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特許6762391キャッシュレス割り勘方法、プログラム、およびコンピュータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762391
(24)【登録日】2020年9月10日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】キャッシュレス割り勘方法、プログラム、およびコンピュータ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/10 20120101AFI20200917BHJP
   G06Q 30/04 20120101ALI20200917BHJP
【FI】
   G06Q20/10 300
   G06Q30/04
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-40648(P2019-40648)
(22)【出願日】2019年3月6日
(65)【公開番号】特開2020-144596(P2020-144596A)
(43)【公開日】2020年9月10日
【審査請求日】2019年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】594103301
【氏名又は名称】三井住友カード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 仁
【審査官】 衣川 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−318979(JP,A)
【文献】 特開2013−186732(JP,A)
【文献】 特開2001−256378(JP,A)
【文献】 山本 正行,クレジットカードのクロスボーダー取引は止められない!?,CardWave,日本,SBIリサーチ株式会社,2011年 9月25日,第24巻,第5号,pp.20-23
【文献】 送金サービスを考える,CardWave,日本,株式会社カード・ウェーブ,2017年12月25日,第30巻,第6号,pp.14-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータがキャッシュレスで割り勘を行う方法であって、
前記コンピュータが、幹事が利用する幹事端末から、割り勘データを受信するステップであって、前記割り勘データは、参加者の割り勘代金を少なくとも含む、ステップと、
前記コンピュータが、前記参加者が利用する参加者端末から、前記割り勘代金に対する支払いデータを受信するステップと、
前記コンピュータが、前記支払いデータに基づいて決済データを作成するステップであって、前記決済データは、ダミー加盟店から前記参加者への前記割り勘代金の請求に関するデータと、前記ダミー加盟店から前記幹事への前記割り勘代金相当額のマイナス請求に関するデータとを含む、ステップと、
前記作成された決済データをクレジットカード会社のコンピュータに送信するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記割り勘代金を支払うために前記参加者によって登録されたクレジットカードの有効性を判定するステップをさらに備え、前記決済データを作成する前記ステップは、前記有効性を判定する前記ステップにおいて前記登録されたクレジットカードが有効であると判定された場合に実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータが、前記割り勘データに基づいて、割り勘コードを作成するステップをさらに備え、前記割り勘コードは、前記割り勘代金に対する支払いを行うための支払い用WebサイトのURLを含み、前記参加者端末から前記コンピュータへの前記支払いデータの送信は、前記支払い用Webサイトを介して行なわれることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンピュータが、前記割り勘データに基づいて、前記参加者端末へのメールまたはメッセージを作成するステップと、
前記コンピュータが、前記作成したメールまたはメッセージを前記参加者端末に送信するステップと
をさらに備え、前記参加者端末へのメールまたはメッセージは、前記割り勘代金に対する支払いを行うための支払い用WebサイトのURLを含み、前記参加者端末から前記コンピュータへの前記支払いデータの送信は、前記支払い用Webサイトを介して行なわれることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項6】
キャッシュレスで割り勘を行うコンピュータであって、
幹事が利用する幹事端末から、割り勘データを受信し、前記割り勘データは、参加者の割り勘代金を少なくとも含み、
前記参加者が利用する参加者端末から、前記割り勘代金に対する支払いデータを受信し、
前記支払いデータに基づいて決済データを作成し、前記決済データは、ダミー加盟店から前記参加者への前記割り勘代金の請求に関するデータと、前記ダミー加盟店から前記幹事への前記割り勘代金相当額のマイナス請求に関するデータとを含み、
前記作成された決済データをクレジットカード会社のコンピュータに送信する
ように構成されたことを特徴とするコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュレス割り勘方法、プログラム、およびコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食代やプレゼント費用などによる割り勘行為のほとんどが、幹事と参加者との現金授受により行われている。しかしながら、割り勘時に現金が用意できない、幹事の回収負担が大きいなど不便な点があり、現金以外で割り勘を行いたいというニーズが多くある。一方、幹事が代金を立て替えることはよくあり、立て替えをクレジットカードで行うと、クレジットカード利用によるポイントを幹事が独り占めすることになり、参加者との不公平感が生じてしまう。このようなニーズや問題に対し、昨今、LINE(登録商標)Payなどの割り勘アプリサービスが登場してきた。割り勘アプリサービスは、幹事および参加者の所持するスマートフォンに割り勘アプリをインストールし、割り勘アプリ上の送金機能を利用して独自の仮想通貨(例えば、LINEポイント)を授受し割り勘を行うものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような割り勘アプリサービスを利用するためには、幹事のみならず、参加者の全員が各々のスマートフォンに割り勘アプリをインストールする必要がある。また、授受されるのは各サービス独自の仮想通貨であり、クレジットカードによる支払いを行うことができない。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンピューティングシステムを用いて、幹事のみ割り勘アプリをインストールし参加者に対し割り勘代金の請求を行い、参加者は従来のクレジットカード支払いと同じ手順で割り勘代金を支払い(すなわち、割り勘アプリのインストールなど不要)、幹事のクレジットカード決済時に幹事の支払い額の調整(割り勘)を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、コンピュータがキャッシュレスで割り勘を行う方法であって、前記方法は、
前記コンピュータが、幹事が利用する幹事端末から、割り勘データを受信するステップであって、前記割り勘データは、参加者の割り勘代金を少なくとも含む、ステップと、
前記コンピュータが、前記参加者が利用する参加者端末から、前記割り勘代金に対する支払いデータを受信するステップと、
前記コンピュータが、前記支払いデータに基づいて決済データを作成するステップであって、前記決済データは、ダミー加盟店から前記参加者への前記割り勘代金の請求に関するデータと、前記ダミー加盟店から前記幹事への前記割り勘代金相当額のマイナス請求に関するデータとを含む、ステップと、
前記作成された決済データをクレジットカード会社のコンピュータに送信するステップと
を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、前記方法は、前記割り勘代金を支払うために前記参加者によって登録されたクレジットカードの有効性を判定するステップをさらに備え、前記決済データを作成する前記ステップは、前記有効性を判定する前記ステップにおいて前記登録されたクレジットカードが有効であると判定された場合に実行されることを特徴とする。
【0007】
さらに、前記方法は、前記コンピュータが、前記割り勘データに基づいて、割り勘コードを作成するステップをさらに備え、前記割り勘コードは、前記割り勘代金に対する支払いを行うための支払い用WebサイトのURLを含み、前記参加者端末から前記コンピュータへの前記支払いデータの送信は、前記支払い用Webサイトを介して行なわれることを特徴とする。
【0008】
また、前記方法は、前記コンピュータが、前記割り勘データに基づいて、前記参加者端末へのメールまたはメッセージを作成するステップと、
前記コンピュータが、前記作成したメールまたはメッセージを前記参加者端末に送信するステップと
をさらに備え、前記参加者端末へのメールまたはメッセージは、前記割り勘代金に対する支払いを行うための支払い用WebサイトのURLを含み、前記参加者端末から前記コンピュータへの前記支払いデータの送信は、前記支払い用Webサイトを介して行なわれることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の態様は、前記方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、キャッシュレスで割り勘を行うコンピュータであって、前記コンピュータは、
幹事が利用する幹事端末から、割り勘データを受信し、前記割り勘データは、参加者の割り勘代金を少なくとも含み、
前記参加者が利用する参加者端末から、前記割り勘代金に対する支払いデータを受信し、
前記支払いデータに基づいて決済データを作成し、前記決済データは、ダミー加盟店から前記参加者への前記割り勘代金の請求に関するデータと、前記ダミー加盟店から前記幹事への前記割り勘代金相当額のマイナス請求に関するデータとを含み、
前記作成された決済データをクレジットカード会社のコンピュータに送信する
ように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コンピューティングシステムを用いて、幹事のみ割り勘アプリをインストールし参加者に対し割り勘代金の請求を行い、参加者は従来のクレジットカード支払いと同じ手順で割り勘代金を支払い、幹事のクレジットカード決済時に幹事の支払い額の調整(割り勘)を行うことである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る割り勘サービスサーバの構成例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る割り勘処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る割り勘データ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る支払いデータ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る決済データ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る幹事のカード利用明細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施形態に係るシステムを詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。図1において、割り勘サービスサーバ100は、ネットワーク110(例えば、インターネット)を介して、幹事端末101、参加者端末102a〜c(以下、まとめて「参加者端末102」という)、およびカード会社サーバ104と通信を行うように構成される。また、店舗端末103も、ネットワーク110を介して、カード会社サーバ104と通信を行うように構成される。なお、図1では、割り勘サービスサーバ100を1つのサーバコンピュータとして表しているが、複数のサーバコンピュータによる分散型コンピューティングシステムとして構築することもできる。
【0014】
割り勘サービスサーバ100は、本発明におけるメインサーバコンピュータであり、割り勘サービスを提供する運営会社などによって管理される。なお、割り勘サービスサーバ100は、割り勘サービスの運営会社以外の会社が提供するクラウドコンピュータであってもよい。割り勘サービスサーバ100の機能については後述する。
【0015】
幹事端末101および参加者端末102は、それぞれ、幹事および参加者が利用する端末(例えば、スマートフォン)であり、CPU、メモリ、入出力装置、および表示装置(ディスプレイ)を備える。幹事端末101には、割り勘サービスを利用するために割り勘サービスサーバ100などから提供される割り勘アプリがインストールされる。幹事は、幹事端末101を介して割り勘アプリにアクセスし、予めユーザ登録しておく。また、割り勘が発生した場合に、幹事は、幹事端末101を介して各参加者に割り勘代金の請求を行うための割り勘イベントを登録する。各参加者は、各々の参加者端末102を介して支払い用Webサイトにアクセスし、クレジットカードによる割り勘代金の支払いを行う。
【0016】
店舗端末103は、例えばPOS(point of sale)レジであり、CPU、メモリ、入出力装置、および表示装置を備える。店舗端末103は、クレジットカードを読み取るためのカードリーダーや、コード支払いのためのコードリーダー、およびレシートプリンタなどの周辺機器を備える。店員は、店舗端末103を介して、幹事の支払いに対するクレジットカード決済を行う。
【0017】
カード会社サーバ104は、クレジットカード会社によって管理されるサーバコンピュータである。カード会社サーバ104は、割り勘サービスサーバ100や店舗端末103から受信された決済データに基づいて決済処理を実行する。なお、図1では、カード会社サーバ104を1つのサーバコンピュータとして表しているが、実際には、カード会社ごとにサーバコンピュータが存在する。
【0018】
次に、図1における割り勘サービスサーバ100の構成を詳細に説明する。図2は、割り勘サービスサーバ100の構成を示す図である。図2において、割り勘サービスサーバ100は、システムバス115を介して相互に接続された、CPU110、RAM111、入力装置112、出力装置113、通信制御装置114、および記憶装置116を備える。記憶装置116は不揮発性記憶媒体(ROMやHDDなど)で構成され、本発明の処理などに関連するソフトウェアプログラムを格納したプログラム格納領域と、当該ソフトウェアプログラムで取り扱うデータを格納したデータ格納領域とを備える。プログラム格納領域の各処理部120〜122は、独立したソフトウェアプログラム、そのルーチンやコンポーネントなどで実現され、記憶装置116に格納される。各処理部120〜122は、プログラムの実行時にCPU110によって記憶装置116から呼び出されRAM111のワークエリアに展開されることで、記憶部130〜132などのデータベースに適宜アクセスしながら各機能を実現する。
【0019】
図2では、各処理部120〜122として、割り勘処理部120、支払い処理部121、および決済処理部122を示している。これらの処理部120〜122の機能については後述する。
【0020】
図2の記憶装置116におけるデータ格納領域は、割り勘データ記憶部130、支払いデータ記憶部131、および決済データ記憶部132を備える。
【0021】
次に、記憶装置116の各記憶部130〜132に記憶されるデータ(図4〜6)について説明する。図4は、割り勘データd400を示す図である。割り勘データd400は、幹事と参加者との割り勘に関するデータであり、割り勘データ記憶部130に格納される。
【0022】
割り勘データd400には、割り勘イベント(本データ)を一意に示す「イベントID」d401、幹事を一意に示す「幹事ID」d402、割り勘対象となる割り勘代金の合計金額を示す「合計金額」d403、割り勘を行う人数を示す「割り勘人数」d404、割り勘時の一人当たりの割り勘代金を示す「割り勘代金」d405、割り勘が発生した日付を示す「発生日付」d406、割り勘代金の支払い期限を示す「支払い期限」d407、参加者への請求時に通知するメッセージのタイトルおよびメモをそれぞれ示す「タイトル」d408および「メモ」d409、割り勘代金の支払い済人数を示す「支払い済人数」d410、ならびに支払い用WebサイトのURLを示す「支払い用URL」d411などを格納することができる。以下、詳述する。
【0023】
割り勘データd400は、割り勘が発生した場合に、幹事によって割り勘アプリを介して作成されるトランザクションデータである。「イベントID」d401は、レコード作成時に採番されるシーケンス番号であってよい。割り勘データd400では、割り勘代金を一律“4000円”として示しているが、別の実施形態では、個別に変更することもできる。より具体的には、例えば、割り勘代金別のグループを示す「グループコード」d412(コード内容は、1:一般社員(男性)、2:一般社員(女性)、3:管理職・・・など)をデータ項目として新たに設ける。幹事は割り勘アプリ上で各グループの人数および割り勘代金を入力する。入力された各グループの人数および割り勘代金は、グループ別に複数のレコードの「割り勘人数」d404および「割り勘代金」d405にそれぞれ格納される。または、グループの数だけ「割り勘人数」d404および「割り勘代金」d405のデータ項目を設けて1レコードで管理することもできる。
【0024】
次に、支払いデータd500について説明する。図5は、支払いデータd500を示す図である。支払いデータd500は、各参加者の割り勘代金に対する支払いデータであり、支払いデータ記憶部131に格納される。
【0025】
支払いデータd500には、割り勘代金の支払いに利用するクレジットカードを一意に示す「カード番号」d501、クレジットカード会社と契約した顧客の名義を示す「カード名義」d502、クレジットカードの有効期限の年月をそれぞれ示す「有効期限年」d503および「有効期限月」d504、クレジットカードのセキュリティコードを示す「セキュリティコード」d505、および関連する割り勘イベントを一意に示す「イベントID」d506などを格納することができる。以下、詳述する。
【0026】
支払いデータd500は、支払い用Webサイトを介して各参加者によって作成されるトランザクションデータである。支払いデータd500は、参加者1人分のデータを示すものである。「イベントID」d506に「イベントID」d401と同じデータを格納することにより、支払いデータd500を割り勘データd400と関連付けることができる。なお、上述したように、個別に割り勘代金を変更する場合は、支払いデータd500にも、「グループコード」d412に対応する「グループコード」d506を新たに設け、各参加者の支払い金額(割り勘代金)がわかるようにする。または、支払い金額自体を支払いデータd500に持たせてもよい。
【0027】
次に、決済データd600について説明する。図6は、決済データd600を示す図である。決済データd600は、割り勘代金のクレジットカード支払いに対する決済データであり、決済データ記憶部132に格納される。
【0028】
決済データd600には、割り勘代金の支払いに利用するクレジットカードを一意に示す「利用カード番号」d601、クレジットカードの名義を示す「カード名義」d602、クレジットカードの有効期限の年月をそれぞれ示す「有効期限年」d603および「有効期限月」d604、クレジットカードのセキュリティコードを示す「セキュリティコード」d605、以下で詳述する支払い先を一意に示す「加盟店ID」d606、クレジットカードを利用した日付を示す「利用日」d607、ならびにクレジットカードによって利用された金額を示す「利用額」d608などを格納することができる。以下、詳述する。
【0029】
決済データd600は、参加者によって割り勘代金のクレジットカード支払いが行われた場合に、割り勘サービスサーバ100によって作成されるトランザクションデータである。決済データd600も、参加者1人分のデータを示すものである。本発明では、割り勘代金の支払い先としてダミー加盟店を経由させ、ダミー加盟店から参加者に対し割り勘代金の請求を行い、幹事に対しては割り勘代金相当額のマイナス請求を行う。幹事に対するマイナス請求は、クレジットカード会社における決済処理の際、幹事に対する支払い請求(例えば、店舗への支払い)と合算される。これにより、幹事への通常請求額から割り勘代金相当額が減算され、割り勘が行われることになる。決済データd600の1レコード目は、参加者“特許 太郎”への割り勘代金の請求に関するデータである。また、決済データd600の2レコード目は、幹事“幹事 次郎”への割り勘代金相当額のマイナス請求(支払い)に関するデータである。決済データd600は、参加者“特許 太郎”の割り勘代金が“4000円”である場合を想定し、1レコード目の利用額d608を“4000”(“特許 太郎”に、4000円の請求)とし、2レコード目では“-4000”(“幹事 次郎”に、−4000円の請求、すなわち4000円の支払い)としている。
【0030】
次に、本発明の割り勘処理について、図3のフローチャート、および図4〜6のデータを参照して説明する。本処理は、幹事が幹事端末101を介して割り勘アプリにアクセスし、割り勘データd400を入力することで割り勘イベントの登録を行うところから始まり、参加者への請求、参加者からの支払いを経て、クレジットカード決済を行うものである。
【0031】
まず、幹事は、幹事端末101を介して割り勘アプリにアクセスし、割り勘データd400を入力する(ステップ300)。割り勘データd400の入力は、幹事が店舗などに代金を支払った後に行ってもよいし、予め行われていてもよい。前者の場合は、幹事が幹事端末101を介して代金の支払いを行うことで、当該支払いに関するデータに基づいて割り勘データd400を入力することもできる(例えば、支払い代金を「合計金額」d403にデフォルト入力するなど)。これにより、幹事が「合計金額」d403相当額の支払い(立て替え)を行ったことを担保した上で、各参加者に対し割り勘代金の請求を行うことができる。また、割り勘データd400の入力は、割り勘代金を一律にして入力することもできれば、上述したように、個別に変更することもできる。ステップ300で入力された割り勘データd400は、幹事端末101によって割り勘サービスサーバ100に送信される(ステップ301)。
【0032】
次に、割り勘サービスサーバ100の割り勘処理部120は、幹事端末101から送信された割り勘データd400を受信すると(ステップ302)、割り勘データ記憶部130に格納する(ステップ303)。
【0033】
次に、割り勘処理部120は、割り勘データd400に基づいて、割り勘コードを作成する(ステップ304)。割り勘コードは、例えば、割り勘データd400の内容を含むQRコード(登録商標)である。各参加者は、参加者端末102を介して割り勘コードを読み込むことで、対応する支払い用Webサイトにアクセスして、割り勘代金を支払うことができる。ステップ304で作成された割り勘コードは、割り勘処理部120によって幹事端末101に送信される(ステップ305)。
【0034】
次に、各参加者は、参加者端末102を介して、幹事端末101に表示された割り勘コードを読み込むことで(例えば、QRコードを参加者端末102のカメラで読み込む)支払い用Webサイトにアクセスし、割り勘代金の支払いを行うために支払いデータd500を割り勘サービスサーバ100に送信する(ステップ306)。より具体的には、セキュアな支払い用Webサイト上で、割り勘代金を支払うためのクレジットカードを登録する。登録されたクレジットカードデータは、対応する「イベントID」d401と共に支払いデータd500として、参加者端末102によって割り勘サービスサーバ100に送信される。なお、割り勘コードを用いずに、支払い用WebサイトのURLを含めたメールやメッセージを、割り勘処理部120から参加者のメールアドレスなどに直接送信することもできる。この場合、幹事は、割り勘データd400の入力時(ステップ300)に、送信先のメールアドレスなどを入力しておく。
【0035】
次に、割り勘サービスサーバ100の支払い処理部121は、参加者端末102から送信された支払いデータd500を受信すると(ステップ307)、支払いデータ記憶部131に格納する(ステップ308)。
【0036】
次に、支払い処理部121は、受信した支払いデータd500に基づいて、割り勘代金を支払うために登録されたクレジットカードが有効であるか否かを判定する(ステップ309)。クレジットカードの有効性の判定は、一般的なオーソリである。ステップ309において、有効期限切れなどの理由でクレジットカードが使用できない(無効である)と判定した場合、Noルートに進み、支払い処理部121は、参加者端末102にその旨を示すエラー通知を送信する(ステップ310)。この場合、参加者は、参加者端末102を介して、別のクレジットカードを登録することでステップ306からやり直すことができる。
【0037】
一方、ステップ309において、クレジットカードは有効であると判定した場合、Yesルートに進み、支払い処理部121は、割り勘データd400を更新する(ステップ311)。より具体的には、「支払い済人数」d410をカウントアップし、「カード名義」d502を支払い済み者データ(図示せず)保持する。これにより、幹事は、幹事者端末101を介して、割り勘アプリより支払い状況を確認することができる。
【0038】
次に、割り勘サービスサーバ100の決済処理部122は、割り勘データd400および支払いデータd500に基づいて決済データd600を作成し(ステップ312)、決済データ記憶部132に格納する(ステップ313)。決済データd600の作成について、上述したように、参加者1人の支払いに対し、参加者への請求分、および幹事へのマイナス請求(支払い)分の2レコードが生成される。作成された決済データd600は、決済処理部122によってカード会社サーバ104に送信される(ステップ314)。この際、クレジットカード番号である「利用カード番号」d601の上6桁によりクレジットカード会社を特定し、適切なクレジットカード会社のカード会社サーバ104に決済データd600を送信することができる。
【0039】
ステップ314の後、本処理は終了するが、その後、カード会社サーバ104によって決済データd600に基づいたクレジットカードの決済処理が実行される。各参加者に対しては、単に、割り勘代金の支払いに対する決済が行われるのみである。一方、幹事に対しては、図7に示すように、店舗への代金の支払いと、各参加者からの支払いとに対する決済が行われる。図7は、本発明の一実施形態に係る幹事のカード利用明細d700を示す図である。幹事のカード利用明細d700は、店舗への代金の支払い(32000円)と、各参加者の割り勘代金の回収(各−4000円)に対してクレジットカードが利用されたことを示している。各参加者の割り勘代金の回収では割り勘代金相当額のマイナス請求が行われる。これにより、通常請求分の金額から割り勘代金相当額が減算され、実質的に幹事への支払いが行われることになる。図7の例では、16000円(32000円−4000円×4)の請求が幹事に対して行われることになる。なお、各参加者の支払いは、必ずしも幹事の店舗への支払いと同月締め内で行われるわけではない。そのため、図7に示すように、幹事の店舗への支払いと同月締めの利用明細に、すべての参加者の支払い分のマイナス請求が載ってこない場合もあり得る。この場合、翌月締め以降の利用明細において、参加者の支払い分のマイナス請求が行われることになる。また、クレジットカード利用によるポイントの調整も併せて行うことができる。例えば、図7の例では、16000円分のポイントが付与されるが、翌月以降の各参加者の支払い分のポイントを現在の保持ポイントから差し引くこともできる。
【0040】
以上により、本発明によれば、コンピューティングシステムを用いて、幹事のみ割り勘アプリをインストールし参加者に対し割り勘代金の請求を行い、参加者は従来のクレジットカード支払いと同じ手順で割り勘代金を支払い、幹事のクレジットカード決済時に幹事の支払い額の調整(割り勘)を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7