(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記気泡検出手段は、前記血液回路に複数配設されて複数箇所で気泡を検出し得るとともに、前記制御手段は、気泡が検出された当該気泡検出手段に応じて接続不良箇所を特定し得ることを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
前記制御手段は、前記血液回路内にプライミング液を充填させるプライミング液充填工程と、該プライミング液充填工程にて充填されたプライミング液を前記血液回路内で循環させる循環洗浄工程とを順次行わせ得るとともに、前記循環洗浄工程時に前記接続確認工程を行わせることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の血液浄化装置。
前記気泡検出手段は、前記血液回路に複数配設されて複数箇所で気泡を検出し得るとともに、気泡が検出された当該気泡検出手段に応じて接続不良箇所を特定し得ることを特徴とする請求項4記載の血液浄化装置の接続確認方法。
前記血液回路内にプライミング液を充填させるプライミング液充填工程と、該プライミング液充填工程にて充填されたプライミング液を前記血液回路内で循環させる循環洗浄工程とを順次行わせ得るとともに、前記循環洗浄工程時に前記接続確認工程を行わせることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の血液浄化装置の接続確認方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1実施形態に係る血液浄化装置は、血液透析装置に適用されるものであり、
図1に示すように、血液浄化手段としてのダイアライザ1に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bと、プライミング液供給ラインLaと、気泡検出手段としての気泡検出センサ16と、制御手段17とから主に構成されている。
【0023】
ダイアライザ1は、不図示の血液浄化膜(本実施形態においては中空糸型の血液透析濾過膜であるが、平膜型の血液透析膜又は血液濾過膜を含む)を内在し、血液を導入する血液導入口1a及び導入した血液を導出する血液導出口1bが形成されるとともに、透析液を導入する透析液導入口1c及び導入した透析液を排出する透析液排出口1dが形成されたもので、中空糸膜を介して血液導入口1aから導入した血液に透析液を接触させて血液を浄化するものである。
【0024】
動脈側血液回路2は、主に可撓性チューブから成り、一端がダイアライザ1の血液導入口1aに接続されて患者の血管から採取した血液をダイアライザ1の中空糸膜内に導くものである。かかる動脈側血液回路2の他端には、動脈側穿刺針(不図示)を取り付け得るコネクタaが形成されているとともに、途中に除泡のための動脈側エアトラップチャンバ5が接続され、且つ、血液ポンプ4が配設されている。なお、血液ポンプ4は、しごき型のポンプ(正転させると可撓性チューブをしごいて血液を動脈側穿刺針側からダイアライザ1の血液導入口1aの方向に流動させる構成のもの)である。
【0025】
静脈側血液回路3は、動脈側血液回路2と同様に主に可撓性チューブから成り、一端がダイアライザ1の血液導出口1bに接続されて中空糸膜内を通過した血液を導出させるものである。かかる静脈側血液回路3の他端には、静脈側穿刺針(不図示)を取り付け得るコネクタbが形成されているとともに、途中に除泡のための静脈側エアトラップチャンバ6が接続されている。すなわち、動脈側穿刺針で採取された患者の血液は、動脈側血液回路2を介してダイアライザ1に至り、血液浄化がなされた後、静脈側血液回路3を流動し、静脈側穿刺針を介して患者の体内に戻るようになっており、これによって体外循環がなされるよう構成されている。
【0026】
さらに、静脈側血液回路3におけるクランプ手段Vbと静脈側エアトラップチャンバ6との間には、気泡検出センサ16(気泡検出手段)が取り付けられている。かかる気泡検出手段16は、血液回路を流動する液体中の気泡(エア)を検出可能なセンサから成り、例えば圧電素子から成る一対の超音波振動素子(発振手段及び受信手段)を有して構成されている。
【0027】
具体的には、血液回路(静脈側血液回路3)を構成する可撓性チューブに向けて発振手段としての超音波振動素子から超音波を照射させ得るとともに、その振動を受信手段としての超音波受信素子にて受け得るようになっている。この振動を受信した超音波受信素子は、その振動に応じて電圧が変化するよう構成されており、検出される電圧が所定の閾値を超えたことにより液体中の気泡が流動したことを検出し得るよう構成されている。
【0028】
動脈側血液回路2の先端側(コネクタaと血液ポンプ4との間であって当該コネクタa近傍)には、流路を開閉可能なクランプ手段Vaが接続されるとともに、静脈側血液回路3の先端側(コネクタbと静脈側エアトラップチャンバ6との間であって当該コネクタb近傍)には、流路を開閉可能なクランプ手段Vbが接続されている。また、静脈側血液回路3の途中に形成された静脈側エアトラップチャンバ6の上部からは、オーバーフローラインLbが延設されており、当該オーバーフローラインLbの途中には流路を開閉可能なクランプ手段Vdが接続されている。
【0029】
しかして、透析治療前には、
図1に示すように、コネクタaとコネクタbとを接続することにより、動脈側血液回路2の先端と静脈側血液回路3の先端とを連結させ、これら動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する血液流路を含む)にて血液回路側の閉回路を形成させ得るようになっている。そして、この閉回路内にプライミング液供給ラインLaを介してプライミング液としての透析液を供給することにより、血液回路(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3)に対して透析液を充填させてプライミング作業が可能とされている。なお、プライミング作業の過程において、オーバーフローラインLbから透析液をオーバーフローさせて血液回路側の閉回路内を洗浄し得るようになっている。
【0030】
また、静脈側エアトラップチャンバ6には、血液回路による血液の体外循環時、上部側に形成される空気層の圧力を検出して静脈側血液回路3内の液圧(静脈圧)を検出し得る静脈圧センサ13が取り付けられている。そして、血液浄化治療が開始されて、血液回路にて患者の血液を体外循環させる際、静脈圧センサ13により検出される静脈圧を監視し得るようになっている。
【0031】
ダイアライザ1の透析液導入口1c及び透析液排出口1dには、それぞれ透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2の端部が接続されており、当該透析液導入ラインL1を介してダイアライザ1に導入された透析液が、中空糸膜の外側を通過して透析液排出ラインL2から排出され得るよう構成されている。このように、ダイアライザ1における中空糸膜(浄化膜)の内側は、血液が流動し得る血液流路を成すとともに、当該中空糸膜の外側は、透析液が流動し得る透析液流路を成すものとされている。
【0032】
また、透析液導入ラインL1を介して透析液をダイアライザ1に導入させるとともに当該ダイアライザ1から透析液を排出させる複式ポンプ7が透析装置本体B内に配設されている。透析装置本体Bは、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有するとともに、複式ポンプ7、バイパスラインL3〜L6及び電磁弁V1〜V7を有したものである。このうち複式ポンプ7は、透析液導入ラインL1と透析液排出ラインL2とに跨って配設され、所定濃度に調製された透析液をダイアライザ1に導入させるとともに当該ダイアライザ1から透析後の透析液を排出させるものである。
【0033】
透析液導入ラインL1の途中(透析液導入ラインL1におけるプライミング液供給ラインLaとの連結部より下流側(ダイアライザ1側))には、電磁弁V1が接続されるとともに、透析液排出ラインL2の途中(透析液排出ラインL2におけるバイパスラインL3との連結部より上流側(ダイアライザ1側))には、電磁弁V2が接続されている。また、透析液導入ラインL1における複式ポンプ7と電磁弁V1との間には、濾過フィルタ8、9が接続されている。
【0034】
この濾過フィルタ8、9は、透析液導入ラインL1を流れる透析液を濾過して浄化するためのものであり、当該濾過フィルタ8、9には透析液排出ラインL2にバイパスして透析液を導くためのバイパスラインL3、L4がそれぞれ接続されている。かかるバイパスラインL3、L4には、それぞれ電磁弁V3、V4が接続されている。なお、透析液導入ラインL1における濾過フィルタ8と濾過フィルタ9との間には、電磁弁V6が接続されている。
【0035】
一方、透析液排出ラインL2におけるバイパスラインL3との連結部及びバイパスラインL4との連結部の間には、透析液の液圧を測定し得る液圧測定センサ12が取り付けられている。さらに、透析液排出ラインL2には、複式ポンプ7の排液側をバイパスするバイパスラインL5、L6がそれぞれ接続されており、バイパスラインL5には、ダイアライザ1中を流れる患者の血液から水分を除去するための除水ポンプ10が配設されるとともに、バイパスラインL6には、流路を開閉可能な電磁弁V5が接続されている。
【0036】
また、透析液排出ラインL2における複式ポンプ7より上流側(バイパスラインL5との連結部と複式ポンプ7との間)には、複式ポンプ7における排液側の液圧調整を行うための加圧ポンプ14が配設されている。さらに、透析液排出ラインL2における複式ポンプ7より上流側(加圧ポンプ14と複式ポンプ7との間)には、脱ガスチャンバ15が接続されており、当該脱ガスチャンバ15にはチェックバルブ等を介して大気開放ラインL7が接続されているとともに、当該大気開放ラインL7には、電磁弁V7が接続されている。
【0037】
プライミング液供給ラインLaは、一端が透析液導入ラインL1に形成された採取口11(所謂サンプリングポート)に接続されるとともに、他端が動脈側血液回路2(又は静脈側血液回路3であってもよい)に接続され、透析液導入ラインL1の透析液を動脈側血液回路2(又は静脈側血液回路3)にプライミング液として供給させ得る流路から成るものである。かかるプライミング液供給ラインLaには、流路を開閉可能なクランプ手段Vcが配設されており、血液回路のプライミング時において、クランプ手段Vcを開状態とすることにより、プライミング液供給ラインLaを介して血液回路に対して透析液を供給して充填させ得るようになっている。
【0038】
制御手段17は、例えば透析装置本体B内に配設されたマイコン等から成るもので、任意の電磁弁V1〜V7の開閉、複式ポンプ7や血液ポンプ4等の任意アクチュエータの駆動又は停止に関する制御を行い得るとともに、液圧測定センサ12、静脈圧センサ13及び気泡検出センサ16(気泡検出手段)等と電気的に接続されている。また、本実施形態においては、血液回路に対してプライミング液(透析液)を供給させて当該血液回路のプライミングを行わせ得るとともに、血液回路の接続の良否を確認するための接続確認工程を行わせ得るものとされている。
【0039】
ここで、本実施形態に係る制御手段17は、血液回路内にプライミング液(透析液)が充填されたことを条件として、当該血液回路内に陰圧を付与させるとともに、気泡検出センサ16にて気泡が検出されたか否かを判定して接続確認工程を行い得るようになっている。特に、本実施形態に係る制御手段17は、ダイアライザ1に形成された透析液流路内に透析液を流動(ガスパージ)させつつ陰圧とすることにより血液回路内に陰圧を付与し得るよう構成されている。
【0040】
さらに、本実施形態に係る制御手段17は、血液回路内にプライミング液(透析液)を充填させるプライミング液充填工程(オーバーフロー工程及び送液工程)と、該プライミング液充填工程にて充填されたプライミング液を血液回路内で循環させる循環洗浄工程とを順次行わせることによりプライミングを行わせ得るとともに、循環洗浄工程時に接続確認工程を行わせるようになっている。
【0041】
以下、本実施形態に係る制御手段17の制御内容について
図2のフローチャート及び
図3〜
図7に基づいて説明する。
まず、透析治療前(プライミング前)において、
図1に示すように、コネクタaとコネクタbとを接続することにより、動脈側血液回路2の先端と静脈側血液回路3の先端とを連結させ、これら動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む)にて血液回路側の閉回路を形成させる。
【0042】
その後、血液回路内を加圧することによって血液回路の接続確認(S1)を行わせる。かかるS1においては、
図3に示すように、血液回路側のクランプ手段(Va、Vd)を閉状態及びクランプ手段(Vb、Vc)を開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V1、V2、V4、V7)を閉状態及び電磁弁(V3、V5、V6)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を正回転駆動(血液浄化治療時に血液を流動させる回転方向)させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、プライミング液供給ラインLaを介して透析液導入ラインL1の透析液を血液回路内に供給し、当該血液回路内を加圧する。
【0043】
血液ポンプ4が設定された流量又は時間だけ正回転駆動した後、血液ポンプ4を停止させるとともに、静脈圧センサ13により血液回路内の液圧を検出し、その検出値が所定の閾値を超えない場合、未接続箇所があると判定して報知する。また、静脈圧センサ13により検出された液圧が所定の閾値を超えた場合であっても、その検出値が所定時間(例えば2秒間)保持されない場合、未接続箇所があると判定して報知する。
【0044】
S1の血液回路の接続確認が行われた後、S2に進み、血液回路のプライミング(
図4、5参照)が行われる。かかるプライミングにおいては、
図4に示すように、血液回路側のクランプ手段(Va〜Vd)を開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V1〜V4、V7)を閉状態及び電磁弁(V5、V6)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を停止させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、プライミング液供給ラインLaを介して透析液導入ラインL1の透析液をプライミング液として静脈側血液回路3側に供給するとともに、オーバーフローラインLbからオーバーフローさせる。この工程は、プライミング液充填工程におけるオーバーフロー工程を成すものである。
【0045】
静脈側血液回路3側へのプライミング液の供給が所定時間又は所定流量行われると、
図5に示すように、血液回路側のクランプ手段(Vc、Vd)を閉状態及びクランプ手段(Va、Vb)を開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V1、V2、V4、V7)を閉状態及び電磁弁(V3、V5、V6)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を逆回転駆動(血液浄化治療時に血液を流動させる方向とは逆の回転方向)させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、プライミング液供給ラインLaを介して透析液導入ラインL1の透析液をプライミング液として動脈側血液回路2側に供給しつつダイアライザ1内の空気を静脈側血液回路3側に移動させる。この工程は、プライミング液充填工程における送液工程を成すものである。
【0046】
かかる送液工程(
図5参照)において、気泡検出センサ16が気泡(エア)を検出した後、血液ポンプ4が所定流量駆動すると、再びオーバーフロー工程(
図4参照)が行われることとなる。このように、オーバーフロー工程及び送液工程が交互に繰り返し行われ、所定回数行われると、血液回路のプライミングS2が終了してS3に進む。S3は、
図6に示すように、血液ポンプ4を正転駆動させることにより血液回路にてプライミング液を循環させる循環洗浄工程を開始するための工程である。
【0047】
かかる循環洗浄工程においては、同図に示すように、血液回路側のクランプ手段(Vc、Vd)を閉状態及びクランプ手段(Va、Vb)を開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V3、V4)を閉状態及び電磁弁(V1、V2、V5〜V7)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を正回転駆動させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、血液回路内でプライミング液を循環させつつダイアライザ1内の透析液流路に透析液を流動(ガスパージ)させている。
【0048】
ここで、循環洗浄工程において、ダイアライザ1内の透析液流路に透析液を流動させつつ大気開放ラインL7の電磁弁V7及びバイパスラインL6の電磁弁V5が開状態とされることから、透析液流路を介して血液回路内に陰圧が付与されるとともに、S4に進んで、気泡検出センサ16にて気泡が検出されたか否かを判定する血液回路の接続確認工程が行われる。すなわち、血液回路が陰圧とされていることから、血液回路中の何れかの箇所で接続不良があった場合、接続不良部位から空気を吸い込んで気泡が生じるので、接続確認工程S4を経て気泡検出センサ16にて気泡を監視することにより、接続不良の有無を確認することができるのである。
【0049】
そして、S4にて気泡が検出されたと判定された場合、S5に進んで接続不良を周囲に把握させるための警報を発生させる。かかる警報は、透析装置本体Bの液晶モニタ等に警告表示する、透析装置本体Bに取り付けられたスピーカより警告音を発生させる、透析装置本体Bから上方に延設された警告灯を点灯又は点滅させるなど、何れの形態であってもよい。
【0050】
S4にて気泡が検出されないと判定された後或いはS5にて警報が発生された後、S6に進み、回路内洗浄が引き続き行われる。かかる回路内洗浄工程S6は、
図7に示すように、血液回路側のクランプ手段(Va〜Vd)を開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V1〜V4、V7)を閉状態及び電磁弁(V5、V6)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を正回転駆動させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、血液回路内にプライミング液としての透析液を供給しつつ循環させる。以上で、プライミングを含む一連の制御が終了することとなる。
【0051】
本実施形態によれば、血液回路内にプライミング液が充填されたことを条件として、当該血液回路内に陰圧を付与させるとともに、気泡検出センサ16(気泡検出手段)にて気泡が検出されたか否かを判定して血液回路の接続確認工程を行うので、血液回路の接続の良否を確認するための接続確認工程をより短時間且つ高精度で行わせることができる。また、気泡検出センサ16は、血液浄化治療時において血液回路内で血液を体外循環させるとき、或いは血液浄化治療後に血液回路から血液を患者に戻して返血するとき、気泡を検出して体外循環や返血を停止又は終了させ得るものとされているので、患者に気泡が混入してしまうのを防止する機能と、接続確認のための機能とを兼用させることができる。
【0052】
また、ダイアライザ1(血液浄化手段)に形成された透析液流路内に透析液を流動させつつ陰圧とすることにより血液回路内に陰圧を付与し得るので、透析液流路内に透析液を充填させるガスパージ工程の際に陰圧が生じる現象を利用して接続確認工程を行わせることができる。すなわち、ガスパージ工程においては、ダイアライザ1における透析液流路内から排出された気泡を複式ポンプ7が吸い込んでしまうのを防止するために、脱ガスチャンバ15にて気泡を捕捉するとともに電磁弁V7を開状態として大気開放ラインL7から気泡を外部に排出させるよう構成されており、その際に透析液流路を介して血液回路内に陰圧が付与される現象が生じてしまう。本実施形態によれば、この現象を利用して、接続確認工程時における血液回路に対する陰圧の付与を行うことができるのである。なお、電磁弁V7のみを開状態とすると、加圧ポンプ14の影響により、血液回路側に過度の陰圧が生じてしまう。このため、本実施形態においては、電磁弁V5を開状態として、加圧ポンプ14をバイパスするバイパスラインL6を大気開放にすることにより、過度の陰圧を回避しているのである。
【0053】
さらに、本実施形態によれば、血液回路内にプライミング液を充填させるプライミング液充填工程と、該プライミング液充填工程にて充填されたプライミング液を血液回路内で循環させる循環洗浄工程とを順次行わせ得るとともに、循環洗浄工程時に接続確認工程を行わせるので、血液回路のプライミング過程の循環洗浄工程において、接続確認工程を良好に行わせることができる。
【0054】
次に、本発明の第2の実施形態に係る血液浄化装置について説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、第1の実施形態と同様、血液透析装置に適用されるものであり、
図8に示すように、血液浄化手段としてのダイアライザ1に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bと、プライミング液供給ラインLaと、気泡検出手段としての気泡検出センサ(16a、16b)と、制御手段17とから主に構成されている。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0055】
本実施形態においては、気泡検出センサ(16a、16b)は、血液回路に複数(本実施形態においては2つ)配設されて複数箇所(本実施形態においては2カ所)で気泡を検出し得るとともに、気泡が検出された当該気泡検出センサ(16a、16b)に応じて接続不良箇所を特定し得るよう構成されている。具体的には、気泡検出センサ(16a、16b)は、先の実施形態と同様、血液回路内を流動する液体中の気泡を検出し得るもので、気泡検出センサ16aが動脈側血液回路2の先端部(プライミング液供給ラインLaとの連結部とクランプ手段Vaとの間)に取り付けられるとともに、気泡検出センサ16bが静脈側血液回路3の先端部(静脈側エアトラップチャンバ6とクランプ手段Vbとの間)に取り付けられている。
【0056】
以下、本実施形態に係る制御手段17の制御内容について
図9のフローチャート及び
図10に基づいて説明する。
まず、透析治療前(プライミング前)において、
図8に示すように、コネクタaとコネクタbとを接続することにより、動脈側血液回路2の先端と静脈側血液回路3の先端とを連結させ、これら動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む)にて血液回路側の閉回路を形成させる。
【0057】
その後、加圧による血液回路の接続確認(S1)及び血液回路のプライミング(S2)が行われた後、S3に進んで循環洗浄工程が開始される。なお、血液回路の接続確認(S1)及び血液回路のプライミング(S2)については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。S3は、
図10に示すように、血液ポンプ4を正回転駆動させることにより血液回路にてプライミング液を循環させる循環洗浄工程を開始するための工程である。
【0058】
かかる循環洗浄工程においては、同図に示すように、血液回路側のクランプ手段(Vc、Vd)を閉状態及びクランプ手段(Va、Vb)を開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V3、V4)を閉状態及び電磁弁(V1、V2、V5〜V7)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を正回転駆動させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、血液回路内でプライミング液を循環させつつダイアライザ1内の透析液流路に透析液を流動(ガスパージ)させている。
【0059】
循環洗浄工程において、第1の実施形態と同様、ダイアライザ1内の透析液流路に透析液を流動させつつ大気開放ラインL7の電磁弁V7及びバイパスラインL6の電磁弁V5が開状態とされることから、透析液流路を介して血液回路内に陰圧が付与されるとともに、S4、S5に進んで、気泡検出センサ(16a、16b)にて気泡が検出されたか否かを判定する血液回路の接続確認工程が行われる。すなわち、血液回路が陰圧とされていることから、血液回路中の何れかの箇所で接続不良があった場合、接続不良部位から空気を吸い込んで気泡が生じるので、接続確認工程(S4、S5)を経て気泡検出センサ(16a、16b)にて気泡を監視することにより、接続不良の有無を確認することができるのである。
【0060】
本実施形態においては、S4にて気泡検出センサ16a又は気泡検出センサ16bの何れか一方が気泡を検出し、且つ、気泡検出センサ16bが気泡検出センサ気泡16aより先に気泡を検出したと判定されると、S6に進み、接続不良を周囲に把握させるための警報を発生させる。かかる警報は、透析装置本体Bの液晶モニタ等に警告表示する、透析装置本体Bに取り付けられたスピーカより警告音を発生させる、透析装置本体Bから上方に延設された警告灯を点灯又は点滅させるなど、何れの形態であってもよい。
【0061】
ここで、本実施形態においては、S6にて上記警報が行われた後、S7に進み、接続不良が、気泡検出センサ16aより下流側の位置(気泡検出センサ16bより上流側の位置)にあると特定する。すなわち、血液ポンプ4が正回転駆動しているため、当該位置に接続不良があると、その接続不良箇所から吸い込まれた気泡は気泡検出センサ16bにて検出された後、気泡検出センサ16aにて検出されることとなるので、その検出順序に応じて接続不良箇所を特定することができるのである。
【0062】
一方、S4にて気泡が検出されないと判定されると、S5に進む。S5にて気泡検出センサ16a又は気泡検出センサ16bの何れか一方が気泡を検出し、且つ、気泡検出センサ16aが気泡検出センサ気泡16bより先に気泡を検出したと判定されると、S8に進み、接続不良を周囲に把握させるための警報を発生させる。かかる警報は、透析装置本体Bの液晶モニタ等に警告表示する、透析装置本体Bに取り付けられたスピーカより警告音を発生させる、透析装置本体Bから上方に延設された警告灯を点灯又は点滅させるなど、何れの形態であってもよい。
【0063】
ここで、本実施形態においては、S8にて上記警報が行われた後、S9に進み、接続不良が、気泡検出センサ16bより下流側の位置(気泡検出センサ16aより上流側の位置)にあると特定する。すなわち、血液ポンプ4が正回転駆動しているため、当該位置に接続不良があると、その接続不良箇所から吸い込まれた気泡は気泡検出センサ16aにて検出された後、気泡検出センサ16bにて検出されることとなるので、その検出順序に応じて接続不良箇所を特定することができるのである。
【0064】
S5にて気泡が検出されないと判定され、又はS7、S9による接続不良の特定が行われると、S10に進んで回路内洗浄工程が行われることとなる。かかる回路内洗浄工程S10は、第1の実施形態と同様(
図7参照)であるため、説明を省略する。以上で、プライミングを含む一連の制御が終了することとなる。
【0065】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、血液回路内にプライミング液が充填されたことを条件として、当該血液回路内に陰圧を付与させるとともに、気泡検出センサ(16a、16b)(気泡検出手段)にて気泡が検出されたか否かを判定して血液回路の接続確認工程を行うので、血液回路の接続の良否を確認するための接続確認工程をより短時間且つ高精度で行わせることができる。また、気泡検出センサ16は、血液浄化治療時において血液回路内で血液を体外循環させるとき、或いは血液浄化治療後に血液回路から血液を患者に戻して返血するとき、気泡を検出して体外循環や返血を停止又は終了させ得るものとされているので、患者に気泡が混入してしまうのを防止する機能と、接続確認のための機能とを兼用させることができる。
【0066】
特に、本実施形態によれば、気泡検出センサ(16a、16b)は、血液回路に複数配設されて複数箇所で気泡を検出し得るとともに、気泡が検出された当該気泡検出センサ(16a、16b)に応じて接続不良箇所を特定し得るので、接続不良が確認された後の対処をより素早く且つ円滑に行わせることができる。なお、本実施形態においては、気泡検出センサ(16a、16b)が動脈側血液回路2の先端部及び静脈側血液回路3の先端部にそれぞれ配設されているが、他の部位に3つ以上の気泡検出センサを配設し、気泡が検出された気泡検出センサに応じて接続不良箇所を特定し得るものとしてもよい。
【0067】
次に、本発明の第3の実施形態に係る血液浄化装置について説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、第1の実施形態と同様、血液透析装置に適用されるものであり、
図1に示すように、血液浄化手段としてのダイアライザ1に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bと、プライミング液供給ラインLaと、気泡検出手段としての気泡検出センサ16と、制御手段17とから主に構成されている。すなわち、装置構成については、第1の実施形態と同一となっている。
【0068】
以下、本実施形態に係る制御手段17の制御内容について
図11のフローチャート及び
図12、13に基づいて説明する。
まず、透析治療前(プライミング前)において、
図1に示すように、コネクタaとコネクタbとを接続することにより、動脈側血液回路2の先端と静脈側血液回路3の先端とを連結させ、これら動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む)にて血液回路側の閉回路を形成させる。
【0069】
その後、加圧による血液回路の接続確認(S1)及び血液回路のプライミング(S2)が行われた後、S3に進んで血液回路内に陰圧を付与する動作を行わせる。なお、血液回路の接続確認(S1)及び血液回路のプライミング(S2)については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。S3は、
図12に示すように、血液回路の所定位置(本実施形態においてはクランプ手段Vaの位置)を閉塞させつつ血液ポンプ4を逆回転駆動させることにより血液回路内に陰圧を付与し得るよう構成されている。
【0070】
具体的には、同図に示すように、血液回路側のクランプ手段(Va、Vc、Vd)を閉状態及びクランプ手段Vbを開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V1、V2、V4、V7)を閉状態及び電磁弁(V3、V5、V6)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を逆回転駆動させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、血液回路において陰圧を形成するのである。しかして、血液回路が陰圧とされることから、血液回路中の何れかの箇所で接続不良があった場合、接続不良部位から空気を吸い込んで気泡が生じることとなる。
【0071】
その後、S4に進んで血液回路内にてプライミング液を循環動作させる。S4は、
図13に示すように、血液回路側のクランプ手段(Vc、Vd)を閉状態及びクランプ手段(Va、Vb)を開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V1、V2、V4、V7)を閉状態及び電磁弁(V3、V5、V6)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を正回転駆動させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、血液回路内でプライミング液を循環させる。
【0072】
S4の後、S5に進んで、気泡検出センサ16にて気泡が検出されたか否かを判定する血液回路の接続確認工程が行われる。すなわち、血液回路中の何れかの箇所で接続不良があった場合、S3にて接続不良部位から空気を吸い込んで気泡が生じるので、接続確認工程S5を経て気泡検出センサ16にて気泡を監視することにより、接続不良の有無を確認することができるのである。
【0073】
そして、S5にて気泡が検出されたと判定された場合、S6に進んで接続不良を周囲に把握させるための警報を発生させる。かかる警報は、透析装置本体Bの液晶モニタ等に警告表示する、透析装置本体Bに取り付けられたスピーカより警告音を発生させる、透析装置本体Bから上方に延設された警告灯を点灯又は点滅させるなど、何れの形態であってもよい。
【0074】
S5にて気泡が検出されないと判定された後或いはS6にて警報が発生された後、循環洗浄S7及び回路内洗浄S8が引き続き行われる。これら循環洗浄S7(
図6参照)及び回路内洗浄S8(
図7参照)は、それぞれ第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。以上で、プライミングを含む一連の制御が終了することとなる。
【0075】
本実施形態によれば、血液回路内にプライミング液が充填されたことを条件として、当該血液回路内に陰圧を付与させるとともに、気泡検出センサ16(気泡検出手段)にて気泡が検出されたか否かを判定して血液回路の接続確認工程を行うので、血液回路の接続の良否を確認するための接続確認工程をより短時間且つ高精度で行わせることができる。また、気泡検出センサ16は、血液浄化治療時において血液回路内で血液を体外循環させるとき、或いは血液浄化治療後に血液回路から血液を患者に戻して返血するとき、気泡を検出して体外循環や返血を停止又は終了させ得るものとされているので、患者に気泡が混入してしまうのを防止する機能と、接続確認のための機能とを兼用させることができる。
【0076】
特に、本実施形態によれば、クランプ手段Vaを閉状態として血液回路の所定位置(クランプ手段Vaの配設位置)を閉塞させつつ動脈側血液回路2に配設された血液ポンプ4を駆動(逆回転駆動)させることにより血液回路内に陰圧を付与し得るので、血液回路のプライミング時又はプライミング後において、接続確認工程を容易に行わせることができる。
【0077】
次に、本発明の第4の実施形態に係る血液浄化装置について説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、第1の実施形態と同様、血液透析装置に適用されるものであり、
図15〜20に示すように、血液浄化手段としてのダイアライザ1に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bと、プライミング液供給ラインLaと、気泡検出手段としての気泡検出センサ16と、制御手段17と、液面調整手段(18、19)とから主に構成されている。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0078】
液面調整手段(18、19)は、動脈側エアトラップチャンバ5の上部(空気層)から延設されて先端が大気開放された延設チューブ(18a、19a)と、これら延設チューブ(18a、19b)に配設された液面調整ポンプ(18b、19b)とを有してそれぞれ構成されている。液面調整ポンプ(18b、19b)は、正回転駆動及び逆回転駆動可能なしごき型ポンプから成るもので、延設チューブ(18a、19a)をその長手方向に向かってしごくことで、動脈側エアトラップチャンバ5の上部又は静脈側エアトラップチャンバ6の上部に対する空気の導入又は排出を任意に行い得るよう構成されている。
【0079】
しかして、液面調整ポンプ(18b、19b)を正回転駆動させると、延設チューブ(18a、19b)の先端から空気が吸引されるので、動脈側エアトラップチャンバ5及び静脈側エアトラップチャンバ6に空気が導入されて液面を下降させることができるとともに、液面調整ポンプ(18b、19b)を逆回転駆動させると、延設チューブ(18a、19a)の先端から空気が排出されるので、動脈側エアトラップチャンバ5及び静脈側エアトラップチャンバ6から空気が排出されて液面を上昇させることができる。
【0080】
以下、本実施形態に係る制御手段17の制御内容について
図14のフローチャート及び
図15〜20に基づいて説明する。
まず、透析治療前(プライミング前)において、
図15に示すように、動脈側血液回路2の先端と静脈側血液回路3の先端とを開放させた状態としておき、血液回路内を加圧することによって血液回路の接続確認(S1)を行わせる。かかるS1においては、同図に示すように、血液回路側のクランプ手段(Vb、Vc)を閉状態及びクランプ手段Vaを開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V1〜V7)を閉状態とする。
【0081】
そして、液面調整ポンプ(18b、19b)をそれぞれ正回転駆動させ、延設チューブ(18a、19b)の先端から動脈側エアトラップチャンバ5及び静脈側エアトラップチャンバ6に空気を導入させることにより、血液回路内を加圧する。なお、血液ポンプ4及び複式ポンプ7は停止した状態とされている。液面調整ポンプ(18b、19b)が設定された流量又は時間だけ正回転駆動した後、液面調整ポンプ(18b、19b)をそれぞれ停止させるとともに、静脈圧センサ13により血液回路内の液圧を検出し、その検出値が所定の閾値を超えない場合、未接続箇所があると判定して報知する。また、静脈圧センサ13により検出された液圧が所定の閾値を超えた場合であっても、その検出値が所定時間(例えば2秒間)保持されない場合、未接続箇所があると判定して報知する。
【0082】
S1の加圧による血液回路の接続確認が行われた後、S2に進み、プライミング液供給ラインLaにプライミング液(透析液)を充填させる。かかるS2においては、
図16に示すように、血液回路側のクランプ手段(Va〜Vc)を開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V1〜V4、V7)を閉状態及び電磁弁(V5、V6)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を停止させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、プライミング液供給ラインLa及び動脈側血液回路2の先端までプライミング液(透析液)を充填させる。
【0083】
複式ポンプ7を所定時間だけ駆動した後、S3に進み、血液回路全体にプライミング液(透析液)を充填させてプライミングする。かかるS3においては、
図17に示すように、血液回路側のクランプ手段Vaを閉状態及びクランプ手段(Vb、Vc)を開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V1、V2、V4、V7)を閉状態及び電磁弁(V3、V5、V6)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を正回転駆動させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、血液回路全体にプライミング液(透析液)を充填させる。その後、液面調整ポンプ18、19を適宜駆動させて動脈側エアトラップチャンバ5及び静脈側エアトラップチャンバ6内の空気を排出することによりプライミング液を充填させて、当該動脈側エアトラップチャンバ5及び静脈側エアトラップチャンバ6内において液面を形成させる。
【0084】
血液ポンプ4の流量が所定量に達した後、S4に進み、ダイアライザ1の透析液流路に透析液を流動して充填させるガスパージを行う。かかるS4においては、
図18に示すように、血液回路側のクランプ手段(Va、Vb)を閉状態及びクランプ手段Vcを開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V3、V4、V7)を閉状態及び電磁弁(V1、V2、V5、V6)を開状態とする。そして、血液ポンプ4を正回転駆動させつつ複式ポンプ7を駆動させることにより、ダイアライザ1の透析液流路に透析液を流動して充填させる。
【0085】
複式ポンプ7を所定時間だけ駆動した後、S5に進み、血液回路に陰圧を付与する。かかるS5においては、
図19に示すように、血液回路側のクランプ手段(Va〜Vc)を閉状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V3、V4)を閉状態及び電磁弁(V1、V2、V5、V6、V7)を開状態とする。すなわち、S5において、ダイアライザ1内の透析液流路に透析液を流動させつつ大気開放ラインL7の電磁弁V7及びバイパスラインL6の電磁弁V5が開状態とされることから、透析液流路を介して血液回路内に陰圧が付与されるのである。
【0086】
その後、S6に進んで、血液回路内にてプライミング液を循環させる。かかるS6においては、
図20に示すように、血液回路側のクランプ手段Vaを閉状態及びクランプ手段(Vb、Vc)を開状態とするとともに、透析装置本体B側の電磁弁(V1、V2、V4、V7)を閉状態及び電磁弁(V3、V5、V6)を開状態とする。この状態にて、S7に進んで、気泡検出センサ16にて気泡が検出されたか否かを判定する血液回路の接続確認工程が行われる。すなわち、血液回路がS5にて陰圧とされていることから、血液回路中の何れかの箇所で接続不良があった場合、接続不良部位から空気を吸い込んで気泡が生じるので、接続確認工程S7を経て気泡検出センサ16にて気泡を監視することにより、接続不良の有無を確認することができるのである。
【0087】
そして、S7にて気泡が検出されたと判定された場合、S8に進んで接続不良を周囲に把握させるための警報を発生させる。かかる警報は、透析装置本体Bの液晶モニタ等に警告表示する、透析装置本体Bに取り付けられたスピーカより警告音を発生させる、透析装置本体Bから上方に延設された警告灯を点灯又は点滅させるなど、何れの形態であってもよい。しかして、S7にて気泡が検出されないと判定された後或いはS8にて警報が発生された後、プライミングを含む一連の制御が終了することとなる。
【0088】
本実施形態によれば、血液回路内にプライミング液が充填されたことを条件として、当該血液回路内に陰圧を付与させるとともに、気泡検出センサ16(気泡検出手段)にて気泡が検出されたか否かを判定して血液回路の接続確認工程を行うので、血液回路の接続の良否を確認するための接続確認工程をより短時間且つ高精度で行わせることができる。また、気泡検出センサ16は、血液浄化治療時において血液回路内で血液を体外循環させるとき、或いは血液浄化治療後に血液回路から血液を患者に戻して返血するとき、気泡を検出して体外循環や返血を停止又は終了させ得るものとされているので、患者に気泡が混入してしまうのを防止する機能と、接続確認のための機能とを兼用させることができる。
【0089】
また、ダイアライザ1(血液浄化手段)に形成された透析液流路内に透析液を流動させつつ陰圧とすることにより血液回路内に陰圧を付与し得るので、透析液流路内に透析液を充填させるガスパージ工程の際に陰圧が生じる現象を利用して接続確認工程を行わせることができる。すなわち、ガスパージ工程においては、ダイアライザ1における透析液流路内から排出された気泡を複式ポンプ7が吸い込んでしまうのを防止するために、脱ガスチャンバ15にて気泡を捕捉するとともに電磁弁V7を開状態して大気開放ラインL7から気泡を外部に排出させるよう構成されており、その際に透析液流路を介して血液回路内に陰圧が付与される現象が生じてしまう。本実施形態によれば、この現象を利用して、接続確認工程時における血液回路に対する陰圧の付与を行うことができるのである。
【0090】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば加圧による血液回路の接続確認を行わず、血液回路に陰圧を付与して気泡検出センサ16にて気泡を検出させるものとしてもよい。また、接続確認工程において、血液回路に対して陰圧を付与する手段は、上記実施形態に限らず、種々のものを用いることができる。プライミング液は、上記実施形態の如く透析液を使用するものに限らず、例えば生食バッグに収容された生理食塩液や他の液体であってもよい。
【0091】
さらに、接続確認工程で気泡を検出し得る気泡検出センサ16(気泡検出手段)は、血液回路の何れの部位に配設されていてもよく、例えば動脈側血液回路2におけるダイアライザ1との接続部位近傍(ダイアライザ1への入口部)又は静脈側血液回路3におけるダイアライザ1との接続部位近傍(ダイアライザからの出口部)に配設し、ダイアライザ1の接続確認を確実に行わせるものとしてもよい。