特許第6762413号(P6762413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6762413
(24)【登録日】2020年9月10日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】滑り免震装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20200917BHJP
   F16F 7/08 20060101ALI20200917BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   F16F15/02 E
   F16F7/08
   E04H9/02 331E
   F16F15/02 L
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-230625(P2019-230625)
(22)【出願日】2019年12月20日
【審査請求日】2020年1月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 伸介
(72)【発明者】
【氏名】野呂 直以
(72)【発明者】
【氏名】小西 克尚
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 厚
(72)【発明者】
【氏名】西本 晃治
(72)【発明者】
【氏名】関山 雅人
(72)【発明者】
【氏名】二ノ宮 有希
(72)【発明者】
【氏名】原田 大
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5521096(JP,B1)
【文献】 特表2018−525542(JP,A)
【文献】 特開2005−220487(JP,A)
【文献】 特開2010−054050(JP,A)
【文献】 特開2000−104731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00−15/36
F16F 7/08
E04H 9/00− 9/16
D03D 1/00−27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一摺動面を備えている構造体固定板と、該第一摺動面と当接する第二摺動面を備えている金属製の摺動体と、を有する滑り免震装置であって、
経糸と緯糸のうち、いずれか一方が高強度繊維とPTFE繊維とを合わせて撚った複数の合撚糸により形成され、いずれか他方が複数の高強度繊維により形成されている、一重織物からなる摩擦材が、前記第一摺動面と前記第二摺動面のいずれか一方、もしくは双方に取り付けられており、
前記一重織物はツイル組織を有し、該一重織物を形成する前記他方の前記高強度繊維に比べて、該一重織物を形成する前記一方の前記合撚糸が、前記摩擦材が取り付けられている側と反対側の表面に多く露出するように織り込まれていることを特徴とする、滑り免震装置。
【請求項2】
前記高強度繊維がPPS繊維もしくは液晶ポリエステル繊維のいずれか一種であることを特徴とする、請求項に記載の滑り免震装置。
【請求項3】
前記構造体固定板は、ともに前記第一摺動面を備えている上部構造体固定板及び下部構造体固定板を含み、
前記摺動体は、その上下面において、上下の前記第一摺動面に当接する上下の前記第二摺動面を備えており、
前記摩擦材が、前記上部構造体固定板及び前記下部構造体固定板のそれぞれの前記第一摺動面、もしくは、前記摺動体の上下の前記第二摺動面のいずれか一方もしくは双方に取付けられている、二面滑り支承であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の滑り免震装置。
【請求項4】
前記構造体固定板は前記第一摺動面を備えており、
前記摺動体は、前記第一摺動面に当接する前記第二摺動面を備えるとともに受け台にて保持されており、
前記摩擦材が、前記構造体固定板の前記第一摺動面、もしくは、前記摺動体の前記第二摺動面のいずれか一方もしくは双方に取付けられている、片面滑り支承であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の滑り免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震国であるわが国においては、ビルや橋梁、高架道路、戸建の住宅といった様々な構造物に対して、地震力に抗する技術、構造物に入る地震力を低減する技術など、様々な耐震技術や免震技術、制震技術が開発され、各種構造物に適用されている。中でも免震技術は、構造物に入る地震力そのものを低減する技術であることから、地震時の構造物の振動は効果的に低減される。この免震技術を概説すると、下部構造物である基礎と上部構造物との間に免震装置を介在させ、地震による基礎の振動の上部構造物への伝達を低減し、上部構造物の振動を低減して構造安定性を保証するものである。尚、この免震装置は、地震時のみならず、構造物に対して常時作用する交通振動の上部構造物への影響低減にも効果を発揮する。
【0003】
免震装置には、鉛プラグ入り積層ゴム支承装置や高減衰積層ゴム支承装置、積層ゴム支承とダンパーを組み合わせた装置、滑り免震装置など、様々な形態の装置が存在している。その中で、滑り免震装置には平面滑り免震支承と球面滑り免震支承があり、平面滑り免震支承は復元力を有しないが、球面滑り免震支承は復元力を有し、地震時のセルフセンタリング機能を有する。ところで、従来の滑り免震装置では、装置内に介在するテフロン(登録商標)等の基準面圧が20N/mm(20MPa)であるために、構造物の高層化等に起因して載荷重量が重くなった場合に、この荷重に見合う平面寸法の滑り免震装置とするべく、滑り免震装置を大規模化せざるを得なかった。そのため、積層ゴム免震装置等の異種の免震装置に比べてコスト競争力が低くなってしまい、結果として使用頻度が低くなっていた。
【0004】
そこで、例えば、面圧60N/mm(60MPa)を実現する摺動体を備えた、高性能な滑り免震装置が提案されている。具体的には、曲率を有する摺動面を備えた上沓(上部構造体固定板)及び下沓(下部構造体固定板)と、上沓と下沓の間で、それぞれの沓と接して曲率を有する上面及び下面を備えた鋼製の摺動体と、から構成される滑り免震装置である。摺動体の上面と下面には、PTFE繊維とPTFE繊維よりも引張強度の高い繊維とからなる二重織物層が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5521096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の滑り免震装置によれば、60MPa程度の面圧に対抗して、高い免震性能を備えた滑り免震装置を提供することができる。また、特許文献1に記載の滑り免震装置においては、摺動体の上下の摺動面において、PTFE繊維(polytetrafluoroethylene、ポリテトラフルオロエチレン)と、PTFE繊維よりも引張強度の高い繊維(高強度繊維であり、例えばPPS繊維(polyphenylenesulfide、ポリフェニレンサルファイド))とにより形成される、二重織物からなる摩擦材を取り付けている。より詳細には、摺動体の上面と下面のいずれにおいても、PTFE繊維が上下の構造体固定板側に位置するようにして二重織物が摺動体の上面と下面に接着等により固定されている。このような形態の摺動体を適用することにより、仮にPTFE繊維が摺動に起因して摩耗して減厚し、消滅した場合でも、摺動体の接着面側に存在しているPPS繊維内にPTFE繊維の摩耗粉が入り込み、少なくともその一部は上下の構造体固定板の有する摺動面に臨むことができるため、PTFE繊維の良好な摺動性を享受することができ、暫くの間は所定の摩擦係数を維持することが可能になる。
【0007】
上記する滑り免震装置において、二重織物は、PTFE繊維が摺動側に配設され、高強度繊維が接着側に配設される構造を有しており、この高強度繊維層の存在により60MPaの高面圧に耐えることができる。また、摺動側にPTFE繊維が露出しており、摺動の際の摩耗によりPTFE繊維の排出が促進されることにより、PTFE繊維層に余分な繊維溜まりを蓄積せず、安定した摩擦係数を担保している。また、仮に摩耗によりPTFE繊維層が無くなったとしても、下層の高強度繊維の編み目に目詰まりすることにより、当面の間、一定の摩擦係数を担保できる機能を有する。一方、PTFE繊維層は摩耗により排出されることから、摺動耐久性に対しては課題がある。そこで、PTFE繊維を増厚して耐久性を向上する方策も考えられるが、60MPaの高面圧状態においては、PTFE繊維層の圧縮変形により増厚が有効に機能し難い。以上の理由により、摺動耐久性の向上に対しては限界がある。
【0008】
本発明は、摩擦材の厚みを大幅に厚くすることなく、摺動耐久性に優れた滑り免震装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明による滑り免震装置の一態様は、
第一摺動面を備えている構造体固定板と、該第一摺動面と当接する第二摺動面を備えている金属製の摺動体と、を有する滑り免震装置であって、
高強度繊維とPTFE繊維とを合わせて撚った複数の合撚糸により形成される一重織物からなる摩擦材が、前記第一摺動面と前記第二摺動面のいずれか一方、もしくは双方に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、高強度繊維とPTFE繊維とを合わせて撚った複数の合撚糸を経糸もしくは緯糸とし、複数の合撚糸を複数の緯糸もしくは経糸にて織り込んで一体とされた一重織物を摩擦材とし、構造体固定板の第一摺動面と摺動体の第二摺動面のいずれか一方もしくは双方に一重織物からなる摩擦材を取り付けたことにより、高い摺動耐久性を有する滑り免震装置を形成することができる。尚、本態様の滑り免震装置も、特許文献1に記載の滑り免震装置と同様に、60MPa程度の面圧に対抗しながら、高い免震性能を備えた滑り免震装置となる。
【0011】
ここで、「摩擦材が、第一摺動面と第二摺動面のいずれか一方、もしくは双方に取り付けられている」とは、摩擦材が構造体固定板の第一摺動面にのみ取り付けられている形態、摩擦材が摺動体の第二摺動面にのみ取り付けられている形態、摩擦材が第一摺動面と第二摺動面の双方に取り付けられている形態を含んでいる。
【0012】
本態様の滑り免震装置を構成する一重織物においては、高強度繊維とPTFE繊維とを合わせて撚った合撚糸において、PTFE繊維が繊維内部抱合されている(高強度繊維にて保持されている)ことにより、摺動時にPTFE繊維の摩耗粉が外部に掃き出され難くなり(析出し難くなり)、結果としてPTFE繊維の残存寿命が延びる効果が奏される。ここで、複数の合撚糸が例えば経糸(緯糸)である場合に、緯糸(経糸)には合撚糸を形成する高強度繊維等を適用することができる。
【0013】
また、高強度繊維とPTFE繊維とを合わせて撚った複数の合撚糸により形成される一重織物は、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤を介して、金属製の構造体固定板の有する第一摺動面や金属製の摺動体の有する第二摺動面に貼り付けることが可能であり、60MPa程度の面圧下においても、摩擦材の剥がれがないことが検証されている。
【0014】
また、本発明による滑り免震装置の他の態様において、前記一重織物は、経糸と緯糸がともに前記合撚糸からなる形態、もしくは、経糸と緯糸のいずれか一方のみが前記合撚糸からなり、他方は前記高強度繊維からなる形態、もしくは、経糸と緯糸のいずれか一方のみが前記合撚糸からなり、他方はPTFE繊維からなる形態、のいずれか一種であることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、いずれの形態の一重織物からなる摩擦材を有する滑り免震装置であっても、二重織物からなる摩擦材を有する滑り免震装置に比べて摺動耐久性が向上する。尚、本明細書において、「経糸」と「緯糸」とは、平面視において、文字通り縦方向(上下方向)に延びる糸が経糸であり、横方向(水平方向)に延びる糸が緯糸であるが、これを90°回転させると、経糸と緯糸が逆転し、回転前の状態の経糸と緯糸はそれぞれ緯糸と経糸になる。従って、例えば、「経糸のみが合撚糸からなり、緯糸は高強度繊維からなる形態」に関しては、「緯糸のみが合撚糸からなり、経糸は高強度繊維からなる形態」を含むものとしてよく、「経」や「緯」に厳格に拘束されるものではない。
【0016】
また、経糸と緯糸の織り方を変えることにより、摩擦材の表面に露出するPTFE繊維の露出面積を変更することが可能になる。仮に摩擦材におけるPTFE繊維の重量比が同じ場合であっても、PTFE繊維の露出面積が変化することにより、摩擦力低減効果が変わる。また、同様に経糸と緯糸の織り方を変えることにより、摩擦材の裏面に露出する高強度繊維の露出面積を変更することが可能になり、高強度繊維の露出面積が大きくなると構造体固定板や摺動体に対する摩擦材の接着強度を高めることができる。具体的には、織組織はツイル組織やサテン組織が好ましい。さらに、摩擦材の目ずれを抑制する観点ではツイル組織がより好ましく、中でも3/1ツイル組織や2/1ツイル組織にすることにより、上述した表面と裏面に露出するPTFE繊維とPTFE繊維の比率を制御できることから特に好ましい条件として挙げることができる。ここで、前記の通り、経糸、緯糸を逆転させて解釈し得る観点から、上記3/1ツイル組織や2/1ツイル組織は、90°回転させて、それぞれ1/3ツイル組織や1/2ツイル組織と解釈してもよい。
【0017】
また、本発明による滑り免震装置の他の態様において、前記高強度繊維がPPS繊維もしくは液晶ポリエステル繊維のいずれか一種であることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、高強度繊維としてPPS繊維もしくは液晶ポリエステル繊維が適用されてPTFE繊維とともに合撚糸を形成し、この合撚糸にて形成される一重織物からなる摩擦材を備えていることにより、摺動耐久性に優れた滑り免震装置が形成される。
【0019】
また、本発明による滑り免震装置の他の態様は、前記一重織物における前記PTFE繊維の重量比が70%以下であることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、一重織物におけるPTFE繊維の重量比が70%以下に設定されていることにより、例えば、PTFE繊維とPPS繊維により形成される二重織物からなる摩擦材を備えた滑り免震装置に比べて、摺動耐久性を向上させることができる。PTFE繊維の重量比が70%以下と低くなることは、高強度繊維の重量比が高くなることを意味しており、高強度繊維の重量比が高くなることにより、高強度繊維によるPTFE繊維の析出が抑制される。
【0021】
また、本発明による滑り免震装置の他の態様において、前記構造体固定板は、ともに前記第一摺動面を備えている上部構造体固定板及び下部構造体固定板を含み、
前記摺動体は、その上下面において、上下の前記第一摺動面に当接する上下の前記第二摺動面を備えており、
前記摩擦材が、前記上部構造体固定板及び前記下部構造体固定板のそれぞれの前記第一摺動面、もしくは、前記摺動体の上下の前記第二摺動面のいずれか一方もしくは双方に取付けられている、二面滑り支承であることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、上部構造体固定板及び下部構造体固定板のそれぞれの第一摺動面、もしくは、摺動体の上下の第二摺動面のいずれか一方もしくは双方に、一重織物からなる摩擦材が取り付けられていることにより、摩擦材の厚みを大幅に厚くすることなく、高い摺動耐久性を有する二面滑り支承の滑り免震装置を形成することができる。尚、この二面滑り支承の滑り免震装置は、例えば高層ビル等の一般建築物に一般に適用される。
【0023】
また、本発明による滑り免震装置の他の態様において、前記構造体固定板は前記第一摺動面を備えており、
前記摺動体は、前記第一摺動面に当接する前記第二摺動面を備えるとともに受け台にて保持されており、
前記摩擦材が、前記構造体固定板の前記第一摺動面、もしくは、前記摺動体の前記第二摺動面のいずれか一方もしくは双方に取付けられている、片面滑り支承であることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、構造体固定板の第一摺動面、もしくは、摺動体の第二摺動面のいずれか一方もしくは双方に、一重織物からなる摩擦材が取り付けられていることにより、高い摺動耐久性を有する片面滑り支承の滑り免震装置を形成することができる。尚、この片面滑り支承の滑り免震装置は、一般建築物の他、例えば橋梁等に適用される。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明から理解できるように、本発明の滑り免震装置によれば、摩擦材の厚みを大幅に厚くすることなく、摺動耐久性に優れた滑り免震装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1の実施形態に係る滑り免震装置の分解斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る滑り免震装置の縦断面図である。
図3】一重織物からなる摩擦材を上から見た平面図である。
図4図3のIV−IVラインで切断した断面図であって、一重織物からなる摩擦材の一例の構造を構造体固定板への取り付け態様とともに説明する図である。
図5】二重織物からなる摩擦材の一例の構造を構造体固定板への取り付け態様とともに説明する図である。
図6】第2の実施形態に係る滑り免震装置の縦断面図である。
図7A】面圧60MPa下における、二重織物の摩擦材が適用された滑り免震装置(平面滑り免震装置)を用いた摺動実験結果を示す図である。
図7B】面圧60MPa下における、一重織物の摩擦材が適用された滑り免震装置(平面滑り免震装置)を用いた摺動実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、各実施形態に係る滑り免震装置について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0028】
[第1の実施形態に係る滑り免震装置]
はじめに、図1乃至図4を参照して、実施形態に係る滑り免震装置の一例について説明する。ここで、図1は、第1の実施形態に係る滑り免震装置の分解斜視図であり、図2は、第1の実施形態に係る滑り免震装置の縦断面図である。また、図3は、一重織物からなる摩擦材を上から見た平面図であり、図4は、図3のIV−IVラインで切断した断面図であって、一重織物からなる摩擦材の一例の構造を構造体固定板への取り付け態様とともに説明する図である。
【0029】
滑り免震装置100は、曲率を有する摺動面(第一摺動面)を備えている上部構造体固定板20(構造体固定板の一例)及び下部構造体固定板30(構造体固定板の一例)と、上部構造体固定板20と下部構造体固定板30の間に配設され、上部構造体固定板20の第一摺動面である下面21及び下部構造体固定板30の第一摺動面である上面31と同一の曲率を有する上面12と下面13(ともに第二摺動面)を備えている金属製の摺動体10とを有する、二面滑り支承の滑り免震装置である。
【0030】
上部構造体固定板20と下部構造体固定板30はともに平面視正方形の板材であり、溶接鋼材用圧延鋼材(SM490A、B、C、もしくはSN490B、C、もしくはS45C)、あるいはステンレス材(SUS材)や鋳鋼材、鋳鉄等から形成されている。上部構造体固定板20の下面21と下部構造体固定板30の上面31に設けられている第一摺動面は、平面視円形で湾曲しており、双方の第一摺動面には摩擦材40が取り付けられている。
【0031】
一方、摺動体10は、略円柱状の摺動体本体11を有し、摺動体本体11には、上部構造体固定板20の下面21と下部構造体固定板30の上面31と同一の曲率を有する上面12と下面13が形成されている。また、摺動体本体11も上部構造体固定板20及び下部構造体固定板30と同様に、溶接鋼材用圧延鋼材(SM490A、B、C、もしくはSN490B、C、もしくはS45C)、あるいはステンレス材(SUS材)や鋳鋼材、鋳鉄等から形成されており、面圧60N/mm(60MPa)程度の耐荷強度を有している。
【0032】
上部構造体固定板20の下面21と下部構造体固定板30の上面31の各摺動面の外縁には、摺動体10の脱落を防止するためのストッパーリング22,32が固定されている。
【0033】
そして、摺動体10の上面12及び下面13においては、金属面が露出している。例えば、摺動体本体11がステンレス製の形態では、ステンレス面からなる金属面が上面12及び下面13において露出している。また、摺動体本体11がステンレス以外の鋼製の形態では、摺動体本体11の上下面において曲率を有するステンレス板が取り付けられ、上下の金属面を形成してもよい。また、ステンレス面からなる金属面は、鏡面仕上げ面であるのが好ましい。
【0034】
尚、図示例は、上部構造体固定板20と下部構造体固定板30の第一摺動面21,31に摩擦材40が取り付けられている形態であるが、摺動体10の上下の第二摺動面12,13に摩擦材が取り付けられ、上部構造体固定板20と下部構造体固定板30の第一摺動面21、31にステンレス板が取り付けられている形態あってもよいし、第一摺動面21,31と第二摺動面12,13の双方に摩擦材が取り付けられている形態であってもよい。
【0035】
図3及び図4に示すように、摩擦材40は一重織物により形成され、一重織物40は、総繊度880dtex、単糸数120フィラメント、撚数33t/mのPTFE繊維("トヨフロン"(登録商標)東レ株式会社製)と、総繊度850dtex、単糸数144フィラメント、撚数33t/mの液晶ポリエステル繊維("シベラス"(登録商標)東レ株式会社製)とを、撚数167t/mにて合撚して得られた合撚糸により形成される複数の経糸41と、総繊度1700dtex、単糸数288フィラメントの液晶ポリエステル繊維("シベラス"(登録商標)東レ株式会社製)からなる複数の緯糸42とを有し、複数の経糸41が複数の緯糸42により経糸密度54本/2.54cm、緯糸密度33本/2.54cm、3/1ツイル組織で製織されている。尚、図示例は、経糸41のみが合撚糸からなる形態であるが、緯糸42のみが合撚糸からなる形態であってもよいし、経糸41と緯糸42の双方が合撚糸からなる形態であってもよい。
【0036】
ここで、合撚糸は、高強度繊維とPTFE繊維とを合わせて撚った糸である。高強度繊維には、PPS繊維や液晶ポリエステル繊維が適用される。PTFE繊維としては、東レ株式会社製のトヨフロン(登録商標)が適用できる。また、PPS繊維としては、東レ株式会社製の"トルコン"(登録商標)が適用できる。さらに、液晶ポリエステル繊維としては、東レ株式会社製のシベラス(登録商標)が適用できる。
【0037】
図示例において、緯糸42には、PPS繊維や液晶ポリエステル繊維等の高強度繊維、もしくはPTFE繊維が適用される。
【0038】
本実施形態の滑り免震装置100において、適用される一重織物40におけるPTFE繊維の重量比は70%以下となるように設定されている。また、ここで、PTFE繊維の重量比とは、一重織物40の全体に対するPTFE繊維の重量比率のことであり、以下の手順にて算出して得られるものである。
(1)織物をタテ200mm×ヨコ200mmに裁断した後、経糸と緯糸を分解し、分解糸の総重量Wを測定する。
(2)分解糸のうち複合糸のみを選別し、織物中の複合糸の総重量W1を測定する。
(3)複合糸を任意に5本選択し、フッ素樹脂繊維Aとその他の繊維に分解し、それぞれの重量を測定する。5本の複合糸の重量総和をW、5本の複合糸のフッ素樹脂繊維Aの重量和をWとして、複合糸中に占めるフッ素樹脂繊維Aの重量比率αを式:α=W/W×100(%)により算出する。
ただし、分解糸が上記測定方法に必要な糸量を確保できない場合は、確保できる最大長さと試行回数にて試験を行った結果をもって代用するものとする。
(4)複合糸ではなく織物中に単独で存在するフッ素樹脂繊維を選別し、総重量W2を測定する。
(5)織物中のフッ素樹脂繊維Aの重量比率Yを、式:Y={(W1×α/100+W2)/W}×100(%)により算出する。
ただし、分解糸が上記測定方法に必要な糸量を確保できない場合は、確保できる最大長さにて試験を行った結果をもって代用するものとする。
【0039】
これらPTFE繊維の重量比に関する数値限定は、以下で詳説する摺動実験の結果に依拠している。PTFE繊維の重量比が70%以下と低くなることは、高強度繊維の重量比が高くなることを意味しており、高強度繊維の重量比が高くなることにより、高強度繊維によるPTFE繊維の析出が抑制される。合撚糸において高強度繊維の間にPTFE繊維が保持されるため、PTFE繊維の析出量が抑制されることから、特に60MPa程度の高荷重下においてその効果は顕著となる。
【0040】
図3及び図4に示す一重織物40では、3/1ツイル組織を採用し、高強度繊維から成る緯糸42に比べて合撚糸からなる経糸41が表面に多く露出するように織り込まれている。このような設計とすることで、PTFE繊維を含む合撚糸を表面に多く露出させることができ、同じPTFE繊維の重量比を有する摩擦材40であっても、PTFE繊維による摩擦力低減効果が変化する。図示例の一重織物40は、PTFE繊維による摩擦力低減効果と、高強度繊維によるPTFE繊維の析出量抑制効果の双方の観点から好ましい一重織物の例である。
【0041】
また、図4に示すように、摩擦材40は、金属製の構造体固定板30(20)に対して、エポキシ樹脂系接着剤等による接着剤43を介して接着される。図示例の一重織物40では、緯糸42における接着剤43との接着面積が大きくなっており、例えば高強度繊維からなる緯糸42を適用した場合には、構造体固定板30等に対する摩擦材40の接着強度を高めることができる。
【0042】
ここで、図3及び図4に示す一重織物からなる摩擦材40と比較するべく、二重織物からなる摩擦材40'を図5に示す。
【0043】
図示する二重織物40'は、PTFE繊維46と、PTFE繊維46よりも引張強度の高いPPS繊維49とにより形成される。
【0044】
二重織物40'の構成は、上部構造体固定板20や下部構造体固定板30側にPPS繊維49の緯糸47が配設され、これを巻き込むようにしてPPS繊維49の経糸48が織り込まれている。また、これらの上方(各摺動体10側の位置)にはPTFE繊維46の緯糸44が配され、PTFE繊維46の経糸45がPTFE繊維46の緯糸44を巻き込むようにして織り込まれるとともに、PTFE繊維46の経糸45はさらに下方のPPS繊維49の緯糸47も巻き込むようにして織り込まれている。そして、PTFE繊維46が摺動体10側に配設されるようにして、摩擦材である二重織物40'が上部構造体固定板20の下面21と下部構造体固定板30の上面31に対して接着剤43を介した固定される。
【0045】
特許文献1に示すように、図示する二重織物40'からなる摩擦材を備えた滑り免震装置においても、面圧60MPa程度の高荷重下において優れた免震性能が奏される。しかしながら、このような高荷重下におけるPTFE繊維の析出抑制の観点においては、二重織物からなる摩擦材40'に比べて、本実施形態の滑り免震装置100を形成する一重織物からなる摩擦材40が優れている(PTFE繊維の析出量が相対的に少ない)ことが本発明者等により特定されている。
【0046】
滑り免震装置100において、構造体固定板20,30の第一摺動面21,31に一重織物からなる摩擦材40が取り付けられていることにより、摩擦材40の厚みを大幅に厚くすることなく、60MPa程度の面圧に対抗しながら、高い摺動耐久性を有する滑り免震装置100が形成される。
【0047】
[第2の実施形態に係る滑り免震装置]
次に、図6を参照して、第2の実施形態に係る滑り免震装置の一例について説明する。ここで、図6は、第2の実施形態に係る滑り免震装置の縦断面図である。
【0048】
滑り免震装置200は、曲率を有する下面51(第一摺動面)を備えている構造体固定板50と、下面51と同一の曲率を有する上面72(第二摺動面)を備えている金属製の摺動体70を摺動自在に収容する受け台60と、を有する、片面滑り支承の滑り免震装置である。
【0049】
受け台60は、基板61と、基板61の中央位置において基板61から上方に突出した円柱体62とを有し、基板61と円柱体62は一体に成形されている。円柱体62の上端には下方に窪んだ凹球面63が形成されている。構造体固定板50と基板61はともに平面視正方形の板材であり、構造体固定板50と受け台60と摺動体70は、いずれも上部構造体固定板20や下部構造体固定板30と同様の素材により形成されている。
【0050】
円柱体62の凹球面63には、凹球面63と同一の曲率を有する下面71(凸球面)を備え、かつ、構造体固定板50の下面51と同一の曲率を有する上面72を備える摺動体70が、凹球面63に摺動自在に収容され、保持されている。そして、摺動体70の上面72においては、金属面が露出している。
【0051】
一方、構造体固定板50の下面51には、上部構造体固定板20の下面21への取り付け態様と同様に、一重織物からなる摩擦材40が構造体固定板50の下面51に固定されている。また、構造体固定板50の下面51の外縁には、摺動体70を摺動自在に収容する円柱体62の脱落を防止するためのストッパーリング52が固定されている。
【0052】
尚、図示する滑り免震装置200は、上方に構造体固定板50が配設されている形態であるが、上方に摺動体を備えた受け台があり、下方に構造体固定板が配設されている、図4とは上下が逆の構成の滑り免震装置であってもよい。
【0053】
このように、滑り免震装置200においても、構造体固定板50の第一摺動面51に一重織物からなる摩擦材40が取り付けられていることにより、摩擦材40の厚みを大幅に厚くすることなく、60MPa程度の面圧に対抗しながら、高い摺動耐久性を有する滑り免震装置200が形成される。
【0054】
[摺動実験]
<摺動実験その1>
次に、本発明者等により実施された摺動実験その1について説明する。この摺動実験その1は、二重織物からなる摩擦材と一重織物からなる摩擦材の摺動距離を比較する実験である。
【0055】
(実験概要と実験結果)
金属基板にサンプルとなる種々の摩擦材を接着することにより、三種類の試験体を製作した。金属基板はSS400(一般構造用圧延鋼板)を適用し、接着剤にはエポキシ樹脂(本材:硬化剤=4:1)を塗布量約25g/m用いた。
【0056】
試験機には、エー・アンド・デイ製MODEL:EFM−III−ENを用い、摩擦荷重:20MPa、摩擦速度:400mm/秒にて試験を実施した。相手材はS45Cで作られた、外径 25.6mm、内径 20mm、長さ 15mm の中空円筒形状のリングを用いた。上記リングの表面をサンドパーパーで磨き、表面粗さRa=0.8μmm±0.1となるように調整した。粗さの測定には粗さ測定器(ミツトヨ製SJ−201)を用いた。この摺動実験では、摩擦材が破損するまでの摺動距離を測定した。
【0057】
比較例、実施例1,2の各試験体を構成する摩擦材の仕様と実験結果を、以下の表1に示す。ここで、実施例1は、PTFE繊維("トヨフロン"(登録商標)東レ株式会社製)と、PPS繊維("トルコン"(登録商標)東レ株式会社製)とを、合撚して得られた合撚糸を経糸に用い、PPS繊維("トルコン"(登録商標)東レ株式会社製)を緯糸に用いて3/1ツイル組織で製織された一重織物である。実施例2は、上記する、PTFE繊維("トヨフロン"(登録商標)東レ株式会社製)と、液晶ポリエステル繊維("シベラス"(登録商標)東レ株式会社製)とを、合撚して得られた合撚糸を経糸に用い、液晶ポリエステル繊維("シベラス"(登録商標)東レ株式会社製)を緯糸に用いて3/1ツイル組織で製織された図示例の一重織物40である。比較例1は、表面の経糸および緯糸にPTFE繊維("トヨフロン"(登録商標)東レ株式会社製)を用い、裏面の経糸および緯糸にPPS繊維("トルコン"(登録商標)東レ株式会社製)を用いて、表面と裏面がいずれも平組織で製織された二重織物である。
【0058】
【表1】
【0059】
表1より、比較例1の摺動距離:32mに対して、実施例1の摺動距離は約2倍の62mとなり、実施例2の摺動距離は3倍以上の109mであることが特定されており、二重織物からなる摩擦材に対して一重織物からなる摩擦材の摺動距離が長くなり、摺動耐久性の向上が確認されている。
【0060】
<摺動実験その2>
次に、本発明者等により実施された摺動実験その2について説明する。この摺動実験その2は、摩擦材におけるPTFE繊維の重量比の最適範囲を検証するための実験である。
【0061】
(実験概要と実験結果)
試験体の製作方法は摺動実験その1と同様である。
【0062】
実施例2乃至4の各試験体を構成する摩擦材の仕様と試験結果を、以下の表2に示す。ここで、実施例2の織物に占めるPTFE繊維の重量比率は32%である。実施例3は、緯糸にPTFE繊維("トヨフロン"(登録商標)東レ株式会社製)を用いた以外は実施例2と同様の方法で作製した一重織物であり、織物に占めるPTFE繊維の重量比率は70%である。実施例4は、緯糸に液晶ポリエステル繊維("シベラス"(登録商標)東レ株式会社製)を用いた以外は実施例2と同様の方法で作製した一重織物であり、織物に占めるPTFE繊維の重量比率は51%である。
【0063】
【表2】
【0064】
表2より、表1に示す比較例1の摺動距離:32mに対して、実施例3の摺動距離は約1.5倍の50mとなり、実施例4の摺動距離は2倍以上の72mであり、実施例2は既に説明したように3倍以上の109mであることが特定されている。
【0065】
そして、実施例3,4,2の順に摺動距離が延びており、トヨフロンの重量比率が70%から低減するに従い、摺動距離が長くなることが特定されている。この実験結果より、一重織物におけるPTFE繊維の重量比を70%以下に規定することができる。
【0066】
<摺動実験その3>
次に、本発明者等により実施された摺動実験その3について説明する。この摺動実験その3は、60MPaの面圧下における、二重織物からなる摩擦材を備えた滑り免震装置(比較例2)と一重織物からなる摩擦材を備えた滑り免震装置(実施例5)の摺動距離を比較する実験である。
【0067】
(実験概要と実験結果)
比較例2の滑り免震装置の摩擦材を形成する二重織物は、PTFE繊維とPPS繊維からなる二重織物であり、実施例5の滑り免震装置の摩擦材を形成する一重織物は、実施例2と同様である。比較例2、実施例5ともに、摺動体の直径はφ130mm、高さは65mmである。本摺動実験においても、摩擦材が破損するまでの摺動距離を測定した。
【0068】
実験結果を図7A及び図7Bに示す。ここで、図7Aは、比較例2の実験結果であり、図7Bは実施例5の実験結果である。
【0069】
実験の結果、比較例2の摺動距離は52mとなり、実施例5の摺動距離は181mとなることが特定されており、比較例2に対して実施例5の摺動距離は3倍以上も長くなることが分かる。本実験結果より、60MPaの面圧下においても、一重織物からなる摩擦材を備えた滑り免震装置の摺動耐久性が優れていることが実証されている。
【0070】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0071】
10 :摺動体
11 :摺動体本体
12 :上面(第二摺動面)
13 :下面(第二摺動面)
20 :上部構造体固定板(構造体固定板)
21 :下面(第一摺動面)
30 :下部構造体固定板(構造体固定板)
31 :上面(第一摺動面)
40 :摩擦材(一重織物)
41 :経糸(合撚糸)
42 :緯糸
43 :接着剤
50 :構造体固定板
51 :下面(第一摺動面)
60 :受け台
61 :基板
62 :円柱体
63 :凹球面
70 :摺動体
71 :下面(凸球面)
72 :上面(第二摺動面)
100 :滑り免震装置(二面滑り支承の滑り免震装置)
200 :滑り免震装置(片面滑り支承の滑り免震装置)
【要約】
【課題】摩擦材の厚みを厚くすることなく、摺動耐久性に優れた滑り免震装置を提供すること。
【解決手段】第一摺動面21,31を備えている構造体固定板20,30と、第一摺動面21,31と当接する第二摺動面12,13を備えている金属製の摺動体10と、を有する滑り免震装置100であり、高強度繊維とPTFE繊維とを合わせて撚った複数の合撚糸41により形成される一重織物からなる摩擦材40が、第一摺動面21,31と第二摺動面12,13のいずれか一方、もしくは双方に取り付けられている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B