記移動体の移動中に、前記2つの第2受電電極の一方が障害物に接触し、前記2つの第2受電電極の他方が障害物に接触しないと判断したとき、前記2つの第2受電電極の前記他方の位置を維持したまま、前記アクチュエータを制御して前記2つの第2受電電極の前記一方と前記路面との距離を、前記障害物の高さよりも大きくして、前記2つの第2受電電極の前記一方が障害物に接触することを回避する、
項目9に記載の移動体。
【0114】
[項目11]
前記センサは、前記移動体の下方に位置する障害物を検知し、
前記制御回路は、
前記第1受電電極および前記第2受電電極を、前記第1送電電極および前記第2送電電極にそれぞれ対向させるために前記移動体を移動させるとき、前記第1受電電極および前記第2受電電極と前記路面との距離を、予め設定された電力伝送時の基準距離よりも大きくした状態で、前記第1受電電極および前記第2受電電極が、前記第1送電電極および前記第2送電電極にそれぞれ対向するまで前記移動体を移動させ、
前記センサが障害物を検知しなかったとき、前記アクチュエータを制御して、前記第1受電電極および前記第2受電電極と前記路面との距離を前記基準距離にし、
前記センサが前記第1送電電極と前記第1受電電極との間に位置する障害物を検知したとき、前記アクチュエータを制御して、前記第2受電電極と前記路面との距離を前記基準距離にし、前記第1受電電極と前記路面との距離を、前記基準距離および前記障害物の高さよりも大きい距離にして、前記第1受電電極が障害物に接触することを回避する、
項目1から10のいずれかに記載の移動体。
【0115】
[項目12]
前記制御回路は、前記第1受電電極と前記送電電極との距離g1を、0<g1<25mmの範囲で制御する、項目1から11のいずれかに記載の移動体。
【0116】
[項目13]
前記制御回路は、
前記第1受電電極と障害物とが接触しないと判断したとき、前記第1受電電極と前記送電電極との距離を、基準距離g0にし、
前記第1受電電極と障害物とが接触すると判断したとき、前記第1受電電極と前記送電電極との距離g1を、前記障害物の高さよりも高く、かつ1.45g0未満にする、
項目1から12のいずれかに記載の移動体。
【0117】
[項目14]
前記送電装置と、
項目1から13のいずれかに記載の移動体と、
を備える無線電力伝送システム。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本開示の技術は、電力によって駆動される任意の機器に利用できる。例えば、工場で用いられる無人搬送車(AGV)などの搬送ロボットまたは電動車両に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0119】
10 搬送ロボット(移動体)
30 路面
100 送電装置
110 送電回路
120a、120b 送電電極
130s 直列共振回路
140p 並列共振回路
180 整合回路
200 受電装置
210 受電回路
220a、220b 受電電極
230p 並列共振回路
240s 直列共振回路
250 制御回路
260 アクチュエータ
270 センサ
280 整合回路
310 直流電源
330 負荷
400 障害物
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図16D
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図20
図21
図22
図23