(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記両持ち梁は、前記第1駆動コイルの中心軸及び前記第2駆動コイルの中心軸を含む平面に垂直で、且つ、前記第1駆動コイル及び前記第2駆動コイルの中央を通る直線に沿って延び、
前記第1駆動コイルを前記基体に向かって押圧する前記突起と、前記第2駆動コイルを前記基体に向かって押圧する前記突起と、は、前記直線に対して対称の位置に形成されている、
請求項4に記載のブレーキ液圧制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
なお、以下では、本発明に係るブレーキ液圧制御装置がモータサイクルに用いられる場合を説明するが、本発明に係るブレーキ液圧制御装置は、モータサイクル以外の車両(例えば、自動車、トラック等)に用いられてもよい。また、以下では、本発明に係るブレーキ液圧制御装置が、前輪液圧回路及び後輪液圧回路を備えているブレーキシステムに適用される場合を説明するが、本発明に係るブレーキ液圧制御装置は、前輪液圧回路及び後輪液圧回路の一方のみを備えているブレーキシステムに適用されてもよい。
【0013】
また、以下で説明する構成、動作などは、一例であり、本発明に係るブレーキ液圧制御装置は、そのような構成、動作などである場合に限定されない。例えば、本発明に係るブレーキ液圧制御装置は、ABSとしての動作以外を行うものであってもよい。
【0014】
また、各図では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、各図において、同一又は相当関係にある部材又は部分には、同一の符号を付すか、又は、符号を付すことを省略している。また、各図において、詳細部分の図示が適宜簡略化または省略されている。
【0015】
<モータサイクル200の外観構成>
図1を用いて、モータサイクル200の構成について説明する。なお、以下の説明において、実施の形態に係るモータサイクル用ブレーキシステムを、ブレーキシステム100と称するものとする。
図1は、実施の形態に係るモータサイクル用ブレーキシステムが搭載されたモータサイクルの構成の一例を模式的に示す模式図である。
【0016】
モータサイクル200は、車輪W及び車体Bとブレーキシステム100とを合わせたものである。車体Bには、モータサイクル200からブレーキシステム100及び車輪Wを除いたものが全て含まれる。なお、本実施の形態では、モータサイクル200が自動二輪車であるものとして説明するが、それに限定されるものではなく自動三輪車でもよい。
【0017】
<ブレーキシステム100の全体構成>
図2を用いて、ブレーキシステム100の全体構成について説明する。
図2は、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置を含むモータサイクル用ブレーキシステムの概要構成図である。
【0018】
ブレーキシステム100は、モータサイクル200の車輪Wに発生する制動力を変化させるブレーキ液圧制御装置1を備えている。
また、ブレーキシステム100は、自動二輪車を運転するユーザー等が操作するハンドルレバー24及びフットペダル34を備えている。このハンドルレバー24を操作すると前輪20に制動力が発生し、フットペダル34を操作すると後輪30に制動力が発生する。
【0019】
ブレーキシステム100は、前輪20における制動力の発生に利用されるブレーキ液が流れる前輪液圧回路C1と、後輪30における制動力の発生に利用されるブレーキ液が流れる後輪液圧回路C2とを含む。
【0020】
ブレーキシステム100は、前輪20に制動力を発生させる機構等として次の構成を備えている。すなわち、ブレーキシステム100は、前輪20に対応して設けられるフロントブレーキパッド21と、フロントブレーキパッド21を作動させるフロントブレーキピストン(図示省略)が摺動自在に設けられているフロントホイールシリンダ22と、フロントホイールシリンダ22に接続されたブレーキ液管23とを備えている。
【0021】
なお、フロントブレーキパッド21は、前輪20とともに回転するロータ(図示省略)を挟みこむように設けられている。そして、フロントブレーキパッド21は、フロントホイールシリンダ22内のフロントブレーキピストンに押されるとロータに当接して、摩擦力が発生し、ロータとともに回転する前輪20に制動力が発生する。
【0022】
ブレーキシステム100は、ハンドルレバー24に付設される第1マスターシリンダ25と、ブレーキ液を貯留する第1リザーバ26と、第1マスターシリンダ25に接続されたブレーキ液管27とを備えている。なお、第1マスターシリンダ25には、マスターシリンダピストン(図示省略)が摺動自在に設けられている。ハンドルレバー24が操作されると、第1マスターシリンダ25内のマスターシリンダピストンが動く。マスターシリンダピストンの位置によって、フロントブレーキピストンにかかるブレーキ液の圧力が変わるため、フロントブレーキパッド21がロータを挟み込む力が変わり、前輪20の制動力が変わる。
【0023】
ブレーキシステム100は、後輪30に制動力を発生させる機構等として次の構成を備えている。すなわち、ブレーキシステム100は、後輪30に対応して設けられるリアブレーキパッド31と、リアブレーキパッド31を動かすリアブレーキピストン(図示省略)が摺動自在に設けられているリアホイールシリンダ32と、リアホイールシリンダ32に接続されたブレーキ液管33とを備えている。
【0024】
なお、リアブレーキパッド31は、後輪30とともに回転するロータ(図示省略)を挟みこむように設けられている。そして、リアブレーキパッド31は、リアホイールシリンダ32内のリアブレーキピストンに押されるとロータに当接して、摩擦力が発生し、ロータとともに回転する後輪30に制動力が発生する。
【0025】
ブレーキシステム100は、フットペダル34に付設される第2マスターシリンダ35と、ブレーキ液を貯留する第2リザーバ36と、第2マスターシリンダ35に接続されたブレーキ液管37とを備えている。なお、第2マスターシリンダ35には、マスターシリンダピストン(図示省略)が摺動自在に設けられている。フットペダル34が操作されると、第2マスターシリンダ35内のマスターシリンダピストンが動く。マスターシリンダピストンの位置によって、リアブレーキピストンにかかるブレーキ液の圧力が変わるため、リアブレーキパッド31がロータを挟み込む力が変わり、後輪30の制動力が変わる。
【0026】
<ブレーキ液圧制御装置1の構成>
図2〜5を用いて、ブレーキ液圧制御装置1の構成について説明する。
図3は、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の斜視図である。
図4は、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置を
図3と異なる角度から見た斜視図である。
図5は、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の分解斜視図である。
【0027】
ブレーキ液圧制御装置1は、作動液が流れる内部流路4(
図2参照)が形成された基体10と、基体10に組み付けられるポンプ装置2と、前輪液圧回路C1及び後輪液圧回路C2に設けられた開閉自在の液圧調整弁3と、液圧調整弁3を駆動する駆動コイル11と、駆動コイル11を収納するコイルケーシング12と、ポンプ装置2の駆動源であるモータ13と、ポンプ装置2や液圧調整弁3の動作を制御する制御部を含む制御器7と、制御器7の回路基板7Fを収納する制御装置ケーシング14等により構成されている。
【0028】
ブレーキ液圧制御装置1の外観は、
図3及び
図4に示されるように、基体10と、コイルケーシング12と、制御装置ケーシング14とを組み合わせた構成となっている。
次に、
図2〜
図5を参照しながら、ブレーキ液圧制御装置1の各部の構成を説明する。
【0029】
(基体10)
基体10は、例えばアルミニウム等の金属製であり、略直方体形状のブロックから形成されている。基体10は、第1面10A、第2面10B、第3面10C、第4面10D、第5面10E、第6面10Fを有している。
【0030】
第1面10Aは、
図3及び
図4において紙面上側に位置している面をいう。第2面10Bは、
図4において紙面左側に位置している面をいう。第3面10Cは、
図3において紙面左側に位置する面をいう。第4面10Dは、
図3及び
図4において紙面下側に位置している面をいう。第5面10Eは、
図3においてコイルケーシング12が取り付けられている面をいう。第6面10Fは、
図4において紙面右側に位置している面をいう。
つまり、第1面10Aと第4面10Dとが対向し、第2面10Bと第3面10Cとが対向し、第5面10Eと第6面10Fとが対向している。
【0031】
基体10の内部には、ブレーキ液が充填される内部流路4が形成されている。
内部流路4は、前輪液圧回路C1の一部を構成する第1内部流路4A、第2内部流路4B及び第3内部流路4Cと、後輪液圧回路C2の一部を構成する第4内部流路4D、第5内部流路4E及び第6内部流路4Fとを含んで構成されている。
【0032】
また、基体10の第1面10Aには、各種ポートPが開口している。各種ポートPは、ハンドルレバー24等の駆動機構に対応する第1ポートP1と、フットペダル34等の駆動機構に対応する第2ポートP2と、フロントブレーキパッド21等の駆動機構に対応する第3ポートP3と、リアブレーキパッド31等の駆動機構に対応する第4ポートP4とにより構成されている。第1ポートP1には、ブレーキ液管27が接続される。第2ポートP2には、ブレーキ液管37が接続される。第3ポートP3には、ブレーキ液管23が接続される。第4ポートP4には、ブレーキ液管33が接続される。
【0033】
内部流路4のうち第1内部流路4Aは、ポンプ装置2のブレーキ液の流出側と、液圧調整弁3の一つである第1増圧弁3Aと、第1ポートP1とに接続されている。また、第1内部流路4Aには、内部流路4を流れるブレーキ液の流量を規制する第1フローリストリクタ5Aが設けられている。
内部流路4のうち第2内部流路4Bは、第1増圧弁3Aと、液圧調整弁3の一つである第1減圧弁3Bと、第3ポートP3とに接続されている。
内部流路4のうち第3内部流路4Cは、ポンプ装置2のブレーキ液の流入側と、第1減圧弁3Bとに接続されている。また、第3内部流路4Cには、内部流路4内のブレーキ液を貯留するアキュムレータ6が設けられている。
【0034】
内部流路4のうち第4内部流路4Dは、ポンプ装置2のブレーキ液の流出側と、液圧調整弁3の一つである第2増圧弁3Cと、第2ポートP2とに接続されている。また、第4内部流路4Dには、内部流路4を流れるブレーキ液の流量を規制する第2フローリストリクタ5Bが設けられている。
内部流路4のうち第5内部流路4Eは、第2増圧弁3Cと、液圧調整弁3の一つである第2減圧弁3Dと、第4ポートP4とに接続されている。
内部流路4のうち第6内部流路4Fは、ポンプ装置2のブレーキ液の流入側と、第2減圧弁3Dとに接続されている。また、第6内部流路4Fには、内部流路4内のブレーキ液を貯留するアキュムレータ6が設けられている。
【0035】
(ポンプ装置2)
ポンプ装置2は、たとえばDCモータ等のモータ13によって駆動力が与えられる2つのポンプエレメント2Eを含む。一方のポンプエレメント2Eは、前輪液圧回路C1内のブレーキ液の搬送に用いられ、第3内部流路4C内のブレーキ液を第1内部流路4A側に搬送する。他方のポンプエレメント2Eは、後輪液圧回路C2内のブレーキ液の搬送に用いられ、第6内部流路4F内のブレーキ液を第4内部流路4D側に搬送する。ポンプエレメント2Eは、モータ13によって駆動される偏心機構17の偏心面の回転運動によって、往復動する。ポンプエレメント2Eは、基体10に形成されたポンプ用開孔2H内に収納される。
【0036】
(モータ13)
モータ13は、筐体、固定子、回転子等を含む電動部13Aを含む。モータ13は、基体10に対するコイルケーシング12側に設けられている。電動部13Aの動作は、制御器7によって制御される。電動部13Aのコイルケーシング12側の端部には2つの薄片状のモータ端子13Tが立設されている。モータ端子13Tのうち1つはプラス端子13T1であり、モータ端子13Tのうちもう1つはマイナス端子13T2である。
【0037】
(偏心機構17)
偏心機構17は、モータ13から伝達された回転力によってポンプ装置2を駆動する。つまり、偏心機構17は、モータ13の電動部13Aから伝達される回転力をポンプ装置2に伝達する。
【0038】
(減速機構60)
減速機構60は、モータ13と偏心機構17との間に設けられ、モータ13の電動部13Aで発生した回転を減速して、つまり、トルクを増幅して偏心機構17に伝達する。減速機構60は、モータ13の回転軸に取り付けられ、基体10に形成されているモータ用開口13Hに、モータ13の一部とともに収納される。
【0039】
(液圧調整弁3及び駆動コイル11)
液圧調整弁3は、基体10の内部流路4を開閉するために設けられた弁である。液圧調整弁3の動作は、制御器7によって制御される。液圧調整弁3は、第1増圧弁3A、第1減圧弁3B、第2増圧弁3C及び第2減圧弁3Dを含む。液圧調整弁3は、たとえば、駆動コイル11を有する電磁弁で構成することができ、制御器7によって通電が制御されて開閉状態が切り替えられる。具体的には、液圧調整弁3は、プランジャ部を含む可動子を有し、駆動コイル11により可動子のプランジャ部が直進運動されることよって内部流路4が開閉される。
【0040】
駆動コイル11は、円筒形状のコイルハウジング15の内部に巻線を収納している。コイルハウジング15を貫通する円柱開口部15A内には、液圧調整弁3の一端側が収納される。液圧調整弁3の他端側は、基体10の第5面10Eに形成された調整弁用開孔3H内に格納される。駆動コイル11の基部は、基体10に接着される。つまり、駆動コイル11は、中空部を有し、この中空部に液圧調整弁3のプランジャ部の一端が挿入された状態で基体10に立設される。この状態で、駆動コイル11の通電をオン−オフすると、液圧調整弁3のプランジャ部が直進運動して、プランジャ部に連動する弁体が閉位置と開位置との間で移動する。
【0041】
コイルハウジング15の、基体10の第5面10Eに固定される一端部と対向する他端部15Cには、一対の端子台16が立設されている。端子台16の先端にはコイル端子16Aが設けられており、コイル端子16Aを介して駆動コイル11に動力が供給される。
【0042】
(アキュムレータ6)
アキュムレータ6は、基体10に形成されたアキュムレータ用開孔(図示省略)内に配置されている。
【0043】
(制御器7)
制御器7は、検出機構からの信号を受ける入力部や演算を行うプロセッサ部、プログラムを記憶する記憶部等が設けられている回路基板7Fを含む。回路基板7Fには、駆動コイル11のコイル端子16A及びモータ13のモータ端子13Tが接続される。つまり、回路基板7Fには、モータ端子13Tと接続される金属片7Eの一端部7Eaが挿通する複数の開孔部7Dが形成されている。また、回路基板7Fには、コイル端子16A及びピン13Xが挿通する複数の開孔部(図示省略)が形成されている。
【0044】
なお、制御器7は、回路基板7Fに検出信号を出力する各種検出機構を含む。検出機構としては、例えば、路面の勾配値を取得するのに用いられる加速度センサ、前輪20の車輪速を算出するのに用いられる前輪速度センサ、後輪30の車輪速を算出するのに用いられる後輪速度センサ等がある。
【0045】
回路基板7Fは、金属片7Eの一端部7Eaが、開孔部7Dに挿通された状態において、コイルケーシング12の第1面部50と平行な状態となる。この状態で回路基板7Fは制御装置ケーシング14に収容される。つまり、制御器7の回路基板7Fは、金属片7Eの一端部7Eaを、開孔部7Dに挿通することによって位置決めされて、第1面部50と平行に取り付けられる。
【0046】
(コイルケーシング12)
コイルケーシング12は、例えば樹脂により成型されたものであり、枠部12Aと、枠部12Aの側方に形成され、制御器7に接続されるコネクタ7Aを収納する収納部12Bとにより構成されている。コイルケーシング12は、たとえば接着部材を介して基体10の第5面10Eに接着される。この接着部材は、防水性能を有するシール材であるとよい。
【0047】
枠部12Aには、開口53とモータ用孔56が形成されている。コイルケーシング12に駆動コイル11が収納されると、コイル端子16Aが、コイルケーシング12の第1面部50から突出することとなり、回路基板7Fが接続可能となる。モータ用孔56にモータ13が収納されると、モータ端子13Tが、モータ用孔56の底部56Aに形成されている端子用開口56Bを貫通して、コイルケーシング12の第1面部50から突出することとなり、一端部7Eaが回路基板7Fに接続される金属片7Eの他端部に接続可能となる。
【0048】
2つの開口53の間には、壁部53Aが形成されている。つまり、枠部12Aは、立設されている駆動コイル11の頂部の少なくとも一部を覆う壁部53Aを含んで構成されている。壁部53Aは、両持ち梁を含んで構成されている。両持ち梁の一端は枠部12Aの中心側に位置し、他端は枠部12Aの外周側に位置している。
【0049】
壁部53Aには、ビス18を挿入するビス用固定孔18Aが貫通孔として形成されている。ビス18が、基体10に形成されているビス用開孔18Hに結合されて、コイルケーシング12が基体10の第5面10Eに固定される。
【0050】
第1面部50は、制御装置ケーシング14がコイルケーシング12に取り付けられる際に制御装置ケーシング14の開口縁部14Aと当接する縁部50Aを含んでいる。
【0051】
(制御装置ケーシング14)
制御装置ケーシング14は、コイルケーシング12の第1面部50に取り付けられ、内部に制御器7の回路基板7Fを収納する蓋部材として機能する。
【0052】
<壁部53Aによる駆動コイル11の押さえ構造>
図6〜
図8を用いて、壁部53Aによる駆動コイル11の押さえ構造について説明する。
図6は、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置のコイルケーシングに駆動コイルを取り付けた状態を第1面部から見た模式図である。
図7は、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置のコイルケーシングを第1面部とは反対側から見た模式図である。
図8は、
図6のX−X断面図である。
なお、
図6及び
図7では、コイルケーシング12の一部を拡大して示している。
【0053】
図6〜
図8に示すように、壁部53Aには、突起53Cが形成されている。突起53Cは、コイルケーシング12の第1面部50とは反対側の面(以下、第2面部40と称する)に、壁部53Aの一部を突出させることで形成されている。また、コイルケーシング12には、複数の駆動コイル11が収納されており、壁部53Aの両持ち梁は、第1駆動コイル11Aの頂部の少なくとも一部と、第2駆動コイル11Bの頂部の少なくとも一部と、を覆い、覆った部分において第1駆動コイル11Aを押圧する突起53Cと、第2駆動コイル11Bを押圧する突起53Cと、が形成されている。
【0054】
壁部53Aの両持ち梁は、第1駆動コイル11Aの中心軸A2及び第2駆動コイル11Bの中心軸A3を含む平面に垂直で、且つ、第1駆動コイル11A及び第2駆動コイル11Bの中央を通る直線(
図6に示す直線A1)に沿って延びるように構成されている。また、第1駆動コイル11Aを押圧する突起53Cと、第2駆動コイル11Bを押圧する突起53Cと、は、直線A1に対して対称の位置に形成されている。
【0055】
また、ビス用固定孔18Aは壁部53Aの両持ち梁のうち一端部(モータ用孔56側の端部)に形成され、突起53Cは壁部53Aの両持ち梁のうちの、ビス用固定孔18Aを基準とする駆動コイル11の中心軸(中心軸A2、中心軸A3)よりも遠い側に形成されている。
【0056】
駆動コイル11を収納しているコイルケーシング12は、基体10に接着され、更に、ビス18により固定される。その状態では、壁部53Aの両持ち梁の一端がビス18によって基体10に向かって押圧されることとなって、壁部53Aに形成された突起53Cによって駆動コイル11の頂部(端子台16側の端部)が基体10に向かって押圧される。また、壁部53Aの両持ち梁が駆動コイル11による突き上げ効果によって第1面部50側に向かって反発することとなって、ビス18の緩みが抑制される。
【0057】
<効果>
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1によれば、駆動コイル11が、壁部53Aに形成されている突起53Cによって、基体10に向かって押圧されている。そのため、駆動コイル11の駆動(特に、プランジャ部の直進運動)等によって振動が生じてしまう状況でも、駆動コイル11の基体10への固定が突起53Cによって支持されて、耐久性が確保される。
【0058】
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1によれば、立設されている駆動コイル11の基部が基体10に接着されている。突起53Cが駆動コイル11の接着時の押さえとしても機能するため、そのための治工具等が不要となって、製造が簡素化される。
【0059】
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1によれば、コイルケーシング12がビス18によって基体10に固定されている。そのため、突起53Cがビス18の緩み止めとしても機能することになり、簡素な構造で耐久性が向上する。
【0060】
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1によれば、コイルケーシング12が基体10に接着されている。突起53Cが、ビス18の緩みに起因する、コイルケーシング12の基体10への接着時のコイルケーシング12の浮き上がりを抑制できるため、簡素な構造でコイルケーシング12と基体10との接着不良が低減する。
【0061】
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1によれば、壁部53Aが両持ち梁を含み、両持ち梁の一端がビス18によって基体10に向かって押圧され、突起53Cが両持ち梁に形成されている。壁部53Aに両持ち梁を含めることで、両持ち梁構造によって壁部53Aのばね性が向上して、ビス18の緩み止めを更に強化できる。
【0062】
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1によれば、突起53Cが貫通穴(ビス用固定孔18A)を基準とする駆動コイル11の中心軸(中心軸A2、中心軸A3)よりも遠い側に形成されている。突起53Cをビス18から離して形成することで、ビス18の緩み止めを更に強化できる。
【0063】
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1によれば、壁部53Aの両持ち梁は、第1駆動コイル11Aの頂部の少なくとも一部と、第2駆動コイル11Bの頂部の少なくとも一部と、を覆い、覆った部分において第1駆動コイル11Aを押圧する突起53Cと、第2駆動コイル11Bを押圧する突起53Cと、が形成されている。そのため、2つの駆動コイル11からの突き上げ効果によって、ビス18の緩み止めを更に強化できる。
【0064】
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1によれば、壁部53Aの両持ち梁が第1駆動コイル11Aの中心軸A2及び第2駆動コイル11Bの中心軸A3を含む平面に垂直で、且つ、第1駆動コイル11A及び第2駆動コイル11Bの中央を通る直線A1に沿って延び、第1駆動コイル11Aを押圧する突起53Cと、第2駆動コイル11Bを押圧する突起53Cと、は、第1駆動コイル11A及び第2駆動コイル11Bの中央を通る直線A1に対して対称の位置に形成されている。そのため、2つの駆動コイル11からの突き上げ効果が均等になって、ビス18の緩み止めが確実化される。
【0065】
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1によれば、コイルケーシング12が樹脂製である。コイルケーシング12に熱変形が生じる状況であっても、突起53Cによってビス18の緩み止めが抑制される。
【0066】
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1は、モータサイクル200のモータサイクル用ブレーキシステム100に搭載される。ブレーキ液圧制御装置1によって、耐久性の確保が簡素な構造で実現できるため、モータサイクル用ブレーキシステム100に対する小型化へのシビアな要求に対応することが可能である。