(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記モデル生成手段は、前記推定されたユーザの前記第1デバイス上の行動履歴と、前記推定されたユーザ以外のユーザの前記第1デバイス上の行動履歴とが一致又は類似する場合に、前記推定されたユーザに対応する前記第2デバイス用モデルのユーザ属性を、前記推定されたユーザ以外のユーザの前記第1デバイス用モデルのユーザ属性とすることを特徴とする請求項1に記載のモデル生成装置。
  前記モデル生成手段は、所定の期間に、同一のIDでログインした場合に、前記第1デバイスのユーザと前記第2デバイスのユーザとが同一ユーザであると推定することを特徴とする請求項1又は2に記載のモデル生成装置。
  コンピュータを用いて第1デバイスを使用するユーザの第1デバイス上の行動履歴からユーザ属性を推定するための第1デバイス用モデルを生成するモデル生成方法であって、
  前記第1デバイスのユーザと、前記第1デバイスと種類の異なる第2デバイスのユーザとの間で同一ユーザを推定するステップと、
  前記第2デバイスを使用するユーザの第2デバイス上の行動履歴からユーザ属性を推定するための既存の第2デバイス用モデルを用いて、同一ユーザであると推定されたユーザの前記第2デバイス上の行動履歴に対応する第2デバイス用モデルのユーザ属性を特定するステップと、
  特定されたユーザ属性を、前記推定されたユーザの前記第1デバイス用モデルのユーザ属性とすることにより、前記第1デバイス用モデルを生成するステップと
を含み、
  前記モデルを生成するステップは、前記第2デバイス用モデルに基づき前記第1デバイス用モデルを生成した後、前記生成された第1デバイス用モデルに基づき新たに第2デバイス用モデルを生成する処理を繰り返すことを特徴とするモデル生成方法。
【背景技術】
【0002】
  従来、ユーザのインターネット上の過去の行動履歴に基づきユーザ属性(例えば、性別、年齢、年収、家族構成、嗜好等)を推定するモデルがある。特に、PC(パーソナルコンピュータ)ユーザにおけるインターネット上の過去の行動履歴に基づきユーザ属性を推定するモデルは既に数多く存在する。そして、当該モデルを用いてPCユーザのユーザ属性を把握することにより、PCユーザの属性に応じて、有効な宣伝広告等のコンテンツを提供することができる。
【0003】
  但し、近年では、若者層を中心に、PCを所持せず、スマートフォン(以下、単にスマホと呼ぶ。)等の携帯端末のみでインターネットにアクセスして情報の収集や、購買行動を行う者が増加しつつある。
【0004】
  このため、新たにスマホユーザにおけるインターネット上の過去の行動履歴に基づきユーザ属性を推定するモデルを構築することが必要となってくる。しかしながら、このようなモデルを構築するためには、先ず、広範囲のスマホユーザ(例えば、数万人規模)にアンケート調査を実施する必要があり、長い時間を要する。
【0005】
  また、例えば、アンケート調査としては、「あなたの年収は○○円以上か?」、「あなたは既婚か未婚か?」、「あなたは株式投資に興味があるか?」等、個人情報に関する事項や、嗜好に関する情報についてのアンケートを実施することになる。このため、スマホユーザに、正直にアンケートに回答してもらうためには、何らかの謝礼(インターネット上で使用可能なポイント等)の提供が必要となり、多額のコストも発生してしまう。
【0006】
  これに対して、膨大なアンケート調査を実施することなく、利用者の行動履歴データから確率的に利用者の行動モデルを作成し、当該行動モデルに基づき、所定の条件に応じて確率的に利用者の行動を予測すると共に、所定の条件に適合する行動履歴データのデータ数が所定の閾値に満たない場合に、該条件を拡張して利用者の行動を予測する、行動予測装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
  しかしながら、特許文献1の先行技術では、数値の入力変数の値を拡張する等の処理を行うことにより、行動履歴データのデータ数を増やしているため、過去の行動履歴に基づきユーザの属性を推定した場合には、推定された属性と実際の属性との間の乖離が大きくなる場合があるといった問題点があった。
【0009】
  本発明の目的は、時間とコストをかけずに、新たなデバイス用のモデルをより好適に作成することができるモデル生成装置、モデル作成生成及びプログラムを提供することにある。
 
【課題を解決するための手段】
【0010】
  前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
  第1デバイスを使用するユーザの第1デバイス上の行動履歴からユーザ属性を推定するための第1デバイス用モデルを生成するモデル生成装置において、
  前記第1デバイスのユーザと、前記第1デバイスと種類の異なる第2デバイスのユーザとの間で同一ユーザを推定する推定手段と、
  前記第2デバイスを使用するユーザの第2デバイス上の行動履歴からユーザ属性を推定するための既存の第2デバイス用モデルを用いて、前記推定手段により同一ユーザであると推定されたユーザの前記第2デバイス上の行動履歴に対応する第2デバイス用モデルのユーザ属性を特定する特定手段と、
  前記特定手段により特定されたユーザ属性を、前記推定されたユーザの前記第1デバイス用モデルのユーザ属性とすることにより、前記第1デバイス用モデルを生成するモデル生成手段と
を備え
、
  前記モデル生成手段は、前記第2デバイス用モデルに基づき前記第1デバイス用モデルを生成した後、前記生成された第1デバイス用モデルに基づき新たに第2デバイス用モデルを生成する処理を繰り返すことを特徴とする。
【0011】
  請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモデル生成装置において、
  前記モデル生成手段は、前記推定されたユーザの前記第1デバイス上の行動履歴と、前記推定されたユーザ以外のユーザの前記第1デバイス上の行動履歴とが一致又は類似する場合に、前記推定されたユーザに対応する前記第2デバイス用モデルのユーザ属性を、前記推定されたユーザ以外のユーザの前記第1デバイス用モデルのユーザ属性とすることを特徴とする。
【0012】
  請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のモデル生成装置において、
  前記推定手段は、所定の期間に、同一のIDでログインした場合に、前記第1デバイスのユーザと前記第2デバイスのユーザとが同一ユーザであると推定することを特徴とする。
【0014】
  請求項
4に記載の発明は、請求項1から
3のいずれか一項に記載のモデル生成装置において、
  前記第1デバイスは携帯端末であり、前記第2デバイスはパーソナルコンピュータであ
ることを特徴とする。
【0015】
  請求項
5に記載の発明は、請求項1から
3のいずれか一項に記載のモデル生成装置において、
  前記第1デバイスはパーソナルコンピュータであり、前記第2デバイスは携帯端末であることを特徴とする。
【0016】
  請求項
6に記載の発明は、
  コンピュータを用いて第1デバイスを使用するユーザの第1デバイス上の行動履歴からユーザ属性を推定するための第1デバイス用モデルを生成するモデル生成方法であって、
  前記第1デバイスのユーザと、前記第1デバイスと種類の異なる第2デバイスのユーザとの間で同一ユーザを推定するステップと、
  前記第2デバイスを使用するユーザの第2デバイス上の行動履歴からユーザ属性を推定するための既存の第2デバイス用モデルを用いて、同一ユーザであると推定されたユーザの前記第2デバイス上の行動履歴に対応する第2デバイス用モデルのユーザ属性を特定するステップと、
  特定されたユーザ属性を、前記推定されたユーザの前記第1デバイス用モデルのユーザ属性とすることにより、前記第1デバイス用モデルを生成するステップと
を含
み、
  前記モデルを生成するステップは、前記第2デバイス用モデルに基づき前記第1デバイス用モデルを生成した後、前記生成された第1デバイス用モデルに基づき新たに第2デバイス用モデルを生成する処理を繰り返すことを特徴とする。
【0017】
  請求項
7に記載の発明は、
  コンピュータを、
  第1デバイスのユーザと、前記第1デバイスと種類の異なる第2デバイスのユーザとの間で同一ユーザを推定する推定手段と、
  前記第2デバイスを使用するユーザの第2デバイス上での行動履歴からユーザ属性を推定するための既存の第2デバイス用モデルを用いて、前記推定手段により同一ユーザであると推定されたユーザの第2デバイス上の行動履歴に対応する第2デバイス用モデルのユーザ属性を特定する特定手段と、
  前記特定手段により特定されたユーザ属性を、前記推定されたユーザの第1デバイス用モデルのユーザ属性とすることにより、前記第1デバイス用モデルを生成するモデル生成手段と
として機能させ
、
  前記モデル生成手段は、前記第2デバイス用モデルに基づき前記第1デバイス用モデルを生成した後、前記生成された第1デバイス用モデルに基づき新たに第2デバイス用モデルを生成する処理を繰り返すプログラムである。
 
【発明の効果】
【0018】
  本発明によれば、時間とコストをかけずに、新たなデバイス用のモデルをより好適に作成することができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態)
[1.構成の説明]
  以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態であるモデル生成装置を詳細に説明する。但し、発明の範囲は、図示例に限定されない。
 
【0021】
[1−1.モデル生成装置の構成の説明]
  本発明の実施形態のモデル生成装置の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、モデル生成装置100(以下、単に装置100と呼ぶ。)の機能をブロック図として表した概略構成図である。
 
【0022】
  図1に示すように、装置100は、制御部1、記憶部2、表示部3、操作部4、通信部5、PCログイン履歴記憶部6、スマホログイン履歴記憶部7、PCユーザ属性記憶部8及びスマホ行動履歴記憶部9を有する。また、装置100において、制御部1、記憶部2、表示部3、操作部4、通信部5、PCログイン履歴記憶部6、スマホログイン履歴記憶部7、PCユーザ属性記憶部8及びスマホ行動履歴記憶部9は、内部バス等により互いに接続される。
 
【0023】
  制御部1は、装置100の動作を中央制御する。具体的には、制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有しており、RAMの作業領域に展開されたROMや記憶部2に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により各部を統括制御する。また、制御部1は、後述するように、推定手段、特定手段、モデル生成手段として動作する。
 
【0024】
  記憶部2は、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部1から読み書き可能に記憶する。例えば、記憶部2は、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリなどであってもよい。
 
【0025】
  表示部3は、制御部1から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。例えば、表示部3は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)素子を用いたFPD(Flat Panel Display)などであってもよい。また、スマートフォンやタブレット端末等のように表示部3は、操作部4と一体的に形成されたタッチパネルなどであってもよい。
 
【0026】
  操作部4は、ユーザからの操作入力を受け付け、当該操作入力に応じた操作信号を制御部1へ出力する。例えば、スマートフォンやタブレット端末等のように操作部4は、表示部3と一体的に形成されたタッチパネルなどであってもよい。
 
【0027】
  通信部5は、ネットワーク(不図示)等を介して外部装置との間で通信を行い、データの送受信を行う。例えば、外部サーバに蓄積されているPCやスマホのログイン情報を取得して、制御部1に出力する。
 
【0028】
  PCログイン履歴記憶部6は、PCからログインされた際の、日時やユーザID等の情報を含むログイン履歴を、制御部1から読み書き可能に記憶する。例えば、PCログイン履歴記憶部6は、HDDや半導体メモリなどであってもよい。また、記憶部2の一部領域に、PCログイン履歴記憶部6の機能を割り当てるものであってもよい。
 
【0029】
  スマホログイン履歴記憶部7は、スマホからログインされた際の、日時やユーザID等の情報を含むログイン履歴を、制御部1から読み書き可能に記憶する。例えば、スマホログイン履歴記憶部7は、HDDや半導体メモリなどであってもよい。また、記憶部2の一部領域に、スマホログイン履歴記憶部7の機能を割り当てるものであってもよい。
 
【0030】
  PCユーザ属性記憶部8は、既存のPCユーザ用のモデルより、生成されたユーザ属性(推定データ)を、過去のPC上の行動履歴と共に、制御部1から読み書き可能に記憶する。例えば、PCユーザ属性記憶部8は、HDDや半導体メモリなどであってもよい。また、記憶部2の一部領域に、PCユーザ属性記憶部8の機能を割り当てるものであってもよい。さらに、既存のPCユーザ用のモデルを記憶しておき、制御部1の制御により、過去のPC上の行動履歴を、既存のPCユーザ用のモデルに入力して、ユーザ属性(推定データ)を生成するものであってもよい。
 
【0031】
  スマホ行動履歴記憶部9は、スマホユーザ用の行動履歴を、制御部1から読み書き可能に記憶する。また、制御部1が、スマホユーザ用の行動履歴に対応するユーザ属性を既存のPCユーザ属性記憶部8から抽出して書き込む。例えば、スマホ行動履歴記憶部9は、HDDや半導体メモリなどであってもよい。また、記憶部2の一部領域に、スマホ行動履歴記憶部9の機能を割り当てるものであってもよい。
 
【0032】
[2.動作の説明]
  本発明の実施形態における装置100の具体的な動作の説明を
図2〜
図5を用いて詳細に行う。以下、説明の便宜上、装置100の制御部1が主体となる処理は、「装置100」をその処理の主体として説明する。
[2−1.装置100の動作の説明]
  また、ここで、装置100の動作について
図2のフローチャートを用いて説明する。
  装置100は、PCログイン履歴記憶部6及びスマホログイン履歴記憶部7からそれぞれのログイン履歴を読み出し(ステップS21)、PCのログイン履歴とスマホのログイン履歴とを突き合わせて同一ユーザの推定を行う(ステップS22:推定手段)。
 
【0033】
  同一ユーザの推定とは、例えば、PCのログイン履歴とスマホのログイン履歴とを突き合わせて、所定の期間に同一のユーザIDを用いて、PC及びスマホの双方からログインしている場合には、PCユーザとスマホユーザとは同一人物であると推定することである。
 
【0034】
  装置100は、同一ユーザの推定の結果、同一ユーザであると判断した場合(ステップS23:Yes)、PCユーザ属性記憶部8から同一ユーザのユーザ属性を読み出し(ステップS24:特定手段)、スマホユーザ用のモデルにおける同一ユーザのユーザ属性としてスマホ行動履歴記憶部9に書き込み(ステップS25:モデル生成手段)、ステップS30に進む。
 
【0035】
  具体的には、例えば、PCユーザ属性記憶部8には、
図3に示すような過去のPCにおける行動履歴と、それに対応するユーザ属性が記憶されている。一方、スマホ行動履歴記憶部9には、
図4に示すような過去のスマホにおける行動履歴のみが記憶されており、モデル作成に必要とされるユーザ属性が空欄であり、このようなデータだけを用いてスマホユーザ用のモデルを構成することは不可能である。
 
【0036】
  このため、例えば、PCユーザ識別子「P002」のユーザと、スマホユーザ識別子「S002」のユーザが、同一ユーザであると推定された場合、
図5中のWR51に示すように、PCユーザ識別子「P002」のユーザのユーザ属性(例えば、「スポーツに興味あり」)を、スマホユーザ識別子「S002」のユーザのユーザ属性として、スマホ行動履歴記憶部9に書き込んで、
図5に示すようにスマホユーザ上の行動履歴とユーザ属性の組み合わせを完成させ、このようなデータを用いてスマホユーザ用のモデルをチューニングして完成させる。
 
【0037】
  同様に、例えば、PCユーザ識別子「P004」のユーザと、スマホユーザ識別子「S004」のユーザが、同一ユーザであると推定された場合、
図5中のWR52に示すように、PCユーザ識別子「P004」のユーザのユーザ属性(例えば、「自動車に興味あり…」)を、スマホユーザ識別子「S004」のユーザのユーザ属性として、スマホ行動履歴記憶部9に書き込んで、
図5に示すようにスマホユーザ上の行動履歴とユーザ属性の組み合わせを順次完成させ、このようなデータを用いてスマホユーザ用のモデルをチューニングして完成させる。
 
【0038】
  一方、装置100が、同一ユーザではないと判断した場合(ステップS23:No)、スマホ行動履歴記憶部9から、前の処理で同一ユーザと推定されたユーザのスマホユーザ用の行動履歴を順に読み出して照合し(ステップS26)、同一又は類似のスマホユーザ用の行動履歴を持つユーザの有無を判断する(ステップS27)。
 
【0039】
  装置100は、スマホユーザ用の行動履歴の中には、同一又は類似の行動履歴がないと判断した場合(ステップS27:No)、ステップS30に進む。
 
【0040】
  一方、装置100が、スマホユーザ用の行動履歴の中に、同一又は類似の行動履歴があると判断した場合(ステップS27:Yes)、PCユーザ属性記憶部8から同一ユーザと推定されたユーザのユーザ属性を読み出し(ステップS28)、スマホユーザ用のモデルにおける同一又は類似の行動履歴を有する他方のユーザのユーザ属性としてスマホ行動履歴記憶部9に書き込み(ステップS29)、ステップS30に進む。
 
【0041】
  すなわち、過去のPCにおける行動履歴と、過去のスマホにおける行動履歴とは、たとえ同一人物であっても行動履歴がかなり異なるので、過去のPCにおける行動履歴と、過去のスマホにおける行動履歴とを、そのまま突き合わせることはできない。このため、同一ユーザと推定されたユーザの過去のスマホにおける行動履歴と、それ以外のユーザの過去のスマホにおける行動履歴を突き合わせて、同一又は類似のスマホユーザ用の行動履歴がある場合、同一ユーザと推定されたユーザのPCユーザ属性記憶部8に記憶されているユーザ属性を、それ以外のユーザの過去のスマホにおける行動履歴と紐づける。
 
【0042】
  具体的には、例えば、スマホユーザ識別子「S004」のユーザと、スマホユーザ識別子「S001」のユーザとの行動履歴は、「自動車のページビュー」の回数以外は一致している。言い換えれば、行動履歴が類似している。このため、
図5中のWR53に示すように、同一ユーザと推定されたユーザ(PCユーザ識別子「P004」のユーザ)のPCユーザ属性記憶部8に記憶されているユーザ属性を、スマホユーザ識別子「S001」のユーザのユーザ属性であると推定して、スマホ行動履歴記憶部9に書き込んで、スマホユーザ用のモデルを生成する。
 
【0043】
  なお、
図2に示すフローチャートのように、PCユーザ属性記憶部8に記憶されているユーザ属性を直接読み込んで、同一又は類似の行動履歴を有する他方のユーザのユーザ属性としてスマホ行動履歴記憶部9に書き込んでもよいし、スマホ行動履歴記憶部9に記憶されたユーザ属性を読み出して、同一又は類似の行動履歴を有する他方のユーザのユーザ属性としてスマホ行動履歴記憶部9に書き込んでもよい。
 
【0044】
  すなわち、前の処理で同一ユーザと推定されたユーザに対応するスマホ行動履歴記憶部9には、ユーザ属性が書き込まれており、書き込まれているユーザ属性は、PCユーザ属性記憶部8に、記憶されているユーザ属性と同一のものであるため、スマホ行動履歴記憶部9に記憶されたユーザ属性を利用することができる。
 
【0045】
  ちなみに、スマホ行動履歴記憶部9に記憶されたユーザ属性を読み出して、同一又は類似の行動履歴を有する他方のユーザのユーザ属性としてスマホ行動履歴記憶部9に書き込む場合には、スマホ行動履歴記憶部9において、同一又は類似の行動履歴を持つユーザのユーザ履歴が存在するか否かを判断する必要がある。
 
【0046】
  なお、ユーザ属性を有するスマホユーザの行動履歴が「自動車のページビュー」であり、他方のスマホユーザの行動履歴が「ゲームのページビュー」であっても、既存の類似判定のロジックにより類似していると判定された場合には、スマホユーザが有するユーザ属性「自動車に興味あり」を「ゲームに興味あり」と置き換えて、他方のスマホユーザのユーザ属性とすることができる。
 
【0047】
  最後に、装置100は、全てのユーザに対して処理を終了したか否かを判断し(ステップS30)、全てのユーザに対して処理を終了していないと判断した場合(ステップS30:No)、ステップS22に戻り、全てのユーザに対して処理を終了したと判断した場合(ステップS30:Yes)、動作を終了する。
 
【0048】
[3.検証結果]
  このように、既存のPCユーザ用のモデルのユーザ属性を利用して生成されたスマホユーザ用のモデルの検証結果を説明する。
 
【0049】
  図6は、年齢性別と世帯年収スコア(世帯年収モデルのスコア)の関係の一例を示す説明図である。
図6において、スマホユーザの世帯年収スコア(世帯年収スコアが高いほど世帯年収が高いと推定される)をプロットしたものであり、女性よりも男性の方が、世帯年収スコアが高く、また、年齢が概ね20歳から70歳までの範囲では、年齢が高くなるにしたがって、世帯年収スコアも高くなっている。
 
【0050】
  図7は、年齢性別と世帯資産スコア(世帯資産モデルのスコア)の関係の一例を示す説明図である。
図7において、スマホユーザの世帯資産スコア(世帯資産スコアが高いほど世帯資産が多いと推定される)をプロットしたものであり、女性よりも男性の方が、世帯資産スコアが高く、また、年齢が概ね20歳から70歳までの範囲では、年齢が高くなるにしたがって、世帯資産スコアも高くなっている。
 
【0051】
  また、
図8は、よく見るテレビ番組と世帯年収スコアの関係の一例を示す説明図である。番組としては「ビジネス番組」と「深夜アニメ」とを比較している。
図8において、同一年齢では、「ビジネス番組」をよく見るユーザの方が、「深夜アニメ」をよく見るユーザよりも、世帯年収スコアが高くなっている。
 
【0052】
  さらに、
図9は、よく見るテレビ番組と世帯資産スコアの関係の一例を示す説明図である。番組としては「ビジネス番組」と「深夜アニメ」とを比較している。
図9において、同一年齢では、「ビジネス番組」をよく見るユーザの方が、「深夜アニメ」をよく見るユーザよりも、世帯資産スコアが高くなっている。
 
【0053】
  すなわち、
図6及び
図7から年齢性別に対する世帯年収等の基本的な傾向、女性よりも男性の方が、世帯年収等が高い傾向や、年齢が概ね20歳から70歳までの範囲では、年齢が高くなるにしたがって世帯年収等も高くなっていくという常識と一致する傾向が表れている。
 
【0054】
  また、
図8及び
図9からは、「ビジネス番組」をよく見るユーザ(例えば、ビジネスマン等)の方が、「深夜アニメ」をよく見るユーザ(例えば、学生やフリータ等)よりも、世帯年収等が高くなる等の常識と一致する傾向が表れており、既存のPCユーザ用のモデルのユーザ属性を利用して生成されたスマホユーザ用のモデルが機能していることが分かる。
 
【0055】
  以上のように、ログイン履歴からPCのユーザ及びスマホのユーザ間で同一ユーザを推定し、同一ユーザのPCユーザ用のモデルのユーザ属性を、同一ユーザのスマホユーザ用のモデルのユーザ属性とすることにより、膨大なアンケート調査を実施することなく、スマホ用モデルを生成することができる。
  また、同一ユーザではないものの、行動履歴が同一又は類似している場合には、ユーザ属性も同一又は類似しているものと推定することにより、スマホ用モデルを生成することができる。
 
【0056】
  なお、実施形態の説明に際しては、既存のPCユーザ用のモデルのユーザ属性を利用して、スマホユーザ用のモデルを生成しているが、生成したスマホユーザ用のモデルのユーザ属性を利用して、新たにPCユーザ用のモデルを生成することもできる。
 
【0057】
  また、新たに生成されたPCユーザ用のモデルに基づき、スマホユーザ用のモデルを生成してもよい。すなわち、一方のモデルに基づき他方のモデルを生成する処理を繰り返すことができる。このように、モデルを生成する処理を繰り返すことにより、モデルの整合性が向上して、モデルの信頼性が高まることになる。
  また、スマホ以外のデバイス用のモデルを、PCユーザ用のモデルやスマホユーザ用のモデルに基づき、生成することもできる。
 
【0058】
  また、実施形態の説明に際しては、PCログイン履歴記憶部6、スマホログイン履歴記憶部7、PCユーザ属性記憶部8及びスマホ行動履歴記憶部9にそれぞれ情報を記憶させているが、勿論、記憶部2に全ての情報を記憶させるものであってもよい。
 
【0059】
  また、実施形態の説明に際しては、PCログイン履歴記憶部6、スマホログイン履歴記憶部7、PCユーザ属性記憶部8及びスマホ行動履歴記憶部9にそれぞれ情報を記憶させているが、勿論、外部のサーバに、これらのデータを一括又は分散して管理させ、通信部5を制御して、必要に応じて情報を取得するものであってもよい。
 
【0060】
  また、実施形態の説明に際しては、PCのログイン履歴とスマホのログイン履歴とを突き合わせて、所定の期間に同一のユーザIDを用いて、PC及びスマホの双方からログインしている場合には、PCユーザとスマホユーザとは同一人物であると推定しているが、その他の既存の推定方法により、同一ユーザを推定してもよい。