特許第6762297号(P6762297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762297
(24)【登録日】2020年9月10日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】機器制御システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20200917BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20200917BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   H02J3/00 150
   H02J3/38 130
   H02J7/35 K
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-519039(P2017-519039)
(86)(22)【出願日】2016年3月2日
(86)【国際出願番号】JP2016056435
(87)【国際公開番号】WO2016185759
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2018年9月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-102321(P2015-102321)
(32)【優先日】2015年5月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-125401(P2015-125401)
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-179152(P2015-179152)
(32)【優先日】2015年9月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大倉 直
(72)【発明者】
【氏名】竹嶋 聡
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−155247(JP,A)
【文献】 特開2000−028176(JP,A)
【文献】 特開2001−182986(JP,A)
【文献】 特開2011−132929(JP,A)
【文献】 特開2011−130618(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/141798(WO,A1)
【文献】 特開平08−005124(JP,A)
【文献】 特開2012−50167(JP,A)
【文献】 特開2011−139558(JP,A)
【文献】 特開2011−120449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/38
H02J 7/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電装置で発電した電力の一部を売電可能な機器制御システムであって、
蓄電池と、
前記蓄電池から供給される直流電力と電力系統網から供給される交流電力とを用いて動作する電気機器と、
前記電気機器の内部または外部に設けられ、前記電気機器に供給される電力を前記直流電力または前記交流電力のいずれかに切り替える切替部と、
前記切替部の切替を制御する制御部とを備え、
前記蓄電池の直流電力は、直流のまま前記電気機器に供給され、
前記制御部は、
前記機器制御システムが前記電力系統網に対して買電状態のときには、前記電気機器に供給される電力が直流電力となるように前記切替部を制御し、
前記機器制御システムが前記電力系統網に対して売電状態のときには、前記電気機器に供給される電力が前記直流電力とならないように前記切替部を制御して、前記蓄電池から前記電気機器への前記直流電力の供給を禁止する、機器制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の機器制御システムであって、
前記制御部は時刻に基づき、前記切替部を制御する機器制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の機器制御システムであって、
前記制御部は、前記蓄電池の残量に基づき、前記切替部を制御する機器制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の機器制御システムであって、
前記制御部は天気予報情報に基づき、前記切替部を制御する機器制御システム。
【請求項5】
太陽光発電装置で発電した電力の一部を売電可能な機器制御システムにおける制御方法であって、
前記機器制御システムは、蓄電池から供給される直流電力と電力系統網から供給される交流電力とを用いて動作する電気機器の内部または外部に設けられ、前記電気機器に供給される電力を前記直流電力または前記交流電力のいずれかに切り替える切替部と、前記切替部の切替を制御する制御部とを備え、前記蓄電池の直流電力は、直流のまま前記電気機器に供給され、
前記制御方法は、
前記機器制御システムが前記電力系統網に対して買電状態のときには、前記電気機器に供給される電力が直流電力となるように前記切替部を制御するステップと、
前記機器制御システムが前記電力系統網に対して売電状態のときには、前記電気機器に供給される電力が前記直流電力とならないように前記切替部を制御して、前記蓄電池から前記電気機器への前記直流電力の供給を禁止するステップとを備える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池に蓄えられた直流電力と交流電力とを切り替えて動作する機器を備える機器制御システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池で発電した直流電力を交流に変換し、交流電力を機器で再度直流に変換して利用することによる変換ロスを低減するための技術として、例えば特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1には、直流電源から得られる直流の電力をインバータを介して交流の商用電力系統へ接続すると共に、インバータの出力端は整流回路を介して直流負荷へ接続した電力システムにおいて、インバータの入力端と整流回路の出力端とを直流線路によって連結し、直流電源から得られる直流の電力を直流線路を経て直接に直流負荷へ供給するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−165395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、太陽電池による発電が十分にある際には太陽電池による電力が機器に供給され、太陽電池による発電電力が機器を動作させる際に不足する場合には、整流された交流電力が供給されるようになっている。
【0006】
しかし、最近では太陽電池に加え蓄電池も各家庭に備えられるようになり、蓄電池に蓄えられた電力が複数の機器に供給されたり、太陽電池や蓄電池の利用を考慮した電気料金体系が適用されたりするようになっている。
【0007】
このような状況において、蓄電池に蓄えられた直流電力の変換ロスを低減する目的で蓄電池を特許文献1の太陽電池と同じ構成で機器と接続してシステムを構成すると、蓄電池の残量が設定された値になるまで蓄電池から機器への電力供給が優先されることになってしまうため効率のよい使い方とならない可能性がある。
【0008】
すなわち、蓄電池に蓄えられた直流電力と交流電力との利用が可能な機器を効率よく用いるシステムについて提案がなされていないのが現状である。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、蓄電池に蓄えられた直流電力と交流電力との利用が可能な機器を効率よく用いることができるシステムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、直流電源と、直流で接続された直流電源の電力と電力系統網の電力とを受け付けて動作する電気機器と、電気機器の内部または外部に設けられ、電気機器を動作させる電力を直流電源の電力または交流電力網の電力のいずれかに切り替える切替部と、切替部の切替を所定の条件に基づき制御する制御部とを備える機器制御システムを提供する。
【0011】
また、太陽光発電装置をさらに備え、制御部は機器制御システムが電力系統網に対して買電状態か売電状態かに基づき、切替部を制御する。
【0012】
さらに、本発明は、直流で接続された直流電源の電力と電力系統網の電力とを受け付けて動作する電気機器の内部または外部に設けられ、電気機器を動作させる電力を直流電源の電力または交流電力網の電力のいずれかに切り替える切替部を制御する制御部の制御方法であって、電気機器と太陽光発電装置とを備える機器制御システムが電力系統網に対して買電状態か売電状態かに基づき、切替部を制御する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓄電池に蓄えられた直流電力と交流電力との利用が可能な機器を効率よく用いる機器制御システムおよび機器制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の機器制御システムの概略構成図である。
図2】第1実施形態で使用する蓄電池の直流電力と交流電力である系統電力網の電力とを切り替えて利用するエアコン室外機のブロック図である。
図3】第1実施形態の機器制御システムの動作を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態の機器制御システムの動作を示すフローチャートである。
図5】第3実施形態の機器制御システムの動作を示すフローチャートである。
図6】第4実施形態の機器制御システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
(システム構成)
図1は、第1実施形態の機器制御システムの概略構成図である。
【0016】
図1に示す機器制御システムでは、エアコン室内機10、エアコン室外機11やテレビ等の家電機器と、実施形態や蓄電池21に接続されるパワーコンディショナ22と、パワーコンディショナ22から情報を取得して表示することができる電力モニタ23と、エアコン10に遠隔制御信号を送信することができるHEMS(Home Energy Management System)コントローラ30と、HEMSコントローラ30とEthernet(登録商標)を用いて有線接続されているルータ31とを備える。
【0017】
家電機器のうちエアコン室内機10とエアコン室外機11は、2つの装置で通常エアコンと呼ばれるものであり、本実施形態において単にエアコンと述べている場合は、エアコン室内機10とエアコン室外機11とを含むものとして扱う。本実施形態において、エアコン室内機10は分電盤24から供給される交流電力により動作し、エアコン室外機11は、蓄電池から供給される直流電力と、エアコン室内機10を介して供給される交流電力とを選択して動作することができる。なお、エアコン室外機11についての詳細は後述する。さらにエアコン室内機10は、無線LANを用いて通信する機能を有し、無線LANの機能を有するルータ31を介し、HEMSコントローラ30と通信することができる。
【0018】
パワーコンディショナ22は、太陽電池20と蓄電池21に接続されており、太陽電池20で発電した直流電力を蓄電池21に蓄える機能や、太陽電池20で発電した直流電力を交流電力に変換して系統に逆潮流する機能、系統の交流電力を直流電力に変換して蓄電池21に蓄える機能等を有する。また、本実施形態の機器制御システムが設置された家屋の主幹の電力を監視し、電流の方向やその大きさに関する情報を取得する。これにより、系統電力網25から電力を購入している状態(買電状態)か系統電力網25に逆潮流を行っている状態(売電状態)かについて把握する。さらに、太陽電池20で発電した電力を計測する機能、蓄電池21の蓄電量の情報を蓄電池21から取得する機能等も有する。
【0019】
電力モニタ23は、表示部やユーザ操作受け付け部、パワーコンディショナ22との通信を行う機能等を有しており、ユーザは電力モニタ23を用いることにより、パワーコンディショナ22で取得した情報を確認することができる。さらに、電力モニタ23はユーザからの操作を受けることができ、パワーコンディショナ22等の運転制御ができるようになっている。また無線LANを介した通信機能を有しており、ECHONETLiteに準拠した制御命令に基づき外部の機器と連携することができる。
【0020】
HEMSコントローラ30は、ECHONETLiteに準拠した制御命令を制御対象の機器(本実施形態ではエアコン室内機10)に送信する制御装置である。制御命令はHEMSコントローラ30の判断に基づき送信してもよく、また、サーバから送信されてきた制御命令を中継してもよい。この際、HEMSコントローラ30からの制御命令は、ルータ31を介して制御対象の機器に送信される。
【0021】
また、HEMSコントローラ30は、各家電機器に対応して設けられた図示しない電力計測装置を用いて各家電機器の消費電力を計測し、計測した消費電力に関する情報をサーバ33に送信する機能を備えている。このため、ユーザが携帯端末32を用いてサーバ33に蓄えられた各家電機器の電力に関する情報を閲覧することを可能となる。またECHONETLite(登録商標)に準拠した制御命令を用いて上述の電力モニタ23と連携することができる。
【0022】
なお、ECHONETLiteに準拠した制御命令では、一般に公開されている部分と一般に公開されていない部分とを含んでいる。一般に公開されている部分は制御命令がメーカーによらず共通化されているため、A社の制御装置でB社の対象機器が制御することが可能となるという利点がある。しかしながら、HEMSコントローラ30以外の意図しない制御機器からの制御指示により機器が制御される事態が生じることもある。本実施形態ではHEMSコントローラ30以外からの意図しない制御により、後述する押し上げ発電がされることがないように、ECHONETLiteに準拠した制御命令のうち一般に公開されていない部分をもちい、後述するような直流電力に由来する電力を用いて動作することを許可する信号を制御対象の機器に送信する。
【0023】
ルータ31は一般的なルータであり、インターネット40に接続する機能を有する。また、IEEE802.11規格の無線LAN(Local Area Network)を備えており、エアコン室内機10と無線LANを利用した通信を行う。一方、HEMSコントローラ30とはEthernet(登録商標)を用いて有線接続されている。
【0024】
携帯端末32の代表的なものはスマートフォンであり、遠隔制御に用いるアプリケーションや測定した電力に関する情報を閲覧するためのアプリケーションは、携帯端末32の一般的なWebブラウザでサーバ33にアクセスすることにより動作するように提供されるものであってもよく、専用のものであってもよい。ユーザは携帯端末32において、自身に割り当てられたユーザIDとパスワードを入力することにより遠隔監視システムを利用することができる。携帯端末32とサーバ33との通信は公衆電話回線網41とインターネット40を介して行われるため、ユーザは外出先等から制御することもできる。なお、ユーザが宅内にいる場合には、無線LANを用いてルータ31を介して通信を行ってもよい。
【0025】
サーバ33は、HEMSコントローラ30と通信を行うインタフェースを備え、携帯端末から制御対象の家電機器の制御命令がされた場合には、これをHEMSコントローラ30に送信する機能を有する。またHEMSコントローラ30から送信されてきた電力や積算電力量の電力に関する情報を受信し、これを記憶する機能を有する。また、携帯端末32と通信を行うインタフェースも備え、携帯端末32から要求があればこれらの情報を携帯端末32に提供する。
【0026】
なお、本実施形態では1つのサーバ33で実現しているが、家電機器を遠隔制御する機能や送信されてきた電力や積算電力に関する情報を受信する機能等のHEMSコントローラ30が関係する機能を有するサーバと、携帯端末32に対してWebブラウザを用いたアプリケーションを提供するサーバとを別々のサーバで構成するようにし、サーバ間でやり取りを行う構成としてもよいことは言うまでもない。
【0027】
図2は、第1実施形態で使用する蓄電池の直流電力と交流電力である系統電力網の電力とを切り替えて利用するエアコン室外機11のブロック図である。本実施形態のエアコン室外機101は図1のエアコン室外機11に対応する。エアコン室外機機能部102は一般的なエアコン室外機としての機能を有する部分であるが、一般的なエアコン室外機において交流電力を直流電力に変換する部分を含まない。この部分は、図2においては切替部103と整流回路104が担っている。
【0028】
エアコン室外機101は交流電力と直流電力で動作するようになっている。系統電力網25の交流電力はエアコン室内機10を介してエアコン室外機11に入力され、入力された交流電力は整流器105で直流に変換されて切替部103の一方の入力端子に入力される。また、切替部103の他方の入力端子は蓄電池21と接続され、蓄電池21に蓄えられた直流電力が直流のまま入力される。切替部103は切替制御部105からの指示に基づき、いずれか一方の入力電力をエアコン室外機機能部102に出力する。図2では切替制御部はエアコン室外機101の外部に設けられているが、エアコン室外機101の内部に設けられてもよい。また、切替部103、整流回路104をエアコン室外機11の外部に設けるようにしてもよい。
【0029】
本実施形態では一例として、切替制御部105は、図1に示すエアコン室内機10の内部に設けられており、HEMSコントローラ30からの制御信号を無線LANによる通信により受信し、この制御信号に基づき切替制御の信号を有線通信でエアコン室外機11に設けられた切替部103に送信する構成とする。また、システム全体の制御部であるHEMSコントローラ30と切替制御部103は別構成としているが、切替制御部103をHEMSコントローラ30と一体化してもよい。
【0030】
なお、蓄電池に蓄えた電力を用いて本エアコン室外機を動作させる場合、通常のエアコン室外機では蓄電池の電力をパワーコンディショナ22で交流電力に変換し、交流電力を内部に設けられた整流回路で再度直流電力に変換して用いることになるが、本実施形態のエアコン室外機11は蓄電池の直流電力を直流電力のまま用いるため、このような変換ロスを低減することが可能となる。
【0031】
(電力料金体系について)
次に本実施形態で用いられる電気料金制度について説明する。本実施形態では蓄電池21を用いて電気を蓄えることができるため、電力単価の低い時間帯に蓄電池に電力を蓄え、高い時間帯に蓄電池に蓄えた電力を消費することによりユーザは経済的なメリットを享受することができる。一般家庭で選択可能な料金体系の内、このような蓄電池21の使用方法に適した料金体系の1つとして、安価な深夜電気料金を利用することができる料金体系がある。このような料金体系では、例えば、23時〜7時の第1時間帯の電気代を11円/Kwh、7時〜10時および17時〜23時の第2時間帯の電気代を25円/Kwh、10時〜17時の第3時間帯の電気代を33円/Kwhとする電気料金体系である。このような電気料金体系では、蓄電池を設置したユーザが経済的なメリットを享受したい場合、第1時間帯に蓄電池を満充電し、第3時間帯の電力消費を蓄電池に蓄えた電力でできるだけ賄い、第3時間帯の消費電力量よりも蓄電電力量が大きい場合には、第2時間帯での消費電力も蓄電池から供給するようにすればよい。
【0032】
(押し上げ発電について)
太陽電池20を設置した一般家庭において、発電が十分に行われ自家消費できない余剰電力が発生した場合には逆潮流し売電を行うことが認められている。太陽電池20に加え蓄電池21を設置した一般家庭では、蓄電池21の設置時に、この売電の売却単価について以下の2つのうちいずれかを選択することとなっている。
【0033】
第1の選択肢は、一般に「押し上げ発電なし」と呼ばれるものであり、太陽電池20の発電による余剰電力が発生し、売電を行っている間は蓄電池からの負荷への電力供給は禁止するというものである。これにより、逆潮流される電力は太陽光発電による発電から自家消費の差し引いた余剰電力となる。これは太陽電池発電装置のみを設置し、蓄電池を設置しない家庭と同様の条件になるため、電力の売却単価は太陽光発電装置のみ設置し、蓄電池を設置しない家庭と同一となる。
【0034】
第2の選択肢は、一般に「押し上げ発電あり」と呼ばれるものであり、太陽電池20の発電による余剰電力が発生し、売電を行っている間であっても電力消費する機器に対して蓄電池からの電力供給を可能とするものである。ここで電力消費する機器の消費電力をすべて蓄電池21から供給すれば、太陽電池20による発電電力をすべて売電に用いることができる。このため太陽電池による売電電力の量が増加することになるため、電力の売却単価は前述の「押し上げ発電なし」の条件よりも低く設定されている。
【0035】
(システムの制御についての説明)
本実施形態では、上記で説明した料金体系を採用し、かつ「押し上げ発電なし」を選択した家庭での機器制御システムにおける制御方法について説明する。
【0036】
ある夏の晴れの日をモデルケースとして以下に図1図2および図3を用いて説明を行う。また、このモデルケースでは、エアコンの電源は常時ONになっているとする。
【0037】
また第1時間帯においてエアコン室外機11は交流により動作しているものとする(S101)。
【0038】
朝7時の時点で、蓄電池21は上述の第1時間帯の間に充電を行い満充電になっている。また蓄電池21は本実施形態で必要な電力を供給する十分な容量を有しているとする。7時になると第1時間帯は終了し、第2時間帯になるため、電気料金の単価が上がる。このためエアコンの動作に用いる電力を系統電力網25から得るよりも蓄電池21に蓄えた電力を用いる方が電力単価の安い電力が利用できる。よって、HEMSコントローラ30は、第1時間帯から第2時間帯になると(S102)、切替制御部105に対して、直流電力を用いて制御することを許可する信号を送信する。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を直流電力が供給されるように切り替える(S104)。以後蓄電池に蓄えられていた電力が直流のままエアコン室外機11に供給される。
【0039】
なお、HEMSコントローラ30は、切り換え前に系統電力網25から買電状態であるか否かを確認し、買電状態であることを確認(S103)してから上記切り替えを許可する。
【0040】
このまま時間が経過し9時になると、日射量が増加するにつれ太陽電池20による発電が増加し、また、朝の準備に伴う家電製品の使用が一段落して消費電力が低下した。そして、系統から購入する電力が減少し、余剰電力が生じることにより、逆潮流が開始される状態となる。パワーコンディショナ22は、逆潮流が開始、すなわち買電状態から売電状態に変化したことを検知する(S106)と、このことを直ちにHEMSコントローラ30に伝え、HEMSコントローラ30は蓄電池の直流電力を用いて動作することを禁止する信号を切替制御部105に送信する。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を交流電力が供給されるように切り替える(S107)。以後系統電力網25からの交流電力がエアコン室外機11に供給される。このような制御を行う理由は先に説明した押し上げ発電にならないようにするためである。なお、押し上げ発電にならないように、買電状態から売電状態に切り替わる直前ではなく、買電電力が予め定められた大きさ以下になった場合に切り替えるようにしてもよい。
【0041】
このまま時間が経過し16時になると、日射量が減少するにつれ太陽電池20による発電が減少し、また、夕方の準備に伴う家電製品の使用が増えて消費電力が増加した。そして逆潮流する電力が減少し、系統からの電力購入が開始される状態となる。パワーコンディショナ22は売電状態から買電状態に変化したことを検知すると(S109)、このことをHEMSコントローラ30に伝え、HEMSコントローラ30は切替制御部105に直流電力を用いて制御することを許可する信号を送信する。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を直流電力が供給されるように切り替える(S110)。以後蓄電池21に蓄えられていた電力が直流のままエアコン室外機11に供給される。なお、押し上げ発電にならないように、売電状態から買電状態に切り替わった直後ではなく、買電電力が予め定められた大きさ以上になった場合や、売電状態から買電状態に切り替わったのち一定時間以上経過した後に切替部103を切り替えるようにしてもよい。
【0042】
なお、この買電電力の予め定められた大きさとして、エアコン室外機11の交流電力での最大消費電力としてもよい。
【0043】
このようにすれば、エアコン室外機11の交流電力の消費が買電されないようになっても、そのことによる買電状態と売電状態の切り替わりが生じることはない。
【0044】
また、本実施形態のシステムにおいて、直流電力での消費電力に交流電力での消費電力よりも低い上限が設けられ、この消費電力以下となった場合に交流電力を直流電力に切り替えるような仕様の場合を想定する。このような場合、買電電力の予め定められた大きさとして、エアコン室外機11の交流電力が直流電力に切り替えることができる最大の消費電力、すなわちエアコン室外機11の直流電力での最大消費電力としてもよい。
【0045】
このようにすれば、エアコン室外機11の交流電力の消費が買電されないようになっても、そのことによる買電状態と売電状態の切り替わりが生じることはない。
【0046】
この予め定められた大きさ以上になった後、一定時間以上経過した後に切替部103を切り替えるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0047】
このまま時間が経過し23時になると、第1時間帯になる(S105、S108)ため蓄電池に蓄えられた電力の電力単価と系統電力網25からの購入電力の電力単価が等しくなる。翌日の第2時間帯や第3時間帯に使用する電力を蓄電池21に蓄える必要があるため、HEMSコントローラ30は、蓄電池の直流電力を用いて動作することを禁止する信号を切替制御部105に送信する。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を交流電力が供給されるように切り替える(S111)。以後系統電力網25からの交流電力がエアコン室外機11に供給される。
【0048】
このような制御が翌日も繰り返される。
なお、図3に示すようにステップ105(S105)からステップ111(S111)を構成することにより、第2時間帯以降の第1値時間帯になるまでの時間に、太陽電池20による発電量の変動や家庭内負荷の消費電力の変動により買電状態と売電状態が変化しても、それに応じてエアコン室外機11に供給する電力を直流供給と交流供給とに切り換えることができる。
【0049】
以上説明したような制御を行うことにより、蓄電池21の直流電力と交流電力である系統電力網25の電力とを切り替えて利用することが可能なエアコンを、電気料金制度や余剰電力買い取り制度に適するように使用することが出来る。
【0050】
さらに蓄電池21の直流電力を直流電力のまま機器で用いることにより、直流電力と交流電力との変換回数を減らすことができ、蓄電池に蓄えた電力をより有効に利用することが可能となる。
【0051】
なお、本実施形態ではパワコン22から必要な情報がHEMSコントローラ30に送信するとしているが、HEMSコントローラ30がパワコン22の情報を取得するように構成してもよい。
【0052】
また、上記ではパワコン22とHEMSコントローラ30とが通信を行うと記載しているが、本実施形態の構成において詳細に説明すると、パワコン22と電力モニタ23との間で通信が行われ、HEMSコントローラ30と電力モニタ23との間で通信が行われる。電力モニタ23の備える通信機能をパワコン22またはHEMSコントローラ30のいずれかに設ける構成とすれば、電力モニタ23を設けない構成とすることも可能であることは明らかなことである。
【0053】
さらに、本実施形態では買電状態であるか売電状態であるかの判定をパワコン22の機能を用いて行ったが、別の測定装置を用いてもよいことは言うまでもなく、判定結果を別の測定装置からHEMSコントローラ30が直接取得する構成としてもよい。
【0054】
本実施形態ではHEMSコントローラ30が上述の制御の中心を担うように説明を行ったが、HEMSコントローラ30に代えてサーバ33が中心となって制御してもよいことは言うまでもない。
【0055】
<第2実施形態>
本実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同一である。そして、第1実施形態で説明した料金体系を採用し、かつ「押し上げ発電なし」を選択した家庭での機器制御システムの制御方法について説明する。
【0056】
第1実施形態との構成の差異は、HEMSコントローラ30は売電状態か買電状態かという状態の把握に加え、蓄電池21の残容量の情報も取得することである。蓄電池21は自身の残容量について把握しており、HEMSコントローラ30は電力モニタ23を介して蓄電池21の残量の情報を取得する。
【0057】
さらに、本実施形態では、非停電時には蓄電池21の蓄電容量の内の一定割合を放電しないようにしており、この割合を設定残量と呼ぶ。これは、万が一交流配線網25が停電した場合、家庭内の機器を最低限動作させることができるような電力を確保しておくことを目的としたものである。この設定残量の値は、ユーザが任意に設定できるようになっており、0%に設定してもよく、100%に設定してもよい。ただし、0%に設定してしまうと、停電時に蓄電池が空になっている可能性がある。逆に100%に設定してしまうと非停電時に本実施形態で説明するエアコン室外機11等で蓄えた電力を用いることができなくなってしまう。
【0058】
以下、ある夏の晴れの日をモデルケースとして以下に図1図2図4を用いて説明を行う。また、このモデルケースでは、エアコンの電源は常時ONになっているとする。朝7時の時点で、蓄電池は上述の第1時間帯の間に充電を行い満充電になっている。そして20時を過ぎたころに蓄電池の残量が上述の設定残量に達することとする。
【0059】
20時までの動作は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。この時点でエアコン室外機11は蓄電池21の直流電力で動作している。
【0060】
HEMSコントローラ30は蓄電池の残量の情報を定期的に取得しており(S205、S209)、20時を過ぎたころに取得した情報により、蓄電池の残量が設定残量に達したことを検知する。このことを検知したHEMSコントローラ30は、切替制御部105に直流電力に由来する電力を用いて動作することを禁止する信号を送信する。これを受信した切替制御部105は蓄電池の直流電力を用いて動作することを禁止する信号を切替制御部105に送信する。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を交流電力が供給されるように切り替える(S213)。以後系統電力網25からの交流電力がエアコン室外機11に供給される。
【0061】
このまま時間が経過し23時になると、第1時間帯になるため蓄電池に蓄えられた電力の電力単価と系統電力網25からの購入電力の電力単価が等しくなる。翌日の第2時間帯や第3時間帯に使用する電力を蓄電池21に蓄える必要があるため、HEMSコントローラ30は、切替制御部105に蓄電池の直流電力を用いて動作することを禁止する信号を切替制御部105に送信する。なお、本実施形態では既に系統電力網25からの交流電力がエアコン室外機11に供給されているため、切替が発生しない場合には、新たに禁止する信号を送信しない仕様としてもよい。
【0062】
このような制御を行うことにより、蓄電池21に蓄えられた電力を使いきることなく、系統電力網25の電力を利用して機器の動作を継続することが可能となる。
【0063】
<第3実施形態>
本実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同一である。
【0064】
第1実施形態との構成の差異点は、HEMSコントローラ30は売電状態か買電状態かという状態の把握に加え、複数の装置間の通信状況を監視し、エアコン室外機11の切替制御に反映させる点である。
【0065】
以下、図5(a)および図5(b)を用いて説明を行う。なお本実施形態における監視が必要なのはエアコン室外機11に直流電力が供給されている場合(S310、S311)である。
【0066】
第1の通信監視としてHEMSコントローラは、HEMSコントローラ30と電力モニタ23との通信を監視する。また、第2の通信監視として切替制御部105は、切替制御部105とHEMSコントローラ30との通信を監視する。
【0067】
第1の通信監視では、HEMSコントローラ30は、HEMSコントローラ30と電力モニタ23との通信を監視し(S302)、一定時間電力モニタ23との通信ができない場合、切替制御部105に蓄電池の直流電力を用いて制御することを禁止する信号を送信する。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を交流電力が供給されるように切り替える(S303)。以後系統電力網25からの交流電力がエアコン室外機11に供給される。
【0068】
これは、電力モニタ23との通信が遮断することによりパワコン22から買電状態か売電状態かの情報が得られず、押し上げ発電を行ってしまうことを防止するためである。
【0069】
また、後述する実施の形態などでHEMSコントローラ30が取得して切り換えの判断に用いることがある太陽電池パネル20の発電状態に関する情報や電圧に関する情報を取得できない場合に、押し上げ発電を行ってしまうことを防止することになる。
【0070】
第2の通信監視として切替制御部105は、切替制御部105とHEMSコントローラ30との通信を監視し(S312)、一定時間HEMSコントローラ30との通信ができない場合、切替部103を交流電力が供給されるように切り替える(S313)。以後系統電力網25からの交流電力がエアコン室外機11に供給される。
【0071】
これは、HEMSコントローラ30との通信が遮断することにより押し上げ発電にならないようにするための制御命令を受信することができずに、押し上げ発電を行ってしまうことを防止するためである。
【0072】
このような制御を行うことにより、通信ができない状況となっても、押し上げ発電を行うことなく蓄電池21に蓄えられた電力を利用する環境を提供することができる。
【0073】
なお、切替部103の切替をHEMSコントローラ30から直接行えるようにしてもよいが、その場合には上述の第2の通信監視機能は切替部103に設けることとなる。
【0074】
<第4実施形態>
本実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同一である。第1実施形態との構成の差異点は、HEMSコントローラ30とが天気予報の情報を取得する点である。
【0075】
以下、図6を用いて説明を行う。
HEMSコントローラ30はサーバ33にアクセスし本日の天気予報の情報を既に取得している(S402)とする。
【0076】
朝7時の時点で、蓄電池は上述の第1時間帯の間に充電を行い満充電になっている。しかしながら、第2時間帯と第3時間帯を通して電気機器の消費電力をすべて賄うことができる程度には蓄電容量がないとする。
【0077】
天気の予報が晴れである場合、本実施形態は第1実施形態と同様になるため、天気の予報が雨である場合(S403でNo)について以下説明を行う。
【0078】
7時になると第1時間帯は終了し、第2時間帯になる(S420)ため、電気料金の単価が上がる。このためエアコンの動作に用いる電力を系統電力網25から得るよりも蓄電池21に蓄えた電力を用いる方が電力単価の安い電力が利用できる。
【0079】
しかし、本日の天気は雨であるという予報を取得しているHEMSコントローラ30は切替制御部105に対して、蓄電池の直流電力を用いて制御することを禁止する信号を送信する。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を交流電力が供給されるように切り替える(S421)。以後系統電力網25からの交流電力がエアコン室外機11に供給される。なお、第1時間帯においても系統電力網25からの電力供給が行われているため、供給源となる電力に変更がないと判断し、制御信号を送信しない仕様としてもよい。
【0080】
これは、本日の天気予報が当たり天気が雨であった場合、日中の太陽光発電による発電が期待できない。仮に7時から始まる第2時間帯に蓄電池の電力の利用を開始し、第3時間帯の最中に利用できる蓄電池の電力がなくなった場合、第3時間帯に系統電力網25から電力を購入する必要が生じる。第3時間帯に電力を購入するよりは第2時間帯に電力を購入した方が電力単価の安い電力を使用することができるためである。
【0081】
このまま時間が経過し10時になると(S422)、HEMSコントローラ30は切替制御部105に対して、直流電力を用いて制御することを許可する信号を送信する。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を直流電力が供給されるように切り替える(S424)。以後蓄電池に蓄えられていた電力が直流のままエアコン室外機11に供給される。
【0082】
なお、切り替える前に実際に買電状態になっていることを確認(S423)してから切り替えを行う。
【0083】
また、予報では雨であったが、実際には天気が変わり日射があり太陽電池20による発電が生じている場合があるため、第1実施形態のように買電状態と売電状態に応じて直流給電と交流給電を切り替えるように構成してもよく、第2実施形態のように蓄電池の残量の情報を確認するようにしてもよい(S425〜S432)。
【0084】
このまま時間が経過し23時になると、第1時間帯になるため蓄電池に蓄えられた電力の電力単価と系統電力網25からの購入電力の電力単価が等しくなる。翌日の第2時間帯や第3時間帯に使用する電力を蓄電池21に蓄える必要があるため、HEMSコントローラ30は、切替制御部105に蓄電池の直流電力を用いて制御することを禁止する信号を送信する(S426、S430)。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を交流電力が供給されるように切り替える(S433)。以後系統電力網25からの交流電力がエアコン室外機11に供給される。
【0085】
<第5実施形態>
本実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同一である。第1実施形態との構成の差異は、HEMSコントローラ30が、日の出と日の入り情報を取得し、日射が期待できる時間において、エアコン室外機11の直流電力による動作を禁止する点である。これにより上記第1実施形態〜第4実施形態と比較して、より確実に押し上げ発電を行わないような制御が可能となる。
【0086】
HEMSコントローラ30は、サーバ33から日の出と日の入り時間に関する情報を取得し、日射が期待できる時間において、エアコン室外機11の直流電力による動作を禁止する。すなわち、HEMSコントローラ30は、太陽電池20による発電が期待できない時間において、直流を給電することを許可する信号を切替制御部105に送信する。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を直流電力が供給されるように切り替える。
【0087】
このような構成とすれば、太陽光発電による売電状態中に蓄電池21からエアコン室外機11に電力が供給されて、押し上げ発電となることはない。
【0088】
なお、日の出日の入り時間の情報を取得することに代えて、日射が期待される時間とカレンダーとの関係を示す情報を取得または保持し、日射が期待される時間においてエアコン室外機11の直流電力による動作を禁止するようにしてもよい。
【0089】
また、日の出と日の入り時間に関する情報と当日の天気情報とを関連して取得し、上記制御に用いるようにしてもよい。その場合、例えば、雨天で太陽電池パネル20の発電電力が少なく売電状態になることが明らかに見込めない場合、日の出から日の入りの時間であってもエアコン室外機11の直流給電による動作を許可するようにしてもよい。
【0090】
なお、本実施形態は時間(時刻)情報に基づいて制御を行っているため、本実施形態の機器制御システムにおける時間が正確に保持されている必要がある。例えば、HEMSコントローラ30の時計が正確な時刻よりも1時間早まっており、HEMSコントローラ30が自身の時計に基づき日の入りの時間と判断してエアコン室外機11の直流給電による動作を許可する場合を考える。このとき、実際の日の入り時間は1時間後であるため、まだ日射があり、太陽電池パネル20には発電があるため、発電量と負荷とのバランスによっては押し上げ発電になってしまうことが起こりうる。このような状況にならないように、ネットワークタイムプロトコル(Network Time Protocol:以下NTP)サーバから正確な時間を取得するようにし、NTPサーバから正確な時間が取得できない場合にはエアコン室外機11の直流給電による動作を許可しないようにする。さらに、機器制御システムの時計の変更はNTPによるのみとし、ユーザによる変更は受け付けないようにしてもよい。
【0091】
<第6実施形態>
本実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同一である。第1実施形態との構成の差異は、HEMSコントローラ30が、太陽電池パネル20の発電状態についての情報をパワーコンディショナ22から取得し、太陽光電池パネル20で発電がある場合に、エアコン室外機11の直流電力による動作を禁止する点である。これにより上記第1実施形態〜第4実施形態と比較して、より確実に押し上げ発電を行わないような制御が可能となる。
【0092】
HEMSコントローラ30は、パワーコンディショナ22から太陽電池パネル20の発電に関する情報を取得し、発電がある場合は、エアコン室外機11の直流電力による動作を禁止する。すなわち、HEMSコントローラ30は、太陽電池20による発電がない場合に直流を給電することを許可する信号を切替制御部105に送信する。この信号を受信した切替制御部105は、切替部103を直流電力が供給されるように切り替える。
【0093】
ここで、太陽電池パネル20の発電状態についての情報として、例えば、パワーコンディショナ22の入力電力や入力電圧(太陽電池パネル20の出力電力や出力電圧)もしくは出力電力に関する情報があげられる。
【0094】
なお、明け方であれば、暗い状態から太陽電池20の出力が得られる程度まで急激に日射が強くなることがあり得る。このため、太陽電池パネル20の出力が得られる程度の日射に達する十分前の日射からエアコン室外機11の直流電力による動作を禁止するようにし、より確実に押し上げ発電を防止するようにしてもよい。これを実現するため、太陽電池パネル20の発電状態についての情報のみならず、第5実施形態で示すように取得した日の出の時間に基づいて制御してもよいことは言うまでもない。
【0095】
一方、夕方であれは、日射量が再び強くなる可能性は低いため、太陽電池20の出力が得られる程度の日射よりも弱い日射量で安定した場合には、これ以降の時間において太陽電池20の発電により押し上げ発電の状態になることはないと判断し、エアコン室外機11の直流電力による動作を許可するようにしてもよい。
【0096】
このような構成とすれば、太陽光発電による売電状態中に蓄電池21からエアコン室外機11に電力が供給されて、押し上げ発電となることはない。
【0097】
なお、家庭内での消費電力が少なくとも一定以上となることが確実に見込まれるのであれば、太陽電池パネル20の発電がこの一定の消費電力以上となる場合に、直流電力の供給を禁止するようにしてもよい。
【0098】
また、実際の太陽電池パネル20の発電量を監視して制御に利用するため、例えば雨天により日中に太陽電池パネル20での発電がなく又は著しく少なく、発電の変動や消費電力の変動があっても買電状態が維持されることが見込まれる場合に、エアコン室外機11の直流給電による動作を許可するようにしてもよい。パワーコンディショナ22は発電電力を監視する機能をそもそも有しており、新たな設備等を導入することなく制御方法を適切に定めることにより、これを実現することができる。
【0099】
今回開示された実施形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではなく、適宜組み合わせてもよく、変更してもよい。
【0100】
また、本実施形態では直流電源として蓄電池を用いて説明を行ったが、燃料電池等の他の直流電源を用いてもよい。
【0101】
さらに、本実施形態では蓄電池の直流電力と交流電力である系統電力網の電力とを切り替えて利用する機器の一例としてエアコン室外機を用いて説明を行ったが、冷蔵庫などの他の機器であってもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 エアコン室内機(エアコン)、11 エアコン室外機(エアコン)、20 太陽電池、21 蓄電池、22 パワーコンディショナ、23 電力モニタ、24 分電盤、25 系統電力網、30 HEMSコントローラ、31 ルータ、32 携帯端末、33 サーバ、40 インターネット、41 公衆電話回線網。
図1
図2
図3
図4
図5
図6