(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の信号処理系の全体の構成例を示すブロックである。
本実施形態において、固体撮像装置10は,ピクセル(画素)から読み出された複数(2または3以上)の読み出し信号を合成してダイナミックレンジを拡大可能に構成され、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0020】
図1の固体撮像装置10は、レジスタコントローラ(Register Controller)20、タイミングコントローラ(Timing Controller)30、ピクセル(画素)アレイ (Pixel Array)部40、アナログゲイン(Analog Gain)部50、アナログデジタルコンバータ(ADC : Analog Digital Converter)部60、信号処理部としての機能を含むデジタルシグナルプロセッサ(DSP : Digital Signal Processor)部70、スケーラブル低電圧信号伝送(SLVS : Scalable Low Voltage Signaling)インタフェース部80、およびクロックジェネレータ(Clock Generator)90を主構成要素として有している。
【0021】
固体撮像装置10において、レジスタコントローラ20、タイミングコントローラ30、アナログゲイン部50、ADC部60、DSP7部0、およびSLVSインタフェース部80が、信号の授受を行うためのバスBSにより接続されている。
また、クロックジェネレータ90により生成されたシステムクロックCLKが、レジスタコントローラ20、タイミングコントローラ30、アナログゲイン部50、ADC部60、DSP部70、およびSLVSインタフェース部80に供給される。
【0022】
レジスタコントローラ20は、図示しないCPU、DSP等の外部制御装置と通信し、動作モードの設定や各種制御パラメータが書き込まれる記憶部として機能する。
【0023】
タイミングコントローラ30は、各種動作モードに合わせてピクセル(画素)データを読み出す制御パルスS30を生成し、ピクセルアレイ部40の読み出し制御を行う。
【0024】
ピクセルアレイ部40は、フォトダイオード(光電変換素子)と画素内アンプとを含む複数のピクセルがN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
ピクセルアレイ部40は、そのピクセル(画素)配列として、たとえば
図2に示すようなベイヤー配列が採用される。
【0025】
図2は、ベイヤー配列の最小単位の一例を示している。
この例では、R(赤)のピクセルPXL−R、Gr(緑)のピクセルPXL−Gr、Gb(緑)のピクセルPXL−Gb、およびB(青)のピクセルPXL−Bが、2×2の行列状に配列されて、ベイヤー配列の最小単位UNTが形成されている。
【0026】
タイミングコントローラ30による制御パルスS30に従って、ピクセルアレイ部40の光電変換素子を含むピクセル群から読み出された読み出し信号は、アナログゲイン部50で所定のゲインをもって増幅され、ADC部60にてデジタル信号に変換され、 後で詳述するような信号処理部として機能するDSP部70に入力される。
なお、ADC部60の出力段には、たとえばカラムメモリ(Column Memory)が配置される。
【0027】
DSP部70では、入力されたデジタル信号に対して相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)、黒補正、デジタルゲイン等の画像信号処理が施された後、SLVSインタフェース部80において出力型式(
図1ではSLVS)に適合させて出力される。
【0028】
本実施形態においては、ピクセルアレイ部40の光電変換素子を含むピクセル群から読み出された読み出し信号は、
図1に示すように、光電変換利得の異なる複数種類(本例では2種類)の高利得信号(HCG : High conversion gain )と低利得信号(LCG : Low conversion gain)の2系統の信号が読み出される。
そして、DSP部70の信号処理部710にて2つの信号を合成してダイナミックレンジが拡大されたハイダイナミックレンジ信号を生成する。
【0029】
なお、読み出し信号が2系統存在するが、後で説明するように、信号の読み出しに関する部分(たとえば信号線)を1系統として時分割で処理することが可能である。
【0030】
高利得信号HCGは光電変換素子部からの高利得出力信号であるが、その分低利得信号LCGに比べて少ない入射光量で飽和する。低利得信号LCGは低利得出力信号であるため、飽和に達する入射光量に余裕があり、高利得信号HCGに比較して大きい。
そこで、DSP部70の信号処理部710では、低利得信号LCGと高利得信号HCGの傾きを等しくするとともに、高利得信号HCGが飽和する手前すなわち直線性が保たれている領域(非飽和領域)において、この2種類の信号を合成することでダイナミックレンジを高めた信号である合成信号を取得する。
【0031】
図3は、ベイヤー配列における高利得信号HCGと低利得信号LCGの一例を出力コード値を付加して示す図である。
図3(A)が高利得信号HCGの一例を示し、
図3(B)が低利得信号LCGの一例を示している。
【0032】
基本的には、ベイヤー配列の最小単位UNTを形成する4つのRピクセルPXL−R、GピクセルPXL−Gr、GピクセルPXL−Gb、およびBピクセルPXL−Bは、4つすべてが高利得信号HCGまたは低利得信号LCGに関連する出力コード値を示す。
【0033】
図3(A)に示す高利得信号HCGの場合、RピクセルPXL−Rの出力コード値は「2200」、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbの出力コード値は「2400」、BピクセルPXL−Bの出力コード値は「1600」を示している。
図3(A)の高利得信号HCGの例では、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbの出力コード値とBピクセルPXL−Bの出力コード値の比(G/B)は1.5である。
【0034】
一方、
図3(B)に示す低利得信号LCGの場合、RピクセルPXL−Rの出力コード値は「80」、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbの出力コード値は「100」、BピクセルPXL−Bの出力コード値は「50」を示している。
図3(B)の低利得信号LCGの例では、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbの出力コード値とBピクセルPXL−Bの出力コード値の比(G/B)は2.0である。
【0035】
また、高利得信号HCGと低利得信号LCGの比(HCG/LCG)は、RピクセルPXL−R、並びに、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbで24であり、BピクセルPXL−Bで32である。
【0036】
高利得信号HCGと低利得信号LCGの合成処理を行うDSP部70の信号処理部710は、飽和する前に直線性を有する低利得信号LCGの傾きを、同じく飽和する前に直線性を有する高利得信号HCGの傾きと等しくするために、入力される低利得信号LCGに、ゲイン比K(=HCG/LCG)を掛け合わせる。
図3の例で、ゲイン比Kは、たとえば16に設定される。ただし、ゲイン比は16に限定されず、4や8等、状況に応じた値に設定される。
【0037】
図3の例で、低利得信号LCGに、ゲイン比K=16(=HCG/LCG)を掛け合わせると、RピクセルPXL−Rの出力コード値は「80×16=1280」、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbの出力コード値は「100×16=1600」、BピクセルPXL−Bの出力コード値は「50×16=800」となる。
【0038】
この高利得信号HCGと低利得信号LCGの合成処理を行うDSP部70の信号処理部710は、基本的に以下に示す特徴的な構成、機能を有する。具体的な合成処理については、後で詳述する。
【0039】
本実施形態の信号処理部710は、複数の読み出し信号(この例では、高利得信号HCGと低利得信号LCG)を合成してダイナミックレンジを拡大可能に構成されている。
信号処理部710は、合成すべき複数の読み出し信号、たとえば高利得信号HCGと低利得信号LCGの傾きを等しくする。
信号処理部710は、複数の読み出し信号のうちの注目する読み出し信号の合成をする際に、複数の読み出し信号のうちの少なくとも一つの読み出し信号(高利得信号HCG、低利得信号LCG)と閾値(Joint Thresh)との比較結果に応じて合成に必要となる信号を少なくとも一つ選択し、合成処理に選択した信号を適用してダイナミックレンジが拡大された合成信号を生成する。
【0040】
そして、複数の信号(高利得信号HCG、低利得信号LCG)を合成する(組み合わせる)ことでダイナミックレンジを向上させる本実施形態の信号処理部710は、組み合わせ処理で発生する、直線性(リニアリティー)の精度の劣化による問題を軽減させるため、特に、色温度の変化による周辺画素(近傍画素)との相関性の変化によって発生する偽色を抑制し、画質を向上させるために、以下の特徴的な構成を有している。
【0041】
信号処理部710は、一つの注目するピクセル(画素)からの読み出し信号を合成するにあたり、読み出し信号の合成に関する合成情報を、一つの画素の周辺画素の合成に関する合成情報を参照して決定する。
【0042】
ここで、読み出し信号の合成に関する合成情報とは、たとえばピクセルから読み出された信号が、高利得信号HCGであるか低利得信号LCGであるかを示す情報を含む。
ただし、読み出し信号の合成に関する合成情報は、高利得信号HCGであるか低利得信号LCGであるかを示す情報に限定されるものではない。
【0043】
信号処理部710は、注目するピクセル(画素)の周辺画素の合成情報として、所定の色配列(本例ではベイヤー配列)の最小単位UNTを形成するピクセル(画素)の合成情報(本例では高利得信号HCGであるか低利得信号LCGを示す情報)を参照する。
【0044】
図4は、注目するピクセルの周辺画素の合成情報として、ベイヤー配列の最小単位UNTを形成するピクセルの合成情報である高利得信号HCGであるか低利得信号LCGを示す情報を参照する例を説明するための図である。
【0045】
図4に示す例では、注目するピクセルは、ベイヤー配列の最小単位UNTのBピクセルPXL−Bであり、周辺ピクセルは、ベイヤー配列の最小単位UNTのRピクセルPXL−R、並びに、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbである。
図4の例では、読み出し時の注目するBピクセルPXL−Bの合成情報は高利得信号HCGであり、周辺ピクセルRピクセルPXL−R、並びに、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbは低利得信号LCGである。
【0046】
この場合、信号処理部710は、注目するBピクセルPXL−Bの周辺ピクセルRピクセルPXL−R、並びに、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbの3ピクセルとも合成情報が低利得信号LCGであり、最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報は、3対1の割合で低利得信号LCGであるピクセルが多いことから、注目するBピクセルPXL−Bの合成情報を高利得信号HCGの代わりに低利得信号LCGであると決定(修正)する。
【0047】
なお、注目するピクセルの周辺ピクセルとしてはベイヤー配列の最小単位UNTの3つのピクセルに限定されない。
たとえば、信号処理部710は、
図5に示すように、注目するBピクセルPXL22−Bの周辺ピクセルとして、注目するBピクセルPXL22−Bと同色のBピクセルPXL11−B、PXL12−B、PXL13−B、PXL21−B、PXL23−B、PXL31−B、PXL32−B、PXL33−Bの8ピクセルを採用し、それらの合成情報を参照する。
【0048】
すなわち、信号処理部710は、注目するBピクセルPXL22−Bの合成情報(本例では
低利得信号LCG)と、注目するBピクセルPXL22−Bのフィルタ色と同色の周辺ピクセルBピクセルPXL11−B、PXL12−B、PXL13−B、PXL21−B、PXL23−B、PXL31−B、PXL32−B、PXL33−Bの合成情報(本例では高利得信号HCG)とを比較して最適な合成情報の決定方法を選択する。
【0049】
この場合、信号処理部710は、注目するBピクセルPXL22−Bの周辺ピクセルBピクセルPXL11−B、PXL12−B、PXL13−B、PXL21−B、PXL23−B、PXL31−B、PXL32−B、PXL33−Bの8ピクセルとも合成情報が高利得信号HCGであり、注目ピクセルを含む9つのピクセルの合成情報は、8対1の割合で高利得信号HCGであるピクセルが多いことから、注目するBピクセルPXL22−Bの合成情報を低利得信号LCGの代わりに高利得信号HCGであると決定(修正)する。
【0050】
なお、周辺ピクセルとしては、同色に限らず、同色を含めて周辺の16ピクセルの合成情報を参照する等、種々の態様が可能である。
また、これらの場合、
図5の例も含めて、ベイヤー配列に限らず他の配列にも適用することも可能である。
【0051】
本実施形態において、信号処理部710は、読み出し信号の合成情報の決定方法を複数有する。
【0052】
基本的に、信号処理部710は、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、3対1の割合で低利得信号LCGまたは高利得信号HCGの数が多い場合は、注目するピクセルの合成情報として多い方の合成情報を採用する。
信号処理部710は、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、4対0の割合で低利得信号LCGまたは高利得信号HCGである場合には、注目するピクセルの合成情報は修正せずそのままとする。
信号処理部710は、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、2対2の割合で低利得信号LCGと高利得信号HCGの数が等しい場合は、注目するピクセルの合成情報として採用する合成情報の決定方法は、複数有り、この複数の方法のうちの1つを採用することが可能である。
【0053】
たとえば、第1の方法では、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、2対2の割合で低利得信号LCGと高利得信号HCGの数が等しい場合は、注目するピクセルの合成情報を、GピクセルPXL−Gr、PXL−Gbの合成情報(低利得信号LCGまたは高利得信号HCG)に一致させる。
【0054】
たとえば、第2の方法では、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、2対2の割合で低利得信号LCGと高利得信号HCGの数が等しい場合は、注目するピクセルの合成情報を、周辺同色ピクセルと比較し、周辺同色ピクセルの合成情報(低利得信号LCGまたは高利得信号HCG)に一致させる。
【0055】
たとえば、第3の方法では、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、2対2の割合で低利得信号LCGと高利得信号HCGの数が等しい場合は、注目するピクセルの合成情報を、周辺16ピクセルと比較し、周辺16ピクセルの合成情報(低利得信号LCGまたは高利得信号HCG)に一致させる。
【0056】
たとえば、信号処理部710は、周辺ピクセルの合成情報の決定方法の採用数から判断して最適な合成情報の決定方法を選択する機能を持つことが可能である。
また、信号処理部710は、注目するピクセルの合成情報と、注目するピクセルのフィルタ色と同色の周辺画素の合成情報とを比較して最適な合成情報の決定方法を選択する機能を持つことが可能である。
【0057】
信号処理部710は、最適な合成情報の決定方法の選択にあたって、各色ピクセル(画素)の、たとえばエッジ部分から生成した輝度信号のレベルを参照する機能を持つことが可能である。
【0058】
また、信号処理部710は、最適な合成情報の決定方法の選択にあたって、算出された色温度情報を参照する機能を持つことが可能である。
【0059】
信号処理部710は、参照するそれぞれのピクセル(画素)からの読み出し信号の時間的変化を基に合成情報の決定方法を決定する機能を持つことが可能である。
【0060】
また、信号処理部710は、1画面内を複数の領域に分割し、その分割領域単位で選択する合成情報の決定方法を制限する機能を持つことが可能である。
【0061】
そして、本実施形態の信号処理部710は、合成処理に適用する閾値を動的に変更可能に構成されている。
信号処理部710は、閾値として、あらかじめ設定された基準閾値(中心閾値) Joint Thresh(以下、J
Tresh)と、基準閾値J
Threshと所定のステップ値stepα(αは自然数)とを比較演算(たとえば加算、減算)することで決定した新たな閾値(J
Thresh ± stepα)と、を合成処理に適用する。
【0062】
なお、あらかじめ設定された基準閾値(中心閾値) J
Threshは、たとえば記憶部としてのレジスタ(REG)に書き換え可能に書き込まれる。
【0063】
信号処理部710は、たとえば複数の読み出し信号のうち基準とする読み出し信号(たとえば高利得信号HCG)と対応する閾値(J
Thresh、J
Thresh±stepα)との比較結果に応じて、合成対象の複数の読み出し信号(高利得信号HCGおよび低利得信号LCG)を重み付け処理する重み付け処理部を有している。
重み付け処理部は、閾値に挟まれた領域の信号レベルにおいては、この領域に割り当てられた重み付け値に従って重み付け平均値を算出し、重み付け平均値をその領域の合成信号として出力する。
【0064】
また、信号処理部710の重み付け処理部は、記複数の読み出し信号を加算平均する加算平均処理機能を含んで構成される。
加算平均処理機能は、閾値に挟まれた領域の信号レベルにある各々の信号は、加算平均された値をもって1つの出力とする。
【0065】
以下に、低利得信号LCGと高利得信号HCGを生成可能なピクセルPXLの構成例を説明した後、DSP部70の信号処理部710における構成例および低利得信号LCGと高利得信号HCGの具体的な合成処理について説明する。
【0066】
(ピクセルアレイ部40におけるピクセルPXLの構成例)
図6は、本第1の実施形態に係るピクセルアレイ部40における低利得信号LCGと高利得信号HCGを生成可能なピクセルPXLの構成例を示す図である。
【0067】
図6のピクセルPXLは、フォトダイオードPD、フォトダイオードPDのカソード側に接続される、寄生容量もしくは付加容量によって形成される容量C11、並びにフォトダイオードPDおよび容量C11〜C13をリセットするリセットトランジスタRST−Trを有する。
【0068】
フォトダイオードPDは、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷がホールであったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
【0069】
ピクセルPXLは、容量C11に接続される転送スイッチとしての転送トランジスタTG11−Tr、フォトダイオードPDおよび容量C11から転送される電荷を蓄積する容量C12、選択スイッチとしての選択トランジスタSEL11−Tr、およびゲートが容量C12に接続されるソースフォロワトランジスタSF11−Trを有する。
【0070】
また、ピクセルPXLは、容量C11に接続される転送スイッチとしての転送トランジスタTG12−Tr、フォトダイオードPDおよび容量C11から転送される電荷を蓄積する容量C13、選択スイッチとしての選択トランジスタSEL12−Tr、およびゲートが容量C13に接続されるソースフォロワトランジスタSF12−Trを有する。
【0071】
なお、ピクセルPXLのリセットトランジスタRST−Tr、転送トランジスタTG11−Tr,TG12−Tr、選択トランジスタSEL11−Tr,SEL12−Trのゲートには、タイミングコントローラ30で生成された制御パルスS30がそれぞれ供給されて、オン、オフ制御が行われる。
【0072】
このように、
図6のピクセルPXLは、フォトダイオードPDおよび容量C11に蓄積された電荷は2系統の出力系out1,out2を介して出力されるように構成されている。
図6の例では、出力系out1に低利得信号LCGが出力され、出力系out2に高利得信号HCGが出力される。
そして、
図6の構成においては、たとえば出力系out1と出力系out2はワイヤードオアされ、各列(カラム)で2系統の高利得信号HCGと低利得信号LCGは共通の信号線(垂直信号線)LSGNに時分割で出力される。
【0073】
次に、
図6のピクセルPXLの動作を説明する。
【0074】
フォトダイオードPD、寄生容量もしくは付加容量によって形成される容量C11の電位はリセットトランジスタRST−Trによってリセット電位Vr(
図6の例ではVDD)にリセットされる。
蓄積期間にフォトダイオードPDに光が入射すると、発生した光電荷はフォトダイオードPDおよび容量C11に蓄積される。
この状態で、転送スイッチとしての転送トランジスタTG11−Trもしくは転送スイッチとしての転送トランジスタTG12−Trをオンすることで容量C12もしくは容量C13の電位は発生した光電荷に応じて変化する。
【0075】
ここで容量C12および容量C13はそれぞれソースフォロワトランジスタSF11−Tr、SF12−Trのゲート電極の寄生容量が支配的である。
選択トランジスタSEL11−Tr,SEL12−Trは行選択スイッチであり、2次元アレイ状に配列されているピクセルPXLのある行を選択するためのスイッチである。選択トランジスタSEL11−Tr,SEL12−Trは電源VDDに接続されている。
出力系out1と出力系out2は、信号線LSGNを介して図には示していない定電流源に接続されており、ソースフォロワトランジスタSF11−Tr、SF12−Trとともに、ソースフォロワアンプを形成している。
選択トランジスタSEL11−Tr,SEL12−TrもソースフォロワトランジスタSF11−Tr、SF12−Trと同様に定電流源とでソースフォロワアンプを形成しており、トランジスタTG11−TrとトランジスタSEL11−Trを選択するか、トランジスタTG12−TrとトランジスタSEL12−Trを選択することで、いずれかのソースフォロワアンプを選択することができる。
【0076】
これにより、2系統の高利得信号HCGと低利得信号LCGは共通の信号線(垂直信号線)LSGNに時分割で出力される。
読み出しの容量C12、C13を場合によって選べることの利点は,撮影条件によって、ダイナミックレンジ(DR:D−range)を選択できることにある。
【0077】
(DSP部70における低利得信号LCGと高利得信号HCGの具体的な合成処理)
次に、DSP部70の信号処理部710における構成例および低利得信号LCGと高利得信号HCGの具体的な合成処理について説明する。
【0078】
以下の説明においては、光電変換素子を含むピクセルPXLから読み出される複数の読み出し信号は、少なくとも一組の、低利得信号LCGと、低利得信号LCGに比べて少ない入射光量で飽和する高利得信号HCGと、を含むものとする。
【0079】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る信号処理部の構成例を示す図である。
【0080】
図7の信号処理部710は、合成情報判別部711、乗算器712,713、および重み付け処理部としての機能を有する合成処理部714を有する。
【0081】
合成情報判別部711は、高利得信号HCGと低利得信号LCを合成する(組み合わせる)ことでダイナミックレンジを向上させるに際し、組み合わせ処理で発生する、直線性(リニアリティー)の精度の劣化による問題を軽減させるため、特に、色温度の変化による周辺画素(近傍画素)との相関性の変化によって発生する偽色を抑制し、画質を向上させるために、以下の構成を有している。
【0082】
合成情報判別部711は、一つの注目するピクセル(画素)からの読み出し信号を合成するにあたり、読み出し信号の合成に関する合成情報を、一つの画素の周辺画素の合成に関する合成情報を参照して決定する。
【0083】
合成情報判別部711は、注目するピクセル(画素)の周辺画素の合成情報として、たとえばベイヤー配列の最小単位UNTを形成するピクセル(画素)の合成情報である高利得信号HCGであるか低利得信号LCGを示す情報を参照する。
【0084】
また、合成情報判別部711は、注目するピクセルの周辺ピクセルとして、注目するピクセルと同色の8ピクセルを採用し、それらの合成情報を参照する。
【0085】
なお、周辺ピクセルとしては、前述したように、同色に限らず、同色を含めて周辺の16ピクセルの合成情報を参照する等、種々の態様が可能である。
【0086】
本実施形態において、合成情報判別部711は、読み出し信号の合成情報の決定方法を複数、たとえば、第1、第2、第3の方法の3つ有する。ここで、第1の方法MTD1、第2の方法MTD2、および第3の方法MTD3について
図8〜
図12に関連付けて説明する。
【0087】
図8は、本実施形態に係る読み出し信号の合成情報の決定の第1の方法を説明するための図である。
図9は、本実施形態に係る読み出し信号の合成情報の決定の第2の方法を説明するための図である。
図10は、本実施形態に係る読み出し信号の合成情報の決定の第3の方法を説明するための図である。
図11は、本実施形態に係る読み出し信号の合成情報の決定方法を採用した場合のハイダイナミックレンジ信号の生成過程および結果を示す図である。
図12は、本実施形態に係る読み出し信号の合成情報の決定方法を採用しない場合のハイダイナミックレンジ信号の生成過程および結果を示す図である。
【0088】
(第1の方法MTD1)
第1の方法MTD1においては、
図8に示すように、合成情報判別部711は、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、4対0の割合で低利得信号LCGまたは高利得信号HCGであるか否かを判定する(工程PR1)。
【0089】
合成情報判別部711は、工程PR1において、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、4対0の割合で低利得信号LCGまたは高利得信号HCGであると判定した場合には、注目するピクセルの合成情報は修正せずそのままとする(工程PR2)。
【0090】
合成情報判別部711は、工程PR1において、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、4対0の割合で低利得信号LCGまたは高利得信号HCGでないと判定した場合には、工程PR3の処理に移行する。
【0091】
合成情報判別部711は、工程PR3において、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、3対1の割合で低利得信号LCGまたは高利得信号HCGの数が多いか否かを判定する。
【0092】
合成情報判別部711は、工程PR3において、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、3対1の割合で低利得信号LCGまたは高利得信号HCGの数が多いと判定した場合には、注目するピクセルの合成情報として数の多い方の合成情報を採用する(工程PR4)。
【0093】
図11に示す例では、注目するピクセルは、ベイヤー配列の最小単位UNTのBピクセルPXL−Bであり、周辺ピクセルは、ベイヤー配列の最小単位UNTのRピクセルPXL−R、並びに、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbである。
図11の例では、読み出し時の注目するBピクセルPXL−Bの合成情報は高利得信号HCGであり、周辺ピクセルRピクセルPXL−R、並びに、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbは低利得信号LCGである。
【0094】
この場合、合成情報判別部711は、注目するBピクセルPXL−Bの周辺ピクセルRピクセルPXL−R、並びに、GピクセルPXL−GrおよびPXL−Gbの3ピクセルとも合成情報が低利得信号LCGであり、最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報は、3対1の割合で低利得信号LCGであるピクセルが多いことから、注目するBピクセルPXL−Bの合成情報を高利得信号HCGの代わりに低利得信号LCGであると決定(修正)する。そのときの、注目するBピクセルPXL−Bの出力コード値は、HCG/LCG比を16とすると800(50×16)となる。
【0095】
この処理を採用することにより、合成情報判別部711は、高利得信号HCGと低利得信号LC
Gを合成する(組み合わせる)ことでダイナミックレンジを向上させるに際し、組み合わせ処理で発生する、直線性(リニアリティー)の精度の劣化による問題を軽減させる。特に、色温度の変化による周辺画素(近傍画素)との相関性の変化によって発生する偽色を抑制し、画質を向上させる。
【0096】
一方、
図12に示すように、この処理を採用しない場合には、高利得信号HCGと低利得信号LC
Gを合成する(組み合わせる)ことでダイナミックレンジを向上させるに際し、組み合わせ処理で直線性(リニアリティー)の精度の劣化による問題が発生する。特に、色温度の変化による周辺画素(近傍画素)との相関性の変化によって偽色が発生する。
【0097】
合成情報判別部711は、工程PR3において、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、3対1の割合で低利得信号LCGまたは高利得信号HCGの数が存在しないと判定すると、工程PRR5の処理に移行する。
【0098】
合成情報判別部711は、工程PR5において、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、2対2の割合で低利得信号LCGと高利得信号HCGの数が等しいか否かを判定する。
【0099】
合成情報判別部711は、工程PR5において、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、2対2の割合で低利得信号LCGと高利得信号HCGの数が等しいと判定すると、この第1の方法MTD1では、注目するピクセルの合成情報を、GピクセルPXL−Gr、PXL−Gbの合成情報(低利得信号LCGまたは高利得信号HCG)に一致させる(工程PR6)。
【0100】
合成情報判別部711は、工程PR5において、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、2対2の割合で低利得信号LCGと高利得信号HCGの数が等しくないと判定すると、たとえば工程PR1の処理に移行する。
【0101】
(第2の方法MTD2)
第2の方法MTD2においては、
図8および
図9に示すように、合成情報判別部711の処理は、工程PR5で肯定的な判定を行った場合の処理が第1の方法MTD1と異なる。
【0102】
合成情報判別部711は、工程PR5において、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、2対2の割合で低利得信号LCGと高利得信号HCGの数が等しいと判定すると、この第2の方法MTD2では、注目するピクセルの合成情報を、周辺同色ピクセルと比較し(工程PR7)、周辺同色ピクセルの合成情報(低利得信号LCGまたは高利得信号HCG)に一致させる(工程PR8)。
【0103】
(第3の方法MTD3)
第3の方法MTD3においては、
図8および
図10に示すように、合成情報判別部711の処理は、工程PR5で肯定的な判定を行った場合の処理が第1の方法MTD1と異なる。
【0104】
合成情報判別部711は、工程PR5において、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、2対2の割合で低利得信号LCGと高利得信号HCGの数が等しいと判定すると、この第3の方法MTD3では、注目するピクセルの合成情報を、周辺16ピクセルと比較し(工程PR9)、周辺16ピクセルの合成情報(低利得信号LCGまたは高利得信号HCG)に一致させる(工程PR10)。
【0105】
このように、本実施形態の合成情報判別部711は、ベイヤー配列の最小単位UNTの4つのピクセルの合成情報が、2対2の割合で低利得信号LCGと高利得信号HCGの数が等しい場合は、注目するピクセルの合成情報として採用する合成情報の決定方法は、複数有り、この複数の方法のうちの1つを採用することが可能である。
【0106】
本実施形態の合成情報判別部711は、前述したように、周辺ピクセルの合成情報の決定方法の採用数から判断して最適な合成情報の決定方法を選択する機能を持つことが可能である。
また、信号処理部710は、注目するピクセルの合成情報と、注目するピクセルのフィルタ色と同色の周辺画素の合成情報とを比較して最適な合成情報の決定方法を選択する機能を持つことが可能である。
【0107】
また、合成情報判別部711は、最適な合成情報の決定方法の選択にあたって、各色ピクセル(画素)の、たとえばエッジ部分から生成した輝度信号のレベルを参照する機能を持つことが可能である。
また、合成情報判別部711は、最適な合成情報の決定方法の選択にあたって、算出された色温度情報を参照する機能を持つことが可能である。
また、合成情報判別部711は、参照するそれぞれのピクセル(画素)からの読み出し信号の時間的変化を基に合成情報の決定方法を決定する機能を持つことが可能である。
また、合成情報判別部711は、1画面内を複数の領域に分割し、その分割領域単位で選択する合成情報の決定方法を制限する機能を持つことが可能である。
【0108】
ここで、
図7の説明に戻る。
乗算器712は、飽和する前に直線性を有する低利得信号LCGの傾きを、同じく飽和する前に直線性を有する高利得信号HCGの傾きと等しくするために、入力される低利得信号LCGに、ゲイン比K(=HCG/LCG)を掛け合わせ、その結果を合成処理部714に供給する。
【0109】
乗算器713は、高利得信号HCGの傾きを微調整するために、入力される高利得信号HCGに、ゲイン比1.0を掛け合わせ、その結果を合成処理部714に供給する。
なお、乗算器712は、微調整のために配置されており、必ずしも必要ではなく、なくてもよい。
【0110】
合成処理部714は、傾きが等しくなるように調整された低利得信号LCGと高利得信号HCGを受けて、高利得信号HCGが飽和する手前であって直線性が保たれている非飽和領域ANSATで、合成処理により低利得信号LCGと高利得信号HCGを合成する。
合成処理部714は、重み付け処理部として機能し、たとえば複数の低利得信号LCGと高利得信号HCGのうち基準とする高利得信号HCGと対応する閾値(J
Thresh、J
Thresh±stepα)との比較結果に応じて、合成対象の高利得信号HCGおよび低利得信号LCGを重み付け処理する重み付け処理部としての機能を有している。
合成処理部714は、重み付け処理部として、閾値に挟まれた領域の信号レベルにおいては、この領域に割り当てられた重み付け値に従って重み付け平均値を算出し、重み付け平均値をその領域の合成信号として出力する機能を有する。
【0111】
また、合成処理部714は、重み付け処理部として、低利得信号LCGと高利得信号HCGを加算平均する加算平均処理機能を含んで構成される。
加算平均処理機能は、閾値に挟まれた領域の信号レベルにある各々の信号は、加算平均された値をもって1つの出力とする。
【0112】
以上の構成を有する信号処理部710は、ピクセルアレイ部40のマトリクス配列の各列(カラム)に対応して複数配置される。
【0113】
以上、本実施形態に係る信号処理部710の基本的なブロック構成について説明した。
次に、本実施形態に係る信号処理部710によって2つの特性の異なる高利得信号HCGと低利得信号LCGを合成し、ハイダイナミックレンジ信号とする合成方法をより具体的に図解して説明する。
【0114】
図13(A)〜(C)は、高利得信号HCGと低利得信号LCGを合成し、ハイダイナミックレンジ信号とする合成方法を具体的に説明するための図である。
図13(A)は高利得信号HCGと低利得信号LCGの傾きを同じとなるように調整する処理概要を示している。
図13(B)は高利得信号HCGが飽和する手前であって直線性が保たれている非飽和領域ANSATにおいて、合成処理により高利得信号HCGと低利得信号LCGを4ステップで段階的にスムーズに合成することを示している。
図13(C)は高利得信号HCGと低利得信号LCGを4ステップで段階的にスムーズに合成する場合の、中心閾値J
Thresh、各結合位置(点)jp0〜jp3、動的に設定される閾値(J
Thresh−step2)、(J
Thresh−step1)、(J
Thresh+step1)、(J
Thresh+step2)、重み付け値の関係を模式的に図解して示している。
図14は高利得信号HCGと低利得信号LCGを4ステップで段階的にスムーズに合成する場合の、信号レベル、中心閾値J
Thresh、各結合位置(点)jp0〜jp3、動的に設定される閾値(J
Thresh−step2)、(J
Thresh−step1)、(J
Thresh+step1)、(J
Thresh+step2)、閾値間の領域の関係を模式的に示している。
【0115】
図13において、高利得信号HCGと低利得信号LCGは前述の2系統の信号に相当する。ここで、
図6で示したように高利得信号HCGと低利得信号LCGはいずれもデジタル信号である。
前述したように、高利得信号HCGは光電変換素子部からの高利得出力信号であるが、その分低利得信号LCGに比べて少ない入射光量で飽和する。低利得信号LCGは低利得出力信号であるため、飽和に達する入射光量に余裕があり、高利得信号HCGに比較して大きい。
そこで、DSP部70の信号処理部710では、低利得信号LCGと高利得信号HCGの傾きを等しくするとともに、高利得信号HCGが飽和する手前すなわち直線性が保たれている非飽和領域ANSATでこの2種類の信号を合成することでダイナミックレンジ(DR)を高めた信号が得られる。
【0116】
信号処理部710の合成処理部714は、たとえば高利得信号HCGを基準として合成処理を行うことが可能である。
合成処理部714は、たとえば
図13(C)および
図14に示すように、非飽和領域ANSATの中心部位置JC(Joint Center)に、基準閾値を中心閾値J
Threshとして設定する。
【0117】
合成処理部714は、たとえば
図13(C)および
図14に示すように、中心閾値J
Threshが設定された中心部位置JCから合成信号を高利得信号HCGと結合すべき高利得信号最端部側結合位置jp(joint point)0の間に、高利得信号最端部側結合位置jp0を含む二つの高利得側結合位置jp0、jp1を設定するとともに、中心部位置JCから高利得信号最端部に向かって徐々に大きくなる、設定した高利得側結合位置jp1、jp0に対応する高利得側ステップ値(−)step1,(−)step2(step2>step1)を設定する。
【0118】
合成処理部714は、たとえば
図13(C)および
図14に示すように、中心閾値J
Threshが設定された中心部位置JCから合成信号を低利得信号LCGと結合すべき低利得信号最端部側結合位置jp3の間に、低利得信号最端部側結合位置jp3を含む二つの低利得側結合位置jp3、jp2を設定するとともに、中心部位置JCから低利得信号最端部に向かって徐々に大きくなる、設定した低利得側結合位置jp2、jp3に対応する低利得側ステップ値step1,step2(step2>step1)を設定する。
【0119】
そして、合成処理部714は、たとえば
図13(C)および
図14に示すように、中心閾値J
Threshから設定した高利得側ステップ値step2,step1を減算して対応する高利得側結合位置jp0,jp1の新たな閾値(J
Thresh−step2)、(J
Thresh−step1)として設定する。合成処理部714は、新たな閾値を適用して高利得側結合位置jp0,jp1における閾値(J Thresh−step2)、(J
Thresh−step1)と高利得信号HCGとの比較結果に応じて合成処理を行う。
【0120】
同様に、合成処理部714は、たとえば
図13(C)および
図14に示すように、中心閾値J
Threshに設定した低利得側ステップ値step1,step2を加算して対応する低利得側結合位置jp2,jp3の新たな閾値(J
Thresh+step1)、(J
Thresh+step2)として設定する。合成処理部714は、新たな閾値を適用して低利得側結合位置jp2、jp3における閾値(J
Thresh+step1)、(J
Thresh+step2)と高利得信号HCGとの比較結果に応じて合成処理を行う。
【0121】
合成処理部714は、合成処理に係る比較処理において、高利得側結合位置jp0、jp1の閾値(J
Thresh−step2)、(J
Thresh−step1)、または、低利得側結合位置jp2、jp3の閾値(J
Thresh+step1)、(J
Thresh+step2)と高利得信号HCGとの比較により選択された値に挟まれた領域A01,A12,A23の信号レベルにおいては、領域A01,A12,A23に割り当てられた重み付け値WV01,WV12,WV23に従って重み付け平均値AVW01、AVW12,AVW23を算出し、重み付け平均値をその領域の合成信号(合成データ)data
dhdrとして出力する。
【0122】
たとえば、高利得側結合位置jp0の閾値(J
Thresh−step2)と隣接の高利得側結合位置jp1の閾値(J
Thresh−step1)に挟まれた領域A01においては、低利得信号LCGに「1」で高利得信号HCGに「3」の重み付け値(LCG:HCG=1:3)WV01が割り当てられる。
【0123】
高利得側結合位置jp1の閾値(J
Thresh−step1)と隣接の低利得側結合位置jp2の閾値(J
Thresh+step1)に挟まれた領域A12においては、低利得信号LCGに「1」で高利得信号HCGに「1」の重み付け値(LCG:HCG=1:1)WV12が割り当てられる。
【0124】
低利得側結合位置jp2の閾値(J
Thresh+step1)と隣接の低利得側結合位置jp3の閾値(J
Thresh+step2)に挟まれた領域A23においては、低利得信号LCGに「3」で高利得信号HCGに「1」の重み付け値(LCG:HCG=3:1)WV23が割り当てられる。
【0125】
合成処理部714は、高利得信号最端部側結合位置jp0の閾値(J
Thresh−step2)と高利得信号HCG(data
hcg)との比較の結果、高利得信号HCGのレベルが閾値(J
Thresh−step2)より小さい場合は、高利得信号HCG(data
hcg)を合成信号(合成データ)data
dhdrとして適用する。
【0126】
合成処理部714は、低利得信号最端部側結合位置jp3の閾値(J
Thresh+step2)と高利得信号HCG(data
hcg)との比較の結果、高利得信号HCGのレベルが閾値(J
Thresh+step2)より大きい場合は、低利得信号LCG(data
lcg)を合成信号(合成データ)data
dhdrとして適用する。
【0127】
以上、信号処理部710における合成処理部714の構成および機能について説明した。
ここで、合成処理部における高利得信号HCGと低利得信号LCGの具体的な合成処理の一例を説明する。
図15は、本実施形態に係る信号処理部710における合成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0128】
今、高利得信号HCGを基準に合成する場合を考えると、下記のように表現できる。
【0129】
(数1)
data_hcg = data_hcg_in + hcg_offset
【0130】
低利得信号LCGは、高利得信号HCGと傾きが同じになるようにデジタル利得を掛けて変換した場合次のように表現できる。
【0131】
(数2)
data_lcg = (data_lcg_in + lcg_offset ) × K
ここで、KはHCG/LCGのゲイン比を示す。
【0132】
この2信号を合成するにあたり、次の条件設定に沿って演算を行う。
【0133】
(数3)
if ( data_hcg < ( j_thresh - step2 ) )
data_dhd= data_hcg ;
if ( data_hcg < ( j_thresh - step1 ) )
data_dhdr = ( data_hcg ×3 + data_lcg ) / 4 ;
if ( data_hcg < ( j_thresh + step1 ) )
data_dhdr = ( data_hcg + data_lcg ) / 2 ;
if ( data_hcg < ( j_thresh + step2 ) )
data_dhdr = ( data_hcg + data_lcg × 3) / 4 ;
if ( data_hcg > ( j_thresh + step2 ) )
data_dhdr = data_lcg ;
【0134】
この合成処理部714の合成に係る演算処理について
図15に関連付けて説明する。
【0135】
合成処理部714は、たとえば、まず、高利得信号最端部側結合位置jp0の閾値(J
Thresh−step2)と高利得信号HCG(data
hcg)とを比較し(工程PR11)、高利得信号HCGのレベルが閾値(J
Thresh−step2)より小さいか否かを判定する(工程PR12)。
【0136】
合成処理部714は、工程PR12において、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh−step2)より小さいと判定すると、高利得信号HCG(data
hcg)を合成信号(合成データ)data
dhdrとして適用する(工程PR13)。
【0137】
合成処理部714は、工程PR12において、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh−step2)より大きいと判定すると、高利得側結合位置jp1の閾値(J
Thresh−step1)と高利得信号HCG(data
hcg)とを比較し(工程PR14)、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh−step1)より小さいか否かを判定する(工程PR15)。
【0138】
合成処理部714は、工程PR15において、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh−step1)より小さいと判定すると、次の処理を行う(工程PR16、PR17)。
合成処理部714は、高利得側結合位置jp0の閾値(J
Thresh−step2)と隣接の高利得側結合位置jp1の閾値(J
Thresh−step1)に挟まれた領域A01に割り当てられた重み付け値(LCG:HCG=1:3)WV01に従って高利得信号HCGと低利得信号LCGの重み付け平均値AVW01を次式により算出し(工程PR16)、重み付け平均値AVW01をその領域の合成信号(合成データ)data
dhdrとして適用する(工程PR17)。
【0139】
(数4)
AVW01= ( data_hcg ×3 + data_lcg ) / 4
【0140】
合成処理部714は、工程PR15において、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh−step1)より大きいと判定すると、低利得側結合位置jp2の閾値(J
Thresh+step1)と高利得信号HCG(data
hcg)とを比較し(工程PR18)、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh+step1)より小さいか否かを判定する(工程PR19)。
【0141】
合成処理部714は、工程PR19において、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh+step1)より小さいと判定すると、次の処理を行う(工程PR20、PR21)。
合成処理部714は、高利得側結合位置jp1の閾値(J
Thresh−step1)と隣接の低利得側結合位置jp2の閾値(J
Thresh+step1)に挟まれた領域A12に割り当てられた重み付け値(LCG:HCG=1:1)WV12に従って高利得信号HCGと低利得信号LCGの重み付け平均値AVW12を次式により算出し(工程PR20)、重み付け平均値AVW12をその領域の合成信号(合成データ)data
dhdrとして適用する(工程PR21)。
【0142】
(数5)
AVW12= ( data_hcg + data_lcg ) / 2
【0143】
合成処理部714は、工程PR19において、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh+step1)より大きいと判定すると、低利得信号最端部側結合位置jp3の閾値(J
Thresh+step2)と高利得信号HCG(data
hcg)とを比較し(工程PR22)、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh+step2)より小さいか否かを判定する(工程PR23)。
【0144】
合成処理部714は、工程PR23において、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh+step2)より小さいと判定すると、次の処理を行う(工程PR24、PR25)。
合成処理部714は、低利得側結合位置jp2の閾値(J
Thresh+step1)と隣接の低利得側結合位置jp3の閾値(J
Thresh+step2)に挟まれた領域A23に割り当てられた重み付け値(LCG:HCG=3:1)WV23に従って高利得信号HCGと低利得信号LCGの重み付け平均値AVW23を次式により算出し(工程PR24)、重み付け平均値AVW23をその領域の合成信号(合成データ)data
dhdrとして適用する(工程PR25)。
【0145】
(数6)
AVW23= ( data_hcg + data_lcg × 3) / 4
【0146】
合成処理部714は、工程PR23において、高利得信号HCG(data
hcg)のレベルが閾値(J
Thresh+step2)より小さくなく、大きいと判定すると(工程PR26)、低利得信号LCG(data
lcg)を合成信号(合成データ)data
dhdrとして適用する(工程PR27)。
【0147】
以上説明したように、本第1の実施形態の固体撮像装置10の信号処理部710は、複数の読み出し信号、たとえば高利得信号HCGと低利得信号LCGを合成してダイナミックレンジを拡大可能に構成されている。
信号処理部710は、合成すべき複数の読み出し信号、たとえば低利得信号LCGと高利得信号HCGの傾きを等しくする。
信号処理部710は、複数の読み出し信号の合成をする際に、複数の読み出し信号のうちの少なくとも一つの読み出し信号(高利得信号HCG、低利得信号LCG)と閾値(Joint Thresh)との比較結果に応じて合成に必要となる信号を少なくとも一つ選択し、合成処理に選択した信号を適用してダイナミックレンジが拡大された合成信号を生成する。
【0148】
また、信号処理部710は、一つの注目するピクセル(画素)からの読み出し信号を合成するにあたり、読み出し信号の合成に関する合成情報を、一つの画素の周辺画素の合成に関する合成情報を参照して決定する。
信号処理部710は、たとえば注目するピクセル(画素)の周辺画素の合成情報として、所定の色配列(本例ではベイヤー配列)の最小単位UNTを形成するピクセル(画素)の合成情報(本例では高利得信号HCGであるか低利得信号LCGを示す情報)を参照する。
【0149】
したがって、本第1の実施形態によれば、複数の読み出し信号、たとえば高利得信号HCGと低利得信号LC
Gを合成する(組み合わせる)ことでダイナミックレンジを向上させるに際し、組み合わせ処理で発生する、直線性(リニアリティー)の精度の劣化による問題を軽減させることが可能となる。特に、色温度の変化による周辺画素(近傍画素)との相関性の変化によって発生する偽色を抑制し、画質を向上させることが可能となる。
すなわち、本第1の実施形態によれば、個体ばらつき等にかかわりなく組み合わせようとする複数の信号のスムーズな切り替えが可能で、偽色の発生等の画像劣化を抑止しつつ高ダイナミックレンジ化を実現でき、ひいては高画質化を実現することが可能となる。
【0150】
また、本第1の実施形態の信号処理部710は、閾値を動的に変更可能に構成され、閾値として、あらかじめ設定された基準閾値(中心閾値)J Threshと、基準閾値J
Threshと所定のステップ値stepα(αは自然数)とを比較演算(たとえば加算、減算)することで決定した新たな閾値(J
Thresh ± stepα)と、を合成処理に適用する。
【0151】
したがって、本第1の実施形態によれば、固体撮像装置の個体単位でのばらつき、あるいは1個体の中でのピクセル(画素)間のばらつき等が存在する場合であっても、組み合わせようとする(合成しようとする)複数の信号のスムーズな切り替えが可能で、不連続点を削減でき、ひいてはノイズを削減でき、ノイズの少ない高品質かつ高ダイナミックな画像信号を生成することが可能となる。
また、個体ばらつきを吸収することが可能となるため、製品の歩留まりを向上させることが可能となる。
【0152】
すなわち、本第1の実施形態によれば、個体ばらつき等にかかわりなく組み合わせようとする複数の信号のスムーズな切り替えが可能で、画像劣化を抑止しつつ高ダイナミックレンジ化を実現でき、ひいては高画質化を実現することが可能となる。
【0153】
また、本第1の実施形態の信号処理部710は、たとえば複数の読み出し信号のうち基準とする読み出し信号(たとえば高利得信号HCG)と対応する閾値(J
Thresh、J
Thresh±stepα)との比較結果に応じて、合成対象の複数の読み出し信号(高利得信号HCGおよび低利得信号LCG)を重み付け処理する重み付け処理部としての機能を含む合成処理部714を有している。
重み付け処理部を含む合成処理部714は、閾値に挟まれた領域の信号レベルにおいては、この領域に割り当てられた重み付け値に従って重み付け平均値を算出し、重み付け平均値をその領域の合成信号として出力する。
また、重み付け処理部は、記複数の読み出し信号を加算平均する加算平均処理機能を含んで構成される。
加算平均処理機能は、閾値に挟まれた領域の信号レベルにある各々の信号は、加算平均された値をもって1つの出力とする。
【0154】
したがって、本第1の実施形態によれば、組み合わせようとする(合成しようとする)複数の信号のよりスムーズな切り替えが可能で、不連続点を確実に削減でき、ひいてはノイズを削減でき、さらにノイズの少ない高品質かつ高ダイナミックな画像信号を生成することが可能となる。
【0155】
(第2の実施形態)
図16は、本発明の第2の実施形態に係る信号処理部の構成例を示す図である。
図17は、
図16の乱数発生部の具体的な構成例を示す図である。
【0156】
本第2の実施形態に係る
図16の信号処理部710Aが第1の実施形態に係る
図16の信号処理部710と異なる点は、乱数発生部715が設けられ、合成処理部714Aは、乱数rnd(clk)を閾値J
Threshと加算あるいは減算して閾値を設定することにある。
ここで、clkは、ピクセル(画素)データの転送クロックと同じ周波数であり、乱数はピクセル(画素)単位で変化する。
【0157】
合成処理部714Aは,たとえば複数の閾値の平均値を基準閾値J
Threshに相当する中心閾値として設置可能で、中心閾値は初期の中心閾値J
Threshに乱数発生部715で発生された乱数rnd(clk)を加算することで新たに算出された値を第2の中心閾値(J
Thresh+rnd(clk))とし、第2の中心閾値をもとに合成に必要となる信号の選択処理を行う。
【0158】
乱数発生部715は、たとえば
図17に示すように、排他的論理和ゲートEXOR1〜EXOR3を含む線形帰還シフトレジスタLFSRにより形成される。
図17は16ビットの場合の一例として示されている。
【0159】
第2の実施形態の合成処理部714Aで第1の実施形態の数3に対応する2信号を合成するにあたり、次の条件設定に沿って演算を行う。
【0160】
(数7)
if ( data_hcg < ( j_thresh + rnd(clk) - step2 ) )
data_dhd= data_hcg ;
if ( data_hcg < ( j_thresh + rnd(clk) - step1 ) )
data_dhdr = ( data_hcg ×3 + data_lcg ) / 4 ;
if ( data_hcg < ( j_thresh + rnd(clk) + step1 ) )
data_dhdr = ( data_hcg + data_lcg ) / 2 ;
if ( data_hcg < ( j_thresh + rnd(clk) + step2 ) )
data_dhdr = ( data_hcg + data_lcg × 3) / 4 ;
if ( data_hcg > ( j_thresh + rnd(clk) + step2 ) )
data_dhdr = data_lcg ;
【0161】
すなわち、この演算処理は、初期の中心閾値J
Threshに乱数発生部715で発生された乱数rnd(clk)を加算することで新たに算出された値が第2の中心閾値(J
Thresh+rnd(clk))として適用される他は、上記数3および
図15の処理と同様の処理が行われる。
したがって、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0162】
本第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本第2の実施形態によれば、固体撮像装置の個体単位でのばらつき、あるいは1個体の中での画素間のばらつき等が存在する場合であっても、組み合わせようとする(合成しようとする)複数の信号のスムーズな切り替えが可能で、不連続点を削減でき、ひいてはノイズを削減でき、ノイズの少ない高品質かつ高ダイナミックな画像信号を生成することが可能となる。
また、個体ばらつきを吸収することが可能となるため、製品の歩留まりを向上させることが可能となる。
また、本第2の実施形態によれば、複数の読み出し信号、たとえば高利得信号HCGと低利得信号LC
Gを合成する(組み合わせる)ことでダイナミックレンジを向上させるに際し、組み合わせ処理で発生する、直線性(リニアリティー)の精度の劣化による問題を軽減させることが可能となる。特に、色温度の変化による周辺画素(近傍画素)との相関性の変化によって発生する偽色を抑制し、画質を向上させることが可能となる。
【0163】
(応用例)
上述した実施形態においては、複数の読み出し信号の例として、2つの高利得信号HCGと低利得信号LCGを合成してダイナミックレンジを拡大する場合について説明したが、本発明は,3つあるいは4以上の特性の異なる信号を、傾きを等しくしつつ合成する場合にも適用することが可能である。
【0164】
図18は、高利得信号HCGと中利得信号MCGと低利得信号LCGの3つの信号を、傾きを等しくしつつ合成する処理を説明するための図である。
【0165】
図18の例は、高利得と低利得の中間の中利得信号MCGが合成対象に追加されている。
【0166】
この場合、高利得信号HCGが飽和する手前であって直線性が保たれている非飽和領域ANSAT1において、前述した実施形態の合成処理と同様の処理により中利得信号MCGと高利得信号HCGが段階的にスムーズに合成される。このときの傾きを調整するためのゲイン比はHCG/MCGである。
非飽和領域ANSAT1における合成処理では、中利得信号MCGが前述した実施形態の合成処理の低利得信号と同様の信号として扱われる。
【0167】
同様に、中利得信号MCGが飽和する手前であって直線性が保たれている非飽和領域ANSAT2において、前述した実施形態の合成処理と同様の処理により中利得信号MCGと低利得信号LCGが段階的にスムーズに合成される。このときの傾きを調整するためのゲイン比はMCG/LCGである。
非飽和領域ANSAT2における合成処理では、中利得信号MCGが前述した実施形態の合成処理の高利得信号と同様の信号として扱われる。
【0168】
この場合も、上述した第1および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0169】
(変形例)
図19は、短い露光時間による高照度側に対応した撮像と長い露光時間による低照度に対応した撮像の異なる2回以上の露光時間に分割する高ダイナミックレンジ化技術の一例を示す図である。
【0170】
上述した実施形態においては、ピクセルPXLの構成自体に、選択トランジスタSEL−TrおよびソースフォロワトランジスタSF−Trを2系統設けて、複数の読み出し信号である2つの高利得信号HCGと低利得信号LCGを生成するように構成されている場合を例に説明したが、本発明は、このような構成に限定されない。
たとえばピクセルPXLの構成自体に、選択トランジスタSEL−TrおよびソースフォロワトランジスタSF−Trを1系統のみ設けて、
図19に示すように、短い露光時間による高照度側に対応した撮像と長い露光時間による低照度に対応した撮像の異なる2回以上の露光時間に分割する高ダイナミックレンジ化技術を採用することも可能である。
【0171】
ピクセル(画素)の読み出し動作においては、タイミングコントローラ等の制御の下、
図19に示すように、シャッタースキャンSSCNが行われ、その後、読み出しスキャンRSCNが行われるが、
図19の例は、シャッタースキャンSSCNが行われ、その後、読み出しスキャンRSCNが行われるまでの露光期間Tint0,Tint1を2つ設け、時間に差を持たせている。
【0172】
この場合も、上述した第1および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0173】
図20は、フレーム単位でダイナミックレンジを高める例を説明するための図である。
また、上述した実施形態では、ピクセル単位でダイナミックレンジを高める例を説明したが、本発明は、
図20に示すように、フレーム単位でダイナミックレンジを高める場合にも適用可能である。
【0174】
この場合も、上述した第1および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0175】
以上説明した固体撮像装置10は、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0176】
図21は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0177】
本電子機器100は、
図21に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10が適用可能なCMOSイメージセンサ110を有する。
さらに、電子機器100は、このCMOSイメージセンサ110の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)120を有する。
電子機器100は、CMOSイメージセンサ110の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)130を有する。
【0178】
信号処理回路130は、CMOSイメージセンサ110の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路130で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0179】
上述したように、CMOSイメージセンサ110として、前述した固体撮像装置10を搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。