特許第6762495号(P6762495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小川建装工業の特許一覧 ▶ 北西 宣貴の特許一覧

特許6762495壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法
<>
  • 特許6762495-壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法 図000002
  • 特許6762495-壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法 図000003
  • 特許6762495-壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法 図000004
  • 特許6762495-壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法 図000005
  • 特許6762495-壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法 図000006
  • 特許6762495-壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法 図000007
  • 特許6762495-壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法 図000008
  • 特許6762495-壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法 図000009
  • 特許6762495-壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762495
(24)【登録日】2020年9月11日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20200917BHJP
   E04G 5/04 20060101ALI20200917BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   E04G23/02 C
   E04G5/04 C
   E04F13/07 G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-207821(P2018-207821)
(22)【出願日】2018年11月3日
(65)【公開番号】特開2020-70702(P2020-70702A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2018年11月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518215747
【氏名又は名称】株式会社小川建装工業
(73)【特許権者】
【識別番号】518215758
【氏名又は名称】北西 宣貴
(74)【代理人】
【識別番号】100183575
【弁理士】
【氏名又は名称】老田 政憲
(72)【発明者】
【氏名】小川 雅史
(72)【発明者】
【氏名】北西 宣貴
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−027820(JP,A)
【文献】 実開平06−058227(JP,U)
【文献】 特開2009−024340(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3148706(JP,U)
【文献】 特開平09−256629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
E04F 13/00−13/30
E04G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に穴を穿孔し、アンカーを埋め込み、当該アンカーに固定された壁つなぎ又は控えを有する足場を用いた壁面塗装に用いる壁面シールであって、
上記壁面塗装された上記壁面と略同一パターンの凹凸模様を表面に有し、
上記壁面に穿孔された穴と略同一径であり、
上記表面の凹凸模様は、基材の表面に凹凸塗装を行って作製されており、
上記凹凸塗装は、下塗り及び中塗りを含む複数層の塗装からなり、当該壁面シールが上記壁面の穴を塞いだ状態で行われる上記壁面と略同色の塗装が、上記中塗りの上に施される仕上げ塗りとなるように構成されている
ことを特徴とする壁面シール。
【請求項2】
裏面にねじを設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の壁面シール。
【請求項3】
裏面に鋲を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の壁面シール。
【請求項4】
上記壁面と略同色、または上記壁面よりも淡色である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の壁面シール。
【請求項5】
壁面に穴を穿孔し、当該穴に埋め込まれたアンカーに固定された壁つなぎ又は控えを有する足場を用いた壁面塗装の方法であって、
上記足場を用いて壁面を塗装する塗装工程と、
塗装工程後に足場を解体する際に、上記壁つなぎ又は控えを除去する工程と、
上記壁面に穿孔された穴を埋め込む工程と、
上記埋め込んだ穴に請求項1から4のいずれかに記載の壁面シールを固定する工程と、
上記埋め込んだ穴に固定された壁面シールを、壁面と略同色に塗装する工程と
を備えたことを特徴とする壁面塗装の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場を用いて建物の壁面に塗装を行う際に用いる壁面シール、およびこの壁面シールを用いた壁面塗装の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁等の壁面に塗装を行う際には、足場を組み、その足場に設けた作業床で塗装作業を行う。
足場に関しては、労働安全衛生法の労働安全衛生規則570条で安全基準が定められている。この安全基準によると、壁つなぎ又は控えを設けることが義務付けられている。
【0003】
このような壁面塗装における課題の一つは塗装の色むらをできるだけ無くすことである。
例えば、作業用足場に水平に取付けられる水平レールと、水平レールに垂直に取付けられ水平移動操作可能な垂直レールと、垂直レールに取付けられ垂直移動操作可能な塗装機と、垂直レールの移動および塗装機の移動操作する第一の制御装置と、塗装機が塗料を塗布する量を調節制御する第二の制御装置とを有する外壁塗装装置は、壁面の周りに設けられる作業用足場に沿って塗装機が移動し、外壁を塗装する。この装置を用いることで、第二の制御装置によって、塗装機のノズルと壁面との距離を適切に保つことが可能となり、色むらをほとんど無くすことができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−140461
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている外壁塗装装置は、平坦な外壁にしか使用することができず、凹凸を有する壁面には使用できないという問題があった。
また、壁つなぎや控えを設けるために穿孔された穴をどのように塗装し、他の壁面とのむらを無くすかについても有効な方法は示されていない。
【0006】
特許文献1に示されたような自動化された塗装装置を使用しない場合には、足場に設けられた作業床で作業者が塗装を行う。そして、塗装が完了後、足場を上層より順に解体していく。解体の際に、建物の壁面に穿孔された穴に設けられた壁つなぎや控え(さらには壁つなぎや控えを取り付けるためのアンカー)を取り去る。そして、この穴をコーキングや軽量モルタルで埋め、壁面と同色の塗装をコーキング等に行う。このようにして、穿孔された穴の補修および塗装が行われる。
【0007】
しかし、凹凸のある模様が施された壁面の場合には、上記の作業を行っても、穿孔された穴の個所は、模様がないために、壁面と完全に同一化させることは不可能であった。足場の解体の際には、限られた時間で穿孔された穴の補修および塗装を行う必要があり、凹凸模様を施すといった複雑な作業はできないためである。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、凹凸が施された壁面であっても、穿孔された穴を壁面と略同一化し、ほとんど目立たないようにするための壁面シール、およびこの壁面シールを用いた壁面塗装の方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る壁面シールは、壁面に穴を穿孔し、アンカーを埋め込み、当該アンカーに固定された壁つなぎ又は控えを有する足場を用いた壁面塗装に用いる壁面シールであって、上記壁面塗装された上記壁面と略同一パターンの凹凸模様を表面に有し、上記壁面に穿孔された穴と略同一径であり、上記表面の凹凸模様は、基材の表面に凹凸塗装を行って作製されており、上記凹凸塗装は、下塗り及び中塗りを含む複数層の塗装からなり、当該壁面シールが上記壁面の穴を塞いだ状態で行われる上記壁面と略同色の塗装が、上記中塗りの上に施される仕上げ塗りとなるように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る壁面シールは、さらに、裏面にねじを設けたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る壁面シールは、さらに、裏面に鋲を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る壁面塗装方法は、上記壁面と略同色、または上記壁面よりも淡色であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る壁面塗装方法は、壁面に穴を穿孔し、当該穴に埋め込まれたアンカーに固定された壁つなぎ又は控えを有する足場を用いた壁面塗装の方法であって、上記足場を用いて壁面を塗装する塗装工程と、塗装工程後に足場を解体する際に、上記壁つなぎ又は控えを除去する工程と、上記壁面に穿孔された穴を埋め込む工程と、上記埋め込んだ穴に上記に記載のいずれかの壁面シールを固定する工程と、上記埋め込んだ穴に固定された壁面シールを、壁面と略同色に塗装する工程とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法は、上記のように構成されているため、以下に示す優れた特長を有する。穿孔された穴をコーキング等の埋め込み材で埋め、コーキング等に壁面と同色の塗装を行う従来の工法と比較して、優れた点を列挙する。
【0015】
足場を順次解体していく短い時間内に、穿孔された穴を修復し塗装する施工が完了できる。そして、凹凸が施された壁面であっても、穿孔された穴を壁面と略同一化し、ほとんど目立たないようにすることが可能となる。
さらに、壁面シールを複数層の塗装により作製することで、強い塗装になる。例えば、下塗りと中塗りの2層塗りを行う。足場の解体時に、壁面と略同色の塗装を行うが、これが仕上げ塗装になる。すなわち、通常の壁面塗装と同様に、下塗り、中塗り、そして仕上げ塗りの3層構成の強い塗装になるため、長期的な劣化が生じにくい強い塗装になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】足場における壁つなぎの設置場所を示すための足場の側面図である。
図2】足場における壁つなぎの設置状況を示す図である。
図3】本発明の実施の形態1の壁面シールの(a)上面図と(b)側面図である。
図4】本発明の壁面シールを用いた壁面塗装の方法を説明するための壁面部分拡大模式図である。
図5】本発明の壁面シールを用いた壁面塗装の方法を説明するための壁面部分拡大模式図である。
図6】本発明の壁面シールを用いた壁面塗装の方法を説明するための壁面部分拡大模式図である。
図7】本発明の壁面シールを用いた壁面塗装の方法を説明するための壁面部分拡大模式図である。
図8】本発明の実施の形態2の壁面シールの(a)上面図と(b)側面図である。
図9】本発明の壁面シールを用いた壁面塗装工程をまとめた図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る壁面シール、およびそれを用いた壁面塗装の方法について、以下の実施の形態で説明する。
なお、実施の形態における記載は、良好なひとつの実施例を示すものであり、本発明はそれらの記載に限定されるものではない。
【0018】
本発明に係る壁面シールは、壁面に穴を穿孔し、当該穴に固定された壁つなぎ又は控えを有する足場を用いた壁面塗装において用いるものである。一般には、外壁塗装において用いるものであるが、大きな建物の内壁を塗装する際にも使用することができる。
まず、足場の構造や安定化する方法について、以下に説明する。
【0019】
<足場>
足場は、例えば図1に示すように、支柱2や作業床3といったものを組み立てた仮設の構造物である。本発明においては、特に、壁つなぎや控え1によって建物と結合し、安定化された足場を対象としている。図1においては、白丸で示した12か所に、壁つなぎや控え1が設けられる。
【0020】
<壁つなぎや控え>
壁つなぎや控えは、図2に示すように、建物と足場をつなぎ、足場を安定化させ、作業の安全性を高めるために設けられる。労働安全衛生法によって、その詳細が定められている。
壁つなぎや控え1を設けるためには、まず、建物の壁面4にドリル等で穿孔し、穴を開ける。この穴にアンカー4aを打ち込み、そのアンカー4aと壁つなぎや控え1の一端を結合する。壁つなぎや控え1の他端は、足場の支柱2や作業床に結合される。
【0021】
以上のように、アンカーを構築する際には壁面に複数の穴を開ける必要があり、足場を解体除去後には、複数の穴を塞ぐことが必要になる。本発明においては、これらの穴をコーキングや軽量モルタル等の埋め込み材によって埋めた後に、埋め込み材上に壁面シールを設けることで、これらの穴を塞ぎ、且つ壁面と略同一化し、ほとんど目立たないようにするものである。
【0022】
埋め込み材上に壁面シールを設ける方法は3つあり、接着、ねじ留め、鋲留めである。以下、実施の形態1から3において、上記の3つの方法を順に説明する。
なお、「壁面シール」の「シール」は、英語のsealの意味であり、封をする、あるいは塞ぐの意である。すなわち、「壁面シール」とは、足場を設ける際に穿孔された壁面の穴を塞ぐための部材を意味する。
【0023】
実施の形態1.
まず、壁面シールを接着により埋め込み材上に固定する方法について述べる。
<壁面シール>
本実施の形態に係る壁面シール5について、図3を用いて説明する。図3は、壁面シール5の(a)上面図と(b)側面図である。
壁面シール5の上面(表面)は、塗装する壁面と略同一の凹凸模様が施されている。下面(裏面)は平らである。また、その径は、壁面に穿孔された穴と略同一径である。壁面に穿孔された穴は、10mmから20mm程度の直径であり、壁面シール5の径もそれと略同一の径である。
【0024】
壁面シール5は、例えば、基材に凹凸塗装を行って作製する。
基材としては、厚手の樹脂製フィルムや、金属やコンクリート製あるいは樹脂製等の板材であっても良い。その厚みは、例えば1mm程度である。
凹凸塗装は、吹付および波型ローラーを用いて、基材上に形成する。塗装は1層だけでも良いが、複数層の塗装を行うことで強い塗装になる。例えば、下塗りと中塗りの2層塗りを行う。
【0025】
壁面シール5の作製方法は、上記の方法に限らず、例えば、樹脂の成型により、基材と上面の凹凸模様を一体で形成しても良い。
【0026】
<壁面塗装の方法>
次に、壁面シール5を用いた壁面塗装の方法、すなわち工法について、図4から図7を用いて説明する。
足場を解体するまでは、通常の塗装方法と変わらない。すなわち、壁つなぎや控え1を有する足場を組み立て、足場の作業床で作業者が壁面の塗装を行う。塗装が完了したら、足場を上層より順次解体していく。
【0027】
この解体の際に、壁つなぎや控え1を順次壁面より取り外す。壁つなぎや控え1を順次壁面より取り外した状態が図4に示す穴が開いた状態である。この建物に穿孔された穴を埋め込む。すなわち、コーキングや軽量モルタル等の埋め込み材によって穴を埋める。通常の工法においては、壁面が面一になるように、埋め込み材によって穴を埋めるが、本発明においては、壁面シール5の厚みの分だけ、穴の個所が凹んだ状態になるように埋め込む(図5)。
【0028】
そして、穴の個所に壁面シール5を接着剤等で固定する(図6)。壁面シール5と穴径は略同一であるので、壁面シール5は凹んだ穴にちょうど嵌りこみ、壁面は面一になる。また、全体として同一の凹凸模様の壁面になる。
【0029】
壁面と壁面シール5が略同色である場合には、これですべての塗装工程は完了である。一方、壁面と壁面シール5の色が異なっていたり、壁面シール5を樹脂の成型で作製したような場合には、表面の色だけではなく材質的な風合いも異なったりするので、壁面シール5の表面に壁面と略同色の塗装を行う(図7)。
なお、壁面シールの色が壁面よりも濃色である場合、この上に壁面と略同色の塗装を行っても、壁面シールの色が表面に出てしまう。そのため、壁面シールの色は、壁面と略同色、または上記壁面よりも淡色であることがのぞましい。
【0030】
足場を上層から順次解体する際に、上記の作業を順に行っていくことで、色だけではなく凹凸模様も統一された壁面が得られる。また、従来の工法に比べて、壁面シール5を貼り付ける作業が増加するだけであり、従来の工法において掛かる時間とほとんど変わらない時間で施工を行うことができる。
【0031】
実施の形態2.
次に、壁面シールをねじ留めにより埋め込み材上に固定する方法について述べる。実施の形態1と異なる点は、壁面シールの構造と、埋め込み材上への固定方法である。
<壁面シール>
本実施の形態に係る壁面シール50を、図8に示す。図8は、壁面シール50の(a)上面図と(b)側面図である。実施の形態1における壁面シール5と異なる点は、裏面に、雄ねじ51を設けたことである。さらに、表面にドライバー等の締め具を用いて回転させるための凹部52を設けたことである。凹部52はマイナス、あるいはプラス形状であっても良いし、六角穴等であって良い。使用するドライバー等の締め具が使用できる形状にすればよい。
その他の構造においては、壁面シール50は壁面シール5と特に変わるところはない。
【0032】
足場を構築する際に壁面に開けた穴の中には、壁つなぎや控え1と結合(ねじ留め)させるためのアンカーが埋め込まれている。このアンカーに切られた雌ねじと、壁面シール50の裏面側に設けられた雄ねじ51とは、互いに適合するねじ径、ねじピッチである。
【0033】
<壁面塗装の方法>
次に、壁面シール50を用いた壁面塗装の方法、すなわち工法について説明する。
解体の際に、壁つなぎや控え1を順次壁面より取り外し、コーキングや軽量モルタル等の埋め込み材によって穴を埋める工程までは、実施の形態1で示した工程と同一である。
【0034】
次に、穴の個所に壁面シール50をねじ留めで固定する。壁面シール50の裏面側に設けられた雄ねじ51は、穴に残されたアンカーに切られた雌ねじにねじ留めにより固定される。固定後の工程は、やはり、実施の形態1で示した工程と同一である。
なお、コーキングや軽量モルタル等の埋め込み材は、完全に硬化するまで数時間以上を要するため、壁面シール50を固定する際には、未硬化でやや柔らかな状態にある。そのため、ねじ留め作業は容易に行える。そして、埋め込み材が完全に硬化すると、雄ねじ51とアンカーに切られた雌ねじとのねじ留めは、非常に強固なものとなる、
【0035】
実施の形態3.
最後に、壁面シールを鋲留めにより埋め込み材上に固定する方法について述べる。実施の形態1や2と異なる点は、壁面シールの構造と、埋め込み材上への固定方法である。
実施の形態2の図8においては、壁面シール50の裏面側に雄ねじ51を設けたが、本実施の形態においては、雄ねじ51の代わりに、打ち込み鋲の裏面側に鋲を設ける。鋲の形状は、先端が尖ったピン状でも良いし、雄ねじが切られた打ち込み鋲(パーカー鋲)であっても良い。打ち込み鋲の場合には、その外径を、穴に残されたアンカーに切られた雌ねじの内径に適合した径にする。ハンマーや木槌を用いて、壁面シールの表面を叩いて、鋲を穴に残されたアンカーに打ち込んで固定する。その他の工程に関しては、実施の形態1や2と同一である。
【0036】
<本発明のまとめ>
建物の壁面を注意深く見ると、足場を安定させるために穿孔された穴の跡に気づく。壁面塗装において、この穴の跡を無くそうとする試みは行われてこなかった。
本発明は、この穴の跡を無くすべく、簡素な方法でありながら、極めて有効な方法を提供するものである。
【0037】
図9は、本発明の壁面シールを用いて行う壁面の塗装工程である。実施の形態1から3においては、壁面シールの構造と固定方法が異なる。いずれの固定方法を用いても、以下に示す優れた特長が得られる。
【0038】
壁面シールを用いることで、足場を順次解体していく短い時間内に、穿孔された穴を修復し塗装する施工が完了できる。そして、凹凸が施された壁面であっても、穿孔された穴を壁面と略同一化し、ほとんど目立たないようにすることが可能となる。
また、施工時間の増加やコストの上昇もわずかである。
さらに、壁面シールを複数層の塗装により作製することで、強い塗装になる。例えば、下塗りと中塗りの2層塗りを行う。足場の解体時に、壁面と略同色の塗装を行うが、これが仕上げ塗装になる。すなわち、通常の壁面塗装と同様に、下塗り、中塗り、そして仕上げ塗りの3層構成の強い塗装になるため、長期的な劣化が生じにくい強い塗装になる。
【0039】
また、実施の形態2や3に示したように、壁面シールの裏面にねじや鋲を設けることにより、さらに強固な固定が可能となる。また、壁面シールとねじ、あるいは、壁面シールと鋲は、樹脂の一体成型で作製することも可能であり、廉価に製作することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 壁つなぎや控え(その設置個所)
2 支柱
3 作業床
4 建物の壁面
4a 穿孔された穴
5、50 壁面シール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9