(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.接着剤組成物
2.発光装置
3.実施例
【0012】
<1.接着剤組成物>
本実施の形態に係る接着剤組成物は、カチオン重合性化合物と、アルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒と、非共有電子対を有する硫黄原子を含む求核性化合物とを含有するものである。
【0013】
下記式(1)、(2)に示すように、アルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒は、アルミニウムキレート硬化剤とシランカップリング剤(又はシラノール化合物)とが共働して、カチオン種とアニオン種とを発生させ、カチオン重合性化合物をカチオン重合させる。
【0015】
本実施の形態では、非共有電子対を有する硫黄原子を含む求核性化合物を添加することにより、アルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒の安定性を向上させるとともに、硬化反応を遅延させることができるため、優れたライフ性能及び広い実装マージンを得ることができる。
【0016】
図1は、求核性化合物を添加したアルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒の示差走査熱量計(DSC)による測定例を示すグラフであり、
図2は、従来のアルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒の示差走査熱量計(DSC)による測定例を示すグラフである。
【0017】
図1及び
図2から分かるように、求核性化合物を添加することにより、反応トップ(ピーク)温度を高温側にシフトさせることができる。具体的には、反応終点温度は同じで、反応開始温度及び反応トップ温度を遅らせることができる。反応終点温度が同じであるため、実装条件を変える必要はなく、製造時間が長くなることもない。また、反応開始温度が遅いため、接着剤の室温ライフを延長することできる。さらに、反応トップ温度が遅いため、例えばアルミニウムなどの基材に濡れる時間が長くなり、接着力を向上させることができる。このような現象は、室温において求核性化合物がアルミニウムキレート硬化剤に配位して安定な状態を形成し、加熱により求核性化合物の配位がアルミニウムキレート硬化剤から外れ、上記式(1)、(2)の反応が始まるからであると考えられる。このことは、求核性化合物として、メルカプト系カップリング剤を添加し、
図1に示すように反応トップ温度を高温側にシフトさせた後、湿度環境下にてメルカプト系カップリング剤を加水分解させた場合、
図2に示すように、メルカプト系カップリング剤を添加していない状態のグラフに戻ることからも推測することができる。
【0018】
また、求核性化合物が添加された接着剤組成物は、示差走査熱量計の昇温速度10℃/minにおける反応ピーク温度が、反応開始温度より50℃以上高いことが好ましい。反応ピーク温度が反応開始温度より50℃以上高いことにより、硬化反応が緩慢となるため、急峻な昇温カーブの熱圧着条件でも、基材と樹脂とを馴染ませることができ、高いダイシェア強度やピール強度を得ることができる。よって、急峻な昇温カーブの熱圧着条件でも緩慢な昇温カーブの熱圧着条件でも、優れた接合性が得られ、実装マージンを広くすることができる。なお、反応ピーク温度は、求核性化合物のSH基数、添加量などにより制御することが可能である。
【0019】
以下、カチオン重合性化合物、アルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒、及び求核性化合物について説明する。
【0020】
[カチオン重合性化合物]
カチオン重合性化合物は、カチオン種によって重合する官能基を有する化合物である。カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、環状エーテル化合物などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、エポキシ化合物を用いることが好ましい。
【0021】
エポキシ化合物としては、例えば、脂環式エポキシ化合物、エピクロルヒドリンとビスフェノールA又はビスフェノールFとから誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、ポリグリシジルエーテル、ポリグリシジルエステル、芳香族エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、シランカップリング剤から生じたシラノレートアニオンによるβ位炭素へ付加反応が生じにくい脂環式エポキシ化合物又は水素添加エポキシ化合物を用いることが好ましい。
【0022】
脂環式エポキシ化合物としては、分子内に2つ以上のエポキシ基を有するものが好ましく挙げられる。これらは液状であっても、固体状であってもよい。具体的には、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、グリシジルヘキサヒドロビスフェノールAなどを挙げることができる。これらの中でも、硬化物にLED(Light Emitting Diode)素子の実装等に適した光透過性を確保でき、速硬化性にも優れている点から、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートが好ましく使用される。
【0023】
水素添加エポキシ化合物としては、先述の脂環式エポキシ化合物の水素添加物、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型などの公知のエポキシ化合物を水素化させた水素添加エポキシ化合物を使用することができる。
【0024】
[アルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒]
アルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒は、アルミニウムキレート硬化剤と、シラノール化合物とを含む。
【0025】
アルミニウムキレート硬化剤としては、公知のものを使用することができるが、例えば、式(3)に表される、3つのβ−ケトエノラート陰イオンがアルミニウムに配位した錯体化合物を用いることが好ましい。
【0027】
ここで、R1、R2及びR3は、それぞれ独立的にアルキル基又はアルコキシル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基などが挙げられる。アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、オレイルオキシ基などが挙げられる。
【0028】
式(3)で表されるアルミニウムキレート硬化剤の具体例としては、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスオレイルアセトアセテート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
【0029】
シラノール化合物としては、例えば、式(4)で表されるアリールシランオールが挙げられる。
【0031】
式中、mは2又は3であり、但しmとnとの和は4である。式(4)で表されるシラノール化合物は、モノまたはジオール体となる。“Ar”は、置換されてもよいアリール基であるが、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、フロオレニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基等を挙げることができる。中でも、入手容易性、入手コストの観点からフェニル基が好ましい。m個のArは、いずれも同一でもよく異なっていてもよいが、入手容易性の点から同一であることが好ましい。
【0032】
これらのアリール基は、1〜3個の置換基を有することができ、例えば、クロロ、ブロモ等のハロゲン;トリフルオロメチル;ニトロ;スルホ;カルボキシル;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル;ホルミルなどの電子吸引基、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ;ヒドロキシ;アミノ;モノメチルアミノ等のモノアルキルアミノ;ジメチルアミノ等のジアルキルアミノなどの電子供与基などが挙げられる。なお、置換基として電子吸引基を使用することによりシラノールの水酸基の酸度を上げることができ、逆に、電子供与基を使用することにより酸度を下げることができるので、硬化活性のコントロールが可能となる。ここで、m個のAr毎に、置換基が異なっていてもよいが、m個のArについて入手容易性の点から置換基は同一であることが好ましい。また、一部のArだけに置換基があり、他のArに置換基が無くてもよい。
【0033】
式(4)のシラノール化合物の中でも、好ましいものとして、トリフェニルシラノール又はジフフェニルシラノールが挙げられる。特に好ましいものは、トリフェニルシラノールである。
【0034】
また、アルミニウムキレート硬化剤及びシラノール化合物は、多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなる潜在性アルミニウムキレート硬化剤であることが好ましい。この潜在性アルミニウムキレート硬化剤は、アルミニウムキレート硬化剤、多官能イソシアネート化合物、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、及びシラノール化合物を有機溶媒に溶解、分散させて得た油相を、分散剤を含有する水相に投入しながら加熱撹拌し、多官能イソシアネート化合物を界面重合させると同時にラジカル重合性化合物をラジカル重合反応させることにより、得られた多孔性樹脂にアルミニウムキレート硬化剤、及びシラノール化合物を保持させることができる。
【0035】
多官能イソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有することが好ましく、1分子中に3個のイソシアネート基を有することがより好ましい。3官能イソシアネート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン1モルにジイソシアネート化合物3モルを反応させた式(5)のTMPアダクト体、ジイソシアネート化合物3モルを自己縮合させた式(6)のイソシアヌレート体、ジイソシアネート化合物3モルのうちの2モルから得られるジイソシアネートウレアに残りの1モルのジイソシアネートが縮合した式(7)のピュウレット体などが挙げられる。
【0037】
上記式(5)〜(7)において、置換基Rは、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた部分である。このようなジイソシアネート化合物の具体例としては、トルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ−m−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0038】
このような多孔性樹脂とその孔に保持されたアルミニウムキレート硬化剤とからなる潜在性アルミニウムキレート硬化剤を用いることにより、カチオン重合性化合物に直接配合し、一液化した状態でも、貯蔵安定性を大きく向上させることができる。
【0039】
アルミニウムキレート硬化剤の含有量は、少なすぎると十分に硬化せず、多すぎると接着剤組成物の硬化物の樹脂特性(例えば、架橋性)が低下する傾向にあるため、カチオン重合性化合物100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
【0040】
また、アルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒は、前述したアルミニウムキレート硬化剤とシランカップリング剤とを含んでもよい。
【0041】
シランカップリング剤は、アルミニウムキレート硬化剤、特に潜在性アルミニウムキレート硬化剤と共働してカチオン重合を開始させる機能を有する。このようなシランカップリング剤としては、分子中に1〜3の低級アルコキシ基を有し、分子中にカチオン重合性樹脂の官能基に対して反応性を有する基、例えば、ピニル基、スチリル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基などを有することが好ましい。なお、アミノ基を有するカップリング剤は、アルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒の発生カチオン種を実質的に捕捉しない場合に使用することができる。
【0042】
このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0043】
シランカップリング剤の含有量は、少なすぎると低硬化性となり、多すぎるとその組成物の硬化物の樹脂特性(例えば、保存安定性)が低下する傾向にあるので、カチオン重合性化合物100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
【0044】
また、アルミニウムキレート硬化剤は、多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなる潜在性アルミニウムキレート硬化剤であることが好ましい。この潜在性アルミニウムキレート硬化剤は、アルミニウムキレート硬化剤と多官能イソシアネート化合物とを揮発性有機溶剤に溶解させ、得られた溶液を、分散剤を含有する水相に投入し、加熱撹拝により界面重合させることにより製造することができる。
【0045】
[求核性化合物]
求核性化合物は、非共有電子対を有する硫黄原子を含む。これにより、接着剤組成物の示差走査熱量計における反応ピーク温度を、反応開始温度より50℃以上高温側にシフトさせることができる。これは、求核性化合物が、室温においてアルミニウムキレート硬化剤に配位して安定な状態を形成し、加熱によりアルミニウムキレート硬化剤から外れると考えられるからである。また、硬化反応が緩慢となるため、急峻な昇温カーブの熱圧着条件でも、基材と樹脂とを馴染ませることができ、高いダイシェア強度やピール強度を得ることができる。
【0046】
求核性化合物としては、チオール化合物、エピスルフィド化合物などが挙げられる。チオール化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプトアルキル−アルコキシシラン等のメルカプトシラン類;1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)などの3−メルカプトブチレート又はプロピオネート誘導体を始めとするメルカプトアルカノエート類などが挙げられる。3−メルカプトブチレート誘導体の市販品としては、例えば商品名「カレンズMT BD1」(昭和電工(株))、「カレンズMT PE1」(昭和電工(株))などが挙げられる。また、エピスルフィド化合物としては、鎖状脂肪族骨格、脂肪族環状骨格、芳香族骨格から選択される1以上の骨格を有するエピスルフィド化合物又は水添エピスルフィド化合物が挙げられる。
【0047】
また、チオール化合物は、1分子中に2個以上のチオール基(SH基)を有することが好ましく、エピスルフィド化合物は、1分子中に2個以上のエピスルフィド基を有することが好ましい。チオール基、エピスルフィド基などの官能基数が多いほど、反応ピークのシフトが大きくなる傾向にある。
【0048】
求核性化合物の含有量は、少なすぎると安定性の向上の効果が得られず、多すぎるとアルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒の発生カチオン種を捕捉してしまう虞があるため、カチオン重合性化合物100質量部に対し、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.5〜50質量部である。
【0049】
[他の成分]
また、本実施の形態に係る接着剤組成物は、他の成分として、アクリル樹脂、好ましくはアクリル酸とヒドロキシル基含有アクリル酸エスエルとのコポリマーを含有することができる。これにより表面に不動態を形成するアルミニウム配線に対しても高い接着力を得ることができる。好ましいコポリマーとしては、0.5〜10wt%のアクリル酸と、0.5〜10wt%のヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルとのコポリマーであって、重量平均分子量が50000〜900000のものが挙げられる。
【0050】
図3は、接着剤と酸化膜との界面において、エポキシ化合物を海、アクリル樹脂を島としたときの海島モデルを示す断面図である。この海島モデルは、エポキシ化合物の海12に分散したアクリル樹脂の島13が、配線11の酸化膜11a上に接した状態を示す硬化物モデルである。
【0051】
この硬化物モデルにおいて、アクリル酸は、エポキシ化合物と反応し、アクリル樹脂の島13とエポキシ化合物の海12との繋がりを生じさせるとともに、酸化膜11aの表面を荒らしてエポキシ化合物の海12とのアンカー効果を強める。また、ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルは、ヒドロキシル基の極性により配線11に対して静電気的な接着力を得る。このように酸化膜11aに対してアクリル樹脂の島13及びエポキシ化合物の海12の硬化物全体で接着することにより、優れた接着力を得ることができる。
【0052】
図3に示す硬化物モデルにおいて、アクリル樹脂の重量平均分子量は、アクリル樹脂の島13の大きさに相関を示し、アクリル樹脂の重量平均分子量が50000〜900000であることにより、適度な大きさのアクリル樹脂の島13を酸化膜11aに接触させることが可能となる。アクリル樹脂の重量平均分子量が50000未満の場合、アクリル樹脂の島13と酸化膜11aの接触面積が小さくなり、接着力向上の効果が得られない。また、アクリル樹脂の重量平均分子量が900000超の場合、アクリル樹脂の島13が大きくなり、酸化膜11aに対してアクリル樹脂の島13及びエポキシ化合物の海12の硬化物全体で接着している状態とはいえず、接着力が低下する。
【0053】
また、アクリル樹脂は、アクリル酸を0.5〜10wt%含み、より好ましくは1〜5wt%含む原料から形成される。アクリル酸が0.5〜10wt%含まれることにより、エポキシ化合物との反応によりアクリル樹脂の島13とエポキシ化合物の海12との繋がりが生じるとともに、酸化膜11aの表面が荒れてエポキシ化合物の海12とのアンカー効果が強まる。
【0054】
また、アクリル樹脂は、ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルを0.5〜10wt%含み、より好ましくは1〜5wt%含む原料から形成される。ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルが0.5〜10wt%含まれることにより、ヒドロキシル基の極性により配線11に対して静電気的な接着力が得られる。
【0055】
ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等を挙げることができる。これらの中でも、酸化膜に対する接着性に優れるメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましく使用される。
【0056】
また、アクリル樹脂は、アクリル酸及びヒドロキシル基を有するアクリル酸エステル以外に、ヒドロキシ基を有さないアクリル酸エステルを含む原料から形成される。ヒドロキシ基を有さないアクリル酸エステルとしては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ニトリル等を挙げることができる。
【0057】
また、アクリル樹脂の含有量は、エポキシ化合物100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。これにより、アクリル樹脂の島13が、エポキシ化合物の海12に良好な密度で分散した硬化物を得ることが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態に係る接着剤組成物は、他の成分として、流動性を制御し、粒子捕捉率を向上させるため、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、特に限定されないが、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができる。このような無機フィラーは、接着剤によって接続される接続構造体の応力を緩和させる目的によって適宜用いることができる。また、熱可塑性樹脂、ゴム成分等の柔軟剤等を配合してもよい。
【0059】
このような接着剤組成物によれば、アルミニウム等の難接着金属に対し、高い接着力を得ることができる。
【0060】
また、接着剤組成物は、導電性粒子を含有する異方性導電接着剤であってもよい。導電性粒子としては、公知の導電性粒子を用いることができる。例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、これらの粒子の表面に更に絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒子を用いることができる。また、導電性粒子の扁平変形に対する抵抗の上昇を抑制するため、樹脂粒子の表面をNiなどで被覆してもよい。これらの中でも、樹脂粒子の表面に金属層が形成された導電性粒子を用いることが好ましい。このような導電性粒子によれば、圧縮時に潰れやすく、変形し易いため、配線パターンとの接触面積を大きくすることができる。また、配線パターンの高さのバラツキを吸収することができる。
【0061】
また、導電性粒子の平均粒径は、1μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上8μm以下である。また、導電性粒子の配合量は、接続信頼性及び絶縁信頼性の観点から、エポキシ化合物100質量部に対して1質量部以上100質量部以下であることが好ましい。
【0062】
また、導電性粒子とはんだ粒子とを併用することが好ましい。はんだ粒子は、導電性粒子よりも平均粒径が小さいことが好ましく、はんだ粒子の平均粒径は、導電性粒子の平均粒径の20%以上100%未満であることが好ましい。はんだ粒子が導電性粒子に対して小さすぎると、圧着時にはんだ粒子が対向する端子間に捕捉されず、金属結合しないため、優れた放熱特性及び電気特性を得ることができない。一方、はんだ粒子が導電性粒子に対して大きすぎると、例えばLEDチップのエッジ部分ではんだ粒子によるショルダータッチが発生してリークが発生し、製品の歩留りが悪くなる。
【0063】
はんだ粒子は、例えばJIS Z 3282−1999に規定されている、Sn−Pb系、Pb−Sn−Sb系、Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Bi−Sn系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、Sn−In系、Sn−Ag系、Sn−Pb−Ag系、Pb−Ag系などから、電極材料や接続条件などに応じて適宜選択することができる。また、はんだ粒子の形状は、粒状、燐片状などから適宜選択することができる。なお、はんだ粒子は、異方性を向上させるために絶縁層で被覆されていても構わない。
【0064】
はんだ粒子の配合量は、1体積%以上30体積%以下であることが好ましい。はんだ粒子の配合量が少なすぎると優れた放熱特性が得られなくなり、配合量が多すぎると異方性が損なわれ、優れた接続信頼性が得られない。
【0065】
このような異方性導電接着剤によれば、アルミニウム等の難接着金属に対し、優れた接続信頼性を得ることができる。
【0066】
<2.発光装置>
次に、本発明を適用した発光装置について説明する。
図4は、発光装置の一例を示す断面図である。発光装置は、配線パターン22を有する基板21と、配線パターン22の電極上に形成された異方性導電膜30と、異方性導電膜30上に実装された発光素子23とを備え、異方性導電膜30が、前述した異方性導電接着剤の硬化物からなる。この発光装置は、基板21上の配線パターン22と、発光素子23としてLED素子のn電極24とp電極25とのそれぞれに形成された接続用のバンプ26との間に、前述の異方性導電接着剤を塗布し、基板21と発光素子23とをフリップチップ実装することにより得られる。
【0067】
本実施の形態では、前述した異方性導電接着剤を用いることにより、アルミニウムからなる配線パターンを有する基板を好適に用いることができる。これにより、LED製品の低コスト化を図ることができる。
【0068】
なお、必要に応じて、発光素子23の全体を覆うように透明モールド樹脂で封止してもよい。また、発光素子23に光反射層を設けてもよい。また、発光素子としては、LED素子の他、本発明の効果を損なわない範囲で公知の発光素子を使用することができる。
【実施例】
【0069】
<3.実施例>
以下、本発明の第1の実施例について説明する。
【0070】
<第1の実施例>
第1の実施例では、各種添加剤を配合した異方性導電接着剤を作製した。そして、異方性導電接着剤の反応開始温度及び反応ピーク温度を測定した。また、異方性導電接着剤のライフについて評価した。また、異方性導電接着剤を用いて基板上にLEDチップを搭載させてLED実装サンプルを作製し、これのダイシェア強度を測定した。また、異方性導電接着剤のピール強度を測定した。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0071】
[異方性導電接着剤の作製]
表1に示すいずれか1種の添加剤を所定量配合し、異方性導電接着剤を作製した。脂環式エポキシ化合物(品名:セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)100質量部、潜在性アルミニウムキレート硬化剤5質量部、アクリル樹脂(アクリル酸ブチル(BA):15wt%、アクリル酸エチル(EA):63wt%、アクリル酸ニトリル(AN):20wt%、アクリル酸(AA):1wt%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA):1wt%、重量平均分子量Mw:70万)5質量部、及び、表1に示す添加剤が配合されたバインダー中に、平均粒径(D50)1.1μmのはんだ粒子(商品名:M707(Sn−3.0Ag−0.5Cu)、mp:217℃、千住金属工業(株))100質量部、及び平均粒径(D50)5μmの導電性粒子(樹脂コア、Auメッキ)10質量部を分散させ、異方性導電接着剤を作製した。
【0072】
なお、潜在性アルミニウムキレート硬化剤は、次のように製造した。先ず、蒸留水800質量部と、界面活性剤(ニューレックスR−T、日本油脂(株))0.05質量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ)4質量部とを、温度計を備えた3リットルの界面重合容器に入れ、均一に混合した。この混合液に、さらに、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24%イソプロパノール溶液(アルミキレートD、川研ファインケミカル(株))11質量部と、メチレンジフェニル−4,4´−ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D−109、三井武田ケミカル(株))11質量部と
、酢酸エチル30質量部に溶解した油相溶液を投入し、ホモジナイザー(10000rpm/10分)で乳化混合後、60℃で6時間界面重合させた。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、界面重合粒子を濾過により濾別し、自然乾燥することにより粒径10μm程度の球状の潜在性アルミニウムキレート硬化剤を20質量部得た
。
【0073】
【表1】
【0074】
[異方性導電接着剤の反応開始温度及び反応ピーク温度の測定]
示差走査熱量計(DSC)(DSC6200、セイコーインスツル(株))を用いて、昇温速度10℃/minにて異方性導電接着剤の反応開始温度(発熱開始温度とも称される)及び反応ピーク温度(発熱ピーク温度とも称される)を測定した。なお、硬化特性に関し、反応開始温度は硬化開始温度を意味しており、反応ピーク温度は最も硬化が活性となる温度を意味しており、反応終了温度は硬化終了温度を意味しており、ピーク面積は発熱量を意味している。
【0075】
[ライフの評価]
示差走査熱量計(DSC)(DSC6200、セイコーインスツル(株))を用いて、異方性導電接着剤の初期の発熱量、及び、異方性導電接着剤を室温にて96時間放置したときの発熱量を測定した。初期の発熱量に比べて室温にて96時間放置したときの発熱量が20%以上減少した場合をライフ不良として「×」と評価し、20%未満の減少の場合をライフ良好として「○」と評価した。
【0076】
[LED実装サンプルの作製]
図5に示すように、LED実装サンプルを作製した。50μmピッチの配線基板(50μmAl配線−25μmPI(ポリイミド)層−50μmAl土台)51をステージ上に複数配列し、各配線基板51上に異方性導電接着剤50を約10μg塗布した。異方性導電接着剤50上に、LEDチップ(商品名:DA3547、Cree社(最大定格:150mA、サイズ:0.35mm×0.46mm))52を搭載し、熱加圧ツール53を用いて、180℃−2N−10secの装置Aの条件又は180℃−2N−30secの装置Bの条件にてフリップチップ実装し、LED実装サンプルを得た。
【0077】
図6は、180℃−10sec及び180℃−30secの温度プロファイルを示すグラフである。
図6に示すように、装置Aの昇温カーブは、装置Bよりも急峻であるため、装置Aは、装置Bよりも大きいダイシェア強度やピール強度を得ることが困難である。
【0078】
[ダイシェア強度の測定]
図7に示すように、ダイシェアテスターを用いて、ツール54のせん断速度20μm/sec、25℃の条件で各LED実装サンプルの接合強度を測定した。4個のLED実装サンプルの接合強度を測定し、その平均値を算出した。
【0079】
[ピール強度の測定]
異方性導電接着剤60を白色のセラミック板61上に厚さ100μmとなるように塗布し、180℃−1.5N−10secの装置Aの条件又は180℃−1.5N−30secの装置Bの条件にて、1.5mm×10mmのアルミニウム片62をセラミック板61に熱圧着し、接合体を作製した。
【0080】
図8に示すように、テンシロンを用いて、接合体のアルミニウム片62を引っ張り速度50mm/secにて90°Y軸方向に引き剥がし、その引き剥がしに要したピール強度の最大値を測定した。4個のサンプルのピール強度の最大値を測定し、その平均値を算出した。
【0081】
<実施例1>
添加剤A(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を1質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は78℃、反応ピーク温度は135℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0082】
<実施例2>
添加剤B(3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン)を0.5質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は70℃、反応ピーク温度は132℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0083】
<実施例3>
添加剤B(3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン)を1質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は78℃、反応ピーク温度は137℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0084】
<実施例4>
添加剤C(水添エピスルフィド)を1質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は75℃、反応ピーク温度は131℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0085】
<実施例5>
添加剤C(水添エピスルフィド)を2質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は75℃、反応ピーク温度は138℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0086】
<実施例6>
添加剤C(水添エピスルフィド)を5質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は76℃、反応ピーク温度は157℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0087】
<実施例7>
添加剤C(水添エピスルフィド)を10質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は76℃、反応ピーク温度は170℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0088】
<実施例8>
添加剤C(水添エピスルフィド)を40質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は76℃、反応ピーク温度は176℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0089】
<実施例9>
添加剤D(1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン)を1質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は73℃、反応ピーク温度は153℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0090】
<実施例10>
添加剤E(ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート))を1質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は68℃、反応ピーク温度は158℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0091】
<実施例11>
添加剤F(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート))を1質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は75℃、反応ピーク温度は155℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0092】
<比較例1>
添加剤を添加せずに異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は60℃、反応ピーク温度は102℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0093】
<比較例2>
添加剤G(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を1質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は60℃、反応ピーク温度は102℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0094】
<比較例3>
添加剤H(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)を1質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は60℃、反応ピーク温度は102℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0095】
<比較例4>
添加剤I(3−メタクリロキシプロピルメチルジトキシシラン)を1質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は60℃、反応ピーク温度は102℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0096】
<比較例5>
添加剤J(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を1質量部配合して異方性導電接着剤を作製した。異方性導電接着剤の反応開始温度は60℃、反応ピーク温度は102℃であった。表2に、ライフの評価結果、ダイシェア強度の測定結果、及びピール強度の測定結果を示す。
【0097】
【表2】
【0098】
比較例1〜5のように非共有電子対を有する硫黄原子を含む求核性化合物を配合しなかった場合、ライフの評価結果が良好でなく、また、昇温カーブが急峻である装置Aを用いて圧着したときのダイシェア強度及びピール強度が、装置Bを用いて圧着したときに比べ低かった。
【0099】
一方、実施例1〜11のように非共有電子対を有する硫黄原子を含む求核性化合物を配合した場合、ライフの評価結果が良好となり、また、昇温カーブが急峻である装置Aを用いて圧着したときのダイシェア強度及びピール強度が、装置Bを用いて圧着したときとあまり変化がなかった。すなわち、実施例1〜11より、アルミニウムキレート−シラノール系硬化触媒の安定性を向上させるとともに、硬化反応を遅延させることより、優れたライフ性能及び広い実装マージンが得られることが分かった。
【0100】
<第2の実施例>
第2の実施例では、前述した実施例1、4、比較例1、2において、180℃−2N−30secの装置Bの条件にて実装したLED実装サンプルを用いて、導通性、及び放熱性について評価した。
【0101】
[導通性の評価]
各LED実装サンプルの初期、及び冷熱サイクル試験(TCT)後の導通抵抗を測定した。冷熱サイクル試験は、LED実装サンプルを、−40℃及び100℃の雰囲気に各30分間曝し、これを1サイクルとする冷熱サイクルを1000サイクル行った。導通性の評価は、If=50mA時のVf値を測定し、試験成績表のVf値からのVf値の上昇分が0.1V未満である場合を「○」とし、0.1V以上である場合を「×」とした。
【0102】
[放熱性の評価]
各LED実装サンプルの初期、及び冷熱サイクル試験(TCT)後の熱抵抗を測定した。冷熱サイクル試験は、導通性の評価と同様に、LED実装サンプルを、−40℃及び100℃の雰囲気に各30分間曝し、これを1サイクルとする冷熱サイクルを1000サイクル行った。熱抵抗の測定は、ダイナミック方式の過渡熱抵抗測定装置(コペル電子(株))を用いた。測定条件は、If=50mA、Im=1mAで行い、0.1秒間点灯したときのLED実装体の熱抵抗値(K/W)を読み取った。放熱性の評価は、熱抵抗値の変化が2℃未満である場合を「○」とし、熱抵抗値の変化が2℃以上である場合を「×」とした。
【0103】
<実施例1、4、比較例1、2>
表3に、実施例1、4、比較例1、2の導通性及び放熱性の評価結果を示す。
【0104】
【表3】
【0105】
比較例1、2のように非共有電子対を有する硫黄原子を含む求核性化合物を配合しなかった場合、導通性の評価は良好であったが、放熱性の評価は良好でなかった。一方、実施例1、4のように非共有電子対を有する硫黄原子を含む求核性化合物を配合した場合、導通性の評価及び放熱性の評価は良好であった。放熱性の測定により、ダイシェア強度、ピール強度、及び導通抵抗では分からない僅かな実装状態の変化を検出することができた。