特許第6762394号(P6762394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762394
(24)【登録日】2020年9月10日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】骨錐穴カバー装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/80 20060101AFI20200917BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   A61B17/80
   A61B17/86
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-65111(P2019-65111)
(22)【出願日】2019年3月28日
(65)【公開番号】特開2020-44315(P2020-44315A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2019年3月29日
(31)【優先権主張番号】107132861
(32)【優先日】2018年9月18日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】313008227
【氏名又は名称】合碩生技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】黄孟鋒
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−206311(JP,A)
【文献】 特表2009−501575(JP,A)
【文献】 特開2012−120641(JP,A)
【文献】 特表2012−509105(JP,A)
【文献】 特表2002−510992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/80
A61B 17/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨にあけられた骨錐穴を覆うための骨錐穴カバー装置であって、
少なくとも、上部締め付け部品と、下部締め付け部品と、を含んで構成され、
該上部締め付け部品が、第1基部と、該第1基部に設けられた第1結合部と、を備え、
該下部締め付け部品が、少なくとも、第2基部と、該第2基部に設けられ、かつ該第1結合部と結合可能な第2結合部と、を含み、
該第2基部が、少なくとも1つの第1アームと、少なくとも1つの第2アームと、で構成され、
該第1アームと該第2アームが形成する合計長さが、前記骨錐穴の直径より大きく、該第1アームの長さが該第2アームの長さより大きくなるよう制御して長短の配置を形成した
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項2】
請求項1に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第1結合部と該第2結合部が、ネジ孔とボルトの螺合を形成する
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項3】
請求項1に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第1結合部がリングであり、底部に通り穴を設けた凹部が該リングに凹設され、かつナットが該凹部内に組み込まれ、
該第2結合部が該ナットと螺合可能なボルトである
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項4】
請求項3に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第1結合部がリングであり、該凹部の内側表面に嵌込み溝が凹設され、かつ該凹部内にナットが組み込まれ、該ナットの外側表面に該嵌込み溝内に嵌め込んで枢結可能な凸リングが凸設され、該第2結合部が該ナットと螺合可能なボルトであり、該ナットと該上部締め付け部品を枢結し、該ナットと該ボルトを螺合して回動させたとき、該上部締め付け部品が連動して回動されないが、該ナットに動かされて上下移動する可動式ホック構造が形成された
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項5】
請求項1に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第1結合部が係止孔であり、該第2結合部が細長いベルト部材であり、該ベルト部材に該係止孔と係合させて位置決めする歯止め部が設けられた
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第2アームの長さが該リングの半径より大きい
ことを特徴とするに記載の骨錐穴カバー装置。
【請求項7】
請求項1に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第2アームの長さが該骨錐穴の半径より大きい
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項8】
請求項1に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第1アームと該第2アームが適切な幅の片状体であり、該第2結合部の中心線を中心として長短を成して配置され、該第1アームと該第2アームが一体成形で連接された
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項9】
請求項1に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第1アームと該第2アームが適切な幅の片状体であり、該第2結合部の中心線を中心として長短を成して配置され、該第1アームと該第2アームが分離した部材であり、かつ折り畳み機能を備えた可動式軸着により連接された
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項10】
請求項9に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第1アームが該第2結部を延伸して形成され、該第1アームに該第2アームを入れて収容できる凹部が凹設され、該第2アームに、該第2結合部に挿着される挿着部が設けられ、かつ該第2結合部を軸として展開または折り畳まれる
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項11】
請求項3または請求項4に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記ナットの上端部に手術工具の結合に供する第1位置決め部が設けられ、該ボルトの内部に該手術工具の結合に供する内ネジ孔が形成された
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項12】
請求項11に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第1位置決め部が、該ナットの上端部周縁に凹凸状に周設されるか、または端面に少なくとも2つの凹孔構造が設けられ、該ボルトの内ネジ孔に該ボルト及び該第2基部に貫通し、排出管の挿入に供する貫通孔が形成された
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【請求項13】
請求項2に記載の骨錐穴カバー装置において、
前記第1基部に手術工具の結合に供する凹状または凸状の第1位置決め部が設けられた
ことを特徴とする骨錐穴カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使用範囲を広げ、共用性及び性能を向上した、骨錐穴カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術である台湾特許公告第I609670号「頭蓋骨固定装置及びその手術用具」は、出願人により研究開発された創作であり、当局の審査を経て特許が認められた発明である。この頭蓋骨固定装置は少なくとも下部締め付け部品と可動式ホック部品を含み、可動式ホック部品を外スリーブに固定する時、頭骨外表面の間に一定の距離をおいて配置することが可能であり、頭蓋骨を埋め込んで元の位置に戻しやすくすることができる。
【0003】
前述の固定装置は、閉鎖用頭蓋骨固定の臨床操作上便利且つ先進的であるが、この下部締め付け部品は円形の構造であり、かつその円形の外径が鑽孔の内径より大きいため、元の切り出した閉鎖用頭骨蓋を頭骨に戻して固定するためだけに適用でき、単純にモニター装置やプローブの設置、またはドレナージ管での排液のために設けられた単一の鑽孔に対しては、該下部締め付け部品を該鑽孔から頭骨内に挿入して設置することができないため、該鑽孔を覆うために用いることができず、鑽孔を別のもので覆う必要があり、上述の発明は閉鎖用頭蓋骨の固定または鑽孔カバーに共用する機能を具備させることができない。さらに、骨移植手術のように、人体のその他の部位で骨を切り取る場合、例えば大腿骨、手骨、足骨、胸骨等の骨に鑽孔する必要がある、または手術器具を相隣する骨に穴を開けて設置しなければ手術の操作を行うことができない場合も、同様に穴を開ける骨に鑽孔する必要がある。上述の発明の下部締め付け部品は同様に該単一の鑽孔から挿入して設置することができず、骨の単一の鑽孔を覆うために用いることはできない。また、これらの鑽孔を覆わずに空洞を残した状態にすると、軟組織、硬組織によって埋められやすく、正常な骨の増生に影響するほか、これらの鑽孔がカバーによる保護がない状態下で少しでも外力を受けると損傷が発生しやすく、現在医学界で解決が求められている問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾特許公告第I609670号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、使用範囲を広げ、共用性及び性能を向上した、骨錐穴カバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的及び効果を達成するため、本発明が採用する技術手段は以下を含む。
【0007】
本発明の骨錐穴カバー装置は、少なくとも、上部締め付け部品と、下部締め付け部品を含んで構成され、該上部締め付け部品が、第1基部と、該第1基部に設けられた第1結合部を備え、該下部締め付け部品が、少なくとも、第2基部と、該第2基部に設けられ、かつ該第1結合部と結合可能な第2結合部を含み、該第2基部が、少なくとも1つの第1アームと、少なくとも1つの第2アームから構成され、該第1アームと該第2アームが形成する合計長さが鑽孔の直径より大きく、かつ該第1アームの長さが該第2アームの長さより大きくなるよう制御され、長短の配置が形成される。
【0008】
そのうち、該第2アームの長さが鑽孔の半径より大きい。
【0009】
そのうち、該第1アームと該第2アームが適切な幅の片状体であり、該第2結合部の中心線を中心として長短を成して配置され、該第1アームと該第2アームが一体成形で連接される。
【0010】
そのうち、該第1アームと該第2アームが適切な幅の片状体であり、該第2結合部の中心線を中心として長短を成して配置され、該第1アームと該第2アームが分離した部材であり、折り畳み機能を備えた可動式軸着により連接される。
【0011】
以下この考案について説明する。請求項1に記載する骨錐穴カバー装置は、少なくとも、上部締め付け部品と、下部締め付け部品を含んで構成され、該上部締め付け部品が、第1基部と、該第1基部に設けられた第1結合部を備え、該下部締め付け部品が、少なくとも、第2基部と、該第2基部に設けられ、かつ該第1結合部と結合可能な第2結合部を含み、該第2基部が、少なくとも1つの第1アームと、少なくとも1つの第2アームで構成され、該第1アームと該第2アームが形成する合計長さが、鑽孔の直径より大きく、該第1アームの長さが該第2アームの長さより大きくなるよう制御して長短の配置を形成する。
【0012】
請求項2に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項1における第1結合部と該第2結合部が、ネジ孔とボルトの螺合を形成する。
【0013】
請求項3に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項1における第1結合部がリングであり、底部に通り穴を設けた凹部が該リングに凹設され、かつナットが該凹部内に組み込まれ、該第2結合部が該ナットと螺合可能なボルトである。
【0014】
請求項4に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項3における第1結合部がリングであり、該凹部の内側表面に嵌込み溝が凹設され、かつ該凹部内にナットが組み込まれ、該ナットの外側表面に該嵌込み溝内に嵌め込んで枢結可能な凸リングが凸設され、該第2結合部が該ナットと螺合可能なボルトであり、該ナットと該上部締め付け部品を枢結し、該ナットと該ボルトを螺合して回動させたとき、該上部締め付け部品が連動して回動されないが、該ナットに動かされて上下移動する可動式ホック構造が形成される。
【0015】
請求項5に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項1における第1結合部が係止孔であり、該第2結合部が細長いベルト部材であり、該ベルト部材に該係止孔と係合させて位置決めする歯止め部が設けられる。
【0016】
請求項6に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項3または4における第2アームの長さが該リングの半径より大きい。
【0017】
請求項7に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項1における第2アームの長さが該鑽孔の半径より大きい。
【0018】
請求項8に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項1における第1アームと該第2アームが適切な幅の片状体であり、該第2結合部の中心線を中心として長短を成して配置され、該第1アームと該第2アームが一体成形で連接される。
【0019】
請求項9に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項1における第1アームと該第2アームが適切な幅の片状体であり、該第2結合部の中心線を中心として長短を成して配置され、該第1アームと該第2アームが分離した部材であり、かつ折り畳み機能を備えた可動式軸着により連接される。
【0020】
請求項10に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項9における第1アームが該第2結部を延伸して形成され、該第1アームに該第2アームを入れて収容できる凹部が凹設され、該第2アームに、該第2結合部に挿着される挿着部が設けられ、かつ該第2結合部を軸として展開または折り畳まれる。
【0021】
請求項11に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項3または4におけるナットの上端部に手術工具の結合に供する第1位置決め部が設けられ、該ボルトの内部に該手術工具の結合に供する内ネジ孔が形成される。
【0022】
請求項12に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項11における第1位置決め部が、該ナットの上端部周縁に凹凸状に周設されるか、または端面に少なくとも2つの凹孔構造が設けられ、該ボルトの内ネジ孔に該ボルト及び該第2基部に貫通し、排出管の挿入に供する貫通孔が形成される。
【0023】
請求項13に記載する骨錐穴カバー装置は、請求項2における第1基部に手術工具の結合に供する凹状または凸状の第1位置決め部が設けられる。
【発明の効果】
【0024】
これにより、該第1アームと該第2アームに長短部分を形成した配置を利用して、該下部締め付け部品を斜め方向に鑽孔に向かって挿入すれば、円滑かつ迅速に該第1アームと該第2アームを鑽孔内の下端部に挿入して位置決めすることができ、あらゆる部位の骨の鑽孔も覆うことが可能となり、操作上非常に迅速かつ簡便で、鑽孔を最小孔径に維持し、骨の構造破壊を最低限に抑えることができる。また、閉鎖用頭蓋骨の固定に使用するときは、該第1アームと第2アームを閉鎖用頭蓋骨と頭骨に横架してそれぞれ押さえることができ、共用使用範囲と性能を効果的に向上し、先行技術の不足点を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の立体分解図である。
図2】本発明の仰視立体分解図である。
図3】本発明の下部締め付け部品の断面図である。
図4】本発明を骨の単一鑽孔のカバーに用いた断面図である。
図5】本発明の図4のA−A線での断面図である。
図6】本発明の第1アームと第2アームを異なる角度で連接した状態を示す概略図である。
図7】本発明の第1アームと第2アームをY字形に連接した状態を示す概略図である。
図8】本発明の第1アームと第2アームの可動式軸着の展開を俯瞰した概略図である。
図9】本発明の図8の折り畳んだ状態の断面図である。
図10】本発明と手術用具を組み合わせた立体図である。
図11】本発明の図10の下部締め付け部品を斜めに鑽孔に向かって挿入する操作を示す断面図である。
図12】本発明の図10の下部締め付け部品を斜めに挿入して第1アームと第2アームを鑽孔下端部内に位置決めした状態を示す断面図である。
図13】本発明の図10の手術工具が可動式ホック部品を下へ移動させ、下部締め付け部品と螺合して鑽孔を挟んで覆った後引き抜かれる動作を示す立体図である。
図14】本発明の図10を頭骨の鑽孔内に埋め込み、閉鎖用頭蓋骨を被せる操作を示す立体図である。
図15】本発明の上部締め付け部品に第2基部からずれた箇所で花弁部を切断して切れ込みを形成し、排出管の挿入に供した状態を示す立体図である。
図16】本発明の排出管を第2基部からずれた上部締め付け部品のスリット溝内に挿入して位置規制した状態を示す立体図である。
図17】本発明の第1結合部と第2結合部にそれぞれ形成されたリング、ナット及びボルトを結合した別の実施例の断面図である。
図18】本発明の第1結合部と第2結合部にそれぞれ形成されたネジ孔とボルトの結合を示す断面図である。
図19】本発明の第1結合部と第2結合部に係止孔と拘束部材を形成した結合の実施例1を示す立体透視図である。
図20】本発明の図18の部分断面図である。
図21】本発明の第1結合部と第2結合部に係止孔と拘束部材を形成した実施例2を示す立体透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、図1から図16に示す本発明の骨錐穴カバー装置Aは、どの部位の骨の鑽孔を覆うかに関わらず、骨錐穴カバー装置Aと手術工具Bの連結構造及び操作方法は、同一出願人が研発開発した先行技術台湾特許公告第I609670号と同じであるため、ここでは説明を省略し、以下でこの部分については簡単な説明に留めることを先に説明しておく。
【0027】
以下で頭骨の単一鑽孔を覆うために本発明を使用する実施例について説明する。本発明は骨のあらゆる部位の鑽孔を覆うために使用できるため、これに限定されない。
【0028】
図1から図7に示すように、本発明の骨錐穴カバー装置Aは、少なくとも、上部締め付け部品30と、下部締め付け部品50を含む。
【0029】
該上部締め付け部品30は、少なくとも第1基部31と、該第1基部31に設けられた第1結合部32を含む。該第1基部31が板状または円盤状であり、その円盤の外周縁に複数のスリット溝311で間を隔てられた複数の花弁部312が設けられ、該複数の花弁部312は、その厚さが外周縁に向かって徐々に薄くなっており、頭骨70に嵌入し、しっかりと挟んで固定させやすくなっている。該第1結合部32は底部に通り穴323を設けた凹部322のリングであり、かつナット33が該凹部322内に組み込まれ、また該凹部322の内側表面に嵌込み溝321が凹設され、さらに該通り穴323に内切面324が設けられる。該ナット33の上端部周縁に手術工具Bの結合に用いる第1位置決め部42が周設される。好ましくは、該第1位置決め部42は該ナット33の上端部周縁に凹凸状に周設するか、または下端面に少なくとも2つの凹孔構造(図示しない)が凹設される。該ナット33の外側表面に該凹部322の内側表面の嵌込み溝321と枢結される凸リング41が設けられ、該ナット33と該下部締め付け部品50の第2結合部52(ボルト)を螺合して回動させたとき、該上部締め付け部品30は連動して回動されないが、ナット33に動かされて上下移動する可動式ホック構造が形成される。
【0030】
該下部締め付け部品50は、少なくとも適切な幅の片状の第2基部51と、第2結合部52を含む。該第2結合部52はナット33を螺合するボルトであり、該第2結合部52(ボルト)の内部に、手術工具Bの結合に用いる内ネジ孔53が設けられ、第2結合部52(ボルト)に該通り穴323の内切面324に対応する外切面521が設けられる。また該第2基部51が、第1アーム511と、少なくとも1つの第2アーム512より構成され、かつ該第1アーム511と該第2アーム512が、該第2結合部52(ボルト)の中心線Zを中心として長短の配置を形成し、さらに該第1アーム511と該第2アーム512が形成する合計長さX+Yが鑽孔73の直径Dより大きく、かつ第1アームの長さXが第2アームの長さYより大きく、該第2アームの長さYが鑽孔73の半径R1より大きくなるよう制御する。または、該第2アームの長さYを第1結合部32(リング)の半径R2より大きくし、該第2アームの長さYは該鑽孔73の半径R1より小さいが、手術操作上は挿入した後装置を第2アーム512の短辺に向かって移動させれば、該第1結合部32(リング)を鑽孔73の内側壁面に当接させて、該第1アーム511と該第2アーム512を位置決めして鑽孔73の下端部両側にそれぞれ横架し、嵌置させることができ、且つ、該第1基部51の幅は鑽孔73の直径より小さい。
【0031】
図5から図7に示すように、該第1アーム511と該第2アーム512は第2結合部52(ボルト)の中心線Zを中心として一字形の連結を形成するか、また異なる角度の連結を形成するか、或いはY字形の連結を形成する。また、上述の第1アーム511と第2アーム512は一体成形で連接されるか、または図8図9に示すように、該第1アーム511と第2アーム512を分離した部材とし、即ち該第1アーム511が該第2結合部52(ボルト)を延伸して形成され、かつ該第1アーム511に第2アーム512を入れて収容できる凹部5111が凹設され、該第2アーム512に挿着部5121が設けられ、該第2結合部52(ボルト)に挿着され、かつ該第2結合部52(ボルト)を軸として展開または折り畳むことができ、また図に示すように該第2アーム512は複数あり、これらの第2アーム512が該第2結合部52(ボルト)に内と外に重ねて挿着され、かつ相隣する下方の第2アーム512に、上方の第2アーム512を重ねて可動的に収容する凹部5122が同様に凹設される。
【0032】
図4から図13に本発明を使用して骨の鑽孔を覆う操作を示す。まず、本発明の骨錐穴カバー装置Aを予め手術工具Bと連結して位置決めし、1つの組立体を形成する。本発明は、該下部締め付け部品50の第2基部51が適した幅を備えた片状体であり、かつ該第1アーム511と該第2アーム512に長短の配置が形成されていることが特徴であり、これにより、組立体全体を斜め方向に持ち、該下部締め付け部品50を斜めに該鑽孔73に向かって挿入すると、円滑かつ迅速に該第1アーム511と該第2アーム512を該鑽孔73内に入れて位置決めし、かつ鑽孔73下端部両側に横架させることができ、続いて手術工具Bにより上部締め付け部品30を動かして下へ移動させ、該ナット33と下部締め付け部品50の第2結合部52(ボルト)を螺着すると、該ナット33が上部締め付け部品30を動かして下へ移動させ、第1アーム511及び第2アーム512としっかり挟んで固定でき、同時に該上部締め付け部品30で該鑽孔73を覆うことができ、操作上非常に便利かつ迅速である。
【0033】
図14に本発明を閉鎖用頭蓋骨の固定に使用する場合を示す。まず、本発明の骨錐穴カバー装置Aは同様に予め手術工具Bと連結して位置決めされ、1つの組立体が形成される。直接骨錐穴カバー装置Aと手術工具Bを同時に一緒に頭骨70の鑽孔73位置に埋め込むとき、本発明の下部締め付け部品50の第2基部51が長短の配置を呈する第1アーム511と第2アーム512を備えているため、閉鎖用頭蓋骨72と頭骨70の底部に横架してそれぞれ押さえることができ、続いて手術工具Bにより上部締め付け部品30を動かして下へ移動させ、ナット33と第2結合部52(ボルト)を螺合させて下へ移動させると、該上部締め付け部品30を動かして締め、下部締め付け部品の第1アーム511及び第2アーム512との間に挟持力を生じさせ、閉鎖用頭蓋骨72をしっかりと挟んで頭骨70上に固定でき、操作上非常に便利かつ迅速である。
【0034】
本発明を閉鎖用頭蓋骨の固定に使用し、同時に排出管機能を追加設置する場合、図3図4に示すように、該第2結合部52(ボルト)の内ネジ孔53が第2基部51まで続いて貫通され、排出管(図示しない)を挿入する貫通孔531が形成される。または、図15に示すように、該上部締め付け部品30の該第2基部51の該下部締め付け部品50からずれた箇所で花弁部312を切断して切れ込み313を形成し、排出管80の挿入に供することができる。または、図16に示すように、上部締め付け部品30の複数のスリット溝311を概ね鍵穴の形状に形成し、排出管80の管径より小さい開口314と、排出管80の管径より大きい位置規制孔315を具備させ、排出管80の嵌入と位置規制に供することができる。これにより、本発明は該下部締め付け部品50の第2基部511を適切な幅を有する片状体に形成しているため、図15図16に示す異なる構造のいずれも適用可能であり、いかなる構造の変更も必要なく、適用範囲がより広範である。
【0035】
上述の本発明の骨錐穴カバー装置Aはあらゆる部位の骨の鑽孔73を被覆するか、または閉鎖用頭蓋骨72を挟んで固定した後、先行技術と同様に、手術工具Bの外スリーブ60を上に移動させ逆方向に回動させると、手術工具Bを骨錐穴カバー装置Aから迅速に取り出すことができる。反対に、骨錐穴カバー装置Aまたは閉鎖用頭蓋骨72を取り出すときは、逆方向の操作をすれば装置10を頭骨(骨)70から取り出すことができ、本発明は埋め込み、取り出しのいずれの操作も非常に迅速かつ便利に行うことができる。
【0036】
本発明が提供する骨錐穴カバー装置Aは、その他従来技術と比較して、次のような利点がある。
【0037】
1、本発明の下部締め付け部品50は、該第1アーム511及び該第2アーム512を長短の配置とし、かつその幅が鑽孔73の直径より小さく形成することにより、該第下部締め付け部品50を鑽孔73に向かって斜めに挿入するだけで、簡単に該第1アーム511及び該第2アーム512を斜めに挿入して鑽孔73の下端部内に位置決めすることができ、あらゆる部位の骨の鑽孔73を覆うために使用できる。操作上非常に迅速かつ簡便であり、鑽孔73を最小孔径に維持して骨構造の破壊を最低限に抑えることができる。
【0038】
2、本発明を閉鎖用頭蓋骨の固定に使用する場合、該第1アーム511及び該第2アーム512に長短の配置を形成したことにより、閉鎖用頭蓋骨72と頭骨70に横架してそれぞれ挟んで押さえることができ、あらゆる骨の鑽孔または閉鎖用頭蓋骨の固定のいずれにも適用できるため、共用使用範囲と性能を効果的に向上することができる。
【0039】
3、本発明を閉鎖用頭蓋骨の固定に用い、排出管80を追加設置する必要がある場合、該第2基部51が適切な幅を備えた片状体であり、また長短の配置を備えているため、いかなる構造も増設する必要がなく、上部締め付け部品30を変えるだけでよいため、下部締め付け部品52の変更を省略し、製造コストを効果的に抑えることができる。
【0040】
4、本発明は上述の優れた効果の進歩性を備えているほか、先行技術の諸々の効果も当然変わらず維持しており、相対して本発明は機能と効果がより増進され、より進歩的である。
【0041】
また、本発明の第1結合部32及び第2結合部52の結合方式は多様であり、上述した結合方式のほか、図17に示すように、該第1結合部32Aのリング及びナットが単純な嵌合であり、該第2結合部52Aがボルトの別の結合の実施例とすることができる。または、図18に示すように、該第1結合部32B及び第2結合部52Bにそれぞれ内ネジ孔とボルトを形成した結合方式とすることもできる。或いは、図19図20の拘束部材で結合する実施例1に示すように、該第1結合部32Cには内部に弾性係止部325を備えた係止孔を形成し、該第2結合部52Cには適切な長さを有するストリップ状のベルト部材を形成し、該ベルト部材の少なくとも一面に該係止部325と係合させることができるラチェット状の歯止め部522を設けることができる。または、図21の拘束部材で結合する実施例2に示すように、該第1結合部32Dに上が小さく下が大きい錐状の係止孔を形成し、該第2結合部52Dを細長い棒状のベルト部材として、該ベルト部材の細長い棒上に間隔をあけて錐状の該係止孔と係合させることができる複数の凸錐状の歯止め部522を凸設する。ベルト部材を係止孔に穿設した後、手術工具Cを組み合わせ、該上部締め付け部品30を動かして該下部締め付け部品50に向けて移動させ、締め付けて固定し、鑽孔を覆う。
【符号の説明】
【0042】
A 骨錐穴カバー装置
30 上部締め付け部品
31 第1基部
311 スリット溝
312 花弁部
313 切れ込み
314 開口
315 位置規制孔
32、32A、32B、32C、32D 第1結合部
321 嵌込み溝
322 凹部
324 内切面
323 通り穴
325 係止部
33 ナット
41 凸リング
42 第1位置決め部
50 下部締め付け部品
51 第2基部
511 第1アーム
512 第2アーム
5111、5122 凹部
5121 挿着部
52、52A、52B、52C、52D 第2結合部
521 外切面
322 歯止め部
53 内ネジ孔
531 貫通孔
60 外スリーブ
70 頭骨
72 閉鎖用頭蓋骨
73 鑽孔
80 排出管
B、C 手術工具
Z 中心線
X 第1アーム長さ
Y 第2アーム長さ
R1 鑽孔半径
R2 第1結合部(リング)半径
D 鑽孔直径
図1
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