(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、カーテンウォールの施工方法としてインターロッキング方式が知られている。インターロッキング方式とはカーテンウォールユニットを上下左右に配置して、上下枠同士と左右の縦枠同士の凹部と凸部を相互に嵌合させて建物壁面を構築する施工方法である。
例えば特許文献1に記載されたカーテンウォールは、上下に隣接するカーテンウォールユニット同士の嵌合部に沿って横方向に予め第一弾性シール材を配置し、左右に隣接するカーテンウォールユニット同士の嵌合部に沿って縦方向に予め第二弾性シール材を配置して互いに嵌合させる。しかも、上下左右のカーテンウォールユニット同士の交差部で、第一弾性シール材の端部同士を端部弾性シール材で連結し、第二弾性シール材同士の端部を上下の隙間塞ぎピースを介して端部弾性シール材に連結する。これによって、組み立てたカーテンウォールの交差部水密構造を実現している。
【0003】
また、特許文献1に記載されたカーテンウォールでは、上述した嵌合構造のカーテンウォールにおいて、
図10に示すように、左右のカーテンウォールユニット100A、100Bの上枠101、102の端部角部の連結部において、第一端部弾性シール材103、第二端部弾性シール材104の合わせ面103a、104aを突き合わせて密着している。
これらの合わせ面103a、104aに下側に開口するスリット状の空洞部105、106を設けて、第一及び第二端部弾性シール材103,104同士の合わせ面103a,104aに浸入する雨水を空洞部105,106に沿って下方に落下させ、外部に排出するようにしている。これによって、互いに密着する合わせ面103a、104aから毛細管現象で雨水が屋外側から漏水して屋内側に漏れ出ることを防いでいる。
【0004】
また、特許文献1のカーテンウォールでは、左右のカーテンウォールユニット100A、100Bの第一端部弾性シール材103、第二端部弾性シール材104の下側に互いに対向する縦枠107,108にそれぞれ各一対のフィン107a、108aが突出して形成されている。そして、第一及び第二端部弾性シール材103,104の当接密着時に各一対のフィン107a、108aが互いに突き合わされて嵌合している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたカーテンウォールでは、地震等の際にカーテンウォールユニット100A,100B同士が振動でロッキングするため、第一端部弾性シール材103と第二端部弾性シール材104とが上下左右にロッキングすると共にアルミ合金製の各一対のフィン107a、108aが互いに上下左右にロッキングしてしまう。ロッキングする際、フィン107aが上枠102の下方に潜り込んでいるためロッキング時にフィン107aの上端と上枠102の下面が干渉して動きを規制し左右の揺れ方が不規則になったりすることがあった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、地震等の際にカーテンウォールユニットが互いにロッキングしたとしても部材同士が干渉せず、ロッキング量が同程度になって損傷等しないようにしたカーテンウォール及びカーテンウォールユニット用キャッチパンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるカーテンウォールは、カーテンウォールユニットを縦横に連結して配列したカーテンウォールであって、隣り合う一方のカーテンウォールユニットの上枠端部に配設されている第一端部シール材と、第一端部シール材に配設されていて隣り合う他方のカーテンウォールユニットに向けて突出する突起部と、突起部を支持する第一フィン及び第二フィンと、隣り合う他方のカーテンウォールユニットの上枠端部に配設されていて第一端部シール材に密着させられた第二端部シール材とを備え、第一端部シール材と第二端部シール材を互いに密着させた状態で、第二端部シール材は突起部に当接していることを特徴とする。
本発明によれば、地震等の際に各カーテンウォールユニット同士が振動すると、第一端部シール材及び突起部が第二端部シール材と共にロッキングし、その際、突起部を支持する第一及び第二フィンは突起部の下方でロッキングするため、突起部で当接される第二端部シール材や上枠と第一及び第二フィンとが互いに干渉することなくロッキングし、ロッキング量とロッキング方向が同程度になるよう作動するため、損傷等を生じない。
【0009】
また、
前記突起部は、前記第一フィンに支持される突起および前記第二フィンに支持される突起からなる一対の突起部として構成され、前記第二端部シール材は
前記一対の突起部の間に位置していて下方に垂下する垂下部を有していることが好ましい。
第一端部シール材と第二端部シール材の密着面に雨水等の水が屋外側から滲み込んでも屋内側に漏れ出る前に、一対の突起部の間に位置する垂下部でガイドされて下方に誘導され、屋内側に漏れ出ることを防止できる。
【0010】
また、前記第一フィン及び第二フィンの上端部は前記上枠近傍まで延びていて前記第一フィン及び第二フィンの
上端部に前記突起部がそれぞれ連結されていてもよい。
第一端部シール材に設けた突起部の下に上端部を切除した第一フィン及び第二フィンを設けて支持するため、突起部は第二端部シール材と第一フィン及び第二フィンとの間に配設され、ロッキングの際に第二端部シール材や上枠と第一及び第二フィンとが互いに干渉することなくロッキングする。
【0011】
また、
前記突起部は、前記第一フィンに支持される突起および前記第二フィンに支持される突起からなる一対の突起部として構成され、前記第一端部シール材の
前記一対の突起部はそれぞれ外側に傾斜して突出していてもよい。
外側に傾斜する一対の突起部を第一端部シール材の第一フィン及び第二フィンに位置決め支持させることで正しい姿勢で精度良く保持できる。
【0012】
本発明によるカーテンウォールユニット用キャッチパンは、上枠及び下枠と左右の縦枠を備えたカーテンウォールユニットの上枠
の一方の端部に配設される第一端部シール材及び前記上枠の他方の端部に配設され
る第二端部シール材と、前記第一端部シール材に設けられていて
、前記縦枠から突出する第一フィ
ンの上に配置される第一突起部及び
前記縦枠から突出する第二フィンの上に配置される第二突起部と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、一方のカーテンウォールユニットの上枠端部に設けた第一端部シール材の第一突起部及び第二突起部に、他方のカーテンウォールユニットの第二端部シール材を密着させることで、第一及び第二端部シール
材を液密に密着させることができ、ロッキング時にロッキング量とロッキング方向が同程度になるよう作動する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるカーテンウォール及びカーテンウォールユニット用キャッチパンによれば、第一端部シール材と第二端部シール材とが密着して第一端部シール材の突起部が第二端部シール材と嵌合しているため、地震等の際に第一端部シール材と第二端部シール材とが互いに追従してロッキングすることが可能であり、カーテンウォールユニット同士が干渉したり変形したりしない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態によるカーテンウォールについて
図1乃至
図9に基づいて説明する。
図1(a)、(b)、(c)に示す実施形態によるカーテンウォール1は、カーテンウォールユニット(以下、単にユニットということがある)2を上下左右に配設して互いに連結して構成されたものであり、例えば屋外側から見た外観図である。各ユニット2は建物躯体の床Fの端部に設けられた接合部3によってビルの壁面を形成している。
図2に示すカーテンウォールユニット2は例えばアルミ合金等の金属部材からなり、上枠4、下枠5、左右の縦枠6,7からなる枠体8の内部の中間に無目9が設けられ、左右の縦枠6,7に連結されている。枠体8内において例えば無目9の上側の枠内には、例えば、単層のガラスパネルG1が収納され、無目9の下側の枠内には複層のガラスパネルG2が収納されている。
【0016】
図1(a)に示すカーテンウォール1における交差部Pは上下左右の4枚のユニット2が交差する各角部部分の連結部を示すものであり、上述した従来技術に示す交差部と同様の構成である。
図1(a)に示す交差部Pにおいて、左右に隣接する2つのユニット2を便宜的にユニット2A,2Bとし、これらに連結されるその上部の2つのユニット2をユニット2C、ユニット2Dとして、以下の説明を行う。
図3に示す交差部Pにおける下側の左右のユニット2A,2Bについて、一方のユニット2Aは上枠4と一方の縦枠6を連結した上部角部を示すものであり、上部角部における上枠4の一端部には第一端部シール材12がネジによって連結されている。縦枠6の屋外側端部にはガラスパネルG1の端部を保持するための断面略コの字状の嵌合溝6aが形成されている。
【0017】
また、他方のユニット2Bは上枠4と他方の縦枠7を連結した上部角部を示すものであり、上部角部における上枠4の他端部には第二端部シール材13がネジによって連結されている。縦枠7の屋外側端部にはガラスパネルG1の端部を保持するための断面略コの字状の嵌合溝7aが形成されている。しかも縦枠7はユニット2Aの縦枠6と対向している。
後述するように、第一端部シール材12の下側で縦枠6から上下方向に延びる第一凸側縦壁15及び第二凸側縦壁16が第一フィン及び第二フィンとして略平行に突出している。また、第二端部シール材13の下側でも縦枠7から上下方向に延びる第一凹側縦壁18と第二凹側縦壁19が略平行に突出している(
図4参照)。なお、第一端部シール材12と第二端部シール材13については後述する。
【0018】
図4は左右方向に連結された2つのユニット2A,2Bを示すものであり、例えば
図1のB−B線断面図である。一方のユニット2Aの縦枠6において、屋外側端部にガラスパネルG2の左右方向の一端部を納める嵌合溝6aが形成され、嵌合溝6aの屋内側と屋外側に設けた気密材でガラスパネルG2を保持している。なお、他方の縦枠7と無目9及び下枠5にも同様な嵌合溝がそれぞれ形成され、例えば屋内側のシール材と屋外側のシール材等の気密材によってガラスパネルG2の各端部を保持している。
また、他方のユニット2Bの縦枠7において、屋外側端部にガラスパネルG2の左右方向の他端部を納める嵌合溝7aが形成され、嵌合溝7aの屋内側と屋外側に設けた気密材でガラスパネルG2を保持している。なお、一方の縦枠6と無目9及び下枠5にも同様な嵌合溝がそれぞれ形成され、屋内側と屋外側に設けた気密材によってガラスパネルG2の各端部を保持している。対向する縦枠6の嵌合溝6aと縦枠7の嵌合溝7aとの間に凹部形状の空隙が形成されている。
【0019】
そして、ユニット2Aにおける一方の縦枠6の屋内側には他方のユニット2B方向に延びていて屈曲部を有する第一凸側縦壁15と第二凸側縦壁16と第三凸側縦壁17とが所定間隔で略平行に形成されている。第一凸側縦壁15と第二凸側縦壁16は第一フィンと第二フィンをそれぞれ構成する。
また、ユニット2Bの他方の縦枠7には対向する位置に一方のユニット2A方向に延びる第一凹側縦壁18と第二凹側縦壁19と第三凹側縦壁20とが所定間隔で略平行に形成されている。しかも、第一凸側縦壁15に設けた第一弾性シール材15aを介して第一凹側縦壁18と係合し、第二凸側縦壁16に設けた第二弾性シール材16aを介して第二凹側縦壁19と係合し、第三凸側縦壁17に設けた差し込み係合片17aを介して第三凹側縦壁20の受け溝20aに係合している。これら第一、第二、第三凸側縦壁15,16,17と第一、第二、第三凹側縦壁18,19,20とによって、ユニット2Aの一方の縦枠6の嵌合凸部6Aとユニット2Bの他方の縦枠7の嵌合凹部7Aとを互いに嵌合させるインターロック型の嵌合構造が形成されている。
【0020】
次に
図5は上下方向のユニット2A,2Cの連結構造を示すものである。
図5における上側のユニット2Cにおいて、その下枠5の屋外側端部にはガラスパネルG2の下端部を納める嵌合溝5aが形成され、嵌合溝5aの屋内側と屋外側に設けた気密材でガラスパネルG2を保持している。なお、無目9の屋外側と左右の縦枠6,7にも同様な嵌合溝がそれぞれ形成され、屋内側と屋外側に設けた気密材によってガラスパネルG2の端部を保持している。
下枠5における嵌合溝5aの屋内側には断面略逆U字状をなす凹型連結部23と連結壁部24とが所定の間隔を開けて連続して形成されている。
【0021】
また、下側のユニット2Aの上枠4において、上枠4の屋外側端部にはガラスパネルG1の上端部を納める嵌合溝4aが形成され、嵌合溝4aの屋内側と屋外側に設けた気密材でガラスパネルG1を保持している。なお、無目9の屋外側と左右の縦枠6,7にも同様な嵌合溝がそれぞれ形成され、屋内側と屋外側に設けた気密材によってガラスパネルG1の端部を保持している。
ユニットの2Cの下枠5における嵌合溝5aとユニット2Aの上枠4における嵌合溝4aとの間には所定の間隙が形成されており、ユニット2Cにおける下枠5の嵌合溝5aの下面にはユニット2Aの上枠4の嵌合溝4aに先端部が当接するスプラッシュバリア22が保持されて、上記の間隙を封止している。
【0022】
ユニット2Aの上枠4における嵌合溝4aの屋内側には上方に延びていてユニット2Cの下枠5における凹型連結部23内に嵌合する第一凸型連結部26と連結壁部24に当接する第二凸型連結部27とがそれぞれ形成されている。第一凸型連結部26の先端部には上枠第一シール部材26aが保持され、上枠第一シール部材26aで凹型連結部23の一方の内壁を押圧することで第一凸型連結部26の他方の壁面が凹型連結部23の他方の内壁に圧接されて嵌合状態になる。また、第二凸型連結部27の先端部には連結壁部24に押圧する上枠第二シール部材27aが保持されている。
これら凹型連結部23及び連結壁部24と第一凸型連結部26及び第二凸型連結部27とによって、上側のユニット2Cの下枠5と下側のユニット2Aの上枠4とを互いに嵌合させるインターロック型の嵌合構造が形成されている。
【0023】
次に
図3に示す左右方向のユニット2A、2Bに示す第一端部シール材12と第二端部シール材13との連結構造について説明する。第一端部シール材12と第二端部シール材13はキャッチパンであり、例えば発泡シリコーン、発泡樹脂や合成ゴム等の弾性材料により形成されている固定シール部材である。これらの素材のうち圧縮された際に永久歪みが残留し難い発泡シリコーンであることが好ましい。
図6(a)、(b)、(c)に示すユニット2Aの第一端部シール材12は、所定の厚みを有していて略U字状に形成された板状のシール材本体12aとその下部からシール材本体12aに略直交して水平方向に突出する第一突起部12bと第二突起部12cとを備えている。シール材本体12aは上部に延びる第一耳部29aと第二耳部29bとを有しており、シール材本体12aの内部には補強用の金属板材30が収納されている。
シール材本体12aの第一及び第二突起部12b、12c側の面が第二端部シール材13との密着面12aaを形成しており、第一耳部29aの部分には若干の傾斜面からなる段差が形成されている。
【0024】
これら第一耳部29aと第二耳部29bは、
図5に示すように、上枠4に形成した第一凸型連結部26と第二凸型連結部27の延長状に形成されていて、ユニット2Cの下枠5の凹型連結部23と連結壁部24に外側で当接するものである。第一端部シール材12にはネジ穴12dが形成されており、このネジ穴12dと金属板材30を通してネジで上枠4内に取り付けられたガーターピース31に固定される。
しかも、
図6(c)に示すように、第一突起部12bと第二突起部12cは所定間隔を開けて形成され、部品の状態で外側に傾斜して突出形成されている。
第一突起部12bと第二突起部12cはそれぞれ下面と外側面に亘って断面略L字状に切り欠いた第一係合受け部12baと第二係合受け部12caが形成されている。第一係合受け部12baには縦枠6の第一凸側縦壁15(第一フィン)の上端部が係合し、第二係合受け部12caには第二凸側縦壁16(第二フィン)の上端部が係合し、その状態で、第一突起部12bと第二突起部12cは外側に傾斜した姿勢から略平行な姿勢に強制的に矯正される。
【0025】
また、
図3に示すように、縦枠6における第一端部シール材12の下部には第一凸側縦壁15と凸側縦壁16とが所定間隔で上下方向に延びている。この第一凸側縦壁15と第二凸側縦壁16は、従来のカーテンウォールユニットでは上枠4まで延びていたが、本実施形態では上端部が一部切り欠かれた欠損部として上枠4よりも下側に位置している。そして、これら第一凸側縦壁15と第二凸側縦壁16の上端部に第一端部シール材12の第一突起部12bと第二突起部12cが装着されている。
【0026】
また、
図7(a)、(b)、(c)に示すユニット2Bの第二端部シール材13は、所定の厚みを有していて略U字状に形成された板状のシール材本体13aとその板厚方向に突出する突出片13fとを有している。シール材本体13aは上部に延びる第一耳部35aと第二耳部35bとを有しており、シール材本体13aの内部に補強用の金属板材36が収納されている。シール材本体13aの一方の面が第一端部シール材12の密着面12aaとの密着面13aaを形成していて、第一耳部35aの部分には若干の傾斜面からなる段差が形成されている。密着面12aaと密着面13aa同士は互いに逆向きの段差の傾斜面を有しているため、第一耳部29aと第一耳部35aが傾斜面の段差を介して互いに面接触で密着されている。
【0027】
これら第一耳部35aと第二耳部35bは、
図3に示すように、上枠4に形成した第一凸型連結部26と第二凸型連結部27の延長状に形成されていて、ユニット2Cの下枠5の凹型連結部23と連結壁部24にその外側で当接するものである。第二端部シール材13にはネジ穴13dが形成されており、このネジ穴13dと金属板材36を通してネジで上枠4内のガーターピース31に固定される。
【0028】
また、シール材本体13aの下部には第一端部シール材12の第一突起部12bの上面を嵌合させる第一嵌合凹部13bと第二突起部12cの上面を嵌合させる第二嵌合凹部13cとが形成されている。しかも第一嵌合凹部13bと第二嵌合凹部13cの間には下方に延びる垂下部13eが形成されている。
これにより、
図8、
図9に示すように、第一端部シール材12と第二端部シール材13のシール材本体12a、13aの密着面12aa、13aa同士を圧接して密着させた状態で、この密着面12aa、13aaの密着性の小さい部分から内部に浸み込む雨水等の水を室外側に傾斜する面を有する垂下部13eを通して下方に誘導し、屋内側に浸み込むことを防ぐことができる。
図8、
図9に示すように、ユニット2A,2Bを嵌合させ、第一端部シール材12と第二端部シール材13のシール材本体12a、13aの密着面12aa、13aa同士を圧接して密着させた状態で、第一及び第二突起部12b、12c上に第二端部シール材13の第一嵌合凹部13bと第二嵌合凹部13cがそれぞれ嵌合している。
【0029】
この状態で、
図4に示すように、第一突起部12bを支える第一凸側縦壁15と第二突起部12cを支える第二凸側縦壁16は第一凹側縦壁18と第二凹側縦壁19にそれぞれ係合することになる。
なお、本実施形態によるカーテンウォール1においても、上述した従来技術のカーテンウォールと同様に、第一端部シール材12及び第二端部シール材13に連結されて屋内外を液密にシールするカーテンウォール1の上下方向に形成された弾性シール材と左右方向または横方向に形成された弾性シール材とを備えている。これによって、カーテンウォールユニット2同士を液密にシールしている。これらの各弾性シール材の構成については上述した従来技術と同様であるため説明を省略する。
【0030】
本実施形態によるカーテンウォール1は上述した構成を有しており、次にその作用について説明する。
先ず、カーテンウォール1の組み立て方法について説明する。カーテンウォール1の組み立てに際して、
図3及び
図4を中心に交差部Pにおける左右方向のユニット2Aとユニット2Bの嵌合方法を説明する。交差部Pにおけるユニット2Aの上枠4と縦枠6が交差する上端角部において、上枠4の延長状の端部に第一端部シール材12を取り付け、第一及び第二突起部12b、12cを縦枠6から突出していて上部に欠損部を形成した第一凸側縦壁15と第二凸側縦壁16の上端部に装着させて嵌合する。そして、第一端部シール材12をガーターピース31の端部にねじ止めする。同様に交差部Pにおけるユニット2Bの上枠4と縦枠7が交差する上端角部において、上枠4の延長状の端部に第二端部シール材13を取り付ける。
【0031】
この状態で、ユニット2Aの第一端部シール材12及び縦枠6とユニット2Bの第二端部シール材13と縦枠7とを連結する。
連結に際し、
図3及び
図8に示すように、第二端部シール材13を第一端部シール材12の第一突起部12b及び第二突起部12cの上部に載置させる。これにより、第二端部シール材13の下部に形成した第一嵌合凹部13bが第一突起部12bの上面に嵌合し、第二嵌合凹部13cが第二突起部12cの上面に嵌合して互いに位置決めされる。
【0032】
また、
図4及び
図9に示すように、ユニット2Aにおける縦枠6の第一突起部12b及び第二突起部12cは、ユニット2Bにおける縦枠7の第一凹側縦壁18と第二凹側縦壁19の間に位置する。
しかも、
図4に示すように、縦枠6の屋内側に設けた第一、第二、第三凸側縦壁15,16,17を有する嵌合凸部6Aと、これに対向する縦枠7の屋内側に設けた第一、第二、第三凹側縦壁18,19,20を有する嵌合凹部7Aとが互いにそれぞれ嵌合することで、ユニット2Aの縦枠6とユニット2Bの縦枠7とを互いに連結させる。
【0033】
そして、
図5に示すように、下側のユニット2Aに示す上枠4の嵌合溝4aの屋内側に設けた第一凸型連結部26と、ユニット2Cの下枠5に形成した凹型連結部23とを嵌合させる。第一凸型連結部26と凹型連結部23は嵌合状態で上枠第一シール部材26aによって互いに液密に嵌合固定される。
また、上枠4の第二凸型連結部27が上枠第二シール部材27aで下枠5の連結壁部24に押圧される。更に下枠5の屋外側に設けたスプラッシュバリア22によって上枠4と下枠5との間の間隙を封止して外部から雨水等が流入することを抑制できる。
また、交差部Pにおける下側のユニット2Bと上側のユニット2Dについても同様に嵌合して連結される。このようにして多数のカーテンウォールユニット2を順次上下左右に連結することで、各ユニット2は建物躯体の各層の床Fの端部に設けられた接合部3によってビルの壁面に吊り下げられて連結されている。
【0034】
次に本実施形態によるカーテンウォール1の作用について説明する。
上下左右のユニット2同士を連結固定した状態で、例えばユニット2A、2Bを
図8に示すように第一端部シール材12と第二端部シール材13とを密着面12aa、13aa同士で面接触している。この場合でも密着面12aa、13aaの屋外側のわずかな隙間から雨水等の水が滲み込むことがある。特に、第一及び第二端部シール材12、13において第一耳部29a、35aと第二耳部29b、35bの間が凹嵌部の底部となっていて雨水等が載り易く溜まり易い傾向があり、その密着面12aa、13aaの間に水が滲み込み易い。
【0035】
そして、密着面12aa、13aaの屋外側のわずかな隙間から滲み込む水は密着面12aa、13aaの間を流れて屋内側に滲み込むが、第一端部シール材12の第一突起部12bと第二突起部12cの間で第二端部シール材13に設けられた垂下部13eにガイドされて下方に落ち込む。
これによって、滲み込む水が屋内側に流れ込むことを防止して下方に落下させられ、隙間から外部に戻される。
【0036】
なお、従来技術のカーテンウォールでは、第一端部シール材12と第二端部シール材13の密着面12aa、13aaに滲み込む雨水等の水は第一端部シール材12と第二端部シール材13に形成されたスリット状の空洞部にガイドされて下方に落下するようにしていた。しかし、この場合には、第一端部シール材12と第二端部シール材13はスリットを形成しつつ強度を確保するために例えば20数ミリ程度の厚みを必要としていたが、本実施形態では、滲み込む水の降下をガイドするスリットを形成しないために、第一端部シール材12と第二端部シール材13は例えばその1/2程度の厚みに削減できて小型化できる。
【0037】
また、左右のユニット2の結合に際して、ユニット2Aの第一端部シール材12とユニット2Bの第二端部シール材13を密着させて第一突起部12b及び第二突起部12cを第二端部シール材13の下部に嵌合させた。そして、第一突起部12b及び第二突起部12cを第一凸側縦壁15及び第二凸側縦壁16で支持させた。
【0038】
そのため、地震等の際に、上下左右に隣り合う4つのカーテンウォールユニット2同士が交差部Pで互いにロッキングすると、第一端部シール材12と第二端部シール材13とが互いにロッキングする。そして、第一端部シール材12は第一凹側縦壁18及び第二凹側縦壁19の間隙内に第一突起部12b及び第二突起部12cが位置する状態でロッキングする。
【0039】
しかも、第一凸側縦壁15及び第二凸側縦壁16は第一弾性シール材15a及び第二弾性シール材16aを介して縦枠7の第一凹側縦壁18及び第二凹側縦壁19と当接状態であり、ロッキング時に第一凸側縦壁15及び第二凸側縦壁16と第一凹側縦壁18及び第二凹側縦壁19とが互いに接触して擦過したり損傷させたりすることがない。しかも、第一凸側縦壁15及び第二凸側縦壁16の上端と上枠4の下面との間に第一突起部12bと第二突起部12cが介在するため互いに干渉することがなく、動きを規制したり左右の揺れ方が不規則になったりすることがない。
また、第一凸側縦壁15及び第二凸側縦壁16及び縦枠6と第一凹側縦壁18及び第二凹側縦壁19及び縦枠7とが互いに同量ずつロッキングし、互いの擦過や変形等を防止できると共に地震終了時に元の位置に戻る。
【0040】
上述のように本実施形態によるカーテンウォール1によれば、ユニット2Aの第一端部シール材12に設けた第一突起部12b及び第二突起部12cを第一凸側縦壁15、第二凸側縦壁16で支持すると共にユニット2Bの上枠4の下側に配設させて、第二端部シール材13の第一凹側縦壁18及び第二凹側縦壁19間で保持するため、第一凸側縦壁15及び第二凸側縦壁16を第一凹側縦壁18及び第二凹側縦壁19と非接触に保持できる。
しかも、縦枠6の第一端部シール材12に第一及び第二突起部12b,12cを設けたためにこれを支持する第一凸側縦壁15及び第二凸側縦壁16の高さが低く、上枠4に干渉しない。
そのため、地震等でカーテンウォール1の隣接するカーテンウォールユニット2同士がロッキングした場合でも第一端部シール材12の第一突起部12b及び第二突起部12cが第一凹側縦壁18及び第二凹側縦壁19内で規則正しく同量にロッキングし、また、互いに干渉せず変形追従等することを防止して互いの損傷を防止できる。
【0041】
また、第一端部シール材12と第二端部シール材13の互いの密着面12aa、13aaの隙間から雨水等の水が屋外側から滲み込んだとしても第一及び第二突起部12b、12c間に設けた第二端部シール材13の垂下部13eにガイドされて下方に水滴として落下するため、屋内側に滲み出ることを防止できる。しかも、第一及び第二端部シール材12、13に水をガイドするためのスリット等を設ける必要がなく、厚みを例えば1/2程度に小型化できる。
また、第一端部シール材12の第一突起部12b及び第二突起部12cは部品段階でそれぞれ外側に傾斜して開いており、これを第一凸側縦壁15、第二凸側縦壁16の上部に装着する際にほぼ平行に矯正させて、第一突起部12b及び第二突起部12cを第二端部シール材13の下側に嵌合させることで、この部分の水密性を確実に確保できる。
【0042】
なお、本発明によるカーテンウォール1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。以下に、本発明の変形例等について説明するが、上述した実施形態で説明した部品や部材等と同一または同様なものについては同一の符号を用いて説明を省略する。
【0043】
例えば、上述した実施形態では、第二端部シール材13に垂下部13eを設けたが、これに代えて第一端部シール材12における第一突起部12bと第二突起部12cの間に垂下部を設けて滲み込む水を下方に誘導してもよい。
【0044】
なお、本発明において、第一凸側縦壁15は第一フィン、第二凸側縦壁16は第二フィンに含まれる。
上枠4及び下枠5、左右の縦枠6,7を備えた隣り合うカーテンウォールユニット2の上枠4の両端部に配設される対向する第一端部シール材12及び第二端部シール材13と、縦枠6,7から左右方向に延びる第一凸側縦壁15及び第二凸側縦壁16の上に配置される第一及び第二突起部12b、12cはカーテンウォール1用のキャッチパンを構成する。