特許第6762813号(P6762813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762813
(24)【登録日】2020年9月11日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20200917BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   G02F1/1335
   G02B5/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-174592(P2016-174592)
(22)【出願日】2016年9月7日
(65)【公開番号】特開2017-68249(P2017-68249A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2019年5月27日
(31)【優先権主張番号】特願2015-189714(P2015-189714)
(32)【優先日】2015年9月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】中村 恒三
(72)【発明者】
【氏名】細川 和人
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−107902(JP,A)
【文献】 特開2008−176206(JP,A)
【文献】 特開2012−118235(JP,A)
【文献】 特開2012−084512(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/057930(WO,A1)
【文献】 特開2015−43077(JP,A)
【文献】 特開2009−109829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルと、該液晶セルの視認側に配置された視認側偏光板と、該液晶セルの視認側と反対側に該液晶セル側から順に配置された背面側偏光板、反射型偏光子、第1のプリズムシート、第2のプリズムシートおよび波長変換層と、を備え、
該第1のプリズムシートおよび該第2のプリズムシートが、それぞれ、平坦な第1主面と該第1主面と反対側に凸となる柱状の単位プリズムが複数配列されている第2主面とを有し、
該第1のプリズムシートの第2主面の単位プリズムによる凸部が、該反射型偏光子の該背面側偏光板と反対側の主面に貼り合わせられ、および/または、該第2のプリズムシートの第2主面の単位プリズムによる凸部が、該第1のプリズムシートの第1主面に貼り合わせられている、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1のプリズムシートの第2主面の凹部と前記反射型偏光子との間に空隙部が規定され、および/または、前記第2のプリズムシートの第2主面の凹部と該第1のプリズムシートの第1主面との間に空隙部が規定されている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第2のプリズムシートと前記波長変換層との間に低屈折率層をさらに備え、
該低屈折率層の屈折率が1.30以下である、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記背面側偏光板と前記反射型偏光子との間に光拡散層をさらに備える、請求項1からのいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記波長変換層が光拡散材料を含む、請求項1からのいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
IPSモードである、請求項1からのいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。より詳細には、本発明は、2つのプリズムシートと波長変換層とを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイとして、面光源装置を用いた液晶表示装置の普及には目覚ましいものがある。例えば、エッジライト型面光源装置を備える液晶表示装置では、光源から出射された光は、導光板に入射し、導光板の出光面(液晶セル側面)と裏面とで全反射を繰り返しながら伝播する。導光板内を伝播する光の一部は、導光板の裏面等に設けられた光散乱体等により進行方向を変えられて出光面から導光板外へ出射する。導光板の出光面から出射した光は、拡散シート、プリズムシート、輝度向上フィルム等の各種光学シートによって拡散・集光された後、液晶セルの両側に偏光板が配置された液晶表示パネルに入射する。液晶セルの液晶層の液晶分子は画素ごとに駆動され、入射光の透過および吸収を制御する。その結果、画像が表示される。上記プリズムシートは、代表的には、面光源装置の筐体に嵌め込まれ、導光板の出射面に近接して設けられる。
【0003】
一方、液晶表示装置の性能改善に対する要望の1つとして、色再現性の向上が挙げられる。このような要望に関連して、近年、発光材料として量子ドットが注目を集めており、量子ドットを用いた量子ドットフィルムが製品化されている。バックライトから量子ドットフィルムに光が入射すると、量子ドットが励起されて蛍光を発光する。例えば、青色LEDのバックライトを用いると、量子ドットフィルムにより青色光の一部が赤色光および緑色光に変換され、青色光の一部はそのまま青色光として出射される。その結果、白色光を実現することができる。さらに、このような量子ドットフィルムを用いることにより、NTSC比100%以上の色再現性が実現できるとされている。
【0004】
しかし、プリズムシートと量子ドットフィルムとを組み合わせて用いる液晶表示装置は、色相がニュートラルではなく、黄色味が大きいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−111518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、機械的強度に優れ、優れた色相を有し、かつ、視野角に依存した色相変化が小さい液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、該液晶セルの視認側に配置された視認側偏光板と、該液晶セルの視認側と反対側に該液晶セル側から順に配置された背面側偏光板、反射型偏光子、第1のプリズムシート、第2のプリズムシートおよび波長変換層と、を備える。該第1のプリズムシートおよび該第2のプリズムシートは、それぞれ、平坦な第1主面と該第1主面と反対側に凸となる柱状の単位プリズムが複数配列されている第2主面とを有する。この液晶表示装置においては、該第1のプリズムシートの第2主面の単位プリズムによる凸部が、該反射型偏光子の該背面側偏光板と反対側の主面に貼り合わせられ、および/または、該第2のプリズムシートの第2主面の単位プリズムによる凸部が、該第1のプリズムシートの第1主面に貼り合わせられている。
1つの実施形態においては、上記液晶表示装置は、上記第1のプリズムシートの第2主面の凹部と上記反射型偏光子との間に空隙部が規定され、および/または、上記第2のプリズムシートの第2主面の凹部と該第1のプリズムシートの第1主面との間に空隙部が規定されている。
1つの実施形態においては、上記液晶表示装置は、上記第2のプリズムシートと上記波長変換層との間に低屈折率層をさらに備える。
1つの実施形態においては、上記低屈折率層の屈折率は1.30以下である。
1つの実施形態においては、上記液晶表示装置は、上記背面側偏光板と上記反射型偏光子との間に光拡散層をさらに備える。
1つの実施形態においては、上記波長変換層が光拡散材料を含む。
1つの実施形態においては、上記液晶表示装置はIPSモードである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2つのプリズムシートと波長変換層とを有する液晶表示装置において、少なくとも一方のプリズムシートの単位プリズムによる凸部と隣接する構成要素の所定の平坦面とを貼り合わせることにより、機械的強度に優れ、優れた色相を有し、かつ、視野角に依存した色相変化が小さい液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の1つの実施形態による液晶表示装置を説明する概略断面図である。
図2】本発明の液晶表示装置に用いられ得る反射型偏光子の一例の概略斜視図である。
図3】実施例および比較例で得られた液晶表示装置のカラーシフトを示す色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.液晶表示装置の全体構成
まず、液晶表示装置の全体構成について、図面を参照して代表的な実施形態を説明する。見やすくするために、図面における各層および構成要素の厚みの比率は実際とは異なっている。
【0011】
図1は、本発明の1つの実施形態による液晶表示装置を説明する概略断面図である。液晶表示装置100は、液晶セル10と、液晶セル10の視認側に配置された視認側偏光板20と、液晶セル10の視認側と反対側に液晶セル10側から順に配置された背面側偏光板30、反射型偏光子40、第1のプリズムシート50、第2のプリズムシート60および波長変換層70と、バックライトユニット(図示せず)と、を備える。
【0012】
第1のプリズムシート50は、代表的には、基材部51とプリズム部52とを有する。第1のプリズムシート50は、平坦な第1主面(基材部51の平坦面)と、第1主面と反対側の凹凸形状を有する第2主面(第1主面と反対側に複数配列された柱状の単位プリズム53による凸部を有する面)と、を有する。同様に、第2のプリズムシート60は、代表的には、基材部61とプリズム部62とを有する。第2のプリズムシート60は、平坦な第1主面(基材部61の平坦面)と、第1主面と反対側の凹凸形状を有する第2主面(第1主面と反対側に複数配列された柱状の単位プリズム63による凸部を有する面)と、を有する。本発明の実施形態においては、第1のプリズムシート50および第2のプリズムシート60の少なくとも一方の第2主面の単位プリズムによる凸部が、隣接する構成要素の所定の平坦面と貼り合わせられている。より詳細には、第1のプリズムシート50の第2主面の単位プリズム53による凸部が、反射型偏光子40の背面側偏光板30と反対側の主面に貼り合わせられ、および/または、第2のプリズムシート60の第2主面の単位プリズム63による凸部が、第1のプリズムシート50の第1主面に貼り合わせられている。結果として、第1のプリズムシート50の第2主面の凹部と反射型偏光子40との間に空隙部が規定され、および/または、第2のプリズムシート60の第2主面の凹部と第1のプリズムシート50の第1主面との間に空隙部が規定されている。このような構成とすることにより、優れた色相と視野角による色相変化の抑制とを同時に満足し得る液晶表示装置を実現することができる。なお、本明細書においては、このようなプリズムシート(実質的には、単位プリズム)の凸部のみの接着を便宜上「点接着」と称する場合がある。このような点接着は、波長変換層を備える液晶表示装置に適用することにより、その効果が顕著なものとなる。特に、波長変換層を備える液晶表示装置の色相(黄色味という問題)を顕著に改善することができる。詳細は以下のとおりである。液晶表示装置に適用される波長変換層は、入射した青色〜青紫色の光の一部を緑色光および赤色光に変換し、一部を青色光としてそのまま出射することで、赤色光と緑色光と青色光との組み合わせにより白色光を実現する。また、液晶表示装置に適用される波長変換層は、構成材料および光吸収の関係から、黄色〜橙色であることが多い。プリズムシートは、代表的には、その再帰反射を利用することで波長変換層単独では不十分な色変換効率を補い、輝度および色相を向上させるために用いられる。ここで、プリズムシートは拡がった光を正面方向に集光させる機能を有することから、斜め方向に関しては高い変換効率が十分に実現されず、結果として、斜め方向の色相は波長変換層の色が浮き出て黄色〜橙色に見え、画像表示装置の表示品位の低下を招く場合が多い。本発明の実施形態によれば、点接着を採用することにより、当該点接着部分において空気層が排除されて集光性が減少し、周囲に光が拡がるようになる。すなわち、プリズムシートを単に載置(別置き)する構成に比べて、周囲に光を拡散させ、結果として、正面および斜め方向(特に、斜め方向)の色相を改善することができる。点接着の度合い(例えば、点接着部分の数、位置、点接着に用いられる接着剤の厚み)を調整することにより、正面および斜め方向の両方において輝度および色相の所望のバランスを実現することができる。加えて、点接着の度合いを調整して所定の空隙度を有する空隙部を形成することにより、さらに優れた輝度および色相を実現することができる。
【0013】
本発明の実施形態においては、上記のとおり、第1のプリズムシート50および第2のプリズムシート60の少なくとも一方が点接着されている。すなわち、2つのプリズムシートの少なくとも一方について、プリズムシートと隣接する層との間の空気層を排除することができるので、液晶表示装置の薄型化に寄与することができる。液晶表示装置の薄型化は、デザインの選択幅を広げるので、商業的な価値が大きい。さらに、このような点接着により、少なくとも1つのプリズムシートが、液晶表示装置を構成する光学部材に組み込まれ一体化され得る。このような一体化により、当該プリズムシートを面光源装置(バックライトユニット、実質的には導光板)に取り付ける必要がなくなるので、そのような取り付けの際のこすれによるプリズムシートの傷つきを回避できる。結果として、そのような傷に起因する表示の濁りを防止することができ、かつ、機械的強度に優れた液晶表示装置を得ることができる。
【0014】
液晶表示装置100は、必要に応じて、第2のプリズムシート60と波長変換層70との間に低屈折率層(図示せず)をさらに備えてもよい。また、液晶表示装置100は、必要に応じて、背面側偏光板30と反射型偏光子40との間に光拡散層(図示せず)をさらに備えてもよい。さらに、液晶表示装置100は、目的に応じて任意の適切な光学補償層(位相差層)をさらに備えてもよい。光学補償層の光学特性(例えば、屈折率楕円体、面内位相差、厚み方向位相差、Nz係数、波長依存性)、数、組み合わせ、配置位置等は、目的に応じて適切に設定され得る。また、液晶表示装置100は、必要に応じて、波長変換層70の少なくとも一方の側に、波長変換層70に隣接するバリア層(図示せず)をさらに備えてもよい。具体的には、バリア層は、第2のプリズムシート60と波長変換層70との間(第2のプリズムシート60と波長変換層70との間に低屈折率層が設けられる場合は、低屈折率層と波長変換層70との間)、および/または波長変換層70の第2のプリズムシート60とは反対側に設けられ得る。
【0015】
液晶表示装置の各構成要素は、任意の適切な接着層(例えば、接着剤層、粘着剤層:図示せず)を介して積層され得る。
【0016】
上記の実施形態は適宜組み合わせてもよく、上記の実施形態における構成要素に当業界で自明の改変を加えてもよい。
【0017】
以下、液晶表示装置の構成要素について、B項〜K項で具体的に説明する。なお、バックライトユニットについては、本発明の特徴的な部分ではなく、かつ、業界で周知の構成が採用され得るので、詳細な説明は省略する。
【0018】
B.液晶セル
図1に示すように、液晶セル10は、一対の基板11、12と、当該基板間に挟持された表示媒体としての液晶層13とを有する。一般的な構成においては、一方の基板11に、カラーフィルターおよびブラックマトリクスが設けられており、他方の基板12に、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線およびソース信号を与える信号線と、画素電極とが設けられている。基板11、12の間隔(セルギャップ)は、スペーサーによって制御されている。基板11、12の液晶層13と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜等を設けることができる。
【0019】
1つの実施形態においては、液晶層13は、電界が存在しない状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子を含む。電界が存在しない状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子を用いる駆動モードの代表例としては、インプレーンスイッチング(IPS)モード、フリンジフィールドスイッチング(FFS)モード等が挙げられる。別の実施形態においては、液晶層13は、電界が存在しない状態でホメオトロピック配列に配向させた液晶分子を含む。電界が存在しない状態でホメオトロピック配列に配向させた液晶分子を用いる駆動モードとしては、例えば、バーティカル・アライメント(VA)モードが挙げられる。VAモードは、マルチドメインVA(MVA)モードを包含する。駆動モードは、好ましくは、電界が存在しない状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子を用いる駆動モードであり、より好ましくはIPSモードである。
【0020】
IPSモードは、電圧制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringence)効果を利用し、電界が存在しない状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子を、例えば、金属で形成された対向電極と画素電極とで発生させた基板に平行な電界(横電界ともいう)で応答させる。より具体的には、例えば、テクノタイムズ社出版「月刊ディスプレイ7月号」p.83〜p.88(1997年版)や、日本液晶学会出版「液晶vol.2No.4」p.303〜p.316(1998年版)に記載されているように、ノーマリーブラックモードでは、液晶セルの電界無印加時の配向方向と一方の側の偏光子の吸収軸とを一致させて、上下の偏光板を直交配置させると、電界のない状態で完全に黒表示になる。電界があるときは、液晶分子が基板に平行を保ちながら回転動作することによって、回転角に応じた透過率を得ることができる。なお、上記のIPSモードは、V字型電極又はジグザグ電極等を採用した、スーパー・インプレーンスイッチング(S−IPS)モードや、アドバンスド・スーパー・インプレーンスイッチング(AS−IPS)モードを包含する。
【0021】
C.視認側偏光板
図1に示すように、視認側偏光板20は、代表的には、吸収型偏光子21と、吸収型偏光子21の片側に配置された保護層22と、吸収型偏光子21のもう一方の側に配置された保護層23とを有する。目的および液晶表示装置の構成等に応じて、保護層の一方は省略されてもよい。
【0022】
C−1.偏光子
吸収型偏光子21としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
【0023】
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
【0024】
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3〜7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
【0025】
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012−73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0026】
偏光子の厚みは、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは1μm〜12μmであり、さらに好ましくは3μm〜12μmであり、特に好ましくは3μm〜8μmである。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、加熱時のカールを良好に抑制することができ、および、良好な加熱時の外観耐久性が得られる。
【0027】
偏光子は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、上記のとおり43.0%〜46.0%であり、好ましくは44.5%〜46.0%である。偏光子の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
【0028】
上記単体透過率及び偏光度は、分光光度計を用いて測定することができる。上記偏光度の具体的な測定方法としては、上記偏光子の平行透過率(H)及び直交透過率(H90)を測定し、式:偏光度(%)={(H−H90)/(H+H90)}1/2×100より求めることができる。上記平行透過率(H)は、同じ偏光子2枚を互いの吸収軸が平行となるように重ね合わせて作製した平行型積層偏光子の透過率の値である。また、上記直交透過率(H90)は、同じ偏光子2枚を互いの吸収軸が直交するように重ね合わせて作製した直交型積層偏光子の透過率の値である。なお、これらの透過率は、JlS Z 8701−1982の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
【0029】
C−2.保護層
保護層は、偏光板の保護フィルムとして使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。それぞれの保護層は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0030】
保護層の厚みは、好ましくは20μm〜100μmである。保護層は、接着層(具体的には、接着剤層、粘着剤層)を介して偏光子に積層されていてもよく、偏光子に密着(接着層を介さずに)積層されていてもよい。接着剤層は、任意の適切な接着剤で形成される。接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤は、好ましくは、金属化合物コロイドをさらに含有し得る。金属化合物コロイドは、金属化合物微粒子が分散媒中に分散しているものであり得、微粒子の同種電荷の相互反発に起因して静電的安定化し、永続的に安定性を有するものであり得る。金属化合物コロイドを形成する微粒子の平均粒子径は、偏光特性等の光学特性に悪影響を及ぼさない限り、任意の適切な値であり得る。好ましくは1nm〜100nm、さらに好ましくは1nm〜50nmである。微粒子を接着剤層中に均一に分散させ得、接着性を確保し、かつクニックを抑え得るからである。なお、「クニック」とは、偏光子と保護層の界面で生じる局所的な凹凸欠陥のことをいう。
【0031】
保護層(視認側保護層)22には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。さらに/あるいは、保護層には、必要に応じて、偏光サングラスを介して視認する場合の視認性を改善する処理(代表的には、(楕)円偏光機能を付与すること、超高位相差を付与すること)が施されていてもよい。このような処理を施すことにより、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも、優れた視認性を実現することができる。したがって、液晶表示装置は、屋外でも好適に用いられ得る。
【0032】
D.背面側偏光板
図1に示すように、背面側偏光板30は、代表的には、吸収型偏光子31と、吸収型偏光子31の片側に配置された保護層32と、吸収型偏光子31のもう一方の側に配置された保護層33とを有する。目的および液晶表示装置の構成等に応じて、保護層の一方は省略されてもよい。吸収型偏光子および保護層の具体的な構成については、視認側偏光板に関して上記C−1項およびC−2項で説明したとおりである(なお、背面側偏光板の液晶セル側保護層32には表面処理は必要とされない)。
【0033】
E.反射型偏光子
反射型偏光子40は、特定の偏光状態(偏光方向)の偏光を透過し、それ以外の偏光状態の光を反射する機能を有する。反射型偏光子40は、直線偏光分離型であってもよく、円偏光分離型であってもよい。以下、一例として、直線偏光分離型の反射型偏光子について説明する。なお、円偏光分離型の反射型偏光子としては、例えば、コレステリック液晶を固定化したフィルムとλ/4板との積層体が挙げられる。
【0034】
図2は、反射型偏光子の一例の概略斜視図である。反射型偏光子は、複屈折性を有する層Aと複屈折性を実質的に有さない層Bとが交互に積層された多層積層体である。例えば、このような多層積層体の層の総数は、50〜1000であり得る。図示例では、A層のx軸方向の屈折率nxがy軸方向の屈折率nyより大きく、B層のx軸方向の屈折率nxとy軸方向の屈折率nyとは実質的に同一である。したがって、A層とB層との屈折率差は、x軸方向において大きく、y軸方向においては実質的にゼロである。その結果、x軸方向が反射軸となり、y軸方向が透過軸となる。A層とB層とのx軸方向における屈折率差は、好ましくは0.2〜0.3である。なお、x軸方向は、反射型偏光子の製造方法における反射型偏光子の延伸方向に対応する。
【0035】
上記A層は、好ましくは、延伸により複屈折性を発現する材料で構成される。このような材料の代表例としては、ナフタレンジカルボン酸ポリエステル(例えば、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネートおよびアクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート)が挙げられる。ポリエチレンナフタレートが好ましい。上記B層は、好ましくは、延伸しても複屈折性を実質的に発現しない材料で構成される。このような材料の代表例としては、ナフタレンジカルボン酸とテレフタル酸とのコポリエステルが挙げられる。
【0036】
反射型偏光子は、A層とB層との界面において、第1の偏光方向を有する光(例えば、p波)を透過し、第1の偏光方向とは直交する第2の偏光方向を有する光(例えば、s波)を反射する。反射した光は、A層とB層との界面において、一部が第1の偏光方向を有する光として透過し、一部が第2の偏光方向を有する光として反射する。反射型偏光子の内部において、このような反射および透過が多数繰り返されることにより、光の利用効率を高めることができる。
【0037】
1つの実施形態においては、反射型偏光子は、図2に示すように、背面側偏光板30と反対側の最外層として反射層Rを含んでいてもよい。反射層Rを設けることにより、最終的に利用されずに反射型偏光子の最外部に戻ってきた光をさらに利用することができるので、光の利用効率をさらに高めることができる。反射層Rは、代表的には、ポリエステル樹脂層の多層構造により反射機能を発現する。
【0038】
反射型偏光子の全体厚みは、目的、反射型偏光子に含まれる層の合計数等に応じて適切に設定され得る。反射型偏光子の全体厚みは、好ましくは10μm〜150μmである。
【0039】
1つの実施形態においては、光学部材100において、反射型偏光子40は、背面側偏光板30の透過軸に平行な偏光方向の光を透過するようにして配置される。すなわち、反射型偏光子40は、その透過軸が背面側偏光板30の透過軸方向と略平行方向となるようにして配置される。このような構成とすることにより、背面側偏光板30に吸収されてしまう光を再利用することができ、利用効率をさらに高めることができ、また、輝度も向上できる。
【0040】
反射型偏光子は、代表的には、共押出と横延伸とを組み合わせて作製され得る。共押出は、任意の適切な方式で行われ得る。例えば、フィードブロック方式であってもよく、マルチマニホールド方式であってもよい。例えば、フィードブロック中でA層を構成する材料とB層を構成する材料とを押出し、次いで、マルチプライヤーを用いて多層化する。なお、このような多層化装置は当業者に公知である。次いで、得られた長尺状の多層積層体を代表的には搬送方向に直交する方向(TD)に延伸する。A層を構成する材料(例えば、ポリエチレンナフタレート)は、当該横延伸により延伸方向においてのみ屈折率が増大し、結果として複屈折性を発現する。B層を構成する材料(例えば、ナフタレンジカルボン酸とテレフタル酸とのコポリエステル)は、当該横延伸によってもいずれの方向にも屈折率は増大しない。結果として、延伸方向(TD)に反射軸を有し、搬送方向(MD)に透過軸を有する反射型偏光子が得られ得る(TDが図2のx軸方向に対応し、MDがy軸方向に対応する)。なお、延伸操作は、任意の適切な装置を用いて行われ得る。
【0041】
反射型偏光子としては、例えば、特表平9−507308号公報に記載のものが使用され得る。
【0042】
反射型偏光子は、市販品をそのまま用いてもよく、市販品を2次加工(例えば、延伸)して用いてもよい。市販品としては、例えば、3M社製の商品名DBEF、3M社製の商品名APFが挙げられる。
【0043】
反射型偏光子40は、任意の適切な接着層(例えば、接着剤層、粘着剤層:図示せず)を介して背面側偏光板30に貼り合わせられる。
【0044】
F.第1のプリズムシート
上記のとおり、第1のプリズムシート50は、代表的には、基材部51とプリズム部52とを有する。第1のプリズムシート50は、バックライトユニットから出射された偏光光を、その偏光状態を保ったまま、プリズム部52内部での全反射等によって、液晶表示装置の略法線方向に最大強度を有する偏光光として偏光板に導く。基材部51は、目的およびプリズムシートの構成に応じて省略されてもよい。例えば、第1のプリズムシートの基材部側に隣接する層が支持部材として機能し得る場合には、基材部51は省略され得る。なお、「略法線方向」とは、法線方向から所定の角度内の方向、例えば、法線方向から±10°の範囲内の方向を包含する。
【0045】
F−1.プリズム部
1つの実施形態においては、第1のプリズムシート50(実質的には、プリズム部52)は、上記のとおり、第1主面と反対側に凸となる柱状の単位プリズム53が複数配列されて構成されている。好ましくは、単位プリズム53は柱状であり、その長手方向(稜線方向)は、偏光板の透過軸と略直交方向または略平行方向に向いている。本明細書において、「実質的に直交」および「略直交」という表現は、2つの方向のなす角度が90°±10°である場合を包含し、好ましくは90°±7°であり、さらに好ましくは90°±5°である。「実質的に平行」および「略平行」という表現は、2つの方向のなす角度が0°±10°である場合を包含し、好ましくは0°±7°であり、さらに好ましくは0°±5°である。さらに、本明細書において単に「直交」または「平行」というときは、実質的に直交または実質的に平行な状態を含み得るものとする。なお、第1のプリズムシート10は、単位プリズム53の稜線方向と偏光板の透過軸とが所定の角度を形成するようにして配置(いわゆる斜め配置)してもよい。このような構成を採用することにより、モアレの発生をさらに良好に防止できる場合がある。斜め配置の範囲としては、好ましくは20°以下であり、より好ましくは15°以下である。
【0046】
単位プリズム53の形状は、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な構成が採用され得る。単位プリズム53は、その配列方向に平行かつ厚み方向に平行な断面において、その断面形状が、三角形状であってもよく、その他の形状(例えば、三角形の一方または両方の斜面が傾斜角の異なる複数の平坦面を有する形状)であってもよい。三角形状としては、単位プリズムの頂点を通りシート面に直交する直線に対して非対称である形状(例えば、不等辺三角形)であってもよく、当該直線に対して対称である形状(例えば、二等辺三角形)であってもよい。さらに、単位プリズムの頂点は、面取りされた曲面状となっていてもよく、先端が平坦面となるようにカットされて断面台形状となっていてもよい。単位プリズム53の詳細な形状は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、単位プリズム53として、特開平11−84111号公報に記載の構成が採用され得る。
【0047】
単位プリズム53の高さは、すべての単位プリズムが同一であってもよく、異なる高さを有していてもよい。単位プリズムが異なる高さを有する場合、1つの実施形態においては、単位プリズムは2つの高さを有する。このような構成であれば、高さが高い方の単位プリズムのみが点接着され得るので、高さが高い単位プリズムの位置および数を調整することにより、所望の度合いで点接着を実現することができる。例えば、高さが高い単位プリズムと低い単位プリズムとが交互に配置されてもよく、高さが高い(または低い)単位プリズムが3つおき、4つおき、5つおき等に配置されてもよく、目的に応じて不規則的に配置されてもよく、まったくランダムに配置されてもよい。別の実施形態においては、単位プリズムは3つ以上の高さを有する。このような構成であれば、点接着する単位プリズムの接着剤への埋まり度合いを調整することができ、結果として、さらに精密な度合いで点接着を実現することができる。
【0048】
F−2.基材部
第1のプリズムシート50に基材部51を設ける場合には、単一の材料を押出し成型等することにより基材部51とプリズム部52とを一体的に形成してもよく、基材部用フィルム上にプリズム部を賦形してもよい。基材部の厚みは、好ましくは25μm〜150μmである。このような厚みであれば、取扱い性および強度が優れ得る。
【0049】
基材部51を構成する材料としては、目的およびプリズムシートの構成に応じて任意の適切な材料を採用することができる。基材部用フィルム上にプリズム部を賦形する場合には、基材部用フィルムの具体例としては、三酢酸セルロース(TAC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂により形成されたフィルムが挙げられる。当該フィルムは好ましくは未延伸フィルムである。
【0050】
単一材料で基材部51とプリズム部52とを一体形成する場合、当該材料として、基材部用フィルム上にプリズム部を賦形する場合のプリズム部形成用材料と同様の材料を用いることができる。プリズム部形成用材料としては、例えば、エポキシアクリレート系やウレタンアクリレート系の反応性樹脂(例えば、電離放射線硬化性樹脂)が挙げられる。一体構成のプリズムシートを形成する場合には、PC、PET等のポリエステル樹脂、PMMA、MS等のアクリル系樹脂、環状ポリオレフィン等の光透過性の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0051】
基材部51は、好ましくは、実質的に光学的に等方性を有する。本明細書において「実質的に光学的に等方性を有する」とは、位相差値が液晶表示装置の光学特性に実質的に影響を与えない程度に小さいことをいう。例えば、基材部の面内位相差Reは、好ましくは20nm以下であり、より好ましくは10nm以下である。なお、面内位相差Reは、23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値である。面内位相差Reは、Re=(nx−ny)×dで表される。ここで、nxは光学部材の面内において屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは当該面内で遅相軸に垂直な方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、dは光学部材の厚み(nm)である。
【0052】
さらに、基材部51の光弾性係数は、好ましくは−10×10−12/N〜10×10−12/Nであり、より好ましくは−5×10−12/N〜5×10−12/Nであり、さらに好ましくは−3×10−12/N〜3×10−12/Nである。
【0053】
G.第2のプリズムシート
上記のとおり、第2のプリズムシート60は、代表的には、基材部61とプリズム部62とを有する。第2のプリズムシートの構成、機能等は、第1のプリズムシートに関して上記F項で説明したとおりである。
【0054】
H.波長変換層
波長変換層70は、代表的には、マトリックスと該マトリックス中に分散された波長変換材料とを含む。
【0055】
H−1.マトリックス
マトリックスを構成する材料(以下、マトリックス材料とも称する)としては、任意の適切な材料を用いることができる。このような材料としては、樹脂、有機酸化物、無機酸化物が挙げられる。マトリックス材料は、好ましくは、低い酸素透過性および透湿性を有し、高い光安定性および化学的安定性を有し、所定の屈折率を有し、優れた透明性を有し、および/または、波長変換材料に対して優れた分散性を有する。マトリックスは、実用的には、樹脂フィルムまたは粘着剤で構成され得る。
【0056】
H−1−1.樹脂フィルム
マトリックスが樹脂フィルムである場合、樹脂フィルムを構成する樹脂としては、任意の適切な樹脂を用いることができる。具体的には、樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよく、活性エネルギー線硬化性樹脂であってもよい。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂が挙げられる。樹脂の具体例としては、エポキシ、(メタ)アクリレート(例えば、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート)、ノルボルネン、ポリエチレン、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ尿素、ポリウレタン、アミノシリコーン(AMS)、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、シルセスキオキサン、フッ化シリコーン、ビニルおよび水素化物置換シリコーン、スチレン系ポリマー(例えば、ポリスチレン、アミノポリスチレン(APS)、ポリ(アクリルニトリルエチレンスチレン)(AES))、二官能性モノマーと架橋したポリマー(例えば、ジビニルベンゼン)、ポリエステル系ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、セルロース系ポリマー(例えば、トリアセチルセルロース)、塩化ビニル系ポリマー、アミド系ポリマー、イミド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、アクリルウレタン系ポリマーが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、組み合わせて(例えば、ブレンド、共重合)用いてもよい。これらの樹脂は膜を形成後に延伸、加熱、加圧といった処理を施してもよい。好ましくは、熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂であり、より好ましくは熱硬化性樹脂である。本発明の光学部材をロールトゥロールにより製造する場合に、好適に適用することができるからである。
【0057】
H−1−2.粘着剤
マトリックスが粘着剤である場合、粘着剤としては、任意の適切な粘着剤を用いることができる。粘着剤は、好ましくは、透明性および光学的等方性を有する。粘着剤の具体例としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、セルロース系粘着剤が挙げられる。好ましくは、ゴム系粘着剤またはアクリル系粘着剤である。
【0058】
H−2.波長変換材料
波長変換材料は、波長変換層の波長変換特性を制御し得る。波長変換材料は、例えば量子ドットであってもよく蛍光体であってもよい。
【0059】
波長変換層における波長変換材料の含有量(2種以上を用いる場合には合計の含有量)は、マトリックス材料(代表的には、樹脂または粘着剤固形分)100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜50重量部、より好ましくは0.01重量部〜30重量部である。波長変換材料の含有量がこのような範囲であれば、RGBすべての色相バランスに優れた液晶表示装置を実現することができる。
【0060】
H−2−1.量子ドット
量子ドットの発光中心波長は、量子ドットの材料および/または組成、粒子サイズ、形状等により調整することができる。
【0061】
量子ドットは、任意の適切な材料で構成され得る。量子ドットは、好ましくは無機材料、より好ましくは無機導体材料または無機半導体材料で構成され得る。半導体材料としては、例えば、II−VI族、III−V族、IV−VI族、およびIV族の半導体が挙げられる。具体例としては、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCOが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。量子ドットは、p型ドーパントまたはn型ドーパントを含んでいてもよい。また、量子ドットはコアシェル構造を有していてもよい。当該コアシェル構造においては、シェルの周囲に目的に応じて任意の適切な機能層(単一層または複数層)が形成されていてもよく、シェル表面に表面処理および/または化学修飾がなされていてもよい。
【0062】
量子ドットの形状としては、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。具体例としては、真球状、燐片状、板状、楕円球状、不定形が挙げられる。
【0063】
量子ドットのサイズは、所望の発光波長に応じて任意の適切なサイズが採用され得る。量子ドットのサイズは、好ましくは1nm〜10nmであり、より好ましくは2nm〜8nmである。量子ドットのサイズがこのような範囲であれば、緑色および赤色のそれぞれがシャープな発光を示し、高演色性を実現することができる。例えば、緑色光は量子ドットのサイズが7nm程度で発光し得、赤色光は3nm程度で発光し得る。なお、量子ドットのサイズは、量子ドットが例えば真球状である場合には平均粒径であり、それ以外の形状である場合には当該形状における最小軸に沿った寸法である。
【0064】
量子ドットの詳細は、例えば、特開2012−169271号公報、特開2015−102857号公報、特開2015−65158号公報、特表2013−544018号公報、特表2010−533976号公報に記載されており、これらの公報の記載は本明細書に参考として援用される。量子ドットは、市販品を用いてもよい。
【0065】
H−2−2.蛍光体
蛍光体としては、目的に応じて所望の色の光を発光し得る任意の適切な蛍光体を用いることができる。具体例としては、赤色蛍光体、緑色蛍光体が挙げられる。
【0066】
赤色蛍光体としては、例えば、Mn4+で活性化された複合フッ化物蛍光体が挙げられる。複合フッ化物蛍光体とは、少なくとも一つの配位中心(例えば、後述のM)を含有し、配位子として作用するフッ化物イオンに囲まれ、必要に応じて対イオン(例えば、後述のA)により電荷を補償される配位化合物をいう。その具体例としては、A[MF]:Mn4+、A[MF]:Mn4+、Zn[MF]:Mn4+、A[In]:Mn4+、A[M´F]:Mn4+、E[M´F]:Mn4+、A[ZrF]:Mn4+、Ba0.65Zr0.352.70:Mn4+が挙げられる。ここで、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、NHまたはその組み合わせである。Mは、Al、Ga、Inまたはその組み合わせである。M´は、Ge、Si、Sn、Ti、Zrまたはその組み合わせである。Eは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znまたはその組み合わせである。配位中心における配位数が6である複合フッ化物蛍光体が好ましい。このような赤色蛍光体の詳細は、例えば特開2015−84327号公報に記載されている。当該公報の記載は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0067】
緑色蛍光体としては、例えば、β型Si結晶構造を有するサイアロンの固溶体を主成分として含む化合物が挙げられる。好ましくは、このようなサイアロン結晶中に含まれる酸素量を特定量(例えば、0.8質量%)以下とするような処理が行われる。このような処理を行うことにより、ピーク幅が狭い、シャープな光を発光する緑色蛍光体が得られ得る。このような緑色蛍光体の詳細は、例えば特開2013−28814号公報に記載されている。当該公報の記載は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0068】
波長変換層は、単一層であってもよく、積層構造を有していてもよい。波長変換層が積層構造を有する場合には、それぞれの層は、代表的には異なる発光特性を有する波長変換材料を含み得る。
【0069】
波長変換層の厚み(積層構造を有する場合には、その総厚み)は、好ましくは1μm〜500μmであり、より好ましくは100μm〜400μmである。波長変換層の厚みがこのような範囲であれば、変換効率および耐久性に優れ得る。波長変換層が積層構造を有する場合の各層の厚みは、好ましくは1μm〜300μmであり、より好ましくは10μm〜250μmである。
【0070】
波長変換層の厚み50μm換算の水蒸気透過率(透湿度)は、好ましくは100g/m・day以下であり、より好ましくは80g/m・day以下である。水蒸気透過率は、40℃、90%RHの雰囲気下において、JIS K7129に準拠した測定法によって測定され得る。
【0071】
H−3.バリア機能
マトリックスが樹脂フィルムまたは粘着剤のいずれの場合であっても、波長変換層は、好ましくは、酸素および/または水蒸気に対してバリア機能を有する。本明細書において「バリア機能を有する」とは、波長変換層に侵入する酸素および/または水蒸気の透過量を制御して波長変換材料をこれらから実質的に遮断することを意味する。波長変換層は、波長変換材料自体に例えばコアシェル型、テトラポッド型のような立体的構造を付与することによりバリア機能を発現し得る。また、波長変換層は、マトリックス材料を適切に選択することによりバリア機能を発現し得る。
【0072】
H−4.その他
波長変換層は、目的に応じて任意の適切な添加材をさらに含んでいてもよい。添加材としては、例えば、光拡散材料、光に異方性を付与する材料、光を偏光化する材料が挙げられる。光拡散材料の具体例としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレン系樹脂、またはこれらの共重合系樹脂で構成される微粒子が挙げられる。光に異方性を付与する材料および/または光を偏光化する材料の具体例としては、長軸と短軸で複屈折が異なる楕円球状微粒子、コアシェル型微粒子、積層型微粒子が挙げられる。添加剤の種類、数、配合量等は、目的に応じて適切に設定され得る。
【0073】
波長変換層は、例えば、マトリックス材料と波長変換材料と必要に応じて添加材とを含む液状組成物を塗布することにより形成され得る。例えばマトリックス材料が樹脂である場合には、波長変換層は、マトリックス材料と波長変換材料と必要に応じて添加材、溶媒および重合開始剤とを含む液状組成物を任意の適切な支持体に塗布し、次いで乾燥および/または硬化させることにより形成され得る。溶媒および重合開始剤は、使用するマトリックス材料(樹脂)の種類に応じて適切に設定され得る。塗布方法としては、任意の適切な塗布方法を用いることができる。具体例としては、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法が挙げられる。硬化条件は、使用するマトリックス材料(樹脂)の種類および組成物の組成等に応じて適切に設定され得る。なお、波長変換材料をマトリックス材料に添加する際には、粒子の状態で添加してもよく、溶媒に分散した分散液の状態で添加してもよい。波長変換層は、バリア層上に形成されてもよい。
【0074】
支持体に形成された波長変換層は、光学部材の他の構成要素(例えば、バリア層、低屈折率層、プリズムシート)に転写され得る。
【0075】
I.低屈折率層
低屈折率層の屈折率は、可能な限り空気の屈折率(1.00)に近いことが好ましい。具体的には、低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.30以下であり、より好ましくは1.20以下であり、さらに好ましくは1.15以下である。低屈折率層の屈折率の下限は、例えば1.01である。低屈折率層の屈折率がこのような範囲であれば、空気層を排除して顕著な薄型化を実現しつつ、高い輝度を有する液晶表示装置を実現することができる。
【0076】
低屈折率層は、代表的には、内部に空隙を有する。低屈折率層の空隙率は、任意の適切な値をとり得る。上記空隙率は、例えば5%〜99%であり、好ましくは25%〜95%である。空隙率が上記範囲内であることにより、低屈折率層の屈折率を充分低くすることができ、かつ高い機械的強度を得ることができる。
【0077】
上記内部に空隙を有する低屈折率層としては、例えば、粒子状、繊維状、平板状の少なくとも一つの形状を有する構造からなっていても良い。粒子状を形成する構造体(構成単位)は、実粒子でも中空粒子でもよく、具体的にはシリコーン粒子や微細孔を有するシリコーン粒子、シリカ中空ナノ粒子やシリカ中空ナノバルーンなどが挙げられる。繊維状の構成単位は、例えば、直径がナノサイズのナノファイバーであり、具体的にはセルロースナノファイバーやアルミナナノファイバー等が挙げられる。平板状の構成単位は、例えば、ナノクレイが挙げられ、具体的にはナノサイズのベントナイト(例えばクニピアF[商品名])などが挙げられる。また、低屈折率層の空隙構造において、空隙構造を形成する単一もしくは一種類または複数種類からなる構成単位同士は、触媒作用を介して、例えば、直接的または間接的に化学的に結合している部分を含んでいる。なお、本発明において、構成単位同士が「間接的に結合している」とは、構成単位量以下の少量のバインダー成分を仲介して構成単位同士が結合していることを指す。構成単位同士が「直接的に結合している」とは、構成単位同士が、バインダー成分等を介さずに直接結合していることを指す。
【0078】
低屈折率層を構成する材料としては、任意の適切な材料を採用し得る。上記材料としては、例えば、国際公開第2004/113966号パンフレット、特開2013−254183号公報、および特開2012−189802号公報に記載の材料を採用し得る。具体的には、例えば、シリカ系化合物;加水分解性シラン類、ならびにその部分加水分解物および脱水縮合物;有機ポリマー;シラノール基を含有するケイ素化合物;ケイ酸塩を酸やイオン交換樹脂に接触させることにより得られる活性シリカ;重合性モノマー(例えば、(メタ)アクリル系モノマー、およびスチレン系モノマー);硬化性樹脂(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フッ素含有樹脂、およびウレタン樹脂);およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
上記有機ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン、およびポリプロピレン)、ポリウレタン類、フッ素含有ポリマー(例えば、フッ素含有モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体)、ポリエステル類(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体(本明細書では(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を意味し、「(メタ)」は、全てこのような意味で用いるものとする。))、ポリエーテル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリ尿素類、およびポリカーボネート類が挙げられる。
【0080】
上記材料は、好ましくは、シリカ系化合物;加水分解性シラン類、ならびにその部分加水分解物および脱水縮合物;を含む。
【0081】
上記シリカ系化合物としては、例えば、SiO(無水ケイ酸);SiOと、NaO−B(ホウケイ酸)、Al(アルミナ)、B、TiO、ZrO、SnO、Ce、P、Sb、MoO、ZnO、WO、TiO−Al、TiO−ZrO、In−SnO、およびSb−SnOからなる群より選択される少なくとも1つの化合物と、を含む化合物(上記「−」は、複合酸化物であることを示す。);が挙げられる。
【0082】
上記加水分解性シラン類としては、例えば、置換基(例えば、フッ素)を有していてもよいアルキル基を含有する加水分解性シラン類が挙げられる。上記加水分解性シラン類、ならびにその部分加水分解物および脱水縮合物は、好ましくは、アルコキシシラン、およびシルセスキオキサンである。
【0083】
アルコキシシランはモノマーでも、オリゴマーでも良い。アルコキシシランモノマーはアルコキシル基を3つ以上有するのが好ましい。アルコキシシランモノマーとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、およびジメチルジエトキシシランが挙げられる。アルコキシシランオリゴマーとしては、上記モノマーの加水分解及び重縮合により得られる重縮合物が好ましい。上記材料としてアルコキシシランを用いることにより、優れた均一性を有する低屈折率層が得られる。
【0084】
シルセスキオキサンは、一般式RSiO1.5(ただしRは有機官能基を示す。)により表されるネットワーク状ポリシロキサンの総称である。Rとしては、例えば、アルキル基(直鎖でも分岐鎖でも良く、炭素数1〜6である。)、フェニル基、およびアルコキシ基(例えば、メトキシ基、およびエトキシ基)が挙げられる。シルセスキオキサンの構造としては、例えば、ラダー型、および籠型が挙げられる。上記材料としてシルセスキオキサンを用いることにより、優れた均一性、耐候性、透明性、および硬度を有する低屈折率層が得られる。
【0085】
上記粒子としては、任意の適切な粒子を採用し得る。上記粒子は、代表的には、シリカ系化合物からなる。
【0086】
シリカ粒子の形状は、例えば透過電子顕微鏡で観察することによって確認できる。上記粒子の平均粒子径は、例えば5nm〜200nmであり、好ましくは10nm〜200nmである。上記構成を有することにより、充分に屈折率が低い低屈折率層を得ることができ、かつ低屈折率層の透明性を維持することができる。なお、本明細書では、平均粒子径とは、窒素吸着法(BET法)により測定された比表面積(m/g)から、平均粒子径=(2720/比表面積)の式によって与えられた値を意味するものとする(特開平1−317115号参照)。
【0087】
低屈折率層を得る方法としては、例えば、特開2010−189212号公報、特開2008−040171号公報、特開2006−011175号公報、国際公開第2004/113966号パンフレット、およびそれらの参考文献に記載された方法が挙げられる。具体的には、シリカ系化合物;加水分解性シラン類、ならびにその部分加水分解物および脱水縮合物の少なくともいずれか1つを加水分解及び重縮合させる方法、多孔質粒子および/または中空微粒子を用いる方法、ならびにスプリングバック現象を利用してエアロゲル層を生成する方法、ゾルゲルにより得られたゲルを粉砕し、かつ上記粉砕液中の微細孔粒子同士を触媒等で化学的に結合させた粉砕ゲルを用いる方法、等が挙げられる。ただし、低屈折率層は、この製造方法に限定されず、どのような製造方法により製造しても良い。
【0088】
低屈折率層のヘイズは、例えば0.1%〜30%であり、好ましくは0.2〜10%である。
【0089】
低屈折率層の機械強度は、例えば、ベンコット(登録商標)による耐擦傷性が60%〜100%であることが望ましい。
【0090】
低屈折率層が波長変換層に隣接して形成される場合、低屈折率層と波長変換層との間の投錨力は特に制限されないが、例えば0.01N/25mm以上であり、好ましくは0.1N/25mm以上であり、より好ましくは1N/25mm以上である。なお、上記機械強度や投錨力を上げるために、塗膜形成前後や任意の適切な接着層、もしくは他部材との貼り合わせ前後の工程にて、下塗り処理、加熱処理、加湿処理、UV処理、コロナ処理、プラズマ処理等を施しても良い。
【0091】
低屈折率層の厚みは、好ましくは100nm〜5000nmであり、より好ましくは200nm〜4000nmであり、さらに好ましくは300nm〜3000nmであり、特に好ましくは500nm〜2000nmである。低屈折率層の厚みがこのような範囲であれば、可視光領域の光に対して光学的に十分機能を発現するとともに、優れた耐久性を有する低屈折率層を実現できる。
【0092】
J.光拡散層
光拡散層は、光拡散素子で構成されてもよく、光拡散粘着剤で構成されてもよい。光拡散素子は、マトリクスと当該マトリクス中に分散した光拡散性微粒子とを含む。光拡散粘着剤は、マトリクスが粘着剤で構成される。
【0093】
光拡散層の光拡散性能は、例えば、ヘイズ値および/または光拡散半値角で表すことができる。光拡散層のヘイズ値は、好ましくは50%〜95%であり、より好ましくは60%〜95%であり、さらに好ましくは70%〜95%である。ヘイズ値を上記範囲にすることで、所望の拡散性能が得られ、モアレの発生を良好に抑制することができる。光拡散層の光拡散半値角は、好ましくは5°〜50°であり、より好ましくは10°〜30°である。光拡散層の光拡散性能は、マトリクス(光拡散粘着剤の場合は粘着剤)の構成材料、ならびに、光拡散性微粒子の構成材料、体積平均粒子径および配合量等を調整することにより制御することができる。
【0094】
光拡散層の全光線透過率は、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。
【0095】
光拡散層の厚みは、構成および拡散性能等に応じて適切に調整することができる。例えば、光拡散層が光拡散素子で構成される場合には、厚みは好ましくは5μm〜200μmである。また例えば、光拡散層が光拡散粘着剤で構成される場合には、厚みは好ましくは5μm〜100μmである。
【0096】
上記のとおり、光拡散層は、光拡散素子で構成されてもよく、光拡散粘着剤で構成されてもよい。光拡散層が光拡散素子で構成される場合には、光拡散層は、マトリクスと当該マトリクス中に分散した光拡散性微粒子とを含む。マトリクスは、例えば電離線硬化型樹脂で構成される。電離線としては、例えば、紫外線、可視光、赤外線、電子線が挙げられる。好ましくは紫外線であり、したがって、マトリクスは、好ましくは紫外線硬化型樹脂で構成される。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、脂肪族系(例えば、ポリオレフィン)樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。光拡散性微粒子は、光拡散層が光拡散粘着剤で構成される形態について後述するとおりである。
【0097】
好ましくは、光拡散層は光拡散粘着剤で構成される。このような構成を採用することにより、光拡散層が光拡散素子で構成される場合に必要とされる接着層(接着剤層または粘着剤層)が不要となるので、光学部材(結果として、液晶表示装置)の薄型化に寄与し、かつ、接着層の液晶表示装置の表示特性に対する悪影響を排除することができる。この場合、光拡散層は、粘着剤と当該粘着剤中に分散した光拡散性微粒子とを含む。粘着剤としては、任意の適切なものを用いることができる。具体例としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、セルロース系粘着剤等が挙げられ、好ましくは、アクリル系粘着剤である。アクリル系粘着剤を用いることにより、耐熱性および透明性に優れた光拡散層が得られ得る。粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0098】
アクリル系粘着剤としては、任意の適切なものを用いることができる。アクリル系粘着剤のガラス転移温度は、好ましくは−60℃〜−10℃であり、より好ましくは−55℃〜−15℃である。アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、好ましくは20万〜200万であり、より好ましくは25万〜180万である。このような特性を有するアクリル系粘着剤を用いることにより、適切な粘着性を得ることができる。アクリル系粘着剤の屈折率は、好ましくは1.40〜1.65であり、より好ましくは1.45〜1.60である。
【0099】
上記アクリル系粘着剤は、通常、粘着性を与える主モノマー、凝集性を与えるコモノマー、粘着性を与えつつ架橋点となる官能基含有モノマーを重合させて得られる。上記特性を有するアクリル系粘着剤は、任意の適切な方法で合成することができ、例えば、大日本図書(株)発行 中前勝彦著「接着・粘着の化学と応用」を参考に合成できる。
【0100】
光拡散層中における粘着剤の含有量は、好ましくは50重量%〜99.7重量%であり、より好ましくは52重量%〜97重量%である。
【0101】
光拡散性微粒子としては、任意の適切なものを用いることができる。具体例としては、無機微粒子、高分子微粒子などが挙げられる。光拡散性微粒子は、好ましくは高分子微粒子である。高分子微粒子の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、メタアクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル)、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、粘着剤に対する優れた分散性および粘着剤との適切な屈折率差を有するので、拡散性能に優れた光拡散層が得られ得る。好ましくは、シリコーン樹脂、ポリメタクリル酸メチルである。光拡散性微粒子の形状は、例えば、真球状、扁平状、不定形状であり得る。光拡散性微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0102】
光拡散性微粒子の体積平均粒子径は、好ましくは1μm〜10μmであり、より好ましくは1.5μm〜6μmである。体積平均粒子径を上記範囲にすることにより、優れた光拡散性能を有する光拡散層を得ることができる。体積平均粒子径は、例えば、超遠心式自動粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0103】
光拡散性微粒子の屈折率は、好ましくは1.30〜1.70であり、より好ましくは1.40〜1.65である。
【0104】
光拡散性微粒子とマトリクス(代表的には、電離線硬化型樹脂または粘着剤)との屈折率差の絶対値は、好ましくは0を超えて0.2以下であり、より好ましくは0を超えて0.15以下であり、さらに好ましくは0.01〜0.13である。
【0105】
光拡散層中における光拡散性微粒子の含有量は、好ましくは0.3重量%〜50重量%であり、より好ましくは3重量%〜48重量%である。光拡散性微粒子の配合量を上記の範囲にすることにより、優れた光拡散性能を有する光拡散層を得ることができる。
【0106】
K.バリア層
バリア層は、好ましくは、酸素および/または水蒸気に対してバリア機能を有する。バリア層を設けることにより、酸素および/または水蒸気による波長変換材料の劣化を防止し、結果として、波長変換層の機能の長寿命化を達成することができる。バリア層の酸素透過率は、好ましくは500cc/m・day・atm以下であり、より好ましくは100cc/m・day・atm以下であり、さらに好ましくは50cc/m・day・atm以下である。酸素透過率は、25℃、100%RHの雰囲気下において、JIS K7126に準拠した測定法によって測定され得る。バリア層の水蒸気透過率(透湿度)は、好ましくは500g/m・day以下であり、より好ましくは100g/m・day以下であり、さらに好ましくは、50g/m・day以下である。
【0107】
バリア層は、代表的には、樹脂フィルムに例えば、金属蒸着膜、金属またはケイ素の酸化物膜、酸化窒化膜または窒化膜、金属箔が積層された積層フィルムである。光学部材の構成によっては、樹脂フィルムは省略されてもよい。好ましくは、樹脂フィルムは、バリア機能、透明性および/または光学的等方性を有し得る。このような樹脂の具体例としては、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。好ましくは、環状オレフィン系樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、アクリル系樹脂(例えば、主鎖中にラクトン環やグルタルイミド環などの環状構造を有するアクリル系樹脂)である。これらの樹脂は、バリア機能、透明性および光学的等方性のバランスに優れ得る。
【0108】
金属蒸着膜の金属としては、例えば、In、Sn、Pb、Cu、Ag、Tiが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、ITO、IZO、AZO、SiO、MgO、SiO、SixOy、Al、GeO、TiOが挙げられる。金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔が挙げられる。
【0109】
また、バリア層として、アクティブバリアフィルムを用いてもよい。アクティブバリアフィルムは、酸素と反応して積極的に酸素を吸収するフィルムである。アクティブバリアフィルムは市販されている。市販品の具体例としては、東洋紡の「オキシガード」、三菱瓦斯化学の「エージレス・オーマック」、共同印刷の「オキシキャッチ」、クラレの「エバールAP」が挙げられる。
【0110】
バリア層の厚みは、例えば50nm〜50μmである。
【実施例】
【0111】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。実施例における試験および評価方法は以下のとおりである。また、特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は重量基準である。
【0112】
(1)屈折率および膜厚の測定方法
エリプソメーター(製品名「ウーラムM2000」、J.A.Woollam株式会社製)を用いて反射測定を行うことにより、屈折率および膜厚を求めた。
(2)カラーシフトの評価方法
液晶表示装置に白画像を表示させ、コノスコープ(AUTRONIC MELCHERS株式会社製)を用いて、極角0°〜60°方向における方位角0°〜360°の色相、x値およびy値を測定した。
【0113】
<実施例1>
(波長変換材料、プリズムシート)
市販のタブレットPC(AMAZON社製、商品名「Kindle Fire HDX 8.9」)を分解し、バックライト側に含まれる波長変換材料(波長変換層)およびプリズムシートを用いた。
【0114】
(反射型偏光子)
SHARP社製40型TV(製品名:AQUOS、品番:LC40−Z5)を分解し、バックライト部材から反射型偏光子を取り出した。この反射型偏光子の両面に設けられている拡散層を除去し、本実施の反射型偏光子とした。
【0115】
(偏光板の作製)
ポリビニルアルコールを主成分とする高分子フィルム[クラレ製 商品名「9P75R(厚み:75μm、平均重合度:2,400、ケン化度99.9モル%)」]を水浴中に1分間浸漬させつつ搬送方向に1.2倍に延伸した後、ヨウ素濃度0.3重量%の水溶液中で1分間浸漬することで、染色しながら、搬送方向に、全く延伸していないフィルム(原長)を基準として3倍に延伸した。次いで、この延伸フィルムを、ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%の水溶液中に浸漬しながら、搬送方向に、原長基準で6倍までさらに延伸し、70℃で2分間乾燥することにより、偏光子を得た。
一方、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタ社製、製品名「KC4UW」、厚み:40μm)の片面に、アルミナコロイド含有接着剤を塗布し、これを上記で得られた偏光子の片面に両者の搬送方向が平行となるようにロールトゥロールで積層した。なお、アルミナコロイド含有接着剤は、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度1200、ケン化度98.5モル%、アセトアセチル化度5モル%)100重量部に対して、メチロールメラミン50重量部を純水に溶解し、固形分濃度3.7重量%の水溶液を調製し、この水溶液100重量部に対して、正電荷を有するアルミナコロイド(平均粒子径15nm)を固形分濃度10重量%で含有する水溶液18重量部を加えて調製した。続いて、偏光子の反対側の面にも同様に、上記アルミナコロイド含有接着剤を塗布したTACフィルムを、これらの搬送方向が平行となるようにロールトゥロールで積層し、その後55℃で6分間乾燥させた。このようにして、TACフィルム/偏光子/TACフィルムの構成を有する偏光板を得た。
【0116】
(液晶表示装置の作製)
IPSモードの液晶表示装置(AMAZON社製、商品名「Kindle fire HDX 9.8」)から液晶セルを取り出した。当該液晶セルの視認側に上記で得られた偏光板をアクリル系粘着剤を介して貼り合わせた。一方、上記で得られた偏光板と反射型偏光子とをアクリル系粘着剤を介して貼り合せた。さらに、反射型偏光子の偏光板とは反対側の面にアクリル系の光硬化型接着剤を塗布し、プリズムシートの凸部を接着させ、偏光板/反射型偏光子/プリズムシートの構成を有する光学部材を得た。ここで、凸部が点接着されている接着層の厚みは3μmであった。上記液晶セルの視認側偏光板が貼り合わされていない側に、上記で得られた光学部材と上記で得られたプリズムシートと上記で得られた波長変換材料とをこの順に別置きで組み込み、さらにバックライトユニットを組み込んで液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置の色相を測定した。結果を表1に示す。
【0117】
<実施例2>
プリズムシートを2枚用い、実施例1と同様にして第2のプリズムシートの凸部を第1のプリズムシートの平坦面に点接着させ、偏光板/反射型偏光子/第1のプリズムシート/第2のプリズムシートの構成を有する光学部材を得た。この光学部材と波長変換材料とをこの順に別置きで組み込んだこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0118】
<実施例3>
(低屈折率層の作製)
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタ社製、製品名「KC4UYW」、厚み:40μm)の表面に、下記のようにして低屈折率層を形成した。ジメチルスルホキシド(DMSO)2.2gにケイ素化合物の前駆体であるメチルトリメトキシシラン(MTMS)を0.95g溶解させた混合液に、0.01mol/Lのシュウ酸水溶液を0.5g添加し、室温で30分撹拌を行うことでMTMSを加水分解して、トリス(ヒドロキシ)メチルシランを生成した。その後、DMSO 5.5gに、28%濃度のアンモニア水0.38gおよび純水0.2gを添加した後、上記加水分解処理した混合液をさらに添加し、室温で15分撹拌することで、トリス(ヒドロキシ)メチルシランのゲル化を行い、ゲル状ケイ素化合物を得た。上記ゲル化処理を行った混合液を、そのまま40℃で20時間インキュベートして熟成処理を行った。次に、上記熟成処理したゲル状ケイ素化合物を、スパチュラを用いて数mm〜数cmサイズの顆粒状に砕いた。そこに、イソプロピルアルコール(IPA)40gを添加し、軽く撹拌した後、室温で6時間静置して、ゲル中の溶媒および触媒をデカンテーションした。同様のデカンテーション処理を3回繰り返し、溶媒置換を完了した。そして、上記混合液中のゲル状ケイ素化合物を粉砕処理した。粉砕処理は、ホモジナイザー(商品名「UH−50」、エスエムテー社製)を使用し、5cmのスクリュー瓶に、ゲル1.18g、IPA1.14gを秤量した後、50W、20kHzの条件で2分間の粉砕を行った。上記粉砕処理によって、上記混合液中のゲル状ケイ素化合物が粉砕され、その結果、上記混合液は粉砕物のゾル液となった。上記混合液に含まれる粉砕物の粒度バラツキを示す体積平均粒子径を確認したところ、0.5μm〜0.7μmであった。さらに、0.3重量%のKOH水溶液を用意し、前記ゾル液0.5gに対して0.02gのKOHを添加して、塗工液を調製した。TACフィルム面に上記塗工液をコーティングし、80℃で1分間乾燥することにより得られる層を低屈折率層とした。この層の膜厚及び屈折率を評価したところ、膜厚1000nm、屈折率1.07であった。
【0119】
(プリズムシートの点接着)
実施例1で得られたプリズムシートを2枚用い、第1のプリズムシートの平滑面にアクリル系の光硬化型接着剤を塗布し、第2のプリズムシートの凸部を接着させるようにして第1のプリズムシート/第2のプリズムシートの積層体を作製した。このとき、凸部が点接着されている接着層の厚みは3μmであった。
(光学部材の作成)
上記で得られた低屈折率層を塗工したTACと実施例1で得られた波長変換材料(波長変換層)とをアクリル系粘着剤を介して貼り合せ、さらにそのTAC面と、上記で得られたプリズムシートの積層体とをアクリル系粘着剤を介して貼り合せ、第1のプリズムシート/第2のプリズムシート/低屈折率層/波長変換材料(波長変換層)の構成を有する光学部材を得た。
【0120】
(液晶表示装置の作製)
IPSモードの液晶表示装置(AMAZON社製、商品名「Kindle fire HDX 9.8」)から液晶セルを取り出した。当該液晶セルの視認側に実施例1で得られた偏光板をアクリル系粘着剤を介して貼り合わせた。一方、実施例1で得られた偏光板と反射型偏光子とをアクリル系粘着剤を介して貼り合せた。上記液晶セルの視認側偏光板が貼り合わされていない側に、上記で得られた偏光板/反射型偏光子の積層体と上記で得られた光学部材とをこの順に別置きで組み込み、さらにバックライトユニットを組み込んで液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置の色相を測定した。結果を表1に示す。
【0121】
<実施例4>
IPSモードの液晶表示装置(AMAZON社製、商品名「Kindle fire HDX 9.8」)から液晶セルを取り出した。当該液晶セルの視認側に実施例1で得られた偏光板をアクリル系粘着剤を介して貼り合わせた。一方、実施例1と同様にして、偏光板/反射型偏光子/プリズムシート(第1のプリズムシートに対応する)の構成を有する光学部材Aを得た。また、プリズムシートを1枚のみ用いたこと以外は実施例3と同様にして、プリズムシート(第2のプリズムシートに対応する)/低屈折率層/波長変換材料(波長変換層)の構成を有する光学部材Bを得た。上記液晶セルの視認側偏光板が貼り合わされていない側に、上記で得られた光学部材Aと光学部材Bとをこの順に別置きで組み込み、さらにバックライトユニットを組み込んで液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置の色相を測定した。結果を表1に示す。
【0122】
<比較例1>
液晶セルの視認側と反対側に実施例1と同様にして得られた偏光板/反射型偏光子の積層体と2枚のプリズムシートと波長変換材料とをこの順に別置きで組み込んだこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0123】
<比較例2>
プリズムシートを1枚のみ用いたこと以外は実施例3と同様にして、プリズムシート/低屈折率層/波長変換層の構成を有する光学部材を作製した。液晶セルの視認側と反対側に実施例1と同様にして得られた偏光板/反射型偏光子の積層体と上記で得られた光学部材とをこの順に別置きで組み込んだこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0124】
【表1】
【0125】
<評価>
実施例1〜4ならびに比較例1〜2に関して、表1に対応する色度図を図3に比較して示す。図3から明らかなように、本発明の実施例の液晶表示装置はニュートラルに近い色相が実現されていることがわかる。一方、比較例1の液晶表示装置は白っぽくかつ黄色みがかっており、比較例2の液晶表示装置は青みがかっていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の液晶表示装置は、携帯情報端末(PDA),携帯電話,時計,デジタルカメラ,携帯ゲーム機などの携帯機器、パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機などのOA機器、ビデオカメラ,液晶テレビ,電子レンジなどの家庭用電気機器、バックモニター,カーナビゲーションシステム用モニター,カーオーディオなどの車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニターなどの展示機器、監視用モニターなどの警備機器、介護用モニター,医療用モニターなどの介護・医療機器などの各種用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0127】
10 液晶セル
20 視認側偏光板
30 背面側偏光板
40 反射型偏光子
50 第1のプリズムシート
60 第2のプリズムシート
70 波長変換層
100 液晶表示装置
図1
図2
図3