(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。なお、添付の全図面の中の記載で、同一又は対応する部材又は部品には、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的としない。したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定することができる。
【0011】
以後に、本発明の実施形態に係る油圧回路20及び制御装置30を備える建設機械100を用いて、本発明を説明する。なお、本発明は、本実施形態以外でも、複数のセンターバイパス通路(センターバイパスライン)を備える建設機械であって、カット弁(ブリードオフ弁、流量制御弁など)を用いて圧油の一部をタンクに還流(ブリードオフ制御)するもので、複数のセンターバイパス通路の一のセンターバイパス通路に供給された圧油を他のセンターバイパス通路に供給する(合流させる)ものあれば、いずれのものにも用いることができる。また、本発明を用いることができる建設機械には、油圧ショベル、クレーン車、ブルドーザ、ホイールローダ及びダンプトラック、並びに、杭打ち機、杭抜き機、ウォータージェット、泥排水処理設備、グラウトミキサ、深礎工用機械及びせん孔機械などが含まれる。
【0012】
(建設機械の構成)
本発明を用いることができる建設機械100の概略構成を、
図1を用いて説明する。ここで、建設機械とは、本実施形態では、油圧アクチュエータを用いて、所望の作業を実施する機械である。
【0013】
図1に示すように、建設機械100は、油圧アクチュエータとして、上部旋回体10Upに基端部を軸支されたブーム11と、ブーム11の先端に軸支されたアーム12と、アーム12の先端に軸支されたバケット13とを備える。
【0014】
建設機械100は、ブーム11のブームシリンダ11cに作動油(圧油)を供給することによって、ブームシリンダ11cを長手方向に伸縮する。このとき、ブーム11は、ブームシリンダ11cの伸縮によって、上下方向に駆動される。また、建設機械100は、オペレータ(運転者、作業者)の操作レバーの操作量(及び操作方向)に応じて制御されるブーム用方向制御弁(例えば後述する
図2のVb1及びVb2)によって、ブームシリンダ11cに供給される作動油を制御する。この結果、建設機械100は、オペレータの操作レバーの操作量等に応じて、所望の作業を実施する。
【0015】
また、建設機械100は、ブーム11の場合と同様に、アームシリンダ12c及びバケットシリンダ13cの伸縮によって、アーム12及びバケット13を駆動する。建設機械100は、ブームシリンダ11cの場合と同様に、アーム用方向制御弁(例えば
図2のVa1及びVa2)及びバケット用方向制御弁(例えば
図2のVbk)によって、アームシリンダ12c及びバケットシリンダ13cに供給される作動油を制御する。
【0016】
更に、建設機械100は、車輪及び旋回装置等(例えば下部走行体10Dw)を用いて、建設機械100本体の走行(前後左右の移動)及び回転(旋回など)を行う。建設機械100は、例えば走行用の方向制御弁など(例えば
図2のVt1、Vt2及びVst)を用いて、オペレータの操作レバーの操作量などに応じて、建設機械100の走行などを実施する。
【0017】
本発明を用いることができる建設機械100は、油圧ポンプから油圧アクチュエータに作動油(圧油)を供給する油圧回路(後述)20と、建設機械100の各構成の動作を制御する制御装置(後述)30と、を更に備える。
【0018】
以下に、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20及び制御装置30を具体的に説明する。
【0019】
(建設機械の油圧回路)
本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20を、
図2を用いて説明する。ここで、
図2に記載した実線は、油路(圧油の通路)を示す。また、//を付加している実線は、電気制御系を示す。
【0020】
なお、本発明を適用することができる油圧回路は、
図2に示すものに限定されない。すなわち、複数のセンターバイパス通路を備え、複数の方向制御弁(方向制御弁グループ)の下流側のセンターバイパス通路にカット弁(ブリードオフ弁)を配置している油圧回路であれば、いずれの油圧回路にも本発明を適用することができる。また、
図2に示す油圧回路20は2個の油圧ポンプを備えるが、本発明を適用することができる油圧回路は2個の油圧ポンプを備えるものに限定されない。すなわち、3個以上の油圧ポンプを備える油圧回路(建設機械)に本発明を用いてもよい。
【0021】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20は、図示しない動力源(原動機、エンジン、モータなど)の出力軸に機械的に接続された2個の油圧ポンプP(第1の油圧ポンプP1及び第2の油圧ポンプP2)と、2個の油圧ポンプPから夫々吐出された圧油を供給される2個のセンターバイパス通路RC(第1のセンターバイパス通路RC1及び第2のセンターバイパス通路RC2)と、油圧アクチュエータ(
図1のブーム11等)を制御する方向制御弁(第1の走行用方向制御弁Vt1等)と、走行直進用の方向制御弁(走直弁)Vstと、を有する。また、油圧回路20は、センターバイパス通路RCの下流(例えば最下流)に配置されたブリードオフ弁Vbo(第1のブリードオフ弁Vbo1及び第2のブリードオフ弁Vbo2)を有する。更に、油圧回路20は、複数のセンターバイパス通路の一のセンターバイパス通路に供給された圧油を他のセンターバイパス通路に供給(以下、「合流」という。)する合流回路RJを有する。
【0022】
本実施形態に係る油圧回路20は、方向制御弁(Vt1等)をセンターバイパス通路RCに直列に配置し、センターバイパス通路RCの下流にブリードオフ弁Vboを配置している。具体的には、油圧回路20は、第1の油圧ポンプP1に対応する第1のセンターバイパス通路RC1に、第1の走行用方向制御弁(例えば左走行用方向制御弁)Vt1、予備用方向制御弁Vop、旋回用方向制御弁Vsw、第2のブーム用方向制御弁Vb2及び第1のアーム用方向制御弁Va1、並びに、第1のブリードオフ弁Vbo1を直列に配置している。また、油圧回路20は、第2の油圧ポンプP2に対応する第2のセンターバイパス通路RC2に、第2の走行用方向制御弁(例えば右走行用方向制御弁)Vt2、バケット用方向制御弁Vbk、第1のブーム用方向制御弁Vb1及び第2のアーム用方向制御弁Va2、並びに、第2のブリードオフ弁Vbo2を直列に配置している。更に、油圧回路20は、第2のセンターバイパス通路RC2の上流側に、走直弁Vstを配置している。
【0023】
すなわち、油圧回路20は、センターバイパス通路RCに複数の方向制御弁を直列に配置している。また、油圧回路20は、2つのセンターバイパス通路RC1、RC2に複数の方向制御弁を夫々直列に配置することで、方向制御弁をタンデムに配置している。なお、以後の説明において、センターバイパス通路RCにタンデムに配置された複数の方向制御弁からなるグループを「方向制御弁グループ」という。
【0024】
本実施形態に係る油圧回路20は、オペレータの操作レバーの操作に対応する操作情報(例えば、操作量に関する情報、操作方向に関する情報、以下、「操作情報」という。)に応じて生成されたリモコン圧(リモコン弁の二次圧)を、操作された操作レバーに対応する方向制御弁(Vt1等)に入力する。このとき、方向制御弁は、スプール(流量制御スプール)の両端に導入されるリモコン圧に応じて、スプールの位置を切り替え、圧油(作動油)の流量(操作量)及び方向(操作方向)を制御する。
【0025】
また、本実施形態に係る油圧回路20は、センターバイパス通路RC(例えばRC1)の下流に配置したブリードオフ弁Vbo(例えばVbo1)を用いて、油圧ポンプP(例えばP1)から吐出された圧油の一部(余剰分)を作動油タンクTnkに還流する(ブリードオフ制御する)。これにより、建設機械100は、油圧シリンダ(例えば11c)に供給される作動油(圧油)の流量を制御し、油圧アクチュエータ(例えば
図1の11)の駆動(動作)を制御することができる。
【0026】
ここで、ブリードオフ弁Vboは、本実施形態では、その開口面積が最大となるアンロード位置と、開口面積がゼロとなるブロック位置とを備える。ブリードオフ弁Vboは、後述する制御装置30によって制御されるパイロットポンプPpの圧油(の圧力)を用いて、アンロード位置からブロック位置に切り換えられ、その開口面積を変化される。これにより、ブリードオフ弁Vboは、変化された開口面積に対応する所望の流量の圧油を作動油タンクに還流する(戻す)ことができる。
【0027】
本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20は、合流回路RJを用いて、一のセンターバイパス通路に供給された圧油を他のセンターバイパス通路に合流させる。ここで、合流回路RJは、本実施形態では、
図2に示すように、合流回路RJ内に供給された圧油の流れ方向(以下、「流入方向」という。)を制御する合流方向制御弁Vjを備える。また、合流回路RJは、本実施形態では、パイロットポンプPp(第1のパイロットポンプPp1及び第2のパイロットポンプPp2)を用いて生成した圧油を、合流方向制御弁Vjのパイロットポート(制御ポート)に入力する。これにより、油圧回路20(合流回路RJ)は、合流方向制御弁Vjを制御する。
【0028】
具体的には、本実施形態に係る合流回路RJは、オペレータが操作レバーを用いて入力した操作情報に基づいて、合流方向制御弁Vjを用いて、センターバイパス通路RC1に供給された圧油をセンターバイパス通路RC2に合流させること、又は、センターバイパス通路RC2に供給された圧油をセンターバイパス通路RC1に合流させることを選択(制御)することができる。すなわち、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20(合流回路RJ)は、センターバイパス通路RC1及びRC2の双方向に圧油を合流させることができる。
【0029】
なお、油圧回路20が合流回路RJ等を用いて圧油を合流する動作の詳細は、後述する(圧油を合流する動作)で説明する。また、本発明を用いることができる建設機械100の油圧回路20(合流回路RJ)は、例えばセンターバイパス通路RC1又はRC2の一方のみに圧油を合流させる構成としてもよい。
【0030】
(方向制御弁の内部通路)
本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20に配置された方向制御弁の内部通路RVを、下記に説明する。
【0031】
本実施形態に係る油圧回路20は、方向制御弁グループ(複数の方向制御弁)を備える。また、本実施形態に係る方向制御弁は、内部通路RVとして、供給された圧油をセンターバイパス通路RCに流出する第1の内部通路と、供給された圧油を油圧アクチュエータに供給する第2の内部通路とを備える。すなわち、方向制御弁グループを構成する複数の方向制御弁は、第1の内部通路及び第2の内部通路を夫々備える。
【0032】
更に、第1の内部通路は、本実施形態では、方向制御弁のスプール位置が切り替えられた場合でも、その通路の開口を全閉されない。すなわち、第1の内部通路は、本実施形態では、方向制御弁のスプール位置に関わらず略同一の通路面積を有する。なお、略同一の通路面積とは、スプール位置変位により変化する通路面積の増減量に比して圧油が実際に通過する有効通路面積が実質的に大きく変化しないことを意味する。
【0033】
これにより、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20は、センターバイパス通路RCと第1の内部通路とによって、パラレル通路を形成することができる。また、本実施形態に係る油圧回路20は、第1の内部通路の通路面積に対応するパラレル通路を形成することができる。更に、本実施形態に係る油圧回路20は、形成されたパラレル通路のみから方向制御弁グループ(複数の方向制御弁)に圧油を供給することができる。
【0034】
なお、複数の方向制御弁のうちの走行用方向制御弁(例えば
図2のVt1、Vt2)は、第1の内部通路の開口を全閉される構成(例えば
図2のRV1t)としてもよい。これにより、建設機械100(の油圧回路20)は、走行時に、走行の安定性(走行に必要な作動油の流量)を確保することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る方向制御弁の第1の内部通路(のスプール)は、作動油タンクに圧油を戻すための隙間(以下、「ブリード開口」という。)を備えない。なお、本実施形態に係る油圧回路20は、前述の通り、センターバイパス通路RCの最下流側に配置したブリードオフ弁Vboを用いて、ブリードオフ制御(統一ブリードオフ制御)を実施することができる。
【0036】
本発明の実施形態に係る第2の内部通路は、油圧シリンダ(例えば
図2のアームシリンダ12c)に圧油を供給するための内部通路(例えば
図2のRV2)である。第2の内部通路は、油圧ポンプPから吐出された圧油を、油圧シリンダ(
図2のアームシリンダ12c等)に供給する。本実施形態に係る第2の内部通路は、入力されたリモコン圧によって方向制御弁のスプール位置を切り替えられた場合に、その内部通路の経路を変化させ、油圧シリンダに供給する圧油(作動油)の流量(操作量)及び方向(操作方向)を変化させる。これにより、方向制御弁(建設機械100)は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)の動作を制御することができる。
【0037】
本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20に配置された方向制御弁の内部通路RV(スプールの形状)等の一例を、
図3を用いて具体的に説明する。なお、本発明に用いることができる方向制御弁(スプールの形状等)は
図3に示すものに限定されるものではない。
【0038】
図3(a)に示すように、本発明の実施形態に係る油圧回路20の方向制御弁Vは、センターバイパス通路RCを介して圧油を供給される入口ポートPIprtと、入口ポートPIprtから供給された圧油をセンターバイパス通路RCに流出する出口ポートPOprtと、方向制御弁Vに供給された圧油を油圧シリンダに供給するシリンダポートCprtと、油圧シリンダから排出された圧油を作動油タンクに排出するタンクポートTprtと、を有する。また、本実施形態に係る油圧回路20は、圧油を供給される第2の内部通路RV2の入口に逆止弁Vchを配置している。
【0039】
図3(b)に示すように、本実施形態に係る方向制御弁Vは、スプール変位時(例えば図中のMb)に、センターバイパス通路RCから供給された圧油(作動油)Ocを逆止弁Vch及び第2の内部通路RV2を介して、シリンダポートCprtBから油圧シリンダ(例えば
図1及び
図2の11c等)に供給する。このとき、油圧シリンダからシリンダポートCprtAに排出された圧油(作動油)Otは、タンクポートTprtから作動油タンクに排出される。
【0040】
また、
図3(c)に示すように、本実施形態に係る方向制御弁Vは、スプール変位時(例えば図中のMc)に、センターバイパス通路RCから供給された圧油(作動油)Ocを逆止弁Vch及び第2の内部通路RV2を介して、シリンダポートCprtBから油圧シリンダ(例えば
図1及び
図2の11c等)に供給する。このとき、油圧シリンダからシリンダポートCprtAに排出された圧油(作動油)Otは、タンクポートTprtから作動油タンクに排出される。
【0041】
本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20は、
図3に示すように、方向制御弁Vにおいてブリードオフ制御をしないため(方向制御弁Vにブリード開口を有しないため)、方向制御弁Vの第1の内部通路RV1の開口面積を大きくすることができる。これにより、本実施形態に係る方向制御弁Vは、方向制御弁Vの第1の内部通路RV1の開口面積を大きくすることができるので、センターバイパス通路RCを通過する圧油の圧力損失を低減することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る建設機械100の油圧回路20は、センターバイパス通路RCに複数の方向制御弁Vを直列に配置することによって、センターバイパス通路RCと複数の第1の内部通路RV1(方向制御弁V)とで形成される通路をパラレル通路として機能させることができる。このため、本実施形態に係る油圧回路20は、パラレル通路を別に設ける必要がなく、方向制御弁Vを小型化(スプールの軸方向及び径方向の大きさを小さく)することができる。本実施形態に係る油圧回路20は、例えばブリッジ通路Rb(
図3(a))を小型化することができる。
【0043】
本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20は、複数の方向制御弁グループVを用いて、センターバイパス通路RCに圧油を流出する。すなわち、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20は、方向制御弁グループGvを用いて、センターバイパス通路RC(パラレル通路)に圧油を流出する。
【0044】
具体的には、
図4に示すように、方向制御弁グループGv(複数の方向制御弁V)を配置した油圧回路20は、方向制御弁のスプール位置に関わらず略同一の通路面積を有する第1の内部通路とセンターバイパス通路RCとによってパラレル通路を形成することができる。ここで、油圧回路20は、方向制御弁Vの第1の内部通路RV1を経由して、入口ポートPIprtから供給された圧油Opを出口ポートPOprtに流出し、センターバイパス通路RCに流出する。また、油圧回路20は、センターバイパス通路RCの最下流側に配置したブリードオフ弁Vboを用いて、ブリードオフ制御(統一ブリードオフ制御)を実施する。
【0045】
これにより、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20は、複数の方向制御弁V(方向制御弁グループGv)のスプールに複数のブリード開口を夫々設ける必要がないため、センターバイパス通路RCの形状を単純にすることができる。また、本実施形態に係る油圧回路20は、センターバイパス通路RCの曲がり部等を少なくすることができるので、センターバイパス通路RCを通過する圧油の圧力損失を低減することができる。
【0046】
また、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20は、センターバイパス通路RCと第1の内部通路RV1とによって形成される通路をパラレル通路として機能させること、及び、センターバイパス通路RC(パラレル通路)の形状を単純にすることでセンターバイパス通路RCを通過する圧油の圧力損失を低減することができるので、合流回路RJによって合流された圧油を所望の方向制御弁に供給するための通路として、上記センターバイパス通路RC(パラレル通路)を用いることができる。
【0047】
(圧油を合流する動作)
本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20は、合流回路RJ及びブリードオフ弁Vbo(
図2)を用いて、一のセンターバイパス通路に供給された圧油を他のセンターバイパス通路に合流させる。ここで、本実施形態に係る合流回路RJは、合流方向制御弁Vjを備える。また、本実施形態に係る合流回路RJは、合流方向制御弁Vjのスプールの位置(流入方向)に対応した逆止弁Vjcを更に備える。
【0048】
なお、本発明に用いることができる合流回路RJは、
図2に示すブリードオフ弁Vboの上流側に配置される合流回路に限定されるものではない。すなわち、本発明に用いることができる合流回路RJは、油圧ポンプPとブリードオフ弁Vbo(カット弁)との間隙のセンターバイパス通路RCの任意の位置(方向制御弁グループの任意の方向制御弁の上流側又は下流側)に配置することができる。
【0049】
本発明に用いることができる合流回路RJは、例えば、
図5(b)に示すような予備用方向制御弁Vopの直上流側のセンターバイパス通路RC1とバケット用方向制御弁Vbkの直上流側のセンターバイパス通路RC2との間に、あるいは、
図5(c)に示すような予備用方向制御弁Vopの直下流側のセンターバイパス通路RC1とバケット用方向制御弁Vbkの直下流側のセンターバイパス通路RC2との間に、合流回路RJを配置してもよい。このとき、合流回路RJは、
図2のような油圧回路の場合ならば、予備用方向制御弁Vopと旋回用方向制御弁Vswの位置を入れ替えて、予備用方向制御弁Vopとバケット用方向制御弁Vbkとが隣接するような位置関係にするとよい。
【0050】
本実施形態に係る合流回路RJは、合流方向制御弁Vjのスプールの位置を変化することによって、合流回路RJ内の圧油の流入方向を制御する。また、合流回路RJは、パイロットポンプPp(
図2)を用いて生成した圧油を合流方向制御弁Vjのパイロットポート(制御ポート)に入力することによって、合流方向制御弁Vjのスプールの位置を制御する。更に、合流回路RJは、ブリードオフ弁Vboの開口面積を小さくすることで上昇した一のセンターバイパス通路内の圧油の圧力を用いて、他のセンターバイパス通路に圧油を供給する(合流させる)。
【0051】
具体的には、
図5(a)に示すように、本実施形態に係る合流回路RJは、建設機械100に入力された操作情報に基づいて生成されたパイロット圧(パイロットポンプPpの吐出圧)A、Bを合流方向制御弁Vjの制御ポートに夫々入力する。このとき、合流方向制御弁Vjは、パイロット圧A、B及びバネSpra、Sprbの負勢力に応じて、スプールの位置を(例えば図中の位置PA又は位置PBに)変位する。これにより、合流方向制御弁Vjは、合流回路RJ内の圧油の流入方向を制御する。また、本実施形態に係る合流回路RJは、逆止弁Vjcを用いて、流入方向に対して逆方向の圧油の流れを防止する。
【0052】
合流回路RJは、例えばセンターバイパス通路RC1に供給された圧油をセンターバイパス通路RC2に合流させるために、ブリードオフ弁Vbo1の開口面積を小さくすることでセンターバイパス通路RC1内の圧油の圧力を上昇させること、及び、合流方向制御弁Vjのスプールを位置PAに変位(Ra)させることができる。また、合流回路RJは、例えばセンターバイパス通路RC2に供給された圧油をセンターバイパス通路RC1に合流させるために、ブリードオフ弁Vbo2の開口面積を小さくすることでセンターバイパス通路RC2内の圧油の圧力を上昇させること、及び、合流方向制御弁Vjのスプールを位置PBに変位(Rb)させることができる。
【0053】
なお、合流方向制御弁Vjのスプールの位置を切り換える方法は、上記方向(加圧方法)に限定されるものではない。合流方向制御弁Vjは、例えばソレノイド弁(ON/OFF切換)又はその他の(油圧パイロットの)機械的機構の組合せを用いてもよい。また、合流方向制御弁Vjのスプールの位置は、上記位置(位置PA及び位置PB)に限定されるものではない。合流方向制御弁Vjは、例えばレバー操作量と無関係で比例的に切り換えて合流ショックをなくす構成でもよい。更に、逆止弁Vjcは、合流方向制御弁Vjに内蔵されない構成でもよい。
【0054】
(建設機械の制御装置)
建設機械100の制御装置30は、本実施形態では、建設機械100全体の動作を制御するために搭載されているコントローラ30C(
図2)を用いる。ここで、コントローラ30C(制御装置30)は、建設機械100の各構成に動作を指示し、各構成の動作を制御する装置である。コントローラ30C(制御装置30)は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ(ROM、RAMなど)等を含む演算処理装置で構成することができる。
【0055】
コントローラ30Cは、
図2に示すように、本実施形態では、建設機械100に入力された操作情報(操作レバーの操作量、操作方向など)に基づいて、レギュレータR(R1、R2)の動作を制御する。これにより、油圧ポンプP(P1、P2)は、レギュレータRによって、その吐出量を制御される。
【0056】
また、コントローラ30Cは、建設機械100に入力された操作情報に基づいて、リモコン弁等を用いて、リモコン圧を生成する。次いで、コントローラ30Cは、リモコン回路(不図示)を用いて、生成したリモコン圧を方向制御弁(Vt1等)に入力する。これにより、方向制御弁は、入力されたリモコン圧を用いて、スプール位置を切り換え、油圧アクチュエータに供給する作動油を制御することができる。
【0057】
更に、コントローラ30Cは、本発明の実施形態では、建設機械100に入力された情報に基づいて、合流方向制御弁Vj及びブリードオフ弁Vboを制御する。コントローラ30Cは、例えば予め決められた特定の操作状況に応じて、合流方向制御弁Vj及びブリードオフ弁Vboに入力するパイロットポンプPpの吐出圧を制御することにより、合流方向制御弁Vjのスプールの位置及びブリードオフ弁Vboの開度(開口面積)を制御する。これにより、コントローラ30Cは、合流回路RJの流入方向及び流入する圧油の圧力を制御することができる。
【0058】
コントローラ30Cの制御を以下に例示する。
【0059】
(1)コントローラ30C(制御装置30)は、例えば予備優先時に、動作を優先させる油圧アクチュエータに対応する方向制御弁(例えば
図2の予備用方向制御弁Vop)が配置されたセンターバイパス通路(例えば
図2のRC1)に他のセンターバイパス通路(例えば
図2のRC2)に供給された圧油を合流させることができる。これにより、コントローラ30Cは、予備用の油圧アクチュエータの動作を優先させることができる。
【0060】
(2)コントローラ30C(制御装置30)は、例えば複合動作時に、動作を優先させる油圧アクチュエータ(例えば
図1のバケット13)に対応する方向制御弁(
図2のVbk)が配置されたセンターバイパス通路(
図2のRC2)に他のセンターバイパス通路(
図2のRC1)に供給された圧油を合流させることができる。これにより、コントローラ30Cは、任意の油圧アクチュエータ(バケット13)の動作を優先させること(動作の速度を増加すること)ができる。
【0061】
以上により、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20又はその制御装置30によれば、方向制御弁でブリードオフ制御をしないで、方向制御弁の第1の内部通路を用いて、油圧ポンプPから吐出された圧油をセンターバイパス通路RCの下流に供給することができるので、センターバイパス通路RCを通過する圧油の圧力損失を低減することができる。また、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20又はその制御装置30によれば、合流回路を形成する場合に、カット弁(ブリードオフ弁)の上流側に出力ポート及びセンターバイパス通路RCに合流する側に入力ポート並びに出力ポートと入力ポートとを連通する外部通路を設ける必要がなく、油圧回路を小型化することができ、その製作を容易化することができる。更に、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20又はその制御装置30によれば、合流方向制御弁Vj及びブリードオフ弁Vboを用いて合流回路RJ内の圧油の流入方向を制御することができるので、複数のセンターバイパス通路RCにおいて双方向に圧油を合流させることができる。
【0062】
また、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20又はその制御装置30によれば、センターバイパス通路RCの下流に配置したブリードオフ弁Vboを用いて、方向制御弁でブリードオフ制御をしないで(各方向制御弁にブリード開口を備えないで)、センターバイパス通路RCの下流でブリードオフ制御をすることができる。これにより、本実施形態に係る油圧回路20又はその制御装置30によれば、複数の方向制御弁で夫々ブリードオフ制御する場合と比較して、方向制御弁の内部通路(例えば第1の内部通路)の開口面積を大きくすることができるので、センターバイパス通路RCを通過する圧油の圧力損失を低減することができる。また、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20又はその制御装置30によれば、方向制御弁にブリード開口を備えないので、方向制御弁の長手方向の大きさを小さくすることができる。これにより、本実施形態に係る油圧回路20又はその制御装置30によれば、方向制御弁にブリード開口を備える場合と比較して、方向制御弁を小型化することができ、その製作を容易化することができる。
【0063】
更に、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20又はその制御装置30によれば、センターバイパス通路RCに複数の方向制御弁Vを直列に配置することによって、センターバイパス通路RCと第1の内部通路RV1(方向制御弁V)とで形成される通路をパラレル通路として機能させることができる。また、本実施形態に係る油圧回路20又はその制御装置30によれば、センターバイパス通路RCと複数の第1の内部通路RV1とで形成される通路をパラレル通路として機能させることができるので、パラレル通路を別に設ける必要がなく、方向制御弁Vを小型化することができる。更に、本実施形態に係る油圧回路20又はその制御装置30によれば、ブリードオフ弁Vboを合流回路RJのためのカット弁(中立カット弁)として機能させることができるので、新たにカット弁を備える必要がない。これにより、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20又はその制御装置30は、建設機械100全体の小型化、製作容易化及び低コスト化について有利な効果を有する。
【0064】
なお、
図6に、建設機械の油圧回路のその他の例を示す。
図6の油圧回路では、ブリードオフ制御を実施するために、方向制御弁(
図6のVa1等)のスプールにブリード開口(例えば
図7のSbo)を夫々設けることができる。すなわち、
図6の油圧回路を備える建設機械は、このブリード開口の開口面積を変化させることによって、ブリードオフ制御を行うことができる。
【0065】
ここで、
図6の油圧回路を備える建設機械では、方向制御弁のスプールに夫々ブリード開口を設けているため、本発明に係る油圧回路(
図4)の場合と比較して、センターバイパス通路(
図8のRCm)を通過する圧油の圧力損失が増加する場合がある。
【0066】
更に、
図6の油圧回路では、合流回路を形成するために、カット弁Vct及び出力ポートPoutを設けて圧油を流出させ、入力ポートPinを更に設けて圧油を流入(合流)させる。このため、油圧回路の通路(例えば出力ポートPoutと入力ポートPinとを連通する通路)が複雑になり、圧油の圧力損失が増加する場合がある。また、
図6の油圧回路では、双方向に圧油を合流させることを可能にするためには、もう1組のカット弁Vct及び出力ポートPout等を設ける必要がある。すなわち、カット弁Vct及び出力ポートPout等により、
図6の場合では、本発明に係る油圧回路(
図4)の場合と比較して、油圧回路が大型化する場合がある。
【0067】
以上、建設機械の油圧回路又はその制御装置を含む本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではない。また、本発明は、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更することが可能である。