(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フレームアグリゲーション実行手段は、前記無線通信の状態を変化させ得る、前記個別フレーム及び/又は前記集約フレームの構成及び/又は送受信制御に関する所定の条件に基づいて、個々の前記個別フレームを集約するか否かを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線送信装置。
複数のアクセスポイント相互間でフレームを送受信する際に用いられる一の前記アクセスポイントに、請求項1乃至3の何れか一つに記載の無線送信装置と、請求項4に記載の無線受信装置とを備えたことを特徴とする無線通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[基本構成]
図1から
図9にこの発明の実施の形態を示す。
【0019】
図1は、この実施の形態に係るRLAシステム1Aの全体構成を示す機能ブロック図である。
【0020】
図1に示す通り、この実施の形態のRLAシステム1Aは、複数のアクセスポイントが相互に無線通信でフレームを送受信することで無線ネットワークシステムを構築するものである。
【0021】
図1には、この実施の形態のRLAシステム1Aにおけるネットワーク構成の一例として、5つのアクセスポイントが無線通信によってスター結線された構成を示している。具体的には、同図に示すRLAシステム1Aは、第0アクセスポイント100、第1アクセスポイント101、第2アクセスポイント102、第3アクセスポイント103、第4アクセスポイント104を備える。
【0022】
それぞれのアクセスポイント例えば第0アクセスポイント100は、複数例えば第0無線ポート130、第1無線ポート131、第2無線ポート132、第3無線ポート133という4つの無線ポートと、外部ネットワーク134に接続する1つの外部ポート135とを有している。第0無線ポート130〜第3無線ポート133のそれぞれは、第0アクセスポイント100以外のアクセスポイント101〜104にそれぞれ設けられた所定の無線ポートと、無線によるフレームの送受信を行う。
【0023】
そして、RLAシステム1Aの個々のアクセスポイント100〜104は、それぞれ内部にテーブル(図示せず)が記録されている。このテーブル(図示せず)には、第0無線ポート130〜第3無線ポート133のそれぞれと宛先のアクセスポイントの宛先情報(例えば、宛先のアクセスポイントごとに付与されたMACアドレスの情報や、宛先のアクセスポイントに対応付けられたタグ情報等)が対応付けられて記録されている。また、テーブル(図示せず)には、第0無線ポート130〜第3無線ポート133のそれぞれからそれぞれのアクセスポイント宛てにフレームを送信する際の優先順位を決定するための情報(たとえば第0無線ポート130〜第3無線ポート133のそれぞれからそれぞれのアクセスポイントまでのホップ数や、第0無線ポート130〜第3無線ポート133のそれぞれからそれぞれのアクセスポイントまでの経路の帯域、等の情報)が記録されている。
【0024】
この構成において、例えば第0アクセスポイント100を基準とした場合、隣接する第1〜第4アクセスポイント101〜104に直接接続される(ホップ数:1)経路と、他のアクセスポイントを経由して接続される(ホップ数:2)経路とが形成される。
【0025】
具体的には、第0アクセスポイント100を基準に、第1アクセスポイント101との間の経路110、第2アクセスポイント102との間の経路111、第3アクセスポイント103との間の経路112、第4アクセスポイント104との間の経路113、が形成される。同様に、第0アクセスポイント100を基準に、第1アクセスポイント101と第2アクセスポイント102との間の経路120、第1アクセスポイント101と第3アクセスポイント103との間の経路121、第1アクセスポイント101と第4アクセスポイント104との間の経路122、第2アクセスポイント102と第4アクセスポイント104との間の経路123、第2アクセスポイント102と第3アクセスポイント103との間の経路124、第3アクセスポイント103と第4アクセスポイント104との間の経路125が形成される。なお、第1〜第4アクセスポイント101〜104を基準とした場合も、同様の経路(図示せず)が形成される。
【0026】
これにより、
図1に示すように、それぞれのアクセスポイント100〜104は、隣接する全てのアクセスポイントに接続されてスター型結線を形成する。ただし、それぞれのアクセスポイント101〜104同士の経路は、どのようなものであってもよく、ホップ数が「1」「2」以外のどのような数になるものでもよい。
【0027】
[アクセスポイントの構成]
第0アクセスポイント100〜第4アクセスポイント104はいずれも同一の構成であるため、以下は説明の簡単のため、特に区別の必要がある場合を除き、第0アクセスポイント100〜第4アクセスポイント104のそれぞれをアクセスポイント100と記載する。
【0028】
それぞれのアクセスポイント100は、この実施の形態に係る「無線通信装置」としての機能を奏し、フレームの送受信を行う。具体的には、アクセスポイント100は、少なくとも1の制御手段を備えると共に、この実施の形態に係る「無線送信装置」としてのRLA送信機の機能、及び「無線受信装置」としてのRLA受信機としての構成を備えている。
【0029】
[RLA送信機の構成]
図2は、この実施の形態のアクセスポイント100におけるRLA送信機10の機能ブロック図である。同図に示す通り、RLA送信機10は、宛先解決部11、「フレームアグリゲーション実行手段」としてのフレームアグリゲーション実行部12、「集約タグ付与手段」としてのRLAタグ付与部13、「経路選択手段」としての経路選択部14を備え、さらに「無線送信手段」としての無線送信部(図示せず)を備えている。
【0030】
図3は、この実施の形態のフレームアグリゲーション実行部12の具体的構成を示す機能ブロック図である。同図に示す通り、フレームアグリゲーション実行部12は、宛先振り分け部15、N個(N>1)のバッファ16
1・・・16
N、N個(N>1)の集約条件判定部17
1・・・17
N、宛先間調停部18、フレームアグリゲータ19を備えている。
【0031】
図2に示す宛先解決部11は、外部ポート135を介して外部ネットワーク134から受信した個別フレーム、即ち集約されていない状態の個々のフレームを受信し、個別フレームのヘッダ情報を読み込んで個々の個別フレームの送信先である宛先情報を検出する。
【0032】
フレームアグリゲーション実行部12は、宛先解決部11が検出した宛先情報に基づいて、宛先情報が共通である複数の個別フレームを集約して一の集約フレームを生成する。個別フレームや集約フレームの詳細は、後述の[集約フレームの具体的構成]に記載する。
【0033】
図3に示すフレームアグリゲーション実行部12の具体的構成のうち、宛先振り分け部15は、宛先解決部11が検出した宛先情報に基づいて、宛先ごとに個別フレームをバッファ16
1・・・16
Nの何れかに記録させる。
【0034】
バッファ16
1・・・16
Nのそれぞれには、宛先振り分け部15によって振り分けられた個別フレームが一時的に記録される。
【0035】
集約条件判定部17
1・・・17
Nは、個別フレームの集約条件が記録されている。例えば、それぞれの集約条件判定部17
1・・・17
Nは、この集約条件に基づいてそれぞれの個別フレーム同士を集約させるか否かの判定を行う。具体的には、後述の[集約フレームの生成と送信の手順]に記載する。
【0036】
宛先間調停部18は、所定の条件に基づいて、バッファ16
1・・・16
Nに記録された個別フレームをフレームアグリゲータ19に送信させる。この所定の条件は、例えば、バッファ16
1・・・16
Nに予め設定されたデータ量やフレーム数の個別フレームが蓄積された順、等、どのようなものでもよい。これにより、一のフレームアグリゲータ19を複数のバッファ16
1・・・16
Nで共用できる。
【0037】
フレームアグリゲータ19は、個別フレームを集約して集約フレームを生成する。具体的には、フレームアグリゲータ19は、複数の個別フレームを結合し、個々の個別フレームのヘッダから所定の情報(それぞれの個別フレームに共通して存在する情報)やフレーム間ギャップを削除してデータ量を小さくするための処理を行う(後述の[集約フレームの具体的構成]参照)。
【0038】
なお、この実施の形態においては、フレームアグリゲータ19による「集約」は、複数の個別フレームを結合して集約フレームを生成する処理のみとするが、フレームアグリゲータ19が1つの個別データに所定の加工(例えばヘッダ情報の修正やフレーム間ギャップを削除する処理等)もこの「集約」に含まれてもよい。
【0039】
図2に示すRLAタグ付与部13は、フレームアグリゲーション実行部12において生成された集約フレームごとに、1の「集約タグ」としての集約フレームリンクアグリゲーションタグ(以下「FA−RLAタグ」と称する。)を付与する。このFA−RLAタグの詳細は後述の[FA−RLAタグの具体的構成]に記載する。
【0040】
経路選択部14は、RLAタグ付与部13によって付与されたFA−RLAタグの情報を読み込んで、宛先であるアクセスポイント100への送信経路を選択する。具体的には、経路選択部14は、それぞれの集約フレームのFA−RLAタグに記録された宛先情報(
図6参照)に基づいて、それぞれの集約フレームを送信する無線ポートを第0無線ポート130〜第3無線ポート133の中から選択する。そして、無線送信部(図示せず)は、経路選択部14によって選択された第0無線ポート130〜第3無線ポート133のうちの何れかから集約フレームを送信する。
【0041】
[RLA受信機の構成]
図4は、この実施の形態のアクセスポイント100におけるRLA受信機20の機能ブロック図である。同図に示す通り、RLA受信機20は、「無線受信手段」としての無線受信部(図示せず)、RLAタグ解析部21、バッファ22、順序制御部23、「フレームデアグリゲーション実行手段」としてのフレームデアグリゲーション実行部24を備えている。
図5は、この実施の形態のフレームデアグリゲーション実行部24の具体的構成を示す機能ブロック図である。同図に示す通り、フレームデアグリゲーション実行部24は、IFG確保部25、フレーム長計算部26、フレームデアグリゲータ27を備えている。
【0042】
無線受信部(図示せず)は、他のアクセスポイント100から送信された集約フレームを受信する。
【0043】
図4に示すRLAタグ解析部21は、集約フレームのヘッダに記録されたFA−RLAタグ(
図6参照、詳しくは後述)を解析し、集約フレームを元の個別フレームに分離するための情報としてのフレームデアグリゲーション情報や、複数の集約フレームの送信順序に関する情報としての順序情報等を取得する。
【0044】
バッファ22は、RLAタグ解析部21におけるFA−RLAタグの解析処理の間、受信した集約フレームを一時的に記録する。
【0045】
順序制御部23は、各種並べ替えアルゴリズムを備え、RLAタグ解析部21の解析により取得された順序情報に基づいて、複数の集約フレームを送信された順序に一致するように並べ替えを行う。
【0046】
フレームデアグリゲーション実行部24は、集約フレームを集約が行われる前の個別フレームに戻す処理(フレームデアグリゲーション)を行う。この処理の詳細は、後述の[集約フレームの受信と個別フレームへの分離の手順]に記載する。
【0047】
図5に示すIFG確保部25は、RLAタグ解析部21が取得したフレームデアグリゲーション情報に基づいて、集約フレームを構成する個々の個別フレームに、集約フレーム生成時に削除した“IFG”即ちフレーム間ギャップを挿入する。これにより、個別フレーム同士が隣接した状態から個別フレーム同士がフレーム間ギャップによって離間した状態となる。
【0048】
フレーム長計算部26は、フレームデアグリゲーション情報に基づいて、集約フレームを構成する個別フレームのフレーム長を算出する。
【0049】
フレームデアグリゲータ27は、フレームデアグリゲーション情報に基づいて、集約フレームを、集約される前の個別フレームに戻す。このとき、集約フレームが複数の個別フレームを結合して生成されている場合には、集約フレームを分離させる処理も行う。
【0050】
[FA−RLAタグの具体的構成]
図6に、この実施の形態に係るRLAシステムにおいて送受信される集約フレームのヘッダに記録されるFA−RLAタグの構成を模式的に示す。
【0051】
図6の(b)に示すように、FA−RLAタグ41の基本構成(同図の“A”に示す基本タグ部42)は
図6の(a)に示す従来の(個別タグに付与される)リンクアグリゲーションタグ(RLAタグ)40と同じ構成であるが、唯一、RLAタグ40の先頭から3オクテット目の0 Padding43が、FA−RLAタグ41のフレーム集約数情報44に置き換わっている点が相違する。
【0052】
このFA−RLAタグ41のフレーム集約数情報44は、集約前の個別フレーム数が情報として記録される。
【0053】
また、
図6の(b)に示すように、FA−RLAタグ41は、複数の個別タグが結合される場合には、追加タグ部45が付加される。この追加タグ部45は、全て同一の構成で、集約の際に結合される個別タグの個数に基づいて、付加される個数(つまりタグの長さ)が変化する。それぞれの追加タグ部45には、結合される個別フレームのフレーム長を示すフレーム長情報46が記録されている。
図6の(b)には、複数例えば4つの個別フレームを結合して集約する場合の、3つの追加タグ部45,45,45が付加された状態が示されている。
【0054】
このようにFA−RLAタグ41を構成することにより、集約させる個別フレームの数に従来のRLAタグ40を付与したフレームとの互換性が高くなり、従来のRLAタグ40を付与した個別フレームとFA−RLAタグ41を付与した集約フレームを同じRLAシステム1Aにおいて容易に併用できる。
【0055】
[集約フレームの具体的構成]
図7に、この実施の形態に係るRLAシステムにおいて送受信される集約フレームを模式的に示す。
【0056】
図7の(c)に示す、この実施の形態に係るRLAシステム1Aにおいて生成される集約フレーム51は、それぞれの個別フレームに存在する個別ヘッダ(PHY header)52がフレームの先頭のみに付与されている。このため、
図7の(a)に示す比較用フレーム53(外部ポート135から入力された個別フレーム54を複数並べた状態を模式的に示したもの)に比べ、集約フレーム51のフレーム長は短くなっている。
【0057】
また、この実施の形態の集約フレーム51は、FA−RLAタグ41もフレームの先頭のみに付与されている。このため、
図7の(b)に示す、集約フレーム51を構成する全ての個別フレーム54の先頭にRLAタグ40を付与させた比較用フレーム55に比べ、集約フレーム51のフレーム長は短くなっている。
【0058】
更に、この実施の形態の集約フレーム51は、フレーム間ギャップ(IFG)56が先頭のみに付与されており、集約フレーム51を構成していた個々の個別フレーム54の間に存在していたフレーム間ギャップは削除されている。このため、
図7の(a)及び(b)に示す、個々の個別フレーム54の間にフレーム間ギャップ56が存在する比較用フレーム53,55に比べ、集約フレーム51のフレーム長は短くなっている。
【0059】
集約フレーム51をこのように構成することにより、個々の集約フレーム51のデータ量は、その集約フレーム51を構成する個々の個別フレーム54を個々に送信する場合のデータ量や、個々の個別フレームをそのまま結合させた場合のデータ量に比べて小さくなる。そのため、集約フレーム51を送信する経路の輻輳を抑止し、伝送効率を向上させることができる。
【0060】
[集約フレームの生成と送信の手順]
図8に、この実施の形態に係るRLAシステムのRLA送信機における、個別フレームの受信と集約フレームの生成の処理手順とを模式的に示す。
【0061】
同図に示すように、外部ネットワーク134から外部ポート135を経てアクセスポイント100に到着した複数の個別フレーム54は、アクセスポイント100のRLA送信機10においてヘッダ情報(例えばMACアドレス等)が読み込まれる。そして、RLA送信機10のフレームアグリゲーション実行部12が、宛先情報が共通である複数の個別フレーム54を集約して結合させて、一の集約フレーム51を生成する。そして、RLA送信機10の無線送信部(図示せず)が、集約フレーム51を宛先情報ごとに第0無線ポート130〜第3無線ポート133から送信する。
【0062】
図8においては、宛先1番(第1アクセスポイント101宛て)の個別フレーム54を結合させて集約させた集約フレーム51を第0無線ポート130から送信し、同様に、宛先2番(第2アクセスポイント102宛て)の集約フレーム51を第1無線ポート131から、宛先3番(第3アクセスポイント103宛て)の集約フレーム51と宛先1番の集約フレーム51を第2無線ポート132から、宛先2番の集約フレーム51と宛先4番(第4アクセスポイント104宛て)の集約フレーム51を第3無線ポート133から送信する状態を示している。なお、同図では、集約フレーム51の宛先である第1〜第4アクセスポイント101〜104と送信される第0〜第3無線ポート130〜133とは対応した状態となっているが、必ずしも一対一で対応しているわけではない。これは、宛先の第1〜第4アクセスポイント101〜104に直接(つまりホップ数が「1」の状態で)送信される場合もあれば、混雑回避等のために宛先以外のアクセスポイント101〜104をも経由して(つまりホップ数が「2」以上の状態で)宛先の第1〜第4アクセスポイント101〜104に送信される場合もあるからである。
【0063】
図8における、第0無線ポート130から出力される集約フレーム51や、第2無線ポート132から出力される集約フレーム51に示すように、それぞれの集約フレーム51は、アクセスポイント100に到着した順序を維持した状態で結合され集約されて集約フレーム51が生成される。このように集約フレーム51を生成することで、集約フレーム51を受信したアクセスポイント100で集約フレーム51を分離させて元の個別フレーム54の順序に戻す際の並べ替えの回数が過大になることを抑止できる。
【0064】
なお、集約フレーム51の生成の際は、集約条件判定部17
1・・・17
Nが、記録された所定の集約条件に基づいて、それぞれの個別フレーム同士を集約させるか否かの判定を行う。この集約条件は、RLAシステム1Aにおける無線通信の状態を変化させ得る、個別フレーム54及び/又は集約フレーム51の構成及び/又は送受信制御に関する所定の条件である。具体的には、この集約条件と集約を行うか否かの判定は、例えば下記(集約条件例1)〜(集約条件例2)に示すものを用いることが考えられる。
(集約条件例1)それぞれの集約条件判定部17
1・・・17
Nは、データ量やフレーム数のしきい値情報に基づいて集約するか否かを決定する。例えば、結合後のデータ量やフレーム数がしきい値以内の場合は複数の個別フレーム54を結合させて集約フレーム51を生成し、しきい値を超える場合は個別フレーム54同士を結合しない。
(集約条件例2)それぞれの集約条件判定部17
1・・・17
Nは、個別フレームの到着間隔の制限時間に基づいて集約するか否かを決定する。例えば、同じ宛先の個別フレームの到着間隔が所定の制限時間以内の場合は複数の個別フレーム54を結合させて集約フレーム51を生成し、到着間隔を超える場合は個別フレーム54同士を結合しない。
【0065】
図8においては、集約条件判定部17
1・・・17
N(
図3参照)の制御により、第0無線ポート130から出力される集約フレーム51は4つの個別フレーム54全てが結合されている一方、第1無線ポート131から出力される集約フレーム51は(最初の個別フレーム54のデータ量が大きいために)2つの個別フレーム54が結合されずに出力された状態が示されている。
【0066】
[集約フレームの受信と個別フレームへの分離の手順]
図9に、この実施の形態に係るRLAシステムにおける、受信した集約フレームを個別フレームに分離させる処理手順を模式的に示す。
【0067】
同図に示すように、一のアクセスポイント、例えば
図1に示す第2アクセスポイント102が受信した集約フレーム51は、RLA受信機20の順序制御部23(
図4参照)が、並べ替えアルゴリズム等を用い、RLAタグ解析部21(
図4参照)の解析に基づいて複数の集約フレーム51を送信された順序に一致するように並べ替える。具体的には、順序制御部23(
図4参照)は、集約フレーム51のFA−RLAタグ41(
図6参照)のフレーム集約数情報44(
図6参照)を検出して集約フレーム51を生成する個別フレーム54の個数を検出すると共に、順序制御情報47(
図6参照)、フレーム長情報46を検出してそれぞれの個別フレーム54のフレーム長を検出する。
【0068】
この状態で、フレームデアグリゲーション実行部24が集約フレーム51を結合前の複数の個別フレーム54に分離させる。このとき、フレームデアグリゲーション実行部24は、分離した個別フレーム54にフレーム間ギャップの挿入や個別フレーム54のヘッダ情報の付加を行い、集約フレーム51として集約される前の状態に戻す。これにより、
図9の(c)に示すように、第2アクセスポイント102は、個々の個別フレーム54を、
図1に示す第0アクセスポイント100が受信した順番に戻して外部ポート135から外部ネットワーク134に送信する。
【0069】
ここで、
図9に示すように、例えば第2アクセスポイント102が受信した複数の集約フレーム51が複数の異なる経路を経ている場合(
図9の(a)(b)には、第2アクセスポイント102が第0無線ポート130、第1無線ポート131、第2無線ポート132、第3無線ポート133で受信した集約フレーム51や個別フレーム54を、受信順にバッファ22に格納した状態を模式的に示している。)には、経路ごとの距離や遅延状態の違いにより、送信時とは異なる順序で到着する。そのため、受信した集約フレーム51は、順序制御部23(
図4参照)において送信順序と同じ順序に並べ替えなければならない。
【0070】
ここで、
図9の(a)に示すように、この実施の形態の集約フレーム51は、第0アクセスポイント100のフレームアグリゲーション実行部12(
図2参照)が、宛先情報が共通である複数の個別フレーム54を到着順に集約して結合させたものである。そのため、この実施の形態の集約フレーム51を構成する個々の個別フレーム54(例えば同図の(a)における「#1」〜「#4」の4つの個別フレーム54や、「#6」〜「#7」の2つの個別フレーム等)は順序が揃っており、順序制御部23において並べ替える必要がない。
【0071】
そのため、
図9の(a)に示すこの実施の形態の場合は、
図9の(b)に示す比較例の場合よりも並べ替えの回数が少なくて済む。それゆえ、この実施の形態のRLAシステム1Aは、フレーム集約を行わない従来の構成に比べ、個別フレーム54の並べ替えの処理負荷が軽くて済む。そして、この実施の形態のRLAシステム1Aにおいては、RLA受信機20の処理負荷が過大になることを抑止できる。
【0072】
以上、この実施の形態においては、RLAシステム1Aを構成するネットワーク、例えば経路110〜113や経路120〜125、を送受信されるフレームのデータ量が過大化することを抑止して、ネットワークの伝送効率を良好にすることができる。
【0073】
この実施の形態においては、受信した複数の集約フレーム51を送信時の順序に並べ替える順序制御の回数が、集約フレーム51を構成する個々の個別フレーム54をそれぞれ別個に送信する場合のように、膨大になる事態を抑止できる。これにより、集約フレーム51を処理するアクセスポイント100における処理負荷の過大化を抑止できる。
【0074】
なお、上記実施の形態においては、RLAシステム1Aは、アクセスポイント100相互間で無線によってフレームを送受信するシステムに適用したが、これに限定されず、MACアドレス等のいわゆるデータリンク層のアドレス情報や、送受信されるフレームに付加されるタグ情報等に基づき、ポイントツーポイントの無線通信によってフレームを送受信するシステムであれば、どのようなものであってもよい。
【0075】
上記実施の形態においては、RLAシステム1Aを構成するアクセスポイント100は、第0アクセスポイント100〜第4アクセスポイント104がスター型結線を形成した状態としたが、これに限定されず、RLAシステム1Aを構成するアクセスポイント100の数は複数であれば幾つであってもよいし、結線状態はスター型以外、例えばリング型、フルメッシュ型、バス型など、どのような形状であってもよい。
【0076】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。