(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762979
(24)【登録日】2020年9月11日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/237 20180101AFI20200917BHJP
F21S 43/243 20180101ALI20200917BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20200917BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20200917BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20200917BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20200917BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20200917BHJP
F21W 103/15 20180101ALN20200917BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20200917BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20200917BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/243
F21S43/245
F21S41/24
F21V8/00 310
F21W102:00
F21W103:00
F21W103:15
F21W103:55
F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-50012(P2018-50012)
(22)【出願日】2018年3月16日
(65)【公開番号】特開2019-160749(P2019-160749A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】扇谷 一慶
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 宗明
(72)【発明者】
【氏名】吉房 敬二
【審査官】
河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−028156(JP,A)
【文献】
特開2015−170387(JP,A)
【文献】
特開2016−119273(JP,A)
【文献】
特開2016−100257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
F21S 41/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方に装着される車両用灯具であって、
導光体と、
前記導光体に入射させる光を発する発光体と、を備え、
前記導光体は、直線状の直線部分と前記直線部分から湾曲した湾曲部分を備えた棒状の第1本体部と、前記第1本体部の直線部分から前記第1本体部の湾曲部分とは異なる方向に分岐した分岐部分を備えた棒状の第2本体部と、を備え、
前記第1本体部の前記直線部分及び前記湾曲部分の断面積は、前記第2本体部の前記分岐部分の断面積に比して大きく、
前記第1本体部は、前記直線部分が車両の前後方向に延び、前記湾曲部分が車両の車幅方向に延びるように配置され、
前記第2本体部は、前記分岐部分が車両の車幅方向に延び、その先端が車両の側部を向くように湾曲しており、
前記発光体からの光は前記導光体における前記直線部分の端部に入射され、
前記導光体の前記湾曲部分は前記導光体の前記直線部分に入射された光をテールランプの光として導くとともに、前記導光体の前記分岐部分は前記導光体の前記直線部分で反射して入射された光をサイドマーカランプの光として導くことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
車両の前方に装着される車両用灯具であって、
導光体と、
前記導光体に入射させる光を発する発光体と、を備え、
前記導光体は、直線状の直線部分と前記直線部分から湾曲した湾曲部分を備えた棒状の第1本体部と、前記第1本体部の直線部分から前記第1本体部の湾曲部分とは異なる方向に分岐した分岐部分を備えた棒状の第2本体部と、を備え、
前記第1本体部の前記直線部分及び前記湾曲部分の断面積は、前記第2本体部の前記分岐部分の断面積に比して大きく、
前記第1本体部は、前記直線部分が車両の前後方向に延び、前記湾曲部分が車両の車幅方向に延びるように配置され、
前記第2本体部は、前記分岐部分が車両の車幅方向に延び、その先端が車両の側部を向くように湾曲しており、
前記発光体からの光は前記導光体の前記直線部分の端部に入射され、
前記導光体の前記湾曲部分は前記導光体の前記直線部分に入射された光をクリアランスランプ、デイライト、又はデイタイムランニングランプの光として導くとともに、前記導光体の前記分岐部分は前記導光体の前記直線部分で反射して入射された光をサイドマーカランプの光として導くことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
前記第1本体部は、前記第2本体部に比して緩やかに湾曲している請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1本体部の前記直線部分には、当該直線部分の軸心に対して前記発光体の光軸を所定角度ずらして光が入射される請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、ヘッドランプやテールランプなどの車両用灯具が装着されている。例えば、特許文献1の車両用灯具は、光源からの光を導光体へ入射させ、その入射光を導光体に形成された複数の反射面で反射させることで異なる方向へ光を出射させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−28156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用灯具は、ブロック状の導光体を採用していることから、広範囲に亘って発光させようとすると導光体のサイズが大きくなる。このため、車両用灯具は、配光性能を高める工夫が必要である。
【0005】
この発明は、配光性能を向上し得る車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両用灯具は、車両の後方に装着される車両用灯具であって、導光体と、前記導光体に入射させる光を発する発光体と、を備え、前記導光体は、直線状の直線部分と前記直線部分から湾曲した湾曲部分を備えた棒状の第1本体部と、前記第1本体部の直線部分から前記第1本体部の湾曲部分とは異なる方向に分岐した分岐部分を備えた棒状の第2本体部と、を備え、前記発光体からの光は前記導光体における前記直線部分の端部に入射され、前記導光体の前記湾曲部分は前記導光体の前記直線部分に入射された光をテールランプの光として導くとともに、前記導光体の前記分岐部分は前記導光体の前記直線部分で反射して入射された光をサイドマーカランプの光として導くことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、第1本体部と第1本体部から分岐した第2本体部を備える導光体を用いて発光させるので、単一の発光体を用いて異なる方向に入射した光を導くことができる。その結果、異なる方向へ導いた光を、テールランプとサイドマーカランプという異なる機能で用いることができる。そして、導光体を棒状とすることで広範囲に亘って導くことができ、配光性能を向上させた車両用灯具としてのテールランプを構成することができる。
【0008】
上記課題を解決する車両用灯具は、車両の前方に装着される車両用灯具であって、導光体と、前記導光体に入射させる光を発する発光体と、を備え、前記導光体は、直線状の直線部分と前記直線部分から湾曲した湾曲部分を備えた棒状の第1本体部と、前記第1本体部の直線部分から前記第1本体部の湾曲部分とは異なる方向に分岐した分岐部分を備えた棒状の第2本体部と、を備え、前記発光体からの光は前記導光体の前記直線部分の端部に入射され、前記導光体の前記湾曲部分は前記導光体の前記直線部分に入射された光をクリアランスランプ、デイライト、又はデイタイムランニングランプの光として導くとともに、前記導光体の前記分岐部分は前記導光体の前記直線部分で反射して入射された光をサイドマーカランプの光として導くことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、第1本体部と第1本体部から分岐した第2本体部を備える導光体を用いて発光させるので、単一の発光体を用いて異なる方向に入射した光を導くことができる。その結果、異なる方向へ導いた光を、クリアランスランプ、デイライト又はデイタイムランニングランプとサイドマーカランプという異なる機能で用いることができる。そして、導光体を棒状とすることで広範囲に亘って導くことができ、配光性能を向上させた車両用灯具としてのヘッドランプを構成することができる。
【0010】
上記車両用灯具において、前記第1本体部の前記直線部分及び前記湾曲部分の断面積は、前記第2本体部の前記分岐部分の断面積に比して大きくしてもよい。
この構成によれば、第1本体部の導光量を第2本体部の導光量よりも多くすることができ、必要な部位を必要な光度で発光させることができる。
【0011】
上記車両用灯具において、前記第1本体部は、前記第2本体部に比して緩やかに湾曲しているようにしてもよい。
この構成によれば、発光体からの光を第1本体部に入射させ易く、第1本体部の導光量を第2本体部の導光量よりも多くすることができ、必要な部位を必要な光度で発光させることができる。
【0012】
上記車両用灯具において、前記サイドマーカランプの光は、前記第2本体部の前記分岐部分の端部に導かれた光としてもよい。
この構成によれば、サードマーカランプとしての光が広範囲に及ぶことを抑制し、局所的な光とすることができる。その結果、第1本体部を通じて出射させる光と区別することができ、ランプの機能を差別化することができる。
【0013】
上記車両用灯具において、前記第1本体部の前記直線部分には、当該直線部分の軸心に対して前記発光体の光軸を所定角度ずらして光が入射されるようにしてもよい。
この構成によれば、第1本体部の直線部分に入射させた光を第2本体部の分岐部分に導き易くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、配光性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、車両用灯具の一実施形態を
図1〜
図3にしたがって説明する。
図1に示すように、車両10には、車両用灯具11が装着されている。車両10に装着される車両用灯具11には、車両10の前方に装着される前照灯としてのヘッドランプ12と、車両10の後方に装着される尾灯としてのテールランプ13と、がある。ヘッドランプ12は、車両10の左右両側に装着されており、対称構造である。左右のヘッドランプ12のそれぞれは、同一の機能を備えている。また、テールランプ13は、車両10の左右両側に装着されており、対称構造である。左右のテールランプ13のそれぞれは、同一の機能を備えている。
【0017】
以下、この実施形態では、車両用灯具11のうち、テールランプ13の構成について詳しく説明する。また、以下の説明は、左右のテールランプ13のうち、車両10の右後方に装着されたテールランプ13について行う。
【0018】
図2に示すようにテールランプ13は、ハウジング14と、ハウジング14の前面開口に取着されるカバーからなるアウターレンズ15と、を備えている。テールランプ13は、ハウジング14とアウターレンズ15とで灯室16が画成されている。この実施形態のテールランプ13の灯室16には、機能を異ならせた複数の発光部が収容されている。この実施形態において複数の発光部には、車両10の後方を照らすことで尾灯として機能する第1発光部17と、車両10の側部を照らすことで側方灯であるサイドマーカランプとして機能する第2発光部18と、を含む。
【0019】
そして、テールランプ13の灯室16には、発光体からの光を内部反射させて導く導光体19と、導光体19に入射させる光を発する発光体としての発光ユニット20と、が収容されている。導光体19は、棒状の樹脂性であり、例えばアクリル樹脂によって成形されている。この実施形態において導光体19は、断面円形の丸棒である。発光ユニット20は、LEDを実装した基板によって構成されている。なお、1つの発光ユニットの基板に実装されるLEDの個数は単数又は複数の何れでもよい。そして、この実施形態では、1の発光ユニットによって1つの光源を構成している。
【0020】
実施形態の導光体19は、第1本体部21と、第1本体部21の途中から分岐される第2本体部22と、を備えている。第1本体部21と第2本体部22は一体成形されている。また、第1本体部21と第2本体部22は、何れも断面円形の棒状である。
【0021】
第1本体部21は、第1端部21aと第2端部21bと、を備えている。また、第1本体部21は、第1端部21aに繋がる所定の範囲を直線状に形成した直線部分21cと、直線部分21cから第2端部21bに繋がる所定の範囲を湾曲状に形成した湾曲部分21dと、を備えている。直線部分21cは、全体に亘って同一径で構成されているとともに断面形状が同一形状である。湾曲部分21dは、全体に亘って同一径で構成されているとともに断面形状が同一形状である。そして、直線部分21cと湾曲部分21dは同一径で構成されており、その断面形状は同一形状である。
【0022】
一方、第2本体部22は、その基端側が第1本体部21の直線部分21cに繋がっており、基端から先端22aに繋がる所定の範囲を湾曲状に形成した分岐部分22bを備えている。分岐部分22bは、全体に亘って同一径で構成されているとともに断面形状が同一形状である。そして、第2本体部22の分岐部分22bは、第1本体部21の直線部分21c及び湾曲部分21dと同じく断面円形であるが、その径は第1本体部21の径に比して小さい。つまり、この実施形態において第1本体部21は第2本体部22に比して太く、第2本体部22は第1本体部21に比して細く形成されている。また、この実施形態において第1本体部21はその全体が第2本体部22に比して緩やかに湾曲しており、第2本体部22はその全体が第1本体部21に比してきつく湾曲するように形成されている。つまり、この実施形態では、光度又は輝度を高く必要とする側を直線的に配置させることで光度又は輝度を制御している。
【0023】
このように構成した導光体19は、第1本体部21の直線部分21cが車両10の前後方向に延び、かつ湾曲部分21dに比して車両10の側部寄りになるように灯室16に配置される。また、導光体19は、第1本体部21の湾曲部分21dが車両10の車幅方向に延び、かつ第2端部21bが第1端部21aに比して車両10の側部から離れて位置するように灯室16に配置される。なお、第1本体部21の湾曲部分21dは、導光体19を灯室16に収容した状態においてアウターレンズ15に対向するように湾曲している。また、導光体19は、第2本体部22の分岐部分22bが車両10の車幅方向に延び、かつ第1本体部21の直線部分21c及び湾曲部分21dに比して車両10の側部寄りになるように灯室16に配置される。なお、第2本体部22の分岐部分22bは、導光体19を灯室16に収容した状態において先端22aが車両10の側部を向くように湾曲している。
【0024】
また、灯室16において発光ユニット20は、その発光部分が第1本体部21の第1端部21aと対向するように配置されている。つまり、この実施形態において導光体19には、第1端部21aから光が入射される。また、灯室16には、導光体19とアウターレンズ15との間には、仕切壁23が配置されている。仕切壁23は、導光体19及びアウターレンズ15のそれぞれに沿う形状に形成されている。また、仕切壁23は、第1本体部21の湾曲部分21dに導かれた光をアウターレンズ15に向けて通過させる第1通過部23aと、第2本体部22の分岐部分22bに繋がる先端22aに導かれた光をアウターレンズ15に向けて通過させる第2通過部23bと、を備えている。第1通過部23aと第2通過部23bのそれぞれは、仕切壁23に穿設されている。
【0025】
以下、この実施形態の車両用灯具11であるテールランプ13の作用を説明する。
図3に示すように、この実施形態において発光ユニット20は、その光軸24が導光体19の第1本体部21における直線部分21cの軸心25と一致するように配置されている。このため、第1本体部21は、第1端部21aから入射された発光ユニット20の光が内部反射によって直線部分21cから湾曲部分21dへ至る。そして、湾曲部分21dに導かれた光は、仕切壁23の第1通過部23aを通過してアウターレンズ15へ至るとともに、アウターレンズ15を透過して車両10の後方へ出射される。このようにアウターレンズ15を透過した光が尾灯として機能させる光となり得る。
【0026】
一方、第1本体部21の直線部分21cから分岐した第2本体部22には、
図3に破線で示すように直線部分21cで反射された光が導かれる。このため、第2本体部22には、第1本体部21の直線部分21cから入射される光が内部反射によって導かれる。このとき、第2本体部22は、分岐部分22bに繋がる先端22aにも光が導かれる。そして、分岐部分22bに繋がる先端22aに導かれた光は、仕切壁23の第2通過部23bを通過してアウターレンズ15へ至るとともに、アウターレンズ15を透過して車両10の側部へ出射される。このようにアウターレンズ15を透過した光が側方灯として機能させる光となり得る。
【0027】
したがって、この実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)第1本体部21と第1本体部21から分岐した第2本体部22を備える導光体19を用いるので、単一の発光ユニット20を用いて異なる方向に入射した光を導くことができる。その結果、異なる方向へ導いた光を、テールランプとサイドマーカランプという異なる機能で用いることができる。そして、導光体19を棒状とすることで広範囲に亘って光を導くことができ、配光性能を向上させることができる。
【0028】
(2)また、この実施形態のテールランプ13は、単一の発光ユニット20を用いて異なる方向へ光を導いているので、発光したい方向毎に発光ユニット20を用いる場合に比して消費電力を抑制することができる。また、部品点数を削減することもできる。
【0029】
(3)第1本体部21の直線部分21c及び湾曲部分21dの断面積を、第2本体部22の分岐部分22bの断面積に比して大きくすることで、第1本体部21の導光量を第2本体部22の導光量よりも多くすることができる。したがって、必要な部位を必要な光度又は輝度で発光させることができる。
【0030】
(4)第1本体部21は、第2本体部22に比して緩やかに湾曲させているので、第1端部21aを通じて光を第1本体部21に入射させ易く、第1本体部21の導光量を第2本体部22の導光量よりも多くすることができる。したがって、必要な部位を必要な光度又は輝度で発光させることができる。
【0031】
(5)サイドマーカランプの光を、第2本体部22の先端22aに導かされた光としているので、サードマーカランプの光が広範囲に及ぶことを抑制し、局所的な光とすることができる。その結果、第1本体部21を通じて出射させる光と区別することができ、ランプの機能を差別化することができる。
【0032】
なお、実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○
図4に示すように、発光ユニット20の光軸24と導光体19の第1本体部21における直線部分21cの軸心25とが所定角度θずれるように、発光ユニット20と導光体19を配置してもよい。所定角度θは、例えば5度〜20度の範囲内で選択した角度である。実施形態の構成によれば発光ユニット20からの光は第1本体部21の直線部分21cに対して直線的に入射されるが、この変更例の構成によれば発光ユニット20からの光は第1本体部21の直線部分21cに対して傾いて入射されることになる。このため、この変更例において直線部分21cに入射された光は内部反射によって第2本体部22へ導き易くなる。その結果、第2本体部22に導かれた光をサイドマーカランプとして機能させるために十分な光量を与え易くなる。
【0033】
○
図5に示すように、実施形態の導光体19によって異なる方向へ光を導く構成は、ヘッドランプ12に適用してもよい。
図5は、車両10の右前方に装着されたヘッドランプ12を示すが、車両10の左前方に装着されたヘッドランプ12も同一の構造であって、同一の機能を備えている。ヘッドランプ12は、ハウジング30とアウターレンズ31によって灯室32が画成されている。灯室32には、実施形態と同一構成の発光ユニット33と導光体34とが配置されている。具体的に言えば、導光体34は、第1本体部35と、第1本体部35の途中から分岐される第2本体部36と、を備えている。第1本体部35は、第1端部35aに繋がる直線部分35cと、直線部分35cから第2端部35bに繋がる湾曲部分35dと、を備えている。一方、第2本体部36は、その基端側が第1本体部35の直線部分35cに繋がっており、基端から先端36aに繋がる分岐部分36bと、を備えている。このように構成した導光体34は、第1本体部35の直線部分35cが車両10の前後方向に延び、かつ湾曲部分35dに比して車両10の側部寄りになるように灯室32に配置される。また、導光体34は、第1本体部35の湾曲部分35dが車両10の車幅方向に延び、かつ第2端部35bが第1端部35aに比して車両10の側部から離れて位置するように灯室32に配置される。また、導光体34は、第2本体部36の分岐部分36bが車両10の車幅方向に延び、かつ第1本体部35の直線部分35c及び湾曲部分35dに比して車両10の側部寄りになるように灯室32に配置される。また、第2本体部36の分岐部分36bは、導光体34を灯室32に収容した状態において先端36aが車両10の側部を向くように湾曲している。なお、実施形態の第1本体部21と同様に、第1本体部35は第2本体部36に比して太く、その全体が第2本体部36に比して緩やかに湾曲している。
【0034】
上記のように構成したヘッドランプ12によれば、湾曲部分35dに導かれた光は、仕切壁37の第1通過部37aを通過してアウターレンズ31へ至るとともに、アウターレンズ31を透過して車両10の前方へ出射される。一方で、分岐部分36bに繋がる先端36aに導かれた光は、仕切壁37の第2通過部37bを通過してアウターレンズ31へ至るとともに、アウターレンズ31を透過して車両10の側部へ出射される。この変更例の構成によれば、第1本体部35と第1本体部35から分岐した第2本体部36を備える導光体34を用いているので、単一の発光ユニット33を用いて異なる方向に入射した光を導くことができる。その結果、異なる方向へ導いた光を、異なる機能で用いることができる。そして、導光体34を棒状とすることで広範囲に亘って光を導くことができ、配光性能を向上させた車両用灯具としてのヘッドランプ12を構成することができる。
【0035】
○ 上記変更例において、車両10の前方へ出射された光は、車幅灯としてのクリアランスランプ、デイライト、又はデイタイムランニングランプとして機能させる光となり得る。なお、上記光は、クリアランスランプとデイライトの両機能を満たした光としてもよいし、クリアランスランプとデイタイムランニングランプの両機能を満たした光としてもよい。また、上記変更例において、車両10の側方に出射された光は、サイドマーカランプとして機能させる光となり得る。
【0036】
○ 実施形態及び上記変更例の導光体19,34は、単一の発光ユニットを用いて車両10の後方又は前方へ光を出射させる構成と車両10の側部へ光を出射させる構成とを備えた発光部である。この構成によって出射される光は、実施形態及び変更例で説明した機能以外の機能で使用してもよい。
【0037】
○ 導光体19,34の形状を変更してもよい。例えば、導光体19,34は、断面視で楕円型の棒状としてもよい。なお、導光体19,34の形状は、多角形のように角を備えた形状は好ましくない。
【0038】
○ 導光体19,34の第1本体部21,35から分岐する分岐部分の数を3カ所以上としてもよい。
○ 導光体19,34は、小径に比して大径の方が光を導く面積が広くなる。このため、導光体19,34を構成する第1本体部21,35の径と第2本体部22,36の径の差は、必要な導光量に応じてシミュレーションなどによって任意に設定できる。例えば、同様の導光量が必要であれば径を同じとしてもよい。また、テールランプ又はクリアランスランプとして機能させる光を、サイドマーカランプとして機能させる光に比して光度を高くする場合は、テールランプ又はクリアランスランプとして機能させる光を導く本体の径を大きくするとよい。
【0039】
○ 導光体19,34の第1本体部21,35は全体に亘って同一径とする必要はなく、径を可変させてもよい。例えば、直線部分21c,35cと湾曲部分21d,35dの径を異ならせてもよい。また、導光体19,34の第2本体部22,36は全体に亘って同一径とする必要はなく、径を可変させてもよい。
【0040】
○ 発光ユニット20,33を構成する発光体は、チップLEDとしてもよいし、電球としてもよい。
○ 第2本体部22,36の先端22a,36aに導かれた光に代えて、分岐部分22b,36bに導かれた光をサイドマーカランプとして機能させる光としてもよい。
【0041】
○ 第1本体部21と第2本体部22、及び第1本体部35と第2本体部36のそれぞれは一体成形されていなくてもよく、別体部品を繋げた構成としてもよい。
○ テールランプ13は、左右非対称構造としてもよい。また、左右のテールランプ13は、異なる機能を備えていてもよい。例えば、左右の何れかのテールランプ13が後退灯であるバックアップランプとしての機能を備えていてもよいし、左右の何れか一方のテールランプ13がフォグランプとしての機能を備えていてもよい。
【0042】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)車両に装着される車両用灯具であって、導光体と、前記導光体に入射させる光を発する発光体と、を備え、前記導光体は、直線状の直線部分と前記直線部分から湾曲した湾曲部分を備えた棒状の第1本体部と、前記第1本体部の直線部分から前記第1本体部の湾曲部分とは異なる方向に分岐した分岐部分を備えた棒状の第2本体部と、を備え、前記発光体からの光は前記導光体の前記直線部分の端部に入射され、前記導光体の前記湾曲部分には前記導光体の前記直線部分に入射された光が導かれるとともに、前記導光体の前記分岐部分には前記導光体の前記直線部分で反射して入射された光が導かれることにより、前記湾曲部分と前記分岐部分とで異なる方向に導かれた光で発する車両用灯具。
【符号の説明】
【0043】
10…車両、11…車両用灯具、12…ヘッドランプ、13…テールランプ、16,32…灯室、17,35…第1発光部、18,36…第2発光部、19,34…導光体、20,33…発光ユニット、21,35…第1本体部、21a,35a…第1端部、22,36…第2本体部、21c,35c…直線部分、21d,35d…湾曲部分、22a,36a…先端、22b,36b…分岐部分、24…光軸、25…軸心、θ…角度。