特許第6762371号(P6762371)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コリア インスティテュート オブ オリエンタル メディシンの特許一覧

特許6762371益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防、改善または治療のための組成物
<>
  • 特許6762371-益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防、改善または治療のための組成物 図000002
  • 特許6762371-益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防、改善または治療のための組成物 図000003
  • 特許6762371-益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防、改善または治療のための組成物 図000004
  • 特許6762371-益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防、改善または治療のための組成物 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762371
(24)【登録日】2020年9月10日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防、改善または治療のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20200917BHJP
   A61K 36/9062 20060101ALI20200917BHJP
   A61K 31/216 20060101ALI20200917BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20200917BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20200917BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20200917BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20200917BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20200917BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   A23L33/105
   A61K36/9062
   A61K31/216
   A61K45/00
   A61P19/06
   A61P19/02
   A61P13/12
   A61P3/00
   A61P43/00 121
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-552790(P2018-552790)
(86)(22)【出願日】2017年4月7日
(65)【公表番号】特表2019-513382(P2019-513382A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】KR2017003808
(87)【国際公開番号】WO2017176082
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2018年11月7日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0043548
(32)【優先日】2016年4月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507367677
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ オリエンタル メディシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン−ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,オン スン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヨン ミ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヨン−シル
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ウン チョン
【審査官】 松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103518915(CN,A)
【文献】 特開2009−263232(JP,A)
【文献】 特開平04−041435(JP,A)
【文献】 特開2014−205700(JP,A)
【文献】 特表2010−506936(JP,A)
【文献】 特開2007−039466(JP,A)
【文献】 J.Nat.Prod.,2002年,Vol.65,p.1468-1474
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/105
A61K 31/216
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
益智エタノール抽出物を有効成分として含む、高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または改善のための健康機能食品。
【請求項2】
前記高尿酸血症関連の代謝障害は、急性または慢性痛風、痛風性発赤、痛風性関節炎、痛風性腎結石症及び痛風性腎臓病から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または改善のための健康機能食品。
【請求項3】
益智エタノール抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または治療のための薬学組成物。
【請求項4】
前記高尿酸血症関連の代謝障害は、急性または慢性痛風、痛風性発赤、痛風性関節炎、痛風性腎結石症及び痛風性腎臓病から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項に記載の高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または治療のための薬学組成物。
【請求項5】
前記有効成分以外に尿酸塩低下剤をさらに含む請求項に記載の高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または治療のための薬学組成物。
【請求項6】
前記尿酸塩低下剤は、キサンチンオキシダーゼ抑制剤、尿酸排泄促進剤、尿酸塩オキシダーゼ、尿アルカリ化剤及びフェノフィブラートから選択された一つ以上であることを特徴とする請求項に記載の高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または治療のための薬学組成物。
【請求項7】
前記益智エタノール抽出物以外に運搬体、賦形剤または希釈剤をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または治療のための薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防、改善または治療のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高尿酸血症は、男性において6.8〜7.0mg/dL超過または女性において6mg/dL超過の血中尿酸値によって定義される。高尿酸血症及び高尿酸血症関連の代謝障害(例えば、痛風)は、アメリカで3百万人ないし5百万人に発生する。アメリカの中でもアフリカ系アメリカ人は痛風になる可能性が白人より2倍も高い。また、痛風及び高尿酸血症は中国、日本、ポリネシア及びサハラ以南アフリカで蔓延しており、1990年と2010年との間に痛風の発生率が約2倍になり、韓国内の痛風患者数は年平均約14%ずつ増加しつつある。
【0003】
高尿酸血症関連の代謝障害には、痛風だけではなく尿酸結晶、関節内尿酸塩結晶の沈着、腎疾患部内の尿酸塩結晶の沈着による急性、単一関節性、炎症性関節炎の痛症発作、尿路結石症、腎結石症及び痛風性腎臓病が含まれる。長期的な腎結石症及び痛風性腎臓病は腎臓損傷及び腎不全の危険を増大させるものとして公知されている。高尿酸血症関連の代謝障害のうち痛風は、血液内に尿酸(食べ物を通じて取られるプリンという物質を人体が代謝した後で残った産物)の濃度が高くなりつつ尿酸塩(尿酸が血液、体液、関節液内では尿酸塩の形態で存在する)結晶が関節の軟骨、筋、周りの組織に沈着する病気である。このような現象は関節の炎症を誘発して激しい痛症を伴う再発性発作を起こし、尿酸塩結晶による痛風結節が沈着しつつ関節の変形及び不具が発生する。関節の異常以外にも多様な腎臓疾患を誘発し、尿酸によって腎臓に石が生じる腎石症(nephroolithiaisis)が現れることもある。
【0004】
また、痛風は無症状高尿酸血症、急性痛風性関節炎、間歇期痛風、慢性結節性痛風などの段階を経て現われる。初期に現われる無症状高尿酸血症は、血清尿酸の濃度は増加しているが、関節炎症状、痛風結節、尿酸腎石症などの症状はまだ現われていない状態である。急性痛風性関節炎は最小限20年の間に持続する高尿酸血症を経た後で痛風発作が現われるかまたは腎石症が発生する段階であり、最も特徴的な症状は非常に苦しい関節炎の急性発作であって、初期には一つの関節を侵犯して全身症状はない方であるが、次第にいろいろな関節を侵犯して熱を伴うようになる。間歇期痛風は、痛風発作の間の症状がない期間をいい、ほとんどの場合に最初の発作以後に6か月から2年の間に2番目の発作を経験し、治療によって異なるが、徐々に頻度が増加していろいろな関節を侵犯する。慢性結節性痛風は、痛風のない間歇期を経て慢性結節性痛風の時期になれば、他の種類の関節炎と類似した症状を示す。侵犯部位の関節に漸進的な硬直及び継続的な痛みが発生する。
【0005】
痛風は、その治療法が明確で成功的に治り得る病気として知られているが、高血圧、慢性腎不全などの他の病気を伴う場合が多くて薬剤の副作用を丁寧に考慮せねばならず、非薬物的治療として生活習慣を変化させる患者の努力が、長期治療において予後を良くするのに必須である。痛風及び高尿酸血症は、高血圧、高脂血症、血糖増加、腹部肥満などの臨床様相を示して動脈硬化性心疾患及び第2型糖尿病などの成人病の危険度増大をもたらす複合的な病症であるメタボリック・シンドロームの診断基準には入らないが、メタボリック・シンドロームとは密接な関係があると思われる。韓国内では痛風患者の44%がメタボリック・シンドロームを伴うと報告された。痛風は大体急性単関節炎の形態で現われるが、少数の関節またはまれに多関節を侵犯することもある。急性痛風の治療に使われている非ステロイド性抗炎剤(non−steroidal anti−inflammatory drugs;NSAIDs)は炎症反応を抑制するものとしてよく知られており、白血球の活性及び移動を抑制して抗炎症作用を示すコルヒチンとステロイドとはいずれも痛風発作を効果的に治療できる薬剤であり、選択的シクロオキシゲナーゼ(COX−2)抑制剤も既存の非ステロイド性抗炎剤と同じ効果があると知られている。
【0006】
また、血中尿酸濃度を飽和状態以下に長期間維持すれば、急性痛風性関節炎の予防だけではなく既に生じている痛風結節のサイズを低減できる。痛風慢性期には血中の尿酸濃度を低める治療を行うが、尿酸低下剤は、機序によってキサンチン酸化還元酵素(xanthine oxidase;XO)阻害剤と尿酸排泄薬とに大別されるが、尿酸合成抑制剤には伝統的に広く使われてきたアロプリノールと最近新薬として開発されたフェブキソスタットとがある。アロプリノールはXO抑制剤として高尿酸血症の原因にかかわらず効果的に使える薬物であるが、アロプリノールの最も深刻な副作用は過敏症症候群であって、発熱、発熱、紅斑、好酸球の増加、肝炎、腎不全などを示し、死亡に至る可能性があると知られている。フェブキソスタットもキサンチン酸化還元酵素抑制剤ではあるが、アロプリノールとは異なって非プリン型選択的遮断剤であり、主に肝臓で代謝されてグルクロン酸抱合物を形成する。ほとんどの痛風は慢性的に進行し、この時には症状がないとしても予防的に抗炎症製剤で尿酸濃度を低める治療を行う。このような予防治療は病気が治まった状態で一定期間維持された後で使わねばならず、そうでない場合に痛風がさらに激しく再発する。しかし、適当な病気の治まり期間については論争の余地が多く、またこのような予防治療も間歇的に再発する痛風の急性的な発病を抑制するには、現在開発されている薬剤では難しい実情であり、天然物を用いた痛風誘発酵素である酸化酵素に対する阻害技術はまだまだ十分でない実情である。
【0007】
一方、益智(Alpiniae Fructus)はショウガ科(Zingiberaceae)の実であり、中国広東省及び海南島で自生する。益智の性相は両端のちょっと尖った球形または卵円形をして長さ1〜2cm、直径7〜10mmになっている。外面は茶色ないし暗褐色で複数の縦に連結された小さな小節の形の突き出ているひもがある。果皮の厚さは0.3〜0.5mmであり、種の固まりと密着していて剥きにくい。内側は薄膜であって縦に3つの部屋に分けられ、各部屋には、仮種皮によって互いに付着している5〜8個の種がある。種は茶色ないし暗褐色を帯びる不均一な多面体であって、直径は約3.5mmであって質感は固い。珍しいにおいがして味はちょっと苦い。益智の周知の成分としては、ノートカトン、エピノートカトール、ベータ・ノートカトール(β−nootkatol)、ベータ・ピネン(β−pinene)、パラ・シメン(p−cymene)、テルピネン−4−オール、ジアリールヘプタノイド化合物であるヤクチノンA及びBを含み、フラボノイド成分であるテクトクリシン、クリシン、イザルピニン、3,5−ジヒドロキシ−7,4’−ジメトキシフラボンなどが含まれていると知られている。前記ノートカトンには抗胃潰瘍作用があり、前記ヤクチノンA及びBには抗炎症作用があり、皮膚癌の生成を抑制し、COX−2とiNOSの発現及びNFκBの活性を引き落とす。その他にもヤクチノンA、ノートカトン及びエピノートカトールには殺虫効果があると知られており、脳細胞保護作用、抗アレルギー作用、美白作用などを示すと知られている。
【0008】
また、益智の精油成分は薬物の肌浸透力を高め、カルシウムイオンの細胞内流入を競争的に抑制することで平滑筋弛緩作用及び心筋抑制作用を示し、抗利尿作用、抗潰瘍作用、抗痴呆作用、学習能力改善作用を行うものとして知られている。
【0009】
益智抽出物または高尿酸血症関連技術としては、韓国登録特許第1567885号明細書に高尿酸血症及び高尿酸血症関連の代謝障害を治療するための方法及び組成物について開示されており、韓国公開特許第2006−0120791号明細書に益智抽出物を含む脂質代謝改善と肥満の予防及び治療用薬学組成物について開示されており、韓国公開特許第1992−0011502号明細書に人体神経系の痛症を治療できる附子理中湯の改良された漢方治療剤物質が開示されている。
【0010】
しかし、本発明の益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防、改善または治療のための組成物については開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記のような要求に応じて導出されたものであり、本発明は、益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防、改善または治療のための組成物を提供し、本発明の有効成分である益智抽出物が動物モデルの血清内尿酸を低減させるということを確認した上で本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は、益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または改善のための健康機能食品を提供する。
【0013】
また、本発明は、益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または治療のための薬学組成物を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防、改善または治療のための組成物に係り、血清内尿酸量を低減させ、かつ天然物来由であるので安全で原料供給が容易であって、高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害関連産業に広く活用されうる。特に、痛風または痛風性関節炎の予防、改善または治療に効果的に使われうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】正常SD−ラット動物モデルに本発明の益智抽出物を投与した後、血清内尿酸量の減少を確認した結果を示す図面である。正常群は、正常動物モデル群を意味し、益智200mg/kgは正常動物モデルに200mg/kgの益智抽出物を投与した動物モデル群を意味する。
図2】高尿酸血症誘発SD−ラット動物モデルに本発明の益智抽出物を投与した後、血清内尿酸量の減少を確認した結果を示す図面である。正常群は、正常動物モデル群を意味し、対照群はオキソン酸カリウムを投与して高尿酸血症を誘導した動物モデル群を意味する。
図3】MSU(monosodium ureate)によって痛風性関節炎が誘導されたC57/BL6マウスで体重負荷率(%)を確認した結果を示す図面である。正常群は陰性対照群であって、痛風性関節炎を誘発しない正常群であり、MSUは、MSUの投与によって痛風性関節炎を誘発した群であり、コルヒチンは陽性対照群である。#は、MSU投与によって痛風性関節炎を誘発した群が正常群に比べて統計的に有意に体重負荷率(%)が減少したということを示し、p<0.05であることを意味する。*は、痛風性関節炎が誘導されたMSU群に比べて本発明の益智抽出物処理群が統計的に有意に体重負荷率(%)が増加したということを示し、*はp<0.05であることを意味する。
図4】MSUによって痛風性関節炎が誘導されたC57/BL6マウスでIL−1βの減少効果を確認した結果を示す図面である。正常群は陰性対照群であって、痛風性関節炎を誘発しない正常群であり、MSUは、MSUの投与によって痛風性関節炎を誘発した群であり、コルヒチンは陽性対照群である。#は、MSU投与によって痛風性関節炎を誘発した群が正常群に比べて統計的に有意にIL−1βの含量が増加したということを示し、p<0.0001であることを意味する。*は、痛風性関節炎が誘導されたMSU群に比べて本発明の益智抽出物処理群が統計的に有意にIL−1βの含量が減少したということを示し、*はp<0.05であることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または改善のための健康機能食品に関する。
【0017】
前記高尿酸血症関連の代謝障害は、急性または慢性痛風、痛風性発赤、痛風性関節炎、痛風性腎結石症及び痛風性腎臓病から選択されたいずれか一つであることが望ましいが、これに限定されるものではない。前記痛風性発赤は痛風による炎症などによって赤くなる症状を意味する。
【0018】
前記益智抽出物は、C〜Cの低級アルコール、水またはこれらの混合物を溶媒として使って抽出することが望ましく、さらに望ましくはエチルアルコールを溶媒として使って抽出することであり、最も望ましくは70%(v/v)のエチルアルコールを溶媒として使って抽出することであるが、これに限定されるものではない。
【0019】
前記益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または改善のための健康機能食品は、飲料、丸剤、錠剤、カプセル剤、散剤から選択されたいずれか一つの形で製造され、または他の食品または食品の成分に添加して製造され、通常的な方法によって適当に製造される。
【0020】
本発明の益智抽出物を添加することができる食品の一例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤から選択されたいずれか一つの形態であり、通常的な意味での健康食品をいずれも含む。
【0021】
前記健康機能食品は様々な営養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成及び天然風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤などを含むことができる。その他に天然果物ジュース及び野菜飲料の製造のための果肉を含むことができる。これらの成分は独立的にまたは混合して使える。
【0022】
本発明の健康機能食品は、様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含む。前述した天然炭水化物は、葡萄糖、果糖のような単糖類、マルトース、スクロースのような二糖類及びデキストリン、シクロデキストリンのような多糖類、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤やサッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使える。
【0023】
また、本発明は益智抽出物を有効成分として含む高尿酸血症または高尿酸血症関連の代謝障害の予防または治療のための薬学組成物に関する。
【0024】
前記薬学組成物で高尿酸血症関連の代謝障害は、急性または慢性痛風、痛風性発赤、痛風性関節炎、痛風性腎結石症及び痛風性腎臓病から選択されたいずれか一つであることが望ましいが、これに限定されるものではない。前記痛風性発赤は痛風による炎症などによって赤くなる症状を意味する。
【0025】
前記有効成分以外に尿酸塩低下剤をさらに含むことができ、望ましい尿酸塩低下剤は、キサンチンオキシダーゼ抑制剤、尿酸排泄促進剤、尿酸塩オキシダーゼ、尿アルカリ化剤及びフェノフィブラートから選択された一つ以上であるが、これに限定されるものではなく、前記益智抽出物以外に薬剤学的に許容可能な運搬体、賦形剤または希釈剤をさらに含むことができる。
【0026】
本発明の薬学組成物は、経口または非経口の様々な剤形でありうる。製剤化する場合には通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使って調製される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、これらの固形製剤は、一つ以上の化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調製される。また、単純な賦形剤以外にステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤も使われる。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使われる単純希釈剤である水、流動パラフィン以外に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤及び懸濁溶剤としてはプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使われる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール、マクロゴ−ル、ツイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使われる。
【0027】
本発明の組成物は経口または非経口投与され、非経口投与時に皮膚外用または腹腔内、直腸、静脈、筋肉、皮下、子宮内膜または脳血管内注射方式を選択することが望ましく、最も望ましくは皮膚外用で使う。
【0028】
本発明による組成物は薬剤学的に有効な量で投与する。本発明において、「薬剤学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な受恵/リスク比で疾患を治療するに十分な量を意味し、有効用量レベルは患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出速度、治療期間、同時に使われる薬物を含む要素及びその他の医学分野でよく知られている要素に応じて定められる。本発明の組成物は、個別治療剤として投与するか、または他の治療剤と併用して投与でき、従来の治療剤とは順次または同時に投与でき、単一または多重投与できる。前記要素をいずれも考慮して副作用なしに最小限の量で最大効果を得られる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に定められる。
【0029】
本発明の組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度によってその範囲が多様である。
【実施例】
【0030】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。これら実施例は単に本発明をさらに具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらによって制限されないということは当業者に明らかである。
【0031】
<実施例1>益智抽出物の製造
1kgの益智に15lの70%(v/v)エチルアルコールを加え、85℃で3時間還流抽出した後、ろ過液を50℃で減圧濃縮、乾燥して11.7gの益智抽出物を獲得した。
【0032】
<実施例2>正常SD−ラット動物モデルでの血中に含まれている尿酸の減少確認
200mg/kgの益智抽出物と陽性対照群である50mg/kgのアロプリノールとをそれぞれ0.1%のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを含む0.01MのPBS(phosphate buffered saline)緩衝溶液に懸濁して、正常動物モデルであるSD−ラットに1回経口投与した。
【0033】
経口投与して2時間後にエチルエーテルで麻酔した後、血液を取って尿酸アッセイキット(ab65344、abcam、USA)を使って尿酸量を測定した。
【0034】
血中尿酸量の測定結果は図1に示したように、益智抽出物の投与によって尿酸量が減少して約2.1mg/dlと示され、正常群に比べて26%の血中尿酸が減少したことが分かった。
【0035】
<実施例3>高尿酸血症誘発動物モデルでの血中に含まれている尿酸の減少効果の分析
高尿酸血症誘発動物モデルであるSD−ラットに高尿酸血症を誘発するために、0.1Mの酢酸ナトリウムを含む0.5%のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na、pH5.0)溶液に溶解させた150mg/kgのオキソン酸カリウムを腹腔注射した。
【0036】
24時間後に尿を受けて尿酸アッセイキット(ab65344、abcam、USA)を使って高尿酸血症が誘発されたモデル動物を選別した。
【0037】
前記選別されたモデル動物に100、200及び300mg/kgの益智抽出物と陽性対照群である50mg/kgのアロプリノールとを、0.1%のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを含む0.01MのPBS緩衝溶液に懸濁して3日間経口投与し、剖検前日に16時間節食させた。
【0038】
最後に経口投与して2時間後にエチルエーテルで麻酔した後、血液を取って尿酸アッセイキット(ab65344、abcam、USA)を使って尿酸量を測定した。
【0039】
尿酸量の測定結果は図2に示したように、オキソン酸カリウムの投与によって尿酸量が増加して約4.5mg/dlと示され、前記高尿酸血症が誘導された動物モデルに本発明の益智抽出物を100mg/kg/day、200mg/kg/day及び300mg/kg/dayの量でそれぞれ投与した結果、約4.5mg/dlで約1.79、1.75及び1.76mg/dlまで血清内尿酸量が減少したことが分かった。すなわち、本院発明の益智抽出物を投与した高尿酸血症動物モデルでの血中尿酸量が高尿酸血症動物モデル群に比べて約60〜62%減少する効果がある。
【0040】
<実施例4>MSU(Monosodium ureate)で誘導した痛風性関節炎動物モデルでの益智抽出物の効能評価
(1)体重負荷率(%)の測定
前記実施例1で抽出した益智抽出物の痛風性関節炎に対する効能を確認するために、MSUで誘導した痛風性関節炎疾患動物モデルでの体重負荷率(%)を計算した。
【0041】
0.5%CMCに溶かした150及び300mg/kgの益智抽出物を7週齢C57/BL6マウスに経口投与した。前記益智抽出物を投与して1時間後に4mgのMSUを2.5%ツイーン80の含まれているPBS 50μlに懸濁して右足組織に注射して痛風性関節炎を誘導した。1日1回4日間薬物投与した後でMSU誘導5日目に部検した。陽性対照群としてコルヒチンを使った。
【0042】
後足の体重負荷は、足重量測定器を使って測定した。痛風性関節炎が誘発されたマウスは痛症のためMSUを投与していない正常の足に頼って立つようになるので、両足の重量が均衡を失って正常の足の重量に比べてMSUを投与した足の重量が相対的に軽く測定された。前記測定された足の重量(g)を用いて体重負荷率(%)を計算した。前記体重負荷は足で支えて押す力であって、正常の場合、両足の体重分布比(weight distribution ratio、%)が50%と示されるが、痛症が激しくなるほど体重分布比(%)が低くなる。
【0043】
体重負荷率(%)=(関節炎の誘発された後足の重量/正常の後足の重量+関節炎が誘発された後足の重量)×100
その結果、図3に示したように、正常群に比べてMSU群で体重負荷率が減少し、本発明の益智抽出物を投与した群では濃度依存的に体重負荷率が回復したことが分かった。
【0044】
(2)IL−1βタンパク質の発現量の確認
前記実施例1で抽出した益智抽出物の痛風性関節炎に対する効能を確認するために、MSUで誘導した痛風性関節炎疾患動物モデルでのIL−1βタンパク質の発現量を分析した。
【0045】
0.5%CMCに溶かした150及び300mg/kgの益智抽出物を7週齢C57BL6マウスに経口投与した。前記益智抽出物を投与して1時間後に4mgのMSUを2.5%ツイーン80の含まれているPBS50μlに懸濁して右足組織に注射して痛風性関節炎を誘導した。1日1回4日間薬物投与した後でMSU誘導5日目に部検した。
【0046】
次いで、前記剖検で採取した足組織(paw tissue)をRIPA緩衝溶液に浸して組織を破砕し、上層液で炎症性指標であるIL−1βタンパク質の発現量をELISA法で測定し、陽性対照群としてコルヒチンを使った。
【0047】
その結果、図4に示したように、痛風性関節炎によって増加したIL−1βが、益智抽出物の投与によって有意に減少したことが分かった。
図1
図2
図3
図4