特許第6762959号(P6762959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6762959温度に伴うオフセットドリフトを補償するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762959
(24)【登録日】2020年9月11日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】温度に伴うオフセットドリフトを補償するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/06 20060101AFI20200917BHJP
   H03M 1/12 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   H03M1/06
   H03M1/12 A
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-555219(P2017-555219)
(86)(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公表番号】特表2018-513651(P2018-513651A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】US2016028465
(87)【国際公開番号】WO2016172228
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2019年4月17日
(31)【優先権主張番号】14/871,005
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/149,971
(32)【優先日】2015年4月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ディパンカール マンダル
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/001682(WO,A1)
【文献】 特開昭62−157422(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0194368(US,A1)
【文献】 米国特許第6847319(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R19/00
H03M1/00−1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログデジタルコンバータ(ADC)であって、
閾値電圧を受信するように構成されるコンパレータと、
前記コンパレータに結合され、入力電圧と基準電圧のセットとの一方を受信するように構成される、エレメンタリコンデンサのセットと、
前記コンパレータに結合され、1次電圧と2次電圧との一方を受信するように構成される、M個のオフセットコンデンサのセットであって、Mが整数であり、前記1次電圧と前記2次電圧との差が温度に伴って線形に変化する、前記M個のオフセットコンデンサのセットと、
を含む、ADC。
【請求項2】
請求項1に記載のADCであって、
前記基準電圧のセットが、正の基準電圧と負の基準電圧とを含む、ADC。
【請求項3】
請求項1に記載のADCであって、
前記1次電圧が温度の上昇に伴って線形に増大し、前記2次電圧が温度の低下に伴って線形に減少する、ADC。
【請求項4】
請求項1に記載のADCであって、
前記コンパレータが、
前記閾値電圧を受信するように構成される非反転端子と、
前記エレメンタリコンデンサのセットと前記M個のオフセットコンデンサのセットとに結合される反転端子と、
を含む、ADC。
【請求項5】
請求項1に記載のADCであって、
前記ADCがトリム位相のセットにおいて動作するように構成され、前記トリム位相のセットの各トリム位相がサンプリングモードと変換モードとを含み、前記トリム位相のセットが、
前記ADCが第1のトリム位相において第1のデジタルコードを生成するように構成される、前記第1のトリム位相と、
前記ADCが第2のトリム位相において第2のデジタルコードを生成するように構成される、前記第2のトリム位相と、
前記ADCが第3のトリム位相において第3のデジタルコードを生成するように構成される、前記第3のトリム位相と、
前記ADCが第4のトリム位相において第4のデジタルコードを生成するように構成される、前記第4のトリム位相と、
を含む、ADC。
【請求項6】
請求項5に記載のADCであって、
前記第1のトリム位相と前記第2のトリム位相とが第1の温度において生じ、前記第3のトリム位相と前記第4のトリム位相とが第2の温度において生じる、ADC。
【請求項7】
請求項5に記載のADCであって、
前記トリム位相のセットの各トリム位相において、
前記エレメンタリコンデンサのセットが前記サンプリングモードにおいて前記入力電圧に結合され、
前記エレメンタリコンデンサのセットが前記変換モードにおいて前記正の基準電圧と前記負の基準電圧との一方に結合される、ADC。
【請求項8】
請求項5に記載のADCであって、
前記第1のトリム位相において、前記M個のオフセットコンデンサのセットが、前記サンプリングモードと前記変換モードとの両方において前記1次電圧に結合される、ADC。
【請求項9】
請求項5に記載のADCであって、
前記第2のトリム位相において、前記M個のオフセットコンデンサのセットが、前記サンプリングモードにおいて前記1次電圧に、前記変換モードにおいて前記2次電圧に結合される、ADC。
【請求項10】
請求項9に記載のADCであって、
前記第2のトリム位相の後に、前記M個のオフセットコンデンサのセットに提供される前記2次電圧が、前記第1のデジタルコードが前記第2のデジタルコードに等しくなるように改変される、ADC。
【請求項11】
請求項5に記載のADCであって、
前記第3のトリム位相において、前記M個のオフセットコンデンサのセットが、前記サンプリングモードと前記変換モードとの両方において前記1次電圧に結合される、ADC。
【請求項12】
請求項5に記載のADCであって、
前記第4のトリム位相において、前記第3のデジタルコードが正である場合に、前記M個のオフセットコンデンサのセットが、前記サンプリングモードにおいて前記2次電圧に、前記変換モードにおいて前記1次電圧に結合され、前記第3のデジタルコードが負である場合に、前記M個のオフセットコンデンサのセットが、前記サンプリングモードにおいて前記1次電圧に、前記変換モードにおいて前記2次電圧に結合される、ADC。
【請求項13】
請求項12に記載のADCであって、
前記第4のトリム位相の後に、前記第4のデジタルコードが或る定義された値に等しくなるように、前記M個のオフセットコンデンサのセットのN個のオフセットコンデンサが接地端子に結合され、NがM以下の整数である、ADC。
【請求項14】
オフセットドリフトを補償する方法であって、
アナログデジタルコンバータ(ADC)をトリム位相のセットにおいて動作させることであって、前記トリム位相のセットの各トリム位相がサンプリングモードと変換モードとを含む、前記動作させることを含み、
各トリム位相が、
前記サンプリングモードで入力電圧を前記ADCにおけるエレメンタリコンデンサのセットに提供することと、
前記変換モードで基準電圧のセットを前記ADCにおける前記エレメンタリコンデンサのセットに提供することと、
1次電圧と2次電圧との一方を前記ADCにおけるM個のオフセットコンデンサのセットに提供することであって、Mが整数であり、前記1次電圧と前記2次電圧との差が温度に伴って線形に変化する、前記提供することと、
を更に含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記基準電圧のセットが正の基準電圧と負の基準電圧とを含み、
前記1次電圧が温度の上昇に伴って線形に増大し、前記2次電圧が温度の低下に伴って線形に減少する、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記トリム位相のセットが、第1の温度で生じる第1のトリム位相及び第2のトリム位相と、第2の温度で生じる第3のトリム位相及び第4のトリム位相とを更に含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記第1のトリム位相において第1のデジタルコードを生成することと、
前記第2のトリム位相において第2のデジタルコードを生成することと、
前記第3のトリム位相において第3のデジタルコードを生成することと、
前記第4のトリム位相において第4のデジタルコードを生成することと、
を更に含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1のトリム位相において、前記M個のオフセットコンデンサのセットを前記サンプリングモードと前記変換モードとの両方において前記1次電圧に結合することと、
前記第2のトリム位相において、前記M個のオフセットコンデンサのセットを前記サンプリングモードにおいて前記1次電圧に、前記変換モードにおいて前記2次電圧に結合することと、
前記第1のデジタルコードが前記第2のデジタルコードに等しくなるように、前記第2のトリム位相において、前記M個のオフセットコンデンサのセットに提供される前記2次電圧を改変することと、
を更に含む、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、
前記第3のトリム位相において、前記サンプリングモードと前記変換モードとの両方において、前記M個のオフセットコンデンサのセットを前記1次電圧に結合することと、
前記第3のデジタルコードが正である場合に、前記第4のトリム位相において、前記M個のオフセットコンデンサのセットを前記サンプリングモードにおいて前記2次電圧に、前記変換モードにおいて前記1次電圧に結合することと、
前記第3のデジタルコードが負である場合に、前記第4のトリム位相において、前記M個のオフセットコンデンサのセットを前記サンプリングモードにおいて前記1次電圧に、前記変換モードにおいて前記2次電圧に結合することと、
前記第4のデジタルコードが或る定義された値に等しくなるように、前記M個のオフセットコンデンサのセットのN個のオフセットコンデンサを接地端子に結合することであって、NがM以下の整数である、前記結合することと、
を更に含む、方法。
【請求項20】
コンピューティングデバイスであって、
処理ユニットと、
前記処理ユニットに結合されるメモリモジュールと、
前記処理ユニットと前記メモリモジュールとに結合され、アナログデジタルコンバータ(ADC)を含む論理ユニットであって、前記ADCが、
閾値電圧を受信するように構成されるコンパレータと、
前記コンパレータに結合され、入力電圧と基準電圧のセットとの一方を受信するように構成される、エレメンタリコンデンサのセットと、
前記コンパレータに結合され、1次電圧と2次電圧との一方を受信するように構成されるM個のオフセットコンデンサのセットであって、Mが整数であり、前記1次電圧と前記2次電圧との差が温度に伴って線形に変化する、前記M個のオフセットコンデンサのセットと、
を含む、前記論理ユニットと、
を含む、コンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概してアナログフロントエンド(AFE)に関し、更に特定して言えば、AFEにおいて温度に伴うオフセットドリフトを補償することに関連する。
【背景技術】
【0002】
アナログシステム及びデジタルシステムは、通常、システムオンチップ(SOC)技術を用いて集積回路に実装される。このようなシステムは通常、アナログフロントエンド(AFE)回路を含む。AFE回路は、それを介してアナログ信号が入力される外部入力端子と、受信した信号をデジタルフォーマットで処理するデジタル信号処理ユニットとの間のインタフェースとして動作する。
【0003】
AFE回路は、ワイヤレスデジタル通信デバイス、デジタル画像スキャナ、デジタルカメラ、及び音声コーデックのためのダウンコンバータなど、種々のデバイスにおいて広く用いられる。AFE回路は、増幅器及びアナログデジタルコンバータ(ADC)を含む。増幅器は、受信したアナログ信号を増幅し、ADCは、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。AFE回路は、ADCと共に、関連するオフセットを有する。このオフセットは温度に伴ってドリフトする。幾つかの既存の手法はオフセットの動的ストアを提供する。しかし、これらの手法は少なくとも下記の固有の欠点を有する。
【0004】
第1に、オフセットの動的ストアは、オフセットストア位相を必要とする。オフセットをストアするために、ADCのサンプリングモードが用いられる場合、そのADCにおけるコンパレータは、サンプリング位相の間、パワーダウンされ得ない。オフセットをストアするためにADCの変換モードが用いられる場合、それはADCを遅くする。
【0005】
第2に、AFEにおける全てのデバイスは、飽和を避けるためにそれらのオフセットを個別にストアすることが必要となる。これは、AFEの複雑さを増大させる。
【0006】
これに加え/或いは、第3に、オフセットの動的ストアは、ノイズの蓄積ともなる。これは、AFEのホワイトノイズを増大させる。
【発明の概要】
【0007】
アナログデジタルコンバータ(ADC)の記載される例において、ADCは、閾値電圧を受け取るコンパレータを含む。エレメンタリ(elementary)コンデンサのセットが、コンパレータに結合され、入力電圧と基準電圧のセットとの一方を受け取る。M個のオフセットコンデンサのセットが、コンパレータに結合され、一次電圧及び二次電圧の一方を受け取る。Mは整数である。一次電圧及び二次電圧の差が温度に伴って線形に変化する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示の実施例のアナログデジタルコンバータ(ADC)を図示する。
【0009】
図2】例示の実施例において、電圧が温度に伴ってどのように変化するかのグラフである。
【0010】
図3】例示の実施例に従ったアナログフロントエンド(AFE)を図示する。
【0011】
図4】一次電圧生成回路を図示する。
【0012】
図5】二次電圧生成回路を図示する。
【0013】
図6】例示の実施例に従って、オフセットドリフトを補償する方法のフローチャートである。
【0014】
図7】例示の実施例のコンピューティングデバイスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、例示の実施例のアナログデジタルコンバータ(ADC)100を図示する。ADC100は、閾値電圧Vt 112を受け取るコンパレータ110を含む。コンパレータ110は、非反転端子114及び反転端子116を含む。コンパレータ110は、非反転端子114において閾値電圧Vt 112を受け取る。ADC100はまた、C1、C2〜CTとして表わされるエレメンタリコンデンサ104のセットを含む。ADC100は、CO1、CO2〜COMとして表わされる、M個のオフセットコンデンサ102のセットを含む。Mは整数である。エレメンタリコンデンサ104のセット及びM個のオフセットコンデンサ102のセットは、コンパレータ110の反転端子116に結合される。
【0016】
制御論理回路120が、コンパレータ110に結合される。制御論理回路120は、状態論理回路122及びトリム論理回路124を含む。状態論理回路122は、スイッチ126の第1のセットに結合される。エレメンタリコンデンサ104のセットは、スイッチ126の第1のセットを介して入力電圧Vin 132と基準電圧のセットとの一方を受け取る。基準電圧のセットは、正の基準電圧Vrefp 134及び負の基準電圧Vrefn 136を含む。
【0017】
トリム論理回路124は、スイッチ128の第2のセットに結合される。M個のオフセットコンデンサ102のセットは、スイッチ128の第2のセットを介して一次電圧Vp 142及び二次電圧Vs144を受け取る。ADC100は、一つ又はそれ以上の付加的な構成要素を含み得る。
【0018】
図1に図示されるADC100のオペレーションをここで説明する。一次電圧Vp 142と二次電圧Vs144の差が、温度に伴って線形に変化する。一次電圧Vp 142は、温度の上昇に伴って線形に増大し、二次電圧Vs144は、温度の低下に伴って線形に減少する。一例において、二次電圧Vs144は、温度の上昇に伴って線形に増大し、一次電圧Vp 142は、温度の低下に伴って線形に減少する。一次電圧Vp 142及び二次電圧Vs144の温度に対する線形依存の性質は、ADC100の温度に伴うオフセットドリフトを補償するために用いられる。一例において、この性質は、ADC100がその一部であるアナログフロントエンド(AFE)の温度に伴うオフセットドリフトを補償するために用いられる。
【0019】
ADC100は、トリム位相のセットにおいて動作する。トリム位相のセットの各トリム位相は、サンプリングモード及び変換モードを含む。トリム位相のセットは、第1のトリム位相、第2のトリム位相、第3のトリム位相、及び第4のトリム位相を含む。第1のトリム位相及び第2のトリム位相は、第1の温度(T1)において生じ、第3のトリム位相及び第4のトリム位相は、第2の温度(T2)において生じる。制御論理回路120は、サンプリングモード及び変換モードの間、状態論理回路122及びトリム論理回路124を同期化する。
【0020】
トリム位相のセットの各トリム位相において、エレメンタリコンデンサ104のセットは、サンプリングモードにおいて入力電圧Vin 132に結合される。状態論理回路122は、スイッチ126の第1のセットをアクティブにするために第1の制御信号のセットを生成し、スイッチ126の第1のセットは、エレメンタリコンデンサ104のセットの底部プレートを、サンプリングモードにおいて入力電圧Vin 132に結合する。また、各トリム位相において、エレメンタリコンデンサ104のセットは、変換モードにおいて正の基準電圧Vrefp 134及び負の基準電圧Vrefn 136の一方に結合される。状態論理回路122は、スイッチ126の第1のセットをアクティブにするために第1の制御信号のセットを生成し、スイッチ126の第1のセットは、エレメンタリコンデンサ104のセットの底部プレートを、正の基準電圧Vrefp 134及び負の基準電圧Vrefn 136の一方に結合する。
【0021】
第1のトリム位相において、M個のオフセットコンデンサ102のセットは、サンプリングモード及び変換モードの両方において一次電圧Vp 142に結合される。ADC100は、第1のトリム位相において第1のデジタルコードを生成する。トリム論理回路124は、スイッチ128の第2のセットをアクティブにするために第2の制御信号のセットを生成し、スイッチ128の第2のセットは、M個のオフセットコンデンサ102のセットの底部プレートを、サンプリングモード及び変換モードの両方において一次電圧Vp 142に結合する。第1のトリム位相は第1の温度(T1)で生じる。
【0022】
第1のトリム位相の間のサンプリングモード及び変換モードをここで説明する。トリム位相のセットの各トリム位相において、同様の手法が続く。サンプリングモードにおいて、状態論理回路122は、第1の制御信号のセットを生成し、第1の制御信号のセットは、エレメンタリコンデンサ104のセットの底部プレートを入力電圧Vin 132に結合する。トリム論理回路124は、第2の制御信号のセットを生成し、第2の制御信号のセットは、M個のオフセットコンデンサ102のセットの底部プレートを一次電圧Vp 142に結合する。
【0023】
変換モードにおいて、ADC100は、バイナリサーチ手法を用いて入力電圧Vin 132及び一次電圧Vp 142に対応するデジタル出力を生成する。バイナリサーチ手法は複数のサイクルを含む。複数サイクルの或るサイクルにおいて、状態論理回路122は、エレメンタリコンデンサ104のセットの底部プレートを、正の基準電圧Vrefp 134及び負の基準電圧Vrefn 136の一方に結合するために、第1の制御信号のセットを生成する。トリム論理回路124は第2の制御信号のセットを生成し、第2の制御信号のセットは、M個のオフセットコンデンサ102のセットの底部プレートを一次電圧Vp 142に結合する。
【0024】
重み付けされた電圧が、コンパレータ110の反転端子116において生成される。推定されるDAC(デジタルアナログコンバータ)電圧が、エレメンタリコンデンサ104のセットの底部プレートにおいて印加される正の基準電圧Vrefp 134及び負の基準電圧Vrefn 136と、M個のオフセットコンデンサ102のセットの底部プレートにおいて印加される一次電圧Vp 142との重み付けされた和である。そのため、重み付けされた電圧は、入力電圧Vin 132と推定されたDAC電圧との間の誤差又は差である。
【0025】
コンパレータ110は、重み付けされた電圧及び閾値電圧Vt 112を比較して、デジタルビットを生成する。デジタルビットは、状態論理回路に提供される。バイナリサーチ手法の各サイクルにおいて、状態論理回路122は、デジタルビットに基づいて、エレメンタリコンデンサ104のセットにおける異なる数のコンデンサを正の基準電圧Vrefp 134に結合するために、第1の制御信号のセットを生成する。
【0026】
バイナリサーチ手法の複数サイクルは、バイナリスケーリングされた段階において誤差を更に低減する。各サイクルの後に生成されるデジタルビットは共に、デジタル出力を形成する。12ビット解像度ADCが、入力電圧Vin 132を12ビットデジタル出力に分解するために12個の連続するサイクルを要する。
【0027】
第1のトリム位相におけるサンプリングモード及び変換モードの上記説明は、トリム位相のセットの各トリム位相に同様に適用可能である。
【0028】
第2のトリム位相において、M個のオフセットコンデンサ102のセットは、サンプリングモードにおいて一次電圧Vp 142に及び変換モードにおいて二次電圧Vs144に結合される。ADC100は、第2のトリム位相において第2のデジタルコードを生成する。トリム論理回路124は、スイッチ128の第2のセットをアクティブにするために第2の制御信号のセットを生成し、スイッチ128の第2のセットは、M個のオフセットコンデンサ102のセットの底部プレートを、サンプリングモードにおいて一次電圧Vp 142に及び変換モードにおいて二次電圧Vs144に結合する。第2のトリム位相は第1の温度(T1)で生じる。
【0029】
第2のトリム位相の後、二次電圧Vs144は、第1のデジタルコードが第2のデジタルコードに等しくなるように改変される。これは、一次電圧Vp 142が第1の温度(T1)で二次電圧Vs144に等しくなることを確実にする。そのため、第2のトリム位相の後、M個のオフセットコンデンサ102のセットのためにADC100に付加される如何なるオフセットも相殺される。
【0030】
第3のトリム位相において、M個のオフセットコンデンサ102のセットが、サンプリングモード及び変換モードの両方において一次電圧Vp 142に結合される。ADC100は、第3のトリム位相において第3のデジタルコードを生成する。トリム論理回路124は、スイッチ128の第2のセットをアクティブにするために第2の制御信号のセットを生成し、スイッチ128の第2のセットは、M個のオフセットコンデンサ102のセットの底部プレートを、サンプリングモード及び変換モードの両方において一次電圧Vp 142に結合する。ADC100は、第3のトリム位相において第3のデジタルコードを生成する。第3のトリム位相は第2の温度(T2)で生じる。
【0031】
第3のデジタルコードの符号が、オフセットドリフト方向を判定するために用いられる。第3のデジタルコードが正である場合、ADC100のオフセットドリフトは正であり、第3のデジタルコードが負である場合、ADC100のオフセットドリフトは負である。第4のトリム位相は、ADC100の温度に伴うオフセットドリフトを補償するために第3のデジタルコードの符号を用いる。
【0032】
第4のトリム位相において、第3のデジタルコードが正である場合、M個のオフセットコンデンサ102のセットは、サンプリングモードにおいて二次電圧Vs144に及び変換モードにおいて一次電圧Vp 142に結合される。第4のトリム位相において、第3のデジタルコードが負である場合、M個のオフセットコンデンサ102のセットは、サンプリングモードにおいて一次電圧Vp 142に及び変換モードにおいて二次電圧Vs144に結合される。そのため、一次電圧Vp 142は、正又は負であり得るオフセットドリフト方向に基づいて、サンプリングモード及び変換モードの一方において用いられる。ADC100は、第4のトリム位相において第4のデジタルコードを生成する。第4のトリム位相は第2の温度(T2)で生じる。
【0033】
第4のトリム位相の後、M個のオフセットコンデンサのセットのN個のオフセットコンデンサが、第4のデジタルコードが或る定義された値に等しくなるように、接地端子に結合される。Nは整数である。一例において、定義された値は0である。別の例において、定義された値は、ADC100を備えるデバイスを製造する時間において固定である。そのため、接地端子に結合されるN個のオフセットコンデンサは、ADC100のオフセットドリフトを相殺するために用いられる。M個のオフセットコンデンサのセットにおいて多数のコンデンサを変えることにより、オフセットドリフトの傾斜が考慮される。
【0034】
M個のオフセットコンデンサのセットにより提供されるオフセット電圧は、下記のように定義される。
ここで、符号は、第3のデジタルコードの符号であり、Coffは、M個のオフセットコンデンサ102のセットにおける各コンデンサの静電容量であり、Csampは、エレメンタリコンデンサ104のセットの静電容量であり、Tは周囲温度であり、Doは第1の温度T1でのオフセットである。そのため、第1の温度T1では、一次電圧Vp 142を二次電圧Vs144に等しくすることによって、M個のオフセットコンデンサ102のセットのためにADC100に付加される如何なるオフセットも相殺される。また、温度T2で、M個のオフセットコンデンサのセットによって提供されるオフセット電圧(Voff)は、ADC100に関連付けられるオフセットに等しくされる。そのため、オフセット電圧(Voff)は、全ての温度でのADC100に関連付けられるオフセットを線形に追跡する。従って、この特徴は、ADC100の温度に伴うオフセットドリフトを相殺するために用いられる。
【0035】
そのため、ADC100の温度に伴う任意のオフセットドリフトが補償される。この手法は、任意のアナログフロントエンド(AFE)を備えるスイッチドコンデンサ回路にも適用し得る。ADC100はまた、動的オフセットストアの問題を克服する。また、この手法は、ADC100がその一部であるAFEのホワイトノイズの増大とはならない。
【0036】
図2は、例示の実施例において電圧が温度に伴ってどのように変化するかのグラフ200である。グラフ200を、図1に図示されるADC100において用いられる一次電圧Vp 142及び二次電圧Vs144に関連して説明する。一次電圧Vp 142及び二次電圧Vs144は温度に伴って線形に変化する。一次電圧Vp 142は温度の上昇に伴って線形に増大し、二次電圧Vs144は、温度の低下に伴って線形に減少する。一例において、一次電圧Vp 142及び二次電圧Vs144の差が温度に伴って線形に変化する。別の例において、一次電圧Vp 142及び二次電圧Vs144の一方が温度に伴って線形に変化し、他方が温度に対して一定である。一次電圧Vp 142及び二次電圧Vs144の温度に対する線形依存の性質は、ADC100の温度に伴うオフセットドリフトを補償するために用いられる。一例において、この性質は、アナログフロントエンド(AFE)がその一部であるADC100の温度に伴うオフセットドリフトを補償するために用いられる。
【0037】
ADC100は、トリム位相のセットにおいて動作する。第1のトリム位相及び第2のトリム位相は、第1の温度(T1)202において生じ、第3のトリム位相及び第4のトリム位相は、第2の温度(T2)204において生じる。第2のトリム位相の後、二次電圧Vs144は、第1のデジタルコードが第2のデジタルコードに等しくなるように改変される。これは、一次電圧Vp 142が第1の温度(T1)202で二次電圧Vs144に等しくなることを確実にする。第4のトリム位相の後、第4のデジタルコードが或る定義された値に等しくなるように、M個のオフセットコンデンサのセットのN個のオフセットコンデンサが、接地端子に結合される。Nは整数である。一例において、定義された値は0である。
【0038】
図3は、例示の実施例に従ったアナログフロントエンド(AFE)300を図示する。AFEは、プログラマブル利得増幅器(PGA)302、ローパスフィルタ(LPF)304、アナログデジタルコンバータ(ADC)ドライバ306、及びADC308を含む。PGA302は、入力信号IN301を受け取る。LPF304はPGA302に結合される。ADCドライバ306はLPF304に結合され、ADC308はADCドライバ306に結合される。ADC308はデジタル出力Dout310を生成する。
【0039】
PGA302は、入力信号IN301を増幅して、増幅された信号を生成する。LPF304は、増幅された信号を低周波数バンドでフィルタリングして、フィルタリングされた信号を生成する。ADCドライバ306は、フィルタリングされた信号を増幅して、ADC308の固定セットポイントで固定中心電力を用いて、処理された信号を生成する。ADC308は、処理された信号からデジタル出力Dout310を生成する。ADC308は、接続及びオペレーションにおいてADC100に類似する。
【0040】
ADC308は、AFE300の温度に伴うオフセットドリフトを補償するために用いられる。オフセットドリフト補償は、AFE300のオフセットドリフトを相殺するADC308に適用される。ADC308は、ADC100に類似するM個のオフセットコンデンサのセットを含み、これらは、AFE300における温度に伴うオフセットドリフトを補償するために用いられる。ADC308は、それがAFE300における最後の要素であるため、AFE300における他のデバイスに関連付けられるオフセットドリフトを相殺する。
【0041】
図4は、一次電圧生成回路400を図示する。一例において、一次電圧生成回路400は、図1に図示される一次電圧Vp 142を生成するために用いられる。一次電圧生成回路400は、電力供給VDD408を受け取る電流ミラー回路410を含む。電流ミラー回路410は、第1のトランジスタN 1 402及び第2のトランジスタN2 404を含む。一つのバージョンにおいて、第1のトランジスタN 1 402の面積がAであるとき、第2のトランジスタN2 404の面積はN×Aであり、ここで Nは、正の整数である。第1のトランジスタN 1 402及び第2のトランジスタN2 404はいずれも同じ電流で動作し、そのため、第1の電流I1が、第1のレジスタR1 412にわたって生成される。電流ミラー回路410は、第2のレジスタR2 416にわたって第1の電流I1をミラーリングする。そのため、一次電流Ipが、第2のレジスタR2 416を介して流れる。一次電流Ipは第1の電流I1に等しい。一次電圧Vp420が、第2のレジスタR2 416にわたって生成される。一次電流Ipは、下記のように定義される。
ここでVbe1は、第1のトランジスタN 1 402のベース・エミッタ端子の電圧であり、Vbe2は、第2のトランジスタN2 404のベース・エミッタ端子の電圧であり、Is1は、第1のトランジスタN 1 402における飽和電流であり、Is2は、第2のトランジスタN2 404における飽和電流である。
【0042】
一次電圧Vp420は、下記のように定義される。
ここで、V=KT/qであり、Kはボルツマン定数であり、Tはケルビンでの温度であり、qは電子の電荷である。
【0043】
そのため、一次電圧Vp420は温度(T)に正比例する。一次電圧Vp420は、温度の上昇に伴って線形に増大する。一次電圧Vp420は、一次電圧Vp 142に類似する。一次電圧生成回路400は、一次電圧Vpを生成する多くの方式の一つであり、変形が可能である。
【0044】
図5は、二次電圧生成回路500を図示する。一例において、二次電圧生成回路500は、図1に図示される二次電圧Vs144を生成するために用いられる。二次電圧生成回路500は、電力供給VDD508を受け取る電流ミラー回路510を含む。電流ミラー回路510は、第1のトランジスタN 1 502を含む。第1の電流I1が、第1のレジスタR1 512を介して流れる。電流ミラー回路510は、第2のレジスタR2 516にわたって第1の電流I1をミラーリングする。そのため、二次電流Isが、第2のレジスタR2 516を介して流れる。二次電流Isは第1の電流I1に等しい。二次電圧Vs520が、第2のレジスタR2 516にわたって生成される。第1のトランジスタN 1 502のベース・エミッタ端子の電圧が、下記のように定義される。
Vbe=VIn(Ic/Is) (4)
ここで、Icは、第1のトランジスタN 1 502のコレクタ端子を介する電流であり、Isは飽和電流である。温度に伴うコレクタ電流変動は、下記のように定義される。
=DTα (5)
ここで、D及びαは定数である。温度に伴う飽和電流変動は、下記のように定義される。
ここで、Egはバンドギャップであり、C、K、q及びηは温度変動に対して一定である。数式(4)において数式(5)及び(6)を置き換えることにより、下記数式(7)が得られる。
ここで、Toは定義された温度である。
【0045】
数式(7)を微分すると、Vbeは温度(T)に反比例する。二次電圧Vs520は下記のように定義される。
Vs=(R4×Vbe)/R3
【0046】
そのため、二次電圧Vs520はVbeに比例する。二次電圧Vs520は、Vbeに類似し、温度の低下に伴って線形に減少する。二次電圧Vs520は、二次電圧Vs144に類似する。二次電圧生成回路500は、二次電圧Vsを生成する多くの方式の一つであり、変形が可能である。
【0047】
図6は、例示の実施例に従って、オフセットドリフトを補償する方法のフローチャート600である。フローチャート600を、図1に図示されるADC100に関連して説明する。ADC100は、トリム位相のセットにおいて動作される。各トリム位相は、サンプリングモード及び変換モードを含む。各トリム位相は下記の工程を含む。工程602で、サンプリングモードにおいて入力電圧がADCにおけるエレメンタリコンデンサのセットに提供される。工程604で、変換モードにおいて基準電圧のセットがADCにおけるエレメンタリコンデンサのセットに提供される。基準電圧のセットは、正の基準電圧及び負の基準電圧を含む。
【0048】
ADC100において、エレメンタリコンデンサ104のセットは、サンプリングモードにおいて入力電圧Vin 132に結合される。状態論理回路122は、スイッチ126の第1のセットをアクティブにするために第1の制御信号のセットを生成し、スイッチ126の第1のセットは、サンプリングモードにおいてエレメンタリコンデンサ104のセットの底部プレートを入力電圧Vin 132に結合する。また、各トリム位相において、エレメンタリコンデンサ104のセットは、変換モードにおいて正の基準電圧Vrefp 134及び負の基準電圧Vrefn 136の一方に結合される。状態論理回路122は、スイッチ126の第1のセットをアクティブにするために第1の制御信号のセットを生成し、スイッチ126の第1のセットは、エレメンタリコンデンサ104のセットの底部プレートを、正の基準電圧Vrefp 134及び負の基準電圧Vrefn 136の一方に結合する。
【0049】
工程606で、一次電圧及び二次電圧の一方が、SAR ADCにおけるM個のオフセットコンデンサのセットに提供される。Mは整数である。一次電圧及び二次電圧は温度に伴って線形に変化する。一次電圧は、温度の上昇に伴って線形に増大し、二次電圧は、温度の低下に伴って線形に減少する。一例において、一次電圧及び二次電圧の差が温度に伴って線形に変化する。トリム位相のセットは、第1の温度で生じる第1のトリム位相及び第2のトリム位相、及び第2の温度で生じる第3のトリム位相及び第4のトリム位相を含む。
【0050】
第1のデジタルコードが、第1のトリム位相において生成される。第2のデジタルコードが、第2のトリム位相において生成される。第3のデジタルコードが、第3のトリム位相において生成され、第4のデジタルコードが、第4のトリム位相において生成される。第1のトリム位相において、M個のオフセットコンデンサのセットは、サンプリングモード及び変換モードの両方において一次電圧に結合される。第2のトリム位相において、M個のオフセットコンデンサのセットは、サンプリングモードにおいて一次電圧に及び変換モードにおいて二次電圧に結合される。
【0051】
第2のトリム位相の後、第2のトリム位相におけるM個のオフセットコンデンサのセットに提供される二次電圧は、第1のデジタルコードが第2のデジタルコードに等しくなるように改変される。これは、一次電圧が第1の温度で二次電圧に等しくなることを確実にする。そのため、M個のオフセットコンデンサのセットのためにADC100に付加される如何なるオフセットも、第2のトリム位相の後、相殺される。
【0052】
第3のトリム位相において、M個のオフセットコンデンサのセットは、サンプリングモード及び変換モードの両方において一次電圧に結合される。第4のトリム位相において、第3のデジタルコードが正である場合、M個のオフセットコンデンサのセットは、サンプリングモードにおいて二次電圧に及び変換モードにおいて一次電圧に結合される。第4のトリム位相において、第3のデジタルコードが負である場合、M個のオフセットコンデンサのセットは、サンプリングモードにおいて一次電圧に及び変換モードにおいて二次電圧に結合される。
【0053】
第4のトリム位相の後、第4のデジタルコードが或る定義された値に等しくなるように、M個のコンデンサのセットのN個のコンデンサが接地端子に結合され、ここでNは整数である。一例において、定義された値は0である。そのため、接地端子に結合されるN個のオフセットコンデンサは、ADC100のオフセットドリフトを相殺するために用いられる。第4のトリム位相は、ADC100の温度に伴うオフセットドリフトを補償するために第3のデジタルコードの符号を用いる。
【0054】
図7は、例示の実施例のコンピューティングデバイス700を図示する。コンピューティングデバイス700は、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント、トランシーバ、パーソナルコンピュータ、又は任意の他のタイプの電子的システムなどのモバイル通信デバイスであるか、またはそれに組み込まれる。コンピューティングデバイス700は、一つ又はそれ以上の付加的な構成要素を含み得る。
【0055】
幾つかの実施例において、コンピューティングデバイス700は、メガセル又はシステムオンチップ(SoC)を含み、これは、CPU(中央処理装置)、メモリモジュール714(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、及びテスター710などの処理ユニット712を含む。例えば、処理ユニット712は、CISCタイプ(複合命令セットコンピュータ)CPU、RISCタイプCPU(縮小命令セットコンピュータ)、又はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)であり得る。
【0056】
メモリモジュール714(これは、RAM、フラッシュメモリ、又はディスクストレージなどのメモリであり得る)は、処理ユニット712により実行されるとき、コンピューティングデバイス700に関連付けられる任意の適切な機能を実施する一つ又は複数のソフトウェアアプリケーション730(例えば、埋め込みアプリケーション)をストアする。テスター710は、ソフトウェアアプリケーション730を実行するコンピューティングデバイス700のテスト及びデバッグをサポートする論理を含む。
【0057】
例えば、テスター710は、コンピューティングデバイス700の欠陥のある又は利用不能な構成要素をエミュレートして、こういった構成要素がコンピューティングデバイス700上に実際にある場合に、様々な状況において構成要素がどのように実施し得るか(例えば、構成要素が、どのようにソフトウェアアプリケーション730と相互作用し得るか)の検証を可能にするために有用である。このようにして、ソフトウェアアプリケーション730は、製造後オペレーションに類似する環境においてデバッグされ得る。
【0058】
処理ユニット712は、通常、メモリモジュール714から頻繁にアクセスされる情報をストアするメモリ及び論理を含む。コンピューティングデバイス700は、論理ユニット720を含む。論理ユニット720は、処理ユニット712及びメモリモジュール714に結合される。論理ユニット720は、アナログデジタルコンバータ(ADC)718を含む。ADC718は、接続及びオペレーションにおいてADC100に類似する。ADC718は、M個のオフセットコンデンサのセットを含む。M個のオフセットコンデンサのセットは、一次電圧及び二次電圧を受け取る。
【0059】
一次電圧及び二次電圧は温度に伴って線形に変化する。一次電圧は、温度の上昇に伴って線形に増大し、二次電圧は、温度の低下に伴って線形に減少する。一例において、一次電圧及び二次電圧の差が温度に伴って線形に変化する。一次電圧及び二次電圧の温度に対する線形依存の性質は、ADC718の温度に伴うオフセットドリフトを補償するために用いられる。一例において、この性質は、ADC718がその一部であるアナログフロントエンド(AFE)の温度に伴うオフセットドリフトを補償するために用いられる。
【0060】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7