【実施例】
【0033】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0034】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
まず、本装置の全体構成について説明する。
【0035】
不断流装置2:
図1A〜
図5Bに示す本装置2は、既設管1の管内に流体(たとえば、水等)が流れている状態で既設管1を囲繞し、
図9〜
図11に示すように、不断流下で弁体の挿入等を行うためのものである。
【0036】
分割ケース21,22:
図1Aおよび
図1Bに示すように、本装置2は密閉ケース(回転体の一例)20を備えている。密閉ケース20は、既設管1の一部を囲繞する2個の分割ケース21,22を備える。
【0037】
前記第1および第2分割ケース21,22は、枝管部27に略直交する仮想平面に沿って分割されている。一対の前記分割ケース21,22は、既設管1に対して既設管1の管径方向に外嵌装着され、結合部25が組立ボルトナット26により互いに締結されて組み立てられる。なお、結合部25において各分割ケース21,22は互いにメタルタッチで接触しているのが好ましい。
【0038】
図1Aに示すように、前記各分割ケース21,22は、既設管1の外表面13に概ね沿って湾曲した内周面24をそれぞれ備えている。
図1Aに示す前記複数の分割ケース21,22のうち、第1分割ケース21には、既設管1の径方向に突出して延びる分岐状の分岐孔23を有する前記枝管部27が一体に形成されている。
【0039】
枝管部27:
前記枝管部27には、たとえば板状フランジのようなフランジ28が一体に形成されており、該フランジ28には
図1Aに示すカッター32や、
図5Bに示す弁蓋44等が取り付けられる。
【0040】
ゴムパッキン60:
図1Aおよび
図1Bにおいて、ゴムパッキン60にはハッチングを施してある。
【0041】
図1Aおよび
図1Bに示すように、分割ケース21(22)の内面には、溝からなる前記パッキン装着部61が形成されている。前記パッキン装着部61には、
図1Bに示すゴムパッキン60が装着され、
図1Aおよび
図1Bに示すように、前記ゴムパッキン60により既設管1と密閉ケース20との間がシールされる。
【0042】
前記分割ケース21のフランジ28には切削用ベース31が締結されている。前記切削用ベース31にはカッター32が取り付けられている。前記カッター32の先端にはエンドミル状の切削工具3が装着されている。
【0043】
前記カッター32は切削工具3を中心軸(線)30のまわりに回転駆動させる。また、切削工具3は送り装置33により既設管1の径方向に進退される。
【0044】
一方、
図2Aおよび
図3Aのように、切削工具3およびカッター32はケース20と共に既設管1の周方向Rに回転可能である。したがって、
図3Aのように、切削工具3は既設管1の周方向Rに長い溝Gを切削することができる。
【0045】
本例においては、
図10のグレーで示すように、溝Gが薄皮1sで形成された底部を持つように管が切削される。
図9(a)に拡大して示すように、切削工具3の先端は円錐状に尖っていてもよい。先端の角度は170°〜150°程度が好ましいかもしれない。
【0046】
図9(a)において、前記溝Gの薄皮1Sは管軸方向Sの中央部の厚さが管軸方向Sの両側よりも薄く形成される。例えば鋼管の場合、薄皮1Sの中央部の厚さは0.2−0.4mm程度で、薄皮1Sの両側の厚さは0.4−0.6mm程度であってもよい。なお、本例の各図においては薄皮1Sの厚さの変化が誇張して描かれている。
【0047】
図3Bに示すように、前記ケース20内の空間は、吸引管50を介して負圧源5に連通していてもよい。負圧源5は吸引管50を介してケース20内の空気と共にエンドミルの切削により生じた切り粉Tをケース20内から吸い出す。
【0048】
図5A−
図8Bは配管構造を示す。
【0049】
図10に示すように、本配管構造は、既設管1に仕切弁体4を組み込んだ配管構造である。前記既設管1は溝Gを有する。溝Gは周方向Rに延び薄皮1Sで形成された底を有する。この溝Gは前述のエンドミル状の切削工具3で形成することができる。なお、前記溝Gを含む既設管1の一部は
図5Aのケース20に囲繞されている。
【0050】
図5Aの本配管構造は、前記既設管1、前記ケース20、仕切弁体4および弁棒43を備える。本配管構造のケース20は前記第1および第2分割ケース21,22に加え、弁蓋44を備える。
【0051】
図5Aに示す開弁状態において、前記弁蓋44は仕切弁体4の一部を収容する。すなわち、弁蓋44はケース20の一部を構成し、前記弁蓋44、第1分割ケース21および第2分割ケース22は仕切弁体4を収容する。なお、前記弁蓋44はフランジ28を介して第1分割ケース21に結合されている。
【0052】
前記弁棒43は回転操作されることにより、前記溝Gに向かって前記仕切弁体4を接近させ更に前記溝Gの薄皮1Sを突き破って
図7Bの開口10を形成するように前記仕切弁体4を管径方向Dに移動させる。
【0053】
前記仕切弁体4は弁本体40、刃41およびシール部42を備える。
【0054】
図10の前記弁本体40は前記既設管1の内部に入り込む円形状の部分である。前記刃41は金属製で前記弁本体40の先端側に設けられ前記薄皮1Sを破って前記開口10を形成するためのものである。
図8Bの前記シール部42はゴム製で、前記先端側の反対の基端側に設けられ前記溝Gの周囲の既設管1の部位に接して前記開口10を閉塞する。
【0055】
閉弁状態の前記仕切弁体4は、前記金属製の刃41が前記既設管1の内周面14に接し、前記ゴム製のシール部42が前記溝Gの周囲の既設管1の部位に接する。
【0056】
弁本体40の上端部分には、つまり、溝Gに接するシール部42には、シール用のゴムが配置されていてもよい。これらのシール用のゴムは弁本体40を包むように焼付けで、金属板に一体とされていてもよい、。
【0057】
不断流工法:
つぎに、既設管1内に流体が流れている状態で、前記既設管1に開口10を形成し、仕切弁体4を既設管1内に挿入する不断流工法について説明する。
【0058】
組立工程;
まず、
図1Aおよび
図1Bに示すように、既設管1の一部を前記密閉ケース20によって気密状態で囲繞すると共に、前記フランジ28および切削用ベース31を介して前記カッター32を第1分割ケース21に取り付ける。
なお、予め、前記両分割ケース21,22の結合部25を前記ボルトナット26で締結することで、既設管1の一部を密閉ケース20によって気密状態で囲繞する。
【0059】
薄皮形成工程;
その後、
図2Aのように、ケース20と共にカッター32を所定角度に設定した後に、切削工具3を既設管1の中心に向って移動させて切削工具3で既設管1の管壁12の一部を削る。この状態で、つまり切削工具3で管1を削りながら、
図3Aの本装置2全体を周方向Rに回動させることで、
図10(a),(b)に示すように既設管1の一部を切削した有底の溝Gが略半周にわたって形成される。
【0060】
すなわち、
図2A−
図3Bの薄皮形成工程においては、前記ケース20内に配置した切削工具3で前記既設管1の外表面13を切削して、既設管1の内表面で形成された薄皮1sの底を持つ溝Gを前記既設管1に形成する。
【0061】
本例の場合、まず、
図2Aに示すように、切削工具3を中心軸30のまわりに回転させながら、切削工具3が既設管1を貫通しないように切削工具3を既設管1の中心に向かって送る。ついで、
図3Aのミリング状の前記切削工具3を工具の中心軸30のまわりに回転させながら、前記切削工具3を前記ケース20と共に前記既設管1の周方向Rに旋回させることで、前記周方向Rに長い、例えば周方向Rに約半周にわたる有底の前記溝Gを形成することにより前記薄皮形成工程が実行される。
なお、薄皮形成工程において、溝Gが有底となるように、切削工具3により切削する深さは既設管1の厚さよりも小さくする必要がある。
【0062】
吸引工程:(除去工程)
吸引工程においては、
図2Bおよび
図3Bに示すように、前記切削により生成された切り粉Tを除去するために、負圧源5が吸引管50を介して前記ケース20内の気体(空気)と共に前記切り粉Tを吸引する。なお、切り粉Tの吸引中に切り粉Tを空気と共に吸引し易くするために、エアの導入孔51がケース20に設けられていてもよい。
【0063】
吸引工程は
図2Bおよび
図3Bのように前記薄皮形成工程と同時に実行されてもよいし、
図4Aおよび
図4Bのように、薄皮形成後に実行されてもよい。前記負圧源5としては市販の電気掃除機を用いてもよく、その場合、吸引管50はケース20に固定される必要もない。
【0064】
交換工程;
次に、
図3Aおよび
図3Bの前記薄皮形成工程後にカッター32および切削工具3を密閉ケース20から取り外す。ここで、前記薄皮1sは既設管1内に流体を閉じ込めている。そのため、既設管1の管路内を流れる水が既設管1から噴出するおそれがない。
【0065】
図3Bの前記カッター32の取り外し後、前記開口を形成する前に、
図9(b)のように、既設管1の溝Gの表面に塗膜6を形成する。塗膜6は防錆用のエポキシ樹脂の他、液体ゴムを塗布してシールにも役立つゴムの皮膜であってもよい。塗布方法はハケ塗又はスプレーで塗布してもよい。更にケース20を回転させながら塗布してもよい。その後、
図5Aに示すように、第1分割ケース21のフランジ28に弁蓋44を装着する。前記弁蓋44内には、既設管1内に侵入可能な仕切弁体4が内蔵されている。
【0066】
開口形成工程:
前記交換工程、前記薄皮形成工程および前記吸引工程の実行後に、
図6A−
図8Bのように、前記薄皮1Sを破って開口10を形成する開口形成工程が実行される。本例の場合、前記仕切弁体4の刃41が前記薄皮1Sを突き破って前記開口10を形成し、更に、弁本体40が前記開口10を押し拡げる。
【0067】
図10の本例において、前記溝Gは前記既設管1の周方向R(
図10(b)参照)に延び、
図9(c)のように、前記薄皮1Sは管軸方向Sの中央部19の厚さが管軸方向Sの両側よりも薄く形成されている。前記厚さの薄い中央部19を前記刃41が破ることで前記開口10を形成する工程が実行される。
【0068】
開口形成工程において、
図5Aおよび
図5Bの弁棒43を回転操作すると、まず、
図6Bおよび
図6Aの刃41は既設管1の薄皮1Sのトップの部分に当接して、当該部分を切り開く。続いて、
図7Bおよび
図7Aの刃41は前記薄皮1Sを更に切り開き、
図8Aおよび
図8Bのように、刃41が既設管1の内周面14に接するまで、刃41が既設管1の両サイドを切り開く。
【0069】
挿入工程:
図9(c)〜(e)に示すように、前記開口形成工程において、刃41が薄皮1Sを切り開くと共に刃41が薄皮1Sを押し開いて破り、弁本体40は刃41と共に既設管1内に侵入する。すなわち、本例の場合、開口形成工程と共に仕切弁体4を既設管1内に挿入する挿入工程が実行される。
【0070】
続いて、
図8Aおよび
図8Bの前記弁棒43を更にねじ込むと、既に内周面14に当接した刃41は進まず、一方、
図9(e)の刃41が既設管1の内周面14にメタルタッチで接してシールする。
【0071】
同時に、
図9(e)の弁本体40の基端側のシール部42が開口10内に入り込み開口10の周囲の既設管1の部位に接して、当該開口10の部分のシールがなされる。
【0072】
こうして、前記仕切弁体の弁本体40が前記既設管1内に侵入し、前記シール部42が前記開口10の周囲の既設管1の部位に接すると共に、前記弁本体40の先端側が前記既設管1の内周面14に接して前記挿入工程が実行される。
【0073】
この挿入工程により仕切弁体4が挿入されて、
図8Aおよび
図8Bに示すように、既設管1の管路が塞がれ止水される。この止水後、既設管1の下流側の作業を行う。その後、必要に応じて弁棒43の操作部を逆回転させると、
図5Aのように、仕切弁体4が既設管1内から退避する。
【0074】
図12は実施例2の仕切弁体4を示す。
本例の場合、弁本体40と仕切弁体4とが一体に形成されている。
【0075】
図12において、金属板状の弁本体40には先端側に略半周にわたって鋭利な刃41が形成されている。
図12(d),(e)に示すように、前記刃41は閉弁時に既設管1の内周面14に圧接し、既設管1の内周面14と弁本体40との間をシールする。
【0076】
一方、
図12(a)〜(c)に示すように、弁本体40の2つの面にはシール部42となるゴムパッキンが固着されている。このシール部42は
図12(b)の弁本体40の基端側の略半周にわたって設けられている。
図12(e)に示すように、前記シール部42は溝Gおよび溝Gの周囲の既設管1の部位に接して、既設管1と弁本体40との間をシールする。
【0077】
図13は別の仕切弁体4を示す。
本例は
図12の実施例2に近似した構造である。
図13の本例はシール部42の構造および機能が
図13の実施例2と異なる。
【0078】
図13のシール部42は薄肉で、
図13(e)のように、既設管1の開口10において、弁本体40と既設管1との間の隙間に入り込むように構成されている。
【0079】
すなわち、
図12(b)に示すシール部42は弁本体40の基端側に略半周にわたって、弁本体40の表面にコーティングされている。このシール部42は刃41が薄皮1Sを突き破った際に生じた小さな隙間を埋めるだろう。これにより、開口10において、シール部42は弁本体40と薄皮1Sとの間をシールする。
【0080】
図14A−
図15Bは、実施例2にかかる切削工具3およびカッター32を示す。この実施例2においては、前記薄皮形成工程等において、ケース20とは異なる回転体2を用いる。また、既設管1となる新設管1を配管する場合にも好的に採用することができる。例えば連続的で長いポリエチレン管に新設の弁を設置する場合に好的に採用できる。
【0081】
本例において、回転体2は切削用ベース2B、2本のローラチェーン2C、4本の連結具2Dおよび4個のローラ2Rを有する。前記ベース2Bには前述のカッター32が取り付けられている。
【0082】
図14Bに示すように、ローラチェーン2Cおよびローラ2Rは既設管1となる新設管1の外周に接しており、回転体2が新設管1または既設管1の周方向Rに回転可能である。連結具2Dはローラチェーン2Cとベース2Bとを連結している。
【0083】
本構造は、新設管1または既設管1の外径の大小にかかわらず、1種類の回転体2で多数のサイズに適用できる。
【0084】
つぎに、回転体2を用いた工法について説明する。
【0085】
まず、
図14Bのように、既設管1となる新設管1の周方向Rに回転可能な回転体2を前記管1のまわりに装着する。前記装着する際に、前記回転体2のベース2Bにはミリング状の切削工具3を持つカッター32が取り付けられている。
【0086】
ついで、切削工具3を中心軸30のまわりに回転させながら切削工具3を管1の中心に向かって送る。この後、
図15Bの前記ミリング状の切削工具3を前記工具の中心軸30のまわりに回転させながら、前記切削工具3を前記回転体2と共に前記管1の周方向Rに旋回させることで、前記管1の外表面13を切削して、薄皮1Sで形成され前記周方向Rに長い有底の溝Gを前記管1に形成する薄皮形成工程が実行される。
【0087】
前記回転体2およびカッター32を新設管1から取り外し、管1の表面を布等で拭き、前記切削により生成された切り粉Tを拭き取って除去する。
図15Bの回転体2を取り外し後、代わりに、
図5Aおよび
図5Bと同様に、ケース20、弁蓋44および仕切弁体4を新設管1に組み付ける。こうして、仕切弁体4を内蔵したケース20が溝Gを含む新設管1を囲繞するようにケース20が管1に装着される。
【0088】
前記装着工程の実行後に、前記薄皮1Sを突き破って開口10を形成する工程を必要に応じて実行する。すなわち、止水が必要となった時に、
図6A〜
図9(c)〜(e)と同様に、仕切弁体4を既設管1に向って押し進め、開口10を形成すると共に仕切弁体4を既設管1内に挿入する。
【0089】
図16A〜
図17Bは実施例2にかかる別のケース20を示す。
これらの図において、ケース20はポリエチレン製でポリエチレン製の管1に溶着される。この例において、ケース20は管1の前記溝Gを含む略半周部分を覆う。なお、周知のように、ケース20には加熱用の電熱線70が埋設されている。
【0090】
図18A〜
図18Cは実施例3にかかるケース20を示す。
この例においても前記実施例2と同様にケース20はポリエチレン製で、電熱線70が埋設されている。
なお、本例ではケース20は管1の全周を覆う。また、弁蓋に接続される金属製フランジ28Aが設けられている。
【0091】
図19は実施例2および3にかかる仕切弁体4を示す。
本例において、工事の対称となる管1は、例えばポリエチレン(ポリオレフィン系樹脂)管や塩ビ(塩化ビニル)管などのプラストマー製またはエラストマー製の管である。
【0092】
本例の場合、仕切弁体4のシール部42にはエラストマーを必要としない。すなわち、
図19(e)のように、弁本体40が既設管1内に侵入すると、弁本体40に既設管1の薄皮1Sが接触する。前記薄皮1Sはプラストマーであるから金属製の弁本体40との間がシールされるであろう。
【0093】
本例において、薄皮1Sには既設管1内の水圧が作用する。したがって、薄皮1Sの肉厚は3mm〜5mm程度が好ましいかもしれない。また、切削工具3の先端の角度を120°〜160°程度とするのが好ましいかもしれない。
【0094】
図19(a)〜(d)に示すように、仕切弁体4の刃41は既設管1の内周面14に接する円周部分だけでなく、既設管1の開口10の両端において既設管1に接する両端部45において仕切弁体4が既設管1に食い込むように、刃41を形成するのが好ましいだろう。
【0095】
なお、前記
図19の例の場合、切削工具による切削後、既設管1に組み付けられた密閉ケース20はポリエチレン製の既設管1に溶着されてもよい(例えばJP2004−245397A参照)。
【0096】
つぎに、実施例2のケース20を用いた弁挿入の方法について説明する。
【0097】
まず、弁挿入に先立って
図14A〜
図15Bに図示したように既設管1となる新設管1に有底の溝Gを形成する。前記溝Gの形成後、以下のように、
図16Aおよび
図16Bのケース20を管1に溶着する。
【0098】
まず、管1の前記溝Gに弁本体40の刃41が一致するように、ケース20を管1に装着する。なお、ケース20には弁本体40が収容されている。ついで、電熱線70に電力を供給し、ケース20と管1の接触部分を融解させ、その後、冷却させて両者を溶着する。
【0099】
前記溶着後通水し、必要に応じて、
図17Aおよび
図17Bのように、弁本体40を管1内に侵入させて、管路を止水する。
【0100】
図20〜
図22は実施例4を示す。
これらの図において、既設管1はモルタルライニング100の内層を有する鋳鉄管である。
【0101】
これらの例においては、
図22(a)の切削工具3として、段付エンドミルを用いる。このエンドミルは大径部3
Lと小径部3
Sとを有し、外表面にダイヤモンドなどの粒子が固着されている。
【0102】
本切削工具3で既設管1を切断する場合、大径部3
Lで既設管1の表層の鋳鉄の部分のみを切削し、一方、小径部3
Sで既設管1のモルタルライニング100を切削する。切削された既設管1の溝Gには、
図20のように、浅く幅の大きい部分と深く幅の小さい部分とが形成される。
【0103】
なお、切削後、
図22(b)のように、鋳鉄の切削面に塗装が施されて塗膜6が形成されてもよい。
【0104】
前記段付の溝Gを形成した後、
図21および
図22(c)〜(e)のように、前記モルタルライニング100の内層が露出した部分に弁本体40の刃41を押し当てる。モルタルライニング100は脆弱であるため、刃41により割れて弁本体40が既設管1内に侵入する。
【0105】
本例において、好ましくは、弁本体40の刃41の部分にはゴムライニングを施す。これにより、モルタルライニング管であってもシールが可能となる。
【0106】
また、
図22(e)および
図21(a)に示すように、シール部42にはシール用のゴムパッキンを固着しておくのが好ましい。
【0107】
図23は実施例5を示す。本例は既設管1がプラストマーである場合に好的に適用できる。
この例では、トムソン式の刃41が薄皮1Sを切り抜く。この場合、挿入される仕切弁体を厚くすることができる。したがって、サイズの大きい既設管にも適用できるかもしれない。
【0108】
この場合、開口10の形成後に、刃41に代えて仕切弁体および弁蓋をケース20に装着して、仕切弁体を既設管1に組み込む。そのため、周知のようにケース20にオペレーションバルブ200が必要になる。
なお、本例の場合、薄皮1sは一定の均一な厚さであるのが好ましいだろう。
【0109】
図24〜
図27は実施例6,7を示す。
これらの例は既設管1に仕切弁体4を挿入するのではなく、既設管1から分岐配管を取り出す場合に用いられる。
【0110】
図24〜
図26は実施例6を示す。
図24に示す工法において、前記ミリング状の切削工具3を工具の中心軸30(
図1A参照)のまわりに回転させながら、前記切削工具3を前記ケース20(
図1A参照)と共に前記既設管1の周方向Rに旋回させることと前記既設管1の管軸方向Sに移動させることで、前記有底の溝Gをループに形成することにより前記薄皮形成工程が実行される。
【0111】
より詳しくは、前記ケースと共に前記切削工具3を
図24(a)の第1の周方向R1に角θ(
図25A)旋回させて第1溝G1を形成する。つづいて、ケースと共に切削工具3を
図24(b)の第1の軸方向S1に若干移動させて第2溝G2を形成する。その後、ケースと共に切削工具3を前記周方向R1とは反対の第2の周方向R2に角θ旋回させて第3溝G3が形成される。最後に、ケースと共に切削工具3を前記第1の軸方向S1とは反対の第2の軸方向S2に若干移動させて第4溝G4が形成される。
【0112】
こうして、
図24(d)および
図25Bに示す方形ループ状の有底の溝Gが形成される。なお、
図25Aに示す中心角θは60°〜90°程度であってもよい。また、切削工具3をケースと共に軸方向Sに移動させる方法としては特許第4422242号に開示された方法が採用されてもよい。
【0113】
この工法においては、
図26(b)〜(d)に示すように、前記開口10を形成する工程において、前記ループ状の有底の溝Gに合致するループの刃41で前記薄皮1Sを突き破って、前記既設管1に分岐口となる前記開口10を形成する。
すなわち、
図26(a)の方形筒状のトムソン式の刃41が
図25Aの薄皮1Sを切り抜く。この場合、刃41の内側に返りを設けておいて、切片15を刃41と共に回収できるようにしておくのが好ましい。
【0114】
前記切り抜き後、
図26(d)の刃41を
図26(b)のバルブ100を開閉してケース20から撤去する。前記撤去後、前記バルブ200が閉じた状態でケース20に分岐配管を接続する。
【0115】
なお、切削工具3を周方向Rに旋回させると同時に管軸方向Sに移動させることで円形ループ状の有底の溝が形成されてもよい。
【0116】
図27の実施例7において、切削工具3はホールソーである。ホールソーの内面には切片15を回収するための返りを設けてもよい。
本例においては、
図27(a)および(b)に示すように、ホールソー3を回転させながら、既設管1の外表面13を切り進む。この際、ホールソー3の背面からエアと共に切り粉Tを吸い出す。
【0117】
図27(b)のように、ホールソー3が既設管1を切削して既設管1に薄皮1Sが形成されると、
図27(c)のように、ホールソー3の回転を停止する。この停止後、ホールソー3を管径方向、つまり既設管1の中心に向かって押し込むと、前記薄皮1Sが突き破られて、
図27(d)のように、ホールソー3に切片15が嵌りこむ。
なお、ホールソー3の撤去後、分岐配管を接続する。
【0118】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、エンドミルの先端は山型ではなく、エンドミルで一定の深さの溝を形成してもよい。また、管内を流れる流体は水や油の他、ガスであってもよい。
したがって、以上のような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。