特許第6763104号(P6763104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763104
(24)【登録日】2020年9月11日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】簡易構造体
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20200917BHJP
【FI】
   E04H1/12 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-116045(P2020-116045)
(22)【出願日】2020年7月6日
(62)【分割の表示】特願2016-244996(P2016-244996)の分割
【原出願日】2016年12月19日
(65)【公開番号】特開2020-159193(P2020-159193A)
(43)【公開日】2020年10月1日
【審査請求日】2020年7月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】増山 新作
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−1852(JP,A)
【文献】 特開2015−155647(JP,A)
【文献】 特開2003−96998(JP,A)
【文献】 特開2013−124516(JP,A)
【文献】 特開2014−208971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H1/12、
E04B1/343、1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
簡易建物とカバー材とを備え、簡易建物は外壁から離して設置してあり、カバー材は、簡易建物の屋根に取付けた屋根取付材と、屋根取付材に取付けたパッキン取付材と、パッキン取付材に取付けたパッキンとを有し、屋根取付材は、外壁と反対側の端部に設けた取付片と、取付片よりも外壁側に設けたパッキン取付材取付部を有し、パッキン取付材取付部は、外壁と反対側に開口する係合溝とねじ止め部を有し、取付片を簡易建物の屋根の上面に当接して上方からのねじで固定してあり、パッキン取付材は、屋根取付材の係合溝に係合してねじ止め部に上下方向のねじで取付けてあり、パッキンは、先端部を外壁に当接して外壁との隙間を塞いでいることを特徴とする簡易構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外部に設置されるサンルーム等の簡易構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
サンルームやテラス等、建物の外壁に沿わせて設置される簡易建物は、屋根の外壁側の端部を外壁に当接し、その上縁部に全長に亘ってシール材を充填して外壁とシールしている(例えば、非特許文献1参照。)。このシール材が長い年月のうちに劣化してひび割れが生じたりすると、雨水が浸入するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三協立山株式会社 三協アルミ社発行の施工要領書「ガーデンルーム ハピーナ 施工要領書」、2013年3月、p.46
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、外壁との間から雨が入るのを防止できるとともに意匠性を向上させることのできる簡易構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による簡易構造体は、簡易建物とカバー材とを備え、簡易建物は外壁から離して設置してあり、カバー材は、簡易建物の屋根に取付けた屋根取付材と、屋根取付材に取付けたパッキン取付材と、パッキン取付材に取付けたパッキンとを有し、屋根取付材は、外壁と反対側の端部に設けた取付片と、取付片よりも外壁側に設けたパッキン取付材取付部を有し、パッキン取付材取付部は、外壁と反対側に開口する係合溝とねじ止め部を有し、取付片を簡易建物の屋根の上面に当接して上方からのねじで固定してあり、パッキン取付材は、屋根取付材の係合溝に係合してねじ止め部に上下方向のねじで取付けてあり、パッキンは、先端部を外壁に当接して外壁との隙間を塞いでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による簡易構造体は、簡易建物とカバー材とを備え、簡易建物は外壁から離して設置してあり、カバー材は、簡易建物の屋根に取付けた屋根取付材と、屋根取付材に取付けたパッキン取付材と、パッキン取付材に取付けたパッキンとを有し、屋根取付材は、外壁と反対側の端部に設けた取付片と、取付片よりも外壁側に設けたパッキン取付材取付部を有し、パッキン取付材取付部は、外壁と反対側に開口する係合溝とねじ止め部を有し、取付片を簡易建物の屋根の上面に当接して上方からのねじで固定してあり、パッキン取付材は、屋根取付材の係合溝に係合してねじ止め部に上下方向のねじで取付けてあり、パッキンは、先端部を外壁に当接して外壁との隙間を塞いでいるので、外壁との間から雨が入るのを防止できるとともに、下から見て屋根取付材とパッキン取付材が見えないので意匠性を向上できる。また、パッキン取付材を外壁と反対側に開口する係合溝に係合することで、パッキン取付材を上下方向に位置決めして取付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態に係る簡易構造体の外壁側の上部を拡大して示す縦断面図である。
図2】同簡易構造体の縦断面図である。
図3】同簡易構造体の横断面図である。
図4】同簡易構造体の一部を拡大して示す正面図である。
図5】同簡易構造体の斜視図である。
図6】同簡易構造体の分解斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る簡易構造体の外壁側の上部を拡大して示す縦断面図である。
図8】同簡易構造体の一部を拡大して示す正面図である。
図9】同簡易構造体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜6は、本発明の簡易構造体の第1実施形態を示している。本簡易構造体は、図2,3,6に示すように、住宅等の建物の外壁3の屋外側に外壁3から離して設置した簡易建物1(サンルーム)と、簡易建物1と外壁3との隙間を塞ぐカバー材2とを備える。簡易建物1は、外壁3から離して設置した独立フレーム7と、独立フレーム7に取付けた簡易建物本体63とで構成される。カバー材2は、簡易建物本体63に取付けてあって、独立フレーム7の外周を覆っている。外壁3には掃出し窓8が取付けてあって(図2参照)、建物内から簡易建物1へと出入りできるようになっている。
【0009】
独立フレーム7は、図6に示すように、左右一対の柱9,9と、左右の柱9,9の上端部に架設した桁10とで門型に形成してある。左右の柱9,9は、図2に示すように、地面Gに開けた穴11に下端部を挿入し、まわりをコンクリート12で固めてしっかりと自立させてある。桁10は、図1に示すように、上面に前側に向かって下り勾配で傾斜した傾斜面13を有し、傾斜面13の後側に水平面14を有している。桁10の左右両端部には、図4に示すように、蓋15を取付けて小口を塞いである。
【0010】
簡易建物本体63は、図5,6に示すように、前面部16と左右の側面部17,17と屋根部18と床部19とを備える公知のサンルームである。前面部16と側面部17,17には、図示しない折戸等の建具が取付けられ、屋根部18には図示しない屋根パネルが取付けられ、床部19には図示しない床板が取付けられる。簡易建物本体63は、建物側に設けられる左右の躯体方立20,20と垂木掛け21を、独立フレーム7の柱9,9と桁10の前面に当接してねじ22で固定して、独立フレーム7に取付けてある。
【0011】
カバー材2は、図5,6に示すように、左右の縦部材23,23と横部材24とを備える。横部材24は、図1に示すように、横カバー本体25と、横カバー本体25の上面の後端部に取付けたパッキン取付材26と、横カバー本体25の後端部に取付けた内周側パッキン27と、パッキン取付材26に取付けた外周側パッキン(止水部材)5とからなる。横カバー本体25は、アルミ押出形材で形成したものであり、前方に向けて下り勾配で傾斜した上面壁28と、垂直な前面壁29と、前面壁29の下端より前方に突出する取付片30と、上面壁28の後端部に設けたパッキン取付溝31と、パッキン取付材26の係合溝32を有し、取付片30を簡易建物本体63の垂木掛け21の上面に当接し、ねじ33で固定してある。横カバー本体25の前面壁29と桁10の前面との間、横カバー本体25の上面壁28と桁10の上面との間には、ライナー34がそれぞれ配置してあり、横カバー本体25と桁10との間に空間35が設けてある。
パッキン取付材26は、アルミ押出形材で形成したものであり、横カバー本体25の上面壁28に沿う取付片36と、立ち上がり部37と、立ち上がり部37の後方に設けたパッキン取付溝31を有しており、取付片36の後端部を横カバー本体25の係合溝32に係合させ、取付片36を横カバー本体25の上面壁28にねじ38で固定して取付けてある。
内周側パッキン27は、ゴムで蛇腹状に形成され、見込方向に伸縮自在となっており、独立フレーム7側の端部に形成した嵌合部39を横カバー本体25のパッキン取付溝31に嵌め込んで取付けてある。内周側パッキン27は、外壁3と横カバー本体25との隙間に圧縮した状態で保持され、外壁3側の端部が外壁3に当接している。内周側パッキン27は、外壁側端部上面側にシールポケット40が形成してあり、シールポケット40にシール材4を充填することで外壁3とシールしてある。さらに、内周側パッキン27の外壁側端部下面側には、軟質のヒレ片41が外壁3側に向けて傾斜して設けられ、当該ヒレ片41が変形して外壁3に接している。
外周側パッキン5は、内周側パッキン27と同様に、ゴムで蛇腹状に形成され、見込方向に伸縮自在となっており、独立フレーム7側の端部に形成した嵌合部39をパッキン取付材26のパッキン取付溝31に嵌め込んで取付けてあり、外壁3側の端部が外壁3に当接している。外周側パッキン5は、外壁3と接するヒレ片41を上面側に設けている。また外周側パッキン5は、上面がフラットな傾斜面としてあり、上面に雨水が溜まらないようにしてある。
【0012】
このようにカバー材2の横部材24は、外壁3との隙間を塞ぐパッキン5,27を二重に設けてあり、内周側パッキン27を外壁3とシール材4でシールし、外周側パッキン(止水部材)5がそのシール部の外周側を覆っているので、シール材4の劣化を防ぐことができる。さらに、仮に外周側パッキン5を超えて雨水が浸入しても、内周側パッキン27で止水できるので、雨水の浸入を確実に防止できる。また、一端部を簡易建物1に固定し、他端部を伸縮自在な蛇腹状のパッキン5,27で外壁3に当接したことで、簡易建物1と外壁3との相対変位を吸収することができる。
【0013】
カバー材2の横部材24は、図4に示すように、左右両端部が桁10よりも側方に張り出している。横カバー本体25の左右両端部、パッキン取付材26の左右両端部には、板状の蓋42a,42bがそれぞれ取付けてあり、これにより側方からカバー内に雨水が浸入するのを防いでいる。
【0014】
カバー材2の縦部材23は、図3に示すように、アルミ押出形材よりなる縦カバー本体43と、縦カバー本体43の後端部に取付けたパッキン44とからなる。縦カバー本体43は、柱9の外側面を覆う側面部45と、柱9の前方に回り込む回り込み部46を有し、柱9の外周を覆っている。縦カバー本体43の側面部45と柱9の外側面との間にはライナー34が配置され、縦カバー本体43と柱9との間に空間35が設けてある。回り込み部46の先端部には係合部47a,47bが設けてあり、この係合部47a,47bを簡易建物本体63の躯体方立20に設けた受け部48に係合することで、縦カバー本体43が躯体方立20に取付けられている。側面部45の後端部には、パッキン取付溝31が設けてある。
パッキン44は、ゴムで蛇腹状に形成され、見込方向に伸縮自在となっており、独立フレーム7側の端部に形成した嵌合部39を縦カバー本体43のパッキン取付溝31に嵌め込んで取付けてある。パッキン44は、外壁3と縦カバー本体43との隙間に圧縮した状態で保持され、外壁3側の端部が外壁3に当接している。パッキン44は、外壁側端部外周側にシールポケット40が形成してあり、シールポケット40にシール材49を充填することで外壁3とシールしてある。さらに、パッキン44の外壁側端部内周側には、軟質のヒレ片41が外壁3側に向けて傾斜して設けられ、当該ヒレ片41が変形して外壁3に接している。
【0015】
カバー材2の縦部材23は、図2に示すように、下端が地面Gに当接している。縦部材23の上端部は、図1,4に示すように、横カバー本体25の桁10から側方に張り出した部分の内側に挿入されている。これにより、カバー材2の横部材24と縦部材23の間から雨水が浸入することがない。
【0016】
次に、本簡易構造体の施工手順を説明する。まず、独立フレーム7の柱9,9を地面Gに埋め込んで立設し、柱9,9上に桁10を架設する。次に、独立フレーム7に取付けて簡易建物本体63を設置する。次に、カバー材2の縦部材23,23を取付ける。次に、カバー材2の縦部材23,23の上端に掛け渡すようにしてカバー材2の横部材24を取付ける。
【0017】
以上に述べたように本簡易構造体は、カバー材2の横部材24にパッキン5,27が内周側と外周側に二重に設けてあり、内周側パッキン27を外壁3とシール材4でシールし、外周側パッキン(止水部材)5がそのシール材4によるシール部の外周側を覆っていることで、シール材4の劣化を防止できる。また、簡易建物1は外壁3から離して設置してあるので、外壁3に凹凸があっても柔軟に対応でき、簡易建物1にカバー材2を取付けて外壁3との隙間を塞いであるので、簡易建物1と外壁3の間から雨が入ることもない。カバー材2は、外壁3と簡易建物1との相対変位を吸収可能に設けてあるので、外壁3と簡易建物1との間に相対変位が生じたときにその変位をカバー材2で吸収し、隙間が生ずるのを防止できる。
本簡易構造体は、簡易建物1が外壁3から離して設置した独立フレーム7に簡易建物本体63を取付けて構成され、カバー材2は一端部を簡易建物1に取付け、他端部をパッキン5,27,44で外壁3に圧接したので、外壁3に全く孔を開けることなく設置できる。外壁3に孔を開けると躯体内部に雨水が浸入するおそれがあるが、本簡易構造体は外壁3に孔を開けないので、躯体内に雨水が浸入するおそれがない。また、外壁3に孔を開けた場合には、ハウスメーカーによる新築住宅に対する10年間の保証が無効になるおそれがあるが、本簡易構造体は外壁3に孔を開けないで設置できるので、ハウスメーカーによる住宅に対する保障が無効になることがなく、ハウスメーカーと建材メーカーの保証の棲み分けが明確にできる。
さらに本簡易構造体は、独立フレーム7がカバー材2で覆われているため、独立フレーム7が外部に露出して外観を損ねたりすることがない。さらに、独立フレーム7がカバー材2で覆われており、尚且つ独立フレーム7とカバー材2との間に空間35を設けてあることで、断熱性能が優れている。
【0018】
上記実施形態では、カバー材2の一端部を簡易建物本体63に取付けていたが、カバー材2の一端部を独立フレーム7に取付けることもできる。また、独立フレーム7を有しないものであってもよい。
また、カバー材2の縦部材23にも、横部材24と同様に、シール部(シール材49)の外周側を覆う止水部材(外周側パッキン5)を設けることができる。
【0019】
図7〜9は、本発明の簡易構造体の第2実施形態を示している。本実施形態では、簡易建物1はテラスとなっており、図9に示すように、外壁3に取付けた垂木掛け50と、左右の柱51,51と、左右の柱51,51上に架設した桁52と、垂木掛け50と桁52間に架設した複数の垂木53,53,…と、垂木53,53,…間に取付けた中骨54と、垂木53,53,…間に取付けた屋根パネル55,55,…を有している。
垂木掛け50は、図7に示すように、外壁3に当接してボルト56で固定してある。垂木掛け50の上縁部にはシールポケット57が形成してあり、シールポケット57にシール材4を充填することで外壁3とシールしてある。
【0020】
垂木掛け50の上には、図7に示すように、カバー材2が取付けてある。カバー材2は、アルミ形材よりなる取付材58と、ゴム製のパッキン(止水部材)6とで構成してある。取付材58は、垂木掛け50の上面に当接してねじ59で固定される取付片60と、取付片60から斜め前方に向けて立ち上がる立ち上がり部61と、立ち上がり部61の上方に上向きに開口して設けたパッキン取付溝31を有している。
パッキン6は、ゴムで蛇腹状に形成され、見込方向に伸縮自在となっており、前端部に形成した嵌合部39を取付材58のパッキン取付溝31に上方から嵌め込んで取付けてあり、外壁3側の端部が外壁3に当接している。パッキン6は、外壁3と接するヒレ片41を上面側に設けている。パッキン6は、上面がフラットな傾斜面としてあり、上面に雨水が溜まらないようにしてある。
カバー材2の左右両端部には、図8に示すように、板状の蓋62を取付けて開口部を塞いである。
【0021】
本実施形態の簡易構造体も、簡易建物1にカバー材2が取付けてあり、カバー材2に外壁3とのシール部(シール材4)の外周側を覆うパッキン(止水部材)6を有しているので、シール材4の劣化を防止できる。
【0022】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。外壁は、タイル、レンガ、窯業系や金属系のサイディング、ALC等、いかなる種類のものであってもよい。カバー材の材質、形状は、適宜変更することができる。カバー材は、一端部を独立フレームに取付けることもできる。本発明の簡易構造体は、独立フレームを有しないものであってもよい。簡易建物の構造は任意であり、ガーデンルームやサイクルポート等であってもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 簡易建物
2 カバー材
3 外壁
4 シール材
5 外周側パッキン(止水部材)
6 パッキン(止水部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9