特許第6762728号(P6762728)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762728
(24)【登録日】2020年9月11日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】水力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 7/00 20060101AFI20200917BHJP
【FI】
   F03B7/00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-28821(P2016-28821)
(22)【出願日】2016年2月18日
(65)【公開番号】特開2017-145774(P2017-145774A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2019年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 智哉
(72)【発明者】
【氏名】藤川 芳夫
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−114937(JP,A)
【文献】 実開昭60−011950(JP,U)
【文献】 特開平04−063670(JP,A)
【文献】 特開平05−202569(JP,A)
【文献】 実開昭57−015783(JP,U)
【文献】 実開昭61−159015(JP,U)
【文献】 特開平06−299706(JP,A)
【文献】 特開平08−021596(JP,A)
【文献】 実開昭56−139346(JP,U)
【文献】 実開昭54−181305(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼と、前記回転翼の回転により発電する発電機とを含む水力発電モジュールと、
前記水力発電モジュールを支持する支持部と、
前記支持部を水路に固定する固定部とを備え、
前記支持部は、前記水路を横切るように前記水路上に配置された梁を含み、
前記固定部は、前記水路の壁面を押圧することにより前記支持部を前記水路に固定するボルトと、前記ボルトを挿通するねじ穴が形成され、前記梁に接続されているL字アングルとを含
前記固定部は、前記支持部に対して変位可能に接続されている、水力発電装置。
【請求項2】
前記ボルトに接続されたナットとを含む、請求項1に記載の水力発電装置。
【請求項3】
前記固定部は、前記ボルトの先端側に配置され、前記ボルトと前記水路の壁面との間に位置する板状部材を含む、請求項1または2に記載の水力発電装置。
【請求項4】
回転翼と、前記回転翼の回転により発電する発電機とを含む水力発電モジュールと、
前記水力発電モジュールを支持する支持部と、
前記支持部を水路に固定する固定部とを備え、
前記固定部は、前記水路の壁面を押圧することにより前記支持部を前記水路に固定するボルトと、前記ボルトの先端側に配置され、前記ボルトと前記水路の壁面との間に位置する板状部材とを含み、
前記板状部材には、前記ボルトの先端部と接する段差部が形成されており
前記固定部は、前記支持部に対して変位可能に接続されている、水力発電装置。
【請求項5】
回転翼と、前記回転翼の回転により発電する発電機とを含む水力発電モジュールと、
前記水力発電モジュールを支持する支持部と、
前記支持部を水路に固定する固定部とを備え、
前記固定部は、前記水路の壁面を押圧することにより前記支持部を前記水路に固定するボルトと、前記ボルトの先端側に配置され、前記ボルトと前記水路の壁面との間に位置する板状部材とを含み、
前記板状部材には、前記ボルトの先端部が挿入される凹部が形成されており
前記固定部は、前記支持部に対して変位可能に接続されている、水力発電装置。
【請求項6】
前記回転翼は、水平軸型のプロペラ式回転翼である、請求項1〜のいずれか1項に記載の水力発電装置。
【請求項7】
前記回転翼は、垂直軸型の回転翼である、請求項1〜のいずれか1項に記載の水力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は水力発電装置に関し、より特定的には水路に設置される水力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水路に設置される水力発電装置が知られている(たとえば、実願昭60−68478号(実開昭61−184878号)のマイクロフィルム参照)。上述した文献に開示されている従来の水力発電装置は、水路を流れる水流によって流されないようにするために、水路両端上面に打ち込まれたアンカボルトに固定されている。これは、農業用水や水道用水、農業用水などの水路に設置される小型の水力発電装置において、水流によって水力発電装置が流されないようにするために水力発電装置を水路へ確実に固定する必要があるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭60−68478号(実開昭61−184878号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した水路に設置するような小型の水力発電装置では、このようなアンカボルトを打ち込む工事や水路の壁面を加工する工事などを行うことはコストの増大要因となる。すなわち、上述のような水路を利用した小型の水力発電装置は発電量が小さい。そのため、上記のようなアンカボルトを打ち込む工事を行うと、発電量に対して水力発電装置の設置費用が過大になってしまう。
【0005】
また、上記のようにアンカボルトを利用して水力発電装置を固定する場合、アンカボルトを打ち込んだ場所にしか水力発電装置を設置することができない。そのため、水路の流量などの条件変化に応じて水力発電装置の設置場所を変更するといった対応を簡単に行うことが難しかった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、設置のための水路周辺の工事が不要で、設置場所も容易かつ安価に変更可能な水力発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った水力発電装置は、水力発電モジュールと、支持部と、固定部とを備える。水力発電モジュールは、回転翼と、当該回転翼の回転により発電する発電機とを含む。支持部は水力発電モジュールを支持する。固定部は支持部を水路に固定する。固定部は、水路の壁面を押圧することにより支持部を水路に固定するボルトを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設置のための水路周辺の工事が不要で、容易かつ安価に設置場所を変更可能な水力発電装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る水力発電装置の正面模式図である。
図2図1に示した水力発電装置の上面模式図である。
図3図1に示した水力発電装置の側面模式図である。
図4図1の領域IVの拡大模式図である。
図5図1に示した水力発電装置を水路に設置した状態を説明するための模式図である。
図6図5の領域VIの拡大模式図である。
図7】本発明の実施の形態1に係る水力発電装置の変形例を説明するための模式図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る水力発電装置を説明するための模式図である。
図9図8に示した水力発電装置の第1の変形例を説明するための模式図である。
図10図8に示した水力発電装置の第2の変形例を説明するための模式図である。
図11】本発明の実施の形態3に係る水力発電装置を説明するための模式図である。
図12】本発明の実施の形態4に係る水力発電装置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0011】
(実施の形態1)
<水力発電装置の構成>
図1図4は、本実施形態に係る水力発電装置を説明するための模式図である。図1図4に基づき、本実施形態に係る水力発電装置の構成を説明する。
【0012】
図1図4に示す水力発電装置は、流水が持つ運動エネルギーを発電に利用し、既存の農業用水や水道用水、工業用水などの水路に設置する小型で軽量なシステムである。図1図4に示すように、水力発電装置は、回転翼1を含む水力発電モジュールと、梁4を含む支持部と、ボルト5aを含む固定部と、制御装置とを備える。水力発電モジュールは、回転翼1と、ギヤボックス2と、発電機3とを含む。回転翼1は、水平軸型のプロペラ式回転翼である。ギヤボックス2は回転翼1に接続されている。発電機3は、支柱を介してギヤボックス2と接続されている。回転翼1が水流により回転すると、ギヤボックス2および支柱を介して当該回転翼1の回転が発電機3に伝えられる。発電機3は回転翼1の回転により発電する。
【0013】
制御装置は、発電機3の出力および回転翼1を制御する。ここで、発電機3より取り出す最大電力は、水流の流速により変化する。このため、制御装置は、水流の流速、あるいは回転翼1の回転速度、あるいは発電機3の発電電圧を計測し、発電機3より取り出す電力が最大となる最適な電流値を決定する。そして、制御装置は発電機3の電流量と最適値が一致するように、水力発電モジュールを制御する。
【0014】
支持部は水力発電モジュールを支持する。支持部は2本の梁4a,4bと、架台4cと、支柱4dと、ベース板4eとを含む。2本の梁4a、4bはたがいに平行に並ぶように配置されている。2本の梁4a,4bの中央部において、2本の梁4a,4bを繋ぐように架台4cが配置されている。架台4cは梁4a,4bに固定されている。架台4cの上部表面には2本の支柱4dが間隔を隔てて配置されている。2本の支柱4dは、それぞれ架台4cの端部に配置されている。また、支柱4dは梁4a,4bと平面視において重なる位置に配置されている。2本の支柱4dの間を繋ぐようにベース板4eが配置されている。ベース板4eに発電機3が固定されている。発電機3は架台4cとベース板4eとの間に配置されている。水力発電モジュールの支柱の一端は、架台4cの下部表面に接続されている。
【0015】
固定部は、ボルト5aと、2つのL字アングル7と、ナット6aとを含む。L字アングル7は、図2に示すように2つの梁4a、4bの端部において、これらの梁4a、4bを繋ぐように配置されている。L字アングル7には、ボルト5a,5bを挿通させるためのボルト穴が形成されている。L字アングル7は、ボルト穴に通されたボルト5bとナット6bとを用いて梁4a、4bに接続されている。また、L字アングル7のボルト穴に通されたボルト5aは、後述するように水路の壁面を押圧する。ボルト5aは梁4a,4bの延びる方向に沿って延びるように配置されている。ボルト5aは1つのL字アングル7に対して複数設置されていてもよい。たとえば、図3に示すようにボルト5aは1つのL字アングル7に4つ設置されている。ボルト5aにはそれぞれナット6aが接続されている。ナット6aによりボルト5aはL字アングル7に固定される。具体的には、2つのナット6aのうちの一方はL字アングル7に固定されている。固定方法としては溶接法など任意の方法を用いることができる。
【0016】
そして、ボルト5aの先端が後述するように水路の壁面を押圧することにより、梁4a、4bは水路に対して位置決めおよび固定される。
【0017】
<水力発電装置の水路への設置>
図5および図6は、図1図4に示した水力発電装置を水路に設置した状態を説明するための模式図である。図5および図6を用いて、水力発電装置を水路に設置する方法を説明する。
【0018】
まず、水路において水力発電装置を所定の位置に配置する。このとき、水力発電装置の梁4a,4bの端部が水路の壁部8の上部表面に接している。また、壁部8の内周表面に対向する位置に、L字アングル7およびボルト5aが配置される。このとき、ボルト5aは予め壁部8の内周表面に接触しないように後退させておく。
【0019】
次に、ボルト5aを回転させることで、壁部8の表面にボルト5aの先端部を押し付ける。また、2つのナット6aのうちL字アングル7に溶接されていないナット6aをボルト5aに対して締め付けることで、ボルト5aの緩みを防ぐこともできる。このようにして、水力発電装置を水路に固定することができる。
【0020】
<水力発電装置の動作>
水路に固定された水力発電装置では、水路を流れる水の流れにより回転翼が回転する。回転翼において発生した回転エネルギーは、ギヤボックス2や支柱の内部に配置された回転軸などを介して発電機3に伝達される。発電機3では伝達された回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。発電機3で発生した電気エネルギーは、出力配線などにより外部へ出力される。
【0021】
<特徴的な構成及び作用効果>
上述した水力発電装置は、水力発電モジュールと、支持部(梁4a,4b、架台4c、支柱4d、ベース板4e)と、固定部(L字アングル7、ボルト5a、ナット6b)とを備える。水力発電モジュールは、回転翼1と、当該回転翼1の回転により発電する発電機3とを含む。支持部は水力発電モジュールを支持する。固定部は支持部を水路に固定する。固定部は、水路の壁面(壁部8の表面)を押圧することにより支持部を水路に固定するボルト5aを含む。
【0022】
このようにすれば、水路の壁部8の表面をボルト5aにより押圧することで発生する、ボルト5aと壁部8の表面との間の摩擦力で、水力発電装置の支持部に含まれる梁4a,4bを水路に固定できる。また、当該摩擦力により、水力発電装置が水路の流水から受ける力を支えることができる。つまり、アンカボルトの取付といった工事を行うことなく、低コストで水路に水力発電装置を設置することができる。
【0023】
また、水力発電装置を水路へ設置する際は、上述したような簡単な工程により設置作業を行うことができる。このため、水路における水力発電装置の設置場所の変更も容易に行うことができる。また、上記のように設置作業が容易であるため、災害発生時などの緊急時に、応急的に水路の任意の位置に水力発電装置を設置することができる。
【0024】
ここで、農業用水などの用水路に設置する水力発電装置は比較的小型軽量であるため、従来のようなアンカボルトなどを用いることなく上述のようなボルト5aの押圧による摩擦力でも十分に水路への固定を行うことができる。そのため、水路における水力発電装置の設置場所の選択に関して、大きな自由度を得ることができる。また、このように工事が不要で取り付けが容易なため、発電効率が最も良い水路の場所を選択して水力発電装置を設置することができる。
【0025】
<水力発電装置の変形例>
図7は、図1図4に示した水力発電装置の変形例を説明するための模式図である。図7を用いて、図1図4に示した水力発電装置の変形例を説明する。なお、図7図6に対応する。
【0026】
図7に示した水力発電装置は、基本的には図1図4に示した水力発電装置と同様の構造を備えるが、固定部を構成するL字アングル7の構造が図1図4に示した水力発電装置とは異なっている。すなわち、図7に示した水力発電装置では、固定部に含まれるベース部材としてのL字アングル7に、ボルト5aを挿通する単なる開口部ではなくねじ穴7aが形成されている。ボルト5aは当該ねじ穴7aにねじ込まれることでL字アングル7と接続される。また、ナット6aはボルト5aの緩みを防止するためボルト5aに接続されている。このような構成によっても、図1図4に示した水力発電装置と同様の効果を得ることができる。
【0027】
(実施の形態2)
<水力発電装置の構成>
図8は、本実施形態に係る水力発電装置を説明するための模式図である。図8を用いて、本実施形態に係る水力発電装置を説明する。なお、図8図6に対応する。
【0028】
図8に示した水力発電装置は、基本的には図1図4に示した水力発電装置と同様の構造を備えるが、固定部を構成するボルト5aの先端部と水路の壁部8の表面との間に板状部材9が配置されている点が図1図4に示した水力発電装置とは異なっている。板状部材9としては、板状であれば任意の材料を用いることができる。たとえば板状部材9として鉄板を用いてもよい。
【0029】
<水力発電装置の水路への設置>
図8に示す水力発電装置を水路へ設置する方法は、基本的には図5および図6を用いて説明した設置方法と同様であるが、ボルト5aを回転させて水路の壁部8に向けて押し付けるときに、板状部材9をボルト5aと壁部8との間に配置しておく。板状部材9の配置方法としては、任意の方法を採用できる。たとえば、粘着テープなどの仮固定部材で板状部材9を壁部8またはボルト5aの先端に刈り止めしてもよい。このようにしてボルト5aを水路の壁部8に向けて押圧することで、水力発電装置を水路に固定することができる。
【0030】
<特徴的な構成および作用効果>
上記水力発電装置において、固定部は、ボルト5aの先端側に配置され、ボルト5aと水路の壁面(壁部8の表面)との間に位置する板状部材9を含んでいる。この場合、ボルト5aの先端部が直接水路の壁面に接触する場合より、当該壁面において押圧される領域の面積を広くすることができる。つまり当該領域における接触面圧を低減できる。このため、壁面において狭い面積に過大な応力が加えられることにより壁面が破損するといった問題の発生を抑制できる。
【0031】
また、壁部8の表面の広い面積で水力発電装置が水路に接続されるので、より強固に水力発電装置を水路へ固定できる。
【0032】
<水力発電装置の変形例>
図9および図10は、図8に示した水力発電装置の変形例を説明するための模式図である。図9および図10を用いて、図8に示した水力発電装置の変形例を説明する。なお、図9および図10図8に対応する。
【0033】
図9に示した水力発電装置は、基本的には図8に示した水力発電装置と同様の構造を備えるが、板状部材9の形状が図8に示した水力発電装置と異なっている。すなわち、図9に示した板状部材9には、ボルト5aの先端部と接する段差部9aが形成されている。段差部9aは、板状部材9の厚肉部9bと薄肉部9cとの境界部に形成される。
【0034】
この場合、図8に示した水力発電装置と同様の効果を得られるとともに、ボルト5aの先端部と板状部材9との接触部を段差部9aとすることで、ボルト5aと板状部材9との相対的な位置がずれることを防止できる。また、水力発電装置の設置作業を行う場合、あるいはボルト5aが水路の壁面を押圧した状態から緩んでしまった場合などに、板状部材9の段差部9aがボルト5aの先端に引っかかることで、板状部材9がボルト5aから外れて落下するといった問題の発生を抑制できる。
【0035】
図10に示した水力発電装置は、基本的には図8に示した水力発電装置と同様の構造を備えるが、板状部材9の形状が図8に示した水力発電装置と異なっている。すなわち、図10に示した板状部材9には、ボルト5aの先端部が挿入される凹部9dが形成されている。なお、凹部9dに代えて、板状部材9を貫通する貫通穴を形成してもよい。また、凹部9dまたは貫通穴の内面に、ボルト5aと接続するためのネジ溝を形成してもよい。
【0036】
この場合、ボルト5aの先端部と板状部材9との接触部を凹部9dとすることで、ボルト5aと板状部材9との相対的な位置が容易にずれないようにすることができる。また、水力発電装置の設置作業を行う場合などに、板状部材9の凹部9dにボルト5aの先端が挿入された状態となっていることで、板状部材9がボルト5aから外れて落下するといった問題の発生を抑制できる。
【0037】
(実施の形態3)
<水力発電装置の構成>
図11は、本実施形態に係る水力発電装置を説明するための模式図である。図11を用いて、本実施形態に係る水力発電装置を説明する。なお、図11図2に対応する。
【0038】
図11に示した水力発電装置は、基本的には図1図4に示した水力発電装置と同様の構造を備えるが、支持部を構成する梁4a、4bと固定部を構成するL字アングル7との接続部の構成が図1図4に示した水力発電装置とは異なっている。具体的には、梁4a、4bに長穴10が形成されている。L字アングル7と梁4a、4bとを接続するボルト5bは、当該長穴10に通された状態で梁4a、4bに固定されている。長穴10におけるボルト5bの位置を変更することで、L字アングル7の梁4a、4bに対する位置を変更することができる。つまり、L字アングル7は梁4a,4bに対して変位可能に接続されている。
【0039】
<特徴的な構成および作用効果>
上述した水力発電装置において、L字アングル7を含む固定部は、梁4a、4bを含む支持部に対して変位可能に接続されている。この場合、支持部における固定部の位置を容易に変更できる。そのため、様々な幅の水路に対して、水力発電装置を設置することができる。
【0040】
なお、上述した長穴10を用いた構成とは別の構成により、梁4a、4bに対するL字アングル7の位置を変更してもよい。たとえば、ボルト5bを通す穴を梁4a、4bの延在方向に沿って複数個形成しておき、ボルト5bを通す穴を変えることで梁4a、4bに対するL字アングル7の位置を変更してもよい。あるいは、L字アングル7においてボルト5bを通す穴を、長穴としてもよい。あるいは、L字アングル7において、ボルト5bを通す穴を、梁4a、4bの延在方向に沿って複数個形成しておいてもよい。
【0041】
(実施の形態4)
<水力発電装置の構成>
図12は、本実施形態に係る水力発電装置を説明するための模式図である。図12を用いて、本実施形態に係る水力発電装置を説明する。なお、図12図1に対応する。
【0042】
図12に示した水力発電装置は、基本的には図1図4に示した水力発電装置と同様の構造を備えるが、回転翼の形状が図1図4に示した水力発電装置と異なる。図12に示した水力発電装置では、水平軸型のプロペラ式回転翼に代えて垂直軸型の回転翼20が設置されている。このような構成によっても、図1図4に示した水力発電装置と同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、上述した水力発電装置では、回転翼の形式については任意の形式を採用することができる。
【0044】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明は、特に用水路などに設置される小型の水力発電装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0046】
1,20 回転翼、2 ギヤボックス、3 発電機、4,4a,4b 梁、4c 架台、4d 支柱、4e ベース板、5a,5b ボルト、6a,6b ナット、7 L字アングル、7a ねじ穴、8 水路の壁部、9 板状部材、9a 段差部、9b 厚肉部、9c 薄肉部、9d 凹部、10 長穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12