【実施例1】
【0014】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、画像形成装置本体の一例としてのプリンタ本体U1の前面に開閉部材の一例としての前カバーU1aが支持されている。前カバーU1aは、下端を中心として開閉可能に支持されている。前カバーU1aは、媒体の一例としての記録シートSを挿入、収容する場合に、プリンタ本体U1の前面を開閉可能である。
また、プリンタUの上面には、排出部の一例としての排出トレイTRhが形成されている。さらに、プリンタ本体U1の後面には、開閉部材の一例としての後カバーU1bが回転可能に支持されている。後カバーU1bは、実線で示す閉塞位置と、破線で示す開放位置との間で回転可能に支持されている。開閉部材の一例としての後カバーU1bは、紙詰まりや内部の点検等をする場合に、プリンタ本体U1の後面を開放可能である。
【0015】
実施例1のプリンタUは、制御部の一例としてのコントローラCを有する。コントローラCには、画像処理部IPSや、潜像形成回路の一例としてのレーザ駆動回路DL、電源回路Eが電気的に接続されている。したがって、コントローラCは、画像処理部IPS等に制御信号が出力可能である。
プリンタUの後部には、回転駆動する像保持体の一例としての感光体PRが支持されている。回転部材の一例としての感光体PRの周囲には、感光体PRの回転方向に沿って、帯電ロールCR、潜像形成装置LH、現像装置G、転写部材の一例としての転写ロールTr、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLが配置されている。
【0016】
図1において、前記帯電ロールCRには、帯電器用の清掃器の一例としての帯電ロールクリーナCRcが対向、接触して配置されている。
実施例1の潜像形成装置LHは、左右方向に沿って、予め設定された間隔で潜像書込素子の一例としてのLED:Light Emitting Diodeが線状に配置された装置、いわゆるLEDヘッドにより構成されている。
現像装置Gは、内部に現像剤が収容される現像容器Vを有する。前記現像容器V内には、現像剤保持体の一例としての現像ロールGaが、感光体PRに対向して配置されている。現像容器V内には、現像ロールGaから遠い順に、一対の循環搬送部材Gb,Gcと、供給部材Gdが配置されている。また、現像容器Vには、層厚規制部材Geが現像ロールGaに対向して配置されている。
【0017】
前記現像容器Vの前側上面には、補給部の一例としての現像剤補給口V1が形成されている。現像剤補給口V1には、現像剤搬送路の一例としての現像剤補給路V3が連結されている。前記現像剤補給路V3は前方に延びる筒状に形成されている。現像剤補給路V3の内部には、現像剤搬送部材の一例としての補給オーガV4が回転可能に支持されている。前記現像剤補給路V3の前端には、着脱部の一例としてのカートリッジホルダKHが連結されている。カートリッジホルダKHには、現像剤の収容容器の一例としてのトナーカートリッジTCが着脱可能に支持されている。カートリッジホルダKHには、図示しない流入口が形成されており、トナーカートリッジTCから現像剤が流入可能に構成されている。
【0018】
図1において、プリンタUの下部には、媒体の収容部の一例としての給紙トレイTR1が配置されている。給紙トレイTR1の後部には、媒体取り出し部材の一例としてのピックアップロールRpが配置されている。ピックアップロールRpの後方には、媒体さばき部材の一例としてのさばきロールRsが配置されている。さばきロールRsの上方には、時期調節部材の一例としてのレジロールRrが配置されている。
感光体PRと転写ロールTrとが対向する転写領域Q4の上方には、定着装置Fが配置されている。定着装置Fは定着部材の一例としての一対の定着ロールFh,Fpを有し、前記一対の定着ロールFh,Fpの圧接領域によって定着領域Q6が形成される。
定着装置Fの上方には、媒体の案内部材の一例としてのシートガイドSG1,SG2が配置されている。シートガイドSG1,SG2の前方には、排出部材の一例としての排出ロールR1が配置されている。
【0019】
(画像形成動作の説明)
プリンタUのコントローラCには、外部の情報送信装置の一例としてのホストコンピュータ等から印刷情報が送信される。コントローラCが印刷情報を受信すると画像形成動作が開始される。コントローラCは、印刷情報を画像処理部IPSに出力する。画像処理部IPSは、印刷情報を潜像形成用の画像情報に変換して、予め設定された時期、すなわち、タイミングで、像書込回路の一例としてのレーザ駆動回路DLに出力する。レーザ駆動回路DLは、入力された画像情報に応じて駆動信号を潜像形成装置LHに出力する。
【0020】
画像形成動作が開始されると感光体PRが回転を開始する。
帯電ロールCRには、電源回路Eから帯電電圧が印加される。帯電ロールCRと感光体PRとが対向する帯電領域Q1において、帯電ロールCRは感光体PRの表面を帯電させる。
帯電ロールクリーナCRcは、帯電ロールCRの表面を清掃する。
潜像形成装置LHは、書き込み領域Q2において、感光体PRの表面に、画像情報に応じた静電潜像を形成する。
【0021】
現像装置Gでは、一対の循環搬送部材Gb,Gcが、現像容器Vの内部の現像剤を撹拌しながら循環搬送する。供給部材Gdは、循環搬送部材Gb,Gcで撹拌された現像剤を現像ロールGaに搬送する。現像ロールGa表面の現像剤は、層厚規制部材Geとの対向領域を通過する際に、層厚を規制される。現像ロールGaには、電源回路Eから現像電圧が印加される。現像ロールGaと感光体PRとが対向する現像領域Q3において、感光体PRの静電潜像は、現像ロールGaの現像剤で可視像に現像される。
現像装置Gでの現像剤の消費量に応じて、補給オーガV4が駆動して、トナーカートリッジTCから現像装置Gに現像剤が補給される。
【0022】
ピックアップロールRpは、給紙トレイTR1に収容された記録シートSを送り出す。
さばきロールRsは、ピックアップロールRpが記録シートSを複数送り出した場合に、1枚づつ分離する。さばきロールRsで1枚ずつ分離された記録シートSは、レジロールRrに送られる。レジロールRrは、予め設定されたタイミングで転写領域Q4に記録シートSを搬送する。
転写ロールTrには、電源回路Eから転写電圧が印加される。転写ロールTrは、転写領域Q4を通過する記録シートSに感光体PR上のトナー像を転写する。
感光体クリーナCLは、転写領域Q4の下流側に設定された清掃領域の一例としてのクリーニング領域Q5において、感光体PR表面の残留トナーを除去する。
【0023】
転写領域Q4においてトナー像が転写された記録シートSは、トナー像が未定着の状態で定着装置Fに搬送される。
定着装置Fでは、定着ロールFh,Fpの圧接領域によって定着領域Q6が形成される。定着装置Fに搬送された記録シートSは、定着領域Q6において一対の定着ロールFh,Fpによりトナー像が定着される。
トナー像が定着された記録シートSは、シートガイドSG1,SG2によってガイドされる。
排出ロールR1は、記録シートSを、排出トレイTRhに排出する。
【0024】
(感光体クリーナCLの説明)
図2は実施例1の感光体クリーナの要部拡大図である。
図3は実施例1の感光体クリーナの要部斜視図である。
図1〜
図3において、実施例1の感光体クリーナCLは、清掃容器の一例としてのクリーナ容器1を有する。
図2、
図3において、クリーナ容器1は、下部の容器本体2と、上部の蓋部の一例としてのカバー3とを有する。
【0025】
容器本体2は、帯電ロールCRの前方に配置された箱状に形成されている。容器本体2の内部には、収容部2aが形成されている。収容部2aの後部には、後方に行くに連れて上方に傾斜する傾斜面2bが形成されている。容器本体2の左右両端には、傾斜面2bの上方に対応する位置に、第1の下案内部6が形成されている。第1の下案内部6の上面は、後方に行くに連れて下方に傾斜している。第1の下案内部6の後方には、第2の下案内部7が形成されている。第2の下案内部7の上面は、後方に行くに連れて下方に傾斜している。なお、第2の下案内部7の上面は、回収現像剤の搬送方向Yaに沿っており、第1の下案内部6の上面よりも水平に対する傾斜角が大きく形成されている。
【0026】
カバー3は、容器本体2の上面を覆う蓋状に形成されている。カバー3の後端は、クリーニング領域Q5よりも後方まで伸びている。
図3において、カバー3の後端部には、媒体の剥離部材の一例としての剥離爪9が支持されている。剥離爪9は、記録シートSの幅方向に間隔をあけて、2つ配置されている。
カバー3の左右両端には、第1の下案内部6に対向する位置に第1の上案内部11が形成されている。第1の上案内部11の下面は、第1の下案内部6の上面と平行して形成されている。第1の下案内部6と第1の上案内部11との間の空間により、第1の案内溝12が構成されている。
【0027】
また、カバー3の左右両端には、第2の下案内部7に対向する位置に第2の上案内部13が形成されている。第2の上案内部13の下面は、第2の下案内部7の上面と平行して形成されている。第2の下案内部7と第2の上案内部13との間の空間により、第2の案内溝14が構成されている。
さらに、カバー3の左右両端には、第1の下案内部6の前下方に、軸受部16が形成されている。
【0028】
図2、
図3において、容器本体2の後端上部の外面には、支持体の一例としてのブレードホルダ21が支持されている。実施例1のブレードホルダ21は、密閉部材の一例としてのシール22を介して、容器本体2に支持されている。
また、実施例1のブレードホルダ21は、板金がL字状に折り曲げられて形成されている。ブレードホルダ21は、シール22に支持される被支持部21aと、被支持部21aの上端からクリーニング領域Q5に向けて延びるホルダ本体21bとを有する。
ホルダ本体21bの後端下面には、清掃部材の一例としてのクリーニングブレード23が支持されている。クリーニングブレード23は、クリーニング領域Q5において、先端が感光体PRに接触している。実施例1のクリーニングブレード23は、弾性材料の一例としてのゴムブレードにより構成されている。
したがって、実施例1では、ホルダ本体21bやクリーニングブレード23の上面とカバー3とで囲まれた空間が、クリーニング領域Q5で回収された現像剤が搬送される搬送経路となっている。
【0029】
図2、
図3において、クリーニングブレード23の上方には、搬送部材31が配置されている。搬送部材31は、前側の撹拌部32と、後側の搬送部33とを有する。
撹拌部32は、左右方向および前後方向に延びる板状の部材が組み合わされた格子状の構成を有する。撹拌部32の前後方向の中央部には、被伝達部の一例としての回転軸S1が配置されている。回転軸S1と撹拌部32とは、接続部材S1aで接続されている。接続部材S1aは、回転軸S1の径方向に延びる部材で構成されている。すなわち、回転軸S1の回転は、クランク形状の場合と同様にして撹拌部32に伝達される。
回転軸S1の左右両端部は、軸受部16に回転可能に支持される。回転軸S1は、左右方向に延びる棒状に形成されている。回転軸S1の左端は、クリーナ容器1を貫通して外部に延びており、駆動源の一例としての図示しないモータから駆動が伝達される。
【0030】
また、撹拌部32の後端部には、第1の被案内部の一例としての第1のガイド突起32bが形成されている。第1のガイド突起32bは、撹拌部32の左右両端から外側に突出して形成されている。第1のガイド突起32bは、第1の案内溝12に嵌った状態で支持されている。したがって、第1のガイド突起32bは、第1の案内溝12に沿って移動可能に支持される。したがって、撹拌部32は、回転軸S1と第1のガイド突起32bにより支持されており、左方に行くに連れて下方に傾斜した姿勢で、クリーナ容器1内に支持される。
搬送部33は、その前端部が、撹拌部32の後端部に回転可能に支持されている。搬送部33は、前側の下流部34と、後側の上流部36とを有する。
【0031】
下流部34は、左右両端に左右一対の枠部34aを有する。なお、実施例1の下流部34は、枠部34aの内側には部材が配置されていない。下流部34の後端には、規制部の一例であって、第2の案内部の一例としての位置規制突起34bが形成されている。位置規制突起34bは、第2の案内溝14に沿って移動可能に支持されている。なお、実施例1では、位置規制突起34bの現像剤搬送方向に沿った可動範囲は、ブレードホルダ21の被支持部21aの位置を跨いで、下流側まで設定されている。
したがって、実施例1の搬送部33は、撹拌部32との連結部分と、位置規制突起34bとでクリーナ容器1内に支持される。
【0032】
上流部36は、支持部の一例としての縦枠部37と、搬送部本体の一例としての横枠部38とを有する格子状に形成されている。縦枠部37は、前後方向に延びる板状に形成されており、横枠部38は左右方向に延びる板状に形成されている。なお、実施例1では、上流部36の下面は、搬送部材31の移動時に、ホルダ本体21bやクリーニングブレード23の上面に接触しないように、間隔をあけて配置されている。
縦枠部37は、ホルダ本体21bに沿った現像剤の搬送方向Yaに対して、上流側である後方から下流側である前方に行くに連れて上下方向の幅が広くなるように構成されている。また、縦枠部37は、記録シートSの幅方向に対して、間隔をあけて複数配置されている。
【0033】
図4は実施例1の横枠部の傾斜角の説明図である。
図2〜
図4において、横枠部38は、各縦枠部37を左右方向に接続するように形成されている。横枠部38は、現像剤の搬送方向Yaに対して間隔をあけて4つ配置されている。すなわち、
図4において、実施例1では、現像剤の搬送方向Yaの上流側から順に、第1の横枠部38a、第2の横枠部38b、第3の横枠部38c、第4の横枠部38dを有する。
図4において、実施例1では、各横枠部38a〜38dの前面は、現像剤の搬送方向Yaに対して、上流側に行くに連れて、ホルダ本体21bやクリーニングブレード23に近づく方向に傾斜している。クリーニングブレード23の位置に対応して配置された第1の横枠部38aおよび第2の横枠部38bの前面は、現像剤の搬送方向Yaに対する傾斜角α1が、ホルダ本体21bに対応して配置された第3の横枠部38cおよび第4の横枠部38dの前面の傾斜角α2に対して、大きな角度に設定されている。即ち、α1>α2に設定されている。
【0034】
(感光体クリーナの機能)
図5は実施例1の搬送部材の動作の説明図であり、
図5Aは
図2と同一の状態の説明図、
図5Bは
図5Aの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図、
図5Cは
図5Bの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図、
図5Dは
図5Cの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図である。
図6は実施例1の搬送部材の動作の説明図であり、
図6Aは
図5Dの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図、
図6Bは
図6Aの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図、
図6Cは
図6Bの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図、
図6Dは
図6Cの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図である。
図7は実施例1の搬送部材の動作の説明図であり、
図7Aは
図6Dの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図、
図7Bは
図7Aの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図、
図7Cは
図7Bの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図、
図7Dは
図7Cの状態から回転軸を中心として30°回転した状態の説明図である。
【0035】
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、画像形成動作が開始されると、モータが駆動して、回転軸S1が回転する。撹拌部32は、回転軸S1と接続部材S1aで連結され且つ第1のガイド突起32bで第1の案内溝12に支持されている。したがって、回転軸S1が回転すると、
図5〜
図7に記載されているように、前端が右上方と左下方とを回る略楕円状の軌跡に沿って往復移動する。
これに伴い、搬送部33も、先端である第1の横枠部38aが、
図5A〜
図5Dに示すように、現像剤の搬送方向Yaに沿って下流側に移動した後、
図6A〜
図6Dに示すように、上方に移動しつつ現像剤の搬送方向Yaとは逆方向である上流側に移動し、
図7A〜
図7Dに示すように、右下方に移動する。したがって、搬送部33も先端が、略楕円状の軌跡に沿って往復移動する。
【0036】
したがって、実施例1の感光体クリーナCLでは、搬送部33が
図5A〜
図5Dに示す状態では、第1の横枠部38aの前面に押されて、クリーニングブレード23で感光体PRから回収された現像剤は、収容部2aに向けて搬送される。また、
図6A〜
図6Dに示す状態では、第1の横枠部38aは、クリーニングブレード23やホルダ本体21bから離間しつつ、現像剤の搬送方向Yaの上流側に移動する。したがって、第1の横枠部38aがクリーニングブレード23等から離間しない場合に比べて、
図5A〜
図5Dにおいて下流側に搬送された現像剤が、逆方向に搬送されることが低減される。そして、
図7A〜
図7Dに示すように、第1の横枠部38aは、クリーニング領域Q5の近傍まで移動して、
図5Aの状態に戻る。したがって、実施例1の感光体クリーナCLでは、クリーニングブレード23で回収された現像剤が、搬送部材31で収容部2aに搬送される。そして、収容部2aに搬送された現像剤が堆積すると、往復移動する撹拌部32で撹拌されて均される。特に、実施例1では、撹拌部32は、比較的縦長の楕円状の軌跡で往復運動する。よって、現像剤を下方に押し込んで、圧縮しながら撹拌しやすい。よって、回収された現像剤が圧縮されやすく、圧縮されない場合に比べて、回収可能な現像剤の量を増やすことが可能である。
【0037】
ここで、実施例1の感光体クリーナCLでは、横枠部38a〜38dが、現像剤の搬送方向Yaの上流側に行くに連れてホルダ本体21b等の上面側に傾斜する面(上面および下面)を有している。したがって、
図5A〜
図5Dに示すように、横枠部38a〜38dが現像剤の搬送方向Yaの上流側から下流側に向けて移動する際に、ホルダ本体21bやクリーニングブレード23の上面の現像剤は、ホルダ本体21b等の上面に押し付けられる方向の力を受ける。特許文献1に記載の構成のように、搬送経路の底面と搬送部材との間に隙間を開けた状態で、現像剤の搬送方向にしか往復移動しない構成では、隙間の現像剤が搬送されない問題がある。現像剤が搬送されずに滞留すると、経時的に現像剤が固着して、現像剤の搬送抵抗となる。搬送抵抗が大きくなっていくと、搬送部材の往復動が妨げられて、搬送不良が発生する恐れがある。
【0038】
これに対して、実施例1では、搬送経路の底面であるホルダ本体21b等の上面に現像剤を押し付ける力が作用する。したがって、押し付ける力が作用した状態で、現像剤の搬送方向Yaに搬送部33が移動すると、横枠部38a〜38dに直接接触する現像剤だけでなく、直接接触する現像剤に押されて、搬送部33とホルダ本体21b等の上面との間の現像剤も現像剤の搬送方向Yaに搬送されやすい。したがって、特許文献1に記載の技術に比べて、現像剤の搬送効率(回収効率)が向上する。よって、現像剤の滞留が低減され、現像剤の搬送不良も低減される。
【0039】
また、実施例1では、現像剤がホルダ本体21b等に向けて押し付けられる際に、現像剤が圧縮されて容積が小さくなる。したがって、実施例1の搬送部材31では、現像剤が固まり状となりやすい。粉状の現像剤のままでは、特許文献1に記載の構成では、上下左右から流れだすように移動して、現像剤の搬送効率が低下するが、実施例1のように、固まり状の現像剤であれば、横枠部38に押されて、搬送されやすい。よって、現像剤の搬送効率が向上する。
なお、特許文献2に記載の構成のように、搬送部材が針金を格子状に組んで作成された構成では、現像剤を搬送経路の底面に向けて押し付ける力を作用させることは極めて困難である。
【0040】
また、実施例1では、クリーニングブレード23に対応する横枠部38a,38bの傾斜角α1は、ホルダ本体21bに対応する横枠部38c,38dの傾斜角α2よりも大きい。仮に傾斜角α1が小さいと、現像剤をクリーニングブレード23やホルダ本体21bに押す力が強くなる。弾性材料製のクリーニングブレード23が外力を受けると、クリーニング領域Q5における圧力の値や圧力の幅方向の分布に悪影響を受ける恐れがある。すなわち、クリーニング効率が低下して、クリーニング不良が発生する恐れがある。これに対して、実施例1では、クリーニングブレード23に対応する横枠部38a,38bの傾斜角α1が、ホルダ本体21bに対応する横枠部38c,38dの傾斜角α2と同一の場合に比べて、クリーニングブレード23への悪影響が低減される。よって、クリーニング不良の発生が低減される。
【0041】
さらに、実施例1では、搬送部材31は、上流部36には、横枠部38が設けられているが、下流部34には設けられていない。したがって、上流部36に比べて、下流部34は現像剤を搬送方向Yaの下流側に搬送する能力が低い。
実施例1の搬送部材31は、往復動の軌跡が、
図6Aに示す状態から
図6B、
図6C、
図6Dを経て
図7Aに示す状態に移行する際に、搬送方向Yaに対して逆流する方向に移動する。ここで、上流部と下流部とで搬送力が同一の場合、回収現像剤の量が多くなると、搬送部材が逆流方向(−Ya)に移動する際に、現像剤の一部が逆流する場合がある。現像剤の一部が逆流すると、現像剤が下流側に搬送されなくなり、一部が滞留する状況となる。したがって、現像剤搬送方向Yaに対して、下流側に行くほど、滞留した状況が蓄積されることとなる。よって、現像剤の搬送方向Yaの下流側において、現像剤を上流から搬送する力と、逆流方向に押す力とで現像剤が凝集する恐れがある。搬送部材の途中の位置で、現像剤が凝集すると、現像剤が詰まった状況となり、現像剤の搬送不良が発生する恐れがある。
【0042】
これらに対して、実施例1では、下流部34の搬送力が上流部36に比べて低い。よって、現像剤が受ける力は、搬送方向Yaの力に比べて、逆流方向の力が小さくなる。したがって、実施例1では、上流部と下流部とで搬送力が同一の場合に比べて、現像剤の凝集が低減される。よって、現像剤の搬送不良が低減される。
特に、実施例1の搬送部材31では、逆流方向(−Ya方向)に移動する際に、上方に移動しつつ逆流方向(−Ya方向)に移動しており、上方に移動しない構成に比べて逆流がさらに低減される。
また、実施例1では、下流部34の現像剤の搬送力はゼロである。よって、現像剤が受ける逆流方向の力がゼロになっている。したがって、下流部34が搬送力を有する場合に比べて、現像剤の凝集がさらに低減される。なお、下流部34の範囲に搬送された現像剤は、上流部36で上流から送られてくる現像剤に押されて下流側に搬送される。
【0043】
また、実施例1では、
図5〜
図7に示すように、下流部34の下流端は、容器本体2の傾斜面2bの上流端よりも下流側に配置されている。特に、実施例1では、下流部34は、容器本体2の傾斜面2bの上流端を跨ぐように配置されている。よって、搬送方向Yaに対して、下流部34が傾斜面2bの上流端を跨ぐように配置されている。
したがって、下流部34の範囲に搬送された現像剤は、傾斜面2bの上流端の位置に差し掛かると、重力で傾斜面2bに向けて落下する。よって、下流部34の範囲において現像剤が詰まることが低減される。
【0044】
なお、実施例1では、搬送部材31は、撹拌部32と搬送部33とが回転可能に連結されている。特許文献1,2に記載の構成のように、搬送部材が平板状の構成では、搬送方向に沿った長さも長くなり、感光体クリーナCLの全体の大きさを小型化することが困難である。これに対して、実施例1では、撹拌部32と搬送部33とが回転可能に連結されて、屈曲した状態で支持されている。したがって、特許文献1,2に記載の構成に比べて、搬送部材31の全体の長さを短くすることが可能となり、感光体クリーナCLを小型化することができる。
【0045】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H06)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのプリンタUを例示したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、前記プリンタUは、単色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、2色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。
【0046】
(H03)前記実施例において、横枠部38の傾斜角α1,α2は、実施例に例示したようにα1>α2とすることが望ましいが、これに限定されない。例えば、α1=α2とすることも可能である。また、4つの横枠部38a〜38dについて、下流側に行くに連れて傾斜角を大きくしていくように構成する等の変更も可能である。なお、横枠部38a〜38dの数も4つに限定されず、3つ以下や5つ以上とすることも可能である。なお、縦枠部37は強度のために設けることが望ましいが、設けない構成とすることも可能である。
【0047】
(H04)前記実施例において、搬送部材31の下流部34が搬送能力を有しない構成を例示したが、これに限定されない。上流部36よりも搬送能力が小さい構成、例えば、上流部36よりも間隔の広い横枠部を下流部34に設けたり、高さの低い横枠部を設けたりすることも可能である。
(H05)前記実施例において、下流部34の下流端が傾斜面2bの上流端よりも下流側に配置する構成が望ましいが、下流部34の下流端が傾斜面2bの上流端よりも上流側の構成とすることも可能である。
【0048】
(H06)前記実施例において、横枠部38を搬送方向に対して傾斜させることが望ましいが、搬送方向に直交する構成とすることも可能である。