(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6762989
(24)【登録日】2020年9月11日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信装置の制御方法、無線通信装置の制御プログラム、ファームウェア提供装置、ファームウェア提供装置の制御方法、ファームウェア提供装置の制御プログラム、及び、通信システム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20200917BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20200917BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20200917BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20200917BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20200917BHJP
G16Y 10/35 20200101ALI20200917BHJP
【FI】
G06F8/65
G08C17/00 Z
G08C15/00 B
H04M11/00 301
H04Q9/00 311H
G16Y10/35
【請求項の数】18
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-94983(P2018-94983)
(22)【出願日】2018年5月16日
(65)【公開番号】特開2019-200620(P2019-200620A)
(43)【公開日】2019年11月21日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】志村 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 司
(72)【発明者】
【氏名】村井 裕輔
【審査官】
今城 朋彬
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/039039(WO,A1)
【文献】
特開2017−156936(JP,A)
【文献】
特開2014−204194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
G08C 15/00
G08C 17/00
H04M 11/00
H04Q 9/00
G16Y 10/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置であって、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとを切り替えるモード切替部と、
前記第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、前記更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された少なくとも1の前記第2動作モードで動作する他の前記無線通信装置に送信し、
前記第2動作モードで動作する場合に、前記更新用ファームウェアに関する通知を、前記第2の通信方式を介して、自装置の上位に接続された前記第1動作モードで動作する他の前記無線通信装置から受信する通信部と、
を備え、
前記通信部は、前記第2動作モードで動作する場合に、前記更新用ファームウェアに関する通知に応じて、前記ファームウェア提供装置との間の前記第1の通信方式による通信を確立し、前記更新用ファームウェアを、前記第1の通信方式を介して前記ファームウェア提供装置から受信する、無線通信装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記第2動作モードで動作する場合に、前記ファームウェア提供装置との前記第1の通信方式による通信が確立されなかった場合、前記第1動作モード及び前記第2動作モードで動作するいずれかの他の前記無線通信装置から、前記第2の通信方式を介して前記更新用ファームウェアを受信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記更新用ファームウェアに基づいて自装置のファームウェアを更新する更新部をさらに備え、
前記通信部は、前記第1動作モードで動作する場合、及び、前記第2動作モードで動作する場合のいずれにおいても、前記自装置のファームウェアの更新が完了した旨を示す情報を、前記第1の通信方式を介して前記ファームウェア提供装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記第2動作モードで動作する場合に、前記自装置のファームウェアの更新が完了した旨を示す情報の前記ファームウェア提供装置への送信が完了した場合、前記ファームウェア提供装置との間の前記第1の通信方式による通信を切断する、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記更新用ファームウェアに基づいて自装置のファームウェアを更新する更新部をさらに備え、
前記通信部は、
前記自装置のファームウェアの更新が完了した旨を示す情報を、少なくとも前記第1動作モードで動作するいずれかの他の前記無線通信装置との間の直接又は間接の前記第2の通信方式を介して、前記ファームウェア提供装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記モード切替部は、所定の切替指示装置から受信した、自装置における前記第2の通信方式の通信の通信品質に基づくモード切替指示に応じて自装置の動作モードを切り替える、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記モード切替部は、所定の切替指示装置から受信した、自装置の電池残量に基づくモード切替指示に応じて自装置の動作モードを切り替える、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記無線通信装置は、前記第2の通信方式を介して自装置と接続された複数の他の前記無線通信装置とで無線通信装置群を構成し、
前記モード切替部は、前記無線通信装置群の全体の電池残量に基づくモード切替指示に応じて自装置の動作モードを切り替える、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項9】
第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置の制御方法であって、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとを切り替えるモード切替ステップと、
前記第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、前記更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された少なくとも1の前記第2動作モードで動作する他の前記無線通信装置に送信し、
前記第2動作モードで動作する場合に、前記更新用ファームウェアに関する通知を、前記第2の通信方式を介して、自装置の上位に接続された前記第1動作モードで動作する他の前記無線通信装置から受信する通信ステップと、
を含み、
前記通信ステップは、前記第2動作モードで動作する場合に、前記更新用ファームウェアに関する通知に応じて、前記ファームウェア提供装置との間の前記第1の通信方式による通信を確立し、前記更新用ファームウェアを、前記第1の通信方式を介して前記ファームウェア提供装置から受信する、無線通信装置の制御方法。
【請求項10】
第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置の制御プログラムであって、
前記無線通信装置に、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとを切り替えるモード切替機能と、
前記第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、前記更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された少なくとも1の前記第2動作モードで動作する他の前記無線通信装置に送信し、
前記第2動作モードで動作する場合に、前記更新用ファームウェアに関する通知を、前記第2の通信方式を介して、自装置の上位に接続された前記第1動作モードで動作する他の前記無線通信装置から受信する通信機能と、
を実現させ、
前記通信機能は、前記第2動作モードで動作する場合に、前記更新用ファームウェアに関する通知に応じて、前記ファームウェア提供装置との間の前記第1の通信方式による通信を確立し、前記更新用ファームウェアを、前記第1の通信方式を介して前記ファームウェア提供装置から受信する、無線通信装置の制御プログラム。
【請求項11】
第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する、互いに第2通信方式で接続された複数の無線通信装置で構成される無線通信装置群において、前記複数の無線通信装置それぞれのファームウェアに関する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたファームウェアに対して更新用ファームウェアがある場合、前記更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介して、前記無線通信装置群のうち前記第1動作モードで動作する無線通信装置へ送信する通信部と、
を備え、
前記通信部は、前記第1動作モードで動作する無線通信装置から、第2の通信方式を介して前記第2動作モードで動作する無線通信装置へ送信された前記更新用ファームウェアに関する通知に応じて、前記第2動作モードで動作する無線通信装置から送信された要求に応じて、前記第2動作モードで動作する無線通信装置との間で第1の通信方式による通信を確立し、前記第1の通信方式を介して、前記第2動作モードで動作する無線通信装置へ前記更新用ファームウェアを送信する、ファームウェア提供装置。
【請求項12】
第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する、互いに第2通信方式で接続された複数の無線通信装置で構成される無線通信装置群において、前記複数の無線通信装置それぞれのファームウェアに関する情報を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにて記憶されたファームウェアに対して更新用ファームウェアがある場合、前記更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介して、前記無線通信装置群のうち前記第1動作モードで動作する無線通信装置へ送信する通信ステップと、
を含み、
前記通信ステップは、前記第1動作モードで動作する無線通信装置から、第2の通信方式を介して前記第2動作モードで動作する無線通信装置へ送信された前記更新用ファームウェアに関する通知に応じて、前記第2動作モードで動作する無線通信装置から送信された要求に応じて、前記第2動作モードで動作する無線通信装置との間で第1の通信方式による通信を確立し、前記第1の通信方式を介して、前記第2動作モードで動作する無線通信装置へ前記更新用ファームウェアを送信する、ファームウェア提供装置の制御方法。
【請求項13】
ファームウェア提供装置に、
第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する、互いに第2通信方式で接続された複数の無線通信装置で構成される無線通信装置群において、前記複数の無線通信装置それぞれのファームウェアに関する情報を記憶する記憶機能と、
前記記憶機能にて記憶されたファームウェアに対して更新用ファームウェアがある場合、前記更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介して、前記無線通信装置群のうち前記第1動作モードで動作する無線通信装置へ送信する通信機能と、
を実現させ、
前記通信機能は、前記第1動作モードで動作する無線通信装置から、第2の通信方式を介して前記第2動作モードで動作する無線通信装置へ送信された前記更新用ファームウェアに関する通知に応じて、前記第2動作モードで動作する無線通信装置から送信された要求に応じて、前記第2動作モードで動作する無線通信装置との間で第1の通信方式による通信を確立し、前記第1の通信方式を介して、前記第2動作モードで動作する無線通信装置へ前記更新用ファームウェアを送信する、ファームウェア提供装置の制御プログラム。
【請求項14】
第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する、互いに第2通信方式で接続された複数の無線通信装置で構成される無線通信装置群と、
前記複数の無線通信装置それぞれのファームウェアに関する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたファームウェアに対して更新用ファームウェアがある場合、前記更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介して、前記無線通信装置群のうち前記第1動作モードで動作する無線通信装置へ送信し、前記第1動作モードで動作する無線通信装置から、第2の通信方式を介して前記第2動作モードで動作する無線通信装置へ送信された前記更新用ファームウェアに関する通知に応じて、前記第2動作モードで動作する無線通信装置から送信された要求に応じて、前記第2動作モードで動作する無線通信装置との間で第1の通信方式による通信を確立し、前記第1の通信方式を介して、前記第2動作モードで動作する無線通信装置へ前記更新用ファームウェアを送信する第1通信部と、を備えるファームウェア提供装置と、
を含む通信システムであって、
前記無線通信装置は、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとを切り替えるモード切替部と、
前記第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、前記第1の通信方式を介して前記ファームウェア提供装置から受信し、前記更新用ファームウェアに関する通知を、前記第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された少なくとも1の前記第2動作モードで動作する他の前記無線通信装置に送信し、前記第2動作モードで動作する場合に、前記更新用ファームウェアに関する通知を、前記第2の通信方式を介して、自装置の上位に接続された前記第1動作モードで動作する他の前記無線通信装置から受信し、前記第2動作モードで動作する場合に、前記更新用ファームウェアに関する通知に応じて、前記ファームウェア提供装置との間の前記第1の通信方式による通信を確立し、
前記更新用ファームウェアを、前記第1の通信方式を介して前記ファームウェア提供装置から受信する第2通信部と、を備える通信システム。
【請求項15】
第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置であって、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとを切り替えるモード切替部と、
前記第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、
前記第2動作モードで動作する場合に、自装置に接続された前記第1動作モード及び前記第2動作モードのいずれかで動作する他の前記無線通信装置から、当該他の無線通信装置のファームウェアに関する情報を受信する通信部と、
を備え、
前記通信部は、前記第2動作モードで動作する場合に、自装置のファームウェアと、前記他の無線通信装置のファームウェアのバージョンが異なる場合、前記他の無線通信装置から、第2の通信方式を介して、前記他の無線通信装置のファームウェアへ更新するための情報を受信する、無線通信装置。
【請求項16】
第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置の制御方法であって、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとを切り替えるモード切替ステップと、
前記第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、
前記第2動作モードで動作する場合に、自装置に接続された前記第1動作モード及び前記第2動作モードのいずれかで動作する他の前記無線通信装置から、当該他の無線通信装置のファームウェアに関する情報を受信する通信ステップと、
を含み、
前記通信ステップは、前記第2動作モードで動作する場合に、自装置のファームウェアと、前記他の無線通信装置のファームウェアのバージョンが異なる場合、前記他の無線通信装置から、第2の通信方式を介して、前記他の無線通信装置のファームウェアへ更新するための情報を受信する、無線通信装置の制御方法。
【請求項17】
第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置の制御プログラムであって、
無線通信装置に、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとを切り替えるモード切替機能と、
前記第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、
前記第2動作モードで動作する場合に、自装置に接続された前記第1動作モード及び前記第2動作モードのいずれかで動作する他の前記無線通信装置から、当該他の無線通信装置のファームウェアに関する情報を受信する通信機能と、
を実現させ、
前記通信機能は、前記第2動作モードで動作する場合に、自装置のファームウェアと、
前記他の無線通信装置のファームウェアのバージョンが異なる場合、前記他の無線通信装置から、第2の通信方式を介して、前記他の無線通信装置のファームウェアへ更新するための情報を受信する、無線通信装置の制御プログラム。
【請求項18】
更新用ファームウェアを送信可能なファームウェア提供装置と、
前記ファームウェア提供装置と第1の通信方式で通信している第1通信装置と、
前記第1通信装置と第2の通信方式で通信している第2通信装置と、を備え、
前記第2通信装置は、前記第1通信装置からの前記更新用ファームウェアに関する通知に応じて、前記ファームウェア提供装置と前記第1の通信方式による通信の確立を試行し、確立した場合に、前記ファームウェア提供装置から前記更新用ファームウェアを受信し、確立しなかった場合に、前記通知の送信元である前記第1通信装置から前記更新用ファームウェアを受信する、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信装置の制御方法、無線通信装置の制御プログラム、ファームウェア提供装置、ファームウェア提供装置の制御方法、ファームウェア提供装置の制御プログラム、及び、通信システムに関し、特に、ガス、水道、電気等の使用量を検針するスマートメーターに係る無線通信装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各家庭の電気、水道、ガス等の使用量を表すメーター値等のデータを、無線ネットワークを用いて収集・中継し、遠隔の検針センタ等のデータ収集センタに伝送する遠隔データ収集システムが存在する(例えば、特許文献1)。また、近年、IoT(Internet of Things)の広がりとともに、フィールド内の複数のスマートメーターによってネットワークを組み、検針データの収集やメーターの制御を行うシステムであるFAN(Field Area Network)と、FANによって収集されたデータを遠隔のサーバに送信するWAN(Wide Area Network)とを用いたスマートユーティリティシステムの開発が進められている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
FANにおいて、各メーターの情報は、各メーターに接続された複数の無線通信装置間のマルチホップ通信を用いて伝送することができ、下位の無線通信装置間を伝送した情報は上位のゲートウェイ(GW)へ収集・蓄積され、WANを介してサーバへ送信される。FANにおける無線通信装置間のマルチホップ通信により、電波の届きにくい場所に設置されたメーターの情報を、サーバへ伝送することが可能となる。なお、ゲートウェイの機能を無線通信装置に備えることによって、専用のゲートウェイ装置を用いることなく、各家庭に設置されたメーターのみ(すなわち、無線通信装置のみ)でFAN及びWANを可能とする汎用性の高い運用が試みられている。すなわち、一の無線通信装置で、ガスメーター間の通信(子機としての機能)と広域ネットワーク通信(親機としての機能)とを可能とするものである(例えば、非特許文献2)。
【0004】
サーバは、各メーターの情報を処理し、メーターの管理者へ必要なデータを受け渡すIoT−PF(プラットフォーム)としての機能や、後述するファームウェア提供装置としての機能を有する。FANにおいて、親機は、IoT−PFからのポーリングを受け付けたり、自機に接続された複数の子機からの要求を待ち受けたりするための待機電力と、複数の子機及び自機のメーターの検針値をIoT−PFに送信するための送信電力とを必要とし、子機と比較して電力消費が大きくなるという特徴を有する。従って、各無線通信装置がWANによってIoT−PFとの通信を行うよりは、FANを組んで親機に子機のデータを集約し、親機のみがIoT−PFとの通信を行うことは、消費電力の観点からも有利である。
【0005】
ここで、従来、無線通信装置には、不具合の修正、機能の追加等を目的として、自装置のファームウェア(ソフトウェアプログラム)の更新を無線経由で行うFOTA(Firmware Over The Air)と呼ばれる技術が知られている(例えば、特許文献2)。FANにおける無線通信装置にも、FOTAを利用してソフトウェアのアップデートを行うことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−218080号公報
【特許文献2】特許第5019578号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“スマートシティにおけるWi-SUN FANソリューション”、[Online]、日新システムズ、[平成30年3月28日検索]、インターネット<URL:http://www.co-nss.co.jp/solution/sol-wisun_fan.html>
【非特許文献2】“LPガスメーターのデータ取得、活用に向けた次世代IoT通信方式を搭載した通信ボードの開発について”、プレスリリース、[Online]、ソフトバンク株式会社、[平成30年3月25日検索]、インターネット<URL:https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2017/20170808_01/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
FANにおいて、親機として機能する無線通信装置は、WANによってサーバ(ファームウェア提供装置)と接続されるため、更新用のファームウェアをWANを介してサーバからダウンロードすることができる。しかしながら、子機として機能する無線通信装置はサーバと直接接続されておらず、従来の手法では更新用のファームウェアのダウンロードができないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、FANを構成する無線通信装置群における子機に対して、更新用ファームウェアを提供することができる無線通信装置、無線通信装置の制御方法、無線通信装置の制御プログラム、ファームウェア提供装置、ファームウェア提供装置の制御方法、ファームウェア提供装置の制御プログラム、及び、通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る無線通信装置は、第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置であって、第1動作モードと第2動作モードとを切り替えるモード切替部と、第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された少なくとも1の第2動作モードで動作する他の無線通信装置に送信し、第2動作モードで動作する場合に、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の上位に接続された第1動作モードで動作する他の無線通信装置から受信する通信部と、を備え、通信部は、第2動作モードで動作する場合に、更新用ファームウェアに関する通知に応じて、ファームウェア提供装置との間の第1の通信方式による通信を確立し、更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信することができる。
【0011】
本発明の一実施形態に係る無線通信装置において、通信部は、第2動作モードで動作する場合に、ファームウェア提供装置との第1の通信方式による通信が確立されなかった場合、第1動作モード及び第2動作モードで動作するいずれかの他の無線通信装置から、第2の通信方式を介して更新用ファームウェアを受信することができる。
【0012】
本発明の一実施形態に係る無線通信装置は、更新用ファームウェアに基づいて自装置のファームウェアを更新する更新部をさらに備え、通信部は、第1動作モードで動作する場合、及び、第2動作モードで動作する場合のいずれにおいても、自装置のファームウェアの更新が完了した旨を示す情報を、第1通信方式を介してファームウェア提供装置へ送信することができる。
【0013】
本発明の一実施形態に係る無線通信装置において、通信部は、通信部は、第2動作モードで動作する場合に、自装置のファームウェアの更新が完了した旨を示す情報のファームウェア提供装置への送信が完了した場合、ファームウェア提供装置との間の第1の通信方式による通信を切断することができる。
【0014】
本発明の一実施形態に係る無線通信装置は、更新用ファームウェアに基づいて自装置のファームウェアを更新する更新部をさらに備え、通信部は、自装置のファームウェアの更新が完了した旨を示す情報を、少なくとも第1動作モードで動作するいずれかの他の無線通信装置との間の直接又は間接の第2の通信方式を介して、ファームウェア提供装置へ送信することができる。
【0015】
本発明の一実施形態に係る無線通信装置において、モード切替部は、所定の切替指示装置から受信した、自装置における第2の通信方式の電波強度に基づくモード切替指示に応じて自装置の動作モードを切り替えることができる。
【0016】
本発明の一実施形態に係る無線通信装置において、モード切替部は、所定の切替指示装置から受信した、自装置の電池残量に基づくモード切替指示に応じて自装置の動作モードを切り替えることができる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る無線通信装置は、第2の通信方式を介して自装置と接続された複数の他の無線通信装置とで無線通信装置群を構成し、モード切替部は、無線通信装置群の全体の電池残量に基づくモード切替指示に応じて自装置の動作モードを切り替えることができる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る無線通信装置の制御方法は、第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置の制御方法であって、第1動作モードと第2動作モードとを切り替えるモード切替ステップと、第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された少なくとも1の第2動作モードで動作する他の無線通信装置に送信し、第2動作モードで動作する場合に、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の上位に接続された第1動作モードで動作する他の無線通信装置から受信する通信ステップと、を含み、通信ステップは、第2動作モードで動作する場合に、更新用ファームウェアに関する通知に応じて、ファームウェア提供装置との間の第1の通信方式による通信を確立し、更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信する。
【0019】
本発明の一実施形態に係る第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置の制御プログラムは、無線通信装置に、第1動作モードと第2動作モードとを切り替えるモード切替機能と、第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された少なくとも1の第2動作モードで動作する他の無線通信装置に送信し、第2動作モードで動作する場合に、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の上位に接続された第1動作モードで動作する他の無線通信装置から受信する通信機能と、を実現させ、通信機能は、第2動作モードで動作する場合に、更新用ファームウェアに関する通知に応じて、ファームウェア提供装置との間の第1の通信方式による通信を確立し、更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信する。
【0020】
本発明の一実施形態に係るファームウェア提供装置は、第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する、互いに第2通信方式で接続された複数の無線通信装置で構成される無線通信装置群において、複数の無線通信装置それぞれのファームウェアに関する情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたファームウェアに対して更新用ファームウェアがある場合、更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介して、無線通信装置群のうち第1動作モードで動作する無線通信装置へ送信する通信部と、を備え、通信部は、第1動作モードで動作する無線通信装置から、第2の通信方式を介して第2動作モードで動作する無線通信装置へ送信された更新用ファームウェアに関する通知に応じて、第2動作モードで動作する無線通信装置から送信された要求に応じて、第2動作モードで動作する無線通信装置との間で第1の通信方式による通信を確立し、第1の通信方式を介して、第2動作モードで動作する無線通信装置へ更新用ファームウェアを送信する。
【0021】
本発明の一実施形態に係るファームウェア提供装置の制御方法は、第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する、互いに第2通信方式で接続された複数の無線通信装置で構成される無線通信装置群において、複数の無線通信装置それぞれのファームウェアに関する情報を記憶する記憶ステップと、記憶ステップにて記憶されたファームウェアに対して更新用ファームウェアがある場合、更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介して、無線通信装置群のうち第1動作モードで動作する無線通信装置へ送信する通信ステップと、を含み、通信ステップは、第1動作モードで動作する無線通信装置から、第2の通信方式を介して第2動作モードで動作する無線通信装置へ送信された更新用ファームウェアに関する通知に応じて、第2動作モードで動作する無線通信装置から送信された要求に応じて、第2動作モードで動作する無線通信装置との間で第1の通信方式による通信を確立し、第1の通信方式を介して、第2動作モードで動作する無線通信装置へ更新用ファームウェアを送信する。
【0022】
本発明の一実施形態に係るファームウェア提供装置の制御プログラムは、ファームウェア提供装置に、第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する、互いに第2通信方式で接続された複数の無線通信装置で構成される無線通信装置群において、複数の無線通信装置それぞれのファームウェアに関する情報を記憶する記憶機能と、記憶機能にて記憶されたファームウェアに対して更新用ファームウェアがある場合、更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介して、無線通信装置群のうち第1動作モードで動作する無線通信装置へ送信する通信機能と、を実現させ、通信機能は、第1動作モードで動作する無線通信装置から、第2の通信方式を介して第2動作モードで動作する無線通信装置へ送信された更新用ファームウェアに関する通知に応じて、第2動作モードで動作する無線通信装置から送信された要求に応じて、第2動作モードで動作する無線通信装置との間で第1の通信方式による通信を確立し、第1の通信方式を介して、第2動作モードで動作する無線通信装置へ更新用ファームウェアを送信する。
【0023】
本発明の一実施形態による通信システムは、第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する、互いに第2通信方式で接続された複数の無線通信装置で構成される無線通信装置群と、複数の無線通信装置それぞれのファームウェアに関する情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたファームウェアに対して更新用ファームウェアがある場合、更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介して、無線通信装置群のうち第1動作モードで動作する無線通信装置へ送信し、第1動作モードで動作する無線通信装置から、第2の通信方式を介して第2動作モードで動作する無線通信装置へ送信された更新用ファームウェアに関する通知に応じて、第2動作モードで動作する無線通信装置から送信された要求に応じて、第2動作モードで動作する無線通信装置との間で第1の通信方式による通信を確立し、第1の通信方式を介して、第2動作モードで動作する無線通信装置へ更新用ファームウェアを送信する第1通信部と、を備えるファームウェア提供装置と、を含む通信システムであって、無線通信装置は、第1動作モードと第2動作モードとを切り替えるモード切替部と、第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された少なくとも1の第2動作モードで動作する他の無線通信装置に送信し、第2動作モードで動作する場合に、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の上位に接続された第1動作モードで動作する他の無線通信装置から受信し、第2動作モードで動作する場合に、更新用ファームウェアに関する通知に応じて、ファームウェア提供装置との間の第1の通信方式による通信を確立し、更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信する第2通信部と、を備える。
【0024】
本発明の一実施形態による無線通信装置は、第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置であって、第1動作モードと第2動作モードとを切り替えるモード切替部と、第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、第2動作モードで動作する場合に、自装置に接続された第1動作モード及び第2動作モードのいずれかで動作する他の無線通信装置から、当該他の無線通信装置のファームウェアに関する情報を受信する通信部と、を備え、通信部は、第2動作モードで動作する場合に、自装置のファームウェアと、他の無線通信装置のファームウェアのバージョンが異なる場合、他の無線通信装置から、第2の通信方式を介して、他の無線通信装置のファームウェアへ更新するための情報を受信する。
【0025】
本発明の一実施形態による第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置の制御方法は、第1動作モードと第2動作モードとを切り替えるモード切替ステップと、第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、第2動作モードで動作する場合に、自装置に接続された第1動作モード及び第2動作モードのいずれかで動作する他の無線通信装置から、当該他の無線通信装置のファームウェアに関する情報を受信する通信ステップと、を含み、通信ステップは、第2動作モードで動作する場合に、自装置のファームウェアと、他の無線通信装置のファームウェアのバージョンが異なる場合、他の無線通信装置から、第2の通信方式を介して、他の無線通信装置のファームウェアへ更新するための情報を受信する。
【0026】
本発明の一実施形態による第1動作モード及び第2動作モードで動作可能でありいずれかの動作モードで動作する無線通信装置の制御プログラムであって、無線通信装置に、第1動作モードと第2動作モードとを切り替えるモード切替機能と、第1動作モードで動作する場合に、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信し、第2動作モードで動作する場合に、自装置に接続された第1動作モード及び第2動作モードのいずれかで動作する他の無線通信装置から、当該他の無線通信装置のファームウェアに関する情報を受信する通信機能と、を実現させ、通信機能は、第2動作モードで動作する場合に、自装置のファームウェアと、他の無線通信装置のファームウェアのバージョンが異なる場合、他の無線通信装置から、第2の通信方式を介して、他の無線通信装置のファームウェアへ更新するための情報を受信する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、FANを構成する無線通信装置群における子機に対して、更新用ファームウェアを提供することができる無線通信装置、無線通信装置の制御方法、無線通信装置の制御プログラム、ファームウェア提供装置、ファームウェア提供装置の制御方法、ファームウェア提供装置の制御プログラム、及び、通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るサーバ(ファームウェア提供措置)の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る無線通信装置群の構成情報の一例を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る通信方式の切替を説明する図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るシーケンス図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る通信方式の切替を説明する図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るシーケンス図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る通信方式の状態を説明する図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係るシーケンス図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る無線通信装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係る無線通信装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、諸図面を参照しながら、本発明の一実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。通信システム500は、各家庭、企業、施設等に設置されたメーターからの情報を収集したり、メーターの制御を遠隔で行うためのシステムである。メーターが測定する測定対象としては特に限定されるものではないが、例えば、ガス(都市ガス、LPガス)、水道、石油、電気等であってよい。なお、本発明の一実施形態において、メーターは、外部から電力を供給されず、内部に備えられた蓄電池で駆動されるものであって、その駆動期間が有限であるものとする。
【0030】
図1に示すように、通信システム500は、サーバ(ファームウェア提供装置)100と、無線通信装置200が備えられたメーター300と、ネットワーク400とを含む。なお、無線通信装置200は、図のように、メーター300の図示しない外側の入出力I/Fに接続されて、別個の無線通信装置としてメーター300の外部に備えられてもよい。また、無線通信装置200は、メーター300の内部に、例えば通信ボードとして組み込まれていてもよい。通信システム500において、複数の無線通信装置200によってFAN10が構成されており、図の例では、無線通信装置200Aa,200Ab,200Ac及び200Adによって、FAN10Aが、無線通信装置200Ba,200Bb,200Bc及び200Bdによって、FAN10Bが構成されている。ここで、FAN10AとFAN10Bとは、エリアが異なることによる区別であってもよいし、メーターの管理者が異なることによる区別であってもよい。後者の場合、エリアが重複していてもよい。なおこれ以降、特に区別する必要が無い場合、符号における英字は省略して説明する。また、各FANに含まれる無線通信装置は、図示した数に限られるものではない。
【0031】
各FAN10において、無線通信装置200aはゲートウェイ(親機)として機能し、その他の無線通信装置200b〜200dは子機として機能しているものとする。なお、各無線通信装置200は、親機としても子機としても動作し得る。親機である無線通信装置200aは、サーバ100との間で、第1の通信方式を用いてネットワーク400を介して直接に通信を行うことができる。ここで、第1の通信方式としては、例えば、LTE、LTE−Advanced、第4世代(4G)、第5世代(5G)、CDMA等の通信方式である。第1の通信方式は、例えば、Category M, Category M1、NB−IoT(Narrow Band IoT)等のIoT向けの無線通信方式であり、LTEを拡張した通信方式であるが、本実施形態では、FOTAの実行が可能である通信方式について説明する。なお、第1の通信方式は、これらの例に限られるものではない。子機200b〜200dは、第2の通信方式を用いて他の子機及び親機との通信(データの伝送)を行う。第1の通信方式は例えば、電波法における免許を必要とする通信方式(公衆無線)である。ここで、第2の通信方式としては、例えば、920MHz帯を使用して通信する特定小電力無線方式である。920MHz帯を使用して通信する特定小電力無線方式は、例えば、Wi-SUNの通信規格に基づく通信方式や、Zigbee(登録商標)等のIEEE802.15.4上で動作する無線通信規格の通信方式である。なお、第2の通信方式は、920MHz帯に限られず、どのような通信帯域で通信するものであってもよい。第2の通信方式は例えば、電波法における免許を必要としない通信方式である。第1の通信方式と第2の通信方式とは例えば、通信に用いる電波の周波数帯が互いに異なる。
【0032】
詳細は後述するが、サーバ100は、ファームウェア提供装置として機能し、FANを構成する各無線通信装置のファームウェアのバージョンを管理し、必要に応じて、各無線通信装置のファームウェアを更新するための情報を送信する機能(FOTAを実行するための機能)を有する。なお、サーバ100は、各無線通信装置200から送信された各メーター300の情報を処理し、図示しないメーターの管理者へ必要なデータを受け渡すIoT−PF(プラットフォーム)としての機能を有していてもよい。各メーター300の情報としては、測定対象の測定値(検針値)であって、測定対象の所定期間(例えば、1日、1週間、1カ月等)における使用量、測定対象の残量を示すデータであってよい。また、各メーター300の情報としては、測定対象の異常を表すデータ(例えば、ガス漏れ等)であってもよい。なお図において、サーバ100は2つ示してあるが、これに限られるものではない。なお、サーバ100は、各実施形態において記載する機能を実現できる情報処理装置であればどのような装置であってもよく、例えば、サーバ装置、コンピュータ(限定でなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレット等)、コミュニケーションプラットホーム等を含んでもよい。なお、IoT−PFとファームウェア提供装置とは、別個のサーバとして設けられてもよい。
【0033】
ネットワーク400は、無線ネットワークや有線ネットワークを含んでよい。ネットワーク400は、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)や広域ネットワーク(wide area network:WAN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、LTE(long term evolution)、LTE−Advanced、第4世代(4G)、第5世代(5G)、CDMA(code division multiple access)等である。なお、ネットワーク400は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、光回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber LINE)回線、衛星通信網等であってもよく、どのようなネットワークであってもよい。また、ネットワーク400は、これらの組み合わせであってもよい。また、ネットワーク400は、これらの例を組み合わせた複数の異なるネットワークを含むものであってもよい。例えば、ネットワーク400は、LTEによる無線ネットワークと、閉域網であるイントラネット等の有線ネットワークとを含むものであってもよい。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態によるサーバ(ファームウェア提供装置)100のブロック図である。
図2に示すように、サーバ100は、制御部110、通信I/F部120、入出力I/F部130及び記憶部140を備える。
【0035】
記憶部140は、典型的には、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等各種の記録媒体により実現され、サーバ100が動作するうえで必要とする各種プログラム及びデータを記憶する機能を有する。また、記憶部140には、サーバ100との通信を行う各FANに関する情報であって、各FANを構成する無線通信装置200及びメーター300に関する情報(構成情報)が記憶される。すなわち、記憶部140には、第1動作モード(親機)及び第2動作モード(子機)で動作可能であっていずれかの動作モードで動作する、互いに第2通信方式で接続された複数の無線通信装置で構成されたグループ(FAN)を構成する、第1動作モードで動作する無線通信装置、及び、第2動作モードで動作する無線通信装置に関する構成情報が記憶される。ここで、各FANは、少なくとも1の親機を含むものとする。
【0036】
図4に、記憶部140に記憶されるFANの構成情報のテーブルの一例を示す。
図4に示すように、記憶部140には、各無線通信装置200を一意に識別可能な識別子である装置ID、各無線通信装置200について親機・子機の指定、各無線通信装置200の位置情報、メーター300を一意に識別可能な識別子であるメーターID、現時点で各無線通信装置200にダウンロードされているファームウェアのバージョン、第1の通信方式に必要なネットワークID、無線通信装置200が含まれるFANを識別するための第2の通信方式に必要なネットワークID等が記憶される。第1の通信方式に必要なネットワークIDは例えばIPアドレスや電話番号などである。第2の通信方式に必要なネットワークIDは例えばFANのネットワークIDである。なお、記憶部140に記憶される情報としては、図示及び上述したものに限られるものではない。例えば、記憶部140には、FANの構成情報として、各子機に対し、親機とする無線通信装置200の指定(例えば、親機とする装置ID)が関連付けられて記憶されてもよい。また、記憶部140には、メーター300の設置年、メーター300の管理者に係るメーター管理者ID等がさらに記憶されてもよい。
【0037】
制御部110は、プログラム内のコードや命令によってサーバ100の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部110は、通信制御部111、取得部112、判定部113及び入出力制御部114を備える。通信制御部111は、通信I/F部120を介した通信を制御する。通信I/F部120は、アンテナ等の通信装置(図示せず)に接続されるインタフェースである。通信I/F部120は、無線通信装置200のような外部装置と、移動体通信網の通信回線(ネットワーク400)を介してデータを通信する機能を有する。入出力制御部114は、入出力I/F部130を介した図示しない表示装置(ディスプレイ等)や入出力装置(キーボード、タッチパネル等)との接続を制御する。
【0038】
判定部115は、各種判定処理を行う。例えば、判定部115は、記憶部140に記憶されている無線通信装置200のファームウェアのバージョンが最新のものであるか否か、すなわち、FANを構成する各無線通信装置200に現在インストールされているファームウェアに対して、更新用ファームウェアがあるか否かを判定する。ここで、「更新用ファームウェア」とは、FOTAを実行する上で必要となるデータを指し、既存技術でFOTAを実現できるものであればよい。なお、前述したように、FOTAは、無線通信装置200の機能のアップデートや、不具合の修正が生じた際に行われる。なお、本実施形態において、FANは、ガスメーターの管理者毎に構成されることが考えられ、管理者によって追加される機能の内容や、機能の追加の有無は異なって良い。すなわち、あるFANにおいて行われたFOTAが、別のFANにおいて行われなくてもよい。
【0039】
通信制御部111は、更新用ファームウェアがある場合、第1の通信方式を介して、FANを構成する無線通信装置群のうち第1動作モードで動作する無線通信装置(親機)へ、更新用ファームウェアを送信する。また、詳細は後述するが、通信制御部111は、第1動作モードで動作する無線通信装置(親機)から、第2の通信方式を介して第2動作モードで動作する無線通信装置(子機)へ送信された更新用ファームウェアに関する通知に応じて、第2動作モードで動作する無線通信装置(子機)から送信された要求に応じて、第2動作モードで動作する無線通信装置(子機)との間で第1の通信方式による通信を確立する。そして、通信制御部111は、第1の通信方式を介して、第2動作モードで動作する無線通信装置(子機)へ、更新用ファームウェアを送信する。
【0040】
取得部112は、FANに含まれる各無線通信装置200にインストールされているファームウェアに関する情報を取得する。ファームウェアに関する情報とは、ファームウェアを識別可能な情報であって、ファームウェアのバージョンを少なくとも含む。また、ファームウェアに関する情報には、ファームウェアをダウンロードした日時、ファームウェアのダウンロード元に関する情報が含まれてもよい。
【0041】
次に、無線通信装置200について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による無線通信装置200のブロック図である。
図3に示すように、無線通信装置200は、制御部210、通信I/F部220、入出力I/F部230及び記憶部240を備える。
【0042】
記憶部240は、典型的には、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等各種の記録媒体により実現され、無線通信装置200が動作するうえで必要とする各種プログラム及びデータを記憶する機能を有する。記憶部240は、例えば、制御部210における各種処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部240は、ドライバプログラムとして、IEEE802.11規格の無線通信方式や移動体通信(セルラー通信)の無線通信方式を実行する通信ドライバプログラムを記憶する。また、記憶部240は、IEEE802.11規格の無線通信方式や移動体通信(セルラー通信)の無線通信方式での認証等を行う接続制御プログラム等を記憶する。また、記憶部240は、無線LANのアクセスポイントに接続するための各種情報を記憶していてもよい。また、記憶部240は、メーターや自装置に関する情報(例えば、メーターID、無線通信装置ID、位置情報、管理者情報、ネットワークID、USIM、eSIM等の情報等)を記憶したり、所定の処理に係る一時的なデータ(通信履歴、メーターによる検針値、FANの構成データ等)を一時的に記憶したりしてもよい。また、記憶部240には、自装置が属するFANに関する、
図4に示す構成情報が記憶されてもよい。
【0043】
制御部210は、プログラム内のコードや命令によって所定の機能を実行するための機能を備え、例えば、中央処理装置(CPU)である。また、制御部210は、例えば、マイクロプロセッサやマルチプロセッサ、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)等であってもよい。なお、制御部210は、これらの例に限定されない。制御部210は、モード切替部211、通信制御部212、更新部213、取得部214、判定部215及び入出力制御部216を含む。
【0044】
通信制御部212は、通信I/F部220を介した他の無線通信装置200、又は、サーバ100との間の通信を制御し、例えばデータの送受信のためのデジタル処理等を行う。通信I/F部220は、ネットワーク400を介して、他の無線通信装置200やサーバ100との間でデータの送受信が可能な通信インターフェースである。通信I/F部220は、例えば、無線通信が可能な通信インターフェースであり、無線LANのアクセスポイントを介して通信する機能や、LTEやCDMA等の無線通信ネットワークを介して通信するための機能を含んでいてもよい。ここで、通信I/F部220は、第1通信部221と第2通信部222とを含む。第1通信部221及び第2通信部222は、それぞれ、上述の第1通信方式及び第2通信方式を用いた通信のための通信インタフェースである。
【0045】
入出力制御部216は、入出力I/F部230を介したメーター300との通信を制御する。入出力I/F部230は、例えばメーター300がガスメーターである場合、独自の通信規格であるNライン又はUバスのインタフェースであり、また、ガスメーター間の通信方式であるUバスエアにも対応するインタフェースである。無線通信装置200を通信ボードとして実現した場合、上記のインタフェースを備えることによって、既存のガスメーターに組込んで設置することができる。なお、メーター300はガスに限られるものではなく、入出力I/F部230は、水道等のメーターに組込むためのインタフェースであればよい。
【0046】
モード切替部211は、自装置の動作モードを切り替える。動作モードの切り替えは、図示しない所定の切替指示装置からのモード切替指示に応じて行われる。なお、切替指示装置とは、IoT−PFとして機能するサーバであってよいし、IoT−PFの機能が上述のファームウェア提供装置100に組込まれている場合は、ファームウェア提供装置100によってモード切替指示が送信されてもよい。
【0047】
取得部214は、子機として機能する場合に、自装置と他の無線通信装置200との間の第2の通信方式における通信の通信品質に関する情報を取得する。通信品質に関する情報とは、通信の品質を定義可能な情報であって、例えば、電波強度、再送回数等を含む。また、取得部214は、親機として機能する場合に、上記第2の通信方式による通信に加え、自装置とサーバ100との間の第1通信方式における通信の通信品質に関する情報を取得する。また、取得部214は、子機として機能する場合に、自装置に接続された他の子機又は親機のファームウェアのバージョンと、自装置のファームウェアのバージョンとの間の差異を取得する。
【0048】
なお、図示しない切替指示装置が、切替指示装置と、親機200との間の通信における第1の通信方式における通信の電波強度に関する情報を取得し、所定の条件を満たす場合に、無線通信装置200へモード切替指示を送信してもよい。さらに、切替指示装置が、子機200との間の第2の通信方式における通信の電波強度に関する情報を取得し、所定の条件を満たす場合に、無線通信装置200へモード切替指示を送信してもよい。あるいは、切替指示装置は、FANの管理者からの要請を受けて、親機の切替指示を送信してもよい。また、切替指示装置は、FANを構成する各無線通信装置200の全体の電池残量に基づいて、モード切替指示を送信してもよい。
【0049】
更新部213は、ファームウェア提供装置100から送信された更新用ファームウェアに基づいて、自装置のファームウェアを更新する。ファームウェアの更新については、既存の技術によるものであってよい。
【0050】
<第1実施形態>
ここで、本発明の第1実施形態による無線通信装置200のFOTAについて、
図5及び
図6を用いて説明する。
図5は、本発明の第1実施形態による各無線通信装置200の通信方式の切替を説明する図、
図6は、
図5におけるFAN10の親機、子機及びサーバ100のシーケンス図である。
図5(a)の例では、FAN10が、無線通信装置200−1,200−2,200−3から構成される。FAN10において、無線通信装置200−1は親機として動作する親機200GW、無線通信装置200−2,200−3は子機であって、それぞれ、メーター300−1,300−2,300−3が接続されている。親機200−1は、サーバ100と第1の通信方式で接続され、子機200−2,200−3は、それぞれ親機200−1に第2の通信方式で接続されている。
【0051】
図6のシーケンス図を用いて説明する。なお、簡単のため、子機として子機200−3のみを示してあるが、子機200−2に対しても子機200−3と同様にFOTAが実行される。まず、サーバ100の判定部113は、無線通信装置200のファームウェアに新しいバージョンがある場合、記憶部140に記憶されている各無線通信装置200のファームウェアのバージョンが新しいバージョンであるか否かを判定する。なお、サーバ100は、FAN10のうち、親機200−1に関するバージョンについて判定してよい。親機200−1のファームウェアのバージョンが新しいバージョンでない場合、サーバ100から、FOTAを実行する旨を示すFOTA指令が、第1の通信方式を介して送信される(ステップS11)。親機200−1は、FOTA指令に対し、FOTAを行う旨を第1の通信方式を介して応答する(ステップS12)。その後、サーバ100から、更新用ファームウェアが、第1の通信方式を介して親機200−1へ送信される(ファームウェアダウンロード、ステップS13)。親機200−1の更新部213は、受信した更新用ファームウェアを用いて、自装置のファームウェアを更新する(ステップS14)。その後、親機200−1は、FOTAが完了した旨を示す通知を第1の通信方式を介してサーバ100へ送信する(ステップS15)。すると、サーバ100の記憶部140において、親機200−1のファームウェアのバージョンが最新のものに更新される。
【0052】
親機200−1は、ファームウェアを更新した場合、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された子機200−3に送信する(ファームウェア更新通知、ステップS16)。子機200−3は、第2の通信方式を介して親機200−1から受信された更新用ファームウェアに関する通知に応じて、サーバ100との間の第1の通信方式による通信の確立を試みる(ステップS17)。通信の確立は、IEEE802.11規格の無線通信方式や移動体通信(セルラー通信)の無線通信方式等に則って行われるものであってよい。
【0053】
サーバ100との第1の通信方式による通信が確立されると(ステップS17:Yes)、
図5(b)に示すように、子機200−3とサーバ100との間で第1の通信方式による通信CN10が確立されたことになる。なお、子機200−3は、サーバ100との間の第1の通信方式による通信CN10が確立された場合でも、親機200−1との間の第2の通信方式による通信を維持してもよい。または、子機200−3は、親機200−1との間の第2の通信方式による通信を一旦切断してもよい。なお、サーバ100との第1の通信方式による通信が確立されなかった場合(ステップS17:No)、
図8のステップS31へ進む(詳細は後述する)。
【0054】
図5(b)の状態に通信方式が切り替わると、サーバ100から子機200−3へ、FOTAを実行する旨を示すFOTA指令が、第1の通信方式を介して送信される(ステップS18)。子機200−3は、FOTA指令に対し、FOTAを行う旨を第1の通信方式を介して応答する(ステップS19)。その後、サーバ100から、更新用ファームウェアが、第1の通信方式を介して子機200−3へ送信される(ファームウェアダウンロード、ステップS20)。子機200−3の更新部213は、受信した更新用ファームウェアを用いて、自装置のファームウェアを更新する(ステップS21)。その後、子機200−3は、FOTAが完了した旨を示す通知を第1の通信方式を介してサーバ100へ送信する(ステップS22)。すると、サーバ100の記憶部140において、子機200−3のファームウェアのバージョンが最新のものに更新される。その後、子機200−3の通信制御部212は、サーバ100との間の第1の通信方式による通信を切断し(ステップS23)、FAN10の状態は、
図5(a)に示すものに戻る。
【0055】
上述のように、本発明の第1実施形態によれば、サーバと直接接続されておらず、FOTAのための通信が常時確立されていない、FANにおける子機に対しても、確実にFOTAを実行させることができる。さらに、本発明の第1実施形態には、FAN特有の問題についても有利な効果を奏することができ、以下詳述する。
【0056】
FANを構成する無線通信装置は電池駆動であって、その駆動期間が有限であるため、消費電力をできるだけ抑えることが求められる。ここで、第1の通信方式と第2の通信方式との通信速度を比べると、第1の通信方式のほうが、第2の通信方式と比べて速く、同じデータ量を送信する際に、第1の通信方式の方が通信時間を短くできる。すなわち、同じデータ量を送信するのに、第1の通信方式のほうが、第2の通信方式よりも消費電力を抑えることができることとなる。本発明の第1実施形態によれば、第2の通信方式で他の無線通信装置200と接続されている子機が、第1の通信方式でサーバ100と直接通信を確立して、サーバ100から更新用ファームウェアをダウンロードするため、第2の通信方式で例えば親機から更新用ファームウェアをダウンロードする場合と比べ、消費電力を低減することができる。
【0057】
また、子機は、更新用ファームウェアのダウンロードと、FOTA完了通知の送信が完了した場合に、サーバ100との第1の通信方式による通信を切断する。従って、サーバ100からのポーリング等を受信することなく、消費電力を抑えることができる。
【0058】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態による無線通信装置200のFOTAについて、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、本発明の第2実施形態による各無線通信装置200の通信方式の切替を説明する図である。
図8は、
図7におけるFAN10の親機、子機及びサーバ100のシーケンス図である。第2実施形態では、
図6の第1実施形態のシーケンス図において、ステップS17で、子機200−3とサーバ100との間の第1の通信方式による通信が確立しなかった場合に相当する。従って、
図7(a)は
図5(a)と同一であって、
図7(b)は、
図5(b)における通信CN10が確立されなかった場合を示す図である。
【0059】
図8のシーケンス図を用いて説明する。
図8のステップS17以前のステップは、
図6のステップS11〜S16と同様である。
【0060】
サーバ100との第1の通信方式による通信が確立されず(ステップS17:No)、FAN10の通信状態が、
図7(b)に示す状態(通常のFANの状態)のままであった場合、子機200−1は、親機200−1との間の第2の通信方式による通信CN20を介して、ファームウェアをダウンロードする(ステップS31)。子機200−3の更新部213は、受信した更新用ファームウェアを用いて、自装置のファームウェアを更新する(ステップS32)。その後、子機200−3は、FOTAが完了した旨を示す通知を、第2の通信方式を介して親機200−1へ送信する(ステップS33)。親機200−1は、子機200−3のFOTAが完了した旨を示す情報を蓄積し、子機200−3のFOTAが完了した旨を、第1の通信方式を介してサーバ100へ送信する(ステップS34)。すると、サーバ100の記憶部140において、子機200−3のファームウェアのバージョンが最新のものに更新される。なお、
図8のシーケンス図には示していないが、子機200−2も子機200−3と同様に親機200−1からファームウェアをダウンロードした場合、子機200−2のFOTAが完了した旨が、子機200−2から親機200−1へ、第2の通信方式を介して送信される。親機200−1は、子機200−2,200−3の両方から(すなわち、自装置に接続された下位の子機全てから)、FOTA完了通知を受信するまで待機し、全ての子機のFOTA完了通知が受信された後に、それらをまとめてサーバ100へ送信してもよい。
【0061】
<第2実施形態の変形例>
なお、
図7の例では、子機200−2が親機200−1に接続されているが、子機200−2の接続先が子機であってもよい。例えば、
図9に示すように、子機200−2が、子機200−3に接続され、子機200−3が、親機200−1に接続されている場合について説明する。この場合、子機200−2は、更新用ファームウェアを、子機200−3からダウンロードしてもよい。ここで、子機200−3は、親機200−1を介して、または、第1実施形態で説明したようにサーバ100との間の第1の通信方式による通信を介して、更新用ファームウェアをダウンロードしているものとする。そして、子機200−2は、FOTA完了通知を、子機200−3へ第2の通信方式を介して送信し、子機200−3が、子機200−2のFOTA完了通知を、親機200−1へ送信してもよい。
【0062】
上述のように、本発明の第2実施形態によれば、サーバと直接接続されておらず、FOTAのための通信が常時確立されていない、FANにおける子機に対しても、確実にFOTAを実行させることができる。
【0063】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について、
図9及び
図10のシーケンス図を用いて説明する。
図9は、第3実施形態における通信方式を説明する図である。上述したように、
図9に示すFAN10′では、親機200−1に子機200−3が、子機200−3に子機200−2が接続されている。ここで、FANにおいて、FANを構成する無線通信装置200同士は、定期的に自装置の情報を第2の通信方式を介して送受信する仕組みがある。第3実施形態では、この仕組みを利用し、FANを構成する無線通信装置200同士が、自装置のファームウェアのバージョンを定期的に送受信する場合に、自装置と他の無線通信装置200とのファームウェアのバージョンの差異を検出し、必要に応じてFOTAを行うものである。
【0064】
まず、親機200−1は、サーバ100とのステップS41〜S45の処理を介して、自装置のファームウェアを更新する。なお、ステップS41〜S45については、
図6のステップS11〜S15と同様であるため説明を省略する。親機200−1のファームウェアのバージョンが更新されると、親機200−1に接続された子機200−3は、自装置のファームウェアのバージョンと親機200−1のファームウェアのバージョンとの差異を検出する(ステップS46)。そして、子機200−3は、親機200−1から更新用のファームウェアをダウンロードし(ステップS47)、ファームウェアを更新する(ステップS48)。その後、子機200−3から親機200−1へ、FOTA完了通知が送信される(ステップS49)。子機200−3のファームウェアのバージョンが更新されると、子機200−3に接続された子機200−2は、自装置のファームウェアのバージョンと子機200−3のファームウェアのバージョンとの差異を検出する(ステップS50)。そして、子機200−2は、子機200−3から更新用のファームウェアをダウンロードし(ステップS51)、ファームウェアを更新する(ステップS52)。その後、子機200−2から親機200−1へ、FOTA完了通知が送信される(ステップS53)。なお、子機200−2から親機200−1へのFOTA完了通知は、子機200−3を介して行われてもよい。
【0065】
上述のように、本発明の第3実施形態によれば、サーバと直接接続されておらず、FOTAのための通信が常時確立されていない、FANにおける子機に対しても、確実にFOTAを実行させることができる。また、第3実施形態では、FANを構成する親機以外の子機が、親機としての機能を備えない場合であっても、FANを構成する全ての無線通信装置のファームウェアを更新することができるという利点を有する。
【0066】
ここで、第1実施形態及び第2実施形態に係る無線通信装置200における処理について、
図10のフローチャートを用いて説明する。まず、無線通信装置200における動作モードが第1動作モードである場合、ステップT12へ進み、自装置の更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してサーバ(ファームウェア提供装置)100から受信する(ステップT12)。その後、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された少なくとも1の第2動作モードで動作する他の無線通信装置200に送信する(ステップT13)。以上は、無線通信装置200が親機として機能する場合の処理である。
【0067】
無線通信装置200における動作モードが第2動作モードである場合、ステップT14へ進み、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の上位に接続された第1動作モードで動作する他の無線通信装置200から受信する。その後、サーバ100との間で第1の通信方式による通信の確立を試み(ステップT15)、第1の通信方式が確立された場合、更新用ファームウェアを、第1の通信方式を介してファームウェア提供装置から受信する(ステップT16)。第1の通信方式が確立されなかった場合、第1動作モード及び第2動作モードで動作するいずれかの他の無線通信装置200から、第2の通信方式を介して更新用ファームウェアを受信する(ステップT17)。以上が、無線通信装置200が子機として機能する場合の処理である。
【0068】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。例えば、サーバ100が備えるとして説明した各構成部は、複数のサーバによって分散されて実現されてもよい。また、サーバ100の機能として説明した処理は、無線通信装置200によって行われても良い。逆に、無線通信装置200によって行われるとした処理が、サーバ100によって行われてもよい。
【0069】
本発明に係る発明の一実施形態を説明したが、本発明はこれに限られないことは言うまでもない。例えば、上述では、
図4のテーブルがサーバ100の記憶部140や、無線通信装置200の記憶部240に記憶される態様について説明したが、それら各種情報は、サーバ100や無線通信装置200とは別のメモリに、データベースとして記憶されてもよい。また、上述では、FAN内のマルチホップ通信をツリー構造で行う態様について説明したが、メッシュ構造であってもよい。
【0070】
さらに、上述では、ガスメーターを一例に説明したが、本発明はそれに限られるものではなく、水道、石油等のメーターであってもよい。あるいは、メーターに限られず、複数の無線通信装置でFANを構成し、サーバからのFOTAを各無線通信装置で実行させる任意のシステムに本発明を適用することができる。
【0071】
サーバ100又は無線通信装置200の各機能部は、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。また、各機能部は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。
【0072】
図11に、本実施形態におけるサーバ100又は無線通信装置200を実現可能なコンピュータ20の一例を示すハードウェア構成を示す。サーバ100又は無線通信装置200の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、サーバ100又は無線通信装置200は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU24、上記プログラム及び各種データがコンピュータ(又はCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)26又は記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)27、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)25等を備えている。そして、コンピュータ20(又はCPU24)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。すなわち、本発明に係るサーバ100又は無線通信装置200は、CPU24がRAM25上にロードされたプログラムを実行することにより、通信制御部111、取得部112、判定部113及び入出力制御部114、並びに、モード切替部211、通信制御部212、更新部213、取得部214、判定部216及び入出力制御部217として機能する。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路等を用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0073】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)、Python、Ruby等のスクリプト言語、C言語、C++、C#、Objective-C、Swift、Java(登録商標)等のオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5等のマークアップ言語等を用いて実装できる。
【符号の説明】
【0074】
100 サーバ(情報処理装置)
10 FAN
110 制御部
111 通信制御部
112 取得部
113 判定部
114 入出力制御部
120 通信I/F部
130 入出力I/F部
140 記憶部
200,200−1,200−2,200−3 無線通信装置
210 制御部
211 モード切替部
212 通信制御部
213 更新部
214 取得部
215 判定部
216 入出力制御部
220 通信I/F部
221 第1通信部
222 第2通信部
230 入出力I/F部
240 記憶部
300,300−1,300−2,300−3 メーター
400 ネットワーク
500 通信システム