(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記幹管と前記利用配管とは、リング型接続、始端と末端を有する非環状の幹管に対して利用配管を接続するバス型接続、又は前記レシーバタンクを中心とするスター型接続により接続される、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のエアコンプレッサ分散制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照しながら説明する。
図1にエアコンプレッサ分散制御システム1の概略を示す。
図1に示すように、エアコンプレッサ分散制御システム1は、複数の無線装置21を含むメッシュ型の無線ネットワーク2と、圧縮空気の輸送経路となる幹管3と、複数のエアコンプレッサ4と、レシーバタンク5と、圧縮空気利用機器6と、複数の圧力センサ7と、電力計8と、制御装置9と、を備える。
【0019】
複数の無線装置21を含むメッシュ型の無線ネットワーク(以下「無線メッシュネットワーク2」ともいう)は、例えば、工場のようなローカルエリア内に配置された複数の無線装置21の任意装置間で直接通信することを可能にし、また直接電波が届かない場合においてはその間にある無線装置21が中継して相互通信を可能にする通信ネットワークである。無線装置21は、ノードとも呼ばれる。無線メッシュネットワーク2の通信プロトコルの1つの特徴は、複数のノード(無線装置21)を経由(ホップ)することで目的のノード(無線装置21)までパケットを送る、マルチホップ機能を有することにある。
したがって、距離的な理由等により無線が届きにくい場所にノード(無線装置21)を設置する場合であっても、中継用のノード(以下、「中継ノード」ともいう)を設けることで、他の無線装置21との相互通信を可能にできる。また、新たなノード(無線装置21)を追加する場合、配線工事負担が少なく、通信ネットワークを容易に拡張することができる。
さらに、中継ノードをメッシュ状に配置することにより、仮にある中継ノードに障害が発生した場合であっても、他の正常な中継ノードを介して通信を可能とすることができる。
【0020】
無線装置21は、エアコンプレッサ4、レシーバタンク5、圧縮空気利用機器6、圧力センサ7、電力計8、及び制御装置9のそれぞれ(以下、これらを総称して「端末装置」ともいう)に対応付けられ接続される。各端末装置は接続された無線装置21を介して、他の端末装置との間でデータの送受信を行うことができる。
このため、各端末装置には、各端末装置を識別するための識別情報(ID)が付されている。各端末間でデータの送受信を行う際には、送受信データには、送信側(送信元)の端末装置のID及び受信側(送信先)の端末装置のIDが付される。
また、無線装置21は、特定の端末装置に接続せず、端末装置間の通信を中継する中継ノードとして使用される。中継ノードは、通信ネットワークの構築されるエリアの形状に応じてメッシュ状に配置する。そうすることで、任意の端末装置間での無線通信を可能とするとともに、仮にある中継ノードに障害が発生した場合であっても、他の正常な中継ノードを介して通信を可能とすることができる。
なお、端末装置に接続された無線装置21は、端末装置間の通信を中継する中継ノードとしての機能も備える。すなわち、端末装置に接続された無線装置21は、当該端末装置と他の端末装置との通信を実行するとともに、他の任意の無線装置21間による通信を中継することができる。
【0021】
このように、各端末装置を無線メッシュネットワーク2により接続することで、空間的な冗長性を得ることができる。また、各端末装置を有線で接続する場合に比較して、配線工事負担が少なく、例えば、新たにエアコンプレッサ4を追加する場合等、端末装置の追加、変更等の通信ネットワークの拡張にも容易に対応することができる。
【0022】
以下、簡単のため、特に断らない限り、エアコンプレッサ4、レシーバタンク5、圧縮空気利用機器6、圧力センサ7、電力計8、及び制御装置9がそれぞれ無線装置21を介してデータを送信することを、単にエアコンプレッサ4、レシーバタンク5、圧縮空気利用機器6、圧力センサ7、電力計8、及び制御装置9がデータを送信すると記載する。
同様に、特に断らない限り、エアコンプレッサ4、レシーバタンク5、圧縮空気利用機器6、圧力センサ7、電力計8、及び制御装置9がそれぞれ無線装置21を介してデータを受信することを、単にエアコンプレッサ4、レシーバタンク5、圧縮空気利用機器6、圧力センサ7、電力計8、及び制御装置9がデータを受信すると記載する。
【0023】
圧縮空気の輸送経路となる幹管3は、外形を構成する環状配管(図示せず)と、環状配管の中間部を接続するブリッジ配管(図示せず)と、から構成される。環状配管は、円形状、楕円形状、多角形上等種々の形状を採用することができる。ブリッジ配管は、十字形状、放射状、格子状、又は網目上に接続されてもよい。
幹管3は、供給配管32を介して例えばエアコンプレッサ4、及びレシーバタンク5に接続される。供給配管32には圧縮空気の吐出及び停止を行う供給弁34が設けられる。また、幹管3は利用配管31(枝管)を介して圧縮空気利用機器6に接続され、圧縮空気を圧縮空気利用機器6に供給する。利用配管31は、一般に、圧縮空気利用機器6に対応しており、圧縮空気の吐出及び停止を行う受弁33が設けられる。
【0024】
なお、幹管3は、複数の圧縮空気利用機器6に対して圧縮空気を融通し合うことができるのであれば環状配管である必要はなく、幹管3と枝管の接続パターンは、様々なタイプが採用される。例えば、環状の幹管3に対して枝管を接続すると、リング型接続となる。始端と末端を有する非環状の幹管3に対して枝管を接続すると、バス型接続となる。幹管3に接続されたレシーバタンク5を中心として枝管を接続すると、スター型接続となる。
【0025】
エアコンプレッサ4は、外気を吸入し圧縮して吐出する。エアコンプレッサ4は、電動モータ(図示せず)と、該電動モータによって駆動されるエアコンプレッサ本体(図示せず)と、エアコンプレッサ4が吐出する圧縮空気に含まれる水蒸気を除去するドライヤ(図示せず)と、該エアコンプレッサ本体から吐出される圧縮空気を一時的に貯留する一時貯留タンク(図示せず)と、ローカル制御部40と、によって大略構成される。
【0026】
エアコンプレッサ4は、幹管3に接続するように構成される。この場合、エアコンプレッサ本体から吐出される圧縮空気は、ドライヤを経由して一時貯留タンクを介して、幹管3に吐出され、一又は複数の各種の圧縮空気利用機器6へ送られる。
【0027】
一時貯留タンクには、内部の圧力を検出する圧力センサ(「エアコンプレッサ圧力センサ41」という)が取り付けられる。また、一時貯留タンクから幹管3に圧縮空気を供給する供給配管32に流量センサ(「エアコンプレッサ流量センサ42」という)を設けることができる。
また、複数のエアコンプレッサ4からなるエアコンプレッサ群を幹管3に接続するように構成してもよい。この場合、エアコンプレッサ群から吐出される圧縮空気は、当該エアコンプレッサ群の共有するレシーバタンク5を介して、幹管3に吐出するようにしてもよい。
なお、各エアコンプレッサ4は、スクリュー式、スクロール式、ターボ式、又はレシプロ式等、その構成を特に問わない。また、各エアコンプレッサ4の吐出容量は異なってもよい。
エアコンプレッサ4は、容量制御可能に構成されてもよい。例えばエアコンプレッサ4の吸込側に設けた容量調整弁の開度を調整するように構成してもよい。また、容量制御される吸込絞り機と、容量制御されないロードアンロード機とが混在してもよい。
【0028】
各エアコンプレッサ4は、電力線(図示せず)から電力計8、配電盤(図示せず)を経て電力が供給される。電力計8は、消費した電力の値を制御装置9に送る機能を有する。配電盤はエアコンプレッサ毎に開閉器(図示せず)を備え、個々のエアコンプレッサ4への電力供給を遮断可能にするとともに漏電ブレーカとしての安全確保機能も有する。
【0029】
ローカル制御部40は、エアコンプレッサ4の起動停止や容量制御を行う。ローカル制御部40は、リモートモードとローカルモードとを備える。
リモートモードにおいては、ローカル制御部40は、制御装置9の指示に基づいて、当該エアコンプレッサ4の起動停止や容量制御を行う。
ローカルモードにおいては、例えば、エアコンプレッサ圧力センサ41の検出圧力値に基づいて、当該エアコンプレッサ4を自律制御する。例えば、エアコンプレッサ4と制御装置9との間で通信不良が発生し、エアコンプレッサ4を制御装置9によりリモート制御できなくなった場合、ローカル制御部40は、自律的にリモートモードからローカルモードに切換えることができる。ローカル制御部40は当該エアコンプレッサ圧力センサ41の検出圧力値に基づいて、当該エアコンプレッサ4を自律制御する。
こうすることで、当該エアコンプレッサ4は、引き続き運転を継続させることができる。
【0030】
[無線メッシュネットワーク2を介する通信について]
エアコンプレッサ4は、無線メッシュネットワーク2を介して、制御装置9との間でデータの送受信を行うことができる。
エアコンプレッサ4から制御装置9に送信される情報として、エアコンプレッサ4におけるセンサ情報、電力情報、異常情報、稼働情報、管理情報等を含むことができる。
ここで、センサ情報としては、例えばエアコンプレッサ圧力センサ41の検出圧力値、及びエアコンプレッサ流量センサ42を設けた場合にはエアコンプレッサ流量センサ42の検出流量値を含む。電力情報としては、例えば当該エアコンプレッサ4の消費電力情報を含む。異常情報としては、例えばサーマルトリップエラー、ドライヤーエラー等の当該エアコンプレッサ4の運転に支障をきたす情報を含む。稼働情報としては、例えば当該エアコンプレッサ4の稼働時間、オン/オフ回数の情報を含む。管理情報としては、例えば当該エアコンプレッサ4が台数制御の対象に含まれるか否かの情報(リモートモード又はローカルモード)を含む。
エアコンプレッサ4は、これらの情報を送信する際に、各エアコンプレッサ4を識別する識別情報(ID)を付与して送信する。
また、エアコンプレッサ4が制御装置9から受信する情報として、当該エアコンプレッサ4を制御するための制御情報を含むことができる。制御情報としては、例えば当該エアコンプレッサ4を起動又は停止(発停)するための台数制御コマンドを含む。なお、制御装置9は制御情報をエアコンプレッサ4に送信する場合、送信先となるエアコンプレッサ4を識別する識別情報(ID)を付与して送信する。
【0031】
レシーバタンク5は、エアコンプレッサ4から吐出された圧縮空気を収集して貯留するタンクであって、供給配管32を介して幹管3と接続され、圧縮空気利用機器6に圧縮空気を供給する。
レシーバタンク5は、例えば、幹管3における配管の太い個所に設置することができる。そうすることで、圧縮空気の負荷が増大した場合に圧縮空気のバックアップをすることができる。
レシーバタンク5には、レシーバタンク5の中に貯留される圧縮空気の圧力を検出する圧力センサ(「レシーバタンク圧力センサ51」という)が取り付けられる。また、レシーバタンク5から幹管3に圧縮空気を供給する供給配管32に流量センサ(「レシーバタンク流量センサ52」という)を設けることができる。
そうすることで、レシーバタンク5は、無線メッシュネットワーク2を介して、レシーバタンク圧力センサ51の検出圧力値、及びレシーバタンク流量センサ52を設けた場合にはレシーバタンク流量センサ52の検出流量値を制御装置9に送信することができる。
また、レシーバタンク5よりも下流の供給配管32に供給弁34(容量調整弁)を設けることができる。
【0032】
圧縮空気利用機器6は、利用配管31に接続され、エアコンプレッサ4により供給される圧縮空気を消費する。圧縮空気利用機器6としては、例えばエアスプレー、エアガン、エアシリンダ等多くの圧縮空気を利用する機器が設置される。
圧縮空気利用機器6には、予め自身の利用する圧縮空気の圧力並びに量に関する要求負荷情報が設定される。
圧縮空気利用機器6は、当該圧縮空気利用機器6の運転開始又は運転停止を指示するための入力部を備えることができる。入力部により、当該圧縮空気利用機器6の使用する圧縮空気の圧力並びに量に関する要求負荷情報が入力されるようにしてもよい。なお、入力が無い場合、予め設定された要求負荷情報がデフォルト値とされる。
各圧縮空気利用機器6は、電力線(図示せず)から電力計8、配電盤(図示せず)を経て電力が供給される。電力計8は、消費した電力の値を制御装置9に送る機能を有する。配電盤は圧縮空気利用機器6毎に開閉器(図示せず)を備え、個々の圧縮空気利用機器6への電力供給を遮断可能にするとともに漏電ブレーカとしての安全確保機能も有する。
圧縮空気利用機器6が接続される利用配管31には、管内の圧縮空気の圧力を検出する圧力センサ(「圧縮空気利用機器圧力センサ61」という)が取り付けられる。また、該利用配管31に圧縮空気の流量を検出する流量センサ(「圧縮空気利用機器流量センサ62」という)を取り付けることができる。そうすることで、圧縮空気利用機器6は、無線メッシュネットワーク2を介して、圧縮空気利用機器圧力センサ61の検出圧力値及び圧縮空気利用機器流量センサ62の検出流量値を制御装置9に送信することができる。
【0033】
圧力センサ7(41,51,61)は、前述したように、エアコンプレッサ4(一時貯留タンク)、レシーバタンク5、圧縮空気利用機器6(利用配管31)等の端末装置にそれぞれ設けることができる。端末装置に設けた圧力センサ7(41,51,61)の検出圧力値は、それぞれ、端末装置から制御装置9に送信することができる。
また、圧力センサ7は、端末装置以外の所定個所(例えば、幹管3の所定箇所)に設置することができる。この場合、圧力センサ7には、該圧力センサ7に対応付けられた無線装置21を接続することができる。こうすることで、圧力センサ7(無線装置21が接続された圧力センサ7)は、所定箇所における当該圧力センサ7の検出圧力値を制御装置9に送信することができる。
【0034】
電力計8は、前述したように、エアコンプレッサ4及び圧縮空気利用機器6に設けられ、エアコンプレッサ4の消費電力及び圧縮空気利用機器6の消費電力を測定することができる。こうすることで、エアコンプレッサ4及び圧縮空気利用機器6は、それぞれ、消費電力を制御装置9に送信することができる。
【0035】
図2に制御装置の機能ブロックを示す。
図2に示すように、制御装置9は、制御部91と記憶部92とを備える。
制御部91は、各端末装置から受信した情報に基づいて、エアコンプレッサ4、圧縮空気利用機器6、供給配管32に設けた供給弁34(容量調整弁)、利用配管31に設けた受弁33、配電盤等を制御することができる。制御部91についての詳細は後述する。
【0036】
記憶部92は、エアコンプレッサ4に関する管理情報(エアコンプレッサ管理情報920)、圧縮空気利用機器6に関する管理情報(圧縮空気利用機器管理情報921)等を記憶する。ここで、エアコンプレッサに関する管理情報は、例えば各エアコンプレッサ4の上限圧力値及び下限圧力値、各エアコンプレッサ4の起動優先順位、エアコンプレッサ群に関する情報(1つの群を構成するコンプレッサの情報)等を含む。また、圧縮空気利用機器6に関する管理情報(圧縮空気利用機器管理情報921)は、圧縮空気利用機器6の利用する圧縮空気の圧力並びに量に関する要求負荷情報を含む。
また、記憶部92は、各エアコンプレッサ4及び各圧縮空気利用機器6の位置情報を記憶する。そうすることで、制御装置9は、例えば、各圧縮空気利用機器6の近傍に配置されているエアコンプレッサ4を特定することができる。また、制御装置9は、任意のエアコンプレッサ4について当該エアコンプレッサ4の近傍に配置されているエアコンプレッサ4を特定することができる。
また、記憶部92は、エアコンプレッサ4におけるセンサ情報、電力情報、異常情報、稼働情報、レシーバタンク5のレシーバタンク圧力センサ51の検出圧力値等のセンサ情報、供給弁34(容量調整弁)の開度情報、圧縮空気利用機器6におけるセンサ情報、電力情報、異常情報、稼働情報、受弁33の開度情報等をリアルタイムに記憶することができる。
【0037】
制御部91は、幹管3に接続されたエアコンプレッサ4から、幹管3に接続された圧縮空気利用機器6への圧縮空気の供給を分散制御するために、通信部910と、稼働情報取得部911と、圧力情報取得部912と、流量情報取得部913と、消費電力情報取得部914と、制御コマンド決定部915と、起動エアコンプレッサ決定部916と、エアコンプレッサ制御部917と、を備える。
【0038】
通信部910は、制御装置9に接続された無線装置21を介して無線メッシュネットワーク2に接続される任意の無線装置21との間で相互通信を行う。
より具体的には、通信部910は、制御部91の含む機能部からのデータ送信要求を受けて、当該データの送信先(例えば、エアコンプレッサ4、レシーバタンク5、圧縮空気利用機器6、圧力センサ7、電力計8等)に接続して、送信先にデータ(例えば、制御コマンド、データ要求コマンド等)を送信する。この際、通信部910は、通信相手先と直接通信することが困難な場合、中継ノードを経由する通信ルートを算出し、算出した通信ルートを介して、送信先に当該データを送信する。送信先から、レスポンスデータ(例えば、制御コマンドに対するレスポンス、データ要求に対するレスポンス等)を受信すると、所定の機能部に受信バッファを介して、引き渡す。
【0039】
稼働情報取得部911は、通信部910を介して、エアコンプレッサ4及び圧縮空気利用機器6の稼働情報を取得する。より具体的には、稼働情報取得部911は、通信部910を介して、定期的に、エアコンプレッサ4の稼働情報及び圧縮空気利用機器6の稼働情報を取得する。ここで、エアコンプレッサ4の稼働情報としては、エアコンプレッサ4が停止状態にあるか、運転開始待ち状態(ドライヤの先行運転を待っている状態)にあるか、運転中の状態であるか、といった稼働状態に関する情報を含む。また、圧縮空気利用機器6の稼働情報としては、圧縮空気利用機器6のオン/オフ情報を含む。
稼働情報取得部911は、稼働情報を取得した時間、エアコンプレッサ4の稼働情報、及び圧縮空気利用機器6の稼働情報をテーブル形式(「稼働テーブル923」という)で記憶部92に格納する。
【0040】
圧力情報取得部912は、エアコンプレッサ圧力センサ41の検出圧力値、レシーバタンク圧力センサ51の検出圧力値、圧縮空気利用機器6の検出圧力値、及びそれ以外の所定箇所に設置された圧力センサ7の検出圧力値を取得する。より具体的には、圧力情報取得部912は、通信部910を介して、定期的に、例えば予め決められたサンプリング周期毎に、エアコンプレッサ圧力センサ41の検出圧力値、レシーバタンク圧力センサ51の検出圧力値、圧縮空気利用機器圧力センサ61の検出圧力値、及びそれ以外の所定箇所に設置された圧力センサ7の検出圧力値を取得する。
圧力情報取得部912は、取得した時間、検出先のエアコンプレッサ4、レシーバタンク5、及び圧縮空気利用機器6の識別情報、検出圧力値をテーブル形式(「圧力値テーブル924」という)で記憶部92に格納する。
【0041】
流量情報取得部913は、通信部910を介して、所定の個所に設けられた流量センサの検出流量値を取得する。より具体的には、流量情報取得部913は、通信部910を介して、定期的に、利用配管31に設けられた圧縮空気利用機器流量センサ62の検出流量値を取得する。そうすることで、圧縮空気の消費量を算出することが可能となる。
また、流量情報取得部913は、エアコンプレッサ流量センサ42が設けられている場合にはエアコンプレッサ流量センサ42の検出流量値を、レシーバタンク流量センサ52が設けられている場合にはレシーバタンク流量センサ52の検出流量値をそれぞれ取得することができる。
流量情報取得部913は、取得した時間、検出先の圧縮空気利用機器6の識別情報、検出流量値、検出先のエアコンプレッサ4の識別情報、検出流量値、検出先のレシーバタンク5の識別情報、検出流量値、をテーブル形式(「流量値テーブル925」という)で記憶部92に格納する。
【0042】
消費電力情報取得部914は、通信部910を介して、電力計8の測定するエアコンプレッサ4の消費電力を取得する。より具体的には、消費電力情報取得部914は、通信部910を介して、定期的にエアコンプレッサ4に設置された電力計8の測定した消費電力値、圧縮空気利用機器6に設置された電力計8の測定した消費電力値を取得する。
消費電力情報取得部914は、取得した時間、消費電力取得先のエアコンプレッサ4、及び圧縮空気利用機器6の識別情報、消費電力値をテーブル形式(「消費電力値テーブル926」という)で記憶部92に格納する。
【0043】
制御コマンド決定部915は、圧力情報取得部912の取得した、レシーバタンク圧力センサ51の検出圧力値に基づいて、複数のエアコンプレッサ4に対する制御コマンドを決定することができる。より具体的には、レシーバタンク圧力センサ51の検出圧力値が低下し、エアコンプレッサ4の運転台数を増加させると判断した場合、記憶部92に記憶された稼働テーブル923及び起動優先順位を参照して、現在稼働していない(停止状態)エアコンプレッサ4の中から、起動優先順位の高いエアコンプレッサ4を選択して、当該エアコンプレッサ4に対する起動コマンドを指示するように決定することができる。
なお、制御コマンド決定部915は、記憶部92に記憶されたエアコンプレッサ4の位置情報、稼働テーブル923、及び起動優先順位を参照して、当該エアコンプレッサ4と同じ群に含まれる停止状態のエアコンプレッサ4、又は当該エアコンプレッサ4の近くに配置された停止状態のエアコンプレッサ4の中から起動優先順位の高いエアコンプレッサ4を選択して当該エアコンプレッサ4に対する起動コマンドを指示するように決定するようにしてもよい。
【0044】
制御コマンド決定部915は、レシーバタンク圧力センサ51の検出圧力値が上昇し、エアコンプレッサ4の運転台数を減少させると判断した場合、記憶部92に記憶された稼働テーブル923及び起動優先順位を参照して、現在稼働している(稼働状態)エアコンプレッサ4の中から、起動優先順位の低いエアコンプレッサ4を選択して、当該エアコンプレッサ4に対する停止コマンドを指示するように決定することができる。
なお、制御コマンド決定部915は、記憶部92に記憶されたエアコンプレッサ4の位置情報及び稼働テーブル923を参照して、当該レシーバタンク5の近くに配置された稼働している(稼働状態)エアコンプレッサ4を選択して当該エアコンプレッサ4に対する停止コマンドを指示するように決定してもよい。
【0045】
また、制御コマンド決定部915は、圧力情報取得部912の取得した、エアコンプレッサ圧力センサ41の検出圧力値に基づいて、複数のエアコンプレッサ4に対する制御コマンドを決定することができる。
より具体的には、エアコンプレッサ圧力センサ41の検出圧力値が低下し、エアコンプレッサ4の運転台数を増加させると判断した場合、記憶部92に記憶されたエアコンプレッサ4の位置情報、稼働テーブル923、及び起動優先順位を参照して、当該エアコンプレッサ4と同じ群に含まれる停止状態のエアコンプレッサ4、又は当該エアコンプレッサ4の近くに配置された停止状態のエアコンプレッサ4の中から起動優先順位の高いエアコンプレッサ4を選択して当該エアコンプレッサ4に対する起動コマンドを指示するように決定することができる。
【0046】
同様に、制御コマンド決定部915は、圧力情報取得部912の取得した、所定個所に設けられた圧力センサ7の検出圧力値に基づいて、複数のエアコンプレッサ4に対する制御コマンドを決定することができる。より具体的には、例えば、所定箇所における圧力センサ7の検出圧力が低下し、エアコンプレッサ4の運転台数を増加させると判断した場合、記憶部92に記憶された稼働テーブル923及び起動優先順位を参照して、現在稼働していない(停止状態)エアコンプレッサ4の中から、起動優先順位の高いエアコンプレッサ4を選択して、当該エアコンプレッサ4に対する起動コマンドを指示するように決定することができる。
なお、制御コマンド決定部915は、記憶部92に記憶されたエアコンプレッサ4の位置情報及び稼働テーブル923を参照して、当該圧力センサ7の近くに配置された停止状態のエアコンプレッサ4を選択して当該エアコンプレッサ4に対する起動コマンドを指示するように決定するようにしてもよい。
【0047】
同様に、制御コマンド決定部915は、所定箇所における圧力センサ7の検出圧力が上昇し、エアコンプレッサ4の運転台数を減少させると判断した場合、記憶部92に記憶された稼働テーブル923及び起動優先順位を参照して、現在稼働している(稼働状態)エアコンプレッサ4の中から、起動優先順位の低いエアコンプレッサ4を選択して、当該エアコンプレッサ4に対する停止コマンドを指示するように決定することができる。
なお、制御コマンド決定部915は、記憶部92に記憶されたエアコンプレッサ4の位置情報及び稼働テーブル923を参照して、当該圧力センサ7の近くに配置された稼働している(稼働状態)エアコンプレッサ4を選択して当該エアコンプレッサ4に対する停止コマンドを指示するように決定するようにしてもよい。
【0048】
このように、本実施形態によると、検出圧力値の低下又は上昇の検出された個所の近くにあるエアコンプレッサ4に対する制御を可能とする。そうすることで、より信頼性の高い最適な台数制御を実行することができる。
【0049】
従来は、代表ポイント(例えば、幹管3の最も太い配管に設けられたレシーバタンク5)の圧力に基づいて、エアコンプレッサ4の運転台数を増やすか、減らすかを判断していたのに対して、本実施形態によると、末端のエアコンプレッサ4の圧力に基づいて判断することが可能となる。そうすることで、より信頼性の高い最適な台数制御を実行することができる。
【0050】
また、従来は、配管等の圧力損失を見越して、末端のエアコンプレッサ4の目標圧力を高めに設定しており、圧縮空気の供給量が必要な量よりも多めになり、無駄な圧縮空気を生成し、消費電力が上がる傾向があった。これに対して、本実施形態によると、末端のエアコンプレッサ4の圧力に基づいて判断することが可能となるため、末端のエアコンプレッサ4の目標圧力を高めに設定することなく、無駄な圧縮空気を生成せず、消費電力を減少させることが可能となる。
【0051】
[消費電力等に基づく制御]
制御コマンド決定部915は、消費電力情報取得部914の取得した消費電力に基づいて、複数のエアコンプレッサ4に対する制御コマンドを決定することができる。より具体的には、例えば、圧縮空気利用機器6の圧縮空気の消費量に応じて、エアコンプレッサ4の消費電力の少ないエアコンプレッサ4を優先して運転させることが可能となる。例えば、運転台数を増やす場合には、消費電力の少ないエアコンプレッサ4を優先して選択し、当該エアコンプレッサ4に対する起動コマンドを指示するように決定することができる。また、運転台数を減らす場合には、消費電力の多いエアコンプレッサ4を優先して選択し、当該エアコンプレッサ4を停止させるように決定することができる。
このように、本実施形態によると、末端のエアコンプレッサ4の消費電力に基づいて、どのエアコンプレッサ4を優先して起動させるか、また停止させるか、判断可能となるため、システム全体の消費電力を減少させることが可能となる。
【0052】
[空気流量等に基づく制御]
エアコンプレッサ流量センサ42及びレシーバタンク流量センサ52を設けた場合、各流量センサの検出流量値を取得することで、エアコンプレッサ4の負荷率を把握することが可能となる。また、圧縮空気利用機器流量センサ62の検出流量値を取得することで、圧縮空気の消費量(圧縮空気の必要負荷)を算出することが可能となる。
そうすることで、制御コマンド決定部915は、圧縮空気の消費量(圧縮空気の必要負荷)及びエアコンプレッサ4の負荷率に基づいて、エアコンプレッサ4の台数制御をすることができる。
より具体的には、圧縮空気の必要負荷に対応したエアコンプレッサ4の台数を設定しておくことで、例えば過剰となるエアコンプレッサ4を特定し、停止させることが可能となる。
さらに、必要負荷に対して消費電力の少ないエアコンプレッサ4を優先して選択し、当該エアコンプレッサ4を起動させるように決定することができる。
【0053】
起動エアコンプレッサ決定部916は、特定のエアコンプレッサ4との間で通信できない通信エラーが発生した場合、複数のエアコンプレッサ4において設定された起動優先順位に基づいて、起動するエアコンプレッサ4を決定する。より具体的には、稼働テーブル923を参照して、現在稼働していない(停止状態)エアコンプレッサ4の中から、起動優先順位の高いエアコンプレッサ4を選択する。
なお、起動エアコンプレッサ決定部916は、記憶部92に記憶されたエアコンプレッサ4の位置情報及び稼働テーブル923を参照して、通信エラーの発生した当該エアコンプレッサ4の近くに配置された停止状態のエアコンプレッサ4を選択するようにしてもよい。
【0054】
エアコンプレッサ制御部917は、通信部910を介して、エアコンプレッサ4に対して、制御コマンド決定部915の決定した制御コマンドを送信する。より具体的には、エアコンプレッサ制御部917は、1又は複数のエアコンプレッサ4(ローカル制御部40)に対して、制御コマンド決定部915の決定したドライヤの起動停止指示、エアコンプレッサ4の起動停止指示、エアコンプレッサ4の容量制御指示等を行う。
【0055】
また、エアコンプレッサ制御部917は、特定のエアコンプレッサ4との間で通信できない通信エラーが発生した場合、通信部910を介して起動エアコンプレッサ決定部916の決定したエアコンプレッサ4に対して、起動コマンドを送信する。なお、ドライヤが稼働していない場合は、ドライヤの先行運転指示を行い、ドライヤが運転開始した後に、当該エアコンプレッサ4に対して、起動コマンドを送信する。
【0056】
[その他]
制御部91は、圧縮空気利用機器6における圧縮空気消費量に基づいて、圧縮空気利用機器6側の利用配管31に設けた受弁33の開度を調整することができる。
【0057】
[エアコンプレッサ分散制御システム動作について]
本実施形態によるエアコンプレッサ分散制御システム1は、以下のように動作する。
圧縮空気利用者は、圧縮空気を使用するにあたり、運転開始指示を圧縮空気利用機器6の入力部から入力することができる。
そうすることで、制御装置9は、無線メッシュネットワーク2を介して圧縮空気利用機器6の利用開始情報を受信し、記憶部92に記憶されている圧縮空気利用機器6の利用する圧縮空気の圧力並びに量に関する要求負荷情報に基づいて、必要な台数のエアコンプレッサ4を選択して無線メッシュネットワーク2を介して起動をかける。より具体的には、最初にドライヤに対して先行運転指示をし、ドライヤを運転させた後、エアコンプレッサ4を起動し、圧縮空気を生成させる。
【0058】
他の圧縮空気利用機器6からの利用開始指示情報を無線メッシュネットワーク2を介して受信した場合、制御装置9は、必要な台数のエアコンプレッサ4を選択して無線メッシュネットワーク2を介して起動をかける。
【0059】
その後、無線メッシュネットワーク2を介して、所定の個所(例えば、エアコンプレッサ4から圧縮空気が吐出される箇所、圧縮空気が圧縮空気利用機器6に供給される個所、レシーバタンク5に圧縮空気の貯留される箇所等)に設けられた圧力センサ7の圧力検出情報等を取得して、圧縮空気利用機器6の必要負荷に応じて、無線メッシュネットワーク2を介してエアコンプレッサ4の台数制御を行う。
【0060】
以上のように、本実施形態のエアコンプレッサ分散制御システム1は、無線メッシュネットワーク2を適用することで、配線工事負担が少なく、ネットワークの拡張にも対応しやすいエアコンプレッサ台数制御システムを実現することができる。
【0061】
また、従来は、代表ポイント(例えば、幹管3の最も太い配管に設けられたレシーバタンク5)の圧力に基づいて、エアコンプレッサ4の運転台数を増やすか、減らすかを判断していたのに対して、本実施形態の無線メッシュネットワーク2を適用することで、末端のエアコンプレッサ4の圧力に基づいて判断することが可能となる。そうすることで、より信頼性の高い最適な台数制御を実行することができる。
【0062】
また、本実施形態のエアコンプレッサ分散制御システム1は、所定の個所(例えば、エアコンプレッサ4から圧縮空気が吐出される箇所、圧縮空気が圧縮空気利用機器6に供給される個所、レシーバタンク5に圧縮空気の貯留される箇所等)に圧力センサ7(41,51,61)を設け、末端の計測圧力値に基づいて、台数制御を行うことができる。
これにより、従来は、圧力圧損を見越して、末端のエアコンプレッサ4の目標圧力を高めに設定したため、圧縮空気の供給量が必要な量よりも多めになり、無駄な圧縮空気を生成し、消費電力が上がる傾向があった。これに対して、本実施形態によると、例えば、末端のエアコンプレッサ4の圧力に基づいて判断することが可能となるため、末端のエアコンプレッサ4の目標圧力を高めに設定することなく、無駄な圧縮空気を生成せず、消費電力を減少させることが可能となる。
【0063】
また、本実施形態のエアコンプレッサ分散制御システム1は、所定の個所(例えば、エアコンプレッサ4から圧縮空気が吐出される箇所、圧縮空気が圧縮空気利用機器6に供給される個所、レシーバタンク5に圧縮空気の貯留される箇所等)において圧力値の低下した場合、所定箇所の近傍に配置されたエアコンプレッサ4を起動し、又は圧力値が上昇した場合、所定箇所の近傍に配置されたエアコンプレッサ4を停止させることができる。
これにより、従来は、起動優先順位に基づいて、起動又は停止させるエアコンプレッサ4を一律に決定したが、本実施形態によると、検出圧力値の低下又は上昇の検出された個所の近くにあるエアコンプレッサ4に対する制御を可能とする。そうすることで、より信頼性の高い最適な台数制御を実行することができる。
【0064】
また、本実施形態のエアコンプレッサ分散制御システム1は、エアコンプレッサ4と制御装置9との間で通信不良が発生し、エアコンプレッサ4を制御装置9によりリモート制御できなくなった場合、制御装置9は新たなエアコンプレッサ4を起動する。さらに、当該エアコンプレッサ4は、自律的にリモートモードからローカルモードに切換えることができる。ローカル制御部40は当該エアコンプレッサ圧力センサ41の検出圧力値に基づいて、当該エアコンプレッサ4を自律制御する。
これにより、圧縮空気利用機器6の必要空気量に対して、圧力低下を招くことなく、必要蒸気量を引き続き供給することができる。
【0065】
また、本実施形態のエアコンプレッサ分散制御システム1は、消費電力の少ないエアコンプレッサ4を優先して運転させる。また、運転台数を減らす場合には、消費電力の多いエアコンプレッサ4を優先して選択し、当該エアコンプレッサ4を停止させるように決定する。
これにより、システム全体の消費電力を減少させることが可能となる。
【0066】
また、本実施形態のエアコンプレッサ分散制御システム1は、幹管3と利用配管(枝管)31とが、リング型接続、バス型接続、又はレシーバタンク5を中心とするスター型接続により接続される。
これにより、複数の圧縮空気利用機器6に対して圧縮空気を融通し合うことができる。
【0067】
また、本実施形態のエアコンプレッサ分散制御システム1における、幹管3は、格子状又は網目状に構成される。
これにより、エアコンプレッサ4から圧縮空気利用機器6に至る配管の圧力損失を少なくし、無駄な圧縮空気を生成せず、消費電力を減少させることが可能となる。
【0068】
なお、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0069】
[変形例1]
本実施形態において、制御装置9にオペレータが遠隔監視するための監視装置を備え、エアコンプレッサ4、及び圧縮空気利用機器6から取得する電力情報、異常情報、稼働情報等に基づいて、例えば、アラームを出力することができる。
【0070】
[変形例2]
また、エアコンプレッサ4、及び圧縮空気利用機器6から取得する、センサ情報、電力情報、稼働情報、管理情報等に基づいて、これらのデータを制御装置9又は管理用装置に解析させることで、圧縮空気利用機器6毎に圧縮空気の消費パターン、及びエアコンプレッサ4の稼働パターン等を作成することができる。
こうすることで、例えば、消費電力の少ない改善策を検討することを可能とする。