(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水素が重合反応器(A)に供給され、重合反応器(A)への水素の流量が調整され、水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持する、請求項1に記載の方法。
一つまたは複数のコモノマーが重合反応器(A)に供給され、重合反応器(A)へのコモノマーの流量が調整され、コモノマー/エチレン分圧比を目標コモノマー/エチレン分圧比に維持する、請求項1または2に記載の方法。
反応器蒸気セクションから回収された蒸気は、分析される前に10℃以下の温度に冷却することによってコンディショニング(conditioned)される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
冷却は、重合反応器(A)の上部に配置された熱交換器によって行われ、冷却途中に蒸気の部分凝縮によって得られた液体は、重力によって重合反応器(A)に戻る、請求項7に記載の方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、ポリエチレンを製造するためのエチレンのスラリー重合を制御するための方法を提供する。
【0008】
本開示は、ポリエチレンの製造のためのスラリー重合を制御する方法であって、ここで、前記ポリエチレンが、チーグラータイプ触媒、エチレン、及び水素、またはコモノマー(複数)として、一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンのうちのいずれかを60℃〜95℃の反応器温度及び0.15MPa〜3MPaの反応器圧力で接触させることによって、希釈剤を含む懸濁媒質中の粒状ポリエチレンの懸濁液をスラリーとして含む重合反応器内で形成され、 ここで、希釈剤、エチレン、チーグラータイプ触媒、及び水素、または一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンのうちのいずれかが重合反応器に供給され、スラリーが重合反応器から回収され、ここで、前記重合反応器は、スラリーを含む反応器スラリーセクション及びエチレン、希釈剤、及び水素、または一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンのうちのいずれかを含む蒸気を含む反応器蒸気セクションを有し、 前記方法は、 a)反応器蒸気セクションから蒸気を回収するステップと、 b)前記蒸気を分析してこの組成を決定ステップと、 c)重合反応器内の圧力に基づいて、このエチレンの分圧、水素対エチレンの分圧比、及び一つまたは複数のコモノマー対エチレンの分圧比に対する値を計算するステップと、 d)重合反応器へのエチレンの流量を一定のレベルに維持するステップと、 e)重合反応器へのチーグラータイプ触媒の流量を調整して前記エチレン分圧を目標エチレン分圧に維持するステップと、 f)重合反応器への水素の流量を調整して水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持するか、または 重合反応器への一つまたは複数のコモノマーの流量を調整してコモノマー/エチレン分圧比を目標コモノマー/エチレン分圧比に維持するか、または、 重合反応器への水素の流量を調整して水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持し、重合反応器への一つまたは複数のコモノマーの流量を調整してコモノマー/エチレン分圧比を目標コモノマー/エチレン分圧比に維持するステップと、を含む方法を提供する。
【0009】
一部の実施形態では、水素が重合反応器に供給され、重合反応器への水素の流量が調整され、水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持する。
【0010】
一部の実施形態では、一つまたは複数のコモノマーが重合反応器に供給され、重合反応器へのコモノマーの流量が調整され、コモノマー/エチレン分圧比を目標コモノマー/エチレン分圧比に維持する。
【0011】
一部の実施形態において、コモノマーは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはこの混合物からなる群から選択される。
【0012】
一部の実施形態において、前記方法は、更に、 g)重合反応器への希釈剤の流量を
一定(一定のレベル
)に維持するステップを含む。
【0013】
一部の実施形態において、希釈剤は、ヘキサンまたはイソブタンである。
【0014】
一部の実施形態において、反応器蒸気セクションから回収された蒸気は、分析される前に10℃以下の温度に冷却されることによってコンディション(conditioned)される。
【0015】
一部の実施形態において、冷却は、重合反応器の上部に配置された熱交換器によって行われ、冷却途中に蒸気の部分凝縮によって得られた液体は、重力によって重合反応器に戻る。
【0016】
一部の実施形態において、本開示は、第1の重合反応器及び一つまたは複数の後続重合反応器を有する直列の重合反応器内で行われるポリエチレンの製造のためのスラリー重合を制御する方法であって、 ここで、ポリエチレンが、チーグラータイプ触媒、エチレン、及び水素、またはコモノマー(複数)として、一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンのうちのいずれかを60℃〜95℃の反応器温度及び0.15MPa〜3MPaの反応器圧力で接触させることによって、希釈剤を含む懸濁媒質中の粒状ポリエチレンの懸濁液をスラリーとして含む重合反応器内で形成され、 ここで、チーグラータイプ触媒が第1の重合反応器に供給され、希釈剤、エチレン、及び水素、または一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンのうちのいずれかが各々の重合反応器に供給され、スラリーが各々の重合反応器から回収され、 ここで、重合反応器は、それぞれスラリーを含む反応器スラリーセクション及びエチレン、希釈剤、及び水素、または一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンのうちのいずれかを含む蒸気を含む反応器蒸気セクションを有し、 前記方法は、 a)第1の重合反応器の反応器蒸気セクションから蒸気を回収するステップと、 b)前記蒸気を分析してこの組成を決定するステップと、 c)第1の重合反応器内の圧力に基づいて、このエチレンの分圧、水素対エチレンの分圧比、及び一つまたは複数のコモノマー対エチレンの分圧比に対する値を計算するステップと、 d)第1の重合反応器へのエチレンの流量を一定のレベルに維持するステップと、 e)第1の重合反応器へのチーグラータイプ触媒の流量を調整してエチレン分圧を目標エチレン分圧に維持するステップと、 f)第1の重合反応器への水素の流量を調整して水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持するか、または、 第1の重合反応器への一つまたは複数のコモノマーの流量を調整してコモノマー/エチレン分圧比を目標コモノマー/エチレン分圧比に維持するか、または、 第1の重合反応器への水素の流量を調整して水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持し、第1の重合反応器への一つまたは複数のコモノマーの流量を調整してコモノマー/エチレン分圧比を目標コモノマー/エチレン分圧比に維持するステップと、 h)一つまたは複数の後続重合反応器の反応器蒸気セクションから蒸気を回収するステップと、 i)前記蒸気を分析してこの組成を決定するステップと、 j)後続重合反応器内の圧力に基づいて、このエチレンの分圧、水素対エチレンの分圧比、及び一つまたは複数のコモノマー対エチレンの分圧比に対する値を計算するステップと、 k)一つまたは複数の後続重合反応器へのエチレンの流量を一定のレベルに維持するステップと、 l)一つまたは複数の後続重合反応器への水素の流量を調整して水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持するか、または、 一つまたは複数の後続重合反応器への一つまたは複数のコモノマーの流量を調整してコモノマー/エチレン分圧比を目標コモノマー/エチレン分圧比に維持するか、または、 一つまたは複数の後続重合反応器への水素の流量を調整して水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持し、一つまたは複数の後続重合反応器への一つまたは複数のコモノマーの流量を調整してコモノマー/エチレン分圧比を目標コモノマー/エチレン分圧比に維持するステップと、を含む方法を提供する。
【0017】
一部の実施形態において、前記方法は、更に、 m)一つまたは複数の後続重合反応器への希釈剤の流量を一定のレベルに維持するステップを含む。
【0018】
一部の実施形態において、直列の重合反応器は、2つの重合反応器を有する。
【0019】
一部の実施形態において、直列の重合反応器は、3つの重合反応器を有する。
【0020】
一部の実施形態において、水素は、以前の重合反応器に供給され、以前の重合反応器から回収されたスラリーは、後続反応器に供給される前にフラッシング容器(flashing vessel)内でフラッシングステップを経り、後続重合反応器への水素の流量がフラッシング容器内の圧力を調整することによって調整され、水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持する。
【0021】
一部の実施形態において、本開示は、希釈剤、エチレン、チーグラータイプ触媒、及び水素、またはコモノマー(複数)として、一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンのうちのいずれかを含む懸濁媒質内で60℃〜95℃の反応器温度及び0.15MPa〜3MPaの反応器圧力で接触させることによって、スラリー重合でポリエチレンを製造する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願人は、エチレンスラリー重合工程のより効率的な制御は、重合反応器から蒸気サンプルを取り、前記サンプルを分析してこの組成の構成を決定した後、ガスサンプル分析に基づいて、チーグラータイプ触媒の供給量、及び水素及びコモノマーの供給量を調整し、エチレンの供給量を維持することによって重合反応器内の成分の組成を制御することから起因することができる。
【0024】
ポリエチレンを製造するための本開示の方法は、チーグラータイプ触媒、希釈剤、例えば、ヘキサンまたはイソブタン、及び選択的に水素の存在下のエチレン及び選択的に一つまたは複数のコモノマーのスラリー重合を含む。重合は、希釈剤、未反応エチレン及び選択的に一つまたは複数のコモノマーを含む懸濁媒質において粒状ポリエチレンの懸濁液中で進行する。本明細書に記載された方法によって得られるポリエチレン重合体は、エチレン単独重合体または40重量%、より好ましくは0.1〜10重量%のC
3−C
10−1−アルケン由来反復単位を含むエチレンの共重合体であり得る。好ましくは、コモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはこの混合物から選択される。スラリー重合は、60℃〜95℃、好ましくは65℃〜90℃、より好ましくは70℃〜85℃の反応器温度、及び0.15MPa〜3MPa、好ましくは0.2〜2MPa、より好ましくは0.25MPa〜1.5MPaの反応器圧力で行われる。
【0025】
好ましくは、重合方法によって製造されたポリエチレン重合体は、好ましくは、0.935g/cm
3〜0.970g/cm
3の範囲の密度を有する高密度ポリエチレン樹脂である。より好ましくは、密度は、0.940g/cm
3〜0.970g/cm
3の範囲である。最も好ましくは、密度は、0.945g/cm
3〜0.965g/cm
3の範囲である。密度は、所定の熱履歴(thermal history)で製造された2mm厚さの圧縮成形板でDIN EN ISO 1183−1:2004、方法A(浸漬)によって測定する:180℃、20MPaで8分間圧搾した後、30分間沸騰水の中で結晶化する。
【0026】
好ましくは、前記重合方法によって製造されたポリエチレン重合体は、1dg/min〜300dg/min、より好ましくは、1.5dg/min〜50dg/min、最も好ましくは、2dg/min〜35dg/minの溶融指数(MI
21.6)を有する。MI
21.6は、21.6kgの荷重下で190℃の温度で、DIN EN ISO 1133:2005、条件Gに応じて測定する。
【0027】
触媒 重合は、好ましくは、チーグラータイプ触媒、すなわち、チタンまたはバナジウムの化合物、マグネシウムの化合物、及び選択的に支持体として粒状無機酸化物を含む、時々チーグラーナッタ触媒とも呼ばれる、チーグラータイプの触媒を使用して行われる。
【0028】
チタン化合物は、好ましくは、チタンアルコキシハロゲン化合物または様々なチタン化合物の混合物と共に、3価または4価チタンのハライドまたはアルコキシドから選択される。好適なチタン化合物の例としては、TiBr
3、TiBr
4、TiCl
3、TiCl
4、Ti(OCH
3)Cl
3、Ti(OC
2H
5)Cl
3、Ti(O−i−C
3H
7)Cl
3、Ti(O−n−C
4H
9)Cl
3、Ti(OC
2H
5)Br
3、Ti(O−n−C
4H
9)Br
3、Ti(OCH
3)
2Cl
2、Ti(OC
2H
5)
2Cl
2、Ti(O−n−C
4H
9)
2Cl
2、Ti(OC
2H
5)
2Br
2、Ti(OCH
3)
3Cl、Ti(OC
2H
5)
3Cl、Ti(O−n−C
4H
9)
3Cl、Ti(OC
2H
5)
3Br、Ti(OCH
3)
4、Ti(OC
2H
5)
4またはTi(O−n−C
4H
9)
4である。ハロゲンとして塩素を含むチタン化合物を使用するのが好ましい。同様に、チタンの以外に単にハロゲンのみを含むチタンハライドが好ましく、そのうちから、特に塩化チタン、特に四塩化チタンが好ましい。バナジウム化合物の中には、バナジウムハライド、バナジウムオキシハライド、バナジウムアルコキシド及びバナジウムアセチルアセトネートが好ましい。酸化状態3〜5のバナジウム化合物が好ましい。
【0029】
固体成分の製造において、好ましくは、少なくとも一つのマグネシウム化合物が使用される。このようなタイプの好適な化合物は、ハロゲン含有マグネシウム化合物、例えば、マグネシウムハライド、特に、クロライドまたはブロマイド及び通常の方式、例えば、ハロゲン化剤との反応によって取得され得るマグネシウムハライド由来のマグネシウム化合物である。好ましくは、ハロゲンは、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素または2つ以上のハロゲンの混合物である。より好ましくは、ハロゲンは、塩素または臭素である。最も好ましくは、ハロゲンは、塩素である。
【0030】
可能なハロゲン含有マグネシウム化合物は、マグネシウムクロライドまたはマグネシウムブロマイドである。ハライドが取得され得るマグネシウム化合物は、例えば、マグネシウムアルキル、マグネシウムアリール、マグネシウムアルコキシ化合物またはマグネシウムアリールオキシ化合物またはグリニヤール化合物である。好適なハロゲン化剤は、例えば、ハロゲン、ハロゲン化水素、SiCl
4またはCCl
4である。好ましくは、塩素または塩化水素がハロゲン化剤である。
【0031】
マグネシウムの好適なハロゲン−無含有化合物の例は、ジエチルマグネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−sec−ブチルマグネシウム、ジ−tert−ブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、n−ブチルエチルマグネシウム、n−ブチル−sec−ブチルマグネシウム、n−ブチルオクチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジ−n−プロピルオキシマグネシウム、ジイソプロピルオキシマグネシウム、ジ−n−ブチルオキシマグネシウム、ジ−sec−ブチルオキシマグネシウム、ジ−tert−ブチルオキシマグネシウム、ジアミルオキシマグネシウム、n−ブチル−オキシエトキシマグネシウム、n−ブチルオキシ−sec−ブチルオキシマグネシウム、n−ブチルオキシオクチルオキシマグネシウム及びジフェノキシマグネシウムである。これらのうちから、n−ブチルエチルマグネシウムまたはn−ブチルオクチルマグネシウムを使用するのが好ましい。
【0032】
グリニヤール化合物の例としては、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムヨージド、n−プロピルマグネシウムクロライド、n−プロピルマグネシウムブロマイド、n−ブチルマグネシウムクロライド、n−ブチルマグネシウムブロマイド、sec−ブチルマグネシウムクロライド、sec−ブチルマグネシウムブロマイド、tert−ブチルマグネシウムクロライド、tert−ブチルマグネシウムブロマイド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチルマグネシウムクロライド、アミルマグネシウムクロライド、イソアミルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムクロライド及びフェニルマグネシウムブロマイドである。
【0033】
粒状固体を製造するためのマグネシウム化合物として、マグネシウムジクロライドまたはマグネシウムジブロマイドを除いて、ジ(C
1−C
10−アルキル)マグネシウム化合物を使用するのが好ましい。好ましくは、チーグラータイプ触媒は、チタン、ジルコニウム、バナジウム及びクロムから選択される遷移金属を含む。
【0034】
チーグラータイプの触媒は、好ましくは、混合タンク内で使用される希釈剤、例えば、ヘキサンと共に前記触媒を先に混合して、ポンピングに適したスラリーを形成してスラリー反応器内に添加される。好ましくは、容積型ポンプ、例えば、膜ポンプがスラリー重合反応器に触媒スラリーを移送するために使用される。
【0035】
共触媒 チーグラータイプの触媒は、一般的に、共触媒の存在下で重合のために使用される。従って、本開示のスラリー重合は、好ましくは、共触媒の存在下で行われる。好ましい共触媒は、元素の周期表の1、2、12、13または14族金属の有機金属化合物、特に13族金属の有機金属化合物、具体的に、有機アルミニウム化合物である。好ましい有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルキルから選択される。アルミニウムアルキルは、好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物から選択される。より好ましくは、アルミニウムアルキルは、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリ−エチルアルミニウム(TEAL)、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)、またはトリ−n−ヘキシルアルミニウム(TNHAL)から選択される。最も好ましくは、アルミニウムアルキルは、TEALである。共触媒(複数)は、好ましくは希釈剤と混和可能であり、これによって懸濁媒質中に含まれる。
【0036】
共触媒は、このようにスラリー反応器に添加され得る。好ましくは、共触媒は、混合タンク内で使用される希釈剤、例えば、ヘキサンまたはイソブタンと前記共触媒を先に混合して添加される。好ましくは、容積型ポンプ、例えば、膜ポンプがスラリー重合反応器に共触媒を移送するために使用される。
【0037】
ポリエチレンスラリ製造方法は、少なくとも一つの重合反応器内で行われる。これは、独立型重合反応器内の重合を含むことができるか、またはこれは、多重反応器システムの重合反応器内の重合を含むことができる。このような多重反応器システムは、並列にまたは直列に作動され得る。2つ、3つまたはその超過の重合反応器を並列に作動させることが可能である。好ましくは、多重反応器システムの重合反応器は、直列に作動される。すなわち、前記反応器は、カスケードに配置される。このような直列の重合反応器は、第1の重合反応器及び1つ、2つまたはその超過の後続重合反応器を有する。より好ましくは、ポリエチレンスラリ製造方法は、3つの重合反応器内で行われる。
【0038】
スラリー重合は、一般的に、共触媒と組み合わせされた、チーグラータイプ触媒、エチレン、及び水素、またはコモノマー(複数)として、一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンのうちのいずれかを接触させることによって重合反応器内で起こる。ポリエチレンは、重合反応の結果として、触媒粒子の周辺に形成され、触媒は、重合体その自体の一部となる。結果的なスラリーは、液体懸濁媒質中の粒状ポリエチレンの懸濁液である。
【0039】
直列に作動される場合、希釈剤、触媒システム、すなわち、チーグラータイプ触媒及び一般的に、共触媒、エチレン、及び水素、または一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンのうちのいずれかが、第1の重合反応器に供給される。触媒は、スラリーが第1の重合反応器から回収され、直列の重合反応器の後続反応器に供給されるとき、ポリエチレン粒子内から活性状態で残留する。後続重合反応器に供給されるスラリーは、粒状ポリエチレンだけでなく、希釈剤、未反応エチレン、及び供給された場合、未反応コモノマー(複数)及び水素を含む。追加的な触媒及び共触媒が、一般的に、後続反応器または後続反応器などに供給されない。その代わりに、以前の反応器内で使用された触媒及び共触媒が、後続反応器にスラリーと共に流れる。このような順序は、使用する反応器の全体個数まで繰り返され得る。直列の最終重合反応器の場合、生成されたスラリーが分離システムに供給され、ここで液体が重合体から分離される。主に希釈剤から構成された前記液体は、反応器に逆にリサイクルされる。次いで、重合体は、乾燥され、添加剤と混合した後、コンパウンドされる。コモノマー(複数)は、すべての重合反応器に供給されるか、いかなる重合反応器にも供給されないか、または、任意の組み合わせの一部の重合反応器に供給され得る。好ましくは、コモノマーは、第1の重合反応器に供給されず、エチレン単独重合体が生成される。好ましくは、エチレンと共にコモノマー(複数)が後続重合反応器に供給される。各々の重合反応器内で生成されるエチレン重合体のタイプを変化させることによって、最終重合体の広範囲な特性が得られることができる。
【0040】
並列モードで作動される場合、触媒、一般的に、共触媒、希釈剤、及び水素、または一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンのうちのいずれかが、各々の重合反応器に供給される。結果的な生成物スラリーは、分離装置に供給され、ここで、液体は、重合体から分離される。主に希釈剤から構成された前記液体は、重合反応器に逆にリサイクルされる。次いで、ポリエチレンは、乾燥され、添加剤と混合した後、コンパウンドされる。
【0041】
重合反応器は、円筒状壁、底部及び頂部の反応器ヘッド、及び内部反応器体積の内容物を混合するための攪拌器を含む。作動途中、反応器は、また、反応器スラリーセクション及び反応器蒸気セクションを含む。反応器スラリーセクションは、懸濁媒質中の粒状ポリエチレンの懸濁液を含み、反応器の底部ヘッドから反応器のスラリーのレベルまで延びている反応器の体積である。反応器蒸気セクションは、前記反応器内の液体レベルから頂部ヘッドまで延びている反応器の部分である。反応器蒸気セクション内の蒸気は、作動する温度及び圧力で反応器スラリーセクション内の懸濁媒質と実質的に平衡状態である。
【0042】
本開示による制御方法は、チーグラータイプ触媒が供給される重合反応器に反応器蒸気セクションを有する、スラリー内でポリエチレンを製造するための任意の重合反応器内で行われることができる。このような重合反応器は、独立型重合反応器であり得るか;このような重合反応器は、並列に作動される多重反応器システムのすべての反応器であり得るか;または、このような重合反応器は、直列に作動される多重反応器システムの第1の反応器であり得る。直列に多重反応器システムを作動させる場合、本開示による制御方法は、新しいチーグラータイプ触媒が供給されないが、ただ依然として、活性である触媒を含むポリエチレン粒子を有するスラリーのみが供給される後続重合反応器内においても、また重合を追加的に制御するステップを更に含むことができる。
【0043】
反応器制御 スラリーの組成の直接的な決定は、この多重相組成によって非常に難しい。しかし、反応器蒸気内の成分の濃度を測定することによって、懸濁媒質内の成分の濃度を推定することが可能である。従って、本開示の方法は、ステップa)として、蒸気を反応器蒸気セクションから回収することを含む。それ故に、反応器蒸気サンプルを取るためのサンプルポイントは、反応器または反応器ヘッド上に提供される。
【0044】
ステップb)において、蒸気は、この組成を測定するために分析される。それ故に、反応器蒸気サンプルは、反応器から蒸気成分の測定のための分析器に送られる。蒸気の組成は、周知方法によって測定され得る。1回の測定で組成を決定することが可能である。むしろ、他の方法などによって、好ましくは、他の測定などが蒸気の異なる成分などを調査するために行われる。
【0045】
蒸気の決定された組成及び重合反応器内の圧力に基づいて、エチレンの分圧、水素対エチレンの分圧比、及び一つまたは複数のコモノマー対エチレンの分圧比に対する値が、ステップc)で計算される。
【0046】
本開示の実施形態によって、反応器蒸気セクションから回収された蒸気は、分析される前に10℃以下の温度、より好ましくは、0℃〜10℃の範囲の温度に先に冷却されることによってコンディショニングされる。反応器蒸気を10℃以下の温度に冷却させることによって、主にヘキサンのような希釈剤である、蒸気の一部が凝縮し、蒸気の分析がより低くなった含量の希釈剤を有する冷却された蒸気上で行われることができる。従って、誤った結果を引き起こすことができる、分析器に対するライン上の希釈剤の凝縮を避け、蒸気の分析が常に同一の条件下で、すなわち、同一の温度で行われる。典型的に、反応器蒸気セクションから回収された蒸気内の希釈剤の量は、反応器蒸気サンプルの重量に対して、冷却前50重量%〜80重量%である。制御された反応器蒸気内の希釈剤の量は、反応器蒸気サンプルの重量に対して、好ましくは0重量%〜10重量%、より好ましくは5重量%〜10重量%である。
【0047】
好ましくは、反応器蒸気の冷却は、これが回収された重合反応器の近傍で行われ、このようにして、蒸気の凝縮された成分などが重合反応器に戻すことができる。従って、好ましい実施形態において、冷却は、重合反応器の上部に配置された熱交換器によって起こり、冷却途中に蒸気の部分的な凝縮によって得られた液体は、重力によって重合反応器に戻る。熱交換器は、好ましくは、冷たいヘキサンを使用して冷却される。
【0048】
本開示による制御方法は、ステップd)として、重合反応器へのエチレンの流量を一定のレベルに維持するように構成される。重合反応器へのエチレン流量は、一定であるように標的化されるか;個々の重合反応器への時間当たりに供給されるエチレンの量は、異なるポリエチレングレードを生成する異なるスラリー重合に対して異なり得るか、または個々の重合反応器へのエチレンの流量がこのような重合反応器に対する生産速度を決定するので、同一のポリエチレングレードを生成するこれらの異なる重合が目標生産速度が異なる場合、同一のポリエチレングレードを生成する異なる重合に対しても異なり得る。重合反応器へのエチレン供給量は、このような反応器におけるポリエチレン生産速度に相応する。
【0049】
チーグラータイプ触媒が供給されるエチレンスラリー重合反応器において、制御された反応器蒸気内のエチレン分圧の測定は、触媒注入速度を調整するために使用される。触媒注入速度が増加するのに応じて、相応するエチレン重合速度の増加と共に、エチレン濃度の関連した減少及びこれによるエチレン分圧の減少がある。その反対は、触媒注入速度が減少された場合に発生する。従って、ステップe)において、重合反応器へのチーグラータイプ触媒の流量は、エチレン分圧を目標エチレン分圧に維持するために調整される。
【0050】
特定の用途の要求に対して生成されるポリエチレンの特性を変更させるために、一般的に、水素、またはコモノマー(複数)として、一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィン、または水素及び一つまたは複数のC
3〜C
10アルファ−オレフィンの両方が重合反応器に供給される。目標特性の組み合わせが維持されることを確保するために、水素/エチレン分圧比及びコモノマー/エチレン分圧比の制御が要求される。結果的に、本開示の方法は、ステップf)として、重合反応器への水素の流量を調整して水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持するか;または重合反応器への一つまたは複数のコモノマーの流量を調整してコモノマー/エチレン分圧比を目標コモノマー/エチレン分圧比に維持するか;または重合反応器への水素の流量及び一つまたは複数のコモノマーの流量の両方を調整して水素/エチレン分圧比を目標水素/エチレン分圧比に維持し、コモノマー/エチレン分圧比を目標コモノマー/エチレン分圧比に維持することを含む。
【0051】
本開示の好ましい実施形態におおいて、前記方法は、ステップg)として、重合反応器への希釈剤の流量を一定のレベルに維持することを含む。
【0052】
好ましくは、本開示の方法は、直列に行われる。すなわち、本開示の方法は、重合反応器のカスケードにおいて、新しいチーグラータイプ触媒が供給されない後続重合反応器で、また、重合を追加的に制御するために、ステップh)〜l)をさらに含む。これらの追加的なステップなどは、一部またはすべての後続重合反応器で行われることができる。好ましいこれらの追加的なステップなどh)〜l)は、すべての後続重合反応器で行われる。後続重合反応器内で重合を制御する方法は、チーグラータイプ触媒が供給される後続重合反応器内で重合を制御する方法と類似するが、重合反応器へのチーグラータイプ触媒の流量が調整されるステップを含まない。従って、ステップh)、i)及びj)は、ステップa)、b)及びc)と同一であり;ステップk)は、ステップd)と同一であり;ステップl)は、ステップf)と同一である。
【0053】
制御された反応器蒸気内のコモノマー及びエチレン分圧の測定、及びコモノマー/エチレンの比の相応する計算は、各々の反応器へのコモノマー供給量を調整するために使用される。生成された重合体内のコモノマーの量は、この特性に影響を与えるので、特定のコモノマー/エチレンの比を標的化することが特定の特性を有するポリエチレンを生成するようにするだろう。このような方式で、コモノマー/エチレンの比を標的化することによって、例えば、目標ポリエチレン生産速度の変化の結果として、エチレン流量が変化するのに応じて、コモノマー流量がまた自動的に変化するだろう。
【0054】
好ましいポリエチレン生成物が異なるコモノマー含量を有するエチレン重合体成分などの組み合わせを必要とするようになることが可能である。これは、異なる重合反応器内での重合などが異なる目標コモノマー/エチレンの比で行われることを要求する。また、重合体成分などの所望の組み合わせがコモノマーを全く有しないエチレン重合体成分(複数)を必要とし得ることが可能である。このような場合に、各々の重合反応器内の目標コモノマー/エチレンの比がゼロであるだろう。好ましくは、コモノマーが第1の反応器に供給されないので、エチレン単独重合体が生成されながら、コモノマーが後続反応器に供給されてエチレンコモノマーを生成する。
【0055】
反応器蒸気内の水素及びエチレン分圧の測定、及び水素/エチレンの比の相応する計算が、各々の反応器への水素供給量を調整するために使用される。反応器内の水素のレベルは、結局、分子量を決定する、発生する水素送達反応の量、溶融指数、及び生成されるエチレン重合体の分子量分布に影響を与える。このような方式で、水素/エチレンの比を標的化することによって、エチレン流量が変化するのに応じて、水素流量がまた自動的に変化するだろう。
【0056】
第1の反応器において、水素流れ上の制御弁が目標水素/エチレンの比を維持するために調整される。後続反応器において、前記の比は、以前の重合反応器から回収されたスラリーを後続反応器に供給される前に、フラッシュドラムのようなフラッシング容器内でフラッシングステップを経るようにし、フラッシング容器内の圧力を制御するフラッシング容器上の弁の位置(position)を調整することによってまた維持することができる。このような弁は、本質的に、以前の重合反応器から後続重合反応器に送達される水素の量を調節する。両方の制御弁が水素/エチレンの比を調節するために使用される場合、フラッシング容器上の弁が制御ループ内の衝突を防止するために閉鎖されながら、水素流れ上の制御弁は、開放に設定され得る。
【0057】
本開示の好ましい実施形態において、前記方法は、ステップm)として、重合反応器への希釈剤の流量を一定のレベルに維持することを含む。
【0058】
以下、
図1a及び
図1bを参照して、エチレンスラリー重合反応器が直列及び並列に作動されるエチレンスラリー重合方法を説明する。
図1aは、反応器が直列に、すなわち、カスケードで作動されるエチレンスラリー重合方法を説明する。単量体、すなわち、エチレン、及びコモノマー、希釈剤、触媒及び水素がスラリー重合反応器100に供給される。反応器100からの生成物は、ライン106を介してフラッシュドラム103に流れる。ガスは、ライン108を介してフラッシュドラム103の外に流れる。スラリーは、フラッシュドラム103からライン107を介して反応器101に流れる。追加的な単量体、すなわち、エチレン、または好ましくは、エチレン及びコモノマー、及び水素が反応器101に供給される。反応器101からの生成物は、ライン109を介してフラッシュドラム104に流れる。ガスは、ライン111を介してフラッシュドラム104の外に流れる。スラリーは、フラッシュドラム104からライン110を介して反応器102に流れる。追加的な単量体、すなわち、エチレン、または好ましくは、エチレン及びコモノマー、及び水素が反応器102に供給される。反応器102からの生成物は、ライン112を介してフラッシュドラム105に流れる。ガスは、ライン113を介してフラッシュドラム105の外に流れる。スラリーは、フラッシュドラム105からライン114を介して分離システム115に流れ、ここで、希釈剤ストリーム116を重合体ストリーム117から分離する。希釈剤ストリーム116は、好ましくは、反応器に直ちにリサイクルされるか、またはワックス及び低沸点の不純物を除去するために加工された後、リサイクルされる。重合体ストリーム117は、一般的に、更に乾燥された後、添加剤とコンパウンドされる。
【0059】
図1bは、反応器が並列に作動されるエチレンスラリー重合方法を説明する。水素、単量体、すなわち、エチレン及びコモノマー、希釈剤及び触媒がスラリー重合反応器200、201及び202に個別的に供給される。反応器200、201及び202からの生成物は、それぞれライン206、209、及び212を介して反応器を出て、フラッシュドラム203、204及び205に送られる。ガスは、ライン208、211及び213を介してフラッシュドラム203、204及び205の外に流れる。スラリーは、それぞれライン207、210、及び214を介してフラッシュドラム203、204及び205を出て、分離システム215に送られ、ここで、希釈剤ストリーム216を重合体ストリーム217から分離する。希釈剤ストリーム216は、反応器に直ちにリサイクルされるか、またはワックス及び低沸点の不純物を除去するために加工された後、リサイクルされる。重合体ストリーム217は、更に乾燥された後、添加剤とコンパウンドされる。
【0060】
以下では、
図2を参照して、直列(カスケード)に作動されるエチレンスラリー重合反応器300A、300B、及び300C)に対する制御スキームを説明する。各々の反応器300A、300B、及び300Cは、反応器スラリーセクション301A、301B、及び301C、及び反応器蒸気セクション302A、302B、及び302Cを有する。
図2の目的のために、他に記載されない限り、同一の3桁の数字に付した接尾辞“A”、“B”、及び“C”は、異なる反応器と関連した同一の構成要素を指す。
【0061】
スラリーは、ライン303A、303B、及び303Cを介して反応器300A、300B、及び300Cを出て、フラッシュドラム304A、304B、及び304Cに流れる。蒸気は、ライン305A、305B、及び305Cを介してフラッシュドラム304A、304B、及び304Cを出る。フラッシングドラム304Aからのスラリーは、ライン306Aを介して反応器300Bに流れる。フラッシュドラム304Bからのスラリーは、ライン306Bを介して反応器300Cに流れる。フラッシュドラム304Cからのスラリーは、ライン306Cを介して追加的な処理のために送られ、液体懸濁媒質を重合体粒子から分離する。
【0062】
反応器300A、300B、及び300C内のスラリー重合のためのチーグラータイプ触媒が、ライン307、触媒ポンプ308及びライン309を介して反応器300Aに送達される。反応器300B及び300C内における重合は、反応器300Aから反応器300Bに、次いで、反応器300Bから反応器300Cに、主に、ポリエチレン粒子内に含まれたスラリーと共に送達された触媒によって起こる。追加的な触媒が、反応器300B及び300Cに供給されない。
【0063】
エチレン供給制御 エチレン供給制御は、エチレンスラリー重合反応器への一定のエチレン流量を標的化することで構成されるが;個々の重合反応器に時間当たりに供給されるエチレンの量は、異なるポリエチレングレードを生成する異なるスラリー重合のために異なり得るか、または個々の重合反応器へのエチレンの流量がこのような重合反応器に対する生産速度を決定するので、同一のポリエチレングレードを生成するこれらの異なる重合が目標生産速度が異なる場合、同一のポリエチレングレードを生成する異なる重合に対しても異なり得る。
【0064】
反応器300A、300B、及び300Cのためのエチレンは、ライン311A、311B、及び311Cを介して制御弁312A、312B、及び312Cに送達される。流量計313A、313B、及び313Cは、ライン314A、314B、及び314C内のエチレンの流量を表す流れシグナル401A、401B、及び401Cを生成する。流れコントローラ402A、402B、及び402Cが流れシグナル401A、401B、及び401Cと、ライン314A、314B、及び314Cの内で流れるエチレンに対する所望の流量を表す設定点(SP)を受ける。流れコントローラ402A、402B、及び402Cは、シグナル401A、401B、及び401Cとそれぞれのエチレン流れに対する設定点との間の差に反応を示す出力シグナル403A、403B、及び403Cを提供する。制御弁312A、312B、及び312Cがシグナル403A、403B、及び403Cに対する反応に操作され、ライン314A、314B、及び314C内のエチレン流れをエチレンに対する所望の流量に調整する。
【0065】
当業者は、コントローラが任意の周知の使用されるアルゴリズム、例えば、比例、比例−積分、比例−微分、または比例−積分−微分を使用することができるという点を理解するだろう。
【0066】
スラリー重合を制御するために、反応器蒸気は、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302Cから回収され、ライン315A、315B、及び315Cを介して熱交換器316A、316B、及び316Cに供給され、ここで、反応器蒸気が冷たいヘキサンを使用して3℃〜10℃の温度に冷却されることによって制御される。主に希釈剤である反応器蒸気の一部が凝縮し、得られた液体がライン315A、315B、及び315Cを介して反応器内に戻される。次いで、制御された反応器蒸気は、ライン317A、317B、及び317Cを介して制御された反応器蒸気の組成を測定し、蒸気組成を表すシグナル404A、404B、及び404Cを計算機400A、400B、及び400Cに送達するように改造された、分析変換器318A、318B、及び318Cに供給される。計算機400A、400B、及び400Cは、シグナル404A、404B、及び404Cに基づいて、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内の水素とエチレン、及びコモノマーとエチレンの分圧比を計算する。反応器300A、300B、及び300C内の絶対圧力に関する情報が提供された場合(反応器300B、及び300Cについては図示せず)、計算機400A、400B、及び400Cが反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内のエチレン、水素及びコモノマーの絶対分圧を計算することがまた可能である。
【0067】
触媒供給制御 反応器300Aへの触媒供給は、触媒ポンプ308のポンピング速度を調整することによって、反応器蒸気セクション302A内のエチレン分圧を目標レベルに維持するように構成される。圧力変換器319は、反応器300Aの圧力を表す圧力シグナル405を生成する。計算機400Aは、シグナル405及び制御された反応器蒸気の組成を表すシグナル404Aを受け、反応器蒸気セクション302A内のエチレン分圧を表すシグナル406を生成し、これによって反応器300A内のスラリー中のエチレン濃度を生成する。コントローラ407は、反応器蒸気セクション302A内の所望のエチレン分圧を表す設定点(SP)と共にシグナル406を受ける。コントローラ407は、シグナル406とエチレン分圧に対する設定点との間の差に反応を示す出力シグナル408を提供する。触媒ポンプ308のポンプ速度は、シグナル408に対する反応に制御され、ライン309を介した触媒流れを制御して、反応器蒸気セクション302A内の目標エチレン分圧が維持されることが達成される。
【0068】
コモノマー供給制御 コモノマー供給制御は、反応器へのコモノマー流量を調整することによって、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内のコモノマー/エチレン分圧比を標的化することによって構成される。反応器300A、300B、及び300Cのためのコモノマーは、ライン320A、320B、及び320Cを介して制御弁321A、321B、及び321Cに送達される。コモノマーが反応器300Aに供給された場合、反応器300Aから反応器300Bに送達されたスラリーによって反応器300Bにより少量のコモノマーが更に送達され、コモノマーが反応器300Bに供給された場合、反応器300Bから反応器300Cに送達されたスラリーによって反応器300Cにより少量のコモノマーが更に送達される。
【0069】
計算機400A、400B、及び400Cは、制御された反応器蒸気の組成を表すシグナル404A、404B、及び404Cを受け、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内のコモノマー/エチレン分圧比を表すシグナル409A、409B、及び409Cを生成する。コントローラ410A、410B、及び410Cは、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内の所望のコモノマー/エチレン分圧比を表す設定点(SP)と共にシグナル409A、409B、及び409Cを受ける。コントローラ410A、410B、及び410Cは、シグナル409A、409B、及び409Cとコモノマー/エチレン分圧比に対する設定点との間の差に反応を示す出力シグナル411A、411B、及び411Cを提供する。制御弁321A、321B、及び321Cがライン322A、322B、及び322C内のコモノマー流れを調整するために、シグナル411A、411B、及び411Cに対する反応に操作され、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内の目標コモノマー/エチレン分圧比が維持されることが達成される。
【0070】
水素供給制御 水素供給制御は、反応器への水素流量を調整することにより、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内の水素/エチレン分圧比を標的化することによって構成される。反応器300A、300B、及び300Cのための水素は、ライン323A、323B、及び323Cを介して制御弁324A、324B、及び324Cに送達される。水素が反応器300Aに供給された場合、反応器300Aから反応器300Bに送達されたスラリーによって反応器300Bに水素コモノマーの量が更に送達され、水素が反応器300Bに供給された場合、反応器300Bから反応器300Cに送達されたスラリーによって反応器300Cに水素コモノマーの量が更に送達される。
【0071】
計算機400A、400B、及び400Cは、制御された反応器蒸気の組成を表すシグナル404A、404B、及び404Cを受け、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内の水素/エチレン分圧比を表すシグナル412A、412B、及び412Cを生成する。コントローラ413A、413B、及び413Cは、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内の所望の水素/エチレン分圧比を表す設定点(SP)と共にシグナル412A、412B、及び412Cを受ける。コントローラ413A、413B、及び413Cは、シグナル412A、412B、及び412Cと水素/エチレン分圧比に対する設定点との間の差に反応を示す出力シグナル414A、414B、及び414Cを提供する。制御弁324A、324B、及び324Cがライン325A、325B、及び325C内の水素流れを調整するために、シグナル414A、414B、及び414Cに対する反応に操作され、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内の目標水素/エチレン分圧比が維持されることが達成される。
【0072】
以前の反応器300A及び300Bよりも水素のさらに低い分圧を有する反応器300B及び300C内で重合する場合、反応器300B及び300C内の目標水素/エチレン分圧比を維持するために要求されるよりもさらに多い水素が反応器300A及び300Bからのスラリーの送達によって反応器300B及び300Cに送達されることができるという点が発見され得る。このような重合の場合、水素がライン323B及び323Cを介して送達されないか、ほとんど送達されず、反応器300B及び300Cへの水素流れが反応器300B及び300Cに送達されるスラリーから水素を除去することによって調整される。ライン306A及び306Bを介するスラリー送達によって反応器300B及び300Cに供給される水素の量はより少なくなり、より多いガスがライン305A及び305Bを介してフラッシュドラム304A及び304B内のスラリーから回収される。これは、フラッシュドラム304A及び304B内の圧力がより低くなることを意味する。フラッシングドラム304A及び304B内の圧力、及び結果的に、また回収された水素の量は、制御弁326A及び326Bによって制御されてライン327A及び327Bを介するガス流れを調整することができる。
【0073】
従って、コントローラ413B及び413Cは、シグナル412B及び412Cと水素/エチレン分圧比に対する設定点との間の差にまた反応を示す追加的な出力シグナル415B及び415Cを提供する。制御弁326A及び326Bは、シグナル415B及び415Cに対する反応に操作されてライン327A及び327B内のガス流れを調整し、反応器蒸気セクション302A、302B、及び302C内の目標水素/エチレン分圧比が維持されることを達成する。制御弁326A及び326B及び324B及び324Cの細密な配置は、すなわち、すべての水素が反応器300Aから反応器300Bに、または反応器300Bから反応器300Cへの送達によって送達される場合、制御弁324B及び324Cが閉鎖されながら、制御弁326A及び326Bが開放されるようにする。
【0074】
本開示の制御方法は、一つのコモノマーを使用するスラリー重合を介して
図2で説明される。しかし、このようなスキームがコモノマーとしてアルファオレフィンの混合物を供給しながら類似に可能であるか、またはこれが2つまたはその超過のコモノマーの存在下で重合するための追加的な制御ステップと共に一つまたは複数の追加的な供給単位を行うことが可能であるという点が当業者に明らかである。類似に、たとえ図面の理解力を向上させるために、これが
図2に示されていなくても、
図2に示されたエチレンスラリー重合がすべての重合反応器への希釈剤の供給及び共触媒の供給を更に含み、これを越えて反応器への静電気防止剤のような添加剤の供給をまた含むことができるという点が当業者に明らかである。
【0075】
また、本明細書に開示された主題の他の特徴、利点及び実施形態は、以前の開示内容を読んだ後に、当業者に容易に明らかになるだろう。このような点から、本発明の主題の具体的な実施形態がかなり詳細に記載されているといっても、これらの実施形態の変形及び変更は、前記記載されて特許請求された本発明の主題の精神及び範囲を逸脱せずに実施され得る。