特許第6762493号(P6762493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762493
(24)【登録日】2020年9月11日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 33/00 20060101AFI20200917BHJP
   A47J 36/04 20060101ALI20200917BHJP
   A45F 3/16 20060101ALN20200917BHJP
【FI】
   A47J33/00
   A47J36/04
   !A45F3/16
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-11685(P2018-11685)
(22)【出願日】2018年1月26日
(65)【公開番号】特開2019-126653(P2019-126653A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2019年10月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】青木 謙吾
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−195170(JP,A)
【文献】 特開2007−284112(JP,A)
【文献】 特開2011−120806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 33/00
A47J 36/04
A45F 3/16
B65D 5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理対象の食材が収納される凹部を有する本体と、
前記凹部を覆う蓋体と、
を備えた調理器において、
前記本体と前記蓋体は、接着剤が使われていない可燃性の材料で構成されており、
前記凹部に食材を収納して前記凹部を前記蓋体で覆った状態で、前記調理器を燃やすことにより、前記食材が加熱調理され
前記本体および前記蓋体の大きさは、前記調理器を燃やして前記食材を加熱調理する時間に応じて定められていることを特徴とする調理器。
【請求項2】
調理対象の食材が収納される凹部を有する本体と、
前記凹部を覆う蓋体と、
を備えた調理器において、
前記本体と前記蓋体は、接着剤が使われていない可燃性の材料で構成されており、
前記凹部に食材を収納して前記凹部を前記蓋体で覆った状態で、前記調理器を燃やすことにより、前記食材が加熱調理され
前記本体および前記蓋体の厚さは、前記調理器を燃やして前記食材を加熱調理する時間に応じて定められていることを特徴とする調理器。
【請求項3】
前記可燃性の材料は、紙材、木材、または、植物性素材である、請求項1または請求項2に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器ごと燃やして食材を加熱調理することができる調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙材を用いて作られた鍋が提案されている(例えば特許文献1および2参照)。従来の鍋では、耐火性の紙材で鍋底が作られている。耐火性の紙材としては、例えば固形燃料の発火炎の温度(約800度)に耐えることができる紙材が用いられる。そして、従来の鍋を使用する場合には、鍋の中に豆腐などの具材と水などの汁を入れた状態で、鍋の下面に火を当てて、鍋を下から熱することにより鍋の中の具材や汁を加熱調理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3013843号公報
【特許文献2】実開平7−36940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の鍋は、紙材を用いて作られているものの、その使い方は、土鍋や金属鍋などと同じであり、面白みに欠けるものであった。そこで、従来にはないまったく新しい使い方をする調理器が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、調理器ごと燃やして食材を加熱調理することのできる調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の調理器は、調理対象の食材が収納される凹部を有する本体と、前記凹部を覆う蓋体と、を備えた調理器において、前記本体と前記蓋体は、可燃性の材料で構成されており、前記凹部に食材を収納して前記凹部を前記蓋体で覆った状態で、前記調理器を燃やすことにより、前記食材が加熱調理される。
【0007】
この構成によれば、調理器の本体と蓋体が可燃性の材料で構成されているので、調理器の本体の凹部に食材を収納して凹部を蓋体で覆った状態で、調理器ごと火に入れて燃やすことによって、食材を加熱調理することができる。
【0008】
また、本発明の調理器では、前記可燃性の材料は、紙材、木材、または、植物性素材であってもよい。
【0009】
この構成によれば、調理器の本体と蓋体を構成する可燃性の材料として、段ボールなどの紙材や、バルサなどの木材、または、ワラなどの植物性素材を利用することができる。なお、植物性素材としては、植物性プラスチックなども利用することができる。
【0010】
また、本発明の調理器では、前記可燃性の材料は、燃やしたときに有害物質が発生しない材料であってもよい。
【0011】
この構成によれば、調理器の本体と蓋体が、燃やしたときに有害物質が発生しない材料で構成されている(例えば、接着剤などが使われていない)ので、調理器ごと燃やすことによって食材を加熱調理する際に、有害物質が発生することがなく、安心・安全性が向上する。
【0012】
また、本発明の調理器では、前記本体および前記蓋体の大きさは、前記食材の加熱調理時間に応じて定められてもよい。
【0013】
この構成によれば、食材の加熱調理時間に応じて、調理器の本体の大きさ(本体の直径や高さなど)や蓋体の大きさ(蓋体の直径など)が定められているので、調理器を燃やすだけで、適切な加熱調理時間で食材を加熱調理することができる。
【0014】
また、本発明の調理器では、前記本体および前記蓋体の厚さは、前記食材の加熱調理時間に応じて定められてもよい。
【0015】
この構成によれば、食材の加熱調理時間に応じて、調理器の本体や蓋体の厚さが定められているので、調理器を燃やすだけで、適切な加熱調理時間で食材を加熱調理することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、調理器ごと燃やして食材を加熱調理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態における調理器の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態における調理器の分解斜視図である。
図3】本発明の実施の形態における調理器の蓋体の組立て方法の説明図である。
図4】本発明の実施の形態における調理器の本体の組立て方法の説明図である。
図5】本発明の実施の形態における調理器の本体の組立て方法の説明図である。
図6】本発明の実施の形態における調理器の本体の組立て方法の説明図である。
図7】本発明の実施の形態における調理器の本体の組立て方法の説明図である。
図8】本発明の実施の形態における調理器の本体の組立て方法の説明図である。
図9】本発明の実施の形態における調理器の本体の組立て方法の説明図である。
図10】本発明の実施の形態における調理器の本体の組立て方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態の調理器について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、キャンプ用品やアウトドア用品等として用いられる調理器の場合を例示する。
【0019】
本発明の実施の形態の調理器の構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の調理器を示す斜視図であり、図2は、本実施の形態の調理器の分解斜視図である。図1および図2に示すように、本実施の形態の調理器1は、鍋の形状を有している。具体的には、調理器1は、調理対象の食材(図示せず)が収納される凹部2を中央に有する本体3と、凹部2を覆う蓋体4を備えている。本体3は、有底円筒形状であり、本体3の上部両側には、左右一対の取っ手部5が外側に向けて突出して設けられている。また、蓋体4は、円板形状であり、蓋体4の中央には、つまみ部6が上側に向けて突出して設けられている。
【0020】
調理器1の本体3と蓋体4は、可燃性の材料で構成されている。本実施の形態では、可燃性の材料として、段ボールなどの紙材が用いられる。なお、可燃性の材料としては、バルサなどの木材や、ワラなどの植物性素材を利用することもできる。また、植物性素材としては、植物性プラスチックなども利用することができる。
【0021】
また、調理器1の本体3と蓋体4は、燃やしたときに有害物質が発生しない材料で構成されている。より具体的には、本体3と蓋体4は、段ボールで構成された複数の部品を積層して組み立てることにより構成されており、本体3と蓋体4を組み立てるために接着剤が使われていない。なお、調理器1の組立て方については、後で図面を参照しながら詳しく説明する。
【0022】
本実施の形態では、調理器1の本体3の大きさ(本体3の直径や高さなど)や蓋体4の大きさ(蓋体4の直径など)は、食材の加熱調理時間に応じて定められている。より具体的には、食材の加熱調理時間が長いほど、調理器1の本体3の大きさ(本体3の直径や高さなど)や蓋体4の大きさ(蓋体4の直径など)は大きくなるように設計されており、食材の加熱調理時間が短いほど、調理器1の本体3の大きさ(本体3の直径や高さなど)や蓋体4の大きさ(蓋体4の直径など)は小さくなるように設計されている。
【0023】
また、調理器1の本体3や蓋体4の厚さは、食材の加熱調理時間に応じて定められている。より具体的には、食材の加熱調理時間が長いほど、調理器1の本体3や蓋体4の厚さは大きくなるように設計されており、食材の加熱調理時間が短いほど、調理器1の本体3や蓋体4の厚さは小さくなるように設計されている。
【0024】
次に、図3図10を参照して、調理器1の組立て方を説明する。図3および図4に示すように、調理器1の本体3と蓋体4は、段ボールで構成された複数の部品を積層して組み立てることにより構成されている。
【0025】
図3に示すように、蓋体4は、複数(図3の例では5つ)の円板形の蓋部品40と、円柱状のつまみ部品41で構成されている。蓋部品40の中央には、円形の孔部400が設けられており、複数の蓋部品40を積層させた状態で、蓋部品40の孔部400につまみ部品41を差し込むことにより、蓋体4が組み立てられる。
【0026】
図4に示すように、本体3は、最下層のベース部品30と、ベース部品30の上に積層される複数の底板部品31と、底板部品31の上に積層される複数の胴部品32と、胴部品32の上に積層される複数の取っ手部品33で構成されている。ベース部品30は、円板形の円板部300と、円板部300の左右両端から上側に向けて延びる一対の長片部301を備えている。底板部品31は、円板形を有している。胴部品32は、平板状の円環形を有しており、胴部品32には、長片部301が挿通される一対の挿通孔320が設けられている。取っ手部品33は、平板状の円環部330と、円環部330の左右両端から外側に向けて突出して設けられた一対の突出部331を備えている。円環部330には、長片部301が挿通される一対の内側挿通孔332が設けられており、突出部331には、長片部301が挿通される一対の外側挿通孔333が設けられている。
【0027】
本体3を組み立てる場合には、図4に示すように、最下層からベース部品30、底板部品31、胴部品32、取っ手部品33の順に積層し、ベース部品30の長片部301を胴部品32の挿通孔320と取っ手部品33の内側挿通孔332に下側から挿通させる。そして、図5に示すように、ベース部品30の長片部301を取っ手部品33の突出部331の上面に沿わせるように外側に折り曲げ、さらに、図6に示すように、ベース部品30の長片部301を取っ手部品33の突出部331の外周に沿わせるように下側に折り曲げ、さらに、図7および図8に示すように、ベース部品30の長片部301を取っ手部品33の突出部331の下面に沿わせるように内側に折り曲げる。そして、図9および図10に示すように、ベース部品30の長片部301を折り曲げて取っ手部品33の外側挿通孔333に下側から挿入する。このようにして、本体3が組み立てられる。
【0028】
以上のようにして組み立てた調理器1を使用する場合には、まず本体3の凹部2に食材を収納し、凹部2を蓋体4で覆った状態で、調理器1ごと火に入れて燃やす。調理器1が燃え尽きた時点で、食材の加熱調理が完了する。
【0029】
本実施の形態の調理器1によれば、調理器1の本体3と蓋体4が可燃性の材料で構成されているので、調理器1の本体3の凹部2に食材を収納して凹部2を蓋体4で覆った状態で、調理器1ごと火に入れて燃やすことによって、食材を加熱調理することができる。
【0030】
また、本実施の形態では、調理器1の本体3と蓋体4を構成する可燃性の材料として、段ボールなどの紙材や、バルサなどの木材、または、ワラなどの植物性素材を利用することができる。なお、植物性素材としては、植物性プラスチックなども利用することができる。
【0031】
また、本実施の形態では、調理器1の本体3と蓋体4が燃やしたときに有害物質が発生しない材料で構成されている(例えば、接着剤などが使われていない)ので、調理器1ごと燃やすことによって食材を加熱調理する際に、有害物質が発生することがなく、安心・安全性が向上する。
【0032】
また、本実施の形態では、食材の加熱調理時間に応じて、調理器1の本体3の大きさ(本体3の直径や高さなど)や蓋体4の大きさ(蓋体4の直径など)が定められているので、調理器1を燃やすだけで、適切な加熱調理時間で食材を加熱調理することができる。
【0033】
また、本実施の形態では、食材の加熱調理時間に応じて、調理器1の本体3や蓋体4の厚さが定められているので、調理器1を燃やすだけで、適切な加熱調理時間で食材を加熱調理することができる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0035】
例えば、以上の説明では、調理器1が鍋の形状(本体3と蓋体4で構成された形状)を有している例について説明したが、調理器1の形状はこれに限られない。調理器1は、少なくとも調理対象の食材が収納される収納部を有していれば如何なる形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明にかかる調理器は、調理器ごと燃やして食材を加熱調理することができるという効果を有し、キャンプ用品やアウトドア用品等として用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 調理器
2 凹部
3 本体
4 蓋体
5 取っ手部
6 つまみ部
30 ベース部品
31 底板部品
32 胴部品
33 取っ手部品
40 蓋部品
41 つまみ部品
300 円板部
301 長片部
320 挿通孔
330 円環部
331 突出部
332 内側挿通孔
333 外側挿通孔
400 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10