(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
組成物および方法のある特定の実施形態についての言及がこれよりなされる。開示された実施形態は、特許請求の範囲を限定することを意図していない。それとは反対に、特許請求の範囲は、すべての代替形態、修正、および均等物を網羅することを意図する。
【0019】
詳細な説明
以下の詳細な説明の目的のため、本開示により提供される実施形態は、それとは反対であることが明示的に特定されている場合を除いて、様々な代替の変化形およびステップの順序を想定し得ることが理解されるものとする。さらに、任意の作業実施例以外、または他に示されている以外は、例えば、明細書および特許請求の範囲に使用されている成分の量を表現するすべての数は、すべての事例において、「約」という用語によって修飾されているものと理解される。したがって、特にそれとは反対の指示がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲において示された数値パラメーターは、本発明により得られることになる所望の特性に応じて異なり得る近似値である。少なくとも、および特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定しようとする試みとしてではなく、各数値パラメーターは、報告された有効数字の数を考慮しておよび普通の丸め技術を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
【0020】
広範な本発明の範囲を示す数値範囲およびパラメーターは近似値であるにもかかわらず、具体例で示された数値はできるだけ正確に報告されている。しかし、任意の数値は、これらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に含有する。
【0021】
また、本明細書で記載された任意の数値範囲は、その中に含まれるすべての部分範囲を含むことを意図することを理解すべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、記載された最小値である1と、記載された最大値である10との間(および1と10を含む)、すなわち、1と等しいまたはそれ超の最小値および10と等しいまたはそれ未満の最大値を有するすべての部分範囲を含むことを意図する。
【0022】
2つの文字または記号間のものではないダッシュ記号(「−」)は、置換基に対するまたは2個の原子間での結合の点を示すために使用される。例えば、−CONH
2は炭素原子を介して結合している。
【0023】
「アルカンジイル」は、例えば、1〜18個の炭素原子(C
1〜18)、1〜14個の炭素原子(C
1〜14)、1〜6個の炭素原子(C
1〜6)、1〜4個の炭素原子(C
1〜4)、または1〜3個の炭化水素原子(C
1〜3)を有する、飽和した、分枝または直鎖の、非環式炭化水素基のジラジカルを指す。分枝アルカンジイルは、最低3個の炭素原子を有することを理解されたい。アルカンジイルは、C
2〜14アルカンジイル、C
2〜10アルカンジイル、C
2〜8アルカンジイル、C
2〜6アルカンジイル、C
2〜4アルカンジイル、またはC
2〜3アルカンジイルであることができる。アルカンジイル基の例として、メタン−ジイル(−CH
2−)、エタン−1,2−ジイル(−CH
2CH
2−)、プロパン−1,3−ジイルおよびイソ−プロパン−1,2−ジイル(例えば、−CH
2CH
2CH
2−および−CH(CH
3)CH
2−)、ブタン−1,4−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ペンタン−1,5−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘキサン−1,6−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘプタン−1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、およびドデカン−1,12−ジイルなどが挙げられる。
【0024】
「アルカンシクロアルカン」は、1つまたは複数のシクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基ならびに1つまたは複数のアルキルおよび/またはアルカンジイル基を有する飽和炭化水素基を指し、シクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキル、およびアルカンジイルは本明細書で定義されている。各シクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基(複数可)はC
3〜6、C
5〜6、シクロヘキシルまたはシクロヘキサンジイルであることができる。各アルキルおよび/またはアルカンジイル基(複数可)は、C
1〜6、C
1〜4、C
1〜3、またはメチル、メタンジイル、エチル、またはエタン−1,2−ジイルであることができる。アルカンシクロアルカン基は、C
4〜18アルカンシクロアルカン、C
4〜16アルカンシクロアルカン、C
4〜12アルカンシクロアルカン、C
4〜8アルカンシクロアルカン、C
6〜12アルカンシクロアルカン、C
6〜10アルカンシクロアルカン、またはC
6〜9アルカンシクロアルカンであることができる。アルカンシクロアルカン基の例として、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサンおよびシクロヘキシルメタンが挙げられる。
【0025】
「アルカンシクロアルカンジイル」は、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。アルカンシクロアルカンジイル基は、C
4〜18アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜16アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜12アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜8アルカンシクロアルカンジイル、C
6〜12アルカンシクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、またはC
6〜9アルカンシクロアルカンジイルであることができる。アルカンシクロアルカンジイル基の例として、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン−1,5−ジイルおよびシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
【0026】
「アルケニル」は−CH=CH
2基を指す。アルケニル末端化合物は、1つまたは複数のアルケニル基を有する化合物を指す。アルケニル末端化合物は、式:
CH
2=CH−R−CH=CH
2
の化合物を含むことができ、
式中、Rは、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択され、
ここで、各R
4は、独立して、水素およびメチルから選択され、
各Xは、独立して、−O−、−S−、および−NR−(式中、Rは、水素およびメチルから選択される)から選択され、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である。
アルケニル末端化合物は、2、3、または4つの末端アルケニル基を有し得る。アルケニル末端化合物はアルケニル末端化合物の混合物を含み得る。アルケニル末端化合物は、ポリビニルエーテル、ポリアリル化合物、またはこれらの組合せを含むことができる。アルケニル末端化合物は、ポリビニルエーテルまたはジビニルエーテルを含むことができる。アルケニル末端化合物は、ポリアリル化合物、またはトリアリル化合物、もしくはシアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、またはこれらの組合せを含むことができる。アルケニル末端化合物は、ジビニルエーテルおよびアルケニル末端三官能化剤を含むことができる。
【0027】
「アルコキシ」は、−OR基を指し、式中、Rは有機部分、例えば、C
1〜4アルキルまたはメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、またはイソ−ブチルなどである。
【0028】
「アルキル」は、例えば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、または1〜3個の炭素原子を有する飽和した、分枝または直鎖の、非環式の炭化水素基のモノラジカルを指す。分枝アルキルは、最低3個の炭素原子を有することを理解されたい。アルキル基は、C
1〜6アルキル、C
1〜4アルキル、またはC
1〜3アルキルであることができる。アルキル基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、およびテトラデシルなどが挙げられる。アルキル基は、C
1〜6アルキル、C
1〜4アルキル、またはC
1〜3アルキルである。分枝アルキルは少なくとも3個の炭素原子を有することを理解されたい。
【0029】
「アミノ官能性アルコキシシラン」は、第一級アミン基または第二級アミン基を有するアルコキシシランを指す。アミノ官能性アルコキシシランの例は、式(2)および式(3)の化合物で代表される。
【0030】
「シクロアルカンジイル」は、ジラジカルの飽和した単環式または多環式炭化水素基を指す。シクロアルカンジイル基は、C
3〜12シクロアルカンジイル、C
3〜8シクロアルカンジイル、C
3〜6シクロアルカンジイル、またはC
5〜6シクロアルカンジイルである。シクロアルカンジイル基の例として、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル、およびシクロヘキサン−1,2−ジイルが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」は、オリゴマー、ホモポリマー、およびコポリマーを指し、これらは、硬化していても、または未硬化でもよい。別途述べられていない限り、分子量は、例えば、当技術分野において承認されている方式でポリスチレン標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィーにより決定されるような「M
n」として示されたポリマー材料についての数平均分子量である。別途述べられていない限り、分子量は、例えば、当技術分野において承認されている方式でポリスチレン標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィーにより決定し得るような「M
n」として示されたポリマー材料についての数平均分子量である。
【0032】
「プレポリマー」は硬化前のポリマーを指す。一般的に、本開示により提供されるプレポリマーは室温で液体である。「付加体」は反応性末端基で官能化したプレポリマーを指す。しかし、プレポリマーはまた末端官能基を含有してもよい。したがって、プレポリマーおよび付加体という用語は交換可能なように使用される。付加体という用語は、多くの場合、プレポリマーを調製するために使用される反応順序における中間体であるプレポリマーを指すように使用される。
【0033】
「硬化剤」は、硬化した架橋ポリマーを形成するために使用されるプレポリマーの反応性基と反応性である反応性基を有する化合物を指す。硬化剤として、モノマー、鎖延長剤、および架橋剤を挙げることができる。一般的に、硬化剤は、それと共に使用するプレポリマーの分子量より少ない低分子量により特徴付けられる。硬化剤およびプレポリマーは1対1の当量比で使用される。
【0034】
「シラン」という用語は、シラン、シラノール、シロキサン、ポリシロキサンならびに多くの場合「シラン」混合物であるこれらの反応生成物および/または誘導体を表すために本明細書で使用されている。「縮合する」という用語は、本特許出願での意味では、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンのすべての形態の架橋、さらなる架橋およびさらなる化学反応を指す。シランの形態での添加が本明細書で通常想定されており、加えた少なくとも1つのシランは、多くの場合、少なくとも部分的に加水分解されており、水または湿気との最初の接触で少なくとも1つのシラノールを通常形成し、少なくとも1つのシロキサンがシラノールから形成され、後に任意選択で少なくとも1つのポリシロキサン(おそらく)もまた形成される。
【0035】
本明細書で「コーティング」という用語は、部分的または不完全な硬化および実質的に完全な硬化を含む。硬化をもたらす縮合は、周囲温度条件下で行われ、熱および/または真空の適用により加速することができる。
【0036】
「部分的に反応したシラン」または「部分的に反応したアルコキシシラン」は、1つまたは複数のアルコキシシランと水の反応生成物を指す。部分的に反応したアルコキシシランは、部分的に加水分解したアルコキシシラン、完全に加水分解したアルコキシシラン、部分的に縮合したアルコキシシラン、完全に縮合したアルコキシシラン、未反応のアルコキシシラン、エステル交換したアルコキシシラン、および前述のもののいずれかの組合せを含むことができる。部分的に反応したアルコキシシランは、アルコール希薄溶液中で安定している。部分的に反応したアルコキシシランはゲルとは区別される。
【0037】
オルガノ官能性モノ(アルコキシシラン)は、1つのアルコキシシラン基を有するアルコキシシランを指し、オルガノ官能性ビス(アルコキシシラン)は、2つのアルコキシシラン基を有するアルコキシシランを指し、オルガノ官能性トリス(アルコキシシラン)は、3つのアルコキシシラン基を有するアルコキシシランを指す。オルガノ官能基は、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、またはエポキシ基であることができる。オルガノ官能基は、チオール基と反応性であるか、またはアルケニル基と反応性であってよい。一般的に、オルガノ官能性アルコキシシランは、第一級または第二級アミン官能基を含まない。このようなアルコキシシランは、アミノ官能性アルコキシシランの範囲内に含まれている。
【0038】
アルコキシシランは、1つのアルコキシ基を有するシラン、2つのアルコキシ基を有するシラン、および3つのアルコキシ基を有するシランを指す。同様に、アルコキシシランは、アルコキシシラン基が1つ、2つ、または3つのアルコキシ基を有し得る少なくとも1つのアルコキシシラン基を有する化合物を指す。
【0039】
化合物、組成物、および方法のある特定の実施形態に対する言及がこれより詳細になされる。開示された実施形態は、特許請求の範囲を限定することを意図しない。それとは反対に、特許請求の範囲は、すべての代替形態、修正、および均等物を網羅することを意図する。
【0040】
本開示により提供される組成物は、部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランを含む。
【0041】
組成物は、部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランまたは部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランの混合物を含むことができる。
【0042】
部分的に反応したシラン組成物の厳密な化学構造は、既知ではないが、性能特質に少なくとも部分的に基づいて、部分的に反応したシランは、アルコキシシランモノマー、部分的にまたは完全に加水分解したアルコキシシランモノマー、および前述のより低分子量の縮合物の混合物を含むと考えられる。縮合生成物は分子量が十分に低いので、この種はアルコール溶媒中にいつまでも懸濁されたままであり、表面に適用された場合、250nm未満の厚さの薄い、均質なフィルムを形成する。表面に適用された場合、部分的に反応したシランの組成物は乾燥中および/または乾燥後にさらに反応し得る。部分的に反応したアルコキシシランのさらなる反応は、薄いコーティングの接着強度を増強する面内ネットワークを形成し得る。未反応のヒドロキシル基およびシロキサン基が表面の酸素原子および金属と反応して、接着強度を提供すると考えられる。未反応のオルガノ官能基は、上層コーティングまたはシーラントの反応性官能基との反応のために利用可能のままである。
【0043】
接着強度を増強するためにコーティングまたはシーラント組成物に加える接着促進剤は、表面へと移動して、表面の基と反応しなければならない。接着促進剤の移動および反応は、時間の経過と共に蓄積するので、より長い硬化時間を必要とする。対照的に、本開示により提供されるプライマーコーティングは、適用後表面と直接反応して、良好な接着強度を提供することができる。アルコール性溶媒を使用する場合、乾燥および接着強度の確立が1時間未満で起こり得、この時点で上層コーティングまたはシーラントを適用することができる。
【0044】
溶液中での部分的に反応したシランの化学構造は、分析技術を使用して決定するのが難しくあり得る。なぜなら、少なくとも部分的には、固形成分含有量が低いからであり、また集中することまたは環境を変化させることが、アルコール溶液中の、非加水分解および/または非縮合アルコキシシラン、加水分解したおよび/または縮合したアルコキシシラン、部分的に加水分解したおよび/または部分的に縮合したアルコキシシランと水との間の平衡を変える可能性があるからである。部分的に反応したアルコキシシラン組成物から調製した薄い、乾燥フィルムは、分光的に特徴付けることができるが、少なくともさらなる加水分解および/または縮合が適用後に生じ得ることから、乾燥したフィルムの特徴は溶液中の部分的に反応したアルコキシシランを代表するものではない可能性がある。
【0045】
図1は、未反応成分(実線)の溶液から形成された乾燥薄膜および部分的に反応したアルコキシシラン組成物(破線)から形成された乾燥薄膜についてのフーリエ変換赤外線(FTIR)スペクトルを示している。1120cm
−1〜1020cm
−1の範囲の赤外線バンドは、−Si−O−Si−結合に起因し、これらのバンドは、部分的に反応したアルコキシシランにおいて強度を増加させることが示されており、アルコキシシランが少なくとも部分的に縮合していることを示している。
【0046】
組成物は、5重量%〜30重量%の部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシラン、10重量%〜25重量%の部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシラン、または10重量%〜20重量%の部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランを含有し得る。重量%は組成物の総重量に対するものであり、組成物の固形成分含有量とも呼ばれる。組成物中の部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランは、加水分解していないオルガノ官能性アルコキシシラン、加水分解したオルガノ官能性オルガノ官能性アルコキシシラン、および縮合したオルガノ官能性アルコキシシランを含み、縮合したオルガノ官能性アルコキシシランは、部分的におよび/または完全に縮合していてもよく、ある範囲の分子量を示してもよい。
【0047】
組成物は、CAP 2000粘度計(平行プレート)を使用して25℃および剪断速度50rpmで測定した100cps未満の粘度を有することができる。
【0048】
本開示により提供される組成物は、0.7g/cc〜0.9g/cc、0.72g/cc〜0.88g/cc、0.74g/cc〜0.86g/cc、0.76g/cc〜0.84g/cc、0.78g/cc〜0.81g/cc、または0.79g/ccの理論密度を示すことができる。
【0049】
組成物は目視により透明であることができ、濁っていない。
【0050】
組成物は、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、または少なくとも6カ月の間室温で貯蔵安定性であることができる。貯蔵安定性は、組成物が透明なままであり、100センチポアズ未満の粘度を示し、その意図する目的のために使用することが可能であることを意味する。
【0051】
本開示により提供される組成物は、部分的に反応したアミノ官能性アルコキシシラン、および反応性有機基を有するオルガノ官能性アルコキシシランを含むことができる。オルガノ官能基は、例えば、エポキシ基、アルケニル基、メタクリレート基、およびアクリレート基から選択することができる。オルガノ官能基は、上層コーティングまたはシーラントの反応性官能基と反応するように選択することができる。例えば、上層コーティングがチオール−エン化学反応に基づく場合、オルガノ官能基は、チオール基またはアルケニル基と反応するように選択することができる。オルガノ官能基は、硬化反応に関与する上層コーティングの官能基と反応するように選択することができる。上層コーティングの前駆体またはプレポリマーは、硬化反応に関与しない反応性官能基を含有し得る。これらの基は末端基またはペンダント基であってよい。このような実施形態では、オルガノ官能基は、コーティングの硬化反応に関与しない官能基と反応するように選択することができる。部分的に反応したアルコキシシランは、部分的に加水分解したモノマー性アルコキシシラン、部分的に縮合したアルコキシシラン、完全に加水分解したアルコキシシランおよび/または完全に縮合したアルコキシシランの組合せを含むことができる。部分的に加水分解したアルコキシシランは、アルコキシ基の少なくとも1つが加水分解して、ヒドロキシル基を提供しているアルコキシシランを指す。部分的に縮合したアルコキシシランは、加水分解され、続いて、別の部分的または完全に加水分解したアルコキシシランのヒドロキシル基と反応して、−Si−O−Si−結合を形成しているアルコキシシランを指す。部分的に縮合したアルコキシシランは、少なくともいくつかの未反応のアルコキシおよび/またはヒドロキシル基を含有することになる。
【0052】
さらに、アルコール溶媒とアルコキシシランとの間で、エステル交換反応がある程度生じることもまた可能である。例えば、トリエトキシシランのエチル基をプロピル基で置き換えて、(ジエトキシ)プロポキシシラン、(エトキシ)ジプロポキシシラン、および/またはトリプロポキシシランを形成することができる。
【0053】
組成物はまた、完全に加水分解したおよび/または完全に縮合したアルコキシシランを含有することもできる。完全に加水分解したアルコキシシランは、アルコキシ基のすべてが加水分解されて、ヒドロキシ基を提供するアルコキシシランを指す。完全に縮合したアルコキシシランは、加水分解され、続いて、シラン基が−Si−O−Si−結合により他の3つのシラン基と結合するように、別の部分的または完全に加水分解したアルコキシシランのヒドロキシル基と反応するアルコキシシランを指す。
【0054】
本開示により提供される組成物は、アミノ官能性アルコキシシランおよびオルガノ官能性アルコキシシランを含み、オルガノ官能基はチオール基と反応性である。チオール基と反応性である基の例として、エポキシ基、アルケニル基、メタクリレート基、およびアクリレート基が挙げられる。したがって、オルガノ官能性アルコキシシランは、エポキシ官能性アルコキシシラン、アルケニル官能性アルコキシシラン、メタクリレート官能性アルコキシシラン、アクリレート官能性アルコキシシラン、および前述のもののいずれかの組合せから選択することができる。
【0055】
本開示により提供される組成物は、チオール基と反応性である反応性基を含む。チオール基と反応性である反応性基は、例えば、上層のシーラントまたはコーティング組成物のプレポリマーまたは他の構成成分の反応性のチオール基と反応することができる。
【0056】
本開示により提供される組成物は、部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシラン、アルコール、および水から本質的になることができる。
【0057】
本開示により提供される組成物は、上層コーティングへの下層の表面の接着性を改善するためのプライマーコーティングとして使用することができる。本開示により提供されるプライマーコーティングは、チオール−エンベースのコーティングの、下層表面への接着性を増強するのに特に有用である。チオール−エンベースのコーティングは、チオール官能性化合物とアルケニル官能性化合物との反応により形成されたコーティングを指す。例えば、コーティングは、チオール官能性の硫黄含有プレポリマーとアルケニル官能性硬化剤との反応から、またはアルケニル官能性プレポリマーとチオール官能性硬化剤との反応から形成され得る。チオール−エンベースのコーティングは、例えば、紫外線(UV)照射などの化学線への曝露により硬化することができる。
【0058】
チオール−エン化学反応に基づくUV硬化性コーティングの例は、米国特許第7,438,974号、米国特許出願公開第2014/0186543号、米国特許出願公開第2013/0345372号、米国特許出願公開第2013/0284359号、米国特許出願公開第2013/0344287号、米国特許出願公開第2012/0040104号、米国特許出願公開第2014/0040103号、および米国特許出願公開第2015/0086726号において提供されている。
【0059】
本明細書で使用される場合、コーティングという用語は、例えば、フィルム、コーティング、およびシーラントを含むように幅広く使用することができる。
【0060】
本開示により提供される組成物は、アルコールおよび水中に部分的に反応したアルコキシシランを含有する。組成物は、5重量%〜25重量%のアルコキシシラン、10重量%〜20重量%、12.5重量%〜17.5重量%、または、15重量%のアルコキシシランを含有することができ、重量%は組成物の総重量に基づく。組成物は、100cps未満の粘度により特徴付けられる。
【0061】
本開示により提供される組成物は、70重量%〜90重量%のアルコール、72重量%〜88重量%、または75重量%〜85重量%のアルコールを含有することができる。
【0062】
プロパノールなどのアルコールに加えて、本開示により提供される組成物は水を含む。水は反応前に組成物に加えられる。一般的に、部分的に反応したアルコキシシランを形成するための反応後、組成物中の水の量は、未反応の組成物中の最初の水量よりも5%〜20%、例えば、10%〜15%少ない。部分的に反応したアルコキシシランを含有することができる本開示により提供される組成物は、0.5重量%〜10重量%の水、1重量%〜7重量%、1.5重量%〜5重量%、または2重量%〜3重量%の水を含む。
【0063】
本開示により提供される組成物は水を含むことができる。組成物は、アルコキシ基に対して0.9〜1.1当量の水、0.95〜1.05当量、または1当量を含むことができ、ここでは、アルコキシ基の数は縮合前のアルコキシ基の数である。
【0064】
担体溶媒としてのアルコールの使用および組成物の低い固形成分含有量は、部分的に反応したアルコキシシランの平衡を維持し、これによって、貯蔵寿命を増加させることにおいて重要となり得る。アルコール性溶媒はまた、表面への適用後、周囲の温度および湿度で、例えば、室温で急速に乾燥させることができる。実用的な用途に対しては、ある部分の表面全体で接着特性が一貫しているように均質な厚さでフィルムを適用することもまた重要である。厚い領域も薄い領域も表面全体にわたって変化する接着強度をもたらす可能性がある。組成物の固形成分含有量と部分的に反応したアルコキシシラン組成物の化学的性質のバランスは、乾燥させた表面フィルムの均質性に寄与すると考えられる。さらに、適用された薄膜の乾燥時間は、プライマーコーティングの接着強度に影響を及ぼし得るとも考えられる。例えば、部分的に反応したアルコキシシランの表面上でのいくらかの移動は、部分的に反応したアルコキシシランと表面官能基との反応を促進し、これによって、接着強度を改善すると考えられている。急速な乾燥は、完全な接着強度の発生を阻害する可能性があり、長期にわたる乾燥時間は、作用を生じないかもしれないか、または表面反応性基との反応を促進することとは対照的に、面内の縮合したアルコキシシランゲルおよび不均質なフィルムの形成を促進し得ると考えられている。
【0065】
一般的に、プライマーコーティングの接着強度は、アミン末端アルコキシシランの使用により改善される。反応性オルガノ官能基に近接しているアミン基は、オルガノ官能基と上層コーティングの官能基との反応を部分的に触媒すると考えられている。また、一般的に、プライマーコーティングの接着強度は、二脚型アルコキシシランの添加により改善される。二脚型アルコキシシランは、縮合アルコキシシランの架橋ネットワークを作り出すと考えられている。
【0066】
可能な結合配置の例は
図2および
図3に示されており、ここで、例えば、R
1は、メチルまたはエチルであることができ、R
2は、オルガノ官能基、例えば、アルケニル、エポキシ、アクリレート、メタクリレートまたは他の反応性基などである。加えて、示されていないが、表面に適用された場合、部分的に反応したアルコキシシラン組成物は、三次元ネットワークにより特徴付けられる薄膜を形成すると考えられている。
【0067】
この関連で、本開示により提供される部分的に反応した組成物は、この組成物で飽和したアプリケーターで塗りつけることによって適用されるように開発されたことも理解されるべきである。
【0068】
適用されたプライマー組成物は、上層コーティングまたはシーラントの硬化中にそれ自体硬化しなくてもよい。プライマーコーティングの表面上のオルガノ官能基間の反応は、コーティングが硬化している間にコーティングの官能基と反応するが、部分的に反応したアルコキシシラン薄膜のさらなる加水分解および/または縮合はコーティングが硬化している間に生じるとは考えられていない。
【0069】
本開示により提供される組成物は、アミノ官能性アルコキシシラン、オルガノ官能性アルコキシシランまたはオルガノ官能性アルコキシシランの混合物を、水の存在下、高温で反応させて、オルガノ官能性アルコキシシランを部分的に反応させることによって調製することができる。
【0070】
オルガノ官能性アルコキシシランは、オルガノ官能性モノ(アルコキシシラン)であることができ、これは、化合物が単一のアルコキシシラン基を有することを意味し、またはオルガノ官能性ジアルコキシシランであることができ、これは、化合物が2つのアルコキシシラン基を有することを意味し、またはオルガノ官能性モノ(アルコキシシラン)とオルガノ官能性ビス(アルコキシシラン)の組合せであることができる。オルガノ官能性アルコキシシランは、3つまたはそれ超のアルコキシシラン基、例えば、3〜6つのアルコキシシラン基を含むポリアルコキシシランであることができる。
【0071】
アミノ官能性アルコキシシランおよび/またはオルガノ官能性アルコキシシランは、(モノアルコキシ)シラン、(ジアルコキシ)シラン、(トリアルコキシ)シランまたは前述のもののいずれかの組合せであってよい。反応中、アルコキシシランは、少なくとも部分的に加水分解している、および/または縮合していると考えられている。
【0072】
オルガノ官能性アルコキシシランは、式(1)の構造:
R
6−R
5−Si(−O−R
4)
3(1)
を有することができ、式中、
各R
4は、独立して、C
1〜3アルキルから選択され、
各R
5は、独立して、C
1〜6アルカンジイルおよび結合から選択され、
各R
6は、末端反応性官能基を含む。
【0073】
式(1)のアルコキシシランにおいて、反応性官能基は、上層コーティングの構成成分の反応性基と反応性であることができる。式(1)のアルコキシシランにおいて、反応性官能基は、第一級アミン、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、またはエポキシから選択することができる。式(1)のアルコキシシランにおいて、R
6は、−CH=CH
2、−O−C(=O)−CH=CH
2、−O−C(=O)−C(−CH
3)=CH
2、または−CH(−O−CH
2−)から選択することができる。
【0074】
式(1)のアルコキシシランにおいて、各R
4は、独立して、メチル、エチルおよびプロピルから選択することができる。
【0075】
式(1)のオルガノ官能性アルコキシシランにおいて、R
1は反応性末端基を含むことができる。反応性末端基は、シーラントまたはコーティング組成物の反応性官能基と反応するように選択することができる。例えば、組成物がチオール−エン化学反応に基づくものであり、シーラントの下層にある接着層としての機能を果たすものである実施形態において、オルガノ官能性アルコキシシランは、チオール基と反応性であるアルケニル末端基を含むことができる。
【0076】
本開示により提供される組成物は、上層のシーラントもしくはコーティング組成物に含有されている化合物の反応性基と反応性であるオルガノ官能基を有するオルガノ官能性アルコキシシラン、上層のシーラントもしくはコーティング組成物の反応性基と反応性のないオルガノ官能基を有するオルガノ官能性アルコキシシラン、またはそれらの組合せを含むことができる。
【0077】
プライマー組成物はアミノ官能性アルコキシシランを含むことができる。
【0078】
アミノ官能性アルコキシシランは、式(2)の構造を有するアミノ官能性モノ(アルコキシシラン)、式(3)の構造を有するアミノ官能性ジ(アルコキシシラン)、またはそれらの組合せ:
(NH
2−R
5−)
nSi(−O−R
4)
4−n(2)
(R
4−O−)
3−Si−(CH
2)
o−NH−(CH
2)
o−Si−(−O−R
4)
3(3)
から選択することができ、式中、
nは、1、2、および3から選択され、
各oは、独立して、1〜4の整数から選択され、
各R
4は、独立して、C
1〜3アルキルから選択され、
各R
5は、独立して、C
1〜6アルカンジイルおよび結合から選択される。
【0079】
式(2)のアルコキシシランにおいて、nは1、2、または3であることができる。式(3)のアルコキシシランにおいて、各oは、独立して、1、2、3、または4から選択することができる。式(2)および式(3)のアルコキシシランにおいて、各R
4は、独立して、メチル、エチル、およびプロピルから選択することができる。
【0080】
オルガノ官能性アルコキシシランは、式(4)の構造:
(R
6−R
5−)
nSi(−O−R
4)
4−n(4)
を有するオルガノ官能性アルコキシシランを含むことができ、式中、
nは、1、2、および3から選択され、
各R
4は、独立して、C
1〜3アルキルから選択され、
各R
5は、独立して、C
1〜6アルカンジイルおよび結合から選択され、
各R
6は、末端反応性基を含む。
【0081】
式(4)のアルコキシシランにおいて、反応性官能基は、上層コーティングの構成成分の反応性基と反応性であることができる。式(4)のアルコキシシランでは、反応性官能基は、第一級アミン、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、またはエポキシから選択することができる。式(4)のアルコキシシランでは、R
6は、−CH=CH
2、−O−C(=O)−CH=CH
2、−O−C(=O)−C(−CH
3)=CH
2、または−CH(−O−CH
2−)から選択される。
【0082】
式(4)のアルコキシシランにおいて、各R
4は、独立して、メチル、エチルまたはプロピルから選択することができる。
【0083】
式(1)〜(4)のアルコキシシランにおいて、nは1であることができ、nは2であることができ、および/またはnは3であることができる。
【0084】
式(1)および(4)のアルコキシシランにおいて、R
6は−CH=CH
2であることができ、R
6は−O−C(=O)−CH=CH
2であることができ、またはR
6は−O−C(=O)−C(−CH
3)=CH
2であることができ、またはR
6は−CH(−O−CH
2−)であることができる。
【0085】
式(1)〜(4)のアルコキシシランにおいて、R
5は、メタン−ジイル、エタン−ジイル、1,2−プロパン−ジイル、C
1〜3アルカンジイル、C
1〜4アルカンジイルであることができ、またはR
5はC
1〜5アルカンジイルである。
【0086】
オルガノ官能性アルコキシシランは、アミノ官能性アルコキシシラン、ビニル官能性アルコキシシランおよびアクリレート官能性アルコキシシラン、メタクリレート官能性アルコキシシラン、ならびに前述のもののいずれかの組合せから選択することができる。組成物は、アミノ官能性アルコキシシランまたは別のオルガノ官能性アルコキシシランを含むことができる。
【0087】
適切なアミノ官能性アルコキシシランの例として、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、および3−アミノプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。
【0088】
適切なアミノ官能性アルコキシシランの他の例として、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(3-aminopropyltriethoxysilne)、ビス(3−トリエトキシシリル)プロピル]アミン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(3-aminopropyltrimethoxysilne)、ビス(3−トリメトキシシリル(bis(3-triemethoxysilyl)propylamine))プロピルアミン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ピペラジニルプロピルメチルジメトキシシラン、(N−フェニルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N−フェニルアミノ)メチルトリエトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、およびN−(N−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0089】
適切なアルケニル官能性アルコキシシランの例として、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、10−ウンデセニルシラン、ビス−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリスイソプロポキシシラン、ビニルトリス(tert−ブチルペルオキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、およびビニルメチルジエトキシシランが挙げられる。
【0090】
適切なアクリレート官能性アルコキシシランの例として、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0091】
適切なメタクリレート官能性アルコキシシランの例として、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリス−(2−プロポキシシラン)(3-methacryoloxypropyltris-(2-propoxysilane))、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(3-methacryloxoypropylmethyldimethoxysilane)、およびアクリルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0092】
適切なビス(アルコキシシラン)の例として、ビス−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−トリエトキシシリル)プロピル)アミン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(is(triethoxysilylpropyl)disulfide)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、および1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタンが挙げられる。
【0093】
オルガノ官能性アルコキシシランは、上層コーティングまたはシーラントを形成するために使用される硬化剤または架橋剤の反応性基と反応性である反応性官能基を有することができる。
【0094】
適切な二脚型シランの例として、Gelest SIB 1817.0、8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン(Gelest SIB 1824.0)、Gelest SIB 1831.0、および1,2−ビス(トリメトキシシリル)デカン(Gelest SIB 1829.0)、Gelest SIB 1833.0、SIB 1834.0、Gelest SIB 1142.0、Gelest SIB 1824.82、およびGelest SIB1824.5が挙げられる。
【0095】
適切なビニルシランの例として、メチルトリス(3−メトキシプロピレングリコキシ)シラン(methyltris(3-methyoxy propylene glycoxy)silane)、ビニルトリス(3−メトキシプロピレングリコキシ)シラン、およびフェニルトリス(3−メトキシプロピレングリコキシシラン)、Silquest(登録商標)G−170シラン、およびGelest SIU9048.0(10−ウンデセニルシラン)が挙げられる。
【0096】
適切なエポキシ官能性シランの例として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、および(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランが挙げられる。
【0097】
オルガノ官能性アルコキシシランまたはオルガノ官能性アルコキシシランの組合せを部分的に反応させる、例えば、加水分解/縮合させるため、アルコキシシランを、アルコール溶液中で水と反応させることができる。
【0098】
適切なアルコールの例として、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブタン−2−オール、2−メチルプロパン−1−オール、ペンタン−2−オール、3−メチルブタン−1−オール、2−メチルブタン−1−オール、ペンタン−3−オール、および前述のもののいずれかの組合せが挙げられる。アルコールはイソプロパノールであることができる。
【0099】
反応物質は、50℃〜90℃、55℃〜85℃、60℃〜85℃、60℃〜80℃、65℃〜75℃の温度、または70℃の温度で反応させることができる。
【0100】
反応物質は、高温で、30分間〜5時間、45分間〜3時間、1時間〜3時間、または1時間反応させることができる。
【0101】
本開示により提供される組成物を調製するため、化学量論的量の水をオルガノ官能性アルコキシシランと反応させることができ、ここで、化学量論的量は、アルコキシ基に対する水の当量を指す。例えば、オルガノ官能性トリアルコキシシランが使用される場合、水のオルガノ官能性トリアルコキシシランに対するモル比は3である。水のアルコキシ基に対するモル比は、2〜4、2.5〜3.5、または2.8〜3.2であることができる。
【0102】
反応は、酸触媒を含まなくてもよく、または酸触媒を含んでもよい。
【0103】
二価のアルコキシシランは、式(3)の構造:
(R
4−O−)
3−Si−(CH
2)
o−NH−(CH
2)
o−Si−(−O−R
4)
3(3)
を有することができ、式中、
oは、1、2、および3から選択され、
各R
4は独立してC
1〜3アルキルから選択される。
【0104】
アルコキシシランは、アルコキシ基に対してモル当量の水と反応させることができる。水のアルコキシ基に対するモル比は、0.9〜1.1、0.95〜1.05または0.97〜1.03であることができる。
【0105】
アミノ官能性アルコキシシランは、アミノ官能性モノ(アルコキシシラン)、アミノ官能基ジ(アルコキシシラン)、またはそれらの組合せを含むことができる。
【0106】
アミノ官能性アルコキシシランは、50重量%〜100重量%のアミノ官能性モノ(アルコキシシラン)、60重量%〜90重量%、60重量%〜80重量%、または70重量%〜80重量%のアミノ官能性モノ(アルコキシシラン)を含むことができ、ここで、重量%は、組成物中のアルコキシシランの総重量を示す。
【0107】
アミノ官能性アルコキシシランは、10重量%〜50重量%のアミノ官能性ビス(アルコキシシラン)、15重量%〜40重量%、20重量%〜35重量%または20重量%〜30重量%のアミノ官能性ビス(アルコキシシラン)を含むことができ、ここで、重量%は、組成物中のアルコキシシランの総重量を示す。
【0108】
アミノ官能性モノ(アルコキシシラン)および/またはアミノ官能性ビス(アルコキシシラン)に加えて、本開示により提供される組成物は、オルガノ官能性アルコキシシランを含有し得る。例えば、組成物は、10重量%〜70重量%のオルガノ官能性アルコキシシラン、15重量%〜60重量%、20重量%〜60重量%、40重量%〜60重量%、または45重量%〜55重量%のオルガノ官能性アルコキシシランを含んでもよく、ここで、重量%は、組成物中のアルコキシシランの総重量を示す。
【0109】
接着促進性プライマー組成物は、部分的に反応したエポキシ官能性アルコキシシランを含むことができる。
【0110】
適切なエポキシ官能性アルコキシシランの例として、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリエトキシシラン、および前述のもののいずれかの組合せが挙げられる。エポキシ官能性アルコキシシランは、シクロエポキシ官能性アルコキシシラン、例えば、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを含むことができる。
【0111】
エポキシ官能性アルコキシシランに加えて、組成物は、1つまたは複数の追加のオルガノ官能性アルコキシシラン、例えば、アミノ官能性アルコキシシランなどを含有し得る。
【0112】
部分的に反応したエポキシ官能性アルコキシシラン含有組成物は、エポキシ官能性アルコキシシラン、水、およびアルコール、ならびに任意選択のオルガノ官能性アルコキシシランを合わせ、混合物を反応させることによって調製することができる。エポキシ官能性アルコキシシランがβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである場合、水とエポキシ官能性アルコキシシランの反応は穏やかな発熱性となる可能性がある。これらの場合、混合物の加熱は必要ではない。このような場合、水とエポキシ官能性アルコキシシランを合わせることができ、例えば30分などの適切な期間の間縮合反応を生じさせることができ、アルコールの添加により縮合反応をクエンチすることができる。
【0113】
本開示により提供される組成物は、部分的に反応したアミノ官能性アルコキシシランとオルガノ官能性アルコキシシランの組合せを有する混合物から調製することができる。組成物は、30モル%〜90モル%のアミノ官能性アルコキシシラン、30モル%〜80モル%、40モル%〜70モル%、40モル%〜60モル%、または45モル%〜55モル%のアミノ官能性アルコキシシランを有する混合物から形成することができ、ここで、モル%は、組成物中のアミノ官能性アルコキシシランおよびオルガノ官能性アルコキシシランの全モルを指す。組成物は、40モル%〜50モル%のアミノ官能性アルコキシシランおよび40モル%〜50モル%のオルガノ官能性アルコキシシランを含むことができる。組成物は、45モル%〜55モル%のアミノ官能性アルコキシシランおよび45モル%〜55モル%のオルガノ官能性アルコキシシランを含むことができる。
【0114】
エポキシ官能性アルコキシシランを使用して形成された組成物は、チオール末端プレポリマーを含有するコーティングおよびシーラント組成物の接着性を改善するのに特に有用であり、エポキシ基は、コーティングまたはシーラントの硬化中にプレポリマーのチオール基と反応すると考えられている。
【0115】
部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランを有する組成物は、上層コーティングまたはシーラントの基材表面への増強した接着性が得られるプライマーコーティングなどのコーティングを得るために使用することができる。特に、硬化中、部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランが結合剤コーティングと反応し、コーティング結合剤の構成成分と共有結合するように、組成物が、上層コーティングの官能基と反応性である反応性官能基を含有する場合、増強した接着性が実現される。例えば、組成物は、チオール基と反応性である基を含むことができ、コーティング結合剤は反応性チオール基を含むことになる。
【0116】
硫黄含有ポリマーは、航空宇宙用シーラント用途において有用であることが公知である。したがって、航空宇宙用シーラントは、硫黄含有プレポリマー、例えば、ポリチオエーテルプレポリマー、硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、ポリスルフィドプレポリマー、および前述のもののいずれかの組合せなどを含む。硫黄含有ポリマーは、特定の硬化化学反応に応じて選択された反応性末端基を含有する。本開示により提供される接着促進性プライマー組成物は、硬化化学反応とは無関係に、任意の上層コーティングまたはシーラントの表面接着性を増強するのに有用である。しかし、接着促進性プライマー組成物は、上層コーティングまたはシーラントの反応性基と反応し得、それによって、ポリマーネットワークと架橋し得る反応性基を含有することが望ましいことがある。接着促進性プライマー組成物の反応性基は、プレポリマーと、または硬化剤と反応し得る。
【0117】
上層コーティングまたはシーラントは、チオール−エン硬化化学反応に基づくことができる。このようなシーラントは、チオール末端硫黄含有プレポリマーおよびポリエン硬化剤を含むことができる。チオール−エン化学反応に基づく航空宇宙用シーラントの例は、米国特許第7,438,974号、米国特許出願公開第2014/0186543号、米国特許出願公開第2013/0345372号、米国特許出願公開第2013/0284359号、米国特許出願公開第2013/0344287号、米国特許出願公開第2012/0040104号、および米国特許出願公開第2014/0040103号において提供されている。チオール−エン硬化化学反応に基づく航空宇宙用シーラントおよびコーティングは、UV照射への曝露などにより化学線を使用して、硬化可能である。このようなシーラントおよびコーティングはUV硬化性シーラントと呼ばれる。例えば、500mJ〜1,500mJの線量でUV光源を使用して、数インチまでの厚さを有するような組成物を、2分未満で硬化させることができる。シーラントは、目視により透明なまたは半透明の外観を維持する充填剤および/または顔料を含み得る。
【0118】
本開示の組成物は、組成物の化学線への曝露により本明細書中に記載されているような許容可能なシーラント特性を有する硬化したシーラントを得るために、アルケニル基に対して本質的に化学量論的当量のチオール基を含有し得る。本明細書で使用される場合、「本質的に化学量論的当量」は、組成物中に存在するチオール基およびアルケニル基の数が、互いに10%以下、ある場合には5%以下または、ある場合には1%以下または0.1%以下異なることを意味する。ある場合には、組成物中に存在するチオール基およびアルケニル基の数は等しい。さらに、理解されているように、本開示の組成物中のアルケニル基の供給源は、他の構成成分、例えば、エチレン性不飽和のシラン接着促進剤など、ならびに組成物中に含まれる他のアルケニル末端化合物を含むことができる。本明細書に記載されているエチレン性不飽和のシランは、組成物中のエチレン性不飽和基の数に基づき、組成物中に存在するエチレン性不飽和基の総数の0.1〜30、例えば、1〜30など、または、ある場合には10〜25パーセントがエチレン性不飽和のシラン分子の一部となるような量で存在することができる。
【0119】
1つまたは複数のチオール末端硫黄含有プレポリマーに加えて、本開示により提供される部分的に反応したアルコキシシランプライマーコーティングと共に有用なコーティングまたはシーラント組成物は、ポリアルケニル硬化剤、および任意選択で、ヒドロキシル官能性ビニルエーテル、接着促進剤、光開始剤、充填剤、ならびに前述のもののいずれかの組合せを含む。
【0120】
オルガノ官能性アルコキシシランプライマーと共に有用なコーティングおよびシーラント調合物として、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーが挙げられる。
【0121】
適切なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの例は、例えば、米国特許第6,172,179号において開示されている。UV照射などの化学線により硬化可能なポリチオエーテルシーラント組成物は、米国特許出願公開第2012/0040104号および米国特許出願公開第2013/0284359号に記載されている。
【0122】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、式(5)の構造:
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−[−R
2−O−]
m−(CH
2)
2−S−R
1]
n−(5)
を含む骨格を含むチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含むことができ、式中、
各R
1は、独立して、C
2〜10n−アルカンジイル基、C
3〜6分枝アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、−[(−CHR
3−)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−基から選択され、ここで、各R
3は水素およびメチルから選択され、
各R
2は、独立して、C
2〜10n−アルカンジイル基、C
3〜6分枝アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、および−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−基から選択され、
各Xは、独立して、O、S、および−NR−から選択され、ここで、Rは水素およびメチルから選択され、
mは、0〜50の範囲であり、
nは、1〜60の範囲の整数であり、
pは、2〜6の範囲の整数であり、
qは、1〜5の範囲の整数であり、
rは、2〜10の範囲の整数である。
【0123】
式(5)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、R
1は、−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−であることができ、ここで、各Xは、独立して、−O−および−S−から選択することができる。R
1が−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−である式(5)のプレポリマーにおいて、各Xは、−O−であることができるか、または各Xは−S−である。
【0124】
式(5)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、R
1は、−[−(CH
2)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であることができ、ここで、各Xは、独立して、−O−および−S−から選択することができる。R
1が−[−(CH
2)
p−X−]
q−(CH
2)
r−である式(5)のプレポリマーにおいて、各Xは−O−であることができるか、または各Xは−S−である。
【0125】
式(5)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、R
1は、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であることができ、ここで、pは2であることができ、XはOであることができ、qは2であることができ、rは2であることができ、R
2はエタンジイルであることができ、mは2であることができ、nは9であることができる。
【0126】
式(5)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、各R
1はジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)に由来することができ、または各R
1はジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)に由来する。
【0127】
式(5)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、各mは、独立して、1〜3の整数であることができる。各mは同じであることができ、1、2、または3であることができる。
【0128】
式(5)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、nは、1〜30の整数、1〜20の整数、1〜10の整数、または1〜5の整数であることができる。加えて、nは、1〜60の任意の整数であってよい。
【0129】
式(5)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、各pは、独立して、2、3、4、5、および6から選択することができる。各pは同じであることができ、2、3、4、5、または6であることができる。
【0130】
適切なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの例は、例えば、米国特許第6,172,179号において開示されている。チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CAから入手可能なPermapol(登録商標)P3.1Eを含むことができる。
【0131】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、式(6a)のチオール末端ポリチオエーテル、式(6b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、およびそれらの組合せ:
HS−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−SH(6a)
{HS−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−V’−}
zB(6b)
から選択されるチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含むことができ、式中、
各R
1は、独立して、C
2〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[(−CHR
3−)
p−X−]
q−(−CHR
3−)
r−から選択され、ここで、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
各R
3は、独立して、水素およびメチルから選択され、
各Xは、独立して、−O−、−S−、および−NR−から選択され、ここで、Rは、水素およびメチルから選択され、
各R
2は、独立して、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、および−[(−CHR
3−)
p−X−]
q−(−CHR
3−)
r−から選択され、ここで、s、q、r、R
3、およびXはR
1について定義されている通りであり、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)
zのコアを表し、ここで、
zは3〜6の整数であり、
各Vは、チオールと反応性である末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールの反応に由来する。
【0132】
式(6a)および式(6b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、R
1は、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であることができ、ここで、pは2であることができ、Xは−O−であることができ、qは2であることができ、rは2であることができ、R
2はエタンジイルであることができ、mは2であることができ、nは9であることができる。
【0133】
式(6a)および式(6b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、R
1は、C
2〜6アルカンジイルおよび−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択することができる。
【0134】
式(6a)および式(6b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、R
1は、−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−であることができ、またはXは−O−であることができるか、もしくはXは−S−であることができる。
【0135】
R
1が−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−である式(6a)および式(6b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、pは2であることができ、rは2であることができ、qは1であることができ、Xは−S−であることができるか、またはpは2であることができ、qは2であることができ、rは2であることができ、Xは−O−であることができるか、またはpは2であることができ、rは2であることができ、qは1であることができ、Xは−O−であることができる。
【0136】
R
1が−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−である式(6a)および式(6b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、各R
3は水素であることができるか、または少なくとも1つのR
3はメチルである。
【0137】
式(6a)および式(6b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、各R
1は同じであることができるか、または少なくとも1つのR
1は異なる。
【0138】
様々な方法を使用して、式(6a)および式(6b)のチオール末端ポリチオエーテルを調製することができる。適切なチオール末端ポリチオエーテルの例、およびこれらの生成のための方法は米国特許第6,172,179号に記載されている。このようなチオール末端ポリチオエーテルは二官能性、すなわち、2つの末端チオール基を有する線状ポリマーであってもよいし、または多官能性、すなわち、3つもしくはそれ超の末端チオール基を有する分枝ポリマーであってもよい。適切なチオール末端ポリチオエーテルは、例えば、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CAからPermapol(登録商標)P3.1Eとして市販されている。
【0139】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、異なるチオール末端ポリチオエーテルの混合物を含むことができ、チオール末端ポリチオエーテルは、同じまたは異なる官能性を有することができる。チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、2〜6、2〜4、2〜3、2.05〜2.8、または2.05〜2.5の平均官能基数を有することができる。例えば、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、二官能性チオール末端ポリチオエーテル、三官能性チオール末端ポリチオエーテルおよびそれらの組合せから選択することができる。
【0140】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、ポリチオールおよびジエン、例えば、ジビニルエーテルなどを反応させることによって調製することができ、ポリチオエーテルを調製するために使用される反応物質のそれぞれの量は、末端チオール基を生成するように選択される。したがって、ある場合には、(nまたは>n、例えば、n+1)モルのポリチオール、例えば、ジチオールなど、または少なくとも2つの異なるジチオールの混合物、および0.05モル〜1モル、例えば、0.1モル〜0.8モルなどのチオール末端多官能化剤を、(n)モルのジエン、例えば、ジビニルエーテルなど、または少なくとも2つの異なるジエン、例えば、ジビニルエーテルなどの混合物と反応させてもよい。チオール末端多官能化剤は、2.05〜3、例えば、2.1〜2.8、または2.1〜2.6の平均官能基数を有するチオール末端ポリチオエーテルを得るのに十分な量で反応混合物中に存在することができる。
【0141】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを作製するために使用される反応は、フリーラジカル触媒によって触媒されてもよい。適切なフリーラジカル触媒として、アゾ化合物、例えばアゾビスニトリル化合物、例えば、アゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)など;有機過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイルおよびt−ブチルペルオキシドなど;ならびに無機過酸化物、例えば、過酸化水素などが挙げられる。反応はまた、ラジカル開始剤/光増感剤を用いて、または用いずに、紫外光での照射により実行することもできる。無機塩基または有機塩基、例えば、トリエチルアミンを使用したイオン性触媒作用方法もまた使用し得る。
【0142】
適切なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、ジビニルエーテルまたはジビニルエーテルの混合物と、過剰のジチオールまたはジチオールの混合物とを反応させることによって生成することができる。
【0143】
したがって、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、
(a)式(7)のジチオール:
HS−R
1−SH(7)
(式中、
R
1は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択され、ここで、
各R
3は、独立して、水素およびメチルから選択され、
各Xは、独立して、−O−、−S−、−NH−、および−NR−から選択され、ここで、Rは水素およびメチルから選択され、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である)、および
(b)式(4)のジビニルエーテル:
CH
2=CH−O−[−R
2−O−]
m−CH=CH
2(8)
(式中、
各R
2は、独立して、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、および−[(−CHR
3−)
p−X−]
q−(−CHR
3−)
r−から選択され、ここで、s、q、r、R
3、およびXは上で定義された通りであり、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数である)
を含む反応物質の反応生成物を含むことができる。
または、反応物質は、(c)多官能性化合物、例えば、多官能性化合物B(−V)
z(式中、B、−V、およびzは本明細書で定義された通りである)などを含んでもよい。
【0144】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの調製において使用するのに適切なジチオールとして、式(7)の構造:
HS−R
1−SH(7)
を有するものが挙げられ、式中、
R
1は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、および−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択され、ここで、
各R
3は、独立して、水素およびメチルから選択され、
各Xは、独立して、−O−、−S−、および−NR−から選択され、ここで、Rは水素およびメチルから選択され、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である。
【0145】
式(7)のジチオールにおいて、R
1は−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−であることができる。
【0146】
式(7)の化合物において、Xは、−O−および−S−から選択することができ、したがって式(7)の−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−は、−[(−CHR
3−)
p−O−]
q−(CHR
3)
r−または−[(−CHR
32−)
p−S−]
q−(CHR
3)
r−であることができる。式(7)の化合物において、pおよびrは等しいことが可能であり、例えば、pおよびrは両方とも2である場合である。
【0147】
式(7)のジチオールにおいて、R
1は、C
2〜6アルカンジイルおよび−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択することができる。
【0148】
式(7)のジチオールにおいて、R
1は−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、Xは−O−であることができるか、またはXは−S−であることができる。
【0149】
R
1が−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−であることができる式(7)のジチオールでは、pは2であることができ、rは2であることができ、qは1であることができ、Xは−S−であることができるか、またはpは2であることができ、qは2であることができ、rは2であることができ、Xは−O−であることができるか、またはpは2であることができ、rは2であることができ、qは1であることができ、Xは−O−であることができる。
【0150】
R
1が−[−(CHR
3)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−であることができる式(7)のジチオールでは、各R
3は水素であるか、または少なくとも1つのR
3はメチルであることができる。
【0151】
式(7)のジチオールにおいて、各R
1はジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)に由来することができるか、または各R
1はジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)に由来することができる。
【0152】
式(7)のジチオールにおいて、各mは、独立して、1〜3の整数であることができる。各mは同じであることができ、1、2、または3であることができる。
【0153】
式(7)のジチオールにおいて、nは1〜30の整数、1〜20の整数、1〜10の整数、または1〜5の整数であることができる。加えて、nは1〜60の任意の整数であってよい。
【0154】
式(7)のジチオールにおいて、各pは、独立して、2、3、4、5、および6から選択することができる。各pは同じであることができ、2、3、4、5、または6であることができる。
【0155】
適切なジチオールの例として、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、および前述のもののいずれかの組合せが挙げられる。
【0156】
ジチオールは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、およびヒドロキシ基から選択される1つまたは複数のペンダント基を有し得る。適切なアルキルペンダント基として、例えば、C
1〜3アルキル、C
1〜6直鎖アルキル、C
3〜6分枝アルキル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0157】
適切なジチオールの他の例として、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(7)において、R
1は−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−である);ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(7)において、R
1は−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−である);および1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(7)において、R
1は−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である)が挙げられる。炭素骨格内のヘテロ原子と、メチル基などのペンダントアルキル基の両方を含むジチオールを使用することもまた可能である。このような化合物として、例えば、メチル置換DMDS、例えば、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CH
2CH
2−SH、HS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH
2−SHなど、およびジメチル置換DMDS、例えば、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CHCH
3CH
2−SHおよびHS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH(CH
3)−SHなどが挙げられる。
【0158】
チオール末端ポリチオエーテルを調製するのに適切なジビニルエーテルとして、例えば、式(8)のジビニルエーテル:
CH
2=CH−O−(−R
2−O−)
m−CH=CH
2(8)
が挙げられ、式中、mは0〜50の整数であり、式(8)のR
2は、C
2〜6n−アルカンジイル基、C
3〜6分枝アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、および−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−から選択され、ここで、spは2〜6の範囲の整数であり、qは1〜5の整数であり、rは2〜10の整数である。式(4)のジビニルエーテルにおいて、R
2はC
2〜6n−アルカンジイル基、C
3〜6分枝アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、または−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−であることができる。
【0159】
適切なジビニルエーテルとして、例えば、少なくとも1つのオキシアルカンジイル基、例えば、1〜4つのオキシアルカンジイル基を有する化合物、すなわち、式(8)においてmが1〜4の範囲の整数である化合物が挙げられる。式(8)において変数mは2〜4の範囲の整数であることができる。分子1個当たりのオキシアルカンジイル単位の数についての非整数平均値により特徴付けられる市販のジビニルエーテル混合物を利用することもまた可能である。したがって、式(8)のmはまた、0〜10.0、例えば、1.0〜10.0、1.0〜4.0、または2.0〜4.0の範囲の有理数の値を取ることもできる。
【0160】
適切なビニルエーテルの例として、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(式(8)においてR
2はエタンジイルであり、mは1である)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(式(8)においてR
2はブタンジイルであり、mは1である)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(式(8)においてR
2はヘキサンジイルであり、mは1である)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(式(8)においてR
2はエタンジイルであり、mは2である)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(式(8)においてR
2はエタンジイルであり、mは3である)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル(式(8)においてR
2はエタンジイルであり、mは4である)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル;トリビニルエーテルモノマー、例えば、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなど;四官能性エーテルモノマー、例えば、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテルなど;および2つまたはそれ超のこのようなポリビニルエーテルモノマーの組合せが挙げられる。ポリビニルエーテルは、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、およびアミン基から選択される1つまたは複数のペンダント基を有し得る。
【0161】
式(8)においてR
2がC
3〜6分枝アルカンジイルであることができるジビニルエーテルは、ポリヒドロキシ化合物をアセチレンと反応させることによって調製され得る。このタイプのジビニルエーテルの例として、式(8)においてR
2がアルキル置換メタンジイル基、例えば、−CH(−CH
3)−(これに関して、式(8)においてR
2がエタンジイルであり、mは3である)、またはアルキル置換エタンジイルである化合物が挙げられる。
【0162】
他の有用なジビニルエーテルとして、式(8)においてR
2がポリテトラヒドロフリル(ポリTHF)またはポリオキシアルカンジイル、例えば、平均3つのモノマー単位を有するものなどである化合物が挙げられる。
【0163】
2つまたはそれ超のタイプの式(8)のポリビニルエーテルモノマーを使用することができる。したがって、式(7)の2つのジチオールおよび式(8)の1つのポリビニルエーテルモノマー、式(7)の1つのジチオールおよび式(8)の2つのポリビニルエーテルモノマー、式(7)の2つのジチオールおよび式(8)の2つのジビニルエーテルモノマー、ならびに式(7)および式(8)のうちの1つまたは両方の2つ超の化合物を使用して、様々なチオール末端ポリチオエーテルを生成することができる。
【0164】
ポリビニルエーテルモノマーは、チオール末端ポリチオエーテルを調製するために使用される反応物質の20〜50モルパーセント未満、または30〜50モルパーセント未満を構成することができる。
【0165】
ジチオールとジビニルエーテルの相対量は、末端チオール基を有するポリチオエーテルを生成するように選択することができる。したがって、式(7)のジチオールまたは式(7)の少なくとも2つの異なるジチオールの混合物を、チオール基のアルケニル基に対するモル比が1:1を超える、例えば、1.1〜2.0:1.0となるような相対量で、式(8)のジビニルエーテルまたは式(8)の少なくとも2つの異なるジビニルエーテルの混合物と反応させることができる。
【0166】
ジチオールとジビニルエーテルとの間の反応、および/またはポリチオールとポリビニルエーテルとの間の反応は、フリーラジカル触媒によって触媒し得る。適切なフリーラジカル触媒として、例えば、アゾ化合物、例えばアゾビスニトリル、例えば、アゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)など;有機過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイルおよびt−ブチルペルオキシドなど;ならびに無機過酸化物、例えば、過酸化水素などが挙げられる。触媒は、フリーラジカル触媒、イオン性触媒、または紫外線であってよい。触媒は、酸性または塩基性化合物を含まなくてもよく、分解の際に、酸性または塩基性化合物を生成しないかもしれない。フリーラジカル触媒の例として、アゾ型触媒、例えば、Vazo(登録商標)−57(Du Pont)、Vazo(登録商標)−64(Du Pont)、Vazo(登録商標)−67(Du Pont)、V−70(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)、およびV−65B(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)などが挙げられる。他のフリーラジカル触媒の例は、アルキルペルオキシド、例えば、t−ブチルペルオキシドなどである。反応は、カチオン性光開始部分を用いて、または用いずに紫外光の照射により実行することもできる。
【0167】
本開示により提供されるチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、少なくとも1つの式(7)のジチオールと、少なくとも1つの式(8)のジビニルエーテルとを合わせ、これに続いて、適当な触媒を加え、30℃〜120℃、例えば、70℃〜90℃などの温度で、2時間〜24時間、例えば、2時間〜6時間などの時間の間反応を実行することによって調製し得る。
【0168】
本明細書で開示されているように、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、多官能性ポリチオエーテルプレポリマーを含んでもよく、すなわち、2.0超の平均官能基数を有していてもよい。適切な多官能性チオール末端ポリチオエーテルとして、例えば、式(6b)の構造:
{HS−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−V’−}
zB(6b)
を有するものが挙げられ、式中、zは、平均2.0超の値、または2〜3の間の値、2〜4の間の値、3〜6の間の値を有し、またはzは、3〜6の整数であることができる。
【0169】
このような多官能性チオール末端ポリマーの調製において使用するのに適切な多官能化剤として、三官能化剤、すなわち、zが3である化合物が挙げられる。適切な三官能化剤として、例えば、米国特許出願公開第2010/0010133号に開示されているような、シアヌル酸トリアリル(TAC)、1,2,3−プロパントリチオール、イソシアヌレート含有トリチオール、およびそれらの組合せ、ならびに、例えば、米国特許出願公開第2011/0319559号に開示されているようなイソシアヌレートが挙げられる。他の有用な多官能化剤として、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ならびに米国特許第4,366,307号、米国特許第4,609,762号、および米国特許第5,225,472号に記載されているポリチオールが挙げられる。多官能化剤の混合物もまた使用し得る。その結果、本開示により提供されるポリチオエーテルは、広範囲な平均官能基数を有し得る。例えば、三官能化剤は、2.05〜3.0、例えば、2.1〜2.6などの平均官能基数を生じさせることができる。四官能性またはより高次の官能性の多官能化剤を使用することによって、より広い範囲の平均官能基数を達成することができる。官能性はまた、当業者により理解されるように、化学量論などの因子によっても決定し得る。
【0170】
硫黄含有ポリマーはチオール末端であることができる。チオール官能性ポリチオエーテルの例は、例えば、米国特許第6,172,179号において開示されている。チオール末端ポリチオエーテルは、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CAから入手可能なPermapol(登録商標)P3.1Eを含むことができる。チオール末端ポリマーは、2〜3、または2.2〜2.8の平均官能基数を有するチオール末端ポリチオエーテルの混合物を含むことができる。チオール末端ポリチオエーテルは、PRC−DeSoto Internationalから入手可能なPermapol(登録商標)3.1Eを含むことができる。
【0171】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーに加えてまたはこの代わりに、コーティングまたはシーラント組成物は、1つまたは複数の追加のチオール末端硫黄含有プレポリマー、例えば、チオール末端硫黄含有ポリホルマール、チオール末端ポリスルフィド、骨格修飾されたその誘導体など、または前述のもののいずれかの組合せを含み得る。
【0172】
本開示により提供されるプライマーコーティングと共に有用なコーティングまたはシーラントは、ポリアルケニル硬化剤を含むことができる。ポリアルケニルは、2つまたはそれ超の反応性アルケニル基(−CH=CH
2)有する化合物を指す。ポリアルケニル樹脂は、二官能性であることができるか、または異なるアルケニル官能基を有するポリアルケニルの組合せを含むことができる。ポリアルケニルは、ポリアルケニル樹脂の組合せを含み得る。ポリアルケニル樹脂は室温で液体であることができる。ポリアルケニル硬化剤は、ポリアリル化合物、ポリビニルエーテル、およびそれらの組合せから選択することができる。ポリアリル化合物は、反応性−CR
2−CH=CH
2基(式中、各Rは、水素または別の置換基であることができる)を含むことができ、ビニルエーテルは反応性−O−CH=CH
2基を含むことができる。
【0173】
未硬化のシーラント組成物中に存在するポリアルケニル化合物は、3つの末端アルケニル基を含む化合物を指すトリアルケニル化合物を含むことができ、トリアルケニル化合物として、例えば、シアヌル酸トリアリル(TAC)および/またはイソシアヌル酸トリアリル(TAIC)が挙げられる。
【0174】
ポリアルケニル化合物はポリビニルエーテルを含むことができる。適切なポリビニルエーテルとして、例えば、式(8):
CH
2=CH−O−(−R
5−O−)
m−CH=CH
2(8)
で表されるものが挙げられ、式中、式(8)においてR
5は、C
2〜6n−アルカンジイル基、C
2〜6分枝アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、または−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−であり、ここで、pは2〜6の範囲の値を有する整数であり、qは1〜5の範囲の値を有する整数であり、rは2〜10の範囲の値を有する整数である。
【0175】
式(8)の材料はジビニルエーテルである。適切なジビニルエーテルとして、少なくとも1つのオキシアルカンジイル基、例えば、1〜4つのオキシアルカンジイル基などを有する化合物、すなわち、式(8)においてmが1〜4の整数である化合物が挙げられる。ある場合には、式(8)においてmは2〜4の整数である。市販のジビニルエーテル混合物を利用して本開示のポリマーを生成することもまた可能である。このような混合物は、分子1個当たりのオキシアルカンジイル単位の数についての非整数平均値により特徴付けられる。したがって、式(8)においてmはまた、0〜10.0の間、例えば、1.0〜10.0の間、1.0〜4.0の間、または2.0〜4.0の間などの有理数の値を取ることもできる。
【0176】
本開示において使用するのに適切なジビニルエーテルモノマーとして、例えば、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(式(8)においてR
5はエチレンであり、mは1である)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(式(8)においてR
5はブチレンであり、mは1である)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(式(8)においてR
5はヘキシレンであり、mは1である)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(式(8)においてR
5はエチレンであり、mは2である)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(式(8)においてR
5はエチレンであり、mは3である)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル(式(8)においてR
5はエチレンであり、mは4である)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテルおよびそれらの混合物が挙げられる。ある場合には、トリビニルエーテルモノマー、例えば、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなど;四官能性エーテルモノマー、例えば、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテルなど;および2つまたはそれ超のこのようなポリビニルエーテルモノマーの混合物を使用することができる。ポリビニルエーテル材料は、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基およびアミン基から選択される1つまたは複数のペンダント基を有することができる。ジビニルエーテルはトリエチレングリコールジビニルエーテルを含むことができる。
【0177】
式(8)のR
5がC
2〜6分枝アルカンジイルである有用なジビニルエーテルは、ポリヒドロキシ化合物をアセチレンと反応させることによって調製することができる。このタイプの化合物の例として、式(8)においてR
5がアルキル置換メチレン基、例えば、−CH(CH
3)−(例えば、Pluriol(登録商標)ブレンド、例えば、Pluriol(登録商標)E−200ジビニルエーテル(Parsippany、NJのBASF Corp.)など(これに関して、式(8)においてR
5はエチレンであり、mは3.8である))またはアルキル置換エチレン(例えば−CH
2CH(CH
3)−、例えば、DPEポリマーブレンドなど、DPE−2およびDPE−3(International Specialty Products、Wayne、NJ)を含めて)である化合物が挙げられる。
【0178】
他の有用なジビニルエーテルとして、式(8)においてR
5がポリテトラヒドロフリル(ポリ−THF)またはポリオキシアルカンジイル、例えば、平均約3個のモノマー単位を有するものなどである化合物が挙げられる。
【0179】
2つまたはそれ超の式(8)のジビニルエーテルモノマーを使用することができる。
【0180】
ポリアルケニル硬化剤として、トリアリル化合物、トリビニルエーテル(triviny ether)、およびそれらの組合せから選択される化合物を挙げることができる。
【0181】
本開示により提供されるプライマーコーティングと共に有用なコーティングおよびシーラントは、光開始剤を含み得る。特に、未硬化または部分的に硬化したシーラント組成物をUV照射に曝露することによって、硬化したシーラントが形成される場合、組成物は光開始剤も含むことができる。光開始剤は紫外線を吸収し、重合を開始するラジカルへと形質転換される。光開始剤は、作用様式に基づき2つの主要なグループへと分類することができ、これらのいずれかまたは両方とも本明細書に記載されている組成物において使用することができる。切断型の光開始剤として、アセトフェノン、α−アミノアルキルフェノン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルオキシム、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、および前述のもののいずれかの組合せが挙げられる。引抜型光開始剤として、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、カンファーキノン、フルオロン、ケトクマリン、および前述の任意の組合せが挙げられる。
【0182】
適切な光開始剤の例として、例えば、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル ベンゾフェノール、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、フルオロン、例えば、Spectra Group Ltd.から入手可能なH−Nuシリーズの開始剤、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオキサントン(2-isopropylthixantone)、α−アミノアルキルフェノン、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、および2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(bis(2,6-dimethyoxybenzoyl)-2,4,4-trimethylpentylphosphine oxide)、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、およびビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ならびに前述のもののいずれかの組合せが挙げられる。光開始剤は、Irgacure(登録商標)2022、すなわち、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシドを含むことができる。
【0183】
本明細書に記載されている組成物は、組成物の総重量に対して、0.01から15重量パーセントまでの光開始剤または0.01から10重量パーセントまで、または0.01から5重量パーセントまでの光開始剤を含むことができる。
【0184】
UV硬化性シーラントとして、UV照射源に調和させた光開始剤もまた挙げられる。一般的に、例えば、280nm〜290nmなどのより長い波長を有する照射源を使用して、より良い硬化深度を得ることが望ましいことがある。一般的に、30秒未満でシーラントを硬化させることが望ましいことがある。
【0185】
コーティングまたはシーラントは、少量のヒドロキシル官能性ビニルエーテルまたは末端ヒドロキシ基を有する他の低い粘度の化合物、例えば、末端ヒドロキシル基を有する直鎖炭化水素などを含み得る。ヒドロキシル官能性ビニルエーテルとしてヒドロキシブチルビニルエーテルを挙げることができる。組成物中の反応性希釈剤の量は、0重量%〜3重量%、0.25重量%〜2重量%、0.5重量%〜1重量%、または0.5重量%であってよい。
【0186】
本開示により提供される組成物は、ヒドロキシル官能性ビニルエーテルを含むことができる。ヒドロキシル官能性ビニルエーテルは、式(9)の構造:
CH
2=CH−O−(CH
2)
d−OH(9)
を有することができ、式中、dは0〜10の整数である。変数dは、1〜4の整数であることができる。適切なヒドロキシル官能性ビニルエーテルの例として、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメチロールモノビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、および前述のもののいずれかの組合せが挙げられる。ヒドロキシル官能性ビニルエーテルとして4−ヒドロキシブチルビニルエーテルを挙げることができる。
【0187】
本開示により提供されるUV硬化性シーラント組成物はまた、接着促進剤、例えば、硫黄含有接着促進剤などを含有し得る。有用な硫黄含有接着促進剤は、例えば、米国特許第8,513,339号に開示されている。このような接着促進剤は、DMDOなどの硫黄含有化合物と、TACなどの三官能化剤との反応生成物を含み、少なくともいくつかの末端チオール基およびいくつかの末端メルカプトシラン基を有する。
【0188】
本開示の方法において使用される未硬化のシーラント組成物はまた、少なくともある場合、本開示の方法により形成された硬化したシーラントの金属基材への接着性を改善する(従来の接着促進剤、例えば、以下に記載されているものなどが使用された場合に達成された接着性を超える程度まで)ことが示されているエチレン性不飽和シラン、例えば、硫黄含有エチレン性不飽和シランを含むことができる。本明細書で使用される場合、「硫黄含有エチレン性不飽和シラン」という用語は、分子内に、(i)少なくとも1個の硫黄(S)原子、(ii)少なくとも1つの、ある場合には少なくとも2つのエチレン性不飽和炭素−炭素結合、例えば、炭素−炭素二重結合(C=C)など;および(iii)少なくとも1つのシラン基−Si(R
10)
3−x(−OR
11)
x(式中、RおよびR
1はそれぞれ独立して有機基を表し、xは1、2、または3である)を含む分子化合物を指す。
【0189】
本開示の方法において使用される未硬化のシーラント組成物に使用するのに適切である硫黄含有エチレン性不飽和シランはそれ自体、(i)メルカプトシランと、(ii)アルケニル末端化合物とを含む反応物質の反応生成物を含むことができる。本明細書で使用される場合、「メルカプトシラン」という用語は、分子内に、(i)少なくとも1つのメルカプト(−SH)基と、(ii)少なくとも1つのシラン基(上で定義された)とを含む分子化合物を指す。適切なメルカプトシランとして、例えば、式(9)による構造:
HS−R
12−Si(R
10)
m(−OR
11)
3−m(9)
を有するものが挙げられ、式中、(i)R
12は二価の有機基であり、(ii)R
11は水素またはアルキル基であり、(iii)R
10は水素またはアルキル基であり、(iv)mは0、1、および2から選択される。
【0190】
本開示において使用するのに適切な硫黄含有エチレン性不飽和シランの調製において使用するのに適切なメルカプトシランの例として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、および前述のもののいずれかの組合せが挙げられる。
【0191】
本開示において使用するのに適切な硫黄含有エチレン性不飽和シランを調製するのに使用するアルケニル末端化合物は、例えば、上述されたトリアリル化合物の場合のように、3つの末端アルケニル基を有する化合物を含むことができる。
【0192】
実施例は、本開示において使用するのに適切な硫黄含有エチレン性不飽和シランを生成するのに適切な方法を例示している。アルケニル末端化合物は、3つの末端アルケニル基を有する化合物、例えば、前述のトリアリル化合物のうちの1つまたは複数などを含むことができ、メルカプトシランおよび3つの末端アルケニル基を有する化合物は、生成した反応生成物が、分子1個当たり平均少なくとも2つのエチレン性不飽和基を理論的に含むような相対量で一緒に反応させることができる。
【0193】
本開示により提供される組成物は、硬化したシーラントの金属基材への接着性を改善することができる、エチレン性不飽和シラン、例えば、硫黄含有エチレン性不飽和シランなどを含むことができる。本明細書で使用される場合、硫黄含有エチレン性不飽和シランという用語は、分子内に、(i)少なくとも1個の硫黄(S)原子、(ii)少なくとも1つの、ある場合には少なくとも2つのエチレン性不飽和炭素−炭素結合、例えば、炭素−炭素二重結合(C=C)など、および(iii)少なくとも1つのシラン基、−Si(−R
10)
m(−OR
11)
3−m(式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、およびアリールなどから選択され、mは0、1、および2から選択される)を含む分子化合物を指す。エチレン性不飽和シランの例は米国特許出願公開第2012/0040104号において開示されている。
【0194】
本開示により提供される組成物は、1種または1種超の接着促進剤を含むことができる。1種または複数の追加の接着促進剤は、組成物の総乾燥重量に対して、組成物の0.1重量%〜15重量%、5重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満の量で存在し得る。接着促進剤の例として、フェノール系、例えば、Methylon(登録商標)フェノール系樹脂など、およびオルガノシラン、例えば、エポキシ、メルカプトまたはアミノ官能性シラン、例えば、Silquest(登録商標)A−187およびSilquest(登録商標)A−1100などが挙げられる。他の有用な接着促進剤は当技術分野で公知である。接着促進剤として、PRC−DeSoto Internationalから入手可能なT−1601を挙げることができる。
【0195】
本開示により提供される組成物は、航空宇宙用シーラントにおいて使用するのに適切な1つまたは複数の追加の構成成分を含んでもよく、選択は、使用条件下での硬化したシーラントの所望の性能特徴に少なくとも部分的に依存する。
【0196】
本明細書に記載されている組成物において有用な充填剤として、従来の無機充填剤、例えば、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム(CaCO
3)、およびカーボンブラックなど、ならびに軽量の充填剤を含めた、当技術分野で一般的に使用されているものが挙げられる。紫外線に対して実質的に透過性がある充填剤、例えば、ヒュームドシリカなどは、一部の実施形態において特に有用であり得る。適切な軽量の充填剤として、例えば、米国特許第6,525,168号の4欄、23〜55行に記載されているもの、および米国特許出願公開第2010/0041839A1号の段落[0016]〜[0052]に記載されているものが挙げられる。
【0197】
他の有用な充填剤として、微粉化したシリカゲル、タルク、および二酸化チタンが挙げられる。硬化したシーラントが、例えば、目視検査を可能にするように透明であること、例えば、透明なシールキャップであることが望ましい用途に対して、充填剤の量は1重量%〜30重量であることができる。透明なシールキャップは、例えば、1.5重量%の充填剤を含むことができる。より高い充填剤含有量は、硬化したシーラントを研磨するまたはやすりで磨くことが望ましい表面平滑化などの用途において有用であり得る。充填剤の選択は、少なくとも部分的に充填剤の屈折率により決定される。充填剤がUV照射を遮断せず、充填剤が、反射されたUV照射を透過させる、および/または内部で散乱させることが望ましい。
【0198】
本開示により提供される組成物は、1種または複数の異なるタイプの充填剤を含み得る。適切な充填剤として、無機充填剤、例えば、カーボンブラックおよび炭酸カルシウム(CaCO
3)など、シリカ、ポリマー粉末、および軽量の充填剤が挙げられる。適切な軽量の充填剤として、例えば、米国特許第6,525,168号に記載されているものが挙げられる。組成物は、組成物の総乾燥重量に対して、5重量%〜60重量%、10重量%〜50重量%、または20重量%〜40重量%の充填剤または充填剤の組合せを含むことができる。本開示により提供される組成物は、1種または複数の着色剤、チキソトロピック剤、促進剤、難燃剤、接着促進剤、溶媒、マスキング剤、または前述のもののいずれかの組合せをさらに含むことができる。理解され得るように、組成物において利用される充填剤および添加剤は、互いにならびにポリマー成分、硬化剤、および/または触媒と適合するように選択してもよい。
【0199】
本開示により提供される組成物は、低密度充填剤粒子を含むことができる。本明細書で使用される場合、低密度とは、このような粒子に関して使用した場合、粒子が0.7以下、または0.25以下、または0.1以下の比重を有することを意味する。適切な軽量の充填剤粒子は、多くの場合、2つのカテゴリー、マイクロスフェアと非晶質粒子の中に入る。マイクロスフェアの比重は0.1〜0.7の範囲であってよく、例えば、ポリスチレン発泡体、ポリアクリレートおよびポリオレフィンのマイクロスフェア、ならびに5ミクロン〜100ミクロンの範囲の粒径および0.25の比重を有するシリカマイクロスフェア(Eccospheres(登録商標))が含まれ得る。他の例として、5ミクロン〜300ミクロンの範囲の粒径および0.7の比重を有するアルミナ/シリカマイクロスフェア(Fillite(登録商標))、0.45〜0.7の比重を有するケイ酸アルミニウムマイクロスフェア(Z−Light(登録商標))、0.13の比重を有する炭酸カルシウムコーティングしたポリビニリデンコポリマーマイクロスフェア(Dualite(登録商標)6001AE)、および炭酸カルシウムコーティングしたアクリロニトリルコポリマーマイクロスフェア、例えば、40μmの平均粒径および0.135g/ccの密度を有するDualite(登録商標)E135(Henkel)などが挙げられる。組成物の比重を低減させるための適切な充填剤として、例えば、中空マイクロスフェア、例えば、Expancel(登録商標)マイクロスフェア(AkzoNobelから入手可能)またはDualite(登録商標)低密度ポリマーマイクロスフェア(Henkelから入手可能)などが挙げられる。本開示により提供される組成物として、薄いコーティングでコーティングした外部表面を含む軽量の充填剤粒子、例えば、米国公開第2010/0041839号に記載されているものなどを挙げることができる。
【0200】
低密度充填剤は、組成物の2重量%未満、組成物の1.5重量%未満、1.0重量%未満、0.8重量%未満、0.75重量%未満、0.7重量%未満または0.5重量%未満を構成することができ、ここで、重量%は組成物の総乾燥固体重量に基づく。
【0201】
本開示により提供される組成物は、組成物の比重を減少させるのに有効である少なくとも1種の充填剤を含むことができる。組成物の比重は、0.8〜1、0.7〜0.9、0.75〜0.85、または0.8であることができる。組成物の比重は、0.9未満、0.8未満、0.75未満、0.7未満、0.65未満、0.6未満、または0.55未満であることができる。
【0202】
所望する場合、組成物はまた任意の数の添加剤を含み得る。適切な添加剤の例として、可塑剤、顔料、界面活性剤、接着促進剤、チキソトロピック剤、難燃剤、マスキング剤、および促進剤(例えば、1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、DABCO(登録商標)を含むアミンなど)、ならびに前述のもののいずれかの組合せが挙げられる。使用する場合、添加剤は、例えば、0重量%〜60重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。添加剤は、25重量%〜60重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0203】
本開示により提供される組成物は光活性充填剤を含むことができる。本明細書で使用される場合、「光活性充填剤」という用語は、紫外および/または可視放射線への曝露、ならびに紫外および/または可視放射線の吸収の際に光励起可能な材料を含む充填剤を指す。光活性材料は、結晶の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップより高いエネルギーを有する光に曝露された際に、価電子帯内の電子の励起を引き起こし、伝導電子を生成し、これによって、特定の価電子帯上に正孔を残す材料である。本明細書に記載されている組成物における使用に適切な光活性充填剤の例として、金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄(III)、三酸化ジビスマス、三酸化タングステン、二酸化チタン(ブルッカイト、鋭錐石、および/またはルチル結晶形態の二酸化チタンを含む)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0204】
組成物は、下記のような量でのこのような充填剤の存在が組成物の性能に対して有意な有害な影響を引き起こさない限り、組成物の総重量に対して1重量パーセント〜60重量パーセントの充填剤または充填剤の組合せ、例えば、10重量パーセント〜50重量パーセントを含むことができる。
【0205】
組成物は、硬化したシーラントをやすりで磨くことなどによって研磨することを可能にするのに十分な充填剤の量を含むことができる。硬化したシーラントをやすりで磨くことは、シーラントを使用して、表面欠陥、例えば、くぼみ、へこみ、またはギャップなどを平滑化する用途において有用であり得る。硬化したシーラントをやすりで磨くことは、硬化したシーラントを平滑化して、シーラントが適用される表面の輪郭と一致させるのに有用であり得る。これは、空気力学的に平滑な表面を有することが望ましい用途において特に重要であり得る。
【0206】
前述の構成物質に加えて、本開示の組成物は、他の構成成分の中でも以下のうちの1種または複数種を任意選択で含むことができる:チキソトロープ、従来の接着促進剤、遅延剤、溶媒およびマスキング剤。しかし、構成成分の選択において、組み合わせた構成成分は、硬化したシーラントが航空宇宙用シーラントの必要条件を満たすことを可能にすることに加えて、硬化したシーラントを通しての目視検査および適当な深さまでのUV硬化を行うことを可能にするように選択することができる。
【0207】
チキソトロープ、例えばシリカは、組成物の総重量に対して、0.1〜5重量パーセントの量で多くの場合使用される。
【0208】
ステアリン酸などの遅延剤は、多くの場合同様に、組成物の総重量に対して、0.1〜5重量パーセントの量で使用される。従来の接着促進剤は、利用する場合、組成物の総重量に対して、多くの場合0.1〜15重量パーセントの量で存在する。適切なこのような接着促進剤として、フェノール系、例えば、Occidental Chemicalsから入手可能なMethylon(登録商標)フェノール系樹脂、およびオルガノシラン、例えば、エポキシ、メルカプトまたはアミノ官能性シラン、例えば、Momentive Performance Materialsから入手可能なSilquest(登録商標)A−187、Silquest(登録商標)A−1100、Silquest(登録商標)A−1102などが挙げられる。マスキング剤、例えば、組成物の任意の低レベル臭気をカバーするのに有用なマツ香料または他の香りなどは、多くの場合、組成物の総重量に対して、0.1〜1重量パーセントの量で存在する。
【0209】
本開示により提供される組成物は、可塑剤、例えば、少なくともある場合において、航空宇宙用シーラントにおいて普通有用となるより高いT
gを有するポリマーを組成物が含むことを可能にし得る反応性希釈剤を含むことができる。すなわち、可塑剤の使用は、組成物のTgを有効に低減させ、したがって硬化した組成物の低温可撓性を、ポリマー単独でのT
gに基づいて予想されるものを超えて増加させることができる。本開示の組成物に有用な可塑剤は、例えば、直鎖炭化水素を含むことができる。可塑剤または可塑剤の組合せは、組成物の1〜40重量パーセント、例えば、1〜10重量パーセントを構成し得る。組成物に使用する可塑剤(複数可)の性質および量に応じて、−50℃まで、例えば、−55℃までなどのT
g値を有する本開示のポリマーを使用することができる。
【0210】
組成物は、1種または複数の有機溶媒、例えばイソプロピルアルコールなどを、組成物の総重量をベースとして、例えば、0〜15重量パーセント、例えば、15重量パーセント未満、ある場合には10重量パーセント未満の範囲の量でさらに含むことができる。しかし、本開示の組成物は、例えば有機溶媒または水性溶媒(すなわち、水)などのいずれの溶媒も、実質的に含まないことができ、または、ある場合には、完全に含まないことができる。言い換えると、本開示の組成物は実質的に100%固体であることができる。
【0211】
本開示により提供される組成物は、追加のチオール末端硫黄含有プレポリマー、例えば、チオール末端ポリスルフィドおよび/またはチオール末端硫黄含有ポリホルマールを含むことができる。
【0212】
本開示により提供される部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシラン組成物は、接着促進プライマーとして使用することができる。組成物はまた表面の耐食性を改善することができる。
【0213】
部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシラン組成物は、溶液として提供することができる。溶液はアルコールおよび水を含むことができる。溶媒は、組成物が表面に適用された場合、薄膜が室温で15分間未満以内、30分間未満以内、45分間未満以内、または60分間未満以内に乾燥するように選択することができる。
【0214】
接着促進プライマーを適用するために、表面は最初に任意の適当な方法でクリーニングすることができる。例えば、表面はコットンガーゼおよび溶媒L628(PRC−DeSoto International Inc.から入手可能)または任意の他の適当な基材クリーニング溶媒を使用して溶媒で拭き取ることができる。
【0215】
乾燥させたフィルムの厚さは500nm未満、250nm未満、または100nm未満であることができる。乾燥させたフィルムの厚さは、1nm〜500nm、1nm〜300nm、1nm〜250nm、または50nm〜250nmであることができる。
【0216】
表面は金属表面、ポリマー表面、コーティング、または他の適切な表面であることができる。適切な表面の例として、ステンレス鋼AMS5513、硫酸陽極処理アルミニウムAMS2471、チタン組成物C AMS 4911、Alclad 2024 T3 アルミニウムQQA 250/5、CA8000ポリウレタン、研磨したCA8000ポリウレタン、PR205エポキシプライマー、アルミニウムQQA 250/12、アルミニウムQQA 250/13、AMS−C−27725プライマー、MIL−PRF−23377エポキシプライマー、およびAlodine(登録商標)1200が挙げられる。これらの表面は航空宇宙業界において遭遇する表面を代表するものである。
【0217】
本開示により提供される組成物は、例えば、基材と、上層の硬化性ポリマー組成物、例えば、シーラント、コーティング、封入材料、またはポッティング組成物などとの間のプライマーコーティングとして使用することができる。シーラントは、水分および温度などの作動条件に耐える能力を有し、水、燃料、ならびに他の液体および気体などの材料の透過を少なくとも部分的に遮断するフィルムを生成することが可能な組成物を含む。コーティング組成物は、基材の表面に、例えば、外観、接着性、湿潤性、耐食性、耐摩耗性、耐燃料性、および/または耐研磨性などの基材特性を改善するために適用される被覆剤を含む。シーラントは、表面を密閉するため、表面を平滑化するため、ギャップを充填するため、接合部を密閉するため、開口部、および他の特徴を密閉するために使用することができる。ポッティング組成物は、衝撃および振動に対する耐性を得るため、ならびに水分および腐食剤を排除するための、電子アセンブリーに有用な材料を含む。本開示により提供されるシーラント組成物は、例えば、航空宇宙用シーラントとして、および燃料タンク用の内壁として有用であることができる。
【0218】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、エポキシ硬化剤、および潜伏性アミン触媒を含有する組成物は、シーラントとして調合することができる。
【0219】
シーラントなどの組成物は、1つのパッケージが1種または複数のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーと1種または複数の潜伏性アミン触媒とを含み、第2のパッケージが1種または複数のエポキシ硬化剤を含む、2パック組成物などのマルチパック組成物として提供することができる。所望する場合または必要な場合、添加剤および/または他の材料をいずれかのパッケージに加えることができる。2つのパッケージは、使用前に合わせ、混合することができる。1種または複数の混合したチオール末端ポリチオエーテルおよびエポキシのポットライフは、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、または少なくとも120時間であることができ、ここで、ポットライフは、混合された組成物が、混合後、作用可能なままである期間を指す。本明細書で使用される場合、ポットライフはまた組成物の作用時間を指す。表3に例示されているように、有効作用時間は、わずかなゲル化が存在するが、シーラントは依然として移動可能で、拡散可能である硬化中の時点として定義することができる。ポットライフは25時間〜100時間、30時間〜90時間、または40時間〜80時間であることができる。本開示により提供される組成物は、室温で50時間〜200時間、75時間〜175時間、または100時間〜200時間内に不粘着表面に硬化することができる。本開示により提供される組成物は、室温で、50時間〜200時間、75時間〜175時間、または100時間〜200時間以内で、20AのショアA硬度まで硬化することができる。
【0220】
シーラント組成物は、30%〜70重量%のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、35重量%〜65重量%、40重量%〜60重量%または45重量%〜55重量%のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含有することができる。シーラント組成物は、2重量%〜12重量%のエポキシ硬化剤、3重量%〜11重量%、4重量%〜10重量%、または5重量%〜9重量%のエポキシ硬化剤を含有する。シーラント組成物は、0.2重量%〜6重量%の潜伏性アミン触媒、0.3重量%〜5重量%、0.4重量%〜4重量%、および/または0.5重量%〜3重量%の潜伏性アミン触媒を含有することができる。これらの組成物のそれぞれにおいて、重量%は、組成物の総重量に対する重量を指す。
【0221】
シーラントを含めた、本開示により提供される組成物は、様々な基材のいずれかに適用し得る。組成物を適用し得る基材の例として、チタン、ステンレス鋼、およびアルミニウムなどの金属(これらのいずれもが陽極処理、下塗り、有機コーティングまたはクロメートコーティングされていてもよい);エポキシ;ウレタン;グラファイト;繊維ガラス複合体;Kevlar(登録商標);アクリル樹脂;およびポリカーボネートが挙げられる。本開示により提供される組成物は、基材上のコーティング、例えば、ポリウレタンコーティングなどに適用し得る。
【0222】
本開示により提供される組成物は、基材の表面上に直接または下層の上に、任意の適切なコーティングプロセスにより適用し得る。
【0223】
さらに、本開示により提供される組成物を利用して開口部を密閉するための方法が提供される。これらの方法は、例えば、本開示により提供される組成物を表面に適用して開口部を密閉するステップと、組成物を硬化させるステップとを含む。開口部を密閉するための方法は、本開示により提供されるシーラント組成物を、開口部を画定する表面に適用するステップと、シーラントを硬化させて密閉した開口部を得るステップとを含むことができる。
【0224】
組成物は周囲条件下で硬化し得、ここで、周囲条件は20℃〜25℃の温度、および大気の湿度を指す。組成物は、0℃〜100℃の温度および0%相対湿度〜100%相対湿度の湿度を包含する条件下で硬化し得る。組成物は、より高い温度、例えば、少なくとも30℃、少なくとも40℃、または少なくとも50℃などで硬化し得る。組成物は、室温、例えば、25℃で硬化し得る。
【0225】
室温で硬化した場合、本開示により提供されるシーラントは、シーラント構成成分の混合後、50時間〜200時間以内、50時間〜150時間以内、50時間〜150時間以内、または100時間〜200時間以内に不粘着表面へと硬化することができる。
【0226】
室温で硬化した場合、本開示により提供されるシーラントは、シーラント構成成分の混合後、50時間〜250時間以内、50時間〜200時間以内、50時間〜150時間以内、または100時間〜200時間以内に少なくともショアA20の硬度に硬化することができる。
【0227】
本開示により提供される組成物は、作用時間の終わりに急速に硬化することができる。例えば、シーラントは、室温で、シーラントがもはや作用可能でなくなった時点(作用時間の終わり)の後24時間以内、36時間以内、または48時間以内に、不粘着表面へと硬化することができる。シーラントは、室温で、シーラントがもはや作用可能でなくなった時点(作用時間の終わり)の後24時間以内、36時間以内、または48時間以内に20AのショアA硬度に硬化することができる。
【0228】
本開示の硬化性組成物を使用して実行可能な密閉を形成するための時間は、当業者により理解し得るような、ならびに適用される標準および仕様の必要条件により定義されているようないくつかの因子に依存する可能性がある。一般的に、本開示の硬化性組成物は混合および表面への適用後、24時間〜30時間以内に接着強度を生み出すことができ、2日〜3日で完全な接着強度の90%を生み出す。一般的に、本開示の硬化した組成物の完全な接着強度および他の特性は、硬化性組成物の混合および表面への適用後7日以内には完全に生み出された状態になることができる。
【0229】
本開示により提供されるシーラントは、航空用および航空宇宙用乗物の表面を密閉するために使用することができる。シーラントを使用して、開口部、例えば、燃料タンクに関連する開口部などを密閉することができる。開口部を密閉するため、開口部を画定している表面または1つもしくは複数の表面にシーラントを適用し、シーラントを硬化させて、開口部を密閉することができる。
【0230】
本開示の組成物は、硬化した場合、−55℃以下、例えば、−60℃以下、または、ある場合には−65℃以下のT
gを有することができる。前述のように、本開示の方法は、上に記載されている未硬化のシーラント組成物を化学線に曝露させて、硬化したシーラントを得るステップを含む。本明細書の実施例は、本方法のステップを実施するための適切な条件について記載している。本開示の一部の実施形態では、(a)チオール末端ポリチオエーテル(例えば、上に記載されているもののいずれか);および(b)アルケニル末端化合物を含む未硬化組成物に、化学線を照射することによって、硬化したシーラントを形成するチオール−エン反応を実行する。本明細書で使用される場合、「化学線」は、電子ビーム(EB)照射、紫外線(UV)照射、および可視光を包含する。多くの場合、チオール−エン反応は、組成物にUV光を照射することにより実行され、このような場合、本明細書で開示されているように、組成物は、多くの場合、他の任意選択の成分の中でも光開始剤をさらに含む。
【0231】
例えば、180ナノメートル〜400ナノメートルの範囲の波長を有する、紫外光を発光する任意の適切な供給源からの紫外線を利用して、上に記載されているチオール−エン反応を開始し、これによって、硬化したシーラントを形成し得る。紫外光の適切な供給源は一般的に公知であり、例えば、水銀アーク、炭素アーク、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、旋回流プラズマアークおよび紫外光を発光するダイオードが挙げられる。本開示の組成物のある特定の実施形態は、紫外光中での比較的低いエネルギー曝露において、空気中での優れた程度の硬化を示すことができる。
【0232】
ある場合には、本開示の組成物の2インチまたはそれ超までの深さまでのUV硬化を達成することができる。これは、空気中で、比較的低いエネルギー曝露で、本明細書に記載されている組成物を化学線、例えば、紫外線などへ曝露することによって、2インチまたはそれ超の厚さを有し、本明細書に記載されている望ましいシーラント特性を有する硬化したシーラントを達成することができることを意味する。
【0233】
UV光源は、250nm〜400nmの範囲において、および250nm〜400nmの間の任意の波長または波長の組合せにおいて発光ピークを有することができる。例えば、有用なUV供給源として、水銀蒸気(250nm〜400nm;600mW/cm
2)およびPhoseon Firefly(商標)(395nm;>1000mW/cm
2設定)が挙げられる。
【0234】
組成物は、シーラント、コーティング、および/または電気的ポッティング組成物を含むことができる。本明細書で使用される場合、「シーラント組成物」という用語は大気条件、例えば、水分および温度などに耐える能力を有し、例えば水、燃料、ならびに他の液体および気体などの材料の透過を少なくとも部分的に遮断するフィルムを生成することが可能な組成物を指す。本開示のシーラント組成物は、例えば、航空宇宙用シーラントおよび燃料タンクに対する内壁として有用であり得る。
【0235】
本開示の方法により生成されたシーラントは、耐燃料性であることができる。本明細書で使用される場合、「耐燃料性」という用語は、シーラントが、ASTM D792またはAMS3269に記載されている方法と同様の方法に従い、140°F(60℃)および大気圧でジェット基準流体(JRF)I型中に1週間浸漬した後、40%以下、ある場合には25%以下、ある場合には20%以下、また他の場合には10%以下の体積膨潤度パーセントを有することを意味する。耐燃料性の決定のために本明細書中で利用される、ジェット基準流体JRF I型は、以下の組成を有する(1989年7月1日発行のAMS2629を参照されたい)、§3.1.1以下参照、SAE(Society of Automotive Engineers、Warrendale、PA)から入手可能。
【0236】
本開示に従い生成されたシーラントは、AMS3279、§3.3.17.1、試験手順AS5127/1、§7.7に記載されている手順に従い測定した場合、少なくとも100%の伸長および少なくとも250psiの引張り強度を有することができる。
【0237】
本開示に従い生成されたシーラントは、ASTM D624 Die Cに従い測定した場合、1リニアインチ当たり少なくとも25ポンド(pli)またはそれ超の引裂強度を有することができる。
【0238】
本開示により提供されるUV硬化性組成物は、留め具を密閉するために使用される、予備成形された密閉キャップ、例えば、航空機燃料タンクに使用されるものなどに使用することができる。留め具上に配置し、硬化した場合、予備成形された密閉キャップは、留め具と、硬化した組成物との間の密閉の目視検査を可能にする。ポリチオエーテルポリマー組成物を使用して、プレミックスおよび凍結した密閉キャップを作製するための方法は、米国特許第7,438,974号、米国特許出願公開第2013/0284359号、米国特許出願公開第2012/0040104号、米国特許出願公開第2012/0040103号、および米国特許出願公開第2015/0086726号で開示されている。米国特許第7,438,974号で開示されたものと同様の方法を使用して、本開示により提供されるUV硬化性密閉キャップを調製および使用することができる。
【0239】
予備成形された密閉キャップは、少なくとも部分的に硬化し、空洞を画定するシーラント組成物を含む予備成形されたシェルを含む。空洞は、少なくとも部分的に未硬化の量のシーラント組成物で充填される。予備成形されたシェルを形成する組成物は、目視により透明であり、UV照射を透過させる任意の適切なシーラント組成物であってよい。予備成形されたシェルを形成する組成物は、本開示により提供されるUV硬化性組成物を含むことができる。組成物は、取扱いを容易にするためのシェルの統合性を維持するのに十分に少なくとも部分的に硬化している。このような実施形態では、予備成形されたシェルを形成する組成物は、空洞を充填する組成物と同じまたは他の硬化機序のいずれかにより、予備成形された密閉キャップを留め具上に組み立てた後で、硬化することができる。予備成形されたシェルを形成する組成物は、空洞が充填される前に完全に硬化することができる。
【0240】
予備成形されたシェルは、例えば、射出成形、圧縮成形、または他の適当な方法により調製し得る。シェルは、空洞内にシーラント組成物を保持し、取扱いおよび組立を容易にするのに十分な任意の適切な厚さを有し得る。シェルは、1/32インチ、1/16インチ、1/8インチ、または1/4インチの厚さを有することができる。予備成形されたシェルの寸法は、予備成形された密閉キャップが留め具を完全にカバーし、留め具が取り付けられる基材への接着性を表面に提供するように、密閉することを意図する留め具の寸法に少なくとも部分的に依存する。
【0241】
同様に、予備成形されたシェルは、留め具をカバーするのに、および留め具が取り付けられる基材の密閉を提供するのに十分な任意の適当な形状を有し得る。例えば、予備成形されたシェルは、留め具上にフィットすることが意図され、ドームまたはドームでキャップしたチューブの形状の内部空洞を画定する第1の部分を含むことができる。予備成形されたシェルは、第2の部分を含んでもよく、この第2の部分は、ドームまたはキャップと反対側にあり、基材に一致するように構成されたセクションまで徐々に細くなり得る、基材にはめ込むことが意図されている、張り出したセクションを有する。このセクションはまた空洞への開口部を画定する。留め具がはめ込まれる基材は平坦であってもよく、または他の形状、例えば、湾曲したまたはアークの形状であってもよい。このような場合、予備成形されたシェルの張り出したセクションは、予備成形された密閉ャップがはめ込まれる基材の形状と同じ形状または同様の形状を有するように構成され得る。
【0242】
シーラントを作製するための方法は、(1)第1のシーラント組成物を、空洞を含む予備成形された形状へと形成するステップと、(2)第1のシーラントを少なくとも部分的に硬化させるステップと、(3)空洞を第2のシーラント組成物で充填するステップと、(4)第2のシーラント組成物を少なくとも部分的に未硬化のまま維持するステップとを含むことができる。第1のシーラント組成物および第2のシーラント組成物は、目視により透明であることができ、第1のシーラント組成物および第2のシーラント組成物は、(i)チオール末端ポリチオエーテル;ならびに(ii)アルケニル末端化合物、例えば、ポリビニルエーテルおよび/またはポリアリル化合物を含むアルケニル末端化合物を含む。本方法は、第2のシーラント組成物を少なくとも部分的に未硬化のまま維持するステップをさらに含む。
【0243】
第2のシーラント組成物を少なくとも部分的に未硬化のまま維持するステップは、第2のシーラント組成物を紫外線から遮蔽するステップを含むことができる。
【0244】
第1のシーラント組成物を形成するステップは、第1のシーラント組成物を既定の厚さに圧縮するステップを含むことができる。
【0245】
第1のシーラント組成物を形成するステップは、第1のシーラント組成物を、内部空洞を有する凹面シェルへと形成するステップを含むことができ、空洞を充填するステップは、内部空洞を第2のシーラントで充填するステップを含む。
【0246】
空洞を充填する未硬化の第2のシーラントの粘度は、使用中、例えば、密閉キャップが逆向きにされ、留め具上に置かれるときに第2のシーラントが空洞から容易に流れ出さないような粘度であることができる。粘度はまた、未硬化のシーラントが組立中に留め具に適合し、空気ポケットまたは気泡を閉じ込めないような粘度である。留め具上に置いた場合、密閉キャップは、空気ポケットの閉じ込めを回避するために、留め具を覆って留め具上へとゆっくりと低下し、そっと回転して、留め具の表面上に、および徐々に密閉キャップ上全体に未硬化のシーラントを分配する。未硬化の第2のシーラントの粘度は、5,000ポイズ〜15,000ポイズ、7,500ポイズ〜12,500ポイズ、または10,000ポイズであることができる。
【0247】
予備成形されたシェルの製作およびシェルへの少なくとも部分的なまたは完全な硬化後、予備成形されたシェルに未硬化の第2のシーラント組成物を充填する。未硬化の第2のシーラント組成物は、本開示により提供されるUV硬化性組成物を含む。予備成形されたシェルを形成する、および空洞を充填する組成物は、ともに本開示により提供されるUV硬化性組成物であってもよいし、または同じ組成物であってもよい。空洞を充填する組成物は、部分的に硬化されていてもよいし、または未硬化でもよい。
【0248】
使用前、例えば、貯蔵中および出荷中などに、シェルおよび少なくとも部分的に未硬化のシーラントで充填した空洞を含む予備成形された密閉キャップは、UV照射から保護された条件下で貯蔵することによって、少なくとも空洞を充填している組成物の硬化を阻止することができる。予備成形されたシェルが完全に硬化されているか、またはUV硬化性組成物を含む実施形態では、貯蔵および輸送環境の温度および湿度条件は、一般的に組成物の硬化に影響を及ぼさない。
【0249】
組立前に、予備成形された密閉キャップをUV保護から外すことができる。留め具を密閉するために、予備成形された密閉キャップを留め具を覆うように置き、基材表面へ置くか、または表面上に押しつけ、UV照射に曝露させて空洞を充填する組成物を硬化させる。予備成形された密閉キャップを留め具上に適用する前に、留め具を溶媒できれいに拭き取り、本開示により提供される部分的に反応したアルコキシシランプライマー組成物を留め具に適用し、乾燥させることができる。また、硬化前、留め具とシーラント組成物との間、および基材とシーラント組成物との間の境界面を目視により検査することによって、留め具、基材、およびシーラント組成物の間の境界面が、空隙、ポケット、および/または分離を含まないことを確実にすることができる。このような空隙、ポケット、および/または分離が観察された場合、予備成形された密閉キャップを、欠陥を取り除くことができるように再配置することができ、または分離して新規の予備成形された密閉キャップを留め具上にはめ込むことができる。
【0250】
本開示により提供されるUV硬化性シーラントを使用して、表面欠陥、例えば、くぼみ、へこみ、接合部、およびギャップなどを充填および平坦化することができる。航空機表面は、何千もの留め具、ならびに多くの接合部およびパネルギャップを含み得る。例えば、航空機の外側パネルを取り付ける留め具は、多くの場合皿穴に埋められ、導電性の内側表面に取り付けられている。皿穴にされたくぼみが平坦化されて、構造の空気力学が改善され、また電気的に絶縁されることが望ましい。加えて、集合体間の接合部および隣接するパネル間のギャップが存在する可能性があり、これらは、表面空気力学を改善し、電気的に絶縁するために、充填することが望ましい。本明細書で開示されているUV硬化性シーラントを使用することによって、これらおよび他の目的を達成することができる。
【0251】
例えば、皿穴に埋められた留め具またはへこみから生じる航空宇宙用基材上の表面くぼみは、本開示により提供されるUV硬化性シーラントを適用し、適用されたシーラントをUV照射に曝露させて、シーラントを硬化させることによって充填することができる。留め具上にシーラントを適用する前に、留め具を溶媒できれいに拭き取り、本開示により提供される部分的に反応したアルコキシシランプライマー組成物を留め具に適用し、乾燥させることができる。シーラントは、シリンジ、カートリッジ、押出し機、またはへらなどのアプリケーターを用いて、くぼみを充填し、平滑化するのに十分な量でくぼみに適用することができる。適用したシーラントは、例えば、塗り付けにより、またはシーラントの上にプレートを適用することによって、平滑化することができる。プレートは、UV照射に対して透過性の、例えば、ガラスプレートまたはポリエチレンシートなどのプラスチックシートなどであってよく、これによって、硬化中にシーラントに圧力を加えることができる。次いで、適用されたシーラントをUV照射に曝露させて、シーラントを硬化させることができる。次いで、使用した場合、UV透過性圧力プレートを取り外して、空気力学的に平滑な表面を得ることができる。ある特定の方法では、過剰のシーラントを除去すること、またはさもなければ、硬化したシーラントの縁と、航空機基材との間の境界面を平滑化することが必要となることがある。これは、例えば、紙やすり、例えば、400ウェット/ドライサンドペーパーなどを使用して、例えば、表面をやすりで磨くことによって達成し得る。
【0252】
同様の方法を使用して、パネルまたは他の表面特徴の間のギャップを充填することができる。
【0253】
このような方法は、航空機の組立中、または修理および交換作業中に使用することができる。一般的に、硬化したUV硬化性シーラントを含む航空機表面は使用前にペイントされる。
【0254】
航空宇宙用シーラント用途に対して、部分的に反応したアルコキシシランプライマーおよび上層のチオール−エンベースのシーラントを含む多層シーラントを含むシーラントは、20ミルの硬化厚さで、Mil−S−22473E(シーラント等級C)の必要条件を満たし、200%超の伸長、250psi超の引張り強度、および優れた耐燃料性を示し、−67°F〜360°Fの幅広い温度範囲にわたりこれらの特性を維持することが望ましいことがある。一般的に、シーラントの見掛けは重要な特質ではない。硬化前、混合した構成成分が少なくとも24時間の有効作用時間またはポットライフを有し、室温でポットライフの24時間以内の不粘着硬化時間を有することが望ましい。有効作用時間またはポットライフは、触媒が放出された後、組成物が周囲温度で用途に対して作用可能のままである期間を指す。
【0255】
本明細書で開示されている硬化した組成物、例えば、硬化したシーラントなどは、航空宇宙用途における使用に対して許容可能な特性を示す。一般的に、航空および航空宇宙用途において使用されるシーラントは以下の特性を示すことが望ましい:Aerospace Material Specification(航空宇宙材料仕様(AMS))3265B試験仕様に従い、JRF I型中で7日間浸漬後、および3%NaCl溶液中で浸漬後、AMS3265B基材上で、乾燥条件下で決定された、1リニアインチ当たり20ポンド(pli)超の剥離強度;300ポンド毎平方インチ(psi)〜400psiの間の引張り強度;1リニアインチ当たり50ポンド(pli)超の引裂強度;250%〜300%の間の伸長;および40デュロメータAを超える硬度。航空および航空宇宙用途に対して適当なこれらのおよび他の硬化したシーラントの特性はAMS3265Bにおいて開示されている。硬化した場合、航空および航空機用途において使用される本開示の組成物は、1週間60℃(140°F)、および大気圧で、JRF I型中で浸漬後、25%以下の体積膨潤度パーセントを示すこともまた望ましい。他の特性、範囲、および/または閾値は、他のシーラント用途に対して適当であり得る。
【0256】
本開示により提供される組成物は耐燃料性である。本明細書で使用される場合、「耐燃料性」という用語は、組成物が、基材に適用され、硬化した場合、ASTM D792(米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials))またはAMS3269(航空宇宙材料仕様(Aerospace Material Specification))に記載されている方法と同様の方法に従い、1週間140°F(60℃)および大気圧で、ジェット基準流体(JRF)I型中に浸漬後、40%以下、ある場合には25%以下、ある場合には20%以下、また他の場合には10%以下の体積膨潤度パーセントを示す、シーラントなどの硬化した製品を提供することができることを意味する。ジェット基準流体JRF I型は、耐燃料性の決定に利用される場合、以下の組成を有する:トルエン:28容量%±1容量%;シクロヘキサン(工業用):34容量%±1容量%;イソオクタン:38容量%±1容量%;および第三級ジブチルジスルフィド:1容量%±0.005容量%(SAE(Society of Automotive Engineers)から入手可能な1989年7月1日に発行されたAMS2629、§3.1.1などを参照されたい)。
【0257】
本明細書に提供されている組成物は、AMS3279、§3.3.17.1、試験手順AS5127/1、§7.7に記載されている手順に従い測定した場合、少なくとも100%の引張伸長および少なくとも400psiの引張り強度を示すシーラントなどの硬化した製品を提供することができる。
【0258】
本開示により提供される硬化したシーラントは、燃料膨潤、減量、硬度、引張り強度、伸長、剥離強度、およびラップ剪断強度などの特性を含む、SAE AS5127/1Bの性能基準を満たすことができる。これらの性能基準は、本開示の表14において要約されている。
【0259】
本開示により提供される組成物を含む硬化したシーラントは、AMS3277において示されるような航空宇宙用シーラントに対する必要条件を満たすまたは上回ることができる。
【0260】
本開示により提供される組成物で密閉された航空宇宙用乗物の開口部および表面を含む、開口部および表面もまた開示されている。
【実施例】
【0261】
本開示により提供される実施形態は、本開示により提供される組成物およびシーラントについて記載している以下の実施例の参照によりさらに例示される。本開示の範囲から逸脱することなく、材料と方法の両方に対して多くの修正が実施され得ることは、当業者には明らかである。
(実施例1)
プライマー組成物
【0262】
表1に列挙された構成成分(単位:グラム)を組み合わせ、表1に示されている通り、70℃の温度(示されている通り)で、または加熱なしで60分間〜100分間の間混合物を反応させることによって、様々なプライマーコーティング組成物を調製した。
【表1】
* Silquest(商標)A-1102、3-アミノプロピルトリエトキシシラン; Momentive Performance Materials Inc.
** SIB1824.5、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン; Gelest Inc.
*** Silquest(商標)A-174-NT、アクリレート官能性アルコキシシラン、Momentive Performance Materials Inc.
† Silquest(商標)Y-15866、アルケニル官能性アルコキシシラン; Momentive Performance Materials Inc.
‡ Silquest(商標)A-186、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン; Momentive Performance Materials Inc.
【0263】
プライマーコーティング組成物のそれぞれは、15重量%の固形成分含有量を有した。プライマーコーティング組成物において使用されている各アルコキシシランのモル%が表2に示されている。
【表2】
* Silquest(商標)A-1102、3-アミノプロピルトリエトキシシラン; Momentive Performance Materials Inc.
** SIB1824.5、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン; Gelest Inc.
*** Silquest(商標)A-174-NT、アクリレート官能性アルコキシシラン、Momentive Performance Materials Inc.
† Silquest(商標)Y-15866、アルケニル官能性アルコキシシラン; Momentive Performance Materials Inc.
‡ Silquest(商標)A-186、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン; Momentive Performance Materials Inc.
(実施例2)
シーラント調合物
【0264】
接着促進プライマーとして機能する部分的に反応したアルコキシシラン組成物の能力を、チオール−エンベースのシーラント調合物を使用して評価した。シーラント調合物の構成成分は表3に列挙されている:
【表3】
【0265】
100gのHauschildカップを77.03gのPermapol(登録商標)P−3.1(e)、0.05gのSocal(登録商標)31、1.54gのCab−O−Sil(登録商標)M5、および16.66gのGasil(登録商標)IJ35で充填することによってシーラント組成物を調製した。カップを密閉し、すべての充填剤が樹脂内で均一に分散するまで、Hauschild高速混合器内に90秒間配置した。これに、1.1gのシアヌル酸トリアリル(TAC)、3.29gのトリエチレングリコールジビニルエーテル(TEG−DVE)、0.49gのヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、0.10gのγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、および0.10グラムのIrgacure(登録商標)2022を23℃で加えた。次いで、この完全な調合物を、高速混合器内で30秒間混合した。
【0266】
図4A〜7に示されているような航空宇宙用の表面を、L628有機溶媒(Bonderite(登録商標)C−AK4848−257 Turco(登録商標);Turco(登録商標)4848−257;Henkel North Americaから入手可能)に浸し、これに続いて、AMS3819等級A拭き取り布で磨いた。磨いた後、試験パネルを再度溶媒に浸し、直ちにAMS3819等級A拭き取り布を乾燥状態で使用して拭いた。きれいな表面を室温で15分間乾燥させた。次いで、プライマーで飽和させたコットンガーゼで塗りつけることによってプライマーコーティングを乾燥表面に適用し、プライマーを室温で20分間乾燥させて、イソプロパノールを蒸発させた。チオール−エンベースのUV硬化性シーラントを乾燥プライマーコーティングに適用し、室温で硬化させ、これに続いてUV(Phoseon FireFly(商標)UV LED硬化システム;36mW/cm
2のUV−Aフラックスおよび373mW/cm
2のUV−Vフラックス)に10〜60秒曝露した。シーラントを室温で完全に硬化させた。
【0267】
硬化したパネルは、(1)周囲条件で最低24時間維持し、(2)50/50JRF I型/3%NaCl中に60℃で7日間浸漬し、(3)JRF I型中に60℃で7日間浸漬し、または(4)3%NaCl中に60℃で7日間浸漬し、その後、凝集破壊パーセントとして接着性を測定した。硬化したパネルに対するシーラントの剥離強度および凝集%を、AS5127/1C、38、39、41、および42頁に従い測定した。0〜5の範囲の接着性スケールを各試験に割り当て、5の値を100%の凝集破壊とし、0の値を100%接着破壊とした。(接着性試験方法は標準化された試験ではないことに注意)。プライマーおよび上層コーティングを含む多層コーティングは、高い剥離強度(%pli)および100%凝集破壊を示すことが望ましい。結果は
図4A〜7に提示されている。CA8000表面をScotch Briteで研磨した。
【0268】
最後に、本明細書で開示されている実施形態を実行する代替の方式が存在することに注目すべきである。したがって、本実施形態は、例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。さらに、特許請求の範囲は、本明細書で与えられた詳細に限定されるべきではなく、これらの完全な範囲およびその均等物に権利がある。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
(i)アミノ官能性アルコキシシラン、
(ii)オルガノ基がチオール基と反応性であるオルガノ官能性アルコキシシラン、および
(iii)水、ならびに
アルコール
を含む反応物質の反応生成物を含む、部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランを含む組成物。
(項目2)
前記オルガノ官能性アルコキシシランが、エポキシ官能性アルコキシシラン、アルケニル官能性アルコキシシラン、アクリレート官能性アルコキシシラン、メタクリレート官能性アルコキシシラン、および前述のもののいずれかの組合せから選択される、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記アミノ官能性アルコキシシランが、アミノ官能性ビス(アルコキシシラン)を含む、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記オルガノ官能性アルコキシシランが、アルケニル官能性アルコキシシランおよびエポキシ官能性シランから選択される、項目1に記載の組成物。
(項目5)
前記オルガノ官能性アルコキシシランが、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(γ-glycidyoxypropyltrimethoxy silane)から選択される、項目4に記載の組成物。
(項目6)
前記オルガノ官能性アルコキシシランが、オルガノ官能性モノ(アルコキシシラン)、オルガノ官能性ビス(アルコキシシラン)、オルガノ官能性トリス(アルコキシシラン)、および前述のもののいずれかの組合せから選択される、項目1に記載の組成物。
(項目7)
前記アミノ官能性アルコキシシランが、アミノ官能性モノ(アルコキシシラン)、アミノ官能性ビス(アルコキシシラン)、およびそれらの組合せから選択される、項目1に記載の組成物。
(項目8)
前記アミノ官能性アルコキシシランが、式(1)の構造を有するアミノ官能性モノ(アルコキシシラン)、式(2)の構造を有するアミノ官能性ジ(アルコキシシラン)、およびそれらの組合せ:
(NH2−R5−)nSi(−O−R4)4−n(1)
(R4−O−)3−Si−(CH2)n−NH−(CH2)n−Si−(−O−R4)3(2)
から選択され、式中、
nは、1、2、および3から選択され、
各R5は、独立して、C1〜6アルカンジイルおよび結合から選択され、
各R4は、独立して、C1〜3アルキルから選択される、項目1に記載の組成物。
(項目9)
前記オルガノ官能性アルコキシシランが、式(3)の構造:
(R6−R5−)nSi(−O−R4)4−n(3)
を有するオルガノ官能性モノ(アルコキシシラン)を含み、式中、
nは、1、2、および3から選択され、
各R6は、独立して、−CH=CH2、−O−C(=O)−CH=CH2、および−O−C(=O)−C(−CH3)=CH2から選択され、
各R5は、独立して、C1〜6アルカンジイルおよび結合から選択され、
各R4は、独立して、C1〜3アルキルから選択される、項目1に記載の組成物。
(項目10)
前記オルガノ官能性アルコキシシランが、メタクリレート官能性アルコキシシランを含む、項目1に記載の組成物。
(項目11)
前記メタクリレート官能性アルコキシシランが、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを含む、項目10に記載の組成物。
(項目12)
前記組成物が、
前記アミノ官能性アルコキシシラン、前記オルガノ官能性アルコキシシラン、前記水およびアルコールを合わせるステップ、ならびに
混合物を、60℃〜85℃の温度に、40分間〜80分間加熱して、前記部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランを得るステップにより調製される、項目11に記載の組成物。
(項目13)
前記反応物質が、水のアルコキシ基に対するモル比0.9〜1.1を含む、項目1に記載の組成物。
(項目14)
前記組成物が、5重量%〜25重量%の前記部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランを含み、重量%が前記組成物の総重量に基づく、項目1に記載の組成物。
(項目15)
反応したオルガノ官能性アルコキシシラン組成物を調製する方法であって、
アミノ官能性アルコキシシラン、
オルガノ基がチオール基と反応性であるオルガノ官能性アルコキシシラン、
アルコール、および
水
を合わせるステップであって、水のアルコキシ基に対するモル比が0.9〜1.1であるステップと、
混合物を、60℃〜85℃の温度に、40分間〜80分間加熱して、部分的に反応したオルガノ官能性アルコキシシランを含む組成物を得るステップと
を含む方法。
(項目16)
部分的に反応したエポキシ官能性アルコキシシラン組成物を調製する方法であって、
アミノ官能性アルコキシシラン、
エポキシ官能性アルコキシシラン、
アルコール、および
水
を反応させるステップを含む方法。
(項目17)
項目1に記載の組成物を含む第1のコーティングと、
前記第1のコーティングの上層の第2のコーティングであって、反応性チオール基および反応性アルケニル基を含む組成物から調製される、第2のコーティングと
を含む多層コーティング。
(項目18)
前記第2のコーティングが、
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーと、
平均官能基数2〜3により特徴付けられるポリアルケニル硬化剤であって、ポリアリル化合物、ポリビニルエーテル、およびそれらの組合せから選択される、ポリアルケニル硬化剤と
を含む、項目17に記載の多層コーティング。
(項目19)
表面を密閉する方法であって、
表面を準備するステップと、
項目1に記載の組成物を前記表面に適用するステップと、
前記組成物を乾燥させて、乾燥したプライマーコーティングを得るステップと、
未硬化のシーラント組成物を前記乾燥したプライマーコーティングに適用するステップであって、前記未硬化のシーラント組成物が反応性チオール基および反応性アルケニル基を含むステップと、
前記未硬化のシーラント組成物を硬化させて、密閉された表面を得るステップと
を含む方法。
(項目20)
乾燥させるステップが、項目1に記載の組成物を室温で10分間〜60分間乾燥させるステップを含み、
硬化させるステップが、前記未硬化のシーラント組成物をUV照射に曝露させるステップを含む、項目19に記載の方法。