特許第6762793号(P6762793)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762793
(24)【登録日】2020年9月11日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】電子機器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20200917BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20200917BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   G09F9/30 330
   G02F1/1345
   G02F1/1333
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-149610(P2016-149610)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-17983(P2018-17983A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 義弘
(72)【発明者】
【氏名】今関 佳克
(72)【発明者】
【氏名】上條 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大澤 修一
【審査官】 新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−102315(JP,A)
【文献】 特開2012−181445(JP,A)
【文献】 特開平10−268340(JP,A)
【文献】 特開2010−232249(JP,A)
【文献】 特開2014−139963(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/103039(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0057691(US,A1)
【文献】 特表2007−532319(JP,A)
【文献】 特開2011−222700(JP,A)
【文献】 特開2011−134982(JP,A)
【文献】 特開2001−257260(JP,A)
【文献】 特開2009−008971(JP,A)
【文献】 特開2013−080904(JP,A)
【文献】 特開2003−246638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G02F 1/1333
G02F 1/1345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び該第1主面とは反対側の第2主面を有した第1ガラス基板と、前記第1主面に位置する第1導電層と、を備えた第1基板と、
前記第1導電層と対向し且つ前記第1導電層から離間した第3主面及び該第3主面とは反対側の第4主面を有した第2ガラス基板と、前記第4主面に位置する第2導電層と、を備えた第2基板と、
前記第1導電層及び前記第2導電層を電気的に接続する接続部材と、を具備し、
前記第2ガラス基板は、該第2ガラス基板を貫通する第1貫通孔を有し、
前記第1ガラス基板は、前記第1ガラス基板を貫通して前記第1貫通孔に連通する第2貫通孔を有し、
前記第1貫通孔は、前記第4主面に形成された第1開口と、前記第3主面に形成された第2開口と、を有し、
前記第2貫通孔は、前記第1開口よりも小さく形成され且つ前記第2開口に対向する第3開口と、前記第2主面に形成された第4開口と、を有し、
前記接続部材は、前記第1貫通孔を通じて前記第1導電層及び前記第2導電層に接触している、電子機器。
【請求項2】
前記第4開口の径が、前記第3開口の径よりも大きい、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2開口の径が、前記第1開口の径よりも小さく、
前記第4開口の径が、前記第3開口の径よりも小さく、
前記第2貫通孔の中心軸が該第2貫通孔の内面となす勾配は、前記第1貫通孔の中心軸が該第1貫通孔の内面となす勾配よりも小さい、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1ガラス基板は、前記第2貫通孔と連通する凹部を有し、
前記第3開口は、前記凹部の底に開口する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1導電層は、前記第1貫通孔及び前記凹部と対向する第3貫通孔を有し、
前記第2貫通孔は、前記第3貫通孔及び前記凹部を通じて前記第1貫通孔に連通する、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第3開口の径は、前記第1開口の径の1/5以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第3開口の径は、5μm以上、30μm以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第2貫通孔の中心軸が前記第1主面に垂直な方向に対して傾斜している、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第2貫通孔が屈曲部を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記接続部材は、前記第2貫通孔の一部に充填されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合せるシールをさらに具備し、
前記シールは、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とを連通させる第4貫通孔を有する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項12】
第1ガラス基板及び第1導電層を備えた第1基板と、第2ガラス基板及び第2導電層を備え、前記第2ガラス基板が前記第1導電層と対向し且つ前記第1導電層から離間した第2基板と、を用意し、
前記第2ガラス基板に該第2ガラス基板を貫通する第1貫通孔を形成し、
前記第1ガラス基板に該第1ガラス基板を貫通する第2貫通孔を形成し、
前記第1貫通孔に導電性材料を充填することにより、前記第1貫通孔に前記第1導電層及び前記第2導電層を電気的に接続する接続部材を形成する、電子機器の製造方法。
【請求項13】
前記第2基板に第1レーザー光を照射することにより、前記第1貫通孔と、前記第1貫通孔と対向する位置で前記第1導電層を貫通する第3貫通孔と、を形成する、請求項12に記載の電子機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器において、配線実装のさらなる高密度化及び低コスト化が要望されている。例えば、電子機器の一例である表示装置では、表示装置を狭額縁化するための技術が種々検討されている。一例では、樹脂製の第1基板の内面と外面とを貫通する孔の内部に孔内接続部を有する配線部と、樹脂製の第2基板の内面に設けられた配線部とが基板間接続部によって電気的に接続される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−40465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、狭額縁化及び低コスト化が可能な電子機器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、電子機器は、第1基板と、第2基板と、接続部材と、を具備している。第1基板は、第1ガラス基板と、第1導電層と、を備えている。第1基板は、第1導電層がある第1主面と、第2主面と、を有している。第2基板は、第2ガラス基板と、第2導電層と、を備えている。第2ガラス基板は、第1導電層と対向する第3主面と、第4主面と、を有し、第1導電層から離間している。第2基板は、第2ガラス基板を貫通する第1貫通孔を有している。第1基板は、第1ガラス基板を貫通して第1貫通孔に連通する第2貫通孔を有している。第2貫通孔の第3開口は、第1貫通孔の第1開口よりも小さい。接続部材は、第1貫通孔に充填され、第1貫通孔を通じて第1導電層と第2導電層とを電気的に接続している。
【0006】
一実施形態によれば、電子機器の製造方法は、第1ガラス基板及び第1導電層を備えた第1基板と、第2ガラス基板及び第2導電層を備えた第2基板とを用意する。第2ガラス基板は、第1導電層と対向し且つ第1導電層から離間している。第2ガラス基板に第2ガラス基板を貫通する第1貫通孔を形成する。第1ガラス基板に第1ガラス基板を貫通する第2貫通孔を形成する。第1貫通孔に導電性材料を充填し、第1貫通孔に第1導電層及び第2導電層を電気的に接続する接続部材を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。
図2図2は、図1に示された表示パネルPNLの基本構成及び等価回路を模式的に示す平面図である。
図3図3は、図1に示された表示パネルPNLの表示領域DAの構造を示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るセンサSSの一構成例を示す平面図である。
図5図5は、図1中のF5−F5線に沿う断面図である。
図6図6は、図5に示された第4貫通孔VDを拡大して示す断面図である。
図7図7は、第1実施形態の第2貫通孔VBの構成例を示す断面図である。
図8図8は、第1実施形態の第2貫通孔VBの他の構成例を示す断面図である。
図9図9は、第1実施形態の第2貫通孔VBの他の構成例を示す断面図である。
図10図10は、第1実施形態の第2貫通孔VBの他の構成例を示す断面図である。
図11図11は、第1実施形態の第2貫通孔VBの他の構成例を示す断面図である。
図12図12は、第1実施形態の第1開口OP1及び第3開口OP3の構成を示す平面図である。
図13図13は、第1実施形態の第1開口OP1及び第3開口OP3の他の構成を示す平面図である。
図14図14は、第1実施形態の表示装置DSPの製造方法を説明する断面図である。
図15図15は、図14に続いて、表示装置DSPの製造方法を説明する断面図である。
図16図16は、図15に続いて、表示装置DSPの製造方法を説明する断面図である。
図17図17は、図16に続いて、表示装置DSPの製造方法を説明する断面図である。
図18図18は、図17に続いて、表示装置DSPの製造方法を説明する断面図である。
図19図19は、図18に続いて、表示装置DSPの製造方法を説明する断面図である。
図20図20は、図19に続いて、表示装置DSPの製造方法を説明する断面図である。
図21図21は、図20に続いて、表示装置DSPの製造方法を説明する断面図である。
図22図22は、図21に続いて、表示装置DSPの製造方法を説明する断面図である。
図23図23は、図22に続いて、表示装置DSPの製造方法を説明する断面図である。
図24図24は、第2実施形態の表示装置DSPの構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者が発明の主旨を保って適宜変更について容易に想到し得るものは、当然に本発明の範囲に含まれる。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素について符号を省略することがある。また、本明細書及び各図において、既に説明した図と同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0009】
各実施形態において、電子機器の一例として表示装置を開示する。この表示装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、ノートブック型のパーソナルコンピュータ、ゲーム機器等の種々の装置に用いることができる。各実施形態で開示する主要な構成は、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の自発光型の表示装置、電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を応用した表示装置、或いはエレクトロクロミズムを応用した表示装置等に適用可能である。
【0010】
なお、電子機器は、表示装置に限られず、例えば表示装置に重ねて貼着される外付け型のタッチパネル基板であってもよい。本発明には、第1ガラス基板と第2ガラス基板とが間隔をあけて配置され、第2ガラス基板が第1貫通孔を有し、第1ガラス基板に位置する第1導電層と第2ガラス基板に位置する第2導電層とが当該第1貫通孔を通じて電気的に接続されている基板間導通構造を備えた種々の電子機器が含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の表示装置DSPの一例を示す平面図である。第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。ここでは、表示装置DSPの一例として、センサSSを搭載した液晶表示装置について説明する。
【0012】
表示装置DSPは、表示パネルPNL、ICチップI1、配線基板SUB3等を備えている。表示パネルPNLは、液晶パネルであり、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、シールSEと、液晶層LCと、を備えている。第2基板SUB2は、第3方向Zにおいて第1基板SUB1に対向している。シールSEは、図1において右上がりの斜線で示す部分に相当し、第1基板SUB1と第2基板SUB2とを接着している。液晶層LCは、シールSEの内側において第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に配置されている。
【0013】
以下の説明において、第1基板SUB1から第2基板SUB2に向かう方向を上方と称し、第2基板SUB2から第1基板SUB1に向かう方向を下方と称する。また、第2基板SUB2から第1基板SUB1に向かって見ることを平面視と称する。
【0014】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む額縁状の非表示領域NDAと、を備えている。表示領域DAは、第1領域の一例であり、シールSEに囲まれた内側に位置している。非表示領域NDAは、第2領域の一例であり、表示領域DAと隣接している。シールSEは、非表示領域NDAに位置している。
【0015】
配線基板SUB3は、第1基板SUB1に実装されている。配線基板SUB3は、例えば可撓性を有するフレキシブル基板である。なお、本実施形態で適用可能なフレキシブル基板とは、その少なくとも一部分に、屈曲可能な材料によって形成されたフレキシブル部を備えていればよい。つまり、配線基板SUB3は、その全体がフレキシブル部として構成されたフレキシブル基板であってもよいし、ガラスエポキシ等の硬質材料によって形成されたリジッド部及びポリイミド等の屈曲可能な材料によって形成されたフレキシブル部を備えたリジッドフレキシブル基板であってもよい。
【0016】
ICチップI1は、配線基板SUB3に実装されている。なお、図1に示す例に限らず、ICチップI1は、第2基板SUB2よりも外側に延出した第1基板SUB1に実装されていてもよいし、配線基板SUB3に接続される外部回路基板に実装されていてもよい。ICチップI1は、例えば、画像を表示するのに必要な信号を出力するディスプレイドライバDDを内蔵している。ディスプレイドライバDDは、例えば、後述する信号線駆動回路SD、走査線駆動回路GD、共通電極駆動回路CDの少なくとも一部を含んでいる。また、図1に示す例では、ICチップI1は、タッチパネルコントローラ等として機能する検出回路RCを内蔵している。なお、検出回路RCは、ICチップI1とは異なる他のICチップに内蔵されていてもよい。
【0017】
表示パネルPNLは、例えば、第1基板SUB1の下方からの光を選択的に透過させることで画像を表示する透過表示機能を備えた透過型であってもよいし、第2基板SUB2の上方からの光を選択的に反射させることで画像を表示する反射表示機能を備えた反射型であってもよい。或いは、透過表示機能及び反射表示機能を備えた半透過型であってもよい。
【0018】
センサSSは、表示装置DSPへの被検出物の接触或いは接近を検出するためのセンシングを行うものである。センサSSは、複数の検出電極Rx(Rx1,Rx2,Rx3,Rx4…)を備えている。検出電極Rxは、第2基板SUB2に設けられている。各検出電極Rxは、それぞれ第1方向Xに延出し、第2方向Yに間隔をあけて並んでいる。検出電極Rxは、検出部RSと、接続部CNと、を備えている。また、各検出電極Rxは、端子部RT(RT1,RT2,RT3,RT4…)を備えている。
【0019】
検出部RSは、表示領域DAに位置し、第1方向Xに延出している。検出電極Rxにおいて、主として検出部RSがセンシングに利用される。一例として、検出部RSは、微細な金属細線の集合体によって帯状に形成できる。また、図1に示す例では、1つの検出電極Rxが2本の検出部RSを備えているが、3本以上の検出部RSを備えていてもよいし、1本の検出部RSを備えていてもよい。
【0020】
端子部RTは、非表示領域NDAの第1方向Xに沿う一端側に位置し、検出部RSと繋がっている。接続部CNは、非表示領域NDAの第1方向Xに沿う他端側に位置し、複数の検出部RSを互いに接続している。図1において、一端側は表示領域DAよりも左側に相当し、他端側は表示領域DAよりも右側に相当する。端子部RTの一部は、平面視でシールSEと重なる位置に形成されている。
【0021】
第1基板SUB1は、パッドP(P1,P2,P3,P4…)及び配線W(W1,W2,W3,W4…)を備えている。パッドP及び配線Wは、非表示領域NDAの一端側や他端側に位置し、平面視でシールSEと重なっている。パッドPは、平面視で端子部RTと重なる位置に形成されている。配線Wは、パッドPに接続され、第2方向Yに沿って延出し、配線基板SUB3を介してICチップI1の検出回路RCと電気的に接続されている。
【0022】
接続用孔V(V1,V2,V3,V4…)は、端子部RTとパッドPとが対向する位置に形成されている。また、接続用孔Vは、端子部RTを含む第2基板SUB2及びシールSEを貫通するとともに、パッドPを貫通する場合もあり得る。図1に示す例では、接続用孔Vは、平面視で円形であるが、これに限らず楕円形等の他の形状であってもよい。
【0023】
接続用孔Vには、後述する接続部材Cが設けられており、この接続部材Cを介して検出電極Rxの端子部RTとパッドPとが電気的に接続される。検出電極Rxは、第1基板SUB1から離間した第2基板SUB2に設けられている第2導電層L2の一例であり、パッドP及び配線Wは、第1基板SUB1に設けられている第1導電層L1の一例である。
【0024】
パッドPと接続された検出電極Rxは、第1基板SUB1に接続された配線基板SUB3を介して検出回路RCと電気的に接続される。検出回路RCは、検出電極Rxから出力されたセンサ信号を読み取り、被検出物の接触或いは接近の有無や、被検出物の位置座標等を検出する。
【0025】
図1に示す例では、奇数番目の検出電極Rx(Rx1,Rx3…)の各々の端子部RT(RT1,RT3…)、パッドP(P1,P3…)、配線W(W1,W3…)、接続用孔V(V1,V3…)は、いずれも非表示領域NDAの一端側に位置している。一方、偶数番目の検出電極Rx(Rx2,Rx4…)の各々の端子部RT(RT2,RT4…)、パッドP(P2,P4…)、配線W(W2,W4…)、接続用孔V(V2,V4…)は、いずれも非表示領域NDAの前記一端側とは反対側の他端側に位置している。このようなレイアウトによれば、非表示領域NDAにおける一端側の幅と他端側の幅とを均一化でき、狭額縁化に好適である。
【0026】
図1に示すように、パッドP3がパッドP1よりも配線基板SUB3に近接するレイアウトでは、配線W1は、パッドP3の内側すなわち表示領域DAに近接する側を迂回し、パッドP3と配線基板SUB3との間で配線W3の内側に並んで配置されている。同様に、配線W2は、パッドP4の内側を迂回し、パッドP4と配線基板SUB3との間で配線W4の内側に並んで配置されている。
【0027】
図2は、図1に示す表示パネルPNLの基本構成及び等価回路を模式的に示す平面図である。
表示パネルPNLは、表示領域DAにおいて複数の画素PXを備えている。ここで、画素とは、画素信号に応じて個別に制御できる最小単位を示し、例えば、後述する走査線と信号線とが交差する位置に配置されたスイッチング素子を含む領域に存在する。複数の画素PXは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配置されている。また、表示パネルPNLは、表示領域DAにおいて、複数の走査線G(G1〜Gn)、複数の信号線S(S1〜Sm)、共通電極CE等を備えている。
【0028】
走査線Gは、それぞれ第1方向Xに延出し、第2方向Yに並んでいる。信号線Sは、それぞれ第2方向Yに延出し、第1方向Xに並んでいる。なお、走査線G及び信号線Sは、必ずしも直線的に延出していなくてもよく、それらの一部が屈曲していてもよい。共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置されている。
【0029】
走査線G、信号線S及び共通電極CEは、それぞれ非表示領域NDAに引き出されている。非表示領域NDAにおいて、走査線Gは走査線駆動回路GDに接続され、信号線Sは信号線駆動回路SDに接続され、共通電極CEは共通電極駆動回路CDに接続されている。信号線駆動回路SD、走査線駆動回路GD及び共通電極駆動回路CDは、第1基板SUB1上に形成されてもよいし、これらの一部或いは全部が図1に示すICチップI1に内蔵されていてもよい。
【0030】
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。より具体的には、スイッチング素子SWは、ゲート電極WGと、ソース電極WSと、ドレイン電極WDと、を備えている。ゲート電極WGは、走査線Gと電気的に接続されている。図2に示す例では、信号線Sと電気的に接続された電極がソース電極WSであり、画素電極PEと電気的に接続された電極がドレイン電極WDである。
【0031】
走査線Gは、第1方向Xに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと接続されている。画素電極PEの各々は、共通電極CEと対向し、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって液晶層LCを駆動している。保持容量CSは、例えば、共通電極CEと画素電極PEとの間に形成される。
【0032】
図3は、表示領域DAにおいて表示装置DSPを第1方向Xに沿って切断した断面図である。図3に示す例では、表示パネルPNLは、主としてX−Y平面にほぼ平行な横電界を利用する表示モードに対応した構成を有している。なお、表示パネルPNLは、X−Y平面に対して垂直な縦電界や、X−Y平面に対して斜め方向の電界、或いは、それらを組み合わせて利用する表示モードに対応した構成を有していてもよい。
【0033】
横電界を利用する表示モードでは、例えば、第1基板SUB1及び第2基板SUB2のいずれか一方に画素電極PE及び共通電極CEの双方が備えられた構成が適用可能である。縦電界や斜め電界を利用する表示モードでは、例えば、第1基板SUB1に画素電極PE及び共通電極CEのいずれか一方が備えられ、第2基板SUB2に画素電極PE及び共通電極CEのいずれか他方が備えられた構成が適用可能である。
【0034】
第1基板SUB1は、第1ガラス基板10、信号線S、共通電極CE、金属層M、画素電極PE、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第1配向膜AL1等を備えている。第1ガラス基板10は、第2基板SUB2に対向する第1主面10Aと、第1主面10Aとは反対側の第2主面10Bと、を有している。なお、図3において、スイッチング素子や走査線、これらの間に介在する各種絶縁膜等を省略して図示している。
【0035】
第1絶縁膜11は、第1ガラス基板10の第1主面10Aに位置している。図示しない走査線やスイッチング素子の半導体層は、第1ガラス基板10と第1絶縁膜11の間に位置している。信号線Sは、第1絶縁膜11の上に位置している。第2絶縁膜12は、信号線S及び第1絶縁膜11の上に位置している。共通電極CEは、第2絶縁膜12の上に位置している。
【0036】
金属層Mは、信号線Sの直上において共通電極CEに接触している。図3に示す例では、金属層Mは、共通電極CEの上に位置しているが、共通電極CEと第2絶縁膜12との間に位置していてもよい。第3絶縁膜13は、共通電極CE及び金属層Mの上に位置している。画素電極PEは、第3絶縁膜13の上に位置している。画素電極PEは、第3絶縁膜13を介して共通電極CEと対向している。また、画素電極PEは、共通電極CEと対向する位置にスリットSLを有している。第1配向膜AL1は、画素電極PE及び第3絶縁膜13を覆っている。
【0037】
走査線G、信号線S及び金属層Mは、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム等の金属材料によって形成されている。なお、走査線G、信号線S及び金属層Mは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。共通電極CE及び画素電極PEは、ITOやIZO等の透明な導電材料によって形成されている。第1絶縁膜11及び第3絶縁膜13は無機絶縁膜であり、第2絶縁膜12は有機絶縁膜である。
【0038】
なお、第1基板SUB1の構成は、図3に示す例に限らず、画素電極PEが第2絶縁膜12と第3絶縁膜13との間に位置し、共通電極CEが第3絶縁膜13と第1配向膜AL1との間に位置していてもよい。このような場合、画素電極PEはスリットを有していない平板状に形成され、共通電極CEは画素電極PEと対向するスリットを有する。また、画素電極PE及び共通電極CEの双方が櫛歯状に形成され、互いに噛み合うように配置されていてもよい。
【0039】
第2基板SUB2は、第2ガラス基板20、遮光層BM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2等を備えている。第2ガラス基板20は、第1基板SUB1に対向する第3主面20Aと、第3主面20Aとは反対側の第4主面20Bと、を有している。
【0040】
遮光層BM及びカラーフィルタCFは、第2ガラス基板20の第3主面20Aに位置している。遮光層BMは、各画素を区画し、信号線Sの直上に位置している。カラーフィルタCFは、画素電極PEと対向し、その一部が遮光層BMに重なっている。カラーフィルタCFは、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ等を含む。オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。第2配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。
【0041】
なお、カラーフィルタCFは、第1基板SUB1に配置されてもよい。カラーフィルタCFは、4色以上のカラーフィルタを含んでいてもよい。白色を表示する画素には、白色のカラーフィルタが配置されてもよいし、無着色の樹脂材料が配置されてもよいし、カラーフィルタを配置せずにオーバーコート層OCを配置してもよい。
【0042】
第1偏光板PL1は、第1ガラス基板10と照明装置BLとの間に位置している。第2偏光板PL2は、第2ガラス基板20の第4主面20Bに設けられた検出電極Rxの上に位置している。なお、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2には、必要に応じて位相差板等を付設してもよい。
【0043】
図4を参照し、本実施形態の表示装置DSPに搭載されるセンサSSの一構成例について説明する。図4に示すセンサSSは、例えば相互容量方式の静電容量型であり、誘電体を介して対向する一対の電極間の静電容量の変化に基づいて、被検出物の接触或いは接近を検出できる。センサSSは、例えばインセル型のタッチパネルである。
【0044】
センサSSは、センサ駆動電極Tx及び検出電極Rxを備えている。図4に示す例では、センサ駆動電極Txは、右下がりの斜線で示す部分に相当し、第1基板SUB1に設けられている。また、検出電極Rxは、右上がりの斜線で示す部分に相当し、第2基板SUB2に設けられている。センサ駆動電極Tx及び検出電極Rxは、X−Y平面において、互いに交差している。検出電極Rxは、第3方向Zにおいて、センサ駆動電極Txと対向している。
【0045】
センサ駆動電極Tx及び検出電極Rxは、表示領域DAに位置し、センサ駆動電極Tx及び検出電極Rxの一部が非表示領域NDAに延在している。図4に示す例では、センサ駆動電極Txは、それぞれ第2方向Yに延出した帯状の形状を有し、第1方向Xに間隔をあけて並んでいる。検出電極Rxは、それぞれ第1方向Xに延出し、第2方向Yに間隔をあけて並んでいる。検出電極Rxは、基板間導通構造によってパッドPと電気的に接続され、配線Wを介して検出回路RCに繋がっている。
【0046】
センサ駆動電極Txの各々は、配線WRを介して共通電極駆動回路CDと電気的に接続されている。なお、センサ駆動電極Tx及び検出電極Rxの個数やサイズ、形状は特に限定されるものではなく種々変更可能である。センサ駆動電極Txは、前述の共通電極CEを含み、画素電極PEとの間で電界を発生させる機能を有するとともに、検出電極Rxとの間で容量を発生させることで被検出物の位置を検出するための機能を有している。
【0047】
共通電極駆動回路CDは、表示領域DAに画像を表示する表示駆動時に、共通電極CEを含むセンサ駆動電極Txに対してコモン駆動信号を供給する。また、共通電極駆動回路CDは、センシングを行うセンシング駆動時に、センサ駆動電極Txに対してセンサ駆動信号を供給する。検出電極Rxは、センサ駆動電極Txへのセンサ駆動信号の供給にともなって、センシングに必要なセンサ信号、つまり、センサ駆動電極Txと検出電極Rxとの間の電極間容量の変化に基づいた信号を出力する。検出電極Rxから出力された検出信号は、図1に示す検出回路RCに入力される。
【0048】
なお、センサSSは、一対の電極間の静電容量、すなわちセンサ駆動電極Txと検出電極Rxとの間の静電容量の変化に基づいて被検出物を検出する相互容量方式に限らず、検出電極Rx自体の容量の変化に基づいて被検出物を検出する自己容量方式であってもよい。
【0049】
次に、前述の接続用孔Vについて説明する。図5は、図1中のF5−F5線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図5に示す例では、表示装置DSPは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、有機絶縁膜OIと、接続部材Cと、配線基板SUB3と、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2と、を備えている。第1偏光板PL1は、接着層AD1によって第1基板SUB1に貼着されている。第2偏光板PL2は、接着層AD2によって第2基板SUB2に貼着されている。
【0050】
第1基板SUB1は、前述の第1ガラス基板10と、第1導電層L1と、を備えている。第1導電層L1は、前述のパッドPや配線Wを含み、第2基板SUB2に対向する第1主面10A側に位置している。第1ガラス基板10とパッドPとの間や、第1ガラス基板10と第2絶縁膜12との間には、図3に示す第1絶縁膜11や、他の絶縁膜や他の導電層が配置されていてもよい。
【0051】
第2基板SUB2は、前述の第2ガラス基板20と、検出電極Rx(第2導電層L2)と、を備えている。第2ガラス基板20の第3主面20Aは、第1導電層L1と対向し、且つ、第1導電層L1から第3方向Zに離間している。第2導電層L2は、第4主面20B側に位置している。換言すると、第1ガラス基板10、第1導電層L1、第2ガラス基板20及び第2導電層L2は、この順に第3方向Zに並んでいる。
【0052】
第1及び第2ガラス基板10,20は、例えば無アルカリガラスによって形成されている。第1及び第2導電層L1,L2は、例えば、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、銀、銅、クロム等の金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金や、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明な導電材料等によって形成されている。第1及び第2導電層L1,L2は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0053】
第1導電層L1と第2ガラス基板20との間には、有機絶縁膜OIが位置している。有機絶縁膜OIに代えて、無機絶縁膜や他の導電層が位置していてもよいし、空気層が位置していてもよい。なお、第2ガラス基板20と第2導電層L2との間や、第2導電層L2の上に各種絶縁膜や各種導電層が配置されてもよい。
【0054】
例えば、有機絶縁膜OIは、第1基板SUB1及び第2基板SUB2を貼り合わせるシールSE、第1基板SUB1の第2絶縁膜12、第2基板SUB2の遮光層BM及びオーバーコート層OC等を含む。シールSEは、第2絶縁膜12とオーバーコート層OCとの間に位置している。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間隙に位置し、シールSEに囲まれている。
【0055】
なお、第2絶縁膜12とシールSEとの間には、図3に示す金属層M、第3絶縁膜13、第1配向膜AL1が介在していてもよい。オーバーコート層OCとシールSEとの間には、図3に示す第2配向膜AL2が介在していてもよい。
【0056】
図5に示す例では、表示装置DSPは、第2ガラス基板20を貫通する第1貫通孔VAと、第1ガラス基板10を貫通する第2貫通孔VBと、パッドPを貫通する第3貫通孔VCと、各種有機絶縁膜OIを貫通する第4貫通孔VDと、第1ガラス基板10に形成された凹部CCと、を有している。第1貫通孔VA、第3貫通孔VC、第4貫通孔VD、及び凹部CCは互いに連通しており、前述の接続用孔Vを構成する。第2貫通孔VBは、接続用孔Vを第1ガラス基板10の第2主面10Bに連通させる。
【0057】
第1貫通孔VAは、第2ガラス基板20の第3主面20Aと第4主面20Bとの間を貫通している。図5に示す例では、第1貫通孔VAは、第2導電層L2も貫通している。第1貫通孔VAは、第4主面20Bに第1開口OP1、第3主面20Aに第2開口OP2を形成する。第3貫通孔VCは、パッドPにおいて第1導電層L1を貫通し、第1貫通孔VAと第3方向Zで対向している。
【0058】
凹部CCは、第1ガラス基板10の第1主面10Aから第2主面10Bに向かって形成され、第2主面10Bまで貫通していない。凹部CCは、第3貫通孔VCと第3方向Zで対向している。一例では、凹部CCの第3方向Zに沿う深さは、第1ガラス基板10の第3方向Zの厚さの約1/5〜約1/2である。
【0059】
図6は、第4貫通孔VDを拡大した断面図である。図6に示す例では、第4貫通孔VDは、第2絶縁膜12を貫通する第1部分VD1と、シールSEを貫通する第2部分VD2と、遮光層BM及びオーバーコート層OCを貫通する第3部分VD3と、を含んでいる。
【0060】
図6に示す例では、第4貫通孔VDは、第1及び第3貫通孔VA,VCと比較して第1方向Xに拡張されている。なお、第4貫通孔VDは、第1方向XのみならずX−Y平面上の全方位に亘って第1及び第3貫通孔VA,VCよりも拡張されている。そのため、第1導電層L1は、第3貫通孔VCの近傍において、有機絶縁膜OIに覆われていない上面LT1を有している。
【0061】
第3及び第4貫通孔VC,VD並びに凹部CCは、いずれも第1貫通孔VAの直下に位置し、第1貫通孔VA、第4貫通孔VD、第3貫通孔VC、凹部CCの順に第3方向Zに並んでいる。このような接続用孔Vは、第2基板SUB2の上方からレーザー光を照射したり、エッチングしたりすることによって形成できる。第4貫通孔VDが設けられた各種有機絶縁膜OIは、第1貫通孔VAが設けられた第2ガラス基板20や第3貫通孔VCが設けられた第1導電層L1と比較して、例えば、融点が低い材料から形成されている。或いは、エッチングされやすい材料から形成されている。
【0062】
図5に示すように、接続用孔Vには、接続部材Cが配置されている。接続部材Cは、接続用孔Vを通じてパッドPと検出電極Rxとを電気的に接続している。図5に示す例では、接続部材Cは、第2基板SUB2において、第2導電層L2の上面LT2と、第1貫通孔VAの内面とにそれぞれ接触している。なお、第1貫通孔VAの内面には、第1貫通孔VAにおける第2導電層L2の内面LS2と、第1貫通孔VAにおける第2ガラス基板20の内面20Sと、が含まれる。例えば、接続部材Cは、銀等の金属材料を含み、金属材料の粒径が数ナノメートルから数十ナノメートルのオーダーの微粒子を含むものであることが望ましい。
【0063】
また、接続部材Cは、図6に示すように、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の間隙において、第4貫通孔VDの内面に接触している。なお、第4貫通孔VDの内面には、第4貫通孔VDにおける有機絶縁膜OIの内面OISが含まれる。第4貫通孔VDが第1及び第3貫通孔VA,VCよりも径方向に拡張されているため、接続部材Cは、第1基板SUB1及び第2基板SUB2との間隙において、第1貫通孔VAの内面20S及び第3貫通孔VCの内面LS1よりも径方向に膨出した拡径部CBを有している。
【0064】
また、接続部材Cは、第1基板SUB1において、第1導電層L1の上面LT1と、第3貫通孔VCの内面と、凹部CCとにそれぞれ接触している。第3貫通孔VCの内面には、第3貫通孔VCにおける第1導電層L1の内面LS1が含まれる。第1導電層L1の上面LT1には、前述の拡径部CBが接触している。
【0065】
図5及び図6に示す例では、接続部材Cは、第1貫通孔VAの内面(内面LS2、内面20S)、第4貫通孔VDの内面(内面OIS)、第3貫通孔VCの内面(内面LS1)、凹部CC及びそれらの近傍にそれぞれ設けられているが、第1、第3及び第4貫通孔VA,VC,VDの中心付近には接続部材Cが充填されていない。そのため、接続部材Cは、中空部分を有する。そのような形状の接続部材Cは、大気圧下、或いは大気圧よりも低い気圧の環境下で第1貫通孔VAから接続部材Cを注入し、接続部材Cに含まれる溶剤を除去することによって形成できる。
【0066】
第2導電層L2及び接続部材Cは、図5に示すように、保護膜PFによって覆われている。保護膜PFは、接続部材Cの中空部分も満たしている。保護膜PFは、例えば、アクリル系樹脂等の有機絶縁材料によって形成されている。なお、接続部材Cは、中空部分を形成しないように形成されてもよい。保護膜PFの上に接着層AD2が形成され、接着層AD2を介して第2偏光板PL2が貼り付けられている。
【0067】
接続部材Cは、第1導電層L1と第2導電層L2との間において途切れることなく連続的に形成されている。これにより、第2導電層L2は、接続部材C及び第1導電層L1を介して前述の配線基板SUB3と電気的に接続される。そのため、第2導電層L2に対して信号を書き込んだり、第2導電層L2から出力された信号を読み取ったりする制御回路は、配線基板SUB3を介して第2導電層L2と接続可能になる。したがって、第2導電層L2と制御回路とを接続するために、第2基板SUB2用の配線基板を別途に設ける必要がなくなる。
【0068】
続いて、第2貫通孔VBについて、詳しく説明する。
第2貫通孔VBは、接続用孔Vの底に開口した第3開口OP3から、第2主面10Bに開口した第4開口OP4まで、第1ガラス基板10を貫通している。図5に示す例では、第2貫通孔VBの上端である第3開口OP3は、凹部CCに形成されている。第2貫通孔VBの上端である第3開口OP3は、第1貫通孔VAの下端である第2開口OP2と対向している。
【0069】
接着層AD1は第2主面10Bに形成され、接着層AD1を介して第1偏光板PL1が貼り付けられている。第2貫通孔VBの下端である第4開口OP4は、第1偏光板PL1や接着層AD1によって閉塞されている。図5に示す例のように、シールSE2によって第4開口OP4を閉塞してもよい。
【0070】
図7は、第2貫通孔VBの一構成例を示す断面図である。図7に示す例では、第1貫通孔VAは、第2ガラス基板20の第4主面20Bから第3主面20Aに向かうに従い先細りに形成されている。すなわち、第1貫通孔VAの幅(内径)は、第4主面20Bから第3主面20Aに向かうに従い縮小する。同様に、第2貫通孔VBは、第1ガラス基板10の第1主面10Aから第2主面10Bに向かうに従い先細りに形成されている。すなわち、第2貫通孔VBの幅(内径)は、第1主面10Aから第2主面10Bに向かうに従い縮小する。
【0071】
第1貫通孔VAと第2貫通孔VBとを比較すると、第2貫通孔VBの中心軸と第2貫通孔VBの内面10Sとがなす勾配T2が、第1貫通孔VAの中心軸と第1貫通孔VAの内面20Sとがなす勾配T1よりも小さい。このような形状であれば、第1貫通孔VAから充填された接続部材Cが毛細管現象によって第2貫通孔VBに広がることを抑制し、第2貫通孔VBを通じて接続部材Cが漏洩することを防止できる。
【0072】
図7に示す例では、第1貫通孔VAの軸方向が第2ガラス基板20の第3主面20Aの法線方向と一致し、第2貫通孔VBの軸方向が第1ガラス基板10の第2主面10Bの法線方向と一致する。そのため、図7に示す例において、勾配T2は、第3主面20Aの法線に対する第1貫通孔VAの内面20Sの傾斜角であるともいえる。勾配T1は、第2主面10Bの法線方向に対する第2貫通孔VBの内面10Sの傾斜角であるともいえる。
【0073】
なお、図7に示すように、第2貫通孔VBの上端に、接続部材Cの一部が充填された凸部CAが形成してもよい。その場合、接続部材Cが第2貫通孔VBの途中で止まり第2主面10Bの第4開口OP4に達することがないように充填する。
【0074】
図8は、第2貫通孔VBの他の一構成例を示す断面図である。図8に示す第2貫通孔VBは、第1主面10Aから第2主面10Bに向かうに従い先太りに形成されている点が図7に示す例と異なる。すなわち、第2貫通孔VBの幅(内径)は、第1主面10Aから第2主面10Bに向かうに従い拡大する。このような形状であれば、毛細管現象により、接続部材Cが第2貫通孔VBを通過するときの抵抗が大きくなり、第2貫通孔VBを通じて接続部材Cが漏洩することを防止できる。なお、図7と同様に、接続部材Cは、接続用孔Vからはみ出して第2貫通孔VBに位置された凸部CAを有している。
【0075】
図9は、第2貫通孔VBの他の一構成例を示す断面図である。図9に一点鎖線で示す第2貫通孔VBの中心軸は、第1主面10Aに垂直な方向、すなわち第3方向Zに対して傾斜している。このような形状であれば、中心軸が第3方向Zと平行な場合に比べて、第2貫通孔VBが長くなる。したがって、接続部材Cが第2貫通孔VBの第4開口OP4に到達しにくくなり、第2貫通孔VBを通じて接続部材Cが漏洩することを防止できる。
【0076】
例えば、複数の接続用孔Vを隣接して配置する場合、第2貫通孔VBの傾斜を同一方向に揃えれば、各接続用孔Vに連通する第2貫通孔VBを互いに干渉しないように配置できる。或いは、平面視で見たとき第1開口OP1に含まれるように第4開口OP4を配置すれば、第2貫通孔VBの傾斜方向に左右されることなく、互いに干渉しないように各接続用孔Vに連通する第2貫通孔VBを配置できる。
【0077】
図10は、第2貫通孔VBの他の一構成例を示す断面図である。図10に示す第2貫通孔VBは、屈曲部VBCを有し、第2主面10Bに向かう途中で折れ曲がっている。このような形状の第2貫通孔VBは、例えば、表面に傷をつけることなく焦点を結んだ内部のみクラックを生じさせるレーザー光を照射することによって形成できる。或いは、第1ガラス基板10の側面からレーザー光を照射して第2方向Yに延びる有底穴を形成したのち、第3方向Zにレーザー光を照射することによって形成できる。図10に示す第2貫通孔VBの形状であっても、第2貫通孔VBが長くなるとともに第2貫通孔VBを通過する接続部材Cの抵抗が大きくなり、第2貫通孔VBを通じて接続部材Cが漏洩することを防止できる。
【0078】
図11は、第2貫通孔VBの他の一構成例を示す断面図である。図11に示す第2貫通孔VBは、途中で枝分かれして折れ曲がっている。すなわち、第2貫通孔VBは、2つの屈曲部VBCと、2つの第4開口OP4とを有している。図11に示す第2貫通孔VBの形状であっても、第2貫通孔VBが長くなるとともに第2貫通孔VBを通過する接続部材Cの抵抗が大きくなり、第2貫通孔VBを通じて接続部材Cが漏洩することを防止できる。
【0079】
なお、図10及び図11では、屈曲部VBCにおいて第2貫通孔VBが垂直に屈曲しているが、第2貫通孔VBは屈曲部VBCにおいて滑らかに屈曲してもよい。また、図5乃至図11において、1つの接続用孔Vに対して第2貫通孔VBが1つずつ設けられる例を示したが、1つの接続用孔Vに対して複数の第2貫通孔VBを設けてもよい。
【0080】
図12は、第2貫通孔VBの一構成例の平面図であり、図13は、第2貫通孔VBの他の一構成例の平面図である。図12に示すように、第3開口OP3は、第1貫通孔VAの第1開口OP1よりも小さく形成され、第3方向Zにおいて第1貫通孔VAと対向している。第2貫通孔VB上端の第3開口OP3の径D2は、第1貫通孔VA上端の第1開口OP1の径D1の例えば1/5以下である。第3開口OP3の径D2は、例えば5μm以上、30μm以下である。
【0081】
なお、ここで、第1及び第3開口OP1,OP3の径D1,D2は、第1及び第3開口OP1,OP3が正円形の場合、例えば直径であり、第1及び第3開口OP1,OP3が楕円形の場合、例えば長径である。図13に示す例のように、第1及び第3開口OP1,OP3が歪んだ円形の場合、径D1,D2は最大径であってもよい。或いは、平面視で見たとき、第3開口OP3の面積が第1開口OP1の面積の例えば1/25以下であってもよい。
【0082】
第1開口OP1及び第3開口OP3がこのような大小関係を有した構成によれば、第1貫通孔VAに第1開口OP1から注入される接続部材Cの液滴の直径が第2貫通孔VBの第3開口OP3よりも大きくなり、第3開口OP3から接続部材Cが流出することを防止できる。
【0083】
次に、表示装置DSPの製造方法の一例について図14乃至図23を参照しながら説明する。
まず、図14に示すように、表示パネルPNLを用意する。図24に示す表示パネルPNLは、少なくとも第1ガラス基板10及び第1導電層L1を備えた第1基板SUB1と、少なくとも第2ガラス基板20及び第2導電層L2を備えた第2基板SUB2と、を備えている。この表示パネルPNLは、第2ガラス基板20が第1導電層L1と対向し、且つ、第2ガラス基板20が第1導電層L1から離間した状態で、第1基板SUB1と第2基板SUB2とがシールSEによって接着されている。
【0084】
このような表示パネルPNLの製造方法の一例について説明すると、第1ガラス基板10の第1主面10A上に第1導電層L1や第2絶縁膜12等を形成した第1基板SUB1を用意する。第2ガラス基板20の第3主面20A上に遮光層BM、オーバーコート層OC等を形成した第2基板SUB2を用意する。
【0085】
このとき、第2基板SUB2の第4主面20Bには、第2導電層L2は形成されていない。第1基板SUB1及び第2基板SUB2のいずれか一方に、ループ状のシールSEを形成し、シールSEの内側に液晶材料を滴下する。その後、第1基板SUB1及び第2基板SUB2を貼り合せ、シールSEを硬化させて、第1基板SUB1及び第2基板SUB2を接着する。
【0086】
その後、フッ化水素酸(HF)等のエッチング液により第1ガラス基板10及び第2ガラス基板20をそれぞれエッチングし、第1ガラス基板10及び第2ガラス基板20を薄板化する。その後、第2ガラス基板20の第4主面20Bに第2導電層L2を形成する。これにより、図14に示す表示パネルPNLが製造される。
【0087】
また、表示パネルPNLの製造方法の他の例について説明する。すなわち、前述の例と同様に第1基板SUB1を用意する一方で、第2ガラス基板20の第3主面20A上に遮光層BM、オーバーコート層OC等を形成し、第2ガラス基板20の第4主面20B上に第2導電層L2を形成した第2基板SUB2を用意する。その後、シールSEを形成し、液晶材料を滴下した後に、第1基板SUB1及び第2基板SUB2を接着する。これにより、図14に示す表示パネルPNLが製造される。
【0088】
続いて、図15に示すように、第2基板SUB2に第1レーザー光LSR1を照射する。図15に示す例では、第1レーザー光LSR1は、第2導電層L2の上方から照射される。レーザー光源としては、例えば炭酸ガスレーザー装置などが適用可能であるが、ガラス材料及び有機系材料に穴あけ加工ができるものであればよく、エキシマレーザー装置なども適用可能である。
【0089】
このような第1レーザー光LSR1が照射されることにより、図16に示すように、第2ガラス基板20及び第2導電層L2を貫通する第1貫通孔VAが形成される。また、図16に示す例では、第1レーザー光LSR1が照射された際に、遮光層BM及びオーバーコート層OCを貫通する第4貫通孔VDの第3部分VD3、シールSEを貫通する第2部分VD2、第2絶縁膜12を貫通する第1部分VD1、第1導電層L1を貫通する第3貫通孔VC、第1ガラス基板10の凹部CCも同時に形成される。これにより、第1導電層L1と第2導電層L2とを接続するための接続用孔Vが形成される。
【0090】
さらに、図17に示すように、接続用孔Vを通じて第1ガラス基板10に第2レーザー光LSR2を照射する。第2レーザー光LSR2は、第1レーザー光LSR1よりも小径である。例えば、第1レーザー光LSR1の光軸と、第2レーザー光LSR2の光軸とを一致させる場合、レーザー光源を移動することなく続けてこれらレーザー光を照射できる。第2レーザー光LSR2により、図18に示すように、接続用孔Vの底に第1ガラス基板10を貫通する第2貫通孔VBが形成される。
【0091】
続いて、第1導電層L1及び第2導電層L2を電気的に接続する接続部材Cを形成する。まず、図19に示すように、第1貫通孔VAに接続部材Cを注入する。注入装置は、インクジェットであってもよいし、ディスペンサーであってもよい。それら装置で注入された接続部材Cの液滴の直径の一例は、第1開口OP1の径の約1/5である。
【0092】
注入された接続部材Cによって、接続部材Cと第1導電層L1との間に空気等のガスが残存した内部空間SPが形成される。しかしながら、図20に示すように、内部空間SPに残存したガスが第2貫通孔VBから逃がされると、接続部材Cが第1貫通孔VAから第3及び第4貫通孔VC,VD、凹部CCへと流れ込む。
【0093】
このとき、接続部材Cの自重によって第2貫通孔VBからガスを追い出してもよい。第2基板SUB2側から窒素ガスやアルゴン等の不活性ガスを吹き付けて接続部材Cを接続用孔Vに押し込み、第2貫通孔VBからガスを追い出してもよい。或いは、第2主面10B側から吸引し、第2貫通孔VBからガスを吸い出してもよい。第2貫通孔VBを通じて内部空間SPのガスが脱気されると、接続用孔Vに注入された接続部材Cが第1導電層L1に接触する。
【0094】
その後、図21に示すように、接続部材Cに含まれる溶剤を除去することにより、接続部材Cの体積が減少して中空部分が形成される。このように形成された接続部材Cは、第1貫通孔VAにおいて第2導電層L2及び第2ガラス基板20にそれぞれ接触し、第4貫通孔VDにおいて遮光層BM、オーバーコート層OC、シールSE及び第2絶縁膜12にそれぞれ接触し、第3貫通孔VCにおいて第1導電層L1に接触し、凹部CCにおいて第1ガラス基板10に接触している。
【0095】
続いて、図22に示すように、保護膜PFを形成する。図22に示す例では、保護膜PFは、接続部材Cの中空部分に充填されるとともに、第2導電層L2及び接続部材Cを覆っている。これにより、第2基板SUB2の表面SUB2Aは、ほぼ平坦化され、接続用孔Vと重なる部分の段差を緩和できる。
【0096】
続いて、図23に示すように、第1偏光板PL1を第1ガラス基板10に接着し、第2偏光板PL2を保護膜PFに接着する。なお、第1偏光板PL1と第1ガラス基板10との間、第2偏光板PL2と保護膜PFとの間には前述の接着層AD1,AD2が介在するが、ここでは図示を省略している。
【0097】
図23に示す例では、第2偏光板PL2は、接続用孔Vと重なる部分にも延在している。接続用孔Vに起因した段差が保護膜PFによって緩和されているため、第2偏光板PL2を接着した際、第2偏光板PL2の下地の段差による第2偏光板PL2の剥離を抑制できる。第1偏光板PL1は、第2貫通孔VBと重なる部分にも延在している。第2貫通孔VBが第1偏光板PL1によって閉塞されているため、接続部材Cへの空気や水分の侵入を抑制できる。
【0098】
以上説明した表示装置DSPによれば、第2基板SUB2に設けられた検出電極Rxは、接続用孔Vに設けられた接続部材Cにより、第1基板SUB1に設けられたパッドPと接続されている。このため、検出電極Rxと検出回路RCとを接続するための配線基板を第2基板SUB2に実装する必要がなくなる。つまり、第1基板SUB1に実装された配線基板SUB3は、表示パネルPNLに画像を表示するのに必要な信号を伝送するための伝送路を形成するとともに、検出電極Rxと検出回路RCとの間で信号を伝送するための伝送路を形成する。
【0099】
したがって、配線基板SUB3の他に別個の配線基板を必要とする構成例と比較して、配線基板の個数を削減でき、コストを削減できる。また、第2基板SUB2に配線基板を接続するためのスペースが不要となるため、表示パネルPNLの非表示領域、特に、配線基板SUB3が実装される端辺の幅を縮小できる。これにより、狭額縁化及び低コスト化が可能となる。
【0100】
また、接続部材Cが第1貫通孔VAにおける第2導電層L2の内面LS2のみならず、第2導電層L2の上面LT2にも接触しているため、接続部材Cの第2導電層L2との接触面積を拡大でき、接続部材Cと第2導電層L2との接続不良を抑制できる。
【0101】
また、接続部材Cが第3貫通孔VCにおける第1導電層L1の内面LS1のみならず、第1導電層L1の上面LT1にも接触しているため、接続部材Cと第1導電層L1との接触面積を拡大でき、接続部材Cと第1導電層L1との接続不良を抑制できる。
【0102】
また、接続部材Cの中空部分に保護膜PFが充填されることにより、接続部材Cに中空部分が形成されたことに起因する第3方向Zの段差を緩和できる。また保護膜PFは、接続部材C及び第2導電層L2を覆っているため、接続部材C及び第2導電層L2を保護できる。
【0103】
本実施形態は、第2貫通孔VBを通じて接続用孔Vのガスを外部に逃がすことができる。接続用孔Vにガスが残存していると、接続部材Cに気泡等を生じて充填不良の原因となる。本実施形態によれば、接続部材Cの充填不良を防止して表示装置DSPの接続信頼性を向上させることができる。
【0104】
しかも、接続部材VBは、接続用孔Vからはみ出して第2貫通孔VBの上端に位置された凸部CAを有している。ガスを逃がす第2貫通孔VBの途中まで接続部材Cが充填されており、接続用孔Vの内部のガスが十分に追い出されているため、接続部材Cと第1導電層L1とを確実に接触させることができる。
【0105】
本実施形態に係る製造方法によれば、大気圧下で接続部材Cを充填できる。仮に第2貫通孔VBがない場合、真空チャンバに表示装置DSPを投入し、接続用孔Vのガスをあらかじめ除去した真空雰囲気下で接続部材Cを充填することが考えられる。そのような工程では、真空チャンバの減圧や表示装置DSPの搬送及び投入に時間がかかるためサイクルタイムが長くなってしまう。一方、本実施形態に係る製造方法は、大気圧下で接続部材Cを充填できるため、減圧や搬送に伴う工程を省略してサイクルタイムを短縮できる。
【0106】
加えて、表示装置DSPを真空雰囲気下に投入すると、各種有機絶縁膜OIに僅かに含まれる揮発成分が膨張して気泡を発生させることがある。或いは、接続部材Cに含まれる溶剤が接続部材Cの内部で気泡を発生させることがある。その結果、非常に薄く形成された第1及び第2ガラス基板10,20に負荷を与えるおそれがある。接続部材Cを大気圧下で充填すれば、気泡の発生を抑制して第1及び第2ガラス基板10,20にクラック等が発生することを防止できる。
【0107】
なお、接続部材Cの充填に真空チャンバを使用する場合であっても、第2貫通孔VBがあれば接続用孔Vの内部をより確実に脱気できる。第2貫通孔VBを有する本実施形態及びその製造方法は、接続部材Cの充填不良を防止して接続信頼性をより向上させることができる。
【0108】
続いて、第2実施形態の表示装置DSPについて、図24を参照して説明する。なお、第1実施形態の表示装置DSPと同様の機能を有する構成については同一の参照符号を付し、その説明を省略する。第2実施形態の表示装置DSPでは、接続用孔Vに第3貫通孔VC及び凹部CCが含まれない。そのため、第2貫通孔VBが凹部CCの底面ではなく第1導電層L1及び第1ガラス基板10を貫通して形成される点が第1実施形態と相違している。それ以外の構成は第1実施形態と同様である。図24に示すように、凹部CC以外の層に第2貫通孔VBが設けられても、第1実施形態と同様に接続用孔Vの内部からガスを逃がす流路を形成できる。
【0109】
第2実施形態によれば、第1ガラス基板10に凹部CCを形成できない材料の組み合わせであっても第2貫通孔VBを形成して接続用孔Vに接続部材Cを充填できる。例えば、第1導電層L1を構成する材料の融点が、第2導電層L2や第1及び第2ガラス基板10,20を構成する材料の融点よりも高温であってもよい。
【0110】
以上説明したように、本実施形態によれば、狭額縁化及び低コスト化が可能な電子機器並びにその製造方法を提供することができる。なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0111】
例えば、前述の表示装置製造方法において、第1貫通孔VAを形成してから第2貫通孔VBを形成したが、あらかじめ第2貫通孔VBを形成しておいて、後から第1貫通孔VAを形成することもできる。第2貫通孔VBを形成するために第2基板側SUB2、すなわち上方からレーザー光LSR2を照射したが、第1基板SUB1側、すなわち下方からレーザー光LSR2を照射して第2貫通孔VBを形成してもよい。その場合、図8に示すように第1主面10Aから第2主面20Bに向かうに従い径が大きくなる第2貫通孔VBを形成できる。
【0112】
本明細書に開示した構成から得られる表示装置の一例を以下に付記する。
(1)
第1主面及び該第1主面とは反対側の第2主面を有した第1ガラス基板と、前記第1主面に位置する第1導電層と、を備えた第1基板と、
前記第1導電層と対向し且つ前記第1導電層から離間した第3主面及び該第3主面とは反対側の第4主面を有した第2ガラス基板と、前記第4主面に位置する第2導電層と、を備えた第2基板と、
前記第1導電層及び前記第2導電層を電気的に接続する接続部材と、を具備し、
前記第2ガラス基板は、該第2ガラス基板を貫通する第1貫通孔を有し、
前記第1ガラス基板は、前記第1ガラス基板を貫通して前記第1貫通孔に連通する第2貫通孔を有し、
前記第1貫通孔は、前記第4主面に形成された第1開口と、前記第3主面に形成された第2開口と、を有し、
前記第2貫通孔は、前記第1開口よりも小さく形成され且つ前記第2開口に対向する第3開口と、前記第2主面に形成された第4開口と、を有し、
前記接続部材は、前記第1貫通孔を通じて前記第1導電層及び前記第2導電層に接触している、電子機器。
(2)
前記第4開口の径が、前記第3開口の径よりも大きい、(1)に記載の電子機器。
(3)
前記第2開口の径が、前記第1開口の径よりも小さく、
前記第4開口の径が、前記第3開口の径よりも小さく、
前記第2貫通孔の中心軸が該第2貫通孔の内面となす勾配は、前記第1貫通孔の中心軸が該第1貫通孔の内面となす勾配よりも小さい、(1)に記載の電子機器。
(4)
前記第1ガラス基板は、前記第2貫通孔と連通する凹部を有し、
前記第3開口は、前記凹部の底に開口する、(1)乃至(3)のいずれか一に記載の電子機器。
(5)
前記第1導電層は、前記第1貫通孔及び前記凹部と対向する第3貫通孔を有し、
前記第2貫通孔は、前記第3貫通孔及び前記凹部を通じて前記第1貫通孔に連通する、(4)に記載の電子機器。
(6)
前記第3開口の径は、前記第1開口の径の1/5以下である、(1)乃至(5)のいずれか一に記載の電子機器。
(7)
前記第3開口の径は、5μm以上、30μm以下である、(1)乃至(6)のいずれか一に記載の電子機器。
(8)
前記第2貫通孔の中心軸が前記第1主面に垂直な方向に対して傾斜している、(1)乃至(7)のいずれか一に記載の電子機器。
(9)
前記第2貫通孔が屈曲部を有する、(1)乃至(8)のいずれか一に記載の電子機器。
(10)
前記接続部材は、前記第2貫通孔の一部に充填されている、(1)乃至(9)のいずれか一に記載の電子機器。
(11)
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合せるシールをさらに具備し、
前記シールは、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とを連通させる第4貫通孔を有する、(1)乃至(10)のいずれか一に記載の電子機器。
(12)
第1ガラス基板及び第1導電層を備えた第1基板と、第2ガラス基板及び第2導電層を備え、前記第2ガラス基板が前記第1導電層と対向し且つ前記第1導電層から離間した第2基板と、を用意し、
前記第2ガラス基板に該第2ガラス基板を貫通する第1貫通孔を形成し、
前記第1ガラス基板に該第1ガラス基板を貫通する第2貫通孔を形成し、
前記第1貫通孔に導電性材料を充填することにより、前記第1貫通孔に前記第1導電層及び前記第2導電層を電気的に接続する接続部材を形成する、電子機器の製造方法。
(13)
前記第2基板に第1レーザー光を照射することにより、前記第1貫通孔と、前記第1貫通孔と対向する位置で前記第1導電層を貫通する第3貫通孔と、を形成する、(12)に記載の電子機器の製造方法。
【符号の説明】
【0113】
10…第1ガラス基板、10A…第1主面、10B…第2主面、20…第2ガラス基板、20A…第3主面、20B…第4主面、C…接続部材、CC…凹部、D1…第1開口の径、D2…第3開口の径、DA…表示領域(第1領域の一例)、DSP…表示装置、L1…第1導電層、L2…第2導電層、LSR1…第1レーザー光、LSR2…第2レーザー光、NDA…非表示領域(第2領域の一例)、OP1…第1開口、OP2…第2開口、OP3…第3開口、OP4…第4開口、PNL…表示パネル、RS…検出部、RT…端子部、SE…シール、SUB1…第1基板、SUB2…第2基板、T1…第1貫通孔の中心軸と内面とがなす勾配、T2…第2貫通孔の中心軸と内面とがなす勾配、VA…第1貫通孔、VB…第2貫通孔、VBC…屈曲部、VC…第3貫通孔、VD…第4貫通孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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